採点基準
★★★★ | :人類の宝 (最高) |
★★★☆ | :絶対必見 |
★★★ | :観るべき映画 |
★★☆ | :観ても良い |
★★ | :中間 |
★☆ | :観なくてもいい |
★ | :観る価値はほとんどない |
☆ | :作者もろともこの世から消えてなくなれ (最低) |
なし | :あえて採点しない(最低ではない) |
基本的に、ネタバレがある可能性があります。
文章などの内容には、時々変更や追加が入ることがあります。
2010年公開作品(2009年以前に鑑賞) 2010/01/22
2010年公開作品(スクリーン以外で鑑賞) 2010/10/13
映画祭/上映会/公開未定作品 2010/11/28
邦画 | 洋画 | 米 | 英 | 仏 | 独 | スペイン | スウェーデン | ポーランド | スイス | 韓国 | 中国 | 香港 | 台湾 | イラン | イスラエル | 計 | |||
拡大公開作品 (全都道府県で同日一斉公開) | 17 | 15 | 13 | 1 | 1 | 32 | |||||||||||||
ミニチェーン作品 (多くの都道府県で同日一斉公開) | 13 | 8 | 5 | 1 | 1 | 1 | 21 | ||||||||||||
ミニシアター作品 (初日は限られた都道府県で数館でのみ公開) | 41 | 34 | 8 | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 5 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 75 | ||
計 | 71 | 57 | 26 | 6 | 5 | 2 | 3 | 2 | 1 | 1 | 6 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 合計=128作品 今年劇場で鑑賞=122 今年劇場以外で鑑賞=2 去年鑑賞=6 『ユキとニナ』 『ロックアウト』 『君と歩こう』 『ラムネ』 『クロネズミ』 『大人になった夏』 |
【註】上の表の国の区分けは、データベースなどの表記による正式なものに代わって、台詞の言語、主なスタッフやキャストの国籍などによります。
例えば、『片腕マシンガール』は正式にはアメリカ映画(製作がアメリカ)ですが、ここでは邦画に含めています。
タイトル | 採点 | 分類 | 製作年 国 | 公開規模 | 更新日 | 累 計 |
レバノン | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2009 イスラエル=仏=英 | ミニシアター | 2010/12/30 | 122 |
ゴダール・ソシアリスム | ★☆ | 社会派系 | 2010 スイス=仏 | ミニシアター | 2010/12/30 | 121 |
モンガに散る | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 台湾 | ミニシアター | 2010/12/30 | 120 |
ノルウェイの森 | ★★ | 感覚系、ドラマ系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/12/30 | 119 |
映像や俳優の身のこなしなどの見てくれの美しさは、そこいらの邦画とは明らかに違う。 こういう映画にこそお金を使おうという意図が、画面の豊かさから感じられる。 日本的な曖昧さとは真逆の、台詞やナレーションで明確に表現することとも合わせて、海外にも向けて作られていることも感じられる。 しかし、「『見てくれの良さ』『しっかりした映画』だけの映画」でしかないとも思えた。 映画に求めているものの中のある部分はカバーできていても、大きな部分がすっぽり抜けているような気がする。 |
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ばかもの | ★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/12/28 | 118 |
白いリボン | ★★☆ | 感覚系、ドラマ系 | 2009 独=オーストリア=仏=伊 | ミニシアター | 2010/12/28 | 117 |
武士の家計簿 | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/12/28 | 116 |
キック・アス | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2010 英=米 | ミニシアター | 2010/12/28 | 115 |
ロビン・フッド | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 米 | 拡大 | 2010/12/28 | 114 |
ゲゲゲの女房 | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/12/28 | 113 |
エリックを探して | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 英 | ミニシアター | 2010/12/28 | 112 |
信さん・炭鉱町のセレナーデ | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/12/28 | 111 |
バーレスク 原題:Burlesque 意味:(劇中の店名) | ★☆ | ジャンル系 | 2010 米 | 拡大 | 2010/12/28 | 110 |
最初から最後まで、どこをとってもあきれるほどの典型的な少女マンガ。 登場人物のキャラも典型化されていて、生身の人間らしさがないつるんとした肌触りのキャラだから、何もひっかからない。 まぁ、そんなジャンルの典型を観て満足する人もいるだろうけど…。 |
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玄牝 | ★★ | ドキュメンタリー | 2010 日 | ミニシアター | 2011/02/05 | 109 |
対象人物にカメラを向けてインタビューをして客観的に示していて、ドキュメンタリーの王道。 対象人物たちも、考えは宗教的だが、限度を超えて医療に持ち込まないし、他人を巻き込んでないので、個人の意思の範囲内。 ただし、題材的には多くの人には意味が薄いと思われる。 |
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マチェーテ![]() |
★★ | 感覚系 | 2010 米 | ミニチェーン | 2011/11/24 | 108 |
わいわい盛り上がりながら観るべき映画なのだろうが、私も周りも盛り上がらず。 | ||||||
行きずりの街 | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/12/28 | 107 |
未見の人にはアピールしにくい地味な印象の映画だけど、実際に観てみると流石の実力派監督&脚本家によるハードボイルドな作品で、ぐいぐい引き込まれる。 | ||||||
酔いがさめたら、うちに帰ろう。 | ★★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/12/28 | 106 |
一種の難病モノだけど、100%被害者意識で理不尽な不幸だと悲しんでみせるだけの泣かせ映画とは違って、病気を人生の一要素として丸々すべてを受けとめよううとする人々の姿を懐深く描いていて、本当に素晴らしい。 | ||||||
ニライの丘〜A Song of Gondola〜 | ★★ | 感覚系、ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/28 | 105 |
クロサワ映画 | ★☆ | お笑い系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/28 | 104 |
あまっちょろいラブソング | ★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/28 | 103 |
たまの映画 | ★★☆ | ドキュメンタリー | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/30 | 102 |
バンドの「たま」の結成から解散後の現在までをとらえたドキュメンタリー。 今泉力哉監督はまだ20代なので、約20年前のたまのデビュー当時のことはよく判らないと思われる。 しかし、むしろだからこそ監督の依頼を受けるに当たって、たまのことを一から調べて、たまをよく知らない人が観ても彼らのことを解りやすいような構成になっている。 そんなきちんとした映画作りの姿勢が感じられるドキュメンタリー作れたのかもしれない。 元たまのメンバーの今の姿を題材にするというと、テレビバラエティ的には「あの人は今…」のような番組のノリで連想する人が多いかもしれない。 即ち、かつては売れっ子だった人たちが、今では人気が無くなって、さぞかし経済面などで苦労している姿を見ることを半ば期待する気持ちである。 しかし、この作品からうかがえるたまの姿は、ヒットして有名になってもその後人気が下火になっても、状況からは影響されずに自分たちの小規模な音楽スタイルをずっと守り続け、グループは解散したものの、各人は最初からほとんど変化なく今に至っているだけに見える。 たま自体は極めて自然体で、そんな彼らが「ヒット」した時期というのは、良し悪し以前にまさに「異常」としか言えない状況だった。 つまり、多くの人が知ることになって記憶に残っている「たま」のイメージは、そんな「異常」な頃のものでしかない。 そう考えると、たまに限らずメジャー展開しているミュージシャンの活動、即ち我々が主に目にしている音楽に関わる状況は、彼ら本来の姿からはかけ離れた「虚構」であって、我々は「実体」よりも圧倒的に大きな「虚構」に接してそれに踊らされているだけかもしれない。 そんな「自然と不自然」、「実体と虚構」について考えたのも、この作品がたまの自然体な雰囲気に合わせた、けれんみのない自然な作風になっていて、自然な状態こそが当たり前のあるべき姿だとつくづく感じたからだろう。 |
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森崎書店の日々 | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/18 | 101 |
挫折と自分探しに対し街が癒しを与えるという有りがちな映画だが、押しつげがましさや自己満足が無く、理想に近い形で上手く自然な映画に作られた感じ。 映像もさりげなく落ち着いて綺麗。 |
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パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO NIGHT | ★★ | フェイク・ドキュメンタリーー | 2010 日 | 拡大 | 2010/11/17 | 100 |
一応楽しめるし、オリジナルの『パラノーマル・アクティビティ』(★★)にみられた会話の欠点は改善されているけど、観終わってみればガッカリすることがある。 それは…、 <以下、ネタバレ> これって、実質的なオリジナルのリメークで、ストーリーはおろか、いくつかのショットも家のつくりもそっくりで、かなりの部分をなぞっただけで作ったように見える。 手抜きじゃないの? |
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冬の小鳥 | ★★☆ | 感覚系 | 韓国=仏 | ミニシアター | 2010/11/14 | 99 |
スプリング・フィーバー | ★★☆ | 感覚系 | 2009 中=仏 | ミニシアター | 2010/11/14 | 98 |
ベオグラード1999 | ★☆ | ドキュメンタリー | 日 | ミニシアター | 2010/11/15 | 97 |
解説によると、この映画の作られた経緯は、全共闘の両親に育てられた金子監督が、その彼女と共に1999年に新右翼「一水会」の木村三浩氏に惹かれ、彼女は一水会に加わり、監督は木村氏が旧ユーゴの要人たちに会うためにベオグラードに行くのに随行するなどして一水会の映像を撮るようになり、その後、2006年に彼女が亡くなり、他の一水会のメンバーたちが、自らの命を絶つという形も含めて活動から退いたのをきっかけに、再度カメラを手に作品として完成させたとのことだった。 つまりは、ビデオカメラを回し始めた時から明確な目的があったわけではない。 完成した作品を観ても、例えば彼女の死の真相を追及して、誰かを糾弾しようなどという意図は感じられなかった。 当事者たちへのインタビューも余りなく、結果的には傍観者から見た「記録」という形に見える。 とはいえ、彼女の死という出来事が大きなきっかけであることから、私的な想いが込められた映画でもあろう。 ところで、このドキュメンタリーの対象になっている活動家たちは、現状打破のために突き進む強い信念を持った人たちである。 それに対して、監督はそんな人たちに惹かれながらも、結局彼らのようにのめり込むことができず、そんなスタンスは上記の作品のありようとも一致する。 ざっくり言えば、両者の間にははっきりした境界線があって、「信念を持てる人」と「信じるものを持てない人」の2種類に分けられるように思える。 例えば、この映画の中の人たちが主に敵視するのは「アメリカ」で、打倒アメリカで突き進んでいる。 でもその「アメリカ」に具体的イメージがどうしても持てない。 文字通りだと「全アメリカ人」を指すことになるが、そうではなくて「一部のアメリカ人」なのか? アメリカの覇権の目的が「経済」だとすると、お金儲けを考えている世界中の大半の人たちとの違いは何なのか? などと考えると、「アメリカ」を敵視するような単純化されたような行動には疑問を感じてしまう。 そして、あくまで結果論だが、この映画に登場する活動家の人たちは、目的が達成できてないか、挫折して脱落した人たちばかりである。 それでも金子監督は、活動家の人たちを失敗者扱いするというより、自分と同じように迷える人たちとして捉えているように思える。 この作品が何かを追及する意図が感じられないのも、自分も含めてこの映画に関わった人たちの過去、特に彼女の死をほじくり返しても、何も好転しないと感じているからではないだろうか? そんな意図の弱い作品は、観る側にすれば作品から受ける手ごたえが弱いかもしれない。 しかし、ネットではブログやツイッターによって発信者の精神的な敷居が下がり、たくさんの個人的な想いが多くの人の目に触れるようになったことが、新しいコミュニケーションの世界を作り出したことを考えれば、映画だって敷居を低くして個人が作品を発表しやすくすれば、たとえ私的な映画でも誰かが受け止めてくれるかもしれない。 その可能性の芽を摘む必要はないであろう。 |
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雷桜 | ★★★ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日(東宝) | 拡大 | 2010/11/10 | 96 |
すっぴん?の蒼井優の大泣きをアップで見せられたら、もう何も文句は言えない。 エモーショナルな映画を目指す意志が強い。 ときめく映像。 狙いすましたような優ちゃんのキャラ作り(ツンデレ?) 廣木監督作品にハズレなし。 |
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ふたたび swing me again | ★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/11/03 | 95 |
