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Cat's 観能記  観能復習 2005

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2005 一覧  50音順     
海人 変成男子 9.23  鵜飼 3.04  右近 5.11  大社 1.29   通小町11.19  石橋半能1.10  泰山府君 3.19   土蜘蛛千筋之伝5.20  道成寺 6.18  鵺 9.17   野宮車出之伝 合掌留 10.15  百万 3.19  藤戸 5.21   船弁慶 5.14 10.02  船弁慶 重キ前後之替 12.14  八島 5.21   山姥 白頭 2.24  枕慈童 12.09  三輪 11.19  無明の井 10.18   籠太鼓 9.17
狂言
悪坊 3.19  瓜盗人 12.14  隠狸 5.11  鐘の音 9.17  雁大名 10.18  口真似 10.02  佐渡狐 5.21   末広 5.14  酢薑 10.15  惣八11.19  通圓 5.29  泣尼 9.23  業平餅 5.29  寝音曲 12.09  花子 1.10   二人袴 5.20  呼声 6.18  (間狂言)神子神楽 1.29  無布施経 5.29



2005 ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
12月14日
(水)
東京能楽囃子科協議会定式能   
国立能楽堂  13:30〜   
舞囃子
  
  
狂言
和泉流
[瓜盗人]
シテ・盗人…三宅右近  アド・畑主…三宅右矩
オニが責めるときにはお囃子が入り、罪人が責められるときにはナシ。 帰宅後「狂言ハンドブック」で、お祭りなどの出し物に地獄芝居?があって、 その練習であることがわかった。「鬼の責め」というのは定型らしいので、 何なのかまた宿題ができてしまった。 罪人になると、打って変わって哀れな、手足も細くやつれた感じでありながら、 じとーっとからみつくような声で訴えかけ、縄で自分を縛るのが、 真に迫った劇中劇で大変おもしろかった。その状況に、“案山子” につながる縄を引っ張ると自動的に棒が落ちるようになっている、などなどお笑いが入り、 なかなか複雑な構造だ。 誰しも、事態を把握する柔軟な脳と自信満々の性格とは難しい関係かも。 右矩さん、渋い貫禄の片鱗。 お囃子は、前の舞囃子「巻絹」の方々、柿原崇志、幸正昭、梶谷英樹、一噌幸弘。 (blogねこ草 同文)

観世流
[船弁慶]
重キ前後
  之替
シテ…梅若六郎  子方…山崎友正
ワキ…村瀬純、他  アイ…高澤祐介
大鼓…國川純  小鼓…曽和正博  太鼓…助川治  笛…一噌仙幸
今日の弁慶は、とてもむずかしい言い方というか表現方法というか、 素人には「全く無理」という感じで、村瀬さんの「養老」の勅旨の時などはこうではなかったなあ、 とかなり昔のことを思い出した。いつもの弁慶より老成した感じは、 小書に関係あるのかしらん。
金色の烏帽子に金色の舞衣で「然るに勾践なアー」の後静かな足拍子があって、 “静、もの申す” という雰囲気がよかった。橋の欄干に手をかけ、しゃがんで泣いたり。 お見送りなしの静かなお別れ。
今日の船頭さんは、いつかどこかで見たようにえらそうに怒るのではなく、 船人としての慣習に基づく感情であるという感じがしてよかった。
知盛は、幕を半分揚げたところから、斜めを向いて腰掛け、うつむいて出現。 目がまばたきしていたのでびっくり。大人しく陰影の少ない、半分浄化したような( 逆に陰に篭ったような?)面。ヘアスタイルも何か独特、ツノを髪のこぶで表し、耳も広く出ていた。 いろいろ型を決め、薙刀を縦方向に持ち、バックで消えていきました。 「ラクでないの」と、思わず思ってしまって、肩に横に担ぐ金剛のおじ様色に染まってしまったなあ、 とつくづく。
詠嘆調溜息風の笛。(ヴェルレーヌ詩「ヴィオロンのため息の…ひたぶるに うら哀し…」 はノルマンディー上陸作戦の暗号になっていたとか、もの哀しい溜息、 すすり泣きなどイメージだけふくらんでなぜか一時脳裏を占拠。笛は魔物だ。)
波のカッポンカッポンの掛け合い地味目だけどよかった。

舞台の照明が、何となく以前と違うように感じる。(blogねこ草 同文)


