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Cat's 観能記 noh-review 観能復習 2007

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2007 一覧  50音順     
翁 2.18  葵上 梓之出 2.18 5.19  葵上 梓之出・空之祈 6.13   敦盛 6.17   嵐山 白頭 4.14  歌占 5.19   杜若 日蔭之糸・増減拍子・盤渉 7.18  花月 3.17   葛城 大和舞 2.18  車僧 5.19  石橋 連獅子 7.20   俊寛 2.18  高砂 2.18  土蜘蛛 3.14   経正 替之型 2.18  藤 3.17  船弁慶 白波之伝 3.17   松山天狗 三段之楽 3.10  乱 双ノ舞 7.20      

狂言
三番三 2.18  瓜盗人 7.18  蝸牛 7.20  口真似 2.18 3.17  左近三郎 2.18   (嵐山間狂言)猿聟 4.14  宝(寶)の槌 2.18 7.20  千鳥 6.13   茶壷 2.18  塗師平六 3.14  二人大名 3.10  文山賊 5.19   呼声 6.17




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2007 ねこ noh-review 観能予習 
11月05日
(月)
ユネスコによる第一回世界無形遺産の宣言を記念して
能楽
第五回公演
国立能楽堂  6:30〜  (社)能楽協会主催
  
  
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10月16日
(火)
第六回 緑桜会
こころみの会
梅若能楽学院会館
  
  
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9月15日
(土)
平成19年度  第3回 
東京金剛会例会能 
研修能 11:30〜  例会能 1:30〜  国立能楽堂 

[ 鉄輪 ]
シテ…蓮元早苗
ワキ…村瀬 提  ワキツレ…村瀬 慧  アイ…善竹富太郎
大…内田輝幸  小…鳥山直也  太…徳田宗久  笛…八反田智子
後見…豊嶋訓三  元吉正巳  熊谷伸一
地謡…見越英明  田村 修  大川隆雄  榎本 健
    遠藤勝實  見越文夫  坂本立津朗  山田純夫
    
連吟
[咸陽宮]
城石隆輔  雄島道夫
   

[ 半蔀 ]
シテ…工藤 寛
ワキ…村瀬 純  アイ…大蔵吉次郎
大…國川 純  小…大蔵源次郎  笛…槻宅 聡
後見…豊嶋訓三  見越文夫  高橋雪絵
地謡…榎本 健  田村 修  遠藤勝實  熊谷伸一
    雄島道夫  廣田幸稔  種田道一  山田純夫
蔀戸が開く間の景色の変化、何回見ても面白い。閉まって消えていく風情もなかなか。 白い長絹が舞うのが、源氏が惹かれた夕顔の霊なのか、夕顔の花の精なのか、幻想的。
狂言
[鳴子  
  遣子]
茶屋…善竹十郎  男…善竹富太郎  大蔵ヘ義
  後見…宮本 昇
「やるこ」という言葉は、本当にあるのだろうか。 判定者が、賭けた物を「中から取る」物語だが、故事を説き、教訓を垂れる。 男たちそれぞれが茶屋の主の買収をはかるところが、お互いに見えないことになっているのが可笑しい。
仕舞 [通小町] 松野恭憲
[ 松風 ]  豊嶋訓三
     地謡…大川隆雄  山田純夫  種田道一  坂本立津朗
通小町の扇が、黒地に金の竹、裏面は丸い金の月ですごい貫録。

[ 黒塚 ]
シテ…元吉正巳
ワキ…宝生欣哉  ワキツレ…梅村昌功  アイ…善竹大二郎
大…大蔵正之助  小…野中正和  太…櫻井 均  笛…内潟慶三
後見…廣田幸稔  遠藤勝實  蓮元早苗
地謡…田村 修  熊谷伸一  見越文夫  大川隆雄
    城石隆輔  坂本立津朗  松野恭憲  工藤 寛
糸繰りの華やかな言葉の並ぶ歌も闇に消え、辛い、淋しいと境遇を訴え掛けられた。 じーんとくる感じ。間で、能力の見たさのつのる執着心と、僧の冷静さが面白かった。
蔀戸と部屋の戸と、もの越しに見る面白さをかもし出す作物が楽しめた。


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8月5日
(日)
第二十三回 東京公演 
金剛永謹 能の会 
午後1:30 開演  国立能楽堂 
解説 金子直樹 (能楽評論家)
世阿弥が、雅楽で行われていた「序破急」、舞のある大曲の影響を受けて、 1曲中にも、1日の番組編成にも序破急がある構造にした。 「神」から「鬼」へ、そしてまた「神」に戻る。『神の能は鬼の能の延長にある(世阿弥)』。 竜は弁財天(神)と結婚したり、荒れるので竜「神」になったり…。
「龍神揃」は東京では、百数十年前の宝生?以来の公演である。 「龍神」は普通、興奮を表わす「早笛」であるが、今日はそれを重々しく演奏する。 入唐渡天(天竺)意味なしと、日本が一番という国粋主義で論じられるが、「青い鳥」のようなもの。
狂言
和泉流
[ 咲嘩 ]
さっか(和泉流…察化)
太郎冠者…野村万作
主…深田博治  咲華…野村万之介
「咲嘩」とは詐欺師など好ましくない人物の隠語、と語られていました。 狂言「口真似」のお客は酒乱の男、「咲華」のお客は詐欺師で、 内容は同じようだが、普通に暮らしている“有名いんちき氏”という設定が、 なんだか社会的にチクンとする感じ。 主人と、伯父を演ずるすっぱの初対面の挨拶など、怪しい関係でも、 体面と礼儀を重んじ、波立たぬようにカバーする言葉の知恵の文化が興味深い。