一言で言って、フィクションが弱い。 ストーリーは一応あるけど、ドラマが無い、よって「物語」になってない。 ハンセン病の問題を真面目に取り上げているが、真面目な映画だから、登場人物がみんな善人の映画だから良いとはならない。 料理に例えれば、食材に不味くない程度の味付けをして、栄養があって腹が膨れれば良いか?と言えば、家庭料理だったらいいかもしれないが、お金取って赤の他人に食べさせるものとしては、誰も客が来なくても不思議じゃない。 そして、そんな食堂に大企業が出資するなんてことはありえないが、この映画には製作委員会に10社ぐらいの会社が名前を連ねてるのを見ると、今にもすべてが崩壊しそうな異常なことが映画産業ではまかり通っていると思ってしまう。 |
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海炭市叙景 | ★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/04 | 94 |
この映画では、不況による人員削減、公共と人権がぶつかる立ち退き、冷めた家族と浮気、家庭内の暴力、都会から戻った子供と親の気まずい関係など、現実社会の多くの人々に起きていそうな問題を扱っている。 そんな要素を描くフィクションを作るに当たって、ドラマチックな要素を排して、わざとらしくない、作り物っぽくない、つまり現実にありそうなエピソードをリアリティを重視して、現実を意識して描いたように思える。 フィクションとして厚みを出すために、ストーリーや演出をドラマチックにするという、味付けをするアプローチもあるだろうが、逆についている味を抜いて素材の状態に戻したような感じである。 でも、そのようにリアリティ重視となると、「ドキュメンタリーと比べてどうか?」ということが気になる。 ドキュメンタリーで作れば、フィクションよりリアリティがある映画になることが期待できるので、より現実を意識していることになる。 そこをあえてフィクションで作るということは、ドキュメンタリーにはないものを盛り込むことができる利点を生かすべきであろう。 では、実際の『海炭市叙景』から、フィクションならではの良さが感じられたかといえば、そこはやはり弱かった気がする。 なにしろ、「フィクションとして厚みを出す」のとは逆のアプローチなのだから。 それでは、逆にリアリティがドキュメンタリー並にあったかといえば、それも怪しい。 今は昔に比べて、ドキュメンタリー向きのビデオカメラの性能が上がってなおかつ安くなったので、ドキュメンタリーを作りやすくなり、多くの作品を目にするようになった。 そんなドキュメンタリーの方がずっと人物のキャラが豊かで、比べて『海炭市叙景』の方は、しょせんは演じているのであって、世界も作り物で、人物も生きている感じが弱い。 このことを象徴しているのが、スナックのシーンに出てくるフロアレディの芝居で、俳優ではない実際のフロアレディが素で演じた芝居の生っぽさが他を圧倒していた。 フィクションでありながらリアリティの高さを目指しても、現実の壁は想像以上にはるかに高くて、結果的にドキュメンタリーには適わなかった。 フィクションがどの方向を目指すかによっては、達成することが非常に困難な場合もあるということだろう。 |
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シングルマン 原題:A Single Man 意味「独身男」 | ★★★ | ドラマ系、感覚系 | 2009 米 | ミニシアター | 2010/11/08 | 93 |
ゲイをカムアウト出来なかった1962年が舞台で、当然口説くにもあからさまに出来ずに微妙なやりとりだったりするなど、数々の表現がとても繊細。 少数派の息苦しさや孤独も実感があった。 |
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義兄弟 SECRET REUNION 原題:Secret Reunion、意味「秘密の再開」 | ★★☆ | ドラマ系 | 韓国 | ミニシアター | 2010/11/05 | 92 |
韓国に潜入している北朝鮮の工作員と、工作員を追及する捜査官という元々敵同士の2人が、それぞれ組織に捨てられて、偶然出会って友情が芽生えるまでを、笑いも含めて軽く楽しめる映画になっている、いわば『ミッドナイト・ラン』タイプの映画。 これまでの韓国映画には、良し悪しは別にしてどこか「やり過ぎ」、「スタンドプレイ」、「こってり」といったことを感じるところが、どんな映画にも少しはあったものだが、この作品はそんな感じがしなかった。 韓国映画は、作る側も洗練された表現も出来るようになり、観る側も受け入れられるようなり、共に進化しているのかもしれない。 |
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ヘヴンズ ストーリー | ★★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/03 | 91 |
4時間38分もの尺をたっぷり使って、人1人の人間の生涯を超えて何百年にも及ぶ大きな映画になっていた。 ロケが本当に素晴らしくて、観たら忘れらないイメージがたくさん。 |
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ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う | ★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/11/04 | 90 |
竹中直人演じる何でも屋が、佐藤寛子演じる調査依頼人の謎めいた素性に興味を抱きながら進行するので、当然彼女がどんな人間なのかをきちんと描くことが重要なはず。 しかし、どうした訳かこの映画は、彼女に迫ってキッチリ見せることはしてくれない。 彼女のアップのショットが少なく、表情も長い髪に隠れて判りにくい。 彼女と一緒のシーンが多い脇役の大竹しのぶや井上晴美の方が、同様にアップがなくても貫録で圧倒していた。 彼女が演じた役の深みが感じられないという大穴は、深みを出そうとしなかったのか?出したくても出せなかったのか?いずれにしろ残念。 |
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彼女が消えた浜辺 | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 イラン | ミニシアター | 2010/10/22 | 89 |
何度も予想もしない方向に転がっていくストーリー展開にくぎづけ。 登場人物に迫るようなカメラもいい。 |
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乱暴と待機 | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/10/22 | 88 |
ちゃんと面白くしようと作られていて、現に面白いけど、「一目置かれる(恋愛)映画」を作ろうとすると、ここまで作りこんで作り倒さなきゃいけない(時代な)のか?と疑問。 終盤の急展開は、目いっぱい頭を使って観たけど、一部頭が追い付かなかった。 |
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堀川中立売 | ★★☆ | 感覚系、象徴系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/10/19 | 87 |
この映画では、経済格差、情報に振り回される人々、正義感のはき違えなどの社会問題に関する人々やエピソードが登場する。 そんな理不尽なことを世の中に蔓延させているのは、まぎれもなく人間自身。 でも、一人ひとりの人間は、世の中を悪くしようと思っている恐ろしい存在では決してなく、個人のささやかな想いが、集合すると世の中をおかしくするまでにエスカレートしてしまう。 ちょっとした願望が強欲に、清く正しい世の中を願う気持ちが潔癖症的な不寛容に、といった具合に。 社会の悪の根源をたどると、そこはむしろ個人の善意だったりする。 よって、人間の営みに善悪の区別はつけられず、人間という生き物はつかみどころが無い。 こう考えると、「人間とは?」「社会とは?」と考えて、そのあるべき姿を追及するなんて、バカバカしく思えてくる。 それどころか、そんなことを真面目に考えることこそ、人間を間違った方向に陥れることになりそうである。 映画の中で、「他人に与える神様と、何もしない神様と、どっちになりたいか?」という問いが示されるが、まさに「何もしない神様」を選んだ方が良いという考えである。 『堀川中立売』は、人間社会を描く映画を作るに当たって、以上のように「クソ真面目よりも適当にバカバカしく」した方が適切との考えに 人間のつかみどころのなさを妖怪になぞらえておぞましさを示すと同時に、妖怪退治モノとしてスカッとした娯楽性も兼ね備えた映画になっていた。 そして、妖怪が出てくる映画にふさわしい、狭い路地が入り組んだ京都の住宅地の雰囲気や、妖怪退治に乗り出すのがグウタラとヤクザ風と子供というギャップがある設定もいい。 人の想いがIT化によってあっという間に世界的な悪意になってしまう現代を描いた壮大な物語だけども見た目は庶民的、社会的だけどおもいっきり砕けているという、奇妙なファンタジー映画だった。 |
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エクスペンダブルズ 原題:The Expendables 意味「消耗品」 | ★☆ | 感覚系 | 米 | 拡大 | 2010/10/07 | 86 |
寄りの画でカット割りが早くて、爆破や轟音を多用するという、俳優が動かなくてもアクション映画っぽく見せかけようする、最近目立つダメパターン。 人間がアクションしてなければ、もはやアクション映画じゃなくて「高速モンタージュ映画」だろう。 俳優たちの動きが判らないくらいのあんなに短いカットの連続じゃ、マツコデラックスだって主役が務まるだろう。 大御所アクションスターの大量出演は、それだけでちょっとした味があったけど、所詮大御所は「自分では動かない人たち。もしくは動けない人たち。」だったということか? 以下は憶測だが、この「目くらまし演出」はスタローンが年で動けないことが理由で、彼より若い他の俳優たちもスタローンに合わせたことによるのだろうか? だとしたら、スタローンは自分がまだ現役だと思わせることがこの映画の目的で、そんなことのためにいいアクション映画作りがないがしろにされたことになる。 自分は脇に徹して、ジェイソン・ステイサムやジェット・リーのアクションをじっくり撮るべきだった。 もしくは、クリント・イーストウッドの『スペース カウボーイ』や、スティーブ・マックィーンの『ハンター』のように、自分の老いを隠さない潔さを見せるべきだった。 そこを避けて見栄を張ることだけ気にしているとしたら、なんとも情けない。 |
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十三人の刺客 | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/10/02 | 85 |
まずなんといっても、稲垣吾郎と市村正親がすごい儲け役で、映画の中のいい台詞とクライマックスをはじめとする印象的なシーンの数々は、ほぼ全部が吾郎ちゃんによるもの。 彼の演じた悪役が魅力的にみえるのは、他の侍たちが「主君のため」とか「公儀のため」などと「○○のため」に生きることを生きがいにしているのに対し、自分にとっての○○がないことに加えて、他の侍たちの○○を信じる生き方も、その○○自体にも冷めた目で見ていて、言わば唯一世の中の虚しさを感じ取っていた役だったからだろう。 逆に、それ以外の刺客たちが、本来ならもっとキャラ立ちしていなければいけないのに、埋没気味だったところがもの足りないか? 前半での、ローソクに照らされた夜の室内の薄暗さや炎の瞬き、谷村美月の眉なしお歯黒の既婚者メークなど、細部のリアリズムがおざなりだったこれまでの時代劇の常識を破る意気込みがあるのか?と思ったが、結局そこまでだった。 |
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悪人 | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/09/28 | 84 |
実際の事件を元にした李監督のオリジナル脚本による『BORDER LINE』(★★★)も、殺人を犯してしまった逃亡者をはじめとする悩める者たちへの暖かさと、無責任な言動をする人への厳しさが込められた作品だったので、『悪人』の監督になったのは必然みたい。 深津絵里が女優賞を受賞したことが話題になっているが、妻夫木聡も今まで見せたこともないような表情を見せていて、これを引き出した監督も凄い。 あと、雨の撮り方など、細かいところも印象に残る。 でも途中で、話を広げ過ぎて長いかな?と感じた。 観終わっても、松尾スズキのエピソードだけは本当に不可欠だったのか?が微妙。 |
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名前のない女たち | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 日 | ミニシアター | 2010/09/28 | 83 |
アダルトビデオの内幕モノかと思っていたが、実際には生き方に行き詰って全然別な世界で別の自分になって生きたいと思って飛び込んだ先がAVだった女たちの物語だった。 内幕モノでない以上、業界内の実情は詳しくは描かれてなくて、情報の不足は観る側の知識で補完する必要がある。 よって、AV女優になったことによる心身の負担は、そんなに切実かつ具体的に表現されてないが、はたしてそれはどうなのか? 終盤になって、リアリズムに反した表現が多くなったことからも、ありがちなリアルな「内幕モノ」には断じてしなかったということか? 主演の安井紀絵は、最初は親にいじめられる弱気なOL、次が無理にキャラを作っているAV女優、そして肝の据わった女の顔と、新人ながらも三変化を見せられたのは幸せだと思う。 |
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REDLINE (意味:劇中のレースの名前) | ★☆ | 感覚系 | 日 | ミニチェーン | 2010/09/28作成 2010/10/03更新 |
82 |
手間暇かけて短い多くの画を詰め込んだらしいけど、結果的には賑やかなだけでなぁ〜んにも感じない出来上がりで、退屈だった。 観てる最中、映画って一般的にどこに惹かれていい映画だと感じるのか?ということを考えていた。 まず頭を使ってひねり出したアイディアが詰まっている映画。 それから、アイディがや技術が無い場合は、せめて体を張ったり、思い入れを入れ込んだり、心意気のある映画。 『REDLINE』がどうだったか?といえば、手間暇かけてるからといって、普通の人だって皆何十年も毎日8時間、週5日働いているのだから、時間と仕事量だけでは尊敬に値しない。 思い入れや心意気は、作り手たちは持っていたのかもしれないが、私が『REDLINE』から感じたのは 「この映画を観てくれ!」 という心意気ではなく、 「解らない奴は解らなくていいよーん。」 という開き直りの声を最初から最後まで聞かされ続けた気分だった。 よって、こっちだってそんな映画に気持ちを入れようなんて思わない。 |
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TSUNAMI-ツナミ- 原題:Tidal Wave(意味「大津波」) | ★☆ | ドラマ系 | 2009 韓国 | ミニチェーン | 2010/09/24 | 81 |
1970年代のハリウッド製ディザスター映画、いわゆるパニック映画の構成をそのまま踏襲している。 即ち、前半で数々の人々の日常のドラマが繰り広げられ、中盤で災難が襲い、それぞれのドラマが大きく転換するというもの。 そんなわけで、パニック映画はスペクタクル以外のドラマの要素が意外に大きいのだが、『TSUNAMI』の場合は上記の基本展開をなぞっているだけで、それ以上の深みがドラマにはなく、一言で言って「雑」。 まあ、ディザスター映画は基本的に見た目が荒っぽいので、ドラマが大味で荒っぽくてもなんとなく観れてしまうんだけど。 現実の地震や津波や津波警報と比べると、この映画でのそれらの描き方はデタラメな部分がかなり多い。 映画ではデタラメはある程度許されるのだが、デタラメがまかり通っているのが一般的な韓国人の津波に対する無知のせいだとすると、この映画による間違った情報が津波を甘く見ることになって被害を拡大させなければいいんだけど。 (例えば、数十メートルの津波をまともにくらっても、流されずに生き残ったりしている。 実際には多分即死。 それに、これを観た人は実際のずっと小さい津波に対して何ともないと油断しかねないが、50センチぐらいでも人は流されてしまうので、ものすごく危険。) |
