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Cat's 観能記  観能復習 2004

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2004 一覧  50音順     
翁 2.15  葵上 梓之出 7.24  葵上 梓之出 無明之祈 長髢 10.30   阿漕 11.13  鵜飼 5.15
内外詣 9.05  歌占 3.14  お茶の水 12.8  杜若 5.15  景清 5.21  鉄輪 10.30
通小町 雨夜之伝 2.15  金札 3.27  国栖 2.4  小鍛冶 9.18  胡蝶 1.31  隅田川 6.19
高砂 2.15 12.8  田村 3.14  経正 2.15  鶴 2.15  道成寺 4.29  融 笏之舞 2.15
鵺 6.25  野守 7.16  羽衣 3.14  半蔀 立花供養 9.18 12.8  紅葉狩 7.16
狂言
因幡堂 12.5  蝸牛 2.4  雁礫 2.15  狐塚小唄入 9.18  木六駄 10.16
金藤左衛門 9.05  首引 7.16  腰祈 11.04  磁石 11.13  佐渡狐 2.15  清水 7.16
末広かり 2.15  千鳥 7.24  膏薬煉 10.16  苞山伏 6.19  塗師 6.25  寝音曲 12.5
禰宜山伏 12.5  萩大名 5.21  八句連歌 10.16  武悪 11.04  仏師 3.14
船渡聟 4.29  文蔵 5.15  箕被 10.30  呼声 2.15



2004 ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
12月8日
(水)
第十二回   
飛天双○能
   
子供能
[九頭龍]
前シテ…悪龍  ワキ…市杵島姫  ワキ…老人夫婦  ツレ…村人
後シテ…龍神とその分身 ワキ…万巻上人 ワキツレ…従者
   ツレ…市杵島姫  間…里人
北陸の九頭竜川ではなく、浜松の地元に伝わる民話を元にした創作能で、芦ノ湖が舞台。 小学生から、中・高・大まで、役もお囃子も地謡も総勢7〜80人?の子供達による大熱演。 よくここまで出来たものと感心。装束に工夫がみられ、好感が持てた。
対談
山崎有一郎  大倉正之助
〔山〕舞台正面のキザハシは何につかわれるか。殿様がご褒美に“垢つきをとらす”とき、 家来が運んで渡すため。後日それを持参すると、ありがたいものに替えていただける。
〔正〕子供能は7年程続けている能楽教室で、始め数人であったのが、今では50人にもなり、 大鼓のお稽古から、能楽全般に渡るようになった。
〔山〕未来へのメッセージ。若い能楽師に、もっと舞台に慣れて欲しい。 昔は宗家に舞台があって、そこで勉強した。内弟子が舞台を磨くことは、今日では、無い。 精神作業がなければ、技術があっても無意味だ。
〔正〕その場に入ったら、その場に従う。子供達も、塾(生活塾)に来るから出来る。
素謡
[ 翁 ]
本田光洋

■ 「40年前、北陸九頭竜川の奥の白山神社のお社で、翁、父ノ尉、三番三に会った。 その後の能面のよしあしを見る基準となったと言える面である。白洲正子氏は、 『どんな無知のものにも、ひと目で平和な落ち着きを与えるもの、見ただけで楽しいもの、 それがお能の真の姿ではないかと、私はこの面を前にして思うのです』と書いている。」  (プログラムより)
しぶーい謡で厳格な感じ。。平和とかおおらかというのは、面や舞で表現するものなのかな。
[三番叟]
三宅右近
笛…一噌幸弘
小鼓・頭取…幸 清次郎 脇鼓…幸 正昭 脇鼓…森澤勇司
大鼓…大倉正之助
狂言で拝見する右近さんはおじさまなのに、今日は若かった。 舞囃子のようなもので、大きな装束に包まれていない分、動きがよくわかって、おもしろい。 三番叟の骨格研究というところ。迫力あった。 お囃子よかった。
半能
[ 高砂 ]
シテ…宇高通成  ワキ…殿田謙吉
笛…寺井宏明  小…幸 正昭  大…上野義雄  太・・・徳田宗久
   
半能
[ 半蔀 ]
立花供養
立花師…岡田幸三
シテ…梅若万三郎  ワキ・・・安田 登
笛…松田弘之  小鼓・・・幸 信吾  大鼓…大倉正之助
   
狂言
[お茶 
 の水]
善竹十郎  善竹富太郎  善竹大二郎

   
仕舞
[玉之段]…香川靖嗣
[笠之段]…波吉雅之
   
一調
一管
一調
「松虫」…松井 彬  小鼓…久田舜一郎
「寝取」…内潟慶三
「張良」…森 常好  太鼓…吉谷 潔
よかった。

舞囃子
[ 安宅 ]
延年之舞
シテ…渡邊筍之助
笛…一噌幸弘  小鼓…幸 清次郎  大鼓…大倉正之助
おもしろかった

  
鼓人之
 うた
大鼓…大倉正之助  太鼓…金春國和
   


  
因幡堂寝音曲禰宜山伏
  <発表会見聞録>
2004 ねこ 観能予習 復習  2001  '02  '03  '04  
12月5日
(日)
第七回 万酔会   
野村万之介門下 発表会  銕仙会能舞台  1:00〜  
[因幡堂]
夫…塩谷沢生  妻…則武孝典
“新妻”が、被きを振り回して「いいえ」をするのが可笑しかった。 気弱そうで、結構ちゃっかりしたような夫の雰囲気がよかった。
[寝音曲]
太郎冠者…福田成生  主…眞鍋廣志
すごーい太郎冠者。素人とは何か。他に本職があるとは勿体無い。 大げさ過ぎない、リアルな大げさ加減で、気持ちよく面白かった。 謡がかすれたり、出たりする変化がとてもよい。今日は抑え目の主人の眞鍋さんの仕草も、 いつものシリアスな感じとは違い、ちょっととぼけてよかった。
[禰宜  
  山伏]
山伏…前田誠司  禰宜…西本直久
茶屋…宮崎亮一  大黒…古屋まゆみ

■ 田楽では、普通の人でなく山伏、天狗、鬼など超人的性格を持つものが、 多く「高足」をしていた。超人的存在は、人間よりも目線の高いところから人間世界を見下ろしている。 高足や竹馬で歩くことは、より高いところに存在し、人の歩幅の何倍も大きな動きができる、 超人的能力を表している。能舞台で、竹馬に乗っているような形を歩き方で表現したのが、 萬狂言の「高足」である。 萬系統だけで、他家ではすり足で歩いている。
味噌田楽や茄子田楽の料理名のルーツは、この田楽の高足である。
    (野村万之丞 著「マスクロード」NHK出版 より)
黒い装束の山伏が、膝を高く上げて歩いて現れたのが印象深かった。 予習が復習になったが、納得。 「鞍馬天狗」は天空を超高速回転の足で渡り、 萬流鬼や山伏は、人間を睥睨しながら超人的歩幅で移動する。面白いですね。
禰宜も睨みを利かせ、山伏と渡り合っていた。最後に持ちこたえられなくて負ける様子が 様式化されていて成る程という感じ。本当に勝負する禰宜は初めて。 今までずっと、泣き虫の禰宜しが知らなかった。 大黒様を連れてくる茶屋は、知恵者なのか曲者なのか、微妙。 大きな体の山伏さん、早めにこそこそと去る姿が、愛嬌があっておかしかった。 宝の槌が、大変大きいのにびっくり。重そう…持っているの大変かも。 以前のプロのは、大黒様が右を向いたり左を向いたりの繰り返しがもたれたが、 今日は、おもしろく見られたのはなぜでしょう。


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11月13日
(土)
国立能楽堂   
普及公演
   
国立能楽堂  1:30〜 
解説
「能と狂言の地獄」…増田正造
 
狂言
[ 磁石 ]
シテ・すっぱ…山本則直
アド・見付の者…山本則俊  アド・亭主…山本則重
ゼニを投げたのは、人買であることが、今日はなぜか、よくわかった。 刀を呑み込むところ、死んだと思って刀を供えるあたり、 どうも、せかせかした感じで、おもしろさいまいち。

金剛流
[ 阿漕 ]
シテ・漁翁・漁師の霊…豊島三千春
ワキ・旅僧…高井松男  ワキツレ・従僧…井藤鉄男  坂苗 融
アイ…山本泰太郎
笛…野口傳之輔  小…亀井俊一  大…石井喜彦  太…小寺左七
後見…豊島訓三  豊島幸洋
地謡…工藤 寛  元吉正巳  今井克紀  豊島晃嗣
     片山峯秀  種田道一  今井清隆  坂本立津朗
よかった。漁翁が幕から現れたとき、今日はすごい!と感じた。 幽霊も、ずっしりとした質量とパワーで、前場からの期待がもっと高まった。 注意深くコントロールされた、雰囲気満点の言葉もよかった。
そのシテの声と異質な透明感のある地謡が、不思議にマッチして重なり合い、 ワキの僧の声もお囃子も、全く違う音色でありながらひとつの舞台となって、 大変面白かった。西洋的音のチューニングから、対極にあるような構成で、 実に興味深かった。シテがシテである存在充分の素晴らしい舞台でした。
あまり楽しくないお話を、こんなに没頭して見ることが出来たのは、意外でした。  「度重なれば顕れる」という言葉が、あちこちで何回も繰り返されるのが、 全体の雰囲気の中で少々幼稚に感じてしまった。