2005 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
12月9日
(金)
せんす能楽公演   
枕慈童   
国立能楽堂  19:00〜   
狂言
[寝音曲]
シテ・太郎冠者…大蔵吉次郎  アド・主人…大蔵ヘ義  後見…宮本昇
ねおんぎょく
主人が白い髪の冠者に「小さい頃から良く知っている」というセリフが可笑しかった。 自分が、ということにしておこう。今日は、膝枕で、作戦が逆になってからのほうが長かった。 遂に冠者は興に乗って謡いながら舞い出し、あららと気が付いて扇を収めるところ、 余裕の人生という雰囲気をかもしだしていた。主人は叱るのではなく、 もっと謡ってみせてと追いかけるのが珍しく、和やか。はっはっはと逃げていく太郎冠者、大人だ。 (blogねこ草 同文)

[枕慈童]
まくらじどう(菊慈童)
シテ・慈童…工藤寛
ワキ・臣下…野口能弘  ワキツレ・重臣…野口琢弘  吉田祐一
笛…一噌隆之  小鼓…鵜澤洋太郎  大鼓…高野彰  太鼓…金春國和
地謡…(頭)松野恭憲  廣田幸稔  山田純夫  坂本立津朗
      片山峯秀  元吉正巳  見越文夫  遠藤勝實
後見…豊島訓三  豊島幸洋  田村修
好きな曲だがプロのを観るのは初めて。大鼓が「アホー、アホー」と始まったのにびっくり。 地謡の始めの静々した出だしと、地味目だったが後半、リズミカルなノルがよかった。 「夢もなしー」とか「この要文の菊の葉に」と高く受けるところは期待が高まる場所で、 こちらの気持ちのほうが先行してしまった。慈童が菊の花園で舞うのがおもしろい景色だったが、 面がちょっと。菊水を掬ったり、菊を手折り伏せ手折り伏せ帰っていく様子が若々しく気持ちよかった。 (blogねこ草 同文)


  

2005 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
11月27日
(日)
第八回   
万酔会   
銕仙会能舞台  13:00〜   
狂言
[棒縛]
太郎冠者…前田誠司  次郎冠者…佐藤嘉久  主…小俣美登里
かっこよかった。棒がマッチ棒のように見えるのでは?などいろいろ勝手に想像していたところ、 確かに普通より細く見えたような気がするが、改めて棒の大きさに感心した。 家に持って帰ってぶんぶん回せるようなものでもないし、練習大変そう。 突っ張った棒の先を上げたり下げたりが舞で、腕が真直ぐしゃんと伸びている! 余興の謡も朗々としていてよかった。どっかと座るところに何となく愛嬌のある存在感。 次郎冠者があまり見えなかった…どの方かなあ。ごきげんの宴に影がさして、主人のご帰館。 棒をひょいと動かすのが、“まめ”な感じで、いつもどこかに現れるぶたぴぃさん、持ち味ですね。 (blogねこ草 同文)
狂言
[ 雷 ]
雷…土屋裕雅  藪医者…大島英司

地謡…前田誠司  眞鍋宏之  (勝山章子?)
自分を「藪医者です」と紹介し、お客がつかないので他所に稼ぎに行くそうで、 来られるほうにご愁傷様というところ。突如、藪さんが独りで、のけぞってワッと言っては逃げ回る、 稲光がしているらしく、すごーく面白かった。ところに景気よく雷登場。 赤い髪ふさふさと、撥を振り上げ、前に鞨鼓を下げている。ちょっと暴れて、 いきなりすてーんと舞台に伸びてしまった。なんでも腰を傷めたそうで、 藪さんが5寸釘のようなもので針治療。トンカチで打つところがさすが狂言。 「あ、いた」と雷どん。藪さん怖がっていたのに、だんだん強気になって治療代を請求すると、 お礼には、眷属を連れて、ばりばりとカミナリを落としに来てあげるそうで、 そこのところに地謡があり、ぶたぴぃさんも登場、紋付袴のメンバーが歯切れよく謡う。 なかなか面白い狂言でした。
治療に「頭のてっぺん」まで打ったりするのは、「梟山伏」にも出てきて、 可笑し味もあるが、頭頂部には経絡?のツボがあるそうなので、 現実の治療に一般人が驚く感じを取り入れたのかも。 (blogねこ草 同文)
狂言
[入間川]
大名…宮崎亮一  太郎冠者…福田成生  入間の某…池田篤彦
宮崎さん=大名、でイメージ定着。今日の福田さんは、遠慮がちで大人しかった。
狂言
[梟山伏]
山伏…濱田義孝  兄…門間康之  弟…則武孝典
   