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オカンの嫁入り | ★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/09/25作成 2010/09/27更新 |
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たとえば、世の中には真面目に生きている人がたくさんいると思うが、私にとって意味がある他者というのは、何かしらの影響を与えてくれる人であって、人の良し悪しではない。 この考えは映画に対しても同じで、映画を観た後で、たとえ一瞬でも観る前と気持ちが変わったと実感できることを映画に期待していると思う。 『オカンの嫁入り』がどんな映画だったかといえば、母娘を中心にした人と人とのやり取りを、「日常的に」、「暖かく」描こうとしているように思えた。 そのための関西弁や食べ物の多用だと思う。 ハイテンションの芝居でドタバタ喜劇にできそうなストーリーなのだが、それを避けてあくまで日常的にありそうな自然な映画を目指しているようだ。 でも、その方向性って、上記の例えを用いると、「私に影響を与えてくれる」のではなく、「真面目な人間」になろうとしているようにしか思えず、会話劇の楽しさや料理の美味しさが完璧に表現できたとしても、それだけでは観て良かったと思えないだろう。 |
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シルビアのいる街で (【スペイン語】En la ciudad de Sylvia【英語】In the City of Sylvia、意味「シルビアの街で」) | ★★★ | 感覚系 | 2007 スペイン=仏 | ミニシアター | 2010/09/24 | 79 |
セリフが少なく、「目線」「街」「嘘か本当か曖昧」の存在感が大きい。 言語の要素が少なく、言葉にできない雰囲気などの要素が大きいのが、映画ならではの面白さ。 ナンパ映画として、偶然(?)にも邦題の雰囲気が似ている『去年マリエンバートで』みたい。 「シルビアって、誰?」、「マリエンバートって、何処?」 「シルビアって、本当に存在したの?」、「去年、マリエンバートに居たって、本当?」 といった感じ。 |
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おにいちゃんのハナビ | ★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/09/25 | 78 |
難病モノと地方風俗モノの、2つもの要素がある作品。 そのためか、「難病モノにありがちな、ベタベタと悲しいシーン」、「地方風俗モノにありがちな、手前味噌的押しつけがましさ」といった悪い先入観に配慮して、「臭くない映画」「押しつけがましくない映画」にすることを徹底している。 その上、主人公2人に面白い会話劇をしっかりとさせているところとか、花火の美しさをしっかりとらえていたりとか、見どころとなるべきものをきちんと押さえている。 丁寧に作られているという点でとてもよく出来ている映画だが、物足りないのはオリジナリティが無いことで、まるで誰かに作らされた映画にしか見えない。 レストランに例えれば、いい食材を使って、レシピに忠実に作ったような料理を出すので、確かに美味しいのだけど、個性に欠けているので、レストランとして魅力を感じないようなもの。 |
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瞳の奥の秘密 | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 スペイン=アルゼンチン | ミニシアター | 2010/09/25 | 77 |
あらすじではミステリー映画のようだが、早々に中年男の片想いが本筋であることが明らかになる。 中年だって、片想いは素敵なのだ。 |
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身分証明書 | ★★ | 感覚系、ドラマ系 | 1964 ポーランド | ミニシアター | 2010/09/02 | 76 |
ミックマック (原題:"Micmacs A Tire-Larigot"、意味「ごきげんにゲーム」) | ★☆ | 感覚系 | 2009 仏 | ミニシアター | 2010/09/25 | 75 |
一言で言えば「使い古された」「使い回し」の感じ。 「あそこは『デリカテッセン』みたい、ここは『アメリ』に似ている。」という言い方で、『ミックマック』の全部を説明できてしまいそう。 |
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キャタピラー | ★★☆ | ドラマ系、象徴系 | 日 | ミニシアター | 2010/09/25 | 74 |
戦争すること、兵士として敵国に行くことを「レイプ」に例えているのかな? 布団の上で上になった方が一方的に欲望を満たし、下になっている者の気持ちを察しない。 夫婦の文字通りの上下関係の変化が力関係の変化を表していると考えると、解った気がする。 |
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借りぐらしのアリエッティ | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/09/26 | 73 |
ざっくり言ってボーイ・ミーツ・ガールの映画で、音楽を含めて雰囲気の盛り上げ方がいい。 | ||||||
特攻野郎Aチーム | ★ | 感覚系 | 2010 米 | 拡大 | 2010/08/20 | 72 |
アクションが派手だとか荒唐無稽だとか荒っぽいとかなら悪くないのだが、センスのかけらも無ければ、これっぽっちも気持ちが動かない。 | ||||||
ザ・ロード | ★★☆ | ドラマ系 | 米 | ミニシアター | 2010/09/26 | 71 |
何らかの原因で文明が滅び、わずかに生き残った人々は廃墟のような街などで略奪をしている世界を舞台にした、父と息子との徒歩によるロードムービー。 あまりにも現実離れした世界は実感として受け止めるのは難しいが、それでも小さな子供の成長と、自分が教えられることを子供に遺そうとする父と息子の人間同士のドラマとして心に訴えかける映画だった。 |
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NECK ネック | ★☆ | 感覚系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/08/23 | 70 |
主役に小学生ぐらいの子役たちをキャスティングして、『学校の怪談5』として公開したらシックリくる、怖いというより無邪気な内容の映画。 でも、実際の『NECK』は主役たちは二十前後の設定なので、無邪気な内容に違和感を感じずにはいられない。 そして、こんな大穴を平気で放置している無頓着な作り手なら、作品全体も面白くなる訳がない。 映画って「面白くする」ものであって、勝手に「面白くなる」ものではないだろう。 |
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きな子 〜見習い警察犬の物語〜 | ★ | ドラマ系 | 日(松竹) | 拡大 | 2010/08/23 | 69 |
この映画には、未熟な若者に対して大人の知恵で接してくれる登場人物が全くいない。 何も指導せずただ下働きをさせるだけで、一見「コツは盗んで覚える」タイプの徒弟関係のように見える。 しかしそれは「放任主義」のような「主義」のある指導方法ではなく、夏帆演じる駆け出しの訓練士も、山本裕典演じる家業のうどん屋を賄い始めた元訓練士も、未熟なレベルのまま表舞台に上げられて、その結果の失敗の一切の責任を当人になすりつけてののしるようなヒドい大人たちである。 その後の展開も、大人は助けず夏帆はさして成長せず、ご都合主義だけでドラマが進んでいく。 こんな設定やストーリーになっているのも、作者たちがこの物語や実在するモデルの人の人生に対して大人の視点で真摯に向き合っているわけではなく、ドジ犬に対して面白半分な視点で見ているメディアや大衆と同程度であることの表れだろう。 |
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インセプション (原題:Inception、意味「発端。人の心に、作られた記憶を植え付けること。」) | ★★ | ドラマ系 | 2010 米 | 拡大 | 2010/08/22 | 68 |
ストーリーの骨子は、ディカプリオ演じる主人公の家族に対する想い、特に妻に対する想いであると思われ、その想いが実体化する点については、まるっきり『惑星ソラリス』(★★★★)みたい。 一方、ノーラン監督は以前から話の枠組みに対して特に執着しているようで、反面それ以外のドラマや見せ場や演出が、枠組みのための方便に過ぎず、おろそかになっていて物足りなさを感じた。 その枠組みとは、『メメント』(★★)なら「映画が進むにつれて過去に戻ること」、『プレステージ』(★★)なら「手品のタネの謎」について、そして『インセプション』は「夢の中でさらに夢を見ること」と「夢の世界が現実と区別がつかないこと」で、そんな超現実なことを映画で表現することを目指しているように思える。 この執着心に対する私の不満は、「枠組みってそんなに大事なことなの? 枠組みよりもその中の登場人物の感情やドラマの方が大切なんじゃないの? お客さんにとって重要なのは『複雑なものを観た』と感じることではなく、『いい思いをした』と感じることじゃないの?」ということである。 で、結局『インセプション』は、「夫婦愛」と「夢の世界」と、もしくは「アクションなどの見せ場」、どれを重視した作品なんだろう? 「夢の世界」なら上記の不満が相変わらず残る。 「夫婦愛」だとしたら、それを自然に作品の中心に据えていた『惑星ソラリス』に比べて、『インセプション』の設定の複雑さや無関係な見せ場は主題を邪魔しているだけにしか見えない。 「見せ場」だとしても、設定の複雑さは気が散らされるだけでわずらわしい。 1つの強い求心力に観る者の心を引きつけるような作品を観たかった。 |
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私の優しくない先輩 | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 日 | ミニシアター | 2010/08/22 | 67 |
一番の欠点は、出だしが一番テンションが高くて映画的な自由な表現にあふれていたのに、次第に映像に動きが無くなって台詞に頼るようになり、内容的にも表現的にも生真面目になって面白味が無くなること。 大林宣彦っぽさとマンガっぽさは、これまでは別モノとして考えていたけど、この作品では両方感じたので、両者は似ていると思う方が自然かも。 |
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ジェニファーズ・ボディ (原題:Jennifer's Body、意味「ジェニファー(主人公の役名)の体」) | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニシアター | 2010/08/22 | 66 |
この映画のストーリーは、「美人の女友達が悪い男たちと付き合ったことがきっかけで人が変わったように粗野な言動をするようになり、彼女と対立するようになったことで自分も成長していく話」という、現実的にありがちな女同士の物語だと考えるとしっくりくる。 つまりホラーは表向きだけで、『ヘザース』を思わせるような、女子高生の友人関係にある上下関係を、下の立場からの劣等感と向上心を合わせて描いて面白い。 『JUNO』の脚本家がまぐれでなかったことを示す結果になっている。 |
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恐怖 | ★★ | 感覚系 | 日 | ミニシアター | 2010/07/26 | 65 |
古い映像が単に不気味なこと以上の物理的な力を持っていたり、幻覚と脳科学と霊世界を結びつけるといった、現実と隣り合わせの非現実の世界を作ろうとしてるのだろう。 でもそんなことが、たとえ頭で解ったとしても、観ている気持ちがそれ以上この作品に入り込めないし、映画からも気持ちに入り込んでもこない、気持ちの接点を持てない映画になってしまっている。 あっという間に、記憶から抜けてしまいそう。 |
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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い (原題:"The Hangover"、意味「二日酔い」) | ★★ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニシアター | 2010/08/22 | 64 |
コメディとして、ちゃんと作りこまれていて洗練されていることは解る。 でも、所詮はどこまでいってもどこかの誰かの話しで、接点も実感も持てない。 |
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ブライト・スター いちばん美しい恋の詩 (原題:Bright Star、意味「明るい星」、詩人が主人公の女性を例えた表現) | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 英=豪 | ミニチェーン | 2010/08/22 | 63 |
売れない詩人の才能にほれ込んで、恋愛感情へと発展する女性の物語。 緻密で繊細な表現は手堅いが、それは反面面白味に欠ける。 |
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ぼくのエリ 200歳の少女 原題: 【スウェーデン語】Lat den ratte komma in / 【英語】Let the Right One in | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 2008 スウェーデン | ミニシアター | 2010/07/10 | 62 |
孤独な少年と、似た境遇にいる異形の存在との心の交流という、ファンタジックなお話としてはよく出来ている。 それでも、いまいち映画に入り込めなかった。 その理由は、まず作り手の子供目線が不十分。 淡々とした映画の雰囲気作りにこだわりすぎて、作り手が主人公の心の中に入り込もうとすることがおろそかになった。 ホラー描写が本格的で、心の交流の物語のシーンとの落差が大きく、相性が悪かった。 これら、さほど重大ではない問題ではあるが、すこしずつ積み重なっていることによると思われる。 |
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さんかく | ★★★ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日(日活) | ミニシアター | 2010/07/10 | 61 |
素晴らしい。 繊細で生々しくて計算された表現や展開。 登場人物の性質や心情がさりげなく判るように作られていて、特に台詞なしで目線だけで表現しているラストシーンは素晴らしい。 そして、登場人物全員に問題があって、ダメな部分がメインで描かれているのだが、それでも根っこの部分に優しさのある人間としているあたりに、監督の人間に対する誠実で優しい想いが表れている。 |