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11月4日
(木)
第14回    
狂言鑑賞会
    
国立能楽堂  6:30〜  主催:狂言愛好社   
ミニ講座
善竹十郎
「狂言の世界」 : 狂言における解雇と再就職について

登場して名乗る位置で上下関係がわかる。中央で名乗るのはえらい人。
「失しょう」と追われて、橋掛りに行くと、部屋を出たことになって、「解雇」。
主人の機嫌が直って、太郎冠者をまた部屋に入れると、「再就職」。「末広かり」の例で。
「文相撲」「蚊相撲」「宗八」は、新規採用。
じつに “あばうと” な、それ自体が狂言の舞台のような講座でした。
「失しょう!」で橋掛りは、叱られた程度ではなくて、解雇であったのかと驚いた。 簡単解雇は、また、簡単再就職で、気まぐれというより、 気持ちのつながりの為せる業と思えるのが狂言のいいところ。 「ここな奴、やるまいぞやるまいぞ」はどうなのでしょうか。
狂言
[ 腰祈 ]
祖父…善竹十郎  卿の殿…善竹富太郎  太郎冠者…善竹大二郎

■卿の殿…山伏のまだ部屋住みの者 (プログラムより)
以前、十郎さんの「泣尼」を拝見しましたが、今回も、もうその体の反り具合や 曲がり具合の変化だけで、むずむず込み上げてくる傑作パフォーマンス。 元の90度曲がった腰になってハッピーエンドが、可笑しい。
狂言
[ 武悪 ]
武悪…善竹忠一郎  主何某…大蔵吉次郎  太郎冠者…大蔵ヘ義
たいへんなシーリアスドラマで、太郎冠者は真剣、年配の武悪は恩にきる一方。 それが、幽霊になった武悪が登場して雰囲気が変わり、あの世への届け物の注文をひとつ、 またひとつと重ねていくうちに、悪戯心の軽妙な悪乗りの口調が面白くなって、 太郎冠者は気が気でない様子。前半すごみをきかせていた恐い主人は、 一緒に行こうと誘われて半べそで辞退。
見ごたえのある舞台でした。太郎冠者大活躍、言葉の抑揚も、動きもよかった。 自分で幽霊の格好を見繕ってくる、という武悪が、黒頭に白水衣で登場し、 随分本格的に用意したのだなと感心した。
この舞台の演者の共演は、初めてだそうです。
『 狂言愛好社は、早稲田大学エクステンションセンター講座「狂言の世界」(講師善竹十郎) を受講した有志で構成されている民間の鑑賞団体です。 善竹狂言会の後援を得て毎年公演を企画しています。 』(パンフレットより)


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10月30日
(土)
第6回    
今井清隆 能の会
    
国立能楽堂  1:30〜   

金剛流
[ 鉄輪 ]
シテ…今井清隆
ワキ…宝生 閑  ワキツレ…則久英志  アイ…山本泰太郎
大…柿原崇志  小…幸 清次郎  笛…一噌隆之 太…観世元伯
後見…宇高通成  山田純夫  見越文夫  工藤 寛
地謡…元吉正巳  坂本立津朗  松野洋樹  片山峯秀
     廣田泰能  種田道一  松野恭憲  廣田幸稔

■面 「泥顔」 「橋姫」(パンフレット)
「橋姫」がよかった。それだけで、全体を、いわばひとことで表しているようだった。
狂言
大蔵流
[ 箕被 ]
シテ…山本東次郎  アド…山本則俊
東次郎さんの「箕被」は2回目。前回は、連歌に没頭して現実を忘れている 零落した教養人で、女形のような声がぴったりの、妻の呼び戻し方だった。 とても雰囲気が出ていて面白かった。 今回は、声も以前より普通人で、 妻の存在もよくわかっている人物のように見えた。 何か、時間的に急いでいるような感じだったのが残念だ。
違った雰囲気を体験できて、実に面白い。一期一会と、つくづく思う。

金剛流
[ 葵上 ]
 梓之出
  無明之祈
 長 髢
シテ…今井清隆  ツレ…今井克紀
ワキ…宝生 閑  ワキツレ…大日向 寛  アイ…山本則俊
大…柿原崇志  小…幸 清次郎  笛…一噌隆之  太…観世元伯
後見…松野恭憲  廣田幸稔  片山峯秀  元吉正巳
地謡…芦田一彦  坂本立津朗  山田純夫  工藤 寛
     松野洋樹  種田道一  宇高通成  廣田泰能

■面 「泥顔」 「般若」(パンフレット)
小書・長髢(ながかもじ)は、赤い長袴に、床まで届くような大変長いかもじ でした。 動く時に、袴の裾を払い、頭を回して髢の先を振り、手続きが大変。 面白かったが、優美と見えて、実は、逆に御息所という人物の現実を表している感じが、 なまなましかった。
ある一つの解釈かもしれないが、終わりは野宮につながる意識に移行して、 心は既にこの場を離れているというのが、かっこいいように思うが、 調伏と生霊の成仏?で、やはり熱めに終わるようだ。
金と銀の鱗箔を使い分けた装束などに、この2曲が続く面白味を感じるが、 鑑賞的には葵上で十分だった。演者の気持ちは殆ど御息所で、“下町の婦人” (パンフレット)への共感は軽いように見えた。それは、鉄輪での打杖の扱いからくる 印象だけではないように思う。

★この公演で、芸術祭優秀賞を受賞なさったそうです。 「関東の部」というのが、 何となく??な感じ。


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10月16日
(土)
第16回   
万之介狂言の会
   
国立能楽堂  1:00〜  
狂言
[膏薬煉]
上方の膏薬煉…野村萬斎   鎌倉の膏薬煉…深田博治

■煉る…火にかけて、こね固めること。
上方と鎌倉という設定が、中世的でよかった。 有り得なーい!の連続で、それでも2人の会話が続いていくところが、すごい。 膏薬が吸うのと、鼻の穴で吸い取るのとの関係を、疑問を抱かずにいたが、 考えてみれば変なのかもしれない。馬や庭石を吸ったり、膏薬の材料が、 海のきのことか、雪を焼いたのとか、竹取物語の宝探しもびっくりのブレンド。 お互いに吸い寄せっこをして、いかにも、吸い口にくっついてしまったかのような動きが 傑作で、鎌倉がより振り回された感じに、負けたのかな?引き分けか?と、 思わず行司さんになってしまった。ゲームはジュースで、マッチポイントがどうも公明正大ではなく、 え?という内に、上方が「勝ったぞ」と去っていったのでした。上方のほうに余裕があり、 遊ぶような声のワザでした。
狂言
[八句  
  連歌]
貧者…野村万之介
何某…石田幸雄
借金魔の声なので居留守を使おうというところが、ほろ苦い。 歌に惹かれて、外から帰ったように声をかけるのが可笑しかった。 連歌の応酬に、緊迫した空気もただよい、盛り上がる。 貧者は純粋無垢?なのか、それなりの思いはあったのか、どうなのだろう。 何某の「いつ派手な催促をしたか、人聞きの悪い!」という怒りに、そうだそうだ、と同感。 恋文と証文の結末が、よくできたものと感心する。貧者が精神的に貧ではないところ、 何某の人を活かす気風のよさ、がいい感じ。
狂言
[木六駄]
太郎冠者…野村万之介  主人…月崎晴夫
茶屋…野村万作  伯父…石田幸雄
道中長かった。牛のハプニングは面白いのだが、繰り返しに疲れた。 茶屋が薪を受け取ったり、残りは売って、代金が冠者のお小遣いになったり、 「承知」という言葉で、そのあたりの背景が何もかも伝わるのが面白い。 同じ舞台で、冠者以外に3人の人物が入れ替わり、それで場面が替わるのがすごい。 冠者と茶屋が馴染みであるような、しみじみとした人間模様がよかった。


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9月18日
(土)
2004年第 3回   
東京金剛会例会能   
国立能楽堂  研修能 11:30〜  例会能 1:30〜  