金剛流
[春日  
  龍神]
   龍神揃
シテ…金剛永謹  前ツレ…今井克紀
龍女…金剛永謹  廣田泰能
龍神…廣田幸稔 豊嶋幸洋 豊嶋晃嗣 宇高竜成 片山峯秀 工藤 寛
ワキ…宝生欣哉  アイ…石田幸雄

大…亀井広忠  小…大倉源次郎  太…小寺佐七  笛…松田弘之
後見…豊嶋訓三  見越文夫
地謡…田村 修  元吉正巳  坂本立津朗  遠藤勝實
    山田純夫  今井清隆  松野恭憲  田中敏文

■ 八大竜王 (goo辞書)
仏法を守る八体の竜神。 難陀・跋難陀・娑迦羅・和修吉 (わしゆきつ)・徳叉迦・阿那婆達多・摩那斯・優鉢羅 の称。 雨や水に関係するとされることが多い。八大竜神。
おもしろかった。『八大竜王が百千の眷属をひきつれて現れ』、 舞台から橋掛りの幕前までずらりと勢揃い。まだまだ後ろに何千もの帰依した?家来がぎっしりいる勢い (…どんな生物なのだろうか)。 あたかも6竜が一匹の龍のように、頭から跳ねたり、尻尾から跳ねたりウェーブして、元気に泳ぎ回っていた。 龍女の相舞も龍神2匹の相舞も、よかった。龍王が白頭に頂く龍の大きく盛大なこと。
面がすごい。彫りの陰影が素晴らしく、目や頬の立体具合に威厳があった。 プログラムにその画像があるのが画期的。
  前シテ…小尉・小牛作 室町時代
  後シテ…鼓悪尉(つづみあくじょう)・赤鶴作 室町時代
他に、
龍女…泥眼 ニ面・河内作、 龍神…黒髭・河内作と近江作 & 釣眼(つりまなこ)・洞水作、 などが使用されているらしい。

「唐天竺へ、行くのか!行かないのか!さあ!いかに!」と立派な杖で地を突きながら詰め寄るところ、 威厳と迫力あった。明恵上人たじたじ。上人の生涯のいつ頃を想定しているのだろうか。 西行法師や明恵上人の人物像って、むずかしそう。 『僧が偉大であればあるほど、能の中で、その僧に影響を与えた龍神が大きく見える仕掛』(プログラム)。
末社の神(石田幸雄)も語り方がそらさない感じでよかった。
お囃子のみなぎる力、素晴らしい。前場の宮守の翁とお供の説得の間も、 神のパワーを送り続けるような後ろからの響き。 (blogねこ草より)


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2007 ねこ noh-review 観能予習   
7月20日
(金)
第三十回 
納涼能 
第一部・2:30〜 第二部・6:30〜  宝生能楽堂  能楽協会主催 
舞囃子
観世流
[ 高砂 ]
 八段之舞
観世清和
大…亀井 実  小…観世新九郎  太…小寺真佐人  笛…一噌仙幸
地謡…角 幸二郎  藤波重彦
    浅見重好  関根祥六  関根知孝
  
仕舞 喜多流[田村]キリ…友枝昭世
      地謡…友枝雄人  長島 茂  中村邦生  狩野了一
金剛流[羽衣]キリ…豊嶋訓三
      地謡…田村 修  見越文夫  坂本立津朗  遠藤勝實
宝生流[三輪]キリ…近藤乾之助
      地謡…東川光夫  今井泰行  金井雄資  辰巳満次郎
こうして流派が揃うと、地謡の謡いくらべのような様相を呈する…。
狂言
和泉流
[ 蝸牛 ]
シテ・山伏…野村万蔵  
アド・主…吉住 講 小アド・太郎冠者…野村扇丞 後見…山下浩一郎
法螺貝の貝殻が早めに退場してしまうのが残念。 “笑み”で押し切るのが面白かったが、山伏的にはどんな人格なのだろうか。

金春流
[ 乱 ]
 双ノ舞
シテ・猩々…金春安明  ツレ・猩々…高橋 忍
ワキ・高風…村瀬 純
大…柿原崇志  小…曽和正博  太…観世元伯  笛…寺井宏明
後見…櫻間金記  井上貴覚
地謡…金春憲和  山井綱雄  本田芳樹  中村昌弘
    吉場廣明  高橋 汎  横山紳一  辻井八郎

■ 「乱」(みだれ)…独特な足づかいをして舞を舞う特殊演出の時の曲名。
  「双ノ舞」…猩々が二人(シテ・ツレ)出て舞う演出。(プログラムより)
面白かった。ツレの猩々が若々しく進行して、シテの猩々は橋掛りで葛桶に腰掛けたりしながら、 場を引き締める感じで、一緒に、はたまた別々に、時に波の上を走り、楽しく遊ぶのでした。 同じに居ながら、所作がさっと別れてお酒を注いだり、動きの構成が素晴らしい。 高風を愛でて喜んでいる不思議な生きものという感じ。 大ノリのところの謡が流派で違うのが珍しかった。
   
舞囃子
金剛流
[ 鶴亀 ]
金剛永謹
大・安福建雄  小・古賀裕己  太・桜井 均  笛・寺井久八郎
地謡…工藤 寛  元吉正巳
    片山峯秀  山田純夫  坂本立津朗
  
仕舞 観世流[八島]…梅若万三郎
      地謡…長谷川春彦  小川博久  武田宗和  弘田裕一
金春流[東北]キリ…本田光洋
      地謡…山井綱雄  吉場廣明  辻井八郎  本田布由樹
喜多流[笠之段]…香川靖嗣
      地謡…友枝雄人  長島 茂  中村邦生  狩野了一
   