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告白 | ★★★☆ | 感覚系、観念系 | 2010 日(東宝) | 拡大 | 2010/07/04 | 60 |
一般的に「壊れている」と言われそうな人間たちや道徳を、「悪」と見なすより前に、まずありのままっぽいイメージを映画として描いていて、結果として常識的なイメージをはるかにしのいだ観念の領域を描いていると同時に、身近に生々しく感じられるのがすごい。 しかも、モンタージュを多用した複雑な映像が、おそらく偶然に出来たのではなく、計算されて作られたと思われるのが。 |
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冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 原題: Vengeance / 復仇、意味「復讐」 | ★★★ | 感覚系 | 2009 仏=香港 | ミニシアター | 2010/07/10 | 59 |
これまでのジョニー・トー作品にあったカッコ良さからの期待感通り、この作品も友情についてのストーリーもアクションシーンのビジュアルもカッコいい。 ただ、それらがいかにもお客さんの期待するパターン通りで、結果的に良いのが当たり前過ぎるぐらいに感じられるほどで、逆に意外性がないことが引っかかる。 それって、贅沢な悩みか?ひねくれ過ぎか? |
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BOX 袴田事件 命とは | ★★☆ | 実録系、社会派系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/06/26 | 58 |
基本的に典型的な実録風の冤罪の映画ながら、「人を裁くことは、自分も裁かれることになる」というテーマが、(真っ当な人間にだけ)重くのしかかる。 | ||||||
グリーン・ゾーン | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2010 仏=米=スペイン=英 | 拡大 | 2010/06/19 | 57 |
イラク戦争の欺瞞を告発する社会性も持ちつつ、息もつかせぬサスペンスとして楽しめるという、(アメリカ?)娯楽映画の懐の深さを感じさせる映画。 | ||||||
SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/06/26 | 56 |
ラップミュージックを目的ではなくカラ元気の手段にして、「叫び映画」として普遍性を持たせているので、SHOーGUNGの2人を脇に回してより魅力的にしたことと合わせて、前作よりも誰もが楽しめる映画になっている。 | ||||||
ケンタとジュンとカヨちゃんの国 | ★★★ | ドラマ系、観念系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/06/27 | 55 |
観終わってからもしばらく「あっちの国」から帰って来れない気分が抜けないほど衝撃的。 人間誰しも、自分が思っているほど自由でない、自分が思う世界の外側に殻を作っては、その外側のより大きな世界に殻を破って行けるという思い込みがあればこそ、この映画をしみじみ感じ入ることが出来る。 |
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アウトレイジ | ★★ | ドラマ系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/06/16作成 2010/09/29更新 |
54 |
たけちゃんは、何をしたいのだろう…? 「『アウトレイジ』は娯楽映画か?」といえば、その気になればもっとサービス精神を発揮していたと思われるから、違うのではないか? 「人間ドラマか?」といえば、描かれているのは「人間」ではなく「人間関係」であって、個々の人間の印象は薄い。 このストーリーで「人間」を描こうとすれば、神代辰巳監督の『棒の哀しみ』(★★★)みたいな映画になるのだろうが、目指しているところが違うような気がする。 それに、あまりにも多くの人が殺されるので、それらの人々の殺人シーンを1人ずつ用意しているせいで、それに尺を取られて相対的にドラマの要素が少なくなっている。 |
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エンター・ザ・ボイド 原題:Enter the Void (意味「虚無に入れ」) | ★★☆ | 感覚系 | 2009 仏 | ミニシアター | 2010/06/12 | 53 |
とにかく、東京の街が信じられないくらい綺麗に撮られていて、それだけで観る価値がある。 オチがすごく唐突でキョトンとしたけど、ズッコケるのが正解だったかな? |
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パーマネント野ばら | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/06/02 | 52 |
吉田大八監督の前作『クヒオ大佐』(★★☆)は、やっぱり一筋縄ではいかない映画だったんだなぁ、と改めて思った。 彼は、一言で言えば「脳内映画」の作り手なのか? 『パーマネント野ばら』で示される「真実」は、客観的に1つしか存在しないのではなく、主観的な真実が人それぞれに存在している。 そして、個人の想いを大きく突き動かすものの1つが「恋愛」。 一見、バラバラな主観が共存する歪んだ世界は好ましくないように思えるが、均一な世界よりも、一人ひとりが自分の想いを自由に押し進めて、それによる不均一を受け入れて自分とは違う他人を認めると同時に自分も肯定するようなこの映画の世界の方が、愛にあふれていて素敵だと思えた映画だった。 ところで、「映画を悪くしないためには、ケータイ電話を登場させないこと。」という法則でもあるのだろうか? この映画でも、電話はピンク電話と電話ボックスの緑電話だけだった。 それからあまり気にならないことだけど、この映画ってストーリーに大穴があるんじゃないの? その大穴とは…、「菅野美穂演じる主人公は、たいして好きでもない男と結婚したのか?」ということ。 |
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トロッコ | ★★ | ドラマ系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/06/01 | 51 |
台湾の人の日本に対する憧れ、好きだった亡き父の出身地の台湾に惹かれていく少年、仕事と子育ての両立に悩む母など、登場人物のそれぞれの想いが丁寧に描かれる。 ただし、ドラマとして盛り上がりが物足りないと感じた時があった。 |
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戦闘少女 血の鉄火面伝説 | ★★ | 感覚系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/06/01 | 50 |
アクションシーンって、ちょっとした間の取り方の違いで良し悪しが決まってしまって、難しい。 アクション、グロ、お笑いなど、盛りだくさんの要素が詰め込まれているが、それらの中で前面に出るものが次から次へと1つずつ変わっていくので、観る側の気分としてせわしなく、1つか2つ減らした方がいいと思った。 |
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アイアンマン2 (原題"Iron Man 2") | ★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2010 米 | 拡大 | 2010/06/01作成 2010/06/10更新 |
49 |
クライマックスなどの見せ場が、ただ画面が派手なだけで、ちっとも盛り上がらない。 一言で言って、雑。 大量破壊兵器の技術を一部の人々や国家が独占して門外不出とすれば、それらの拡散が防げるかといえば、機密の漏洩や他勢力の技術のキャッチアップなどにより結局は拡散するのではないか?といった、現実的な問題を扱ったりした前半は興味深かった。 そんな狙いが色々あったのかもしれないが、結果的には表現し切れなくてスベったいるのか、次第に尻すぼみになって、ストーリーに生かされなかった。 |
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ジョニー・マッド・ドッグ 原題:Johnny Mad Dog (意味:主人公の役名) | ★★☆ | ドラマ系 | 2007 仏=ベルギー=リベリア | ミニシアター | 2010/06/02 | 48 |
少年兵の言動はさすがにショッキング。 罵倒する文句がワンパターンなのはしょうがないかな?子供だし。 |
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武士道シックスティーン | ★★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/06/01作成 2010/09/29更新 |
47 |
天才と秀才の挫折と対決と友情という、類似ストーリーが多い内容だが、古厩監督はさすがに丁寧で上手い。 マニアックな匂いのする映画に果敢にチャレンジし続けている印象のある「秀才タイプ」の成海璃子と、なにも考えていないような感じでどんな役でもケロッとこなしてしまう「天才タイプ」の北乃きいという、まるで当て書きのようにピッタリなキャスティング。 この競演は、璃子ちゃんはかなり分が悪いんじゃないか?と思っていたが、彼女の役つくりに対する意気込みが、彼女のキャリア史上初めてと言っていいほど見事に実を結んでいたのも、古厩マジックのなせる技か? |
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ヒーローショー | ★★★ | ドラマ系 | 2010 日(角川) | ミニチェーン | 2010/05/25作成 2010/06/01更新 |
46 |
ストーリーは、『ファーゴ』などの「ずぶずぶと破滅に向かう」コーエン兄弟作品をもっと身近にした感じ。 ジャルジャルはじめ知ってる俳優も、名前も知らない俳優も、出演者を魅力的に見せようという、基本に忠実な演出は、さすがの井筒和幸監督。 |
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クロッシング (原題:Crossing、意味「越境」?) | ★★★☆ | ドラマ系 | 2008 韓国 | ミニシアター | 2010/05/25 | 45 |
北朝鮮や脱北者の実情を描いた韓国映画なので、その気になればいくらでもハードにシリアスに社会派に出来た映画なのだが、「情勢」よりも「人間」主体で描いて、『戦場のピアニスト』を思わせるような「ドラマ」にしているところに、「豊かさ」を感じられる映画だった。 「自転車の二人乗りは名シーンになる」という法則でもあるのか? |
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シーサイドモーテル | ★ | 感覚系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/06/04 | 44 |
芸人志望でもないのに、嫌々お笑い番組に出てネタをやってる感じ。 面白くする気がないのか?これで面白いと思っているのか?誰も「これじゃダメだろ?」って(今からでも)止めようとしなかったのか?面白く出来なかったものを公開して後ろめたくないのか? もはや、誰が何を狙って作った映画なのか、さっぱり解らない。 例えれば、どんぶりに麺を入れてお湯を注いでラーメンだと言ってお金を取って食べさせようとしているくらい、なんにもなくて解らない映画。 |
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RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | 拡大 | 2010/05/31 | 43 |
地方から上京して仕事一辺倒だった男が、それまでの人生を見直して、故郷に戻って子供の頃の夢だった電車運転手の仕事に就くという話。 地方の豊かな風景や家族愛や人間愛など、全く予定調和と言っていい内容だが、それらを大切なものとしてきっちり描こうという意思の強さが現れていて、決してブレないしベタついた描き方もしない、真摯で上品で自然に心に染み入るウェルメイドな映画。 |
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パレード | ★★☆ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/05/31 | 42 |
赤の他人の5人が同居するマンションの1室は、劇中で「参加したい者たちが集まっていて、離脱も当人の自由である、ネット上の掲示板のような場所。」という台詞で形容される。 これに従って、ネットを介した人間関係を具現化した映画だとみなすとしっくりくる。 良い悪いは別として、不特定多数の中から友人(=同居人)を選べる状況というのは、相手が自分にとって有益かどうかが重要になる。 反面、自分とは相容れない人間が多数存在することも知ることになり、そんな人たちが自分の周囲の人間関係と違って自分のコントロールがまったく効かず、世の中を悪化させるという思い込みによる苛立ちを覚えかねない。 しかし、そんな考え方は自分の立ち位置が他者とは違うということの上に成り立っているが、現実には客観的に見て自分も不特定多数の中のありふれた1人に過ぎない。 自分が他者のことを覗き見たり人物像を決め付けようとしていることは、同様に自分も誰かによって見られたり思われたりしていると考えるのが妥当である。 以上のようなネット上で日常頻繁に行われている人間関係や、自分が思う世界と客観的な世界との間に生じるズレなどを、ドラマの形で表現している、クレバーな映画だと思った。 出演者は自然な演技で概ね好演。 貫地谷しほりは、スウェットの上下で家の中でダラダラしている役も難なく似合ってしまう。 |
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春との旅 | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/05/24作成 2010/05/27更新 |
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観ている間、どうにも居心地が悪かった。 その最大の理由は、見せて欲しいと思っていることが見せられていなかったから。 その見せて欲しかったものは、物語のバックグラウンドにあたる部分。 この映画は、老人(仲代達矢)が飛び出すように家を出て、彼と2人住まいをしていた孫娘(徳永えり)が仕方なくついて行くところから始まり、最後まで非日常状態なのだが、この2人の家での日常はどんな感じだったのかが全く描かれない。 道中、孫娘は何度も祖父と共に暮らすことを選ぶか、祖父から離れることを選ぶかの選択に悩まされるので、2人の日常がどうだったかが観客にとって気になるところなのに、そんな重要なバックグラウンドが何も示されないのである。 また、孫娘が何を考えているのかもほぼ全編判りにくいままで、特に小さい頃に家を出た父親と最近死別した母親に対する想いが特別なものだったのだが、そんな重大なことが最後の最後まで観客に明かさないというのも不可解である。 老人の言動や性格も、シーンごとに同一人物と思えない程コロコロ変わっているのも、撮影がフィックスの長回しが基本で全体的にぶっきらぼうな印象も受けるのも、映画との距離が離れる結果になっている。 豪華出演者による芝居も、柄本明がらみのシーンは面白味があるが、ここ以外はドラマチックな盛り上がりはない。 以上の手法の意図を一言で言うと、「反ウェルメイド」なのかな?とも思う。 映画の作り手と観客の間に予定調和を廃して不親切な映画にすることで、馴れ合いの関係ではなく頭を使って踏み込んで観て欲しいと思ったのか? でも、ストーリー的には「離れて暮らしても存在し続ける家族の関係」の映画なのに、そんな自然で普通な物語を、不自然を狙った手法で距離感を感じる映画にした理由がさっぱり解らない。 反ウェルメイドは結構だが、結果的にはその必然性が解らない以上、普通にウェルメイドな映画だった方が良かったと思ってしまう。 もし、山田洋次監督がこの映画を撮ったとしたら、もっと普通に撮って普通にいい映画になったと思う。 あと、BGMが延々と鳴り続けるのも、あれを良いと思う人がいるとは思えない。 |