[経正]
シテ…荒川進
    
連吟
[ 蝉丸 ]…白石隆輔  雄島道夫  田島 弘
あまり、うねらなかった。
仕舞
[加茂]…熊谷伸一
[六浦]キリ…田村 修

地謡…雄島道夫  見越文夫  坂本立津朗  工藤 寛
迫力が… 

[半蔀]
 立花供養
(はしとみ)
シテ…豊島訓三  ワキ…野口敦弘 他2名  アイ…山本東次郎
大…柿原崇志  小…北村 治  笛…中谷 明
後見…松野恭憲  片山峯秀  蓮元早苗
地謡…酒井鴻風  遠藤勝實  大川隆雄  榎本 健
     城石隆輔  松野洋樹  豊島三千春  山田純夫
おもしろかった、いろいろ…。立花は初めて。前場は、正面の一畳台の上に、青い枝と、白い小花と、 濃いピンクのケシのような(トルコ桔梗?)お花が、星型五角形に生けられて、モダンな感じ。地謡もプログラムも 「白い花」を強調しているなか、現れた女(who?)は、ピンクのお花を手向けたのでした。 実際の白い夕顔の花は一つも現れなくて、後に、夕顔の長絹が白く浮き出るのが、 なかなかしゃれていると思う。
賤が家は、橋掛りに、正先を向いて斜めに出されました。半蔀にお花はなく、静かに上げられると、 かわいらしい瓢の実が下がりました。ゆっくりの序の舞、よかった。 間に合わないのでは、と思ったのはいかにも初心者の私で、たっぷりのあとは、 ちゃんと次の場所にいるのでした。足運びの妙。腕も扇も、長い舞をゆったり。 途中、清澄ないい声で「げーにや色に染み」と梅っぽくなったが、その手は桑名の焼き蛤と、 だまされない地謡だった。 可愛く、若い面でした。 笛が始め、ぶびぶびしたが、 その後はきれいだった。大鼓よかった。
僧が、残り花を集めて生けて供養するとか、立花の有無にかかわらず、いい雰囲気の設定。
狂言
[狐塚]
 小唄入
太郎冠者…山本東次郎  次郎冠者…山本則直  主人…山本則孝
おもしろかった。鳴子を紐に下げて二人で引っ張り、稲の実った田を渡っていく、 というのを初めて見た。唄好きの冠者で、ほーいほーいという掛け声もよかった。 群雀がぱーっと飛び立つ感じ。 よく育った稲穂の陰で、カモフラージュの小屋?が見つけにくいというのも、情景がみえるよう。 主人が珍しく使用人思いの善良な人物なのに、縛ってしまって、ちょっと可哀そう。 二人の肩衣が、黒と茶の地色違いに、お揃いの白抜きの萩風模様だったのが珍しく、何か楽しかった。  前の番組の所の者が、次の太郎冠者、というのはヘンな気持ち…。
仕舞
[雨月]…豊島三千春
[歌占]キリ…松野恭憲

地謡…田村 修  山田純夫  松野洋樹  元吉正巳
地謡、よかった。舞は、連続出場で、少し新鮮味がなくなってしまった。

[小鍛冶]
シテ…工藤寛
ワキ…和泉昭太郎?? ワキツレ…藤野藤作  アイ…山本則秀
後見…豊島訓三  田村 修  大川隆雄
地謡…熊谷伸一  雄島道夫  見越文夫  荒川 進む
     田島 弘  坂本立津朗  松野恭憲  片山峯秀
よかった。お坊さんが数珠をじゃらじゃらでないワキの役は、 セリフが珍しく、「羅生門」の時にも思ったが、こういう機会は貴重だ。 宗近も前と後で装束が変わって、素敵だった。
一畳台の鍛冶場で、子狐の冠をつけた稲荷明神が、宗近と相槌を打つところが 大変おもしろかった。子狐丸と銘を入れて勅使に渡すところも、物語的でおもしろい。
前場のテンポがゆっくりなのが意外で、そういえば、童子は、幽玄に近くゆっくりなのかと、 改めて思った。ちょっと眠い。 地謡よかった。笛のメロディーが何かおもしろい感じ。


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9月15日
(水)
東京能楽囃子科協議会定式能   
国立能楽堂  5:30〜   
舞囃子
観世流[東方朔]…山本順之
  大…亀井 実  小…幸 信吾  太…三島元太郎  笛…一噌幸弘
喜多流[鱗形]…友枝昭世
  大…佃 良勝  小…観世豊純  太…観世元伯  笛…槻宅 聡
観世流[藤戸]…梅若万三郎
  大…柿原光博  小…観世新九郎  笛…成田 寛人
    
一調
[葛城] 観世喜之   太鼓…大江照夫
   
狂言
大蔵流
[瓜盗人]
   

   

金春流
[芦刈]
シテ…金春安明

   


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9月11日
(土)
初秋能楽会   
茨城県立県民文化センター 7:00〜   
   
   

    
   

   


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9月5日
(日)
金剛永謹能の会  
東京公演二十周年記念能  
国立能楽堂  2:00〜  
解説
増田正造 (武蔵野女子大学名誉教授)

「内外詣」…『法華経の道を説き舞う』という能の原点に戻った舞である     cf. 「自然居士」では、子供を救うために芸能として舞う。
     「一角仙人」では、美女が仙人をたぶらかすために舞う。
秀忠・頼信(紀州祖)の御声掛りで復元、秘曲であった。
元は石橋の獅子舞
お囃子の「乱序」…深山を表す。牡丹の露が谷に落下して響き、
            その音が戻ってくる情景
能とは、目出度さ、清々しさ、透明感をあらわすもので、 「内外詣」はその本質にせまるものである。
『金剛流宗家・金剛永謹師は立派な太夫で、金剛流は流儀としての和が保たれている。』
    
仕舞
[岩船]キリ…宇高通成
[田村]キリ…松野恭憲
[野宮]…豊島三千春
[猩々]…豊島訓三

地謡…田村 修  坂本立津朗  廣田幸稔  片山峯秀
「野宮」よかった。気持ちが行き届いていた感じ。しっとりと静か。 今まで、のっしのっしが多かったので、意外だった。
狂言
[金藤  
 左衛門]
きんとうざえもん
山賊…善竹十郎  女…善竹富太郎  後見…善竹大二郎

■『“きんとう”とは借金や借りたものをきちんと返済する事だそうです』 (http://tarokaja.com/index.htm 「太郎冠者」のページ 「狂言演目紹介」より)
始めから体格で、女のほうが強そうでした。富太郎さんの女形の声音がよかった。 近頃稼ぎのないヤマダチが、ぴかぴかの豪華スタイルなのが可笑しくて、 やはり、逆襲してきた女に、進呈してしまうのでした。 薙刀も小刀もみな取られて、施ししたことになった追剥の「積善の余慶」は、やせ我慢の泣き笑い。
そっくりなのをどこかで拝見したと記憶をたどると、万酔会の「痩松」でした。
仕舞
[敦盛]…金剛龍謹

地謡…雄島道夫  宇高通成  豊島三千春  田島 弘
龍謹さん、時あたかも16歳、の舞、とのことでした。

[内外詣]
うちともうで
シテ…金剛永謹  ツレ…種田道一
ワキ…野口敦弘  他2名
大…柿原崇志  小…鵜澤速雄  太…金春惣右衛門  笛…一噌仙幸
後見…松野恭憲  山田純夫  廣田幸稔
地謡…遠藤勝實  元吉正巳  見越文夫  工藤 寛
     片山峯秀  宇高通成  豊島三千春  坂本立津朗

30年ぶりの再演。金剛流のみに伝わる曲。神楽・獅子舞など数々の舞が盛り込まれた、芸尽くしの能。 (パンフレットより)


今日は、地謡が静かに意識的に始まり、よかった。


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7月24日
(土)
杉並アットホーム 能・狂言鑑賞会   
杉並能楽堂  2:00〜   
解説
三浦裕子 (武蔵野大学講師・同能楽資料センター研究員)

杉並能楽堂は、明治43年に、東京渡辺銀行の渡辺勝三郎によって(靖国神社に?)建てられたが、 大恐慌の取付け騒ぎで銀行は倒産して、昭和3年杉並に移築された。 (正確に聞き取れていないかもしれません)

狂言に太郎冠者が登場するものは60曲程(全200:大蔵,260:和泉)で、小名ものである。
「太郎」…顕著である、ずばぬけている、という意味がある。
「千鳥」の太郎は、頭がよくて、主人思い。
津島祭…愛知県津島市の夏祭り

「葵上」
源氏物語では、六条御息所は、娘の秋好む中宮の供養を受けて、初めて成仏する。
「葵上」という能の中でなぜ成仏するのか→能が宗教劇であるから
般若の面に光るしずく…御息所だから汗も美しい
始めは美しい人が、取りついて、だんだん変化していく…演じるひとの解釈が深まる所
よかった。狂言とお能の両方について解説があったのが画期的。

昭和2年の「(蔵相の)失言恐慌→東京渡辺銀行の崩壊」という出来事は、 佐高 信 著で駸々堂出版(能楽手帳の元出版社?)にあったが、絶版。
狂言
大蔵流
[ 千鳥 ]
太郎冠者…大蔵吉次郎
酒屋…宮本 昇  主人…榎本 元   後見…星 廣介
いろいろな桶の使い方が、面白かった。酒樽に白い帯がついているのが、ポイント。 仕掛けて様子を見に行く太郎冠者と、のせられている酒屋の主が、扇一つで隔たって 「気がつきません」というのが愉快。

金剛流
[ 葵上 ]
  梓之出
シテ:六条御息所の霊…工藤 寛  シテツレ:巫女…高橋雪絵
ワキ:横川の小聖…安田 登  ワキツレ:廷臣…高橋正光  アイ…大蔵教義
大…安福光雄  小…鵜澤洋太郎  太…大川典良  笛…一噌幸弘
後見…豊島訓三  遠藤勝實
地謡…見越文夫  片山峯秀  元吉正巳
     山田純夫  松野恭憲  坂本立津朗
まず、巫女が登場して、ワキ柱の横に座るまで、ずーっと無言で見所の注目を浴びているのが、 珍しかった。廷臣の紫の狩衣の装束が格調高く雅で、雰囲気が盛り上がる。 大変強い修験者の登場で、これは大ごとになりそう、という感じ。 恨む生霊の登場から、ふっと観念するのは、御息所の内面、「野宮」への精神的変遷を予感している、 という馬場あき子「鬼の研究」で、何かすっきりした。
アット
ホーム
タイム
説明・回答…工藤 寛  大蔵吉次郎  三浦裕子
聞き手…雪乃さずき