狂言
大蔵流
[寶の槌]
シテ・太郎冠者…大蔵千太郎
アド・主…大蔵基誠  アド・すっぱ…吉田信海  後見…大蔵彌太郎
やっぱり、最後のオチがなかなか聞き取れないが、新築の槌音で目出度く終った。

宝生流
[ 石橋 ]
 連獅子
シテ・白獅子…田崎隆三  シテ・赤獅子…宝生和英  ツレ(尉)・朝倉俊樹
ワキ・寂昭法師…宝生 閑
大・亀井忠雄  小・幸 正昭  太…金春惣右衛門  笛…一噌隆之
後見…佐野 萌  金井雄資
地謡…変更あり

■ 「連獅子」…白獅子・赤獅子の親子獅子二匹
牡丹の立つ一畳台が2つ正面に横に並び、 もう一つがそこから脇正に向かって斜めに繋いで出された。 前場付き。老人がじ〜んわりと長かったが、橋掛りに向かい合ったお獅子の、どん・どん という 迫力ある揃った足拍子に、期待が爆発した。よかった。前置きの時があったからなお映えたに違いない。 獅子頭の反る加減のめりはりが正確でリズミカルで見事。斜に開いた橋をがっしと横向きに渡る赤獅子。すごー。 中心の白い(?)牡丹の下には横枝があって、まず白獅子が次に赤獅子が、そこに足をのせ遠くを睥睨する風情。 終始体全体に威厳のある動きで、まさに『荘重華麗、豪壮絢爛』(プログラム)。 そしてまた、どん・どんと轟かせ去っていったのでした。雲のかかる聖域の橋に現れた格調あるお獅子でした。
納涼能30回を記念して「祝い」に因む選曲、とありました。 2部それぞれに五流揃った番組。(人員配置が大変そう?)

プログラム・ミニ知識…「一回に懸ける」
武士が芸能の中で『…能楽だけをみとめたのは、能楽が一回の公演を原則としていて、 そこへ込められる精力が、それだけ実際の行動に近い一回性に基づいている、 といふところにあろう。(三島由紀夫)』…やり直しのない、一回に懸ける精神性。


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2007 ねこ noh-review 観能予習 
7月18日
(水)
定例公演
国立能楽堂  6:30〜
狂言
大蔵流
[瓜盗人]
シテ・男…大蔵吉次郎  アド・畑主…大蔵彌太郎
今日の地獄の責められ役はソフトで、本当に瓜盗人の村人がお祭りの練習をしている感じ。 以前の三宅右近さんの責められ役は、練習でなくて地獄の現場中継のように真に迫っていた。 それぞれで面白い。 (blogねこ草 同文)

金剛流
[ 杜若 ]
  日蔭之糸
  増減拍子
    盤渉
シテ・杜若の精…今井清隆  ワキ・旅僧…高安勝久
笛…一噌隆之  小鼓…幸 正昭  大鼓…柿原崇志  太鼓…桜井 均
後見…宇高通成  片山峯秀  今井克紀
地謡…遠藤勝實  見越文夫  元吉正巳  工藤 寛
    山田純夫  種田道一  松野恭憲  廣田幸稔

■ 小書
<日蔭之糸>
初冠に梅を挿し、日蔭の糸を垂らす。日蔭の糸は数段に編んだ紅色の絹紐で、 古代新嘗祭等の神事に、冠の左右に垂れたもの。元は日蔭葛という多年生常緑草を用いたが、 後に紐で代用するようになった。
<増減拍子>
クセの始めの陽の句「(ひとたびは)栄え」に陰の足拍子(軽く)、 陰の句「(ひとたびは)衰ふる」に陽の足拍子(強く)を踏む。陰陽の調和をあらわしたもの。
<盤渉>
序之舞が盤渉調となる。盤渉(ばんしき)とは、
@日本音楽の音名。十二律の10番目の音。中国十二律の南呂(なんりよ)に相当し、 音高は洋楽の「ロ・B」(ロ♭・Hの説明もあり)。
A能楽囃子の笛の用語。低い方から六番目の指孔。 また、各旋律句がその指孔の音で終わる曲を「盤渉の曲」という。笛の盤渉調は「水の調子」といわれる。
           (金剛流謡本、弥左衛門芸談、goo辞書 より)
ちょっといかつい旅僧がぐんぐん杜若の沢辺を作り上げていく言葉の力と、 場所を生み出す視線が素晴らしかった。観客がその気になったところに不思議な存在感の女人登場。 かすかになまめかしく、どこか中性的に冷えている面差し。唐織の朱の段織に帆掛け舟とお花が散らしてある。 一語一語区切るような言葉はなぜなのだろうか。やがて立ち現れた杜若の精は、 紫地にほとんどを占める金通しの地紋がきらきらした長絹をまとい、腰巻の紅い裾との映りがあでやか。 初冠の黒い針状の房に両頬を挟まれて、何か憂いを含んで甘くもの言いたげな、 でもどこかひんやりした表情で、地謡にのせてふんわりゆったり時に激しく、舞に継ぐ舞。 盤渉というのは面白い笛でした。キリは橋掛りに行ったり、お仕舞とは違うお能の構成が素敵だった。 「蝉の唐ころも」はツヨギンでもスゴみ過ぎない、雰囲気というものがわかった。 「杜若」についてのいろいろな講義はさて置き、「○○の精」という存在が感じられる舞台でした。
今日は、面の表情が意外なもので、印象に残った。孫次郎とは思えない。
プログラム、特集(村瀬和子)の『雪の杜若』、素敵な話題だ。 (blogねこ草 同文)
国立能楽堂展示室は「作物」。いろいろ間近で実際の大きさがわかってよかった。 象徴的なようでいて、現実的でよくできている。鉄輪の祭壇に烏帽子とかもじが並んでいたので成程と納得。


