映画の感想 2011年 2012/03/11 更新




採点基準

  ★★★★ :人類の宝 (最高)
  ★★★☆ :絶対必見
  ★★★ :観るべき映画
  ★★☆ :観ても良い
  ★★ :中間
  ★☆ :観なくてもいい
  ★ :観る価値はほとんどない
  ☆ :作者もろともこの世から消えてなくなれ (最低)
  なし :あえて採点しない(最低ではない)


基本的に、ネタバレがある可能性があります。

文章などの内容には、時々変更や追加が入ることがあります。


2011年公開作品(2010年以前に鑑賞) 2011/01/07

2011年公開作品(スクリーン以外で鑑賞) 2011/10/06

ビデオ、劇場上映 //

映画祭/上映会/公開未定作品 2012/03/11

2011年に映画館等で観た旧作 2011/10/10


2011年公開作品 2012/03/11

  邦画 洋画 フィンランド ポーランド デンマーク カナダ オーストラリア 韓国 中国 香港 台湾 タイ ブラジル メキシコ
拡大公開作品 (全都道府県で同日一斉公開) 6 13 13 19
ミニチェーン作品 (多くの都道府県で同日一斉公開) 10 13 11 2 23
ミニシアター作品 (初日は限られた都道府県で数館でのみ公開) 22 32 9 3 1 1 1 2 1 1 3 3 2 2 1 1 1 54
38 58 33 2 3 1 1 1 2 1 1 3 3 2 2 1 1 1 合計=96作品
今年劇場で鑑賞=24 今年劇場以外で鑑賞=
去年鑑賞=2 『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』『アンストッパブル
翌年鑑賞=4 『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』『永遠の僕たち』『風にそよぐ草』『』

 【註】上の表の国の区分けは、データベースなどの表記による正式なものに代わって、台詞の言語、主なスタッフやキャストの国籍などによります。
    例えば、『片腕マシンガール』は正式にはアメリカ映画(製作がアメリカ)ですが、ここでは邦画に含めています。

タイトル 採点 分類 製作年 国 公開規模 更新日
恋の罪 ★★★ ドラマ系 2011 日 ミニシアター 2012/01/03 91
 「言葉なんて知らなければ良かった」という詩は、本心では「知って良かった」という強い確信を抱いていることを、実は声高に主張しているということだろう。
 そしてその想いこそ「城」にたどり着いたことを表しているのか?

 『冷たい熱帯魚』(★★★)、『ちゃんと伝える』(★★☆)と、男主体の作品が続いていた園子温監督だが、今作は女たちの話。
 とはいえ園監督が、のんべんだらりと平穏に生きることを許さないような想いは、最近の作品に一貫している。
 「そんなぬるい生き方でくすぶっていることに不満を感じるなら、何故本気を出さないのか?」
 そんな高い意識の要求は、出演者の芝居に対しても向けられるので、観る者を圧倒するような力強さが素晴らしい。
アントキノイノチ ★★ ドラマ系 2011 日(松竹) 拡大 2012/01/03 90
 孤独死した人の家の遺品を整理回収する会社に勤める岡田将生と榮倉奈々が惹かれ合うが、それぞれ口外したくない過去を今も引きずってるが故に今の職場にたどり着いたのだった。
 2人が過去を少しずつ話し合い、その回想シーンが差し込まれていくことで、彼らの過去が観客にも明らかになっていく展開になっている。
 よって、特に前半は「トラウマ」「死」「自殺」「家族崩壊」「社会の底辺」などといったシリアスな記号がやたらと目につき、でもその割にはストーリーに具体性がなくて、中身のない表層的なセンセーショナリズム、或いはたいしたゴールが待っていない空疎な謎解きに付き合わされている予感がして、なんとも居心地が悪かった。
 その悪い予感は後半に入って幾分払拭されたものの、中身に乏しい記号的なストーリーの予感は残念ながら当たってしまった。
 ストーリー以外は、芝居や映像や小道具などをはじめ、どれもこれも本気度の高い仕事ぶりで、素晴らしい。
 なんだか、才能の無駄遣いのように感じた。
猿の惑星:創世記 ★★ ドラマ系 2011 米 拡大 2012/01/03 89
 結論から言うと、「良く出来てるんだけど、毒がない」。

 40年前の『猿の惑星』シリーズには、人間が屈伏させられる屈辱感とか、異常な状況を見せられることによって増す不安感とか、真に迫る映画だったが、今度の新作はお手軽に楽しめる絵空事といった感じ。
 人間や猿が殺されることを極力排除したマイルド仕上げの意図は、間違っているかも。
 結局、猿にも人間にも共感も憎悪も抱けず、クライマックスの対決シーンも、壮大な割には他人事のような冷めた目線でしか観れなかった。
 類似の設定の映画が他にも多いせいで新鮮味がなくなったとか、こっちの感受性が鈍ったからとかの理由かもしれないけど。
コンテイジョン (Contagion、意味「接触感染」) ★★☆ ドラマ系、感覚系 2011 米 ミニチェーン 2011/12/04 88
 死に至る未知のウィルスに世界中が感染し、WHOやアメリカCDCなどの機関の人々がそれに立ち向かう姿を中心に展開する。

 宇宙からの病原菌に立ち向かった研究者たちを描いた『アンドロメダ・・・・』(1971年)を意識して作ったのか、類似点が多い。
 電子楽器による静かで重い音楽といい、直線的な文字による機械的な見た目のクレジットといい、1970年代の厭世的なSF映画を思わせる。
 そして、ドラマチックな抑揚を排して、出来事だけを冷徹に映し出すドキュメンタリータッチの作風は、『アンドロメダ・・・・』の最も顕著な特徴である。
 一方相違点は、『アンドロメダ・・・・』がほぼ全編研究施設内で細菌相手の科学的なアプローチだけで展開したのに対し、『コンテイジョン』では世界各地の複数の登場人物たちで同時進行し、人々が向き合うのもウィルスより人間の方が多い。
 エピソードは人間臭いのに作風はクールな『コンテイジョン』は、スタイルの親和性が悪く感じられ、例えば大衆の混乱している描写が少ないことが不自然に思える。
 とはいえ、スタイルを貫きながら、それよりもわざとらしさを感じさせない映画を目指してコントロールの利いた演出を見せるのは、さすがのソダーバーグ。

 ストーリーに関しては、世界中に感染する致死率の高い伝染病が現実に発生するかはなんとも言えないが、ジュード・ロウが演じたようなデタラメ情報を発信する人間は、震災後の数多くのデマであきらかなように、悪意の無い場合も含めて100%で出現する。
 こんなのは伝染病や天災のような不可抗力によるものではなく、人々がちゃんとしてさえすれば防げるはずなのに、むしろこっちの方の危険性がより現実的だというのが、人類という生き物の情けなさを示している。
おばあちゃん女の子 ★★☆ 感覚系 2010 日 ミニシアター 2011/11/27 87
 夫との会話が弾まない妊娠中の妻が、夫の出勤中にふとしたきっかけから街をさまよいだす。
 横浜監督作品の登場人物は、作品の意図に合わせてキャラを設定するのではなく、現実の人間が誰かに都合のいい存在ではないように、こっちの思うようには動いてくれず、完全に独立している。
 究極の非予定調和映画。
む しろ、そんな人が存在する世界の方が現実に近いのだから、受け入れないでは済まされない。
真夜中からとびうつれ ★★★ 感覚系 2011 日 ミニシアター 2011/11/27 86
 やっぱり横浜監督は凄い、といってもどう凄いかの説明は難しい。
 ストーリーがあるというより、映画の内側と外側をぐるっとつなげてメビウスの輪のように境目を無くしたような感じが全体像。
 多部ちゃんがいつもの感じと全然違って、全編無表情で台詞も少ない。
 これがまた、ものすごくいい。
 こんな新たな魅力が出せるという狙いがあってのキャスティングだとしたら、監督凄すぎる。
 そうでなくて、演出するうちに出来上がったものだとしても凄いけど。
ミッション:8ミニッツ ★★☆ ドラマ系、感覚系 2011 米 拡大 85
 既に起きた列車爆破テロの犠牲者の脳に刻まれた8分間の記憶の世界に何度も入り込んでは、同乗者の中にいる犯人を探し出す任務を課せられた軍人の話。
 この手の一種のタイムトラベルもの、ヴァーチャル世界ものの映画の場合、やたらとその複雑さや辻褄が合っているちみつさの方を重視したがる向きがあるが、この作品では主人公の心情が中心で、展開も人間臭く脇道にそれたりして、好感が持てる。
指輪をはめたい ★★ ドラマ系、感覚系 2011 日 ミニチェーン 2011/11/06 84
 頭を打って一部記憶喪失になった山田孝之が、カバンに入っていた婚約指輪を渡す相手を思い出せず、恋人らしい3人の女と接して思い出そうとする。
 全編緩いテンポで、加えてちょくちょく意表をついて笑いをとろうとする。
密告・者 原題:【広東語】綫人(意味「情報提供者」 / 【英語】Stool Pigeon(意味「おとり鳩」) ★★☆ ドラマ系、感覚系 2010 香港 ミニシアター 2011/11/06 83
 見どころは、クライマックスの格闘シーン。
 洗練とは程遠いが、映画が人の心をつかむ要素として、「上手さ」よりも「作り手の本気度」を見せることの方が大きいんじゃないかと思えた。
ウィンターズ・ボーン 原題:Winter's Bone(冬の骨) ★★☆ ドラマ系 2010 米 ミニシアター 2011/11/06 82
 保釈中の父が逃走して、保釈金の担保になっている家を取り上げられることから弟と妹を守るために、17歳の少女が父の行方を探す物語。
 一人一人顔見知りを訪ねて行く地味な展開で始まり、アメリカの田舎にはびこる裏の世界が次第に明らかになっていく。
 その裏の社会はもちろん恐ろしいのだが、言わば「腐れ縁」みたいなもので、メンバーの一員であることに利点もあるし、内外の人間いずれにも壊すまでの積極的な動機がないまま脈々と続いていることに、生々しい怖さを感じた。
女と銃と荒野の麺屋 ★★☆ ドラマ系、感覚系 2009 中国 ミニシアター 2011/10/26 81
 張藝謀監督による、『ブラッドシンブル』を19世紀頃の中国の荒野の一軒家に舞台を移したリメイク。
 登場人物のキャラがオトボケになったことが、パッと目につく大きな変更点。
 でも、お笑いのシーンは序盤で感じた程多くなく、中盤以降の大半のシーンはオリジナル同様、クールなスリルとサスペンスという、どっちつかずな印象。
 ひょっとして、オリジナルを知らない人たち(例えば多くの中国人)をターゲットにして、最初は軽く楽しめる映画だと思わせて、気が付けば本格的なサスペンスを楽しめる、敷居の低い映画を狙ったのかな?
 『ブラッドシンブル』を選んだ理由は、それ用の出来の良いストーリーというだけで、オリジナルに対する思い入れは感じなかった。
 だから、初見の人にとっては気楽に楽しめる映画で、オリジナルと比べるのには向いてない。