◆工藤 寛 師の説明
「泥眼」
「般若」
◆大蔵吉次郎師の説明
「千鳥」の終わりに、馬に乗る描写をするが、「おんま」(馬)は「お酒」の別称で、 それに掛けてもいる。実際に子供の頃使われていた。 
  


2004 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001  '02  '03  '04  
7月16日
(金)
第27回 名曲シリーズ 鬼のお話  
納涼能   
宝生能楽堂  2:00〜 & 6:30   
第1部
ミニ講座

山本泰太郎
例の被征服民族なども登場したように思う。いいお話だったが、原稿の読み方が、 特徴のない話し方で、音声的に記憶にとどまらなかった。
舞囃子
観世流
[ 鉄輪 ]
シテ…観世清和
大…柿原弘和  小…観世新九郎  太・・・桜井 均  笛…寺井宏明
地謡…中所宣夫  岡本房雄
     関根知孝  坂井音重  若松健史
劇になるお声だ。   
狂言
大蔵流
[ 首引 ]
シテ:親鬼…山本則利
アド・鎮西ゆかりの者(為朝)…山本則孝  アド・姫鬼…山本凛太郎
立衆・眷属…山本則重 若松 隆 遠藤博義 山本修三郎 山本則秀
後見…山本泰太郎
おもしろかった。鬼姫は子方でした。「お喰初め」がおかしい。父鬼が、始めから終わりまで、 思い切り人間的なのに笑える。鎮西八郎源為朝、爪を隠し過ぎ。

金春流
[ 野守 ]
シテ:尉・鬼神…金春安明
ワキ:山伏…村瀬 純  アイ:春日の里人…山本の則重
大…佃 良勝  小…幸 信吾  太…助川 治  笛…藤田次郎
後見…横山紳一  大塚龍一郎
地謡…本田布由樹  本田芳樹  金春憲和  中村昌弘
     山井綱雄  高橋 忍  辻井八郎  井上貴覚
ど〜も、癒し系〜という分類なのでしょうか、あのお声は。 笛の一声、きれいな響き。 酸欠でくらくらしないのが信じられないくらいの演奏スタイル。山伏さん、渋い。 怪しげな鬼神の場合には、目もくれないようなすごさ。地謡よかった。若い方々に、 金春の素敵な音が受け継がれていて、うれしい。
  
   
第2部
ミニ講座

朝倉俊樹 他 (宝生流)
紅葉狩の前シテの上臈の着付け実演でした。大口と鱗のあとの部分、 唐織と、髪と、鬘帯、面を着けるところを拝見しました。   
仕舞
喜多流
[ 葵上 ]
シテ…香川靖嗣
地謡…金子敬一郎  長島 茂  中村邦生  友枝雄人
香川さんよかった   
仕舞
金剛流
[大江山]
シテ…豊島訓三
地謡…元吉正巳  片山峯秀  山田純夫  工藤 寛
お仕舞よかった。地謡、上羽のあと、いい響きだったが、その後元に戻り、???状況。
狂言
和泉流
[ 清水 ]
シテ:太郎冠者…高澤祐介
アド:主…前田晃一
後見…金田弘明
よかった。冠者も主人もあっさりめの演技。主人の心の動きがちょっと物足りない。 「主人」という役は、なかなかむずかしそうだ。

宝生流
[紅葉狩]
シテ:上臈・鬼女…宝生英照
ツレ:侍女…大友 順  渡邊茂人  小倉伸二郎
ワキ:平惟茂…森 常好
ワキツレ:従者…舘田善博  梅村昌功  則久英志
アイ:供の女…三宅右矩  アイ:末社の神…三宅近成
大…亀井 実  小…大倉源次郎  太…大江照夫  笛…松田弘之
後見…朝倉俊樹  寺井良雄  野月 聡  小倉健太郎
地謡…高橋憲正  和久荘太郎  小林晋也  水上 優
     佐野由於  亀井保雄  大坪喜美雄  高橋 亘
いよいよ松田さん登場。お久しぶりでーす。
以前、永謹鬼女は、橋掛りの向こう側をよじ登ったが、英照鬼女は、作物の山に登った。 (と思う。記憶が薄れました) あの宝生流も、そういうことをなさるのかと驚いた。さすがに「刺し通し」 のところは、串刺しではなかったが。
 


2004 ねこ 観能予習 復習  2001  '02  '03  '04  
6月25日
(金)
国立能楽堂 定例公演   
6:30〜   
狂言
大蔵流
[ 塗師 ]
ぬし
シテ・塗師平六…山本東次郎
アド・師匠…山本則直  アド・平六の妻…山本泰太郎
笛…藤田朝太郎  小鼓…鵜澤速雄  大鼓…山本哲也
地謡…山本則孝  山本則俊  山本則重
「敦盛」のようだった。実際の言葉は覚えていないが「声を力に来たりたり」 という雰囲気が、しんみり哀れ。それが幽霊ではないとなると、もっと気持ちの 哀れさが込められているようで、ニセ幽霊になる経緯がかなしい。平六幽霊が舞いながら、 師匠のいる脇柱に近づく度に、ここで気がつくのだろうか、涙の再会か、とか 思ったが、そのまま最後まで進んで、幽霊は去っていったのでした。 師匠は、セリフとは裏腹に、わかっていたのではないかと期待する。 幽霊からお酌されるとは、雨月物語が幽霊貸し屋の世界だ。
面を着け、お囃子で本格的に舞う珍しい狂言でした。地謡の塗り物用語尽しは、 シャレがよくわかりませんでした。

金剛流
[ 鵺 ]
シテ:舟人・鵺…松野恭憲
ワキ:旅僧…高安勝久  アイ:所の者…山本則俊
笛…藤田朝太郎 小鼓…鵜澤速雄 大鼓…山本哲也 太鼓:金春國和
後見…金剛永謹  廣田幸稔  片山峯秀
地謡…工藤 寛  元吉正巳  宇高竜成  見越文夫
     山田純夫  種田道一  宇高通成  松野洋樹

■使用面…前:怪士 後:猿飛出
どうもはっきりしない物語だ。可愛そうなのか、哀れなのか、そうではないのか、 よく雰囲気がわからない。退治してめでたしめでたし、とは思えないし。 謡本の、へろへろの筆記体と変体仮名のイメージが出てしまうのだろうか。 『頭は猿、尾は蛇、足手は虎、啼く声は鵺』…かなり無理がある…


2004 ねこ 観能予習 復習  2001  '02  '03  '04  
6月19日
(土)
金剛流   
第16回 潤星会   
国立能楽堂  1:30〜  
仕舞
[笠之段]
[通小町]
    地謡…片山峯秀  工藤 寛  遠藤勝實  荒川 進  望月悦夫
松野恭憲
宇高通成
すごいおじさま味に圧倒された。 どーじゃ、これを見よ! と、笠之段。 続いて、こんなに尽くしたのに、雨の夜だって…と、じわーっと少将。 面白かった。
狂言
[苞山伏]
(つとやまぶし)
通行人…(プログラムでは)野村万之丞…
山伏…野村与十郎? 山人…山下浩一郎?
山伏がいい人で、山人が過激でした。昼寝をしている山人のお弁当に手を出す通行人。 ワラつとにむしゃぶりついて、おむすびに没頭する。一つの大きなおむすびなのでしょうか。 山人が目を覚ましかけると、カラのつとを、近くでまだお昼寝中の山伏の傍にポイ。 で、山伏が潔白の証明のために、通行人に呪文を掛けても変化なし。 所有者の権利のために祈ると、あーら不思議、けけけと去っていく通行人の手足がいうことをきかなくなって、 現場に引き戻され「私です」と白状。かんかんに怒る山人。おにぎりを食べる様子といい、 食べられて逆上する様子といい、かなりシビアなお弁当事情のようだ。 追いかける山人、「そこまでしなくても」「逃げなされ、逃げなされ」と付いて行く、 ノーマルな山伏。お礼に招待されたのは忘れていないみたい…。意外な演技で盛り上がって 面白かった。
舞囃子
[盛久]
豊嶋訓三
  地謡…坂本立津朗 元吉正巳 工藤 寛 熊谷伸一 田村 修 茂木 暁
  笛…中谷 明  小鼓…鵜沢速雄  大鼓…安福光雄
闘う武士や、最期の時を惜しむ公達、またその幽霊、でもなく、 助命されて喜ぶ公達とは、どんな感じなのだろうかと思った。 膝行する描写に、ただそれだけで、その場の人間関係を見るようで、面白かった。 その前に、『死を目前にひかえた達観』(能楽手帖)という部分があるということを 知っていたら、もっと面白く感じることができたのではないかと、予習不足を反省。 今日は、いまいち魔法がかからなかった。見る角度も関係あるのかも。