狂言
[混布売]
混布売…山崎宏之  大名…加藤 悟
   
狂言
[鈍太郎]
鈍太郎…眞鍋廣志  下京の女…小井沢和明  上京の女…塩谷沢生
まあ、とにかく憎たらしい(演技の)鈍太郎なのだ。下京・上京の二人の女が抜群の上手さで、 にくにくしい鈍太郎を受け止めていました。
3年留守にして鈍太郎が帰ってくる。後でわかったことだが、まず帰ったのが本妻宅。 次の別宅でも、共に薙刀遣いとか棒?遣いとかの男と再縁したので、危ないですよと追い払われ、 なんと、それで出家を決めてしまう。妻たちは、実は健気に鈍太郎を待っていたのであって、 それぞれの存在を知っており、話し合って鈍太郎を戻そうとする。
墨染ではない出家姿で、チーンチーンと鉦を打ちながら鈍太郎再登場。事態がわかると、 今度は、条件を出し、出家するぞと鉦を鳴らして脅す。古妻の家には5日、可愛妻の家には25日、 とか図に乗ると、賢い若妻がとりなし、それやこれやで、挙句、世間体のため、 二人の妻の「手御輿」に乗って帰りたいと主張。若妻のおつむは撫で撫で、 古妻の頭の上ではがんがん鉦を鳴らし(耳がヘンにならなかっただろうか、すごい音量)、 いやみな男は本当に女たち(男性ですが)が両手で組んだ「手御輿」に乗って“自宅” へ帰っていったのでした。
妻役に力量があり、抑えた人格が伝わるようなもの言いに「鉄輪」とは違う結末が納得できる。 3人揃って芸達者な舞台でした。 (blogねこ草 同文)


2005 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
11月19日
(土)
2005年 第4回   
東京金剛会例会能   
国立能楽堂  研修能 11:30〜  例会能 13:30〜   
研修能
[玉葛]
シテ…荒川 進  ワキ…野口能弘  アイ…若松 隆
大…大倉栄太郎  小…野中正和  笛…栗林祐輔
後見…豊島訓三  山田純夫  蓮元早苗
地謡…榎本 健  熊谷伸一  田村 修  遠藤勝實
     見越文夫  元吉正巳  (頭)坂本立津朗  工藤寛
    
連吟
[絃上]
佐藤定祐  河合重穂  吉田信司
斉藤 忠  猪野宏實  高木貞次
   
仕舞
[井筒]  金子 晃
[山姥]キリ  奥山勝作
      地謡…高木貞次  元吉正巳  山田純夫  遠藤勝實
   

[三輪]
シテ…片山峯秀  ワキ…森常好  アイ…山本則重
大…高野彰  小…住駒虚F  太…桜井均  笛…槻宅聡
後見…松野恭憲  工藤寛  荒川進
地謡…吉田信司  酒井鴻風  雄島道夫  田村修
     元吉正巳  廣田幸稔  (頭)宇高通成  坂本立津朗
   
狂言
[惣八]
山本東次郎  山本則秀  山本則俊
面白かった。東次郎さんの包丁さばきの器用なこと。 左手に火箸、右手に包丁で、さささと鱗を落とすすごいスピード、名包丁人ちっく。 いかにもらしいのがおかしくておかしくて、今までの「惣八」で一番笑った。 僧の衣に襷をかけたスタイルも包丁の四条流のお公家さんファッションみたい、 といつも思う。お魚を裏に返すのも免許皆伝的。一方のお経も、“音声”なのがしゃれている。 東次郎さんの口調は、山本家の中でどのようにして生成されたのだろうか。 「ああ」とか「おお」の一言の表現が抜群、おかし味もあって。(blogねこ草 同文)
仕舞
[花筐]狂  金剛永謹
      地謡…河合重穂  廣田幸稔  (頭)宇高通成  工藤寛
   