 オリジナルの名シーン傑作ショットはかなりの量を再現してるけど、ちゃんとひねりがあるのはいい。
監督失格 ★★ エッセイ系 2011 日 ミニシアター 2011/10/26 80
 平野監督が、かつての恋人だった今は亡き女優林由美香を想って作ったノンフィクション。

 極論を言えば、作ることこそが目的の映画で、たとえ誰の目にも触れなかったとしても構わなかったのでは?と思う。
 それほど極私的な映画。
 彼女の死から約5年経ったのに、映画の大半の時間は死後のことではなく、恋愛期間中に彼女を撮影したドキュメンタリー作品の撮影素材からのもの。
 思い入れがあることはもちろん解るが、それがどのくらい深いものなのか?どのくらいこの作品で表現できているのか?そしてどのくらい感じることが出来たのか?
 「解った」「伝わった」なんてことは、おこがましくてとてもじゃないが言えない。
 監督がカメラを回しながら由美香さんの家を訪ねて彼女の死の第一発見者になった時の映像が、ずっと封印されていて今回初めて解禁されたのだが、その解禁自体の意味や、前後の心境の変化もよく解らない。
 この映画の前では、当事者と部外者の距離が大きく、「何も言えない」状態になってしまう。

 ただ、この「映画との距離の遠さ」の感じは、大事な人が手の届かない遠いところに行ってしまった監督のどうにもできない気持ちと重なるのかもしれない。
 それから、映画作りは観客にとって どうか?ということより、作り手の意図や意志が尊重されるべきだと思う。
受けることだけを狙って観客に媚をうっている映画なんて、これっぽっちも観たくないもん。
朱花の月 ★★☆ 感覚系 2011 日 ミニシアター 2011/10/09 79
 河瀬直美監督が力量をいかんなく発揮し、圧倒的な映像美をはじめ、愛や母性や父性など、多くのことを盛り込んだ。
 ただ、それらは決して親切に解りやすい形にはなっておらず、無造作に示されるだけなので、完全にこちらの処理能力を越えてしまった。
 まったく、困った映画を作ってくれるもんだ。
クイック!! ★☆ お笑い系 2010 韓国 ミニシアター 2011/10/05 78
 完成度をとやかく言ったところで、作り手ははなからそんなことは気にしてなくて、何でもいいから笑いをとることだけを狙って、そのために手当たり次第にベタなギャグを詰め込んでる映画。
 あとは、お客さん各人がはまるかどうか次第。
 わたしゃ、お笑いは間に合っているから、何でもかんでもいちいち笑わないけど。

 ストーリーの辻褄はどうでもいい映画だけど、1つだけ大穴を指摘する野暮をすると、主人公の腕時計型ケータイと、ヒロインが間違ってかぶってしまった爆弾付きのヘルメットは、10メートル離れると爆発する設定になっているが、犯人の本来の予定ではヘルメットは主人公にかぶらせるつもりだったので、この設定は無用でおかしい。
未来を生きる君たちへ ★★☆ ドラマ系 デンマーク=スウェーデン ミニシアター 2011/10/09 77
 アフリカの難民キャンプとおぼしき場所と、デンマークの小学校でのいじめなどの2つを軸に、戦争までつながる憎しみと暴力の連鎖と、それに対抗する寛容を描く。
 そのテーマとストーリーは、ほぼ申し分ないが、なめられがちな転校生が暴力をちらつかせる必要性を問うという設定だけで十分で、父への怒りの設定は不要なのでは?
 あと、風景や人物のショットも丁寧で綺麗なんだけど、シリアスな題材でやり過ぎると、浮わついた印象を感じてしまう。
ピラニア3D (原題:Piranha 3D) ★★☆ 感覚系、お笑い系 2010 米 ミニチェーン 2011/10/09 76
 ピラニアに襲われた人々が、いかにへんてこりんな死に様をさらすか、そのパターンの数々をどれだけ盛り沢山に見せられるか、そしてついでにどれだけ多くのおっぱい(しかもわざわざことごとく巨乳)を見せられるチャンスを作るかに、制作意図が集中している。
 そんなゲスい映画なのだが、徹底した露悪趣味を貫く情熱と開き直りは、ボール・ヴァーホーヴェン監督を彷彿とさせて、観ていて気持ちいい。
 そのくせ、エリザベス・シューを起用しての本線部分は、きっちり王道の作りで抜かりない。