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プレシャス 原題"Precious: Based on the Novel Push by Sapphire" 意味:「『プレシャス(主人公の役名)』:サファイア作の小説『プッシュ』より」 | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニシアター | 2010/05/23 | 40 |
壊れている人たちや、壊れた人をなんとか救おうとしている人たちを、じっくり時間を取って生々しく描こうとしている、作り手の粘り強さはすごい。 ただし、そんな部分的なすごさはあるのだが、全体的なストーリーはなんかピンとこない。 |
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シャッター アイランド 原題:Shutter Island 意味:「シャッター島」(映画の舞台となる島の名前) | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 米 | 拡大 | 2010/05/23作成 2010/05/25更新 |
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まさか「赤狩り」が出てくるとは思わなかった。 映画人たちが巻き込まれた大事件だったために、業界こぞって執念深いのかもしれないが、情報操作や心理的な弱みをつくことなどで事実がねじ曲げられる恐ろしさは、社会的立場に関わらず誰もが巻き込まれかねないのは、半世紀経った今も変わらない。 アメリカ映画では珍しい幻想的なストーリー展開で、世の中の人々、あるいは自分自身が真実だと信じていることは、実は誰かによって作られた嘘かもしれないということを描いているのが、斬新で同時代的。 |
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パリより愛をこめて 原題:From Paris with Love (意味「パリから愛をこめて」) | ★☆ | 感覚系 | 2010 仏 | 拡大 | 2010/05/18 | 38 |
いくらマシンガンで撃たれても、トラボルタには弾が当たらず、拳銃で応戦して1発で倒しちゃうという銃撃戦に、ハラハラする気にももなれずシラけてしまう。 おちゃらけた映画を狙ってることは判るけど、笑えないんじゃしょうがない。 |
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17歳の肖像 原題:An Education (意味「教育」) | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 英 | ミニシアター | 2010/05/23 | 37 |
私もフランスという国に対して憧れがある。 文化が身近にあることによって、豊かな日常、豊かな人生をおくっているというイメージ。 多感な16、7歳なら、なおさらありきたりな日常より、先鋭的な異国の文化が輝いて見えるだろう。 もっとも、そんな自分が充実しているという感じ、周りの人たちとは違うという思いは、薄皮に覆われているだけのスノビズムに過ぎないという危うさがあるのだが。 そんな、まさに青春の光と影みたいな、晴れやかさと苦さが良く描かれていた。 |
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カケラ | ★★ | ドラマ系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/05/19 | 36 |
つき合っている男に嫌気がさし始めた女がレズの女に言い寄られて気持ちがそちらに動いていき…という冒頭部分は、気持ちの揺れの大きさやメリハリの効いた展開にワクワクしたが、その後不思議な展開になって、面白くないわけではないんだけど、ついていけなくて取り残されてしまった感じ。 | ||||||
必死剣鳥刺し | ★★ | ドラマ系 | 2010 日(東映) | 拡大 | 2010/05/04 | 35 |
映像的にも芝居的にも、本格的時代劇を目指してキッチリと格調高く作られている。 ただ、キッチリした芝居だからといって、登場人物たちが無表情一辺倒で、心の動きや弱さが全く表れず、そんな状態でのドラマは面白くない。 |
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鉄男 THE BULLET MAN | ★★★☆ | 感覚系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/05/04 | 34 |
塚本監督は、相変わらずビジュアルを作り上げることを完璧に成し遂げている。 音の凄まじさも加えて、どんな大作をもはるかにしのぐ、圧倒的なインパクトと陶酔感。 |
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息もできない 原題:Breathless、意味「無呼吸」 | ★★★ | ドラマ系、感覚系 | 2008 韓国 | ミニシアター | 2010/05/03 | 33 |
登場人物たちが発するただならぬ雰囲気はいい。 ストーリー的には、暴力が別の暴力へと連鎖していくという、意外にも常識的かつ古典的な「犯暴力」映画だった。 |
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半分の月がのぼる空 | ★★ | ドラマ系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/05/03 | 32 |
ストーリー的には、甘さに流れていたり、切なさとは相反するヒネリがあったりするんだけど、忽那汐里演じる主人公が、心の中をのぞきたくなるような、人間臭さが希薄でフィクションの住人のようなミステリアスな感じを出せていたのが良い。 | ||||||
月に囚われた男 (原題:Moon) | ★★ | ドラマ系 | 2009 英 | ミニシアター | 2010/05/19 | 31 |
シリアスな映画のつもりで観てしまったのが間違いだったか? シリアスとは、即ち人間性を軽視するような状況が将来進むだろうということに対する異議申し立てをしている社会派映画だと思ったということ。 でも、それにしてはこの映画の、月面基地での3年間の単身赴任という状況設定は、実際には到底実施されるとは思えない方策であって、ありえない設定で起こりえる社会問題を描くのは筋違いだと思ってしまった。 (何故ありえない方策かというと、長期の単身赴任は駐在員に心理的負担がかかることが十分予想され、基地の運営をそのような駐在員に委ねるのは、事業的に考えてもリスクが高すぎるから。 月面基地の建設のための資材や、採取した鉱物など、地球と月との大量輸送は可能なようだから、地球との人間の行き来も問題なく頻繁にできるはずで、それなら今の国際宇宙ステーションのように、複数人が滞在して各人数ヶ月間の任期で人員を入れ替えるようにすればいい。) 結局は、星新一ショートショートぐらいの軽いSFだと思って観るのが正解だったようだが、映画の構えからシリアスな映画だと思ってしまった。 |
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第9地区 (原題:District 9、意味「第9地区」) | ★★☆ | 感覚系、ドラマ系 | 2009 米 | 拡大 | 2010/04/17作成 2010/04/18更新 |
30 |
『ハート・ロッカー』や『クローバーフィールド HAKAISHA』と同様、フィルムではなくビデオカメラ(Red One)での撮影による荒い画質の画面でリアリティを出すことを狙っていて、上手く出来上がっていた。 『アバター』と比べると、VFXにかけているお金ははるかに少ないと思うが、『アバター』の映像の質感が「ツルっとした」「のっぺりした」CGっぽさを結果的に払拭出来なかったことと比べると、『第9地区』のザラザラ&ブレブレ画面の方が成功していると思う。 『第9地区』から連想した映画は、『ザ・フライ』、『蝿男の恐怖』、『鉄男』、『AKIRA』、『天空の城ラピュタ』など。 それらを連想したことは何も問題ないのだが、それらが揃いも揃ってコテコテのエモーショナルな強烈な見せ場の映画だったことを思えば、『第9地区』は見せ場の派手さでは負けてないが、エモーションでは遥かに劣っていた。 その理由は、四つ巴の戦いを繰り広げているその各々の誰もが、戦う動機をきちんと描いていないので、何のために戦っているのかが実感しにくいから。 『第9地区』は、観ていて荒っぽい印象を受ける映画で、演出が荒っぽくても構わないのだけど、登場人物の心情だけは丁寧に描いていたら、もっと彼らの身になって燃えながら観られる映画だったんじゃないかと思うと、とても残念。 映画の舞台が南アフリカであることから、アパルトヘイトと関連付けて差別問題を扱った社会的な映画かといえば、そこまでドラマ的に深い映画ではない。 そもそも、「人間同士」だから「差別」だと言えるのであって、「人間と宇宙人」となると関係性が変わり「差別」とは言えないことも考えられるので、それすらも「差別」と混同されかねない設定は、社会派映画とするなら避けるべきだろう。 |
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マイレージ、マイライフ (原題:Up in the Air、意味「舞い上がって」) | ★★★ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニチェーン | 2010/04/14 | 29 |
人生において、何が一番大切か?という問いかけは、誰にとっても文字通り最重要項目であるが、だからといってシリアスに向き合わなければならないこともなく、この映画はそんな大きなテーマをさらりと描いていて、親しみやすく接することが出来るのがいい。 ジョージ・クルーニー演じる主人公は、生身の人間が相手の自分の仕事が相手のつらい立場になって考えることが重要だという、心を大事にする気持ちを持つと同時に、情に流されずに仕事をこなすプロ意識も持ち合わせていて、意味のあることにはこだわるがそうでないことは日常から排除もしていて、この上なく正しい人間といえる。 ただし、そんなクールなはずの彼にも、孤独というものが重くのしかかってくるところに、「正しい」ということに関して、人間は完璧には出来ないものだということを感じる。 |
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誘拐ラプソディー | ★☆ | ドラマ系、お笑い系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/04/09 | 28 |
根は善良な男が金に困ってふとしたはずみで子供を誘拐し、親のヤクザと警察に追われるドタバタを描く話。 ありふれたコメディなので、ギャグのアイディアと芝居でどれだけ笑わせることが出来るかという、地道で基本的な仕事が勝敗の分かれ目になる。 では結果はどうか?というと、笑わせることには熱心じゃないのかな?と思った。 例えば、ヤクザのキャスティングが哀川翔とか菅田俊とかは当たり前すぎで、こういうところでヒネったキャスティングをするとかのアイディアをもっともっと入れ込まないと面白くならない。 あと、コメディって最高レベルの芝居や演出でないとダメだと改めて思った。 特に子役を使うのは、リスクが高くてで難しい。 |
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ブルーノ 【原題】Bruno(意味:主人公の役名) | ★★☆ | お笑い系、ドキュメンタリー系 | 2009 米 | ミニシアター | 2010/04/08 | 27 |
エロ、グロ、下ネタが中心の悪ふざけを一般人や有名人たちにぶつけて、戸惑う反応を見て笑いを誘うことを狙っている映画。 でも、こんな悪ふざけをこれだけ徹底的にやると、それをぶつけられる側の人々が見せる良識が、ひょっとしたら外面だけでメッキがはがれてるんじゃないか?と思う状況がところどころ見られ、それを暴くことがこの映画の本当の狙いか?そんなことはなくただの悪ふざけか?どちらか見分けがつかないところでやっているのがすごい。 それから、多くの有名人が本人役で出演しているが、それも本人たちの意向なのか?勝手に本編に使っちゃっているのか?これも見分けられない。 |
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ハート・ロッカー (【原題】The Hurt Locker、意味「傷をしまうロッカー) | ★★★ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニチェーン | 2010/04/07 | 26 |
イラクにおける爆弾処理の仕事は、爆弾の数が多い上に、現地の人々のための仕事であるにもかかわらず、彼らは感謝するどころかアメリカ軍ということで憎んでいて、その上避難もせずに危険な現場のそばに居続け、その中には爆弾を仕掛けた者が遠隔操作で爆破させようとしていることも考えられる。 何百日間も続くうんざりするほどの日常、任務の危険な状況に対して慣れを通り越して麻薬のように感じてしまうこと、そして自分の代わりがいないという現状からの使命感など、兵士たちの様々な想いを真面目に描いた映画だった。 |
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スイートリトルライズ | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/04/07 | 25 |
夫婦の関係が壊れるかもしれないと恐れながらズルズルと浮気を続けるという、心理的に複雑なストーリーにもかかわらず、演出的にはセットや芝居で気取った雰囲気を出すことに徹底していて、心の動きが現れない。 演出の徹底ぶりは良いのだが、こういう話は登場人物が心の弱さをさらけ出すのを見たいと思うのだけど…。 感情をさらけ出してくれないから、直感的に面白くなく、観ている方には遠く離れた世界の人たちの話にしか見えず、彼らの苦しみもどうでもいいように思えてしまう。 |
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川の底からこんにちは | ★★☆ | ドラマ系、感覚系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/05/02作成 2010/05/03更新 |