[通小町]
シテ…見越文夫  ツレ…遠藤勝實  ワキ…高井松男
大…内田輝幸  小…幸 信吾  笛…内潟慶三
後見…豊島訓三  坂本立津朗  田村 修
地謡…猪野宏實  榎本 健  大川隆雄  熊谷伸一
     城石隆輔  山田純夫  (頭)松野恭憲  工藤寛
今日の「通小町」の終わり方って素敵。小町と少将が、時差があって?離れているのに、 連れ立って消えていく風情。
そういえば以前、横浜能楽堂で豊島三千春さんの、 橋掛りから髪を上げてギラリというすごみのある深草少将の登場を観ましたっけ。
今日の国立能楽堂展示室
面がすごい。角材の奥行がそのまま奥行になっているのではないかと思うくらい、立体的だ。 口元も、頬も鼻も、ぐーんと出っ張っている。薄く深い褶曲。 立体的な表現があればある程皮膚の薄さを感じる。 室町時代の面は、大変ダイナミックにおおらかに素朴に、高技術。 江戸時代、17世紀になると、観念的。洗練というべきか。 室町って、爛熟と破滅で、人間がむきだしになったというか、本質が見えた時代だったのかも。 ルネサンスのハシリ?(blogねこ草 同文)


2005 ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
10月18日
(火)
せんす能楽公演   
「 無明の井 」
   
現代医療の最先端 「脳死問題」 について古典芸能が問う   
人の生とは何か 死とは何か
   
国立能楽堂  7:00〜   
狂言
和泉流
[雁大名]
シテ・主人…野村又三郎
アド・太郎冠者…野村小三郎
アド・雁屋の主人…奥津健太郎   後見…野口隆行
雁屋というのが耳慣れない。とんでもない主従で、お代無しに協力して雁を失敬する。 おまけに、国へのお土産に棚の綺麗な反物を袖の中に入れるのは主人自身で、 冠者が目の端でそれを察知していたというのもすごい。 訴訟で京に長期滞在するのは、経済的にも大変であったに違いない。  私には、あまり拝見する機会のない配役で、雰囲気が珍しかった。

[ 無明の 
   井 ]
新作能  多田富雄作 (1991年初演)
節・型付け  桜間金記

シテ・漁夫の霊/脳死の男の霊(ドナー)…粟谷能夫 (←桜間金記)
ツレ・里女/移植を受けた女の霊(レシピエント)
…坂 真太郎 (←粟谷能夫)
ワキ・旅の出家…副王茂十郎  アイ・所の者…野村小三郎

笛…藤田六郎兵衛  小鼓…鵜澤洋太郎
大鼓…國川 純  太鼓…金春國和
地謡…浅井文義  奥川恒治  坂井音晴  鈴木啓吾
     古川 充  坂井音雅  坂井音隆  野村昌司
後見…浅見真州  鵜澤 久(←坂 真太郎)
鑑賞的には終り頃がよかった。全体に地謡は響きもよく言葉らしく聞こえて理解も出来たが、 ドナーの男の幽霊が何を言っているのかあまり聞き取れなくて、見る意欲が持続できなかった。
「医師が、くろがねの刃物で胸を割き内臓をとる」というところから、引き込まれた。 「耳には聞こえていても動けない。叫べど声は出ず。自分は生きているのか、死んでいるのか」 実に実に恐ろしいことだ。この辺りでやっと動きがあり、よかった。
シテの幽霊はその手術の場をあとにして消え、残されたレシピエントの女は、 「その後しばし永らえて、仮の命を継いで、ついにむなしくなりにけり」 と静かに静かに去っていくところが、なんともやるせない吸引力で、このお能のすべてと感じた。
地球や宇宙の一瞬の間の人の生を、いじってあがいて、遅かれ早かれ、同じ露となる。 いささか饒舌な女であったが、終りが良いので、OKとしよう。
始まりの、枯れて水もない井戸に桶を提げて里女が現れ「閼伽にてはあらず」 とかいう設定が怖くてなかなかいい。また、ドナーの男が、海難事故で脳死というのも意外だ。
途中眠かったが、笛の六さまに珍しく翳りのある風情があって、小鼓、大鼓も合って、 太鼓は少なかったが、お囃子よかった。(blogねこ草 同文)

<協賛  奥の松酒造株式会社>
中庭で日本酒のきき酒会がありました。 “特製 日本酒膳”には、 “本桶仕込純米酒”と “純米大吟醸” の2種がグラスのお猪口で供されました。 松花堂はお肴という感じで、ローストビーフ、サーモン、お造りなどと円筒形の物相ご飯。 国立能楽堂で、イベントらしく盛り上がれるなんて、素晴らしい。乱能以来だ。 式能にも協賛あるといいにゃん。楽しめそう。。
シテに変更があったので、今日の「無明の井」が、桜間金記師の節・型付けなのか、 初演以来の故橋岡九馬師の節・型付けなのか、お能の慣習も知らない私にはわかりませんが、 桜間師と思って観ました。
チケットの価格設定が高価すぎるように思います。20,000円なら、半額にしても 観客が倍になったほうがずっと感じよい公演になるでしょう。 宣伝も外で全く見かけませんでした。