 3D技術の使い方については、大半の通常の芝居のシーンは(事実上)2Dで、ここぞという見所のショットだけ味付けとして使うという割りきったもの。
 『アバター』も同様だったと思うので、これがハリウッドの主流の考え方か?
 清水崇監督が、『戦慄迷宮』や『ラビット・ホラー3D』で3Dと真正面に取り組んで、映画の新たな段階を目指して悪戦苦闘しているのとは逆。
 どちらが真っ当かは、何とも言えない。
一枚のハガキ ★★☆ ドラマ系 2010 日 ミニシアター 2011/10/09 75
 新藤監督ぐらいになると、表現に深みをつけるなんて余計なことはしないで、パッと見で解るような大雑把な表現でケロっと済ませてしまうのが、観ていて気持ちいい。
 召集されたにもかかわらず、当たりくじを引いたように運良く生き延びた監督自身の経験からくる思い、死ぬ方が当たり前だと思ってしまう戦争の異常さに対する怒りなども相変わらず強い。
ラビット・ホラー3D ★★ ドラマ系、感覚系 2011 日 ミニチェーン 2011/10/09 74
 結論から言えば、「(観る側も含めての)引き続き試行錯誤の最中の作品」だろうか?
 その先にあるのが「より良い映画表現の確立」なのか、「3Dの映画に対する有効性はほとんど期待できない」という結論に至るのかは判らないが。
 「映画は、頭を空っぽにして、受け身で楽しみたい。特にホラーは。」と考える向きには全く逆の結果。即ち、「3D」であることが様々な形で戸惑いを与えてくる。
 しかしその一方で、現状そんな3Dにつきものになってしまっている違和感や表現上の確立すべき多くの課題に対して、1つ1つ解決して作り上げていこうとしていることが感じられる映画になっていた。
 ストーリー的にも、非現実の世界に入り込んでさまようというのが、3Dにとって有効に働くタイプであり、考えて作られていると思う。
ゴーストライター ★★☆ ドラマ系 2010 仏=独=英 ミニシアター 2011/10/09 73
 政治的スキャンダルで騒がれている渦中の元イギリス首相の自伝のゴーストライターに抜擢された主人公が、首相の経歴や前任者の突然の死に疑問を感じて追求していくという、王道のミステリーを王道の作風で堂々と見せる。
メカニック ★★ ドラマ系 2011 米 ミニチェーン 2011/08/15 72
 アクションにちゃんと「痛み」を感じられるのは良い。
 渋いと感じさせるのも良い。
シャンハイ ★☆ ドラマ系 2010 米 拡大 2011/08/15作成
2011/10/09更新
71
 ホント、つまんない。
 「太平洋戦争直前の上海で、各国がつばぜり合いを繰り広げる」というありきたりなイメージから1歩も出ていない。
エッセンシャル・キリング (原題:Essential Killing) ★★☆ 感覚系 2010 ポーランド=ノルウェー=アイルランド=ハンガリー ミニシアター 2011/08/15 70
恐らくは平凡な男がアメリカ軍から脱走して、逃げ延びるために追っ手などの人々を次々殺すスリリングな展開を、凝った見せ方で描いて、特に前半が冴えていた。
モールス 原題:Let Me in ★★ ドラマ系 2010 米 ミニチェーン 2011/09/15 69
 アメリカ以外の映画を、わざわざアメリカ映画として作り直す「リメイク」が、たいしたオリジナリティのバリューアッドもない、実質的な「焼き直し」でしかないことを再認識することになった。
 世界最大級の映画の市場であるアメリカの観客が、他国の映画は観ないっつうんだからしょうがないが、そうじゃなく普通に他国の映画が公開されていて、オリジナルの『ぼくのエリ 200歳の少女』(★★)を観ている人には何の意味もない作品。
 観てない人には、焼き直しなりにオリジナルの良さが再現されている「代用品」としては観てもいいかも。
サンザシの樹の下で ★★★ ドラマ系 2010 中 ミニシアター 2011/09/15 68
 チャン・イーモウといえば、最近は万人受けするビット路線で、面白味が以前ほど感じなくなってきたのだが、改めてこんななんてことないストーリーの作品を観ると、テンポといいキャスティングといい、表現が的確でやっぱり上手い。
ツリー・オブ・ライフ ★★ ドラマ系、感覚系 2011 米 ミニチェーン 2011/10/09 67
 人間は、「聖」と「俗」の二種類に分けられ、すべての人は聖を目指すべき、という主張なのだろうか?
 まるで鳩山由紀夫の「友愛」みたいな考え方だ。
 もちろん、人道的ということではなく、役に立たない非現実的な綺麗ごとだという意味で。

 前半のかなりの尺を使って、「ライフ」とか「アース」とかの地球ドキュメンタリーのようなシーンが続く。
 あれらの映画など、まるっきり人間の俗なイメージの対極にあるようなものだが、しかし、私は人間の俗なイメージというのは人間の自然な姿で、それを聖なイメージに近づけようとするのは、単に不自然なだけでなく、悪影響もありえると思う。
 例えば、いかにも崇高なイメージの「宗教」や「革命」がらみで、何百万もの人が殺されるように。

 そんなわけで、観終わってまず感じたのは、鼻持ちならない映画だということだ。
 まぁ、独創的なのは確かだけど…。
コクリコ坂から ★★ ドラマ系 2011 日(東宝) 拡大 2011/09/15 66
 1963年の高校生の恋愛模様を描いた「時代劇」で、よって時代の再現も念入り。
 丁寧に出来上がっていたと思うが、特別な年代の人たちだけが強い思い入れを持つ映画だと思った。
 それはもちろん脚本を書いた宮崎駿のことだが、それを押し付けられる形になった息子の監督をはじめ、私も感じてしまう作品と距離は、どう接したもんだろうか?
SUPER 8/スーパーエイト ★★ ドラマ系 2011 米 拡大 2011/10/09作成
2011/10/10更新
65
 自主映画制作に熱中している少年たちが、謎の生命体を巡って暗躍する軍隊と相対する物語。
 好きなことに夢中になったり、異性に淡い恋心を抱いたり、ミステリアスな出来事に興味を抱いたり、誰でも身に覚えのある要素、さらにはさらには8ミリ映画や1980年頃の時代などの特定の人々のノスタルジーをくすぐる要素はあるのだが、それらでしみじみ身に染みる想いに浸れるようなレベルまで全く作り込まれていない。

 父親の存在が大きいことが、相変わらずのスピルバーグパターン。
復讐捜査線 ★★ ドラマ系 2010 英=米 ミニチェーン 2011/10/03 64
 娘を殺されたメル・ギブソン刑事が、復讐を果たすため犯人をつきとめようとする。
 アクションシーンもあるけど、全体的にはかなり地味な印象。
デビル 原題:"Devil" ★☆ ドラマ系 2010 米 ミニチェーン 2011/07/17 63
 面識のない5人がエレベーターの故障で閉じ込められ、一人ずつ何者かに殺されていくという、「そして誰もいなくなった」タイプのミステリー。
 その5人はそれぞれ過去や現在において「罪」を抱えていて、その罰として殺されるという展開により、「罪の意識」の要素も加わるのだが、それは特に注目するほどのことでもないだろう。
 既存のミステリーやサスペンス映画の演出法などをあれこれ参考にして、そのことはもちろん「パクリ」などと批判するつもりは全くないのだが、それ以上の「肉付け」がおろそか。
 人の死に様の扱いが雑で適当なことが、映画全体を「どうでもいいもの」という感じにしている。
 例えれば、とあるグルメが料理の話をしたときに、過去の料理のウンチクとかやたら詳しく盛り込んでいても、肝心の「美味しそうに聞こえた」という感じがなかったようなもの。
東京公園 ★★ ドラマ系 2011 日 ミニシアター 2011/07/17 62
 恋愛では相手を真正面からまっすぐ見ることが大事、恋愛は様々な人々を包み込む「公園」のようなもの、ということかな?
 そんな風な真面目な映画で、その代わり面白味がもの足りなかったか?

 三浦春馬が、見知らぬ歯科医から都内の公園をぶらつく妻を密かに撮影することを頼まれる設定は、ほぼヒッチコックの『めまい』そのまんま。
 彼に絡む幼なじみの榮倉奈々は、『めまい』のバーバラ・ベル・ゲデスか、『裏窓』のセルマ・リッターみたいな役回りか?
 小津安二郎のような構図やカット割りのシーンもあったりする。
 榮倉奈々は映画マニアの設定だったりもして、そんな映画の小ネタはやり過ぎでなくていい感じだが、映画ファン以外には知らないからといって何の影響もない程度のもの。
奇跡 ★★ ドラマ系 2011 日 ミニシアター 2011/07/17 61
 離婚したそれぞれの親に引き取られて離れ離れに暮らす小学生の兄弟が、それぞれ抱えた問題を打開するために、九州新幹線の始発列車がすれ違うのを見ると奇跡が起こるという噂を信じて、友達を引き連れて熊本で会うというストーリー。
 主人公2人以外にも、願いを叶えたいと思う人々と、夢が破れてしまった大人たちのエピソードがいくつか重なる。
 是枝作品は、芝居の演出にドキュメンタリーっぽさを出したり、ストーリーでも「そういえば、こういう事や人ってありそう」と感じたりするなど、「リアリティ」が持ち味だと思っているが、今作ではその良さはあまり感じなかった。
ふゆの獣 ★★★ 感覚系 2010 日 ミニシアター 2011/07/02 60
 面白かった。

 実は、前半は少し不安を感じていた。
 それは、演出スタイルにこだわり過ぎなことへの懸念。
 俳優たちには大まかなプロットだけを指定して、台詞とか動きは俳優たちのアドリブに任せ、その芝居をドキュメンタリーのように撮影していく演出法は一見して異質。
 加えて、不自然なくらいに電車の通過音などの雑音を会話にかぶせたりもしていた。
 そうした演出は、もちろん必ずしも悪いと言うつもりはないが、映画を楽しむ上で作為が邪魔に感じることを心配した。

 結果は、雑念に悩まされることなく、気が付くと映画に没頭している自分がいた。
 観終わった時に、単純に「面白かった」と思えたことが、上記の懸念を感じたこともあって、何より嬉しかった。