[隅田川]
シテ:狂女…山田純夫  梅若丸…大隈摩希子
船頭…宝生欣哉  商人…梅村昌功
笛…中谷 明  小鼓…鵜沢速雄  大鼓…安福充雄
後見…豊島訓三  工藤 寛  田村 修
地謡…松野恭憲  宇高通成  坂本立津朗  片山峯秀
     元吉正巳  見越文夫  遠藤勝實  松村哲雄
船を出すとき、船頭の「自分はものを知らないから」という場面が感動的だった。 それがあって、狂女の“狂い”が際立つ感じ。笛の出だしがきれいで、大小の鼓が合っていて、 大鼓の声も、超ド級でなくて安心した。
船頭の語り、かなりよかった。あいだあいだの地謡が盛り上げ、船頭の言葉が盛り上げ、 母親がすっと乗って、ひとつの山になると、悲劇に向かって突き進む。 (すとんと引いてしまうときもあったけど)
梅若丸との始めのすれ違い、ハッと霞を抱き取るような感じが出ていた。 あとは、茫々と草の塚が残るばかり、と地謡と共に熱演。
添えた手を離すと、被った笠がバネ仕掛けのようにぷるるんと揺れるのが残念だった。


2004 ねこ 観能予習 復習  ’01  ’02  ’03  ’04  
5月21日
(金)
能楽 ユネスコ無形遺産宣言  
第二回 記念公演  
国立能楽堂  6:30〜  
狂言
和泉流
[萩大名]
シテ:大名…野村 萬
アド:太郎冠者…野村与十郎?  小アド:館の主…野村万之丞?
後見…吉住 講
どうも、狂言の方々のお名前がわかりません。この物語で、 訴訟が成功して喜んでいるところ、という出だし初めてのように思う。 うきうきしている大名でした。彼が無邪気に、庭石や、梅の枝を見て口にする言葉は、 私の場合、あまり笑えないような、自戒のような感じ。 太郎冠者って、どうしてこう物知りなのでしょう。 今日の冠者は、意地悪や軽蔑ではなく、「恥をかかせたほうが薬になる」 と言葉通りにうけとれそうな感じでした。
一調一管
[唐船]
片山九郎右衛門
太鼓…金春惣右衛門  笛…藤田大五郎
惣右衛門さんの太鼓は柔らかい。

喜多流
[景清]
松門之会釈
シテ:景清…粟谷菊生  ツレ:人丸…長島 茂
ワキ:里人…宝生 閑  ワキツレ:従者…殿田謙吉
大…山本 孝  小…大倉源次郎  笛…杉 市和
後見…内田安信  中村邦生
地謡…金子敬一郎  狩野了一  粟谷明生  粟谷充雄
     塩津哲生  香川靖嗣  友枝昭世  粟谷能夫
明るい橙色と薄い色の段の唐織姿がしずしずと、何か光が進んでくるように現れた。 襟の折り返しが立体的でスマート、一段とあでやかなオレンジの裏が面の背景に映えて、 可憐な乙女の感じ。上前の褄が、斜めの線を描いて三角に上がり、はためく様にしなりながら、 ぴたっと留まっている。かっこいい着付。
お供がいろいろお世話をしている。 送り狼にならなかったまじめな従者。村人が、我々のお情けで生きているという、 さっきの老人景清は、零落というより、むしろ、しゃっきり生きている感じ。 オイデプスのように我と我が目を突くすさまじい出来事は、すでに昔になっていて、 声のする方に首を伸ばすような、ちょっと淋しい一面、桶に腰掛け、えらそうな老人でもある。 菊ちゃん、出だしの声がかすれている。合戦の様子を猛々しさを忍ばせて舞い、 娘と静かに別れる。杖の音を、ぱちぱちとさせながら、 橋掛りをたどって消えていきました。景清なのか菊ちゃんなのか、菊ちゃんなのか景清なのか、微妙。 “境ををまぎらかす”風情。松門の会釈とは、「しょうもんのあしらい」と読むらしい。
地謡、オペラの主役級の重唱という感じ。あまりハモらなかった。
外国の方が多かったのですが、つぶやきの説明やら、何かのテープやら、 ご苦労なさっていたようです。
今日の出店は能楽書林さん。林望、馬場あき子、各氏の「風姿花伝」が並び、 どう読むかのブームなのでしょうか。馬場さんの文庫本にしました。


2004 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001  ’02  ’03  ’04  
5月15日
(土)
東京金剛会例会能   
国立能楽堂  普及能 11:30〜 例会能1:30〜   
お話
蓮本早苗

[田村]
シテ…片山峯秀
ワキ…村瀬 提  ワキツレ…村瀬 慧  有馬 宏  アイ…大蔵千太郎
大…大蔵栄太郎  小…住駒匡彦  笛…内潟慶三
後見…豊島訓三  蓮本早苗  見越文夫
地謡…榎本 健  遠藤勝實  田村 修  荒川 進
     熊谷伸一  山田純夫  坂本立津朗  工藤 寛
仕舞
[八島]
[葵上]
        地謡…荒川 進  見越文夫  山田純夫  田村 修
榎本 健
蓮元早苗

[杜若]
シテ…元吉正巳  ワキ…村瀬 純
大…大倉三忠  小…野中正和  太…小寺佐七  笛…藤田朝太郎
後見…宇高通成  蓮本早苗  遠藤勝實
地謡…酒井鴻風  大川隆雄  見越文夫  工藤 寛
     白石隆輔  種田道一  今井清隆  坂本立津朗  
おとなしくて静かな杜若でした。ワキがいつもと違う感じで、僧ではないとき、 セリフはどう変わるのか気がつかなかった。途中で入ったのが申し訳ないし、残念だ。 弔うという宗教的ありがたみより、杜若を愛でる、杜若がすばらしい、 という物語…かもしれないが、それにしては村瀬純さんのお顔が怖かった…。
狂言
[文蔵]
主人…大蔵彌太郎  太郎冠者…吉田信海
後見…大蔵千太郎

■文蔵・ぶんぞう と 温糟・うんぞう
当時の読み物は、実際に声に出して読まれることを前提にしていた(狂言ハンドブック)
『文蔵』…石橋山の合戦物語。「真田の与一が乳人親に文蔵と答ふる」
『温糟粥』うんぞうかゆ…釈迦が苦行を止めて沐浴し、蝋(月偏)月八日、 菩提樹の下で悟りをひらいたとき、スジャータという村の娘がミルク粥を献上した。
それを偲んで、禅寺で12月8日朝に煮る粥。酒粕(かす)と味噌を加えた粥とも、 昆布・串柿・大豆の粉などを入れた粥ともいい、異説もある。蝋八(ろうはち)粥。
五味粥(ごみじゅく)…小豆など5つのものを入れた粥  (「食う寝る坐る 永平寺修行記」野々村馨 新潮文庫 『蝋八接心』より)

■真田の与一義忠は岡崎四郎義実の嫡男で、源頼朝が石橋山で挙兵した際、その前衛を勤め、 股野五郎と組打ちとなり討死したと言われている。
頼朝は、真鶴岬(まなづるみさき)付近にある「石橋山」に野営した。
主人の語りが段々本格的になり、語感がなかなかよかった。 が、「文蔵と答えた」文蔵が何なのか、全然わからなかった。突然のお粥の出現に驚いた。 那須与一と林与一(俳優)以外に与一がいるとは知らなかった。 話術、語り物の人の声の変化と流れが魅力的。
仕舞
[采女]
[善知鳥]
        地謡…榎本 健  坂本立津朗  種田道一  大川隆雄
今井清隆
豊島訓三
持ち味の違うお仕舞が続いて面白かった。「神遊」の五流のとき、金剛流の後の方が 妙に地味というか、負けて見えて、そちらの良さというところまでわかるに至らなかった。 今日、同じ流派で個性の違いを拝見して、“存在感”というものの不思議を感じた。 訓三さんの、後ろの人々が背景になったかのように浮き出る存在感は、めったにないと思う。 意気揚々としていたり、しょんぼりしていたり、いろいろだが。

[鵜飼]
  無間
シテ…豊島三千春
ワキ…和泉昭太朗  ワキツレ…藤野藤作  アイ…大蔵千太郎
大…亀井忠雄  小…鵜沢速雄  太…大江照夫  笛…一噌庸二
後見…豊島訓三  田村 修  工藤 寛
地謡…荒川 進  雄島道夫  遠藤勝實  熊谷伸一
     田島 宏  山田純夫  宇高通成  片山峯秀
「善知鳥」と「鵜飼」に少し混乱。「無間」というのはアイがないことかな?と 思いつつ観ると、所の者が登場し、「ジモティー即アイ」とは限らないという経験をしました。 鵜を遣うと、おもしろいように魚が捕れ、何もかも忘れて没頭してしまう、という、 そのために簀巻きにされた老人の語りが弾んで不気味だが、わかる感じ。
後シテが閻魔さまなのが、大好き! “地獄よりの使者” が豪快でくよくよしない存在で、 主人公がうじうじしているのが、お能なのだろうか。 通常よりまあ早い出現だった。
せっかく移動した休憩時間が半分消えた。 すぐ始まりますと言われて待ってしまった。ま、過渡期ということですね。
今日の檜屋さんのおすすめは「女郎花」。 今、米国でブームなのだそうです?? あまりご縁がなさそうなお能ですが、読んでみることにしました。


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5月8日
(土)
星の輝き 船橋能楽の夕べ  
サッポロビール千葉工場 岸壁特設ステージ  
6:30〜  
[三番叟]
大鼓…大倉正之助
ズウター
笛…一噌幸弘(田楽笛): 大陸的な広がりを感じさせる3拍子の曲