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2007 ねこ noh-review 観能予習 
6月17日
(日)
杉並能楽鑑賞会 
杉並能楽堂  2:00〜 
解説 三浦裕子(武蔵野大学講師)
「敦盛」は世阿弥作。源平の名ある人を花鳥風月にことよせて能にする。 平家は貴族化し、文芸に秀でるものが多かった。 敦盛は清盛の弟の子。祖父(=清盛の父・知盛)が鳥羽天皇より「小枝」(さえだ)の笛を下賜され、 父から敦盛へと伝えられた。 大和田建樹は能に造詣が深く、小学唱歌「敦盛と忠度」(「青葉の笛」)を作詞して青葉が有名になった。 草刈男には、青葉の笛が合っている。 「十念」とは南無阿弥陀仏を10回唱えること。法然の浄土宗は新興勢力の武家に受け入れられた。
太郎冠者は下人で、主人の所有物である。
狂言
大蔵流
[ 呼声 ]
(よびこえ)
太郎冠者…大蔵吉次郎  主…宮本 昇  次郎冠者…榎本 元
    後見…星 廣介
おさぼりを追求する前段階に時間をかけるのが可笑しい。 なんとか節の違いに耳を凝らす感じ。浮かれて巣から現れる野ネズミを 待ち構えるイタチのようだが、人間味があって、ちょっと温かい。
語り
「 敦盛 」
久保厚子
演目として面白いが、今回は解説と重複する雰囲気が長く、 前回のような変化の面白さを期待してしまったので、気持ち的に盛り上がれなかった。 内容が負修羅の悲劇なので仕方ないのかも。

金剛流
[ 敦盛 ]
シテ・草刈男・敦盛の霊…工藤 寛
  ツレ・草刈男…高島陽一  麻加関壱
ワキ・熊谷次郎直実出家し蓮生法師…高橋正光
  アイ・所の者…大蔵ヘ義
大鼓…大蔵栄太郎  小鼓…鳥山直也  笛…小野寺竜一
後見…豊嶋訓三  片山峯秀  見越文夫
地謡…田村 修  元吉正巳  遠藤勝實
    坂本立津朗  松野恭憲  山田純夫
ずっと前、国立能楽堂の金剛流「敦盛」のとき、草刈男達にすごーい存在感があって、 去ったあとの寂寥感が際立ち、残された草刈男実は敦盛と蓮生法師の周囲に漂うごく短い静寂がよかった。 その後、なかなかその雰囲気に会えない。地謡「捨てさせ給うなよ」というところ、しーんと響いて とてもよかった。クセとキリで、敦盛の若武者姿の動きががらっと変るのが素晴らしい。


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2007 ねこ noh-review 観能予習 
6月13日
(水)
囃子科協議会定式能 
国立能楽堂  5:30〜  
舞囃子 宝生流[巻絹]五段神楽…金井雄資
   地謡…澤田宏司  高橋憲正
      高橋 亘  今井泰行  小倉健太郎
大…高野 彰  小…鳥山直也  太…桜井 均  笛…一噌幸弘

観世流[二人静]…藤波重彦  藤波重孝
   地謡…安藤貴康  谷本健吾
      浅見慈一  小早川 修  岡田麗史
大…上条芳暉  小…野中正和  笛…一噌隆之

観世流[ 砧 ]…観世銕之丞
   地謡…武田文志  武田友志
      長山桂三  浅井文義  馬野正基
大…國川 純 小…観世新九郎 太…小寺佐七 笛…藤田朝太郎
数年前、初めて金剛流舞囃子「巻絹」を鑑賞した時には長くて撃沈しそうになったが、 今日は型や動きに惹かれた、宝生流なのに…。「弥左衛門芸談」に、昔金剛から宝生に婿入りした方が 巻絹を持参したとあった。 「二人静」は、重なりで微妙にずれた動きのあと合うところが面白かった。 「砧」渋かった。 上条芳暉さん初めて?
一調
観世流
[歌占]
武田志房
北村 治(小鼓)
言いにくい言葉の連続
狂言
大蔵流
[千鳥]
太郎冠者…山本東次郎  主…山本則秀  酒屋…山本則俊
   後見…遠藤博義  働キ…若松 隆
酒樽を持っていこうとすると、 「別なおもしろい話にしよう」というのが可笑しかった。

観世流
[葵上]
  梓之出
  空之祈
シテ…浅見真州  ツレ…浅見慈一
ワキ…森 常好  ワキツレ…森 常太郎  アイ…山本泰太郎
後見…小早川 修  観世銕之丞
          働キ…則久英志  働キ…安藤貴康
地謡…谷本健吾  長山桂三  武田文志  武田友志
    馬野正基  浅井文義  武田志房  岡田麗史
大…安福建雄 小…幸 清次郎 太…三島元太郎 笛…寺井久八郎
多田富雄氏の最近の本に絶賛されている方なので、さあ如何に!と臨んだ。 般若になって、生きいきしてきた。後半よかった。
シテ、ワキとお囃子の他に、『御地割』、ワキツレ、働キのプリントがあったのが画期的! 『働キ』という分類、初めて。


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5月19日
(土)
2007年第2回  
東京金剛会例会能  
国立能楽堂  普及能 11:30〜 例会能 1:30〜  
普及能
[ 車僧 ]
シテ…田村 修  ワキ…野口能弘  アイ…吉住 講
大…大蔵栄太郎  小…森 貴史  太…大川典良  笛…藤田次郎
後見…豊嶋訓三  山田純夫  見越し文夫
地謡…見越英明  大川隆雄  熊谷伸一  榎本 健
    遠藤勝實  坂本立津朗  工藤 寛  元吉正巳
筋書きが面白い。僧がさっと手で払うところ気迫があった。
仕舞 [蝉丸]道行…遠藤勝實
[鵜飼]  …榎本 健