 ストーリーは、三角関係(ここでは四角関係)の典型で、ほとんどその骨組みだけのシンプルなもの。
 その分、会話劇を濃密に見せることに集中している。
 三角関係といえば、「二股かけている現状を壊したくない」とか「浮気者の相手との関係を断ち切るべきか?それでも続けるべきか?」などの葛藤がつきもの。
 当事者たちが直接対決する展開は、彼らがそれぞれ瞬時の選択を迫られる、一種のスリラー。
 実験的とも言えそうな即興演出は、定番の恋愛モノというジャンルとはかけ離れていると思いきや、スリラーとして見ると演出法としてベストな選択なのでは?と思えたほどの組み合わせだった。
 芝居に作り物っぽさを感じないことが、観る者と登場人物の距離を近づけ、彼らの緊張状態がより真に迫るものとして感じることが出来たからだろう。

 俳優たちは、何を言ってどう動くかを自分で決めることになるので、役になりきる努力はより大変であったはず。
 その努力も報われたと思う。
 なぜならやっぱり「面白かった」と言える映画になっていたから。
アイ・アム・ナンバー4 ★☆ 感覚系、ドラマ系 2011 米 拡大 2011/07/02 59
 「トワイライト」シリーズの類似品か?(観てないけど)
 若者向けの気楽な[デート]映画としては要件を満たしているのかな?
 でも、決してそれ以上ではない。
冬の日 ★☆ ドラマ系 2011 日 ミニシアター 2011/06/24 58
NINIFUNI 意味:「而二不二」 ★★☆ 感覚系 2011 日 ミニシアター 2011/11/06 57
 無表情&無言の宮崎将がただただ車で1人で延々とさまようだけのシーンが続く異様さと、脈略もなくももいろクローバーが絡んでくる違和感の大きさに唖然とさせられる。
 凄い映画としか言い様がない。
ファの豆腐 ドラマ系 2011 日 ミニシアター 2011/06/24 56
ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 【原題】The Hangover Part II、意味「二日酔い その2」 ★★ ドラマ系 2011 米 ミニチェーン 2011/07/24 55
 前作『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(★★)のプロットほぼそのまま。
 そのプロットは元々ネタを色々仕込みやすいモノなので、新たに考えて入れ込んで続編を作り、そして前作並の映画が出来上がった感じ。
 笑えるけど、面白くない。
軽蔑 ★★ ドラマ系 2011 日(角川) ミニチェーン 2011/07/24 54
 ロングショットによる長回しや湿り気の多いラブシーンなど、生々しさを出すことを目指しているが、そんな努力をもってしても、主人公2人がそれぞれ相手をいかに好きかという重要なポイントに関して説得力不足だった。
 ストーリーに問題か?
127時間 ★★☆ 実録系、妄想系 2010 米=英 ミニチェーン 2011/06/21 53
BIUTIFUL ビューティフル ★★★ ドラマ系 2010 メキシコ=スペイン ミニシアター 2011/10/09 52
 末期ガンを宣告されたハビエル・バルデム演じる主人公が、残された人生で家族や身近な人々のために尽くそうとする、黒澤明監督の『生きる』のようなストーリー。
 重いシーンは徹底して重みがあり、かといって美意識が感じられる重みになっているのは、さすがのイニャリトゥ監督。
大鹿村騒動記 ★☆ ドラマ系 2011 日(東映) ミニチェーン 2011/09/15 51
 豪華な出演者たちによる、あれこれいろんなことが巻き起こる映画なのだが、全体的に映画ならではのリッチな雰囲気に見た目で欠けているのは、撮影期間が2週間しかなかった等の様々な制約のせいだろうか?
あぜ道のダンディ ★★ ドラマ系 2010 日 ミニシアター 2011/10/09 50
 石井裕也監督は、『川の底からこんにちは』といい『ガール・スパークス』といい、不甲斐ない父親を軽蔑する娘が主人公で、『あぜ道のダンディ』も視点が父親側に移ったとはいえ図式は同じというこだわりぶり。
 ところが、前2作では父親などに対する反発心やその他諸々の抑圧に対するもがき苦しみが自身の成長へとつながって、そして父親に対する理解も深まるという硬派なストーリーだったのに対し、こちらは親子の絆が弱いかに見えて、実は娘はものわかりのいい良い子で、苦労もしないで家族がまとまるという、お父さんたちにとって虫のいい話で、ずっこけてしまう。
 監督に対する信頼が大きく崩れてしまった。
ブルーバレンタイン 原題:Blue Valentine ★★ ドラマ系 2010 米 ミニシアター 2011/06/12 49
 恋が冷めた夫婦を、結婚前の2人のシーンの数々を絡めて描く。

 『キッズ・オールライト』(★★)もそうだったんだけど、映画の最大要素が「設定」で、そこからなんとなくストーリーを派生させて映画にした感じ。
 これ、日本映画でいうと「難病モノ」みたいなもの。
 難病モノは、「恋する2人が死別する悲劇」を作ることが最大要素。
 病気そのものに思い入れがあるとか社会的な問題を訴えようという意図はない。
 よって病気は映画を作るための「道具」に過ぎないというマイナスイメージがある。
 『キッズ・オールライト』のレズ夫婦、『ブルーバレンタイン』の愛が冷めることも、同様に作り手は映画のための「道具」ぐらいにしか思ってないのかも?と感じた。

 ただし、「映画は所詮芝居を見せるためのもの」とすれば、「ストーリーは何かを道具にしてでもそれなりのものをでっち上げれば御の字」となり、この映画を肯定的に受け止められる。
 芝居は良かったし、ストーリーも少なくとも『キッズ〜』よりは盛り上がっていた。

 ただ、良い芝居を観ても、「何のための芝居?何のための映画?」という疑問はぬぐえない。
ダンシング・チャップリン ★★ ドキュメンタリー、感覚系 2011 日 ミニシアター 2011/06/02 48
富江 アンリミテッド ★★ 感覚系、ドラマ系 2011 日 ミニシアター 2011/06/02 47
マイ・バック・ページ ★★☆ ドラマ系 2011 日 ミニチェーン 2011/06/04 46
 他者に対して気持ちが離れた傍観者であるべきか?気持ちをぶつけ合ってのめり込むべきか?
 信じるもののない虚しさと、信じたところでその通りになってくれない虚しさ。
 その間で揺られた後のあのラストは凄い名シーン。
 妻夫木、さすが。
ブラック・スワン ★★★ ドラマ系、妄想系 2010 米 拡大 2011/06/11 45
 面白く観れたのは、フィクション(ホラ)で押して非日常へと突き進むこんな映画が好きで、そんな映画を最近観てなくて飢えてたからかも。
 「平凡」の領域からはみ出たところを目指してない映画は、「無くてもよかった」で終わることが多く、このようなチャレンジングな姿勢の映画は好意的に見える。
スリー☆ポイント ★★ ドラマ系、ドキュメンタリー 2011 日 ミニシアター 2011/06/12 44
 短編数編による大阪編、ドキュメンタリーの沖縄編、中編ドラマの東京編の3つのパートからなるが、オムニバスとも言えない程バラバラな3つ。
 監督のコメントにもあったように、思いつきで撮り始めて、深く考えないで3つ合わせて作った、確信的適当作品。
 とはいえ、ルーズに展開する大阪編と、面白い地元の人がいいように引っ張ってくれる沖縄編と比べると、東京編はドラマとしてまとまっていて、安心して観れた。
キッズ・オールライト 原題:The Kids are All Right、意味「子供たちは大丈夫」 ★★ ドラマ系 2010 米 ミニシアター 2011/06/12 43
 精子バンクのドナーの男が、成長した自分の子供たちと彼らの母親のレズ夫婦の家族と親しくなり、父親のように関わってくるストーリー。
 この設定から容易に想定される範囲内でしか物語の膨らみがなく、つまりは奇をてらった設定がすべての映画なのでは?との疑惑も。
 ただし、芝居はいいのでそれなりの充実感があるのは確かで、実は芝居を見せることが主目的で、ストーリーは方便に過ぎないから中身が無くてもいいと思ったのかも。
少女たちの羅針盤 ★★ ドラマ系 2010 日 ミニチェーン 2011/05/28 42

 成海璃子が走り気味の芝居で他の3人を引っ張っているシーンは爽快で、気持ちよく観られて良かった。
 4人で立ち上げた劇団がストリートから大舞台へとステップアップする展開なら、その爽快感を盛り上げてクライマックスで最高潮になる、という展開が王道だろうが、ちょっと物足りなさを感じたのはそうなってなかったからか?
 「青春モノと謎解きの融合」という構成の大胆さを別にしても、クライマックスの「舞台」という非日常と、その他の日常シーンとが、上手くつながってない感じがした。

さや侍 ★☆ ドラマ系、感覚系 2011 日 拡大 2011/06/11 41
 一言で結論を言えば、「よく解らない映画」。
 何が狙いなのか?
 解らないせいで、手応えを感じない。

 ざっと、
  (1)シュールな笑いのマニアックな映画。ミニシアター系の作品っぽさ。
  (2)ベタで解り易い人情モノ。シネコン向き。
の2つの要素が半々の割合で同居しているのだが、相乗効果よりは水と油の中途半端な結果。
 これは元々の狙いからで、こんな映画を作りたかったのか?それとも妥協の産物なのか?