■「ズウター」…キメのメロディーを口ずさむこと、
         このように響くことから名付けたもの。(プログラム)
一調一管
即興
大鼓…大倉正之助
笛…一噌幸弘
日頃とは気分が変わって面白かった。大鼓方はオートバイに乗って現れ、革ジャンスタイル。 笛方はジープで現れ、黒いロングコートひらひら。広い岸壁にぎっしりの観客の周りをバリバリと通過。
始めの鼓の演奏は、スピーカーがぶーんとうなり、すかっとしなかったところがあるのが残念。 かーんと、いい響きに、若い方感激。
笛はアンデスの「コンドルは飛んでゆく」的雰囲気。 伸びやかな音色と、ぴらぴらぴらとお能では聴けない装飾音技術に拍手。
あれっという内に過ぎる駄洒落もご愛嬌。

一調一管は、大鼓と、笛3本を取り替えての演奏。テンポや強弱の変化の掛け合いがおもしろかった。  終わりが終わりらしくシマったのに感心。

★『能のお囃子は、例外はあるが情景描写ではなく、心の中での動き、鼓動である』(正之助談)
火入れ式
市長、工場長、商工会議所会頭
四拍子
[早舞]
[獅子]
大鼓…大倉正之助  笛…一噌幸弘
小鼓…鳥山直也   太鼓…大川典良
伝統的裃姿で、颯爽と登場。四つの楽器と、それぞれの声の競演。 ベテランのドラマチックな大鼓と笛、エネルギー一杯の太鼓、小鼓の落ち着いた音とリズムが、 いろいろに変化して重なり合うのが面白かった。
★『四拍子は、あるときは太鼓、また、あるときは大鼓、小鼓、笛、というように、主導権が交代する』  『五人囃子は四拍子と謡である』
舞囃子
金剛流

[船弁慶]
シテ…工藤 寛  子方…高橋雪絵
地謡…地頭:豊島訓三  副地頭:坂本立津朗  山田純夫  森川仁惟
全体のなかで、この時間が短かったのを惜しむ声がたくさん聞かれた。
お話のナレーションから朗読劇のようで傑作。船を漕ぎ出すところの弁慶と船頭のやりとりが 地謡の方々で、大変おもしろかった。そこへ、知盛の亡霊が、リフトというか台車というか、 「動く橋掛り」で登場。見るからに普通でない修羅の亡霊の装束や薙刀の劇的効果がすごい。 あたかも、船のかがり火だけが影を映す暗い海原で、 若い武者の闘魂が激しくぶつかり合うように見えて、迫力満点。能楽堂の寂びたお能と また違った、薪能での装束付き舞囃子という、面白いジャンルが誕生したのではなかろうか。 水色の裃のお囃子と地謡、黒紋付に袴の子方、装束の知盛、これが、まさに伝統の「芸」 の見せ方らしくて非常に興味深かった。よかった。

ただ、能楽関係のイベントは、能は能関係者だけ、狂言は狂言だけで開かれ、 まるで別もののように世間に現れているのが気になる。シテもワキもアイも、 お互い同士、ほんのちょっと小話?をするだけでも行き来するような風潮に ならないものかと思う。


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4月29日
(木)

金剛流
第15回   
豊島訓三 能の会別会   
道成寺   
豊島幸洋   
国立能楽堂  1:00〜   
お話
山崎有一郎 (横浜能楽堂館長・能評論家)

近代の金剛流の歴史と、豊島家の特色と歴史。道成寺の見どころ、大鼓の役割、 小鼓の特殊な声、アイの言葉の大切さ、『3ござる』。
 ★道成寺「落ちてござる」、黒塚「見てござる」、籠太鼓「にげてござる」
おもしろかった。金剛流と豊島家についてうかがえてよかった。 家系図とは一味違って有意義だ。 「3ござる」は、雰囲気の出し方のむずかしい間狂言とか。 “直前解説”は インパクトが強い。
また「天女は三保の松原に着地したか」のクイズのおじちゃまに会いたい。
狂言
[船渡聟]
三宅右近  三宅右矩  河路雅義
後見…三宅近成

■ろく 陸 碌
@下に打ち消しの語を伴って、物事の正常でないこと、まともでないこと、 満足できる状態でないこと。  A地面などが水平なこと。平坦なこと。「岩角をろくにならして柱立て/大句数」  Bきちんとしていること。「此のかけ物もろくにかけてもらひたい/狂言・乳切木」  C気分がくつろいでいること。「さあ、ろくにゆるりとゐやと/浄瑠璃・重井筒(中)」
  ろくに居る…楽にしている。あぐらをかいている。
  「迚の事にゆるさせられい。ろくにゐませう/狂言・布施無経(虎寛本)」

★「ろく」は「陸」の呉音。水平なさまをいうのが原義。「碌」は当て字
また「ろくな所に置いた」を調べてしまった。何回聞いてもへん。 船の揺れはいまいち。自分で酒肴を持って独りでムコ入りする若者のお酒を、 脅して飲みたがる船頭は、本気なのか、からかっているのか、複雑。 妻の「前からそのヒゲがいやだった」という場面に、何か救われるような笑い。 今日は、最後に、なぜ舅とムコが舞うのか、つながらない感じがした。 ほのぼのとした和解でもないし…。二人の精神的葛藤? こだわらずに切り替わるところがいいのかも。
舞囃子
[養老]
豊島訓三
大…佃 良勝  小…坂田正博  太…大川典良  笛…中谷 明
地謡…田村 修  工藤 寛  山田純夫  元吉正巳
裃姿の舞台に、今日はそういう日なのかと緊張した。物語に入り込んでいるように見えるのは、 なぜなのでしょう。表情?マの感じ? 独特の雰囲気。
仕舞
[笠之段]
能「芦刈」
豊島三千春
地謡…荒川 進  工藤 寛  豊島晃嗣  榎本 健
何の笠か、「芦刈」の笠であった。所作が多く、決め所がたくさんある。お能を見たくなった。 舞の感じが、以前よりスマート。言葉がちょっとそっけないような…。
舞囃子
[岩船]
金剛永謹
大…佃 良勝  小…坂田正博  太…大川典良  笛…中谷 明
地謡…見越文夫  片山峯秀  宇高通成  坂本立津朗
ほっそりした雰囲気の舞にびーっくり。謡もきれい。次のお能は何でしょう!

金剛流
[道成寺]
シテ…豊島幸洋
ワキ…安田 登  ワキツレ…野見山光政  高橋正光
アイ…高澤祐介  三宅右矩
  鐘後見…三宅右近 三宅近成 吉川秀樹 前田晃一
大…安福建雄  小…大倉源次郎  太…金春国和  笛…槻宅 聡

後見…豊島訓三  山田純夫  見越文夫
地謡…大川隆雄  遠藤勝實  元吉正巳  工藤 寛
     坂本立津朗  宇高通成  豊島三千春  豊島晃嗣
鐘後見…金剛永謹  片山峯秀  田村 修  荒川 進  榎本 健
笛と鼓が素晴らしかった。女の唐織の白い向い鶴の間が螺鈿のようにきらりと光り、 うろこを連想するような怪しさがよかった。声が華奢な感じ。地謡の始まりが、 ひたひたと寄せる「あの感じ」でなかったので、道成寺とは、そういうものなのかなあと思った。


2004 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001  '02  '03  '04  
3月27日
(土)
神遊  
シテ方五流の勢ぞろい  
五流一会  
国立能楽堂  2:00〜   
解説
金春流 高橋 汎   宝生流 高橋 章   観世流 観世喜之
金剛流 今井清隆   喜多流 粟谷菊生

司会…観世喜正
流儀の特徴などをインタビュー
インタビュアーの尋ね方で、ポイントがわかる感じ。
独吟
仕舞
一調
一調
一調一管
[藤戸]高橋 汎
[天鼓]観世喜之
[烏頭]粟谷菊生  小鼓…観世新九郎
[花筐]クルイ高橋 章  大鼓…柿原弘和
[遊行柳]今井清隆  太鼓…観世元伯  笛…一噌隆之
種目別模範演技!
居囃子
[羽衣]クセ
[鶴亀]キリ
居囃子形式による五流の謡いくらべ (ゲストシテ方と神遊囃子方)
順に時がくると後ろに待機して、地謡ごとそっくり入れ替わって継ぐ。 上手につながっておもしろかった。金春流の上音は、時々さらに高くなる感じ。 そこに独特の雰囲気があらわれるのかも。5人があまりにもなめらかなので、 個人の個性なのか、流派なのか、わからない。金剛流の後は、妙に地味に感じてしまう。
舞囃子
[黄渉楽]
舞囃子形式による五流舞いくらべ (ゲストシテ方と神遊囃子方)
観世喜正さんの舞がゆったり丁寧で、脇正から拝見する「サス」手と扇の軌跡が、 大変きれいでした。五流の違いもさることながら、かえって同じであることを感じました。

[金札]
シテ…観世喜正  ワキ…村瀬 純
大…柿原弘和  小…観世新九郎  太鼓…観世元伯  笛…一噌隆之 後見…長沼範夫  観世喜之
地謡…桑田貴志  坂 真太郎  小島秀明
     佐久間二郎  鈴木啓吾  吉川 充
   
おもしろかった。連歌ならぬ、つなげ謡・つなげ舞をどう比較するのか、なかなかむずかしい問題だ。 金春の音の「秘密」を知りたかったが、パズルの一欠けほどの収穫はあった。 また、ちょうど現在、私的課題のサス手の形と動きの良いお手本を、 右横から見るチャンスがあってよかった。流派関係なし。
「5翁勢ぞろい」と「4翁とこれから翁1名」と、どちらがよかったなー、とふと思った。 アクセントがあって、正解だったかも。