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これまで観た石井裕也監督作品は、『ガール・スパークス』(★★★)も『君と歩こう』(★★★)も、その面白さが言葉で説明するのが難しいタイプのものだった。 登場人物の言動やストーリー展開が意表をつきまくったり理屈が通らなかったりで、納得しながら安心して観ていられない。 台詞の量が多い会話部分も、漫才でいうツッコミにあたる台詞がかなりの部分を占めているが、ツッコミはそれ自体には内容が無く、つまりはリズムをとるためだけの一見無駄な台詞が多い。 普通の映画からはなかなか得られることの出来ない突拍子の無さに、つい引き込まれてしまう。 『川の底からこんにちは』も、そんなこれまでの作品同様の面白さを持っていた。 そして、ストーリーから改めて感じられたのだが、上に述べた彼の作風は、 「映画も含めたあらゆる物事に対して、単純化された小奇麗なイメージだけで当たり障りなくとらえて、すべてを解ったつもりになる。」 という思考パターンに対する反発からなのでは?と思った。 裏を返せば、 「世の中ってそんなイメージだけの小さな世界じゃなくて、その外側には下世話で、生々しくて、無意味かもしれないことだらけの理屈が通らない世界があって、でも本当はそっちの方が重要かもしれない。」 ということである。 キャッチフレーズを使って小奇麗なイメージを万能マニュアルのように発進している某女性誌の名前が劇中にチラッと登場するのも、嫌悪すべき考え方の象徴として使われたのかも? 主人公の彼氏が口にする「エコ」という言葉も、世間的にもスマートなイメージ先行で、でも実は人糞を畑にまくような世間のエコイメージ外の事こそ、よっぽどエコだったりする。 「駆け落ち」という言葉のイメージレベルで他人を人物像を決めつけて蔑み、その駆け落ちの実態や実際の人物像に目を向けようとしなかったり。 そして、この映画の重要な要素である親子関係について、「血のつながり」という言葉には、「血がつながっていない関係とは明らかに違う確かな関係」のイメージがつきまとうが、現実には実の親子間の殺し合いは日常的に起きている。 親子関係も他の人間関係と同様に、嫌なことにも向き合って、面倒なこともやって初めて築き上げられるもので、血がつながっているだけでは良い親子関係は望めないし、血がつながってなくても親子同然になれる。 「スマートさ」「解りやすさ」「理屈」よりも、「生々しさ」「モヤモヤ」「パッション」。 人間を描くにあたって、美化するのではなく嫌な部分も受け止めなければならないと思っている監督だからこそ、イライラや不可解さも感じる作風の映画になっているのではないだろうか? 『川の底から〜』は、石井監督の初の商業映画ということで、多くの人々に受け入れてもらえるように、とっつきやすい映画になっている配慮も感じた。 でも人間を描き続ける限り、彼はこれからも「誠実に」意地悪な作品を作ってくれるだろうという期待を抱くことができた。 |
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人間失格 | ★★ | ドラマ系 | 日 | 拡大 | 2010/04/07 | 23 |
普通なら、自殺未遂を繰り返す主人公の、その自殺の理由を探るために主人公の心の内面を描くことを第一に考えるだろうが、明らかにあえてそこを描かずに映画を成立させようとしている。 よって、ものすごくこだわってストーリーや演出方法を作り上げていることは判るが、はたしてこの方法が最善だったかどうか? 同じ自殺志願者が主人公の『ヴィヨンの妻』(★★★)は主人公の心情を描いていて、やはりあちらの方がすんなり楽しめたのが事実。 |
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インビクタス/負けざる者たち (【原題】Invictus(ラテン語)、意味「征服されざる者」) | ★★★ | ドラマ系 | 2009 米 | 拡大 | 2010/04/05 | 22 |
人間間の憎しみや不信感を払拭するためには、相手を赦すことと共に自分が赦されるに値する人間にならなければならず、それは言動に厳格さを要求されるが、解決策としては唯一と言ってよく、成功したときにもたらされる平穏な社会の恩恵は信じられないほど大きいことを示している。 そして、それを実現できる人物の具体像として、モーガン・フリーマンがマンデラ大統領役を貫禄たっぷりに演じて、映画に説得力を持たせている。 |
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ソラニン (Solanine、意味(ジャガイモの芽に含まれる毒の成分)) | ★ | ドラマ系 | 2009 日 | ミニチェーン | 2010/03/14作成 2010/04/09更新 |
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『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(★★)の感想に書いたことを再び感じてしまった。 つまり、映画作りって、 (1)シリアスなメッセージを込めているのなら、まず作り手が本気を見せること。 (2)そんな映画でないのなら、上手な嘘つきになって、お客さんをだまし通していい気分にさせること。 のどちらか、というのが基本だと思う。 『ソラニン』は、登場人物たちが人生の壁にぶつかるストーリーなので、(1)であるべきだと思うのだが、一言で言って「人生壁ぶち当たり『ごっこ』映画」にしか見えないほど、作り手の本気が何も感じられなかった。 本気になれないくせに、ちょっとした会話で笑わせようとか、クライマックスの演奏シーンをカッコよく見せようとか(演奏終わりの沈黙って、あれがイケてると思ったのかな? 演奏そのものより、カッコつけでうわべだけ良く見せようという意図しか感じられない)、(2)のタイプの映画も狙っているようだが、「上手な」嘘つきにははるかに及ばない。 つまり、青春ってカッコ悪かったり苦しみにまみれてたりするようなものなのに、それに向き合う度胸が作り手には無くて、カッコつける方に向かったりして傷つくことから逃げていることが、本気で映画を作っていないということ。 この映画の登場人物や作り手よりも、もっと真剣に現実世界で生きている人はものすごく多いと思うが、そんな人たちを不愉快にさせるような失礼な映画だと思う。 その上お金を取ろうなんてとんでもない。 |
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しあわせの隠れ場所 (原題:The Blind Man、意味「死角」) | ★★ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニチェーン | 2010/03/14 | 20 |
結局は、 親に捨てられた子供の資質が、良いか?悪いか? その子供を引き取った親代わりの人たちが、良い人か?良くない人か? 諸々の状況が、良いか?悪いか? の3つの要素に関して、8通り考えられる全部の組み合わせの中で、唯一圧倒的に成功に近い「3つとも良かった」という状況の実話を元にした物語だった。 もちろん、全くのとんとん拍子ではなく問題は起きたり、いい話なりの良さもあるんだけど、映画としては困難な障壁を用意して、とんとん拍子だと感じさせない方がいいだろう。 アカデミー主演女優賞受賞の演技は、悪くは無いけど、演じたキャラの魅力がプラスに働いたかな? |
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おとうと | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 日(松竹) | 拡大 | 2010/03/10 | 19 |
乱暴な言い方かもしれないけど、笑福亭鶴瓶演じる「おとうと」が「障害者」だというような認識を持つことができたなら、彼が巻き起こすトラブルに対する感情は全然違ってくるはずである。 実際にはそれとは逆に、自分と同じ常識や資質を、他人も持っていることが当然だと思っている人が多いのではないだろうか? そして、その思い込み通りの言動が出来ない人に対して、善悪の切り分けによって「悪人」とみなして不快感を感じ、そんな不快な状況を解消するために、その人を切り捨てようと考える。 そのように、一部の「悪人」を遠くに追いやることによって、自分たちのような大多数の「善人」たちによる善良な世界が守られると考えている。 でも、当たり前の人間なら出来て当然のことが出来ないからといって、それが罰を受けて当然の「罪」だと言えるだろうか? 罪とは言えない判りやすい例が「障害者」であるが、つまり「悪」だと自覚していることを故意で確信的に正当性も無く行えば「罪」だと言えそうだが、それら総ての条件を満たした正真正銘の「罪人」「悪人」ってそんなに多いとは思えない。 ひょっとしたら、かつて一人もいなかったかもしれない。 なにしろ、善と悪は本当に分けられることが出来るかが怪しいから。 このように考えると、自分の思い通りにならない人に対しては、簡単に切り捨てるのではなく、相手を受け入れる寛容さを持つ心がけが大事そうだ。 切り捨ては、切り捨てられた人々が行き場を無くすると大きな社会不安の要因になるし、切り捨ての判定が適切に行われるとも思えないから、差別そのものと変わらないなど、いいことととは思えないし。 『おとうと』は、後半が「おとうと」を受け入れる展開になっているが、前半では彼を切り捨てるべきとの立場でついつい観てしまい、自分の考え方がいかに当てにならないかを身をもって感づかせてくれるのがミソ。 でも、つい先日『イエローキッド』(★★★)を観てしまったせいもあるが、現実的な重いテーマを取り上げながら、セットで撮影されている「うそ臭さ」と同様の感覚がいたるところに感じられて、現実感が不足していて古臭いタイプの表現だと思ってしまった。 |
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きょーれつ! もーれつ!! 古代少女ドグちゃんまつり スペシャル・ムービー・エディション | ★★☆ | 感覚系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/03/10 | 18 |
大阪で深夜に放送されていた連続ドラマ「古代少女ドグちゃん」を劇場公開用に再編集し、さらに「パイロット版」と称する(実際にはおそらく劇場用に新たに撮影されたパロディ)短編を追加したもの。 大雑把に、テレビドラマの第1回目のエピソードと最終回のエピソードとパイロット版の全3部が、それぞれ3分の1ぐらいずつの尺で構成されている。 この映画の総監督である井口昇が演出した第1部に限って言えば、まるで監督がこの手の題材の映画の「正解」が判っていて、それを目指して作られた映画であるかのように、動作、台詞、映像の可愛らしさやカッコよさが、何もかも絶妙にキマっている。 井口監督の近作『片腕マシンガール』(★★★)や『ロボゲイシャ』(★★★)の特長もクオリティもそのままで、彼の作品が決してまぐれで好調なのではなく、確実に面白い作品を作れる実力があると言えそうだ。 |
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アイガー北壁 (原題:Nordwand、【独語】意味「北壁」) | ★★☆ | 感覚系、ドラマ系 | 2009 独=オーストリア=スイス | ミニシアター | 2010/03/10 | 17 |
今だったら、あからさまにCGを使っちゃうような高所の登山のシーンにそれが無いことが功を奏して、「どうせCGだから」という気楽な気分で観ることが出来ず、体に悪いくらいハラハラする。 恋愛がらみだったり、国家の威信や誇りをありがたがる考え方が個人に犠牲を強いることに結びつくことへの批判が込められているドラマ部分は、あまりたいしたことはない。 |
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イエローキッド | ★★★ | 感覚系、ドラマ系 | 2009 日 | ミニシアター | 2010/03/10 | 16 |
日本の新人監督の中で、重くて厚い作風の映画を作れる、ずば抜けた新人が現れたという感じ。 | ||||||
ニューヨーク、アイラブユー (原題:New York, I Love You.) | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 2008 米=仏 | ミニシアター | 2010/03/10 | 15 |
オムニバスだから、1作品当たりの尺が約数分と短いため、どうしても盛り上がらない。 そんな短編のデメリットを克服しようという意図なのだろうか、どんでん返しによるインパクトを狙った展開のものが目立ったが、強引さを感じたり、しょせんオチだけの話のように思えてしまった。 そんな中で岩井俊二監督の作品は、撮影環境やスタッフが変わっても、ビックリするほど今まで通りの岩井調だった。 あの、強引過ぎず間延びし過ぎずの絶妙な緩急の加減で軽やかに展開し、きれいにオチへと軟着陸してみせる語り口の良さは、他の監督作品と比べてもピカイチ。 彼の演出部分だけで採点すると、一段上の★★☆。 |
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時をかける少女 | ★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニチェーン | 2010/02/26 | 14 |
今の日本映画の多くにある問題、 「何を目的に作られたのかが解らない」 「作り込みが弱い」 といったことがここでも感じられる。 『時をかける少女』の話はクライマックスで切なさを伴うから、少なくともそこはじっくりとあの手この手でたっぷり切なくしなければならないのに。 8ミリ映画青年ネタは、作り手の個人的な思い入れからなのかもしれないが、たとえ独りよがりと言われても、むしろそれをもっと色濃くした方が、「作る意味」の点での不満はなかったかもしれない。 そんな弱さの漂う中で、主演の仲里依紗は思いきりのいい芝居を見せていて、結果的に彼女を見るための映画になった。 |
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ボーイズ・オン・ザ・ラン | ★★ | ドラマ系 | 2010 日 | ミニシアター | 2010/02/26 | 13 |
観終わってみれば、最後の方でやっと「頑張った分しか満足感を得られない。不満を感じたら自分で頑張ってなんとかするしかない。」というテーマが解る。 でも、映画って基本的に、 「リアルな映画なら、はらわたに染み入るようなやつ」 か 「ウソ映画なら、楽しいやつ」 じゃないと面白くないと思うんだけど、この映画を観ていた大半の時間の印象は、 「はらわたに染み入りそうなことを描いているのに、しょせんはウソ映画」 「ウソ映画にしては、観ていて楽しくない」 というものだった。 登場人物の中では、YOUが一番のお気に入り。次が松田龍平。 |
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渇き (原題:Thirst、英語、意味「渇き」) | ★★☆ | 感覚系 | 2009 韓国 | ミニシアター | 2010/02/21 | 12 |
予想を超える異常な展開は、「これっていいの?」と悩むより「解んないけど面白い」と思った方が正しそうと思わせるほど、観る者を煙に巻く押しの強さにあふれている。 | ||||||
抱擁のかけら (原題:Los Abrazos Rotos、スペイン語、意味「壊れた抱擁」) | ★★☆ | ドラマ系 | 2009 スペイン | ミニチェーン | 2010/02/28 | 11 |
お金に困って金持ちの愛人になった女優志願の女が、愛し合った映画監督と逃避行する…、というストーリーだけなら全然目新しくないが、映画ってそんな骨組み部分だけでは良し悪しは決まらず、それにどう肉付けされているかが重要という見本のような作品。 芝居も映像も厚みがある。 |
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パラノーマル・アクティビティ (原題:Paranormal Activity、意味「超常活動」) | ★★ | 感覚系 | 2007 米 | ミニチェーン | 2010/02/21 | 10 |
思いつきはともかく、それ以上の映画として作り上げることに関しては、まったくもってアマチュア。 ショックシーンを小出しにする展開上、映画の大半が会話シーンになるのだが、さらにその会話の大半が無意味なやりとりだったりで、プロらしい作り込みがほとんど見られない。 |
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ラブリーボーン (原題:The Lovely Borns、意味「いとおしい誕生(複数形)」) | ★★ | 感覚系、ドラマ系 | 2009 米=英=ニュージーランド | 拡大 | 2010/02/24 | 9 |
