2010 |
観能予習 |
10月24日 (日) |
先代宗家 金剛 巌
十三回忌追善能
金剛能楽堂 午後1時開演
主催: 金剛宗家 後援: 財団法人金剛能楽堂財団 |
連吟 [ 海人 ] キリ
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漆垣謙次 小野芳朗 竹市幸司 山口尚志
吉村輝一 掛川昭二 豊嶋三千春 松野恭憲 山田安造
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本日のチューニングの時間という感じ
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能 [ 定家 ] 墓ノ囃子
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シテ…金剛永謹
ワキ…宝生 閑 則久英志 御厨誠吾
アイ…茂山七五三
大鼓…石井喜彦 小鼓…曽和博朗 笛…杉 市和
後見…廣田泰三 廣田幸稔 豊嶋幸洋
地謡…宇高徳成 宇高竜成 豊嶋幸嗣 田中敏文
廣田泰能 宇高通成 今井清隆 種田道一
■ 小書
「墓ノ囃子」・・・
「ノ」であって「之」でないところに意味がありそう…??
「弥左衛門芸談」(能楽書林)より
能「定家」には小書として、「墓之拍子」「引導」「袖神楽」「露之紐解」「石塔之拍子」「二段半之舞」「五輪砕」「埋留」
がある。 これらの小書全部を演ずるのを、「一式之習」といい、大変重く扱う。
この小書は囃子方その他との打合せが並大抵のことではなく・・・。
「埋留」・・・キリに作り物へ入り、扇で面をかくして下二居の姿となる。地謡の謡がすみ、囃子の残り留となり
シテは脇正面のほうへ作り物から出、これで終了となる。
「墓之拍子」・・・作り物を、いつもより前へ出しておく。シテは左へ一回り、くるりと回る。
地謡の前から大小と作り物との間を通り、前へ出てくるのである。
石塔のまわりをまわることを、とり入れているのであろう。
「袖神楽」・・・序之舞の前に、笛方が神楽の譜の一部分を吹くのである。だたし、神楽になるというのではない。
■プログラムより
『隣忠秘抄』に「此能重々習心持あり」とあり、定家の執心や内親王の訴えを
内親王の典雅さや美しさを通して表現するという一筋縄でいかない大曲で、「能は微妙な芸術」です。
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☆ |
やつれた内親王を想像していたので、白い面が予想より膨らんで見えた。
(泥眼…後日談)。ふくよか気味?の内親王であることが、葛にからまれ、からまれ、石塔に囚われ戻って行くところ、
自分の内奥の声の赴くままという感じが増して、よかった。
僧との問答がたくさんあって、発表会の自分の役のつもりになってしまった。
中入は塔に付いたりせずあっさりと、途中、石塔の回りを廻るだけで、また表に戻ったり(墓之拍子)と、
石塔に対して距離を保っていた分、終りの印象が強くて面白かった。
謡やお囃子より、どうしても石塔周辺に意識がいってしまう、「定家」初観能なのであった。
帰宅してから「弥左衛門芸談」を読み、「墓之拍子」も「袖神楽」も「埋留」も、
みなあったような気がして、小書「墓ノ囃子」は、???のままである。また「定家」に逢いたい。
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狂言 [ 悪坊 ]
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茂山千五郎
茂山あきら 松本 薫 後見…増田浩紀
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☆ |
ずっと好きではない泥酔狂言であったが、少し前、
東次郎さんの悪坊の時から、正対して観ることができるようになった。
曲の雰囲気も昔とは変ってきたように思う。
(本日、1/3の時間は化粧室の行列に消えてスミマセン)
悪坊が目覚めてから、説明系なところもある可笑しさ。明るい。
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仕舞
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「清経」キリ・・・今井清隆
「江口」クセ・・・廣田泰三
「 融 」 ・・・豊嶋三千春
地謡・・・都丸 勇 廣田泰能 松野恭憲 種田恭三
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それぞれで面白かった。今井清隆さんのグリーン(ビリジアン)の紋付、個性的。
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能 [道成寺]
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シテ・・・金剛龍謹
ワキ・・・副王和幸 喜多雅人 永留浩史
アイ・・・茂山正邦 茂山宗彦
大・・・河村 大 小・・・曽和尚靖 太・・・前川光長 笛・・・杉 信太郎
後見・・・豊嶋三千春 豊嶋晃嗣 宇高徳成
地謡・・・和田次夫 今井克紀 豊嶋幸洋 宇高竜成
廣田幸稔 宇高通成 松野恭憲 種田道一
鐘後見・・・金剛永謹
嶋崎暢久 廣田泰能 山田夏樹 重本昌也
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☆ |
侍烏帽子に素袍の正装の、若い方々の舞台であった。
住職の言葉とお囃子の気合で、おおいに盛り上がった。
背に鐘の前縁が当たり、空白の瞬間が無くなったのが残念だが、
動かなかったのが自然で、さすが! 鐘の振動も、銅鑼?の音も、前向き。
これから、評判の“上品”に 気迫の隠し味が加味されると、すてき。
無事終演。 南北東西活路通。
事前の謡のお稽古はむずかしかたったが、面白かった。、工藤師による「定家」「道成寺」の講習が素晴らしかった。
京都滞在で、宮内庁管轄の式子内親王陵墓や、安珍・清姫、道成寺に由来する鐘を保管する円通寺を
訪れることが出来てよかった。
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