2005 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
10月15日
(日)
今井清隆 能の会   
国立能楽堂  1:30〜   
仕舞
「清経」キリ…今井克紀
地謡…廣田泰能  種田道一  宇高通成  廣田幸稔
勢いと元気。
狂言
大蔵流
[ 酢薑 ]
シテ…善竹十郎  アド…善竹富太郎  後見…善竹大二郎
掛け合いの言葉の可笑しみ、というのがよくわからなかった。

金剛流
[ 野宮 ]
 車出之伝
 合掌留
シテ…今井清隆
ワキ…宝生欣哉  アイ…善竹十郎
笛…藤田大五郎  小鼓…曽和正博  大鼓…柿原崇志
後見…金剛永謹  廣田幸稔  廣田泰能  工藤 寛
地謡…元吉正巳  片山峯秀  坂本立津朗  今井克紀
     山田純夫  宇高通成  松野恭憲  種田道一
静か〜なお能でした。笛の、秋風に途切れるような、まぎれるような音色に、 今日のコンセプトはこれか、と予感。 前場の里女が去っていくところ、 笛に送られてしーんと、音が途切れると姿もかき消えて・・・という絶妙タイミング。 後場の小書の車は、舞台脇正面寄りに出され、壊されない姿の車で御息所は美しく現れた感じ。 車の後ろから現れるとき、車の影で、その翳が面や長絹の上を移るのがいい景色でした。
ワキの「定住しないで旅をする僧」という自己紹介が印象的で、 その言葉のしんみりした響きに、物語の奥行きが広がる感じ。 宝生欣哉さんはますます閑さんのようで、お顔を確かめてしまった。(blogねこ草 同文)
里女の唐織の正面襟縁に石畳の地色の白が帯状に出て、下の白い襟と続いて少し妙な感じがした。
還りの車は橋掛りに移され、いかにも去っていく感じがおもしろかった。 そして、その車の中で物語は終りになり、また車を出でて歩いて幕に入っていくのがお能らしく、 余韻の時という感じでした。拍手早すぎ。
「能楽堂展示室」は、 歴史をおびた能装束、唐衣がなかなかおもしろく、面もよかった。 説明によると、面の裏に、所有者の名前や、極めや、作と、それを消したり、 書き直したり、いろいろドラマがあるようで、歳々年々人同じからず、 「もの」の年齢の年月のスパンが違うと、つくづく思った。


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10月2日
(日)
杉並・親子能楽鑑賞会   
セシオン杉並  2:00〜   
解説
「能、狂言のお話」… 三浦裕子(武蔵野大学講師)

『 橋掛りは、往復するだけでなく、舞台の表現を広げる役目をする。 舞台の場面転換は、見ている者がスイッチをきりかえる。 能狂言の舞台装置はシンプルで、場面の説明も無いので、 観客が参加し、積極的に見ることが求められる演劇である。
能狂言はペアで、遠く同じ祖先を持つ。1000年前の平安時代に、猿楽という言葉が見える。 狂言は戯れ、冗談を意味するが、14世紀半ばに演劇の意味が生じ、 「言葉の力で笑わせる」芸能となった。
「口真似」は、鸚鵡返し、考えなし、というニュアンスで、16世紀半ばに、 利家・家康・秀吉で、似た様な「耳ひき」という狂言が演じられた記録がある。
「船弁慶」の前シテの静御前は、男装で歌って舞う白拍子という立場で、 自然に物語になり、舞台で芸能者としての能力を発揮する。 中国の陶朱公の例をひき、義経に野心がないことを歌う。 義経は子方で、登場するだけで華やかな効果がある。 知盛を始め平家は、夕日と共に壇ノ浦に沈んでいった。 』
能楽未経験者に、大変良かったと評判。 お話を聞きとれる年齢の子供は、それぞれ自分風に興味を示していたのが面白い。 ちょっと長かった。
狂言
大蔵流
[口真似]
太郎冠者…大蔵吉次郎
主…榎本 元  お客…宮本 昇    後見…星 廣介
そこまでするの!というほど徹底した真似。 招かれざる客が、右に左に振り回されているのが、なんとも不思議な役だ。 主人が座をはずし、太郎冠者が立ちかけるその動きで、会場が笑い始める。 叱れらた自分と寸分違わずお客を同じ目にあわせてあげちゃうのだから、とんだご招待。 冠者は本当にそう単純なのか、違うことを思っているのか、役者の表情がこわいところ。
語り
「静と義経」…久保厚子
面白かった。無伴奏平家語り現代語版という感じ。はっきりとした個性的な声、 語りから歌になるところの変化が滑らかで、同じ声で出来るのに驚いた。 語りでは、静も一緒に舟に乗り比叡山まで逃げるというのが、 お能の筋と違うので、ややこしい。改めて、能のための能であることがわかった。 で、やはり、少し長かった。