2004 最新へ ねこ 観能予習 復習 2001  '02  '03  '04  
3月14日
(日)
金春会定期能    
国立能楽堂 12:30〜    

[田村]
シテ…金春安明
ワキ…殿田謙吉  他2名
大鼓…亀井 実  小鼓…幸 正昭  笛…藤田次郎
アイ…三宅右矩
後見…桜間金記  中村一路
地謡…鈴木武義  金春憲和  本田布由樹  古澤政則
     吉場広明  本田光洋  横山紳一  本田芳樹
田村麻呂将軍は勝ったのだろうか…。独り言のようだった。
狂言
[仏師]
シテ…三宅右近  アド…高沢祐介  後見…三宅近成
印の種類が、あまりにも“らしく”なくて、ちょっとね…。 間に合わなくて、お面だけ正面に向けるのが最高潮。 人を侮るなかれの教訓。

[羽衣]
シテ…桜間右陣  ワキ…和泉昭太朗
大鼓…佃 良勝  小鼓…住駒匡彦  太鼓…大江照夫  笛…中谷 明
後見…金春欣三  正木哲司
地謡…瀧澤孝一  志賀朝男  青木伸夫  飯田芳伸
     鈴木源侍  長谷猪一郎  山中一馬  塚原 明
うっとり。すごい。本当に天人でした。あの見慣れない集団、日本一!  「のーのーその衣は…」という謡い方に、はじめ、金春安明さん再登場?まさか、 とか、ちらと思った。地謡は、天への捧げものという響きで、私がもう10年経ったら、 「ありがたや、ありがたや」と涙が止まらないと思う。素晴らしい。 白地に小つけの花の飛び柄の腰巻で上下ともに白く、天冠は三日月で、 短めの瓔珞も銀一色。面は昔のお雛様。橋掛りの一の松のところで「しおしおと」 シオる手の動きと場所に驚嘆。あのような面からの距離感は初めて。 漁師と一緒に、呆然と見てしまう神々しい哀しみ。
朱色地に金の鳳凰の舞衣に首からすっぽり包まれた姿は、本の写真以外初めて。 衣を受け取る時の手の動きもかっこよかったのですが、舞の腕と手の表現の素晴らしい姿を、 ただただ眺めるのみ。ずっと立っている時にも吸引力が持続し、シテも地謡も魅力的でした。

後見の金春欣三さんは、前回の「葛城」の方だったので、あのような感動的な方は、 どんなところに意識を向けていらっしゃるのかと、興味津津の熱い視線で見学。

[歌占]
シテ…山井綱雄  子方…武田 現
ワキ…森常好
大鼓…亀井忠雄  小鼓…観世新九郎  笛…寺井久八郎
後見…高橋 汎  横山紳一
地謡…岩田幸雄  本田布由樹  中村昌弘  渡辺慎一
     井上貴覚  高橋 忍  辻井八郎  本田芳樹

■予習…「復習2001」 参照
占いの歌は以前自習をしたが、聴きとりにくいので、ストーリーを理解するしかない。 若くして白髪になった現象が、直面でぴったり。地獄の曲舞も謡でわかる。 むずかしいお能だと思う。ずっと待っている子供は大変だが、がんばっていた。 参詣者の、占いを受けるところが雰囲気を作っていた。 全体に、すっきりとした中に重い部分があって、まあよかった。地謡よかった。
今日の展示室は、18〜9世紀能装束と、狂言の面。素襖の並ぶ中に、 18世紀の唐人用のベストのようなのがあった。大きなくるみボタンに、 ステッチのボタンホール。「伯蔵主」は、かなりリアルで すごみのある、キツネがかったもの。
「出店」は能楽書林。「能・中国物の舞台と歴史」(中村八郎)、 梅若さんの写真なので、著者略歴を見ると、現在・観世流梅若会師範、とある。 1910年生まれって、ほとんど100歳!びっくし。昭和63年初版、平成11年再販。


2004 最新へ cat's 観能記観能予習 復習 2001 '02 '03 '04  
2月15日
(日)
2004 都民芸術フェスティバル(東京都助成)参加公演    
式 能    

主催:社団法人 能楽協会  於:国立能楽堂    
第1部 午前 10時〜  第2部 午後 3時〜  
 

宝生流
[翁]
シテ…三川 泉  千歳…亀井雄二
三番叟…野村万之丞  面箱…野村太一郎

大鼓…亀井 実  小鼓…大倉源次郎  荒木建作  古賀裕己
太鼓…三島 卓  笛…藤田次郎
後見…寺井良雄  佐野由於
地謡…小林晋也  水上 優  大友 順  野月 聡
     大坪喜美雄  高橋 章  亀井保雄  朝倉俊樹
後見…小笠原 匡  野村与十郎
翁と笛が合っていた。二人の雰囲気がよかった。鼓、期待したが、どうも冴えてなかった。
三番叟は、声の迫力と歯切れいまいち。

宝生流
[高砂]
シテ…三川淳雄  ツレ…辰巳満次郎
ワキ…宝生 閑  殿田謙吉  大日方 寛
アイ…野村万禄
「浜の真砂は尽きるとも 詠まれる言の葉の数は尽きまじ」でした。
殿田さんのツレが珍しく、そういう“ご関係”とわかった。 姥の箒の目がよくわからなかった。全体にこじんまりした感じ。
狂言
和泉流
[末広かり]
シテ…野村 萬  アド…野村扇丞  小アド…野村祐丞
後見…住吉 講
最近、お名前がわからなくなってきました。
黒地の肩衣の右肩に不思議な図形の部分があり、後姿で、右上に月、左下にフクロウの絵を確認。 お月様が前に少しかかって見えているのでした。狂言の洒落た模様はいつも楽しみ。
それにしても、傘の柄で主人のお鼻ちょんちょんまでしてしまうとは。
詐欺師が策を授けるところ、 ずっと以前の共同社?の、別れかかってふと引き留めて、という演出はその時以来見ないのですが、 どうなのでしょう。黒いひげをはやした詐欺師もおもしろかった。ふと、ほかの演出を思い出しました。

金剛流
[経正]
シテ…宇高通成  ワキ…福王茂十郎
大鼓…山本 孝  小鼓…観世豊純  笛…内潟慶三
後見…廣田泰三  片山峯秀
地謡…田村 修  遠藤勝実  元吉正己  工藤 寛
     山田純夫  今井清隆  松野恭憲  種田道一
宇高さんのことばが聴き取れたのでびっくり。舞がよかったのに、もっとぴっくり。 勇気ある演目だ。いつもと格段に若々しくて、歯切れよかった。
狂言
大蔵流
[雁礫]
シテ…大蔵吉次郎  アド…善竹十郎  大蔵彌太郎
後見…大蔵教義
「がんつぶて」 吉次郎さん、このところしゃがれた声の時が多かったが、今日は、いい声だった。 羽箒とは優雅なのか実用なのか。大名が大げさな態度でなかなか射られないのと、 さっさとつぶてを投げる男の日常茶飯事的態度の違いが面白かった。 仲裁人の「どうせ当たらないから挑戦を受けてやって」というのが、ありがちなことのようで 笑える。

喜多流
[鶴]
シテ…塩津哲生  ツレ…狩野了一
大…柿原崇志 小…幸 昭悟 太…金春惣右衛門 笛…藤田大五郎
後見…中村邦生  金子敬一郎
地謡…井上真也  粟谷充雄  内田成信  大島輝久
     友枝雄人  大村 定  賀川靖嗣  長島 茂

■新作能。土岐膳麿作、喜多実演出で昭和34年初演。「鶴之舞」一噌流藤田大五郎作曲。
どのような鶴にしたかったのか、よくわからなかった。 金春の「初雪」の鶏のほうが共感持てた。 ワキもアイもなく、自家製という感じ。
狂言
和泉流
[佐渡狐]
シテ…三宅右近  アド…高沢祐介  小アド…河路雅義
後見…三宅右矩
テンポが速かった。

観世流
[通小町]
雨夜之伝
シテ…武田宗和  ツレ…関根祥人
ワキ…村瀬 純
大鼓…亀井忠雄  小鼓…鵜澤速雄  笛…藤田六郎兵衛
後見…観世恭秀  片山九郎右衛門
地謡…上田公威  木原康之  浅見重好  津田数忠
     観世芳宏  武田志房  関根祥六  関根和孝  
深草少将がひと暴れしたので驚いた。99夜のうちには雨も風もあったでしょうが、 菅笠姿は、妙に現実的、市井的で、なまなましかった。執心の心より、スタイルに気をとられてしまった。
狂言
大蔵流
[呼声]
シテ…山本東次郎  アド…山本則直  山本則俊
後見…平田悦生
太郎冠者が、徐々に奥に戻らなくなっていくのがおかしかった。高速テンポで息が合っているのが、 またおかしい。あのメンバーがあんなことをしている、というおかしさは、外れているだろうか。 則直さんて血圧高そう。