  地謡…雄島道夫  工藤 寛  坂本立津朗  元吉正巳
    

[ 歌占 ]
シテ…宇高通成  子方…松田直也
ワキ…殿田謙吉
大…柿原 崇志  小…亀井俊一  笛…中谷 明
後見…松野恭憲  見越文夫  蓮元早苗
地謡…大川隆雄  遠藤勝實  雄島道夫  熊谷伸一
    元吉正巳  種田道一  今井清隆  工藤 寛
重々しい占い師だった。地獄巡りよかった。
狂言
[文山賊]
ぶんさんだち?ふみやまだち?
野村万蔵  野村扇丞
 後見…吉住 講
山賊もこの世に未練があると、弱めになるのが面白い。
仕舞 [忠度]…種田道一
[江口]キリ…今井清隆

  地謡…大川隆雄  山田純夫  松野恭憲  見越文夫
    

[ 葵上 ]
梓之出
シテ…坂本立津朗  ツレ…蓮元早苗
ワキ…野口淳弘  ワキツレ…野口啄弘  アイ…山下浩一郎
大…高野 彰  小…住駒匡彦  太…観世元伯  笛…松田弘之
後見…豊嶋訓三  遠藤勝實  高橋雪絵
地謡…榎本 健  熊谷伸一  見越文夫  田村 修
    城石高輔  元吉正巳  山田純夫  工藤 寛
臣下に殿上人の風情があってよかった。 巫女は神懸かった感じで雰囲気満点の始まり。 鬼の何気ない?すらっとした立ち姿に、やんごとない前身?本体?を感じた。 笛、空気の流れに力があってよかった。


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4月14日
(土)
国立能楽堂普及公演  
1:00〜  国立能楽堂  
解説 蔵王権現と桜…神田より子
役小角の前鬼・後鬼という行者の世話係の子孫がずっと任務を続け、 最近まで吉野に実在したというのが面白かった。蔵王権現と修験道、 吉野の青い権現像が桜の木で造られたので桜が神聖になった、などなど。 灌頂、稚児灌頂、即位の儀式など興味があったが、今日も「灌頂」という語が出た。 ファッションいまいち。

金剛流
[ 嵐山 ]
  白頭

 間狂言
大蔵流
 [ 猿聟 ]







シテ・老人・蔵王権現…松野恭憲  前ツレ・姥…工藤 寛
後ツレ・木守神…豊嶋晃嗣  勝手神…豊嶋幸洋
ワキ・勅使…飯冨雅介  ワキツレ・従臣…橋本 宰  藤野藤作

オモアイ・聟猿…大蔵千太郎
アドアイ・舅猿…大蔵彌太郎  子方・姫猿…大蔵彩乃
アドアイ・太郎冠者猿…大蔵基誠
  立衆・供猿…大蔵ヘ義  善竹隆司  善竹隆平
          宮本 昇  榎本 元  吉田信海
アドアイ・樽持…大蔵吉次郎

笛…中谷 昇  小…幸 信吾  大…佃 良勝  太…小寺佐七
後見…金剛永謹  廣田幸稔  廣田泰能  宇高竜成
地謡…見越文夫  片山峯秀  坂本立津朗  元吉正巳
    山田純夫  種田道一  今井清隆  今井克紀
大変面白かった。不動の黒い面が不気味で凄みがある。 お猿の猿(人間)関係、猿(人間)模様が楽しかった。聟は芸達者で、 姫(子方)は可愛いらしいが、しっかりした雰囲気。言葉というのは態度や音声によって 伝わるというのがよくわかる猿語でした。木守と勝手の神の相舞、よかった。


2007 最新へ ねこ noh-review 観能予習 復習 2001 '02 '03 '04 '05 '06 '07
3月17日
(土)
平成19年度 第1回  
東京金剛会例会能  
国立能楽堂  
研修能
[ 藤 ]
シテ…榎本 健
ワキ…御厨誠吾  ワキツレ…梅村昌功  高井松男
アイ…大蔵基誠
大…内田輝幸  小…住駒匡彦  太…小寺眞佐人  笛…栗林祐輔
 後見…豊嶋訓三  見越文夫  高橋雪絵
 地謡…見越英明  大川隆雄  雄島道夫  田村 修
     遠藤勝實  坂本立津朗  元吉正巳  工藤 寛
藤の精の舞。
仕舞 [岩船] 大川隆雄
[羽衣]クセ 蓮元早苗
[国栖]キリ 田村 治
   地謡…遠藤勝實  工藤 寛  山田純夫  元吉正巳
   

[ 花月 ]
シテ…熊谷伸一  ワキ…工藤和哉  アイ…大蔵千太郎
大…安福光雄  小…野中正和  笛…内潟慶三
 後見…豊嶋訓三  山田純夫  蓮本早苗
 地謡…大川隆雄  遠藤勝實  雄島道夫  見越文夫
     元吉正巳  坂本立津朗  宇高通成  工藤 寛
花月面、額の細長い扇型の前髪が特徴あって独特の雰囲気。ちょっと斜めだった…。
狂言
[口真似]
大蔵彌太郎  大蔵ヘ義  宮本 昇
 後見…榎本 元
何度見ても、そこまでするかと感心する。
仕舞 [ 箙 ] 廣田幸稔
[笠之段] 豊嶋訓三
   地謡…雄島道夫  坂本立津朗  宇高通成  元吉正巳
   