 とにかく、あまりにも手ごたえが無かったので、これって別に映画にしなくても、マニアックなお笑いの深夜番組として放映するのが一番しっくりくるんじゃないかと思った。
 ただし、深夜番組が映画に比べて足りないのは「メジャー感」。
 深夜にひっそり放映するのと、全国で劇場公開するメジャー感の違い。
 家に居ながら無料で観れるのと、劇場に来てお金を払って観るものの、「作品」としての風格の違い。
 これらを重視した場合、映画という形にこだわることになる。
 ただし、お笑いだけでマニアック過ぎると全国公開への壁になるから、シネコンのお客さんに受けそうなベタな人情モノの要素を取り入れる必要性があったのでは?
 以上が『さや侍』があのような映画になった理由を考えてみた結果。

 結局、松本監督って、本当に映画を作っていきたいという情熱があるのか?はなはだ疑問。
 上手い下手がどうこう以前に、映画が好きなのか?やる気があるのか?の方がずっと重要。
大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 ★★ ドラマ系 2010 日 ミニチェーン 2011/05/28 40
 ストーリーは、メーテルリンクの「青い鳥」を元にしていると思う。
 よって、破天荒な映画のように見えて、かなりの数の「比喩」によってメッセージが込められている、意外に真面目な映画。
 ただ、「比喩」なので、何を意味しているかはとても解りにくいのだが、それってどうなんだろ?
 もっとも、解り易くしたいのなら比喩じゃなく直接的な表現にするだろうが…。
 主役2人の倦怠カップルの、どうしようもなく意味のない会話が良く出来ていた。

 以下は深読み。
 地獄にいる人間はやがて「赤い人」と「青い人」のどちらかへと変わり、赤い人はクリエイティブなセンスがあるが、思い出を無くして自分たち以外の人々は敵意むきだしで襲う粗野な人々という設定である。
 この2つの階層の設定はH・G・ウェルズの「タイム・マシン」を思わせる。
 この「赤い人」って、ひょっとして芸能関係のクリエーターたちが初心を忘れて醜い心の持ち主に変貌していくのを揶揄してるのでは?
 最近、原発事故に絡んで、素人考えで科学的に間違った考えをまき散らして間違った善意をふりかざし、自分に同調しない人々を敵視する言動すら見せている文化人や芸能人を何人も見るにつけ、事故以前から彼らの資質を見限っていた人がいても無理はないと思ってしまう。
昼間から呑む 【原題】Daytime Dringking、意味「昼飲み」 ★★ ドラマ系、感覚系 2009 韓国 ミニシアター 2011/05/28 39
 冴えない青年が旅先で次々とトラブルに巻き込まれるのを緩く描く。
 『リアリズムの宿』(★★★)や『極道恐怖大劇場 牛頭』(★★★)と似た映画で、さすがにあそこまでの冴えや盛り沢山な感じには及ばないものの、監督の今後は期待できる。
ザ・ファイター 原題:The Fighter、意味「格闘家」 ★★★ ドラマ系 2010 米 ミニチェーン 2011/05/28 38
 家族がどうしようもない人間で、自分にとって足手まといになっている状況で、自分を守るために家族を切り捨てるか?自分が見捨てたら誰も支えてくれない家族を守るべきか?の選択を迫られる。
 「家族愛」で称されるだけの単純な話ではなく、家族とはいえ「他者」に対して「寛容」でいられるかが試される。
 ボクシング映画の王道ともいうべき、何かを犠牲にしながら栄光への道を上っていく映画の傑作の1つとなっている。

 2010年度のアカデミー作品賞ノミネート作品の中では、『英国王のスピーチ』(★★)等を抑え、現時点で観たものの中では最高。
 難点があるとすれば、同類のボクシング映画と比較した結果、「これにオスカーはどうだろう?」と思われてしまうことだろうか?
まほろ駅前多田便利軒 ★★☆ ドラマ系 2011 日 ミニチェーン 2011/05/21 37
 瑛太と松田龍平を中心とした軽妙なやり取りは、松田優作の(薬師丸ひろ子でない方の)「探偵物語」や「傷だらけの天使」を連想する。
 それが魅力の映画と思っていた前半に続いて、後半は複数組の親子の絆を描くことが前面に出てくる。
 でも、その親子の間でのやりとりを直接描いているシーンは少なくて、ほとんどが台詞で語られるだけのせいか、絆の実感がわかない。
 でも、やり取りの面白さの魅力は大きかった。
アウェイク 【原題】Awake、意味「起きている」 ★☆ ドラマ系、感覚系 2007 米 ミニシアター 2011/05/20 36
 手術中の主人公の全身麻酔が不完全なため、体は動かないが意識があるという設定の割には、何も痛みが感じられない映画。
 肉体的にも、精神的にも。
 「感情移入できない」っていうのは必ずしも悪くはないけど、サスペンスに限っては登場人物(主人公、もしくは悪役の場合も)の身になって観れないのは致命的。
 せめて誰か1人でも魅力的なキャラがいたら、少しは良くなったかも。
ミスター・ノーバディ 【原題】Mr. Nobody、意味「ノーバディ氏」(主人公の役名Nemo Nobodyより) ★★ ドラマ系、感覚系 2009 仏=独=ベルギー=加 ミニシアター 2011/05/20 35
 「人生の分岐点となる選択」に迫られることは、誰にとっても身につまされる話。
 それを題材に「全部選択して、それぞれの人生を妄想世界の中で並列して実現させる」ストーリーは面白いのだが、結果的に「身につまされる感じ」を観客に与えるより、「映画の構造」が前面に出ているように感じられたのが残念。
 つまり、「手段が目的と化している」ということ。
 それに、「自分では選択できたのに、間違った方を選んだことの後悔(即ち恋愛)」の方が、「自分では選択することの出来ない人生」より重いと思うのだが、後者に対する監督の特別な思い入れがあるのだろうか
トゥルー・グリット ★★☆ ドラマ系 2010 米 ミニチェーン 2011/05/20 34
ブンミおじさんの森 原題:Uncle Boonmee who can Recall His Past Lives ★★ 寓話系、象徴系 2011 英=タイ=仏=独=スペイン ミニシアター 2011/05/20 33
メアリー&マックス 原題:Mary and Max(役名) ★★ ドラマ系、感覚系 2008 豪 ミニシアター 2011/11/06 32
 海を隔てた2つの国にそれぞれ住む孤独な男女が、文通を通じてお互いの仲を深めていく、しみじみできるストーリー。
 しかし、アニメのキャラとしてしょんぼりし過ぎとか、動きの少ない画にボソボソ喋るモノローグで延々引っ張る展開とか、映画の入り口部分で相当気持ちがくじけた。
アンチクライスト ★★ ドラマ系 2009 デンマーク=独=仏=スウェーデン=伊=ポーランド ミニシアター 2011/05/20 31
SOMEWHERE ★★ 感覚系 2010 米 ミニチェーン 2011/05/20 30
エンジェル ウォーズ 原題:Sucker Punch ★☆ 感覚系、妄想系 2011 米=加 拡大 2011/10/10 29
 主人公がセーラー服姿だったりで、架空の世界という設定も利用して、作り手が自分の趣味をどんどん入れ込んでいるように思える。
 でも、趣味で押し切ってやり過ぎとまで思わせていたら注目に値したけど、万人受けもしたいとも思ったようで、どっちつかずの煮え切らない結果になった。
シリアスマン ★★ ドラマ系 2009 米 ミニシアター 2011/03/06 28
英国王のスピーチ ★★ ドラマ系 2010 英 ミニチェーン 2011/03/06 27
台北の朝、僕は恋をする。 ★★ 感覚系、ドラマ系 2009 台湾=米=独 ミニシアター 2011/03/17 26
 まぁ、面白い。
 脇役たちに味のある面構えの面々をそろえたり、本屋での背景の色使いがおしゃれだったりで、センスの良さも感じられる。
 でも、この映画のように「ホンワカしてクスッと笑わせるセンスのいい映画」、例えば岩井俊二作品を思い返してみると、このタイプの映画を傑作と呼ばれるような作品にするためには、観客を有無を言わせずねじ伏せるような「力技」の演出が必要で、この作品はその点で物足りなさを感じた。
 ファッションに例えれば、おしゃれに着こなすセンスはあっても、独自のアレンジをしたり自分でデザインするなどの創造性は足りないと言った感じ。
MEI 美 ★★ 感覚系、ドラマ系 2006 台湾 ミニシアター 2011/03/06 25
不倫純愛 ★★ ドラマ系 2010 日 ミニシアター 2011/03/05 23
 タイトルは、ストーリーを正確には言い表していないので、先入観は持たない方がいい。
 エロ重視だが、R18+指定はおそらくセックスシーンで腰の動きが映っていることによるもので、矢崎監督らしい上品な仕上がり。
 途中で展開が不条理っぽくなるので、その方向で進めば面白いかも、と思ったけど、その予想とは違っていた。
ソーシャル・ネットワーク 原題:The Social Network、意味:実際のSNSの名称「社交ネットワーク」 ★★☆ ドラマ系 2010 米 拡大 2011/03/03 22
 それぞれの登場人物が人間の様々な不完全さ(専門バカ、能力不足、誇大妄想、前向き原理主義、など)を抱えていて、それらを網羅しながらドラマとしても良く出来ている映画。
 でも、迫ってくる感じが弱いのは、彼らに「葛藤」「路線変更」「相互干渉」が余りなくて、折り合わない部分があっても自分を変えようとか相手の間違いを正そうと努力しようともせずに、それぞれバラバラだった人間が基本的に何も変わらず最後までバラバラなままのストーリーだからだろうか?
名前のない少年、脚のない少女 原題:Os Famosos e os Duendes da Morte、意味「有名な人たちと死のこびとたち」 ★★★☆ 感覚系 2009 ブラジル=仏 ミニシアター 2011/02/27作成
2011/03/03更新
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 主人公はブラジルの村に住む16歳の少年で、日常をつまらなく感じながら、インターネットを通じて投稿動画の中のミステリアスな若い女性に惹かれ、ボブ・ディランのコンサートに行くことを夢みているという形で登場する。
 彼のそんな心情の背景や、動画に映っているのが誰か?といった、物語の具体的なことは映画が進むにつれて次第に明らかになるのだが、あえて具体的なことは後回しにして、映画はずっと登場人物の想いや出来事が曖昧なままで進む。
 そのうえ、映画の展開が過去に戻ったり先に進んだりの時間的に前後することを頻繁に、それも前後しているとは解りにくい展開にしているので、それによって物語の輪郭は余計に曖昧になっている。
 基礎情報を最初に示すのが映画の展開のセオリーだと思うが、その逆をいっているわけである。
 そして、この映画は結末に至るまで曖昧で、様々な解釈が出来うる終わり方をしている。(個人的な解釈は、一番下の<以下、ネタバレあり>の下を参照)