殺されてあの世に行った少女が、現世への想いを抱きながらあの世をさまよう。 この世とあの世の両方にまたがった物語の場合、死別してそれぞれの世界に引き離された登場人物は、相手への想いが募って相手へのコンタクトを求めても、物理的な接触は叶わないのだから、その想いを大切に描こうとすれば必然的に観念的、あるいは妄想がかった映画になるはず。 この分野の名手といえば、『その日のまえに』(★★★☆)、『ふたり』(★★★)、『異人たちとの夏』(★★★)などの大林宣彦監督で、なにしろ題材が「死」という厳粛なものなのだから、大林監督ぐらい高い志を持って真摯に映画製作と向き合うことが出来なければ、まともな作品にすることなど出来ない。 それに対して、ハリウッドが手がけると観念的に高める代わりに、無理やり物理的な関係を持たせてハッピーという映画にしちゃうから、その安直でご都合主義的な発想にしらけるような作品ばかりだった。 たとえば、『ゴースト/ニューヨークの幻』(★)とか、『奇蹟の輝き』とか。 さて、『ラブリーボーン』はどうだったかと言えば、やはり死の重みや大きさは全く足りないのだが、安直さやご都合主義が無かった分、上記の2作品はマシだった、という感じ。 でも、安直さは感じなかったが、別の邪な意図があるように思えた。 一見、恋愛や家族愛を描いているようなこの映画に不釣合いなシーンがいくつかあった。 妹が犯人の家に留守中に忍び込んで手がかりを探そうとしているところに犯人が帰ってきてしまうという、『サイコ』にもあったようなスリラーシーンの凝りまくり具合。 そして、クライマックスシーンで「死体がみつかるんじゃないか?」との観る者の予想をはずしてみせるという、『殺しのドレス』のクライマックスシーンをほうふつとさせるようなミスリーディング。 そう考えると、あの世を舞台にした作品にした理由は、死の重みを描くことよりも、「何でもあり映像」を取り扱うことのための方便のようにも思えてくる。 |
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Dr. パルナサスの鏡 (原題:The Imaginarium of Doctor Parnassus、意味「パルナサス博士の想像館」) | ★★☆ | 感覚系、ファンタジー系 | 2009 英=加=仏 | 拡大 | 2010/02/23 | 8 |
「ホラや作り話(=物語)が人間を豊かにする」という、『バロン』(1989年、★★★☆)と同じテーマに今でもこだわっているのがテリー・ギリアムらしい。 しかし、「物語」を大事に思う人たちが無関心の人たちに対して勝利出来る可能性が信じられた20年前の『バロン』と違って、今や『Dr.パルナサスの鏡』で描かれているように、「物語」側の敗色が絶望的なまでに濃い。 (芸能や文芸に携わる人々への敬意が薄れ、彼らの実像のネタで喜ぶようになった日本などは特にそう。) この最近の敗色気分って、多くのクリエーターたちにとって致命的な大問題と思われるが、その最前線で孤軍奮闘(それとも、ドン・キホーテのように無意味な戦い?)といった感じである。 でも、劇中でDr.パルナサスが求めていた人々は、一言で言えば「博愛精神の持ち主」「正しい選択が出来る人」であって、「物語の必要性」とは一致せず、したがって映画を1本の芯が貫いているのではなく2つの芯が同居しているような感じで、居心地が悪い。 まあ、無理矢理こじつければ、どっちも人間の心の持ちよう次第だということでは同じだと言えるだろうけど。 |
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サロゲート (原題:Surrogates、意味「代理人たち」) | ★★ | B級系 | 2009 米 | 拡大 | 2010/02/15 | 7 |
自宅にいながらにして、屋外で行動する代理ロボットに「憑依」する形で操作ならびに感覚を受信することにより身の安全を手に入れた未来世界の話。 とはいっても、この映画はあくまで「B級SFアクション」なので、アクションを見せることが目的で、それ以外に関しては肯定的な意味で「テキトー」。 架空の世界の再現に厳密な考証を行っているわけでもない。(今でさえ健康マニアが多いのに、1日の大半を座って過ごす生活を選ぶ人があんなにいる訳が無い。) 文明批判っぽい要素もあるが、最低限の説得力を持たせる程度の浅さで、突っ込んで批判しているわけでもない。 というわけで、B級SFアクションとしては最近には珍しい90分を切る尺の短さも合わせて、ブラックジョークもちりばめつつ、ほど良く面白く仕上げられた映画だった。 ブルース・ウィリスが、こんな映画でもきちんと出演しているのも嬉しい。 でも…、色々と映画を取り巻く状況が厳しい昨今、果たして「ほど良く面白く仕上げられた映画」をのん気に作っている余裕などあるのだろうか? もしポール・ヴァーホーヴェンが監督していたら、もっとブラックジョークを詰め込んで、『ロボコップ』(★★★☆)みたいにムチャクチャな面白さの映画になったかもしれないと思う。 |
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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 (原題:"Man Som Hatar Kvinnor / The Girl with Dragon Tattoo / Millennium: Part 1 - Men Who Hate Women") | ★★ | ドラマ系 | 2009 スウェーデン=デンマーク=独 | ミニシアター | 2010/02/13 | 6 |
40年以上前の未解決の殺人事件の真相に迫る方法として、当時の新聞やスナップ写真を手がかりに追っていくというのが面白い。 しかし、一言で言えば、全体的に面白くしようと思えば出来るだけの余白がたくさんありながら、手付かずのままといった感じ。 そのくせ、主役2人がそれぞれ抱える私生活の問題に多くのシーンが割かれている割には、本筋に生かされてなかったりする。 |
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(500)日のサマー (【原題】"(500) Days of Summer") | ★★★ | ドラマ系 | 2009 米 | ミニシアター | 2010/02/13 | 5 |
この映画で起きていることを「ゲーム」として見ると、女が自由にルールを決められるゲームに、男に勝ち目なんか最初からあるわけがない。 それなのに、ガッチリ勝ちにいこうと頑張っちゃったりして、結局当たり前のようにものの見事に負けちゃって、それなのに「まんざら無意味でもなかった」などと思い出に浸ってしみじみしちゃったり、冒頭では「これは恋物語ではない」などと言い訳みたいなことを言ったりして、馬鹿なのか? そんな男の姿を見て、あんな苦しい思いを体験してみたいもんだと思ってしまう。 バカだなんて見下す奴は、本当の喜びを知らない可愛そうな奴だから、言わせておけばいいさ。 |
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今度は愛妻家 | ★★☆ | ドラマ系 | 日 | 拡大 | 2010/02/01 | 4 |
行定勲監督の言うとおり、「大人が軽く楽しめる恋愛映画」というのがピッタリだった。 おとぼけ調子で進む展開が、途中からその裏にあるシリアスな面が見えてくる。 この場合、展開の変化に観る側が置いてけぼりを食らうことになりがちで、この映画もそれが若干感じられたが、演出の懐の深さで持ちこたえていた。 |
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かいじゅうたちのいるところ 【原題】Where the Wild Things are 意味「野獣たちがいるところ」 | ★★★ | ドラマ系、象徴系 | 2009 米 | 拡大 | 2010/01/24 | 3 |
子供の成長を子供目線で、苦さも感じさせながら描く。 子供(たち)だけの登場人物によるシーンが大半なので、子供が観ても自然に向き合える映画だと思うが、子供の精神的成長という題材は、その成長手前で未経験の子供には難しいだろう。 だからどちらかと言えば大人向けの映画かもしれないし、他者との関わり方の問題は大人には無関係ではない。 むしろ、これを観て反省して欲しい問題だらけの大人って結構多いかも? |
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板尾創路の脱獄王 【読み】いたおいつじのだつごくおう | ★★ | シュール系、お笑い系 | 2009 日(角川) | ミニシアター | 2010/01/31 | 2 |
緻密な下準備や決行の瞬間の描写を見せ場にするという脱獄モノのセオリーをはずして、それらをほとんどバッサリ省略して雰囲気やシュールさで見せようとする狙いは、果たして成功か?失敗か? 板尾監督のお笑いらしく、予定調和に背いているのだけは確かだけど。 板尾監督は、インタビューで過去の脱走映画の数々に対する思い入れを語っていて、その系譜の作品を作ったのかと思ったが、いざ慣れない映画作りに挑戦するに当たって、結局は自分の得意分野である「シュール」をメインにすえることにしたのだろう。 脱走のディテールよりも、脱走し過ぎるおかしさ。 場違いな字幕や挿入歌や、「そんなバカな」なオチ。 だったら、シリアス映画を装うのは、余計に観客を惑わすだけだったかな? いや、そこすらセオリーをはずして作ったんだったりして。 つかみどころの無い映画って、コメントに困る。 なんで素直に喜ばせてくれないの? |
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BANDAGE バンデイジ 【意味】"Band Age"「ロックバンドの時代」と、"Bandage"「(心の傷にあてがう)包帯」の二重の意味 | ★★ | ドラマ系、感覚系 | 2009 日(東宝) | 拡大 | 2010/01/24 | 1 |
いろいろと整理がつかないことが多いので、まとめのために思いついたことを1つずつ挙げていく。 【1】 ストーリーは、ファンが憧れのロックバントに近づいて深くかかわっていくことと、売れる音楽とやりたい音楽の間の葛藤の2つが柱で、どちらもこれまで何度も他の映画の数々で扱われたもの。 【2】 【1】のストーリーの映画の定番は、登場人物の心境をきっちり描くことによって、観る者が感情移入しながら登場人物たちの葛藤を感じるというもの 【3】 しかし、『BANDAGE』の登場人物たちは何を考えているのかが判り難い人たちが多い。 北乃きいが演じるのはまだ高校生だし音楽業界の門外漢だということを意思が定まらない理由に出来るが、名目主役の赤西仁演じるボーカリストがほぼ全編何を考えてるのか?何が目標なのか判らず、(よくこんな役をを引き受けたもんだと思うくらいの)ダメ人間をダルい芝居で演じ続けたのは、この映画で一番異様だった。 よって、あえて感情移入させないこと、【2】のような定番のバンド映画にしないことを狙った(何のため?)としか思えないほど、つかみ所のない映画になっていた。 【4】 それじゃ、感情移入を嫌った、突き放したようなクールさで通したのかといえば、そうではなくて、要所要所数シーンほど、感情で押したウエットなシーンが入って、そこがこの映画の見どころのような感じになっている。 【5】 演出の方法は、おそらく簡単な打ち合わせの後に長回しで撮影して、俳優たちには通しで自由に芝居をしてもらう即興演出。 これは、本作品の製作者である岩井俊二の『花とアリス』(2004、★★★☆)や、彼の製作で脚本家の北川悦吏子の初監督作品の『ハルフウェイ』(2009、★★☆)と同様と思われる。 監督が細かいことまで決めなくても撮影でき、芝居が型にはまらず生っぽくなるという点では効果絶大な演出法。 それ故、即興芝居が出来る俳優をキャスティング出来るかが重要になり、『ハルフエェイ』で実績のある北乃きいと、長年にわたって岩井ファミリーの伊藤歩という布陣で臨んで、特にきいちゃんは【4】でのべたように、映画のエモーショナルな部分のほとんどを担っていた。 他の出演者たちも良かった。 以上のことから結論をまとめると、意図が解らない部分が多かったけど、部分的には良かった。 |
タイトル | 採点 | 分類 | 製作年 国、スタッフ、等 | メディア | 公開規模 | 更新日 | 累計 |
私の調教日記 | ★★ | 感覚系、ドラマ系 | 2010 日 【監督】東ヨーイチ 公式サイト | HDDレコーダー(WOWOW) | ミニシアター | 2010/10/13 | 2 |
< あらすじ > 銀杏(亜紗美)は彼氏の吾郎に、正体不明の者たちによる性の調教施設に連れて行かれ、知らない男とセックスをさせられたり、それを吾郎や他の者に見られたりした。 銀杏は、日に日に抵抗感が無くなって、快楽におぼれるようになった。 一週間の調教を経て2人は施設を出て、その1週間後に2人は前よりもお互いにより深く愛し合っている気がした。 < 感想 > 『O譲の物語』に影響されたストーリーなのかな? エロティック・バリアフリー・ムービー、略して「エロバリ」シリーズ作品ということで、尺の約半分の時間が濡れ場で、それを見せるのが第一の目的なのだろう。 調教施設を運営する人たちが、コミカルな言葉をしゃべる外国人もしくは宇宙人という設定で、日本人に快楽を植え付ける実験をしているという設定なのだが、有効に生かされていない。 |
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ナース夏子の熱い夏 | ★★ | 感覚系、ドラマ系 | 2010 日 【監督】東ヨーイチ 公式サイト | HDDレコーダー=>PC(WOWOW) | ミニシアター | 2010/10/13 | 1 |
< あらすじ > 一樹の愛妻和代(里見瑤子)が交通事故で入院し、お見舞いに行って看護師の夏子(愛奏)に一目ぼれした。 2人はデートするが、夏子は変装のような恰好をして、自分の部屋に入れようとしなかった。 ホテルや一樹の家でセックスをしたが、和代が退院すると間もなく、夏子と連絡が取れなくなった。 夏子のアパートで張り込んでいると、彼女は男を部屋に連れ込んだ。 後日、夏子と会うと、男は最近出所した昔の男だといい、彼の組から一樹に手が及ばないように、夏子は姿をくらました。 一樹は男に呼ばれて会い、2人で夏子がどこで何をしているかなどを話し合ったが、そのそばをチンドン屋の白塗りの化粧をした夏子が通り過ぎて行った。 < 感想 > これもエロティック・バリアフリー・ムービー、略して「エロバリ」シリーズ作品ということで、濡れ場のシーンが多く、それを見せるのが第一目的の作品。 それでも、ストーリーや芝居が微妙な感じを出せるほど繊細で、大味な感じがしないのはさすが東監督。 |
タイトル | 採点 | 上映形態 | 製作年 国 | 分類 | 更新日 | 累計 |
未来の記録 | ★★☆ | 映画祭(ビデオ上映) | 2010 日 | 感覚系 | 2010/11/28 | 32 |
<ストーリー> かつてフリースクールの1人の生徒が、精神的に追い詰められて死んだ。 そこの生徒たちは、自分たちの将来は未来の自分たちにとっての思い出に当たると考えていたが、そのフリースクールの先生を師と慕う男と女が、そこで新しい学校を始めようとし、その思い出を感じることになる。 <感想> 未来と過去を行ったり来たり、というより混ざり合っているような構成、細かいカット割りのモンタージュによる洪水のような映像、ボソボソ声が重なるナレーション等、複雑で抽象的な作品で、(特に自主映画時代の)大林宣彦の作風みたい 受け入れられない人も多そうなこの作品が、結局TAMA NEW WAVEのグランプリを獲ったのだが、決め手は「こんな映画を作ってやろう」という意欲の強さと、それを映像の力が強い作品として完成できた力量が評価されたのではないだろうか? |
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輝け、背骨 | ★☆ | 映画祭(ビデオ上映) | 2010 日 | ドラマ系 | 2010/11/28 | 31 |