[船弁慶]
白波之伝
シテ…金剛永謹  子方…加藤愛花
ワキ…高井松男  ワキツレ…梅村昌功  御厨誠吾
アイ…大蔵吉次郎
大…安福建雄  小…幸清次郎  太…小寺佐七  笛…一噌庸二
 後見…松野恭憲  工藤 寛  遠藤勝實  高橋雪絵
 地謡…榎本 健  熊谷伸一  見越文夫  田村 修
     城石隆輔  廣田幸稔  今井清隆  山田純夫
金剛流の知盛は動きが多くてすごい。薙刀が面白い。


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3月14日
(水)
東京囃子科協議会定式能  
1:30〜  国立能楽堂  
舞囃子 金剛流[鶴亀] 金剛永謹
 大…大倉三忠  小…住駒匡彦  太…梶谷英樹  笛…寺井宏明

観世流[實盛] 角当行雄
 大…柿原光博  小…幸 正昭  笛…寺井義明

金春流[羽衣] 高橋 忍
 大…内田輝幸  小…神保通世  太…三島 卓  笛…八反田智子

金春流[絃上] 金春安明
 大…大倉栄太郎  小…観世豊純  太…徳田宗久  笛…成田寛人
    
素囃子
[羯鼓]
大…柿原光博  小…森 貴史  笛…小野寺竜一
「素囃子」初めて。
一調一管 観世流[葛城] 山崎正道
 太鼓…金春惣右衛門  笛…一噌仙幸
   
狂言
大蔵流
[塗師  
  平六]
平六…野村萬斎  師匠…野村万作  妻…高野和憲

妻が悪者に見える。

観世流
[土蜘蛛]
シテ…梅若六郎  頼光…  胡蝶…  トモ…  
ワキ…村瀬 純  アイ…竹山悠樹
大…亀井広忠  小…大倉源次郎  太…助川 治  笛…中谷 明
少し太めの蜘蛛の糸が乱舞する舞台でした。


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3月10日
(土)
国立能楽堂 普及公演   
1:00〜  国立能楽堂   
解説 「魔界の能」…増田正造
能面には怪談が無い。魔界の話しが多いのに、 お祓いなどをする習慣がない。 白川・恋重荷、堀川・求塚、鳥羽・殺生石、崇徳・松山天狗、近衛・鵺、後白河・大原御幸、 と6代に亘って怨念の物語が続いている。 松山天狗は日本の魔王で、崇徳上皇は生きながら天狗になった。 後シテの早舞は天皇が平静であったとき、楽は鬱屈した想いに向いている。など、 国立能楽堂のプログラムに無いお話の部分がよかった。
狂言
大蔵流
[二人  
  大名]
シテ・大名…丸石やすし
アド・大名…松本 薫  アド・通りの者…網谷正美
“受難は他人事”と思っている時ののセリフがおもしろかった。 同等の階級には慇懃な情景も現実的。 大名の人間描写が明るく、刀を振られて「危ない」と避ける大げさな反応がコミカルに自然だった。 ニワトリのまねは、直垂を脱ぐ前で、大袖をはたはた。 トリを「蹴させる」とか、犬を「咬ませる」とか、 いかにもとんでもないことをさせられてしまいそうな予告が笑える。 軽いご都合主義的大名と、こわめの一般人でした。

金剛流
[松山  
  天狗]
三段之楽
シテ・老人・崇徳上皇の霊…宇高通成
ツレ・相模坊…豊嶋晃嗣  天狗…宇高竜成
ワキ・西行法師…飯冨雅介  アイ・木端天狗…茂山宗彦
笛…松田弘之  小鼓…幸 清次郎
大鼓…安福建雄 太鼓…観世元伯
後見…金剛永謹  松野恭憲  豊嶋幸洋
地謡…見越文夫  元吉正巳  片山峯秀  工藤 寛
    今井克紀  廣田幸稔  今井清隆  坂本立津朗
せっかく西行法師なのに雰囲気ちょっと。 木端天狗に、相模坊と天狗、おもしろかった。上皇の霊の面は、 知盛の三日月を青白く角張らせた感じ。にわかに表情が変り怒る、というところ、 地謡も変わって動きの変化がよかった。白峯の天狗が駆け付けて、ひと暴れ舞い、 慰められて落ち着くという、人間でいるときには果たせなかった想いの在りようが哀れ。 上皇の霊の色々な動きにも、扇がゆったり存在感があって上品。修練を感じた。 いつもびょうびょうとして地球をとりまくような笛が、可愛く澄んでいたのはなぜなのだろうか。 地謡が前半と後半で違ったもののように聴こえたのが面白かった。


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2月18日
(日)
2007 都民芸術フェスティバル(東京都助成)参加公演  
式 能  
第一部 10:00〜  第二部 3:00〜  国立能楽堂
喜多流
[ 翁 ]
喜多六平太
三番三…山本則俊  千歳…山本凛太郎
大鼓…佃 良勝
小鼓…幸 正昭  船戸昭弘  後藤嘉津幸
太鼓…小寺佐七  笛…松田弘之
後見…粟谷辰三  中村邦生
地謡…大島輝久  粟谷浩之  金子敬一郎  内田成信
    松井 彬  大村 定  香川靖嗣  狩野了一
狂言後見…山本東次郎  山本則直
代替わり?ではなかったようだ。六平太さん登場にびっくり。 装束はブルー系で、すっきりと姿よく、気持ちのよい翁でした。千歳の少年が勇気凛々という雰囲気で、 張りきった声ときびきびした動きであったのもよかった。 三番三は、横歩きをしないで進行方向を向いて進む、 パフォーマンスの派手さの無い型。丁寧に万遍なく清めている(種蒔き?)。 今日の翁に合っている感じ。 千歳と舞台の真中で出会うことなく、離れたままで問答しているのが珍しかった。 鈴も手渡ししていないように思う。 鼓、大人しめだったがよかった。