金剛流
[船弁慶]
シテ・静御前/平知盛の霊…工藤 寛  子方・義経…山根あおい
ワキ・弁慶…安田 登  ワキツレ・従者…高橋まさみつ
アイ・船頭…大蔵ヘ義
大鼓…大倉栄太郎  小鼓…鳥山直哉
太鼓…麦谷 暁夫   笛…八反田智子
後見…豊島訓三  豊島幸洋  高橋雪絵
地謡…遠藤勝實  片山峯秀  元吉正巳
     坂本立津雄  (頭)松野恭憲  山田純夫
知盛の装束の鮮やかな紫の半切が華やか。 恨みに沈んでいる場合じゃない、ひと暴れしなくちゃ、という感じ。 船頭さんよかった。波に静まれというところがいまいち。静かな部分には気合がいるのかも。 笛よかった。
小学校低学年の子供も、何かが残り、どこかで水を得て芽生えると思う。 子供の質問にプログラムを見ながら、何度も何度も答えていた母親に感動した。


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9月23日
(金)祝日
国立能楽堂 企画公演   
特集 【女人成仏】   
国立能楽堂  1:00〜   
狂言
大蔵流
[ 泣尼 ]
シテ・出家…茂山千五郎
アド・施主…網谷正美  アド・尼…茂山千之丞
   

金剛流
[ 海人 ]
 変成男子
(あま  へんじょうなんし)
シテ・海人/龍王…豊島三千春  子方…山口等悟
ワキ・従者…中村彌三郎  ワキツレ・従者…是川正彦  山本順三
アイ・浦人…茂山七五三
笛…杉 一和  小…成田達志  大…安福建雄  太…金春惣右衛門
後見…豊島訓三  豊島幸洋
地謡…山口尚志  見越文夫  元吉正美  工藤 寛
     田中敏文  今井清隆  ◇松野恭憲  豊島晃嗣
胸をかき切って合図の紐を引き、くるりくるりと回転しながら徐々に上がっていくところが、 すごーくよかった。痛くて苦しくて、それでも離さない様子に決意の深さが窺える感じ。 扇が刀になり、綱になり、本当に吊り上げられているよう。
後シテは白髪、白装束に意味深風長い杖。鷲鼻のおじ(い)様で、場面の変化が劇的でショック。 海女の綺麗で静かな面の余韻がぁ。。。女人成仏のランクアップバージョンは いかめしい。 凄そうな感じ十分でお声も合っている。
地謡は見た目より若めの響き。房前の言い方ちょっと…。

■ 国立能楽堂のプログラムの「子方の発想」(近藤瑞男)によると、貴種流離譚の貴種とは元々神の子で、 その流浪の姿に重ね合わせて、子方の義経となり、房前となったとか。 少年の中に神を見、少年に演じさせる発想。日本武尊、桃太郎、一寸法師、義経、房前…


2005 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
9月17日
(土)
第3回 東京金剛会例会能  
国立能楽堂  
   
   

[籠太鼓]
シテ…豊島訓三  ワキ…安田 登  アイ…石田幸雄
大鼓…柿原崇志  小鼓…大倉源次郎  笛…中谷 明
後見…種田道一  坂本立津朗  蓮元早苗
地謡…酒井鴻風  荒川 進  遠藤勝實  榎本 健
     城石隆輔  廣田幸稔  ◇松野恭憲  工藤 寛
どう狂気だから牢から出させられるのか、どう殊勝で健気なので赦されるのか、 きっかけのキーワードが曖昧模糊として残念だ。亡父の13回忌の追善に赦そう、 という領主の声がはっきり聞こえて、 妙に単純なストーリーになった感じ。謡本に載っていない番の者とのやり取りに、 成る程そうなっているのかと納得。
女性の風情、たたずまい、といった真似しようにもできない部分がよかった。 ことばの柔らかい響き、柔らかい腕の動きが独特。
時の鼓を鳴らすところ、あったかなぁ。。。
狂言
[鐘の音]
 小唄入
太郎冠者…野村万作  主…野村万之介