金春流
[融]
笏之舞
シテ…金春安明  ワキ…高安勝久  アイ…遠藤博義
大鼓…安福建雄 小鼓…亀井俊一 太鼓…小寺佐七 笛…寺井久八郎
後見…本田光洋  横山紳一
地謡…本田芳樹  山井綱雄  井上貴覚  中村昌弘
     高橋 忍  高橋 汎  吉場廣明  辻井八郎
地謡よかった。庭園の老人が、桶をこつーんと潔く!?置いたのが意外だった。 河原左大臣は、確かに笏を持っていた。景色の案内も左大臣も、音声が「お休みなさい」 と言っているようで困った。
今日は、ひとつひとつのテンポが速く、さっさと効率的に終わった感じ。 しかし、自分自身が集中できる山場を持てなくて、疲れた。 曲と流派と演者のあれこれを、まだ知らないせいかもしれない。 五番通しの気分のいい見方ができるまで、がんばってみようかな…。もう無理かな…。


2004 最新へ ねこ観能予習 復習  2001  2002  2003  
2月4日
(水)
国立能楽堂 定例公演   
国立能楽堂  1:00〜   
狂言
大蔵流
[蝸牛]
かぎゅう
シテ(山伏)…善竹忠重  アド(主)…善竹十郎
アド(太郎冠者)…善竹忠亮

■「まいす」= 売僧 (Goo国語辞典)
(1)商売をする僧。仏法を種に金品を不当に得る僧。禅宗から起こった語。
(2)人をだます者。また、人や僧をののしっていう語。 (3)うそ。いつわり。
■カタツムリ(蝸牛)=マイマイツブリ (Google雑学)
マイマイ…(1)「舞ひ」から来ている(廻い、も)
            「舞へ舞へ蝸牛(かたつぶり)」(梁塵秘抄)
       (2)貝の渦巻き状のすじの「巻き巻き」から来ている
ツブリ…丸いの意味
カタツムリ…カタは「堅い」の意味。ツムリ=ツブリ
デンデンムシ…角よ「出よ出よ」と言う意味から。ムシ=虫

<カタツムリに関する寓話>
蝸牛角上(かぎゅうかくじょう)の戦い(荘子‐則陽篇)
魏の恵王と斉(せい)の威王が盟約を結んだところ、斉が一方的に破った。 恵王は斉に刺客を送ろうとするが、賢者、戴晋人(たいしんじん)に、 『かたつむりの左の角に位置する触氏と右の角に位置する蛮氏とが互いに地を 争い戦った』という寓話で、小国同士が争うこと、つまらぬことにこだわって争 うことを聡された。
登場した山伏が腰の後ろにつけている法螺貝が意味深で、愛嬌があって、ぐふっと鼻で笑ってしまう。 カタツムリは昔の日本でもエスカルゴで蛋白源だったというところが面白い。
長身細身のあまり悪質そうではない山伏が「それ、それ」と右手を差し出すと、 一度は目が醒めたかにみえた太郎冠者や、主人まで浮かれ出す。今日は、術が効いたみたい。 主人の「マイスじゃ」の連発に閉口。その都度、きっとインチキとか騙すとかいうことなのだろうと 推測。以前の[蝸牛]では気が付かなかった。 (ここで2002年の観能復習から7.19の[蝸牛]シテ…石田幸雄 アド…竹山悠樹 小アド…深田博治 を見る。 演出が違う。探せるように年毎でも目次を作っておいてよかった、と自画自賛。) やがて山伏に「アそれ」されたまま、 3人で浮かれながら去っていきました。さーて、それからどの辺りで二人が悔しがり、 山伏があっはっはと逃げていくのか、余韻のある楽しい終わり方でした。

金剛流
[国栖]
白頭
シテ…(老人・蔵王権現)松野恭憲  子方…(王)片山隆志
前ツレ…(姥)種田道一  後ツレ…(天女)松野洋樹
ワキ…(侍臣)工藤和哉  ワキツレ…(輿舁)梅村昌功  則久英志
アイ…(追手)大蔵彌太郎  大蔵千太郎

大鼓…亀井 実  小鼓…住駒匡彦  太鼓…小寺佐七  笛…竹市 学
後見…廣田泰三  廣田幸稔  片山峯秀
地謡…工藤 寛  見越文夫  坂本立津朗  元吉正己
     山田純夫  宇高道成  今井清隆  廣田泰能

■清見原の天皇
大海人皇子(631?-686)。第四十代天皇(在位673〜686)。 舒明天皇の皇子。天智天皇の弟。672年壬申の乱で大友皇子を破り、 飛鳥浄御原宮(あすかきよみはらのみや)で即位、684年八色(やくさ)の姓(かばね)を制定し、 飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりょう)を編集させた。天武系は、皇后・持統天皇を通じて 数代続いたが絶えて、天智天皇系に戻る。
眠い時もあったが、面白かった。皇子の輿の屋根が傾いていたのは美しくないが、 落ちていく途中なので、それもいいかも。大海人皇子が吉野に逃れるとき、 食事にも事欠く程という、その現実味というか、苦労を見せようという作りが面白い。 侍臣があまり「食物を下さい」という外見でないのも面白かった。
老人に野人の威厳と貫録があった。応える姥はあっさりと「あらそーかしら」的。 扇の魚もなかなかよくて、裏返すところで密かに笑った。
追っ手がかかったと、皇子は、舟を返してそのなかへ。ここで初めて作り物の舟が、 例のボートの枠だけではなくて、青紫の何かで覆われている理由がわかった。 真似ではなくて、本当に伏せた舟の中に隠れるのでした。そこへ追っ手が槍のようなものを持って登場。 舟には漁師としての名誉がかかっていて、それを覗いて確かめるというなら、 一族孫から曾孫まで呼び寄せるぞ、 と指を折って人数をかぞえてみせる老人。セリフの声も手や面の動きも力強くて、歯切れよくて、 かっこよかった。追っ手はひきさがる。 アイがいなくなってしまって、中入りはどうなるの!? …心配ご無用、老人と姥が “かっ…ぽん…かっ…ぽん” と退場するとすぐ、後ツレの天女が現れ、舞い始めました。
紫の長絹に、すごみ格調天女ではなく、若く可愛い面。数年前の[敦盛]のツレの草刈男の時より、 なめらかで、落ち着いている感じ。 元気で少々重いが爽やかな舞、五節の舞の創始者であるらしい。笛の前に静まると、 ふさふさの白い髪に白い狩衣、全身白装束の蔵王権現が颯爽と登場。 ノルの短い間に見どころいっぱいで、すごい勢いで、迫力“連続左右袖巻”も 見事にきりっと決まって、もうわくわく。よかったー!
とにかく、あの(あまり面白くない、右翼チックな)本が、こんなに立体的に面白い構成と所作なのかと、 感心した。地謡、華麗で繊細で、響きの幅も広く落ち着きがあって心地よかった。 自在に動いて語り続けるという感じ。 始めの頃、老人の野性味と合わないような感じがしたが、皇子もおわしますので、いいのかも。 こちらが笛の方を見ているのか、あちらがこちらを見ているのか、 思わず考えてしまいそうな笛方もおもしろかった。
久々に十分楽しんだ。


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1月31日
(土)
1:00〜
NHK文化センター光が丘PRESENTS    
花に舞い奏でる
   
練馬光が丘IMAホール   

出演/観世流 遠藤喜久ほか/山田流 尾崎秀美芳ほか    
舞台美術 草月流 横井紅炎    
一部
愛好家による競演 箏と仕舞と謡曲連吟
本当に“愛好家”の連吟とお仕舞でした。
二部
高砂のめでたきいわれ 解説 山崎有一郎(横浜能楽堂館長)
高砂を謡おう       指導 遠藤喜久(観世流能楽師)
高砂大合唱(会場のお客様とともに高砂のめでたい一節を謡う)
舞囃子「高砂」  シテ…遠藤喜久  お囃子…能「胡蝶」に同じ
解説…神が降りる松と鏡板の松のお話。氏の「質問箱」と同じでした。
高砂の仕舞は、後ろに下がる所作など少々威力がなくてものたりなかった。
三部
筝曲 越天楽今様変奏  三十絃楽器と箏の合奏
        (日本に数台しかない三十絃の箏による演奏)
仕舞 東北  遠藤六郎 

能 [胡蝶]  (四季の花に戯れる胡蝶の精の物語)
   胡蝶の精…遠藤喜久
   旅の僧…高井松男  一条辺の者…善竹十郎
   小鼓…観世新九郎  笛…松田弘之
   大鼓…柿原光博   太鼓…桜井 均
   後見…遠藤六郎  佐久間二郎
   地謡…遠藤 和久  小島 英明  坂 真太郎  桑田貴志
三十絃は、司会の元NHKアナウンサーが「音域が広くオーケストラと共演できる」と絶賛。 観客は、そういう位置付けなのかと、その説明に頷く感じ。 和ものは宣伝第一の時代なので、多くの人々に触れる手段が優先されるが、 その後の和の見通しが感じられない。

「胡蝶」は、蝶の天冠に赤い長絹が珍しく、背景の大掛かりな生け花の燃える炎の部分に呼応する趣向。 笛の音色と劇的効果が素晴らしく、胡蝶のか弱いイメージを吹き飛ばすようなところがあって、 相当シテに自信がいりそう。梅に会いたいという思いは強く、喜びは大きい、という笛でした。
多分、お仕舞で、筝の伴奏が入るところがありましたが、効果いまいち。
小さめのホールに、ぎっしりの観客の熱気に包まれて、華々しく終わりました。


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