喜多流
[高砂]
シテ…高林白牛口二(こうじ)  ツレ…高林呻二
ワキ…副王和幸  ワキツレ…喜多雅人 永留浩史  アイ…山本則重
姥のこげ茶に銀?の縫取りの鬘帯が渋くて素敵だった。横顔が静かで知的な面、 若い声でした。着付の裾の姿がきれい。姥より小さい尉は声も地味だったが、後場では打って変わって 颯爽とした明神で、狩衣や透冠も生き生きと変貌振りが素晴らしい。 「げに様々の舞姫の…」よかった。
「なおなお語り候らえ」が続き、浦人の「相生」の謂われについての諸説が、いろいろ紹介されるのに 改めて驚いた。「浜の真砂は尽きるとも」登場。そして、ちょうど進水する新しい舟を持っていて、 立派な神官の乗り初めで嬉しい、というのには初めて気がついた。 神官一行の「高砂や」が高い調子で、お目出度い謡になる所以かも。尉の帆に風を受けるところ、 よくわからないうちに通り過ぎてしまった。
地謡は硬質な響きで曖昧さのない音、端正というべきか。 笛の音色が独特で舞い上げる気流のような力があるのが不思議だ。
狂言
大蔵流
[宝の槌]
太郎冠者…山本東次郎
男…山本則秀  果報者…遠藤博義   後見…平田悦生
刀が横からすべり出てくるのが可笑しかった。 お金の受け渡しは言葉だけで、あとは想像なのがさすが狂言。何を槌にしているかと思ったら、 太鼓の撥だと果報者さんのセリフ。大人2人で馬を出そうというのが、 どうオチがつくのかとひやひやもので、あれ?と思った時には、何やら円満解決し、 仲良く立ち去って行った。太郎冠者の声は澄んでいてよく聴こえるのに、そこが 聞き取れなかったので、家で狂言ハンドブックを見ると、「出世して新築の家を建てる音がする」 と気転をきかせ、ご機嫌が直る、ということであった。新築の槌音とは洒落ている。
東次郎さんが槌に呪文を唱えていると、今日は特別な趣向で、本当に出てくのではないかと思ってしまう。
観世流
[経正]
替之型
シテ…岡 久広  ワキ…副王茂十郎
大鼓…大蔵三忠  小鼓…観世新九郎  笛…一噌幸弘
後見…関根祥人  坂井音重
地謡…野村昌司  松本千俊  田邊哲久  青木一郎
    北浪昭雄  浅見真州  武田志房  浅井文義
平家の公達の若くて少し冷ややかな面がよかった。分別ある声の落ち着いた経正で、 地謡とお囃子と相まって大人の舞台。見えているのかいないのかどちら?というところが、 行慶僧都と地謡の言葉と、舞台の視覚でよくわかり、幻想的な変化がおもしろかった。
何も「飛んで火に入る夏の虫」と言わなくても…と思ってきたが、 今日改めて能楽手帖を開き、「姿を見られるのが恥ずかしいシャイな少年が、身をもって燈火を吹き消す」 という説明に、一瞬袖や胸が焦げるような気がした。嵐を起して吹き消すというだけより、 シャイ故の激しさがあって、なかなかすごい曲だ。
替之型(形?)の派手さ(プログラム)の加減は、小書なのか、流派の違いでわからなかった。 太刀をすらりと抜くところ格好いい、突然超高速でびっくりしたけど。
行慶僧都が相当おえらい地位であることがよくわかった。 『法親王とイメージをだぶらせてもいいでしょう』(能楽手帖)…にゃるほど。
狂言
和泉流
[口真似]
太郎冠者…野村万之介
主人…月崎晴夫  何某…深田博治   後見…高野和憲
何某は主人とお付き合いなくても、その使用人のことは知っているのだろうか。 呼んできた太郎冠者の面目には斟酌なしの主人。 早く撃退しようとしてすったもんだ、段々エスカレートして終わりに、 それ、取り掛かるぞ、いや、そこまでする? どうするのかしらん、という予測のあたりが最高潮で、してしまうと、 次にどうまとまるのかが見たくなる。 お客をぶっ倒しておいて、主人と同じ「お料理の手配を…」と神妙な顔で挨拶して中座の段取。 真面目なのか、便乗うっぷん晴らしなのか、単細胞なのか複雑なのか、微妙。
おばかに見えないし、声も渋く堂々とよく響く太郎冠者だったので、 真面目な表情で体当たりしたり叩いたりに、鼻から吹きながら「本当かしらん」 と思ってしまうような持ち味がおもしろかった。 何某はそこで帰ったのだろうか、少し接待受けたのだろうか。 有名で嫌われる程酒乱の自分に気がつくだろうか。人がよさそうなのが、少々気の毒。
金春流
[葛城]
大和舞
シテ…本田光洋
ワキ…工藤和哉  ツレ…高井松男  梅村昌功  アイ…善竹十郎
大…亀井 実 小…亀井俊一 太…金春惣右衛門 笛…藤田六郎兵衛
後見…櫻間金記  横山紳一
地謡…本田芳樹  山井綱雄  井上貴覚  本田布由樹
    高橋 忍  金春安明  吉場廣明  辻井八郎
よかった。女神の冠に紅葉した蔦がからみついたのが、きれいな天冠に見えて、 どうもいつも趣旨を誤ってしまう。青紫の大口に薄みどりの長絹が素敵。 ゆったり大きく腕を左右すると、面が袖に隠れてまたふわっと現れる、何ともいえない風情に 舞の素晴らしさを感じた。本を見ても、わかりにくい言葉の構成なのに、 舞台は雪の季節と哀しい神の雰囲気があふれているのが理解できる。
山伏の鈴懸のぽんぽん姿もおもしろく、里人の話もよかった。
大和舞の舞始めは「羽衣」にあり、この「葛城」の大和舞は、歌と音楽を強調しているセリフのようだ。 月の光のようなきれいで澄んだ笛の音色が、いかにもふさわしく響き渡っていた。 久々の金春流の謡の、上に上がる独特のメロディに、厳かな気持ちになった。
今日の岩戸は幕でした。プログラムによると、小書・大和舞とは、 常の序之舞が序ナシ神楽になるのだそうです。
いつかの金春欣三さんの「葛城」は、大感激の思い出として、大切にしまってある。
狂言
大蔵流
[左近  
  三郎]
さこのさむろう