 そんな曖昧な映画でも、緊張感を途切れさせずに映画に目をくぎ付けにさせていたのは、圧倒的な映像センスの高さ。
 それこそ、「何年かに1度の」と言ってもいいくらい。
 あの映像を作り出せる自信があったからこそ、曖昧なストーリー展開を選んでも問題ないという勝算があったのかも。

 そのように具体性が無かったこと、特に主人公の設定の輪郭が曖昧だったからこそ、彼を特定の状況下の人間とみなすのではなく、彼の表情や言動から彼の心情を探って、自分と重ねて理解しようとしながら観ていた。
 彼は、「絶望」「反抗」「無気力」といった言葉で表せる心情にはどれもピッタリ当てはまらず、しいて言えば「漠然とつまらない」のだと(少なくとも映画の前半では)感じた。
 それは、田舎の十代が抱きがちな「ここは自分の居場所ではない」という想いを感じさせる。
 そんな心の持ち主なら、女性が写っている動画の甘美さ(この映像も素晴らしい)に気持ちがなびくのも無理はない。
 たとえ数々の動画や、そこに女と一緒に写っていた村の男には「死」のイメージが色濃く付きまとっていても、現状の閉塞感や甘美さへの憧れの前には障害にならない。
 そして私も、決して過去も現在も死に対する憧れがあったわけでもないのに、この映画には強く惹かれてしまった。
 それは十代のころの外界への憧れが身に覚えがあったことに加えて、「現実とは違う世界」や「甘美なもの」を求める主人公の心情が、同じことを期待しながら映画を観ている自分と符合したからかもしれない。

 映画でしかできない表現もしていることとも合わせて、実に映画的な映画だった。




< 以下、 ネタバレあり >
 最後のシーン、主人公が向かった先は三途の川の向こう側だと考える方が自然かな?
 感電死して、霊になって母に別れを告げに来たので、それを聞いた母が驚いて悲しんだ。
 村の外れの橋や変電所から村の中心地の祭り会場まで、1人手ぶらで徒歩で短時間で往復したと思われ、霊だとすると説明がつく。
 ここは台詞なしだから、ハッキリそうだと描かれているわけではないけれど。
MAD探偵 7人の容疑者 ★★☆ 感覚系 2007 香港 ミニシアター 2011/02/24 20
世界のどこにでもある、場所 ★★☆ 社会派系、感覚系 2011 日 ミニシアター 2011/02/20 19
白夜行 ★★ ドラマ系 2011 日 拡大 2011/02/16 18
 たるみのない演出で緊張感が途切れず、観ている間は面白いが、観終わってと思い直すと、「悪くはないけど『観て良かった』と思える程ではない。」という有りがちな結果に。
 穴はないけど、これぞ!と言える物に欠ける。
ランウェイ☆ビート ★☆ ドラマ系 2010 日(松竹) 拡大 2011/11/06 17
 一言で言えば「ごっこ映画」。
 青春ごっこ、友情ごっこ、葛藤ごっこ、挫折ごっこ、成長ごっこ。
 ごっこなんかにいい大人が何億円も動かすことが平気でできちゃうなんて、画にかいたような邦画のダメぶり。
洋菓子店コアンドル ★★☆ ドラマ系 2010 日 ミニチェーン 2011/02/12 16
 今更ながら蒼井優の威力は強力で、ただしそれに依存しているだけの作り手では為し得ない、彼女の良さを引き出すことに成功している。
 そんな彼女を見るための映画と言ってもいい。
ヒア アフター ★★ ドラマ系 拡大 2011/02/12 15
冷たい熱帯魚 ★★★ ドラマ系 2010 日 ミニシアター 2011/02/12 14
 園監督は、『ちゃんと伝える』『愛のむき出し』と、父性が重要な作品が続く。
 この映画でも、いい父親になることは難しいようだが、父親も人生も映画も「何もしないよりは、結果はどうであれがむしゃらにやった方がいい」ということなのだろう。
 とにかく徹底した映画だった。
DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう? ★★☆ ドキュメンタリー ミニチェーン 2011/02/12 13
 いい意味で「目先のことに対して頑張る」人たちとして、当人たちの主観的なコメントの断片を洪水のように散りばめて描く。
 表層的で抽象的な印象は、スピーディな日常に生きる彼女たちの映画としては的確。
 『たまの映画』と対照的だがこれも良し。
ザ・タウン ★★☆ ドラマ系 2010 米 拡大 2011/02/05 12
ソウル・キッチン 原題:Soul Kitchen ★★★ ドラマ系 2009 独 ミニシアター 2011/11/06 11
 ドイツで港湾倉庫を改造したレストランを営む移民の男が、様々な事件に巻き込まれ、雑多な人々と絡む。
 人間臭い楽しいエピソードにあふれ、ものすごく面白い。
毎日かあさん ★☆ ドラマ系 2011 日(松竹) 拡大 2011/02/05 10
再会の食卓 ★★☆ ドラマ系 2010 中国 ミニシアター 2011/01/29 9
完全なる報復 原題:Law Abiding Citizen(意味「法律を良く守る国民) ★★☆ ドラマ系 2009 米 ミニチェーン 2011/03/05 8
 『リベリオン』等のカート・ウィマーによる脚本は、手が込んでいて見せ場も豊富でかなり面白い。
 でも、国や制度が対決相手のように見せかけて、結局は当事者たちを相手に、特殊な能力の持ち主が戦うというのが、(日本で勝手につけた邦題だけど)「完全」じゃないのでちょっと不満。
私の愛、私のそばに (【英語】Closer to Heaven) ★☆ ドラマ系 2009 韓国 ミニシアター 2011/11/06 7