後見…野村良乍
今日の主人の声は元気に一癖ありそう、冠者はしゃがれ声で気弱そうな感じでした。 鎌倉のお寺の鐘をどれも撞木を突いて鳴らし、円覚寺は割れ鐘でじゃかじゃか、 建長寺が最高によい余韻らしい。四つの鐘の違いが、もっともらしくて可笑しい。
カネ違いで怒った主人から追い出された冠者は、主人が風流人であることを見込んで、 事の次第を唄にしてはやす。ははーん、さては、と現れ怒り直す主人。 これが許したということなのかな? 良乍というお名前、初めて。
仕舞
[簓之段]…廣田幸稔   ■ 簓(ささら)之段…能 「自然居士」
[松風]…種田道一

地謡…田村 修  元吉正巳  ◇坂本立津朗  雄島道夫
穏やかでした。 松風はちょうどよい季節。

[ 鵺 ]
(ぬえ)
シテ…山田純夫  ワキ…工藤和哉  アイ…高野和憲
大…内田輝幸  小…亀井俊一  太…観世元伯  笛…藤田朝太郎
後見…松野恭憲  田村 修  遠藤勝實
地謡…熊谷伸一  雄島道夫  見越し文夫  大川隆雄
     元吉正巳  坂本立津朗  ◇種田道一  片山峯秀

■ うつぼ舟
「虚舟」「空舟」とも。 神話、漂着伝説、漂着再生、生まれ変り。 「翁」、宿神(シヤグジ)、北極星。  秦河勝、猿楽、金春禅竹。 すっぽり包む形の漂着物は、大変なドラマの始まりであった。
石神井シヤクジイも 宿神シヤグジからきていて、 芸能に関係があるらしい。
『精霊の王』 中沢新一 著 2003年 講談社、を解説したサイトに詳しい。 http://www.kuniomi.gr.jp/geki/wa/seireo00.html
舟人でいながら、既に鵺になっているかのようだった。 ぱっぱっと所作が入り、暗いのと派手なのが同居して、やはりもの悲しい。 善知鳥の猟師のようなスタイルで、加害者なのか被害者なのか妙な感じ。 プログラムの、うつぼ舟が流れ着いた所で、朽ちる舟とともに闇の底に入っていった、とは、 じーーんとくる表現だ。帰って本を開いたが、ソフトクリームが溶けたような字の連続で、 どう書いてあるのかみつけられなかった。
後の小飛出のまんまる目が、自分の遭遇した武勇を演じるのが、やっぱり可哀想。 でも、一流の武勇にやっつけられたのだから、諦めもつくというものか。 ツヨギンの連続の謡を聴いていると、なるべくしてなった、という説得力と、 端々に哀れな響きも漂うようで不思議だ。
水葬って、きもわる。絶対、拾いたくない。でも生きた王子様だったら…
どこかのアゲハの後で、地謡がぐーんと綺麗に迫力ある響きになるのが面白かった。  数年前より、東京金剛会の地謡いい感じ。


2005 ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
6月18日
(土)
17回 潤星会    
道成寺 古式    
国立能楽堂 1:30〜   
舞囃子
[岩舟]
   棹
シテ…金剛永謹
笛…一噌隆之  小…森澤勇司  大…大倉正之助  太…助川 治
地謡…廣田幸稔 片山峯秀 工藤 寛 田村 修 望月悦夫 松村哲雄
    
狂言
[呼声]
シテ…山本則俊
アド…山本則秀  アド…山本則重  後見…遠藤博義
    

金剛流
[道成寺]
   古式
シテ…山田純夫
ワキ…野口敦弘  ワキツレ…野口琢弘  吉田祐一
アイ…山本則直  山本則重
  鐘後見…山本則俊 山本則秀 若松 隆 遠藤博義
笛…松田弘之  小…幸 信吾  大…柿原弘和  太…観世元伯
後見…豊島訓三  工藤 寛  田村 修
  鐘後見…松野恭憲 片山峯秀 熊谷伸一 茂木 暁 山田夏樹
地謡…金剛永謹  廣田幸稔  坂本立津朗  元吉正巳
     見越文夫  遠藤勝實  榎本 健  荒川 進
   