<ストーリー> 女子高生(津川苑葉)は、幼い時に姉が死んで、以来そのことが心に重くのしかかると同時に、焼き場での遺骨に興味を抱いた。 そして、喪服買って、それ着て他人の葬式に潜り込みたいという願望を実行に移し始める。 <感想> 骨フェチ?喪服フェチ?葬式マニア?どれだろうと思っていたら、後の監督のコメントで、姉の死を意識し続けていたというのが主な動機だということだった。 そんなふうに、動機が何か?行為に対する渇望がどんなに大きいのか?という肝心なことが判らなかったのが、もの足りなさを感じた要因。 でも、結局TAMA NEW WAVEMAW女優賞に選ばれた津川苑葉が魅力的だったというのは、観た人みんなが思うことかもしれない。 演技経験もなかったという彼女をオーデションで選んで魅力的に撮った監督の功績だろう。 |
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溺溺 (だくだく) | ★☆ | 映画祭(ビデオ上映) | 2010 日 | ドラマ系 | 2010/11/28 | 30 |
<ストーリー> 男子大学生の主人公がスッポン料理屋の娘の同級生に誘惑されて、彼女の所から原付で帰った時に事故を起こして、自宅で寝たきりになり、彼女が家に来て世話をする。 男は卒業後、昔からの彼女と結婚して就職するが、営業先で女と再会し、家にスッポンを送られる。 それを食べた後、男は鼻血を流して死んでしまうが、あの世で女とのことをまんざらでもないように思い返した…。 <感想> 日本映画学校の16mmによる卒業制作。(映写はビデオ) 観ている時は悪くない気がしたんだけど、今になってみると印象に残っていない。 結局、映画の中に詰まっているべき何か(具体例は「想い」)が足りなかったのでは? |
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人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女 | ★★☆ | 映画祭(ビデオ上映) | 2010 日 | お笑い系、ドラマ系 | 2010/11/28 | 29 |
<ストーリー> 売れない劇団の女優の山田真歩が、映像の経験も映画の知識もないのに10万アクセスを狙ってネットドラマを作ることにし、関わった人々の善意を踏みにじり続ける。 出来上がった作品の出来はひどかったが、山田は映画の面白さに目覚めて、有名監督への道を歩み始めた。 <感想> 終盤の山田真歩の変化が唐突だと思ったことを除けば、テンポも良くてたくさん笑えて、ほとんど文句のつけようがないくらい面白い。 真歩の母親なんて、あんな強烈な出オチは最近見たことない。 映画製作にまつわるハプニングとそれに対する対処のエピソードの数々が面白い、「映画の映画」でもある。 |
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ノラ (意味「野良」、主人公の野良犬のような血筋) | ★☆ | 映画祭(ビデオ上映) | 2010 日 | ドラマ系 | 2010/11/28 | 28 |
<ストーリー> 警察から追われていた少年(染谷将太)を男が自宅にかくまい、彼と娘がボートの修理を手伝わせる。 少年と男たちとは打ち解けていったが、少年は何かに襲われる悪夢にうなされていた。 少年と男と娘がボートが完成して沖に出て、そこで死んだ亡き妻の供養をし、母が死んだのは父のせいだと思っていて父を嫌ってた娘の気持ちも打ち解けた。 しかし、少年は悪夢の原因である自分を虐待した父親(諏訪太朗)への復讐を果たしに会いに行くが、ホームレスになった父の姿を見てやっと復讐の無意味さを知り、どこかへと去って行った。 <感想> 俳優も豪華だったり、撮影にもクレーンを使ったりで、本格的に作られている。 しかし、主人公の心変わりと、それに影響しているはずの父娘との関わり合いのあたりの肝心な部分のドラマが弱くて、全体的にもの足りない。 それに加えて、変に真相を伏せてミステリアスに見せようとするから、思わせぶりな映画に見えてしまう。 |
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焦げ女、嗤う | ★☆ | 映画祭(ビデオ上映) | 2010 日 | ドラマ系 | 2010/11/28 | 27 |
<ストーリー> |
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ゲスト 原題:Guest | ★★☆ | 映画祭(35mm上映) | 2010 スペイン | ドキュメンタリー | 2010/11/03 | 26 |
ホセ・ルイス・ゲリン監督が、『シルビアのいる街で』を上映する映画祭に訪れた際に、街に飛び出して撮りたいと思った様々なものを撮りまくり、時間順につないで出来たドキュメンタリー。 ホテルの部屋の風に揺れるカーテン、ガラスのコップ越しの映像、車中からの横移動の風景など、彼はやっぱり映像センスがいい。 路上で振り付きで歌っている若い女性たちを、品定めをするように望遠レンズで1人1人アップで撮るシーンは『シルビアのいる街で』をほうふつとさせる。 貧しい人々の生活にかなりの時間を割いているところに、元々のドキュメンタリー映画作家ぶりを感じさせる。 |
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ラーヴァン 原題:Raavan、意味:古典叙事詩「ラーマーヤナ」の中の、魔王ラーヴァンによるシータ姫の誘拐のエピソード元にしていることによる | ★★ | 映画祭(35mm上映) | 2010 インド | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/08 | 25 |
ゲリラのリーダーが、敵対する警視の妻を誘拐するが、2人は恋に落ちる…というストーリーなのに、恋愛が軸にならず、ドラマが盛り上がらなくて、ストーリーがボリューム不足。 映像はさすがに綺麗だけど。 |
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FIT | ★★ | 映画祭(ビデオ上映) | 日 | ドラマ系 | 2010/11/03 | 24 |
ざっぱ | ★★ | 上映会(ビデオ上映) | 2009 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 23 |
<ストーリー> 元彼女・陽子をひきずりつつも、陽子の友達・紗枝とつきあっている良弥は、陽子が彼氏と別れたと聞く。 良弥は友人と話し合った結果、陽子の家に行って復縁を申し入れた。 しかし、そこには友人と紗枝もいて、良弥も彼らと一緒に陽子の結婚式の招待状の宛名書きを手伝った。 |
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微温 | ★★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2007 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 22 |
<ストーリー> 町子は、同棲している亮介に、二股をかけている朝子と別れて欲しいという。 亮介は嫌々ながらもそれに従うが、町子と会っても切り出せないで困っているうちに、逆に朝子から別れを切り出される。 実は、朝子が他の男と付き合っていることを突き止めた町子が、朝子に会って亮介が二股をかけていることをバラしていたのだった。 しかし、自分から振ったと言い張る亮介に不満を感じた町子と、どういうわけか朝子を亮介とくっつけようとする朝子の彼の成りすましメールによって、亮介が朝子の家に行き、結局朝子は2人の男を家から追い出し、町子も亮介の家から出て行ってしまった。 |
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体温 | ★★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2010 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 21 |
<ストーリー> 合コンの後、童貞の町田は、女性の千葉を家まで送ることになった。 町田は、片思いをしていた女性ができちゃった結婚をしたことを批判的に愚痴っていたが、千葉の家に上がった町田は、彼女が合コンの参加者の男との間に出来た赤ん坊を育てていることを知った。 元彼に合コンで無視された寂しさから、千葉は同様に振られた町田と、お互いに片思いの相手のことを思いながら上半身裸で抱き合い、しばらくして町田は家を後にした。 |
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此の糸 | ★★ | 上映会(ビデオ上映) | 2005 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 20 |
<ストーリー> 草弥は、自分が好きな朝子が秀のことを好きなのを知っていて、2人がうまくいけばいいと思っていた。 しかし、秀は草弥のことが好きで、草弥の誕生日を3人で祝ったときに草弥に告白した。 朝子は手編みのマフラーを秀にプレゼントして告白したが断られ、朝子は草弥に返されたマフラーをほどく手伝いをお願いした。 その後3人は結ばれないまま、それでも仲良くあり続けた。 |
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最低 | ★★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2009 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 19 |
<ストーリー> 亜紀をストーキングしている男が亜紀の家に仕掛けたビデオカメラの映像の中に、亜紀の同棲相手が他の女と浮気している現場を見つけたストーカー男を片思いする女が、彼の恋が叶うようにそのDVDを亜紀に送って同棲相手と別れさせようとした。 亜紀は妹に代わりに見てくれと頼んだが、写っていたのは実は妹で、彼女はDVDを傷つけて再生できないようにした。 姉妹と同棲相手の3人が家にいるところに、男の別の浮気相手が上がりこんできて亜紀ともめだし、妹は男を「最低」とののしって出て行った。 ストーカー男は片思い女に促されて亜紀に告白しに行くが断られ、亜紀と同性愛手は気まずい関係を続けた。 |
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灰とシーツ | ★★ | 上映会(ビデオ上映) | 2009 日 | ドラマ系 | 2010/11/03 | 18 |
<ストーリー> 15歳の時に家庭教師の女性相手に童貞を捨てたと言う武は、友だちから信じてもらえず、童貞だと思われている。 バイトで友人とその現場の屋上に行った武は、家庭教師と再会し、そのときに妊娠して中絶したと冗談を言われた。 しかし、彼女には小学生の息子がいた。 |
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そこにいてはいけない | ★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2009 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 17 |
<ストーリー> 男女が、自宅へのベッドの搬入中に別れ話をし、運送業者や通りがかりの人たちが2人にからむ。 |
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cataitsutsu | ★★ | 上映会(ビデオ上映) | 2009 日 | ドラマ系、感覚系 | 2010/11/03 | 16 |
<ストーリー> 元彼を家に呼び出した元彼女と今の彼氏は、元彼のストーカー行為を止めるように迫るが、元彼は別の彼女が出来たのでストーキングはしていないと言い、それを聞いた元彼女は、気持ちが元彼の方に傾いていった。 |
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脚の生えたおたまじゃくし | ★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2010? 日 | ドラマ系 | 2010/11/03 | 15 |
ツジキリヒト | ★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2010? 日 | 感覚系 | 2010/11/03 | 14 |
APE | ★★ | 上映会(ビデオ上映) | 2010? 日 | ドラマ系 | 2010/11/03 | 13 |
かみんぐあうと | ★☆ | 上映会(ビデオ上映) | 2010? 日 | フェイクドキュメンタリー | 2010/11/03 | 12 |
銀輪[デジタル復元版・アナログ三色合成版] (英題:Bicycle in Dream) | ★★ | フィルムセンター(35mm上映) | 1955 日 | PR映画 | 2010/05/28 | 11 |
水の幻想 | ★★ | フィルムセンター(35mm<=スーパー8上映) | 1981 日 | 実験系 | 2010/05/28 | 10 |
寒天 | ★☆ | フィルムセンター(35mm<=16mm上映) | 1937 日 | 文化映画系 | 2010/05/28 | 9 |
RHYTHM | ★★ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 16fps上映) | 1935 日 | 実験系 | 2010/05/28 | 8 |
AN EXPRESSION(表現) | ★ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 30fps上映) | 1935 日 | 実験系、アニメ | 2010/05/28 | 7 |
PROPAGATE(開花) | ★ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 16fps上映) | 1935 日 | 実験系、アニメ | 2010/05/28 | 6 |
RIVER | ★ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 16fps上映) | 1933 日 | 実験系 | 2010/05/28 | 5 |
?/三角のプリズム/トランプの爭 | ★ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 16fps上映) | 1932 日 | 実験系、アニメ | 2010/05/28 | 4 |
幾何学模様によるアニメ。 | ||||||
母を迎へて | ★☆ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 16fps上映) | 1931 日 | PR系 | 2010/05/28 | 3 |
田舎から上京してきた母を連れて、主に上野松坂屋に連れて行って楽しんでもらうという設定の、松坂屋の広報映画で、作りはオーソドックス。 |
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街 | ★☆ | フィルムセンター(35mm<=9.5mm 16fps上映) | 1930 日 | 実験系 | 2010/05/28 | 2 |
東京の各地の風景の短いカットをつなぎ合わせたモンタージュや多重露光などの手法を使って、音楽的っぽくリズムで映像をみせようとしている感じ。 異なった場所の映像が速いカット割りで次々と目まぐるしく変わるので、記録映像として見るのは難しい。 |
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頭を上げて | ★★ | 映画祭(35mm上映) | ドラマ系 | 2010/05/01 | 1 |
タイトル | 採点 | 分類 | 更新日 | 累計 |
作品 (日=/米=/英=/スペイン=/香港=)
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