 難病モノだからといってしょーもない映画だとは決めつけられないと思っているけど、久しぶりに悪い面で覆われた映画だった。
 登場人物が自分勝手。

ウッドストックがやってくる! ★★★☆ ドラマ系 2009 米 ミニシアター 2011/11/06 6
 村おこしに1人張り切る青年がウッドストックの会場に成功し、大勢の観客たちが村へと押しかけて騒動になる一方、外の世界の人々や非日常な出来事に触れた青年は、村の中だけの人生に疑問を感じる。
 人生の選択に悩むとき、今までの路線を捨てることは容易ではないが、もう一方の今までとは違うより広い世界、より広がる自分の可能性の存在を知ってしまうことの高揚感や官能的な気分が見事に描けていた。
カウントダウンZERO ★★ ドキュメンタリー 2010 米 ミニシアター 2011/01/25 5
 長年生きている間に自然に知識を身に着けた者にとっては新発見はあまり無かったが、核兵器の怖さとそれを抱える世界の危うさを感じない人にとっては、一通りのことが解り易くまとまっていてうってつけの映画。
やぎの冒険 ★★ ドラマ系 2010 日 ミニシアター 2011/01/25作成
2011/03/06更新
4
 14歳の監督の長編1作目にしては(自主映画にありがちな)先走っている感じが無さ過ぎるのが(監督の「顔」が見えないので)不満に思えるくらい、まとまっていながらちゃんと弾けてもいる。
 低速移動長回し撮影なんてタルコフスキーみたいなこともやっている余裕を見せられると(実際、ファーストシーンとラストシーンが、逆のカメラの動きでつながっているのが『サクリファイス』みたい)、どんな現場や製作体制だったのか?不思議な作品。


 テーマ的には、これと比べたら『ザ・コーヴ』なんて与太話にしか見えないのはもちろん、『ザ・コーヴ』対して「食の『文化』」なんて大げさな言葉を持ち出して反論しようとしている日本人よりも、ひたすら自然な目線で当たり前な人間の想いや営みを描いているこの映画が圧勝。
YOYOCHU SEXと代々木忠の世界 ★★☆ ドキュメンタリー 2010 日 ミニシアター 2011/01/25 3
ヤコブへの手紙 ★★ ドラマ系 2009 フィンランド ミニシアター 2011/01/12 2
スプライス 【原題】Splice、意味「遺伝子の接合」 ★★ 感覚系、ドラマ系 2010 加=仏 ミニシアター 2011/01/12 1
 遺伝子工学の話と思いきや、児童虐待、浮気と、倫理を問われる対象が次々と変化して、それぞれで簡単に欲望に流されてしまう、人間という生き物のいい加減さを描く。
 「倫理は大事」と主張するよりは、この作品のように「人間は自分に歯止めをかけることなんか出来ない」とぶっちゃけている方がマシかも。
 でも、描き方はすごく表層的。
 そんな結果をひとことで言うと、「ナタリ監督は、クローネンバーグになれなかった。」 といったところか?


2011年公開作品(2010年以前に鑑賞) (1作品) 2011/03/06

タイトル 採点 分類 上映形態 製作国 公開規模 更新日 累計
アンストッパブル 【原題】Unstoppable、意味「止められない」 ★★ ジャンル系 試写会(35mm上映) 2010 米 拡大 2011/01/07作成
2011/03/06更新
1
 アメリカで実際に起きた列車事故を元に、エピソードを追加して見せ場的に派手にしたフィクション。
 1970年代のジャンル分けだと「パニック映画」と言われるものを、その典型としてきっちり作った映画。
 よって、「きっちり良く出来た映画」と好意を示すことも出来る一方、「今まで何本も作られたタイプの映画」「ジャンルの枠内に収まって、決してはみ出さない映画」と陳腐な映画とみなすことも出来て、観た人の経験などによって感想が大きく変わりそう。

 それにしても気になるのは、座っているだけの人間に対しても行われる、バカの一つ覚えみたいな横移動撮影。
 列車の動きが画面に対して水平方向だから、それに合わせて画面を常に横に動かして躍動感を持続させる意図であろうことは解るが、あそこまでやられると冷静に考えれば笑ってしまうほど大げさ。


< 映画の出来とは関係ない話 >

 【訂正】
 同じ線路上を走っている2台の列車が衝突しないようにするには、同様のシチュエーションがあった『新幹線大爆破』ではどうだったかというと
  (1)スピードを落とすと爆発する爆弾が仕掛けられた下り新幹線が、前を走っていた新幹線に追突しそうになったので、上り新幹線を止めて、ポイントを通って上りの線路を走って前の新幹線を追い越すことにした。
  (2)前の新幹線がポイントを通過したのを確認してポイントを切り替える。
  (3)ただ、ポイントは減速しないで通ると脱線するおそれがあり、そこがスリルのポイント。

-------------------< 以下、訂正前 >---------------------------------------
 同じ線路上を対向して走っている2台の列車が衝突しないようにするには、同様のシチュエーションがあった『新幹線大爆破』ではどうだったかというと、確か
  (1)一方の列車を他の線路に退避させるようにポイントを切り替える。
  (2)その列車が退避し終わったら、コントロール室がポイントを元に戻す。
  (3)対向列車がポイントを通過する
という手順だったはず。
 ところが、『アンストッパブル』ではどうだったかというと、(2)が抜けていて、列車がポイントを通過する勢いでポイントが元に戻っていた。
-------------------< 訂正前、終わり >--------------------------------------

 『アンストッパブル』ではどうだったかというと、列車がポイントを通過する勢いでポイントが元に戻っていた。
つまり、いちいちポイントを切り替えない「路面電車」のような仕組みのように見えたんだけど、実際に路面電車以外でそんなポイント切り替えやっていることってあるのかなぁ?
 スピードが出てると脱線しそうだけど。


2011年公開作品(スクリーン以外で鑑賞) (2作品) 2011/12/11

タイトル 採点 分類 製作年 国、スタッフ、等 メディア 公開規模 更新日 累計
僕と妻の1778の物語 ドラマ系 2010 日(東宝) HDDレコーダー(WOWOWシネマ) 拡大 2011/12/11 2
 「いい話」にすることに徹底している。
 それは、そんな映画さえ作っていれば「感動作」として良い映画だと思っちゃう人が多くて、動員が多く見込めるから。
 そんな想定だから、感情は全部台詞やナレーターで説明しちゃうし、ガンが治る見込みのないほど進行しているからといって悲壮感は避けているし、表現において「攻める」ことはしないで口当たりの良さで乗り切ろうとしている感じ。
 こういう「解り易くて無難な映画作り」って、客は難しいことや深いことは理解できないという前提があるからで、一番お客さんをバカにしていると思う。
エクソシズム 原題:【英語】Exorcismus(悪魔祓い) ★☆ ドラマ系、感覚系 2010 スペイン HDDレコーダー(WOWOWシネマ) ミニシアター 2011/11/06 1
 親に不満を持つ15歳の少女に悪魔が取り憑き、空中浮遊までも目にした彼女の両親は、神父の弟に悪魔払いを頼む。
 先日のカダフィ大佐が殺された時の映像で、殺した奴が神を口にしていたように、宗教って私憤を晴らすことを神様の意思だと勝手に主張したり、自分にはコントロールできない状況や、子供の反抗などの意にそぐわないことは、悪魔の仕業ってことにしてひとまず納得したりで、人間のどうしようもない「詭弁」の産物。
 そして、悪魔憑きを映画のネタにすることも、余程オリジナリティを発揮できないと、超常現象映像や妄想を入れ込みやすく、安直に「なんでもあり映画」を具現化するための詭弁に思えてしまう。
 手持ちカメラでフラフラした画面で人物のアップを多様するのは、ホラー映画では定番のキメキメの映像とは真逆で、合ってないと思う。



映画祭/上映会/公開未定作品 (29作品) 2012/03/11

タイトル 採点 上映形態 製作年 国 分類 更新日 累計
唐山大地震 -想い続けた32年- 原題【中】唐山大地震/【英】Aftershock(意味「余震」「余波」) ★★ 試写会(35mm上映) 2010 中国 ドラマ系 2011/03/05 29
 32年間にわたる大河ドラマだが、地震はストーリーのごく一部で、中国の歴史背景もほとんど関係なく、家族の絆やわだかまりについての物語。
 そんな映画の典型として、そつのない映画。
チョッキン堪忍袋 ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2011 日 ドラマ系、感覚系 2011/11/27 28
 兄の引きこもりを直そうと頑張る妹。
 この作品も、もっと思い切ってたらもっと面白かったのにと思った。
私の悲しみ ★★ 映画祭(ビデオ上映) 2011 日 ドラマ系 2011/11/27 27
 主役のハッキリしない14人が、主に恋愛がらみの複数同時進行エピソードで絡み合う。
 そんな構成のおかげか、何となく充実感を感じる気分にはなれたが、人に薦めたくなるほどではない。
キユミの詩集 サユルの刺繍 ★★ 映画祭(ビデオ上映) 2010 日 感覚系 2011/11/27 26
 ストーリーらしきものが少しあるだけで、女子中学生2人が紅葉や砂浜をバックに戯れる。
 このジャンルは好きなので、気に入りつつも厳しく観ると、紅葉の映像など「キレイ」とは思えても、ドキッとするようなそれ以上の感慨はない。
春夏秋冬くるぐる 映画祭(ビデオ上映) 2010 日 感覚系 2011/11/27 25