左近三郎…大蔵彌太郎  僧…大蔵吉次郎  後見…大蔵千太郎
漁師や猟師と殺生というのは、昔の課題であったらしい。 そこを機知を交えて言い合ううちに仲良くなるのがいい感じ。テンポもよかった。
宝生流
[俊寛]
シテ…小倉敏克  ツレ…辰巳満次郎  小倉健太郎
ワキ…森 常好  アイ…野村万蔵
大鼓…亀井忠雄  小鼓…北村 治  笛…一噌仙幸
後見…寺井良雄  山内嵩生
地謡…高橋憲正  渡邊茂人  大友 順  野月 聡
    佐野 登  田崎隆三  朝倉俊樹  高橋 亘
歌舞伎の、崖縁に立って歯を喰いしばる様な図を 色々な機会に見ているので、お能の俊寛は間接的な感じがしたが、 船のとも綱の存在がリアルだった。帰れる二人は、言葉では何かと言いながら 船に乗り込み、もうあちら側の人。運命の分かれを信じられない俊寛との対比が凄まじい。 舞が無かった。
狂言
和泉流
[茶壷]
すっぱ…野村 萬
男…野村扇丞  目代…野村万蔵  後見…久保克人
家来が自家用の茶壷を背負って栂尾の穂風を詰めに行くという歴史絵巻が面白い。 お茶壷道中程でない周辺の文化の様子が垣間見えて。 「中をとって」茶壷を持ち去る目代を、 すっぱまで当然のように追いかけていくのが、何度見ても可笑しい。
ところで扇丞さんとは、金沢和泉流の野村晶人さんであることがやっとわかりました。 耕介(→万之丞→八世万蔵)・良介(→与十郎→九世万蔵)・ 史高(→万禄)・晶人 (→扇丞) の時代にお能を観始めたのでした…10年ひと昔…。
金剛流
[葵上]
梓之出
シテ…種田道一  ツレ…工藤 寛
ワキ…高安勝久  ワキツレ…椙山正樹  アイ…吉住 講
大鼓…安福光雄 小鼓…幸 正昭? 太鼓…金春國和 笛…内潟慶三
後見…松野恭憲  山田純夫  片山峯秀
地謡…田村 修  見越文夫  元吉正巳  遠藤勝實
    坂本立津朗  宇高通成  今井清隆  廣田幸稔
御息所よかったが、もっと遠慮なくどーんといってもいい感じ。 地謡よかった。
附祝言省略。
以前より途中の出入りが少なくなった。後半の休憩もできれば20分にしてほしい。
展示室は鍋島コレクション。珍しくカタログ以外に一筆箋などのグッズもあり。


2007 ねこ 観能  2001 '02 '03 '04 '05 '06
1月2日
(火)
阿佐ヶ谷神明宮 迎春能  
阿佐ヶ谷神明宮 神楽殿  11:00〜  
仕舞
[八島]  …遠藤勝實
[雪] キリ …山田純夫
[山姥] キリ…片山峯秀
   地謡…田村 修  元吉正巳  坂本立津朗  見越文夫
お仕舞、裃姿で晴れ晴れしい。それぞれテンポの違う曲。 「八島」はくっきり、勇壮な感じで、落ち着いた義経。 「雪」は、舞と謡とのゆったりした雰囲気を味わいたかったが、マイクがないせいか、 あまり聴こえなくて残念だった。「山姥」は、終り頃しゃんとしてきて、 “動きの語り”という感じで、“舞納める”というふうに見えたところがよかった。 全体にいささか地味め。

金剛流
[猩々]
シテ…工藤 寛  ワキ…安田 登
大鼓…柿原光博 小鼓…住駒匡彦 太鼓…徳田宗久 笛…槻宅 聡
後見…片山峯秀  高橋雪絵  山田夏樹
地謡…田村 修  見越文夫  遠藤勝實
   元吉正巳  山田純夫  坂本立津朗
お能は、まずお囃子で盛り上がるのと、 「高風」の装束が明るく華やかで、また、猩々の赤い装束と面が、 若々しく、お目出度い感じなのがよかった。 高風の聴かせどころが、舞台の脇正の向こうに奥まっていたので声が遠く、 こういう条件の時には、しきたりに捉われず、 前方で大いに朗々と楽しませて下さってもよいのでは、と思った。
猩々のふさふさの赤いロングおかっぱは、いかにも異次元からの来客という感じ。 たいまつか夕日が水に照り映えているような赤いお酒好きさんでした。 (blogねこ草より)
本殿前に、お参りの行列が絶えることなく続き、 地元初詣が盛んな様子。 神楽殿前には、ながーく突き出たカメラを構えた方がいらしたりして、 舞台への期待が盛がる。
2〜3年前、お囃子が始まってから着いた時、杜の梢にかーーんという大鼓や、 ぴ〜〜という笛が大きく澄み渡って、とても清々しい気分になりましたが、 ご近所から苦情があるのでしょうか…。屋外の舞台なので、音量絞ってでも、 やはりマイク、スピーカー、1つは欲しい気がします。


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