 大学生たちの何もない日常の1年。
 スクリーンからこっち側に何も向かってこない。
 監督は、自分自身の青春時代に対する想いを作品にしたかったとのことで、そんな個人的なこだわりの強い言わば「独りよがり映画」を作っても構わないと思うが、それが他者にとっても意味があるものになる可能性は低くなってしまうということだろう。

想いは壁を通り抜けて、好きな人に逢いに行く ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2011 日 ドラマ系 2011/11/27 24
 塾の女教師に好意を抱いた高校生が、彼女がDVを受けていることから守ろうと思って暴走し始める。
 とはいっても、暴走具合が物足りない。
 誰もテニス部員に見えないのは、さすがに「自主映画だからしょうがない」では済まされないような…。
めぐり来て待たず ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2010 日 ドラマ系 2011/11/27 23
 農家の跡取り問題を伝えるメッセージが完成度より優先されてる映画。
 でも今の日本、先が見えないのは農業以外もだから、農業特定ではなく普遍的な一種の家庭問題としても見えたりで、それはそれでいい場合もあるだろうが、結果としてポジションが曖昧な作品になってしまった。
アイネクライネ・ナハトムジーク ★★ 映画祭(ビデオ上映) 2011 日 ドラマ系 2011/11/27 22
 客を虜にする男娼によって、登場人物数人の運命が狂い出す。
 あからさまな欠点はなく安心して観ていられるが、そんな冷静な誉め言葉が出ることが物足りなさを表している。
テンジャン(味噌) (【英語】The Recipe) ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2010 韓国 ドラマ系 2011/11/06 21
 韓国映画のダメなパターン、「きれいごとに走る」。
 観終わってみれば「きれいごと」ではなく「寓話的」にすることが狙いなのだろうが、それなら導入部分の死刑囚のエビソードは寓話とは不釣り合いで、その後の展開に対して観る者をミスリードする蛇足である。
 話しがどんどん広がって、謎解きの対象が死刑囚から味噌へと変わって行くのには、結果的に映画の求心力を失わせて散漫な印象を受けた。
 作品の大きな要素である究極の味噌作りも、職人の切磋琢磨によるのではなく、魔女が調合する魔法のレシピみたいな「エセ科学」を連想させるアプローチになっていて、そのことも作品を「中身のないきれいごと」な印象にしてしまっている。
(3.11 A Sense of Hime Films) ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2011 各国 ドラマ系、感覚系 2011/11/06 20
波乱万丈 ★★ 映画祭(ビデオ上映) 2011 韓国 ドラマ系、感覚系 2011/11/06 19
rain town 映画祭(ビデオ上映) 2011 日 感覚系 2011/11/06 18
口ゲンカの行方 ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2010 イラン ドラマ系 2011/11/06 17
(3.11 A Sense of Hime Films) ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2011 各国 ドラマ系、感覚系 2011/11/06 16
ふたつのウーテル ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2010 日 ドラマ系 2011/11/06 15
中国野菜 ★★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2010 日=仏 感覚系、ドラマ系 2011/11/06 14
スーパースター ★☆ 映画祭(ビデオ上映) 2011 日 ドラマ系 2011/11/06 13
メカス×ゲリン 往復書簡 (原題:Correspondence Jonas Mekas - J.L.Guerin) ★★★ 映画祭(ビデオ上映) 2011 スペイン=米 エッセイ系 2011/10/25 12
 ホセ・ルイス・ゲリン監督が2009年の冬、大先輩のジョナス・メカス監督に対してビデオレターを送り、以後2人は2011年の中頃まで交互にビデオレターを送り合う、という内容。
 濃密なやり取りはなく、お互いに自分について撮ったものを相手に見せている感じ。
 メカス監督の方は、まだ見せる対象であるゲリン監督のことを意識しているのだが、ゲリン監督の方はそんな意識はなく撮ることだけに夢中で、出来上がった映像はまるっきり作品みたい。
 ゲリン監督の最後の映像が、今年の4月に東京や北鎌倉の小津監督の墓参りに行った時のもので、1月前に震災に見舞われた日本のことを気遣っていた。
 墓より墓地の清掃をしていたオバチャンたちの陽気な笑顔や、餌を墓石の上に運び上げようとするアリの姿の方を長々とカメラを向けていることに、感心感動感謝。
 ゲリン監督の映像は、風景を撮っていても人工美の良さが感じられ、感覚的に圧倒的に素晴らしい。
 ノンフィクションだけじゃなくて、早く新作観せてよ。
代理教師 ★★☆ 映画館(ビデオ上映) 2006 伊 感覚系、ドラマ系 2011/02/20 11
つみきのいえ ★★☆ 映画館(ビデオ上映) 2008 日 感覚系 2011/02/20 10
次の方、お待ちしてます ★★ 映画館(ビデオ上映) 2002 仏 ドラマ系 2011/02/20 9
キャッシュバック ★★ 映画館(ビデオ上映) 2004 英 感覚系、ドラマ系 2011/02/20 8
ある晴れた日 ★★ 映画館(ビデオ上映) 2005 デンマーク ドラマ系 2011/02/05 7
踏切と車、4人の男 ★☆ 映画館(ビデオ上映) 2000 デンマーク 感覚系 2011/02/05 6
線路に唄えば ★☆ 映画館(ビデオ上映) 2002 スウェーデン 感覚系 2011/02/05 5
パパ ★★ 映画館(ビデオ上映) 2005 ノルウェー ドラマ系 2011/02/05 4
アパートの一室、6人のドラマー ★★ 映画館(ビデオ上映) 2001 スウェーデン 感覚系 2011/02/05 3
少年たち ★★☆ フィルムセンター(35mm上映) 1998 仏 感覚系、ドラマ系 2011/01/25 2
愛と復讐の騎士 ★★ フィルムセンター(35mm上映) 1997 仏 ドラマ系 2011/01/25 1



ビデオ、劇場上映 (作品) //

タイトル 採点 分類 更新日 累計



2011年に観た旧作 (13作品) 2011/10/10

タイトル 採点 製作年 国 分類 上映形態 更新日 累計
囁きのジョー ★★ 日(松竹) ドラマ系、感覚系 フィルムセンター(35mm上映) 2011/08/06 13
原爆の子 ★★☆ 1952 日 ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/08/06 12
反逆のメロディー ★★ 日(ダイニチ(日活)) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/10/10 11
 長髪ジーパンやくざ映画。
 株式会社組織化したやくざと、昔気質の個人のやくざが対決する。
新宿アウトローぶっ飛ばせ ★☆ 日(ダイニチ(日活)) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/10/10 10
 カネとマリワナを奪われた原田芳雄が、仲間の姉の梶芽衣子の男である渡哲也を誘って、成田三樹夫たちから取り戻そうとする。
 変わったテンポのアクション映画。
祭りの準備 ★★☆ 1975 日(ATG) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/07/24 9
 脚本家の中島丈博の半自伝的小説が原作で、高知県中村市で信用金庫に勤めながら、脚本家を夢見て、身近な人々のエピソードを元に物語を考える若者が主人公。
 そのエピソードの数々の面白さと、家族や故郷へのしがらみと天職と都会への想いとの間で揺れる想いが見どころ。
海潮音 ★★☆ 1980 日(ATG) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/07/24 8
 全体的に緩めの展開と曖昧な登場人物たちの中で、唯一荻野目慶子(実質デビュー作。撮影当時約15歳。)だけが、10代ならではの性に対するネガティブな想いを抱えながら大人たちの世界をのぞき見ては悩み苦しむという、複雑な心の動きを見せる難しい役をあてがわれていて、それを見事に演じきっていて、本当に素晴らしい。
わたしを深く埋めて ★★ 1963 日(大映) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/07/24 7
 訳の解らないまま、突然見たこともない女を殺した犯人に疑われた弁護士の田宮二郎が、警察と協力しながら真犯人を探す。
 登場人物が多く、台詞に依存して説明的に展開するので、見た目の面白みに欠ける。
猫は知っていた ★☆ 1958 日(大映) ドラマ系 映画館(16mm上映) 2011/06/20 6
日本侠花伝 ★★★ 1973 日(東宝) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/06/20 5
好色元禄(秘)物語 ★★☆ 1975 日(東映) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/02/12 4
怪談残酷物語 ★★ 1968 日(松竹) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/02/12 3
第三次世界大戦 四十一時間の恐怖 ★★ 1960 日(第二東映) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/01/25 2
快人黄色い手袋 ★☆ 1962 日(松竹) ドラマ系 映画館(35mm上映) 2011/01/25 1



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