2005 ねこ 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
5月14日
(土)
大宮八幡宮の杜 薪能   
杉並 大宮八幡宮境内 特設舞台   
舞囃子
[高砂]
野村昌司
大…佃良太郎  小…住駒充彦  太…小寺真佐人  笛…八反田智子
地謡…渡辺瑞子 武田祥照 五木田三郎 鵜澤郁雄 小川博久
   
狂言
[末広]
シテ…山本泰太郎  アド…山本則重  アド…山本則秀
   
火入れ
火鑽り(ひきり)
篝火点火
   

[船弁慶]
シテ…野村四郎  子方…奥川恒陽
ワキ…殿田謙吉  アイ…山本則孝
大…佃 良勝  小…曽和正博  太鼓…小寺真佐人  笛…一噌隆之
後見…野村昌司  武田尚浩
地謡…田口亮一  青木健一  坂井音隆  奥川恒治
     五木田三郎  鵜澤郁雄  浅井文義  小川博久
   
なかなか凝った、いい雰囲気でした。巫女さんによる、かなり昔のままの形のお筝(琴かも) の演奏もありました。琴柱のない7本?の太い糸でした。火きり杵といい、歴史あるお筝といい、 大宮八幡宮は面白い神社です。


2005 最新へ Cat 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
5月29日
(日)
初世大蔵吉次郎一周忌追善   
第六回 吉次郎狂言会   
2:00〜  国立能楽堂
   
狂言
[無布施
  経]
僧…善竹十郎  檀家…大蔵千太郎  後見…星 廣介
お坊さんも生活資金が必要なのが、何だか気の毒。独り言のような、そうでないような ところが絶妙で面白かった。
舞囃子
金春流
[ 融 ]
高橋 汎
大鼓…大倉三忠  小鼓…幸 信吾
太鼓…観世元伯  笛…寺井久八郎
地謡…井上貴覚  中村昌弘
     辻井八郎  高橋 忍  山井綱雄
かなり存在感のある舞手を、しっかり支える 実力のある地謡でした。若手編成で立派。始まりのワキ謡が素晴らしく、 シテの登場を最高の雰囲気にしていた。山井さんて、声に恵まれた方ですね。
狂言
[ 通圓 ]
通圓…大蔵吉次郎  僧…大蔵教義  所の者…榎本 元
後見…善竹忠一郎  善竹十郎
地謡…宮本 昇 大蔵千太郎 大蔵彌太郎 大蔵基誠
お囃子…舞囃子の方々
通圓の頭巾や面が、頼政?景清?熊坂?風でした。本当に“お茶の点て死に”というセリフがあって、 凄いのか虫歯なのか、いまいちよくわからない凄そうな面と重ね合わせると、かなり可笑しい。 左手にお茶碗、右手に柄杓と茶筅を持って器用に茶筅を振っている。 柄杓の合が抜けないのは、糊付けされているのでしょうか。現実的な小道具が珍しい。
“ワキ”の登場の爪先立ちが大変そう。 お囃子は、鳴るか鳴らないかという控えめな量で、 それが物語に必要な表現ならともかく、あまりいい感じがしなかった。
狂言
[業平餅]
業平…大蔵彌太郎  稚児…鈴木○吾  侍…宮本 昇
傘持…大蔵吉次郎  餅屋…善竹忠一郎  娘…大蔵基誠
後見…大蔵教義
たいへん大掛かりな構成で、にぎやか。ひとりひとの人物描写が面白かったが、 容貌を見て変化するあたり、あまり趣味のよい笑いではない感じ。 冷静沈着な餅屋で、そこだけ冷ややかな空気であったのは、 このような解決しなければならない娘の問題を抱えていたから?
お雛様の丁仕や、鳥獣戯画の狐が担いでいる、白い長めの袋を掛けた棒は、 傘であることがよくわかりました。
ロビーから舞台へ向かう正面に、初世・大蔵吉次郎=第二十四世宗家 大蔵彌右衛門さんの お写真が掛けられ、お供えの白と紫のテッセンのお花と葉が、とても綺麗でした。
「正直坊」と「鬼瓦」の拝見に間に合いました。余裕の可笑し味と、眼の力と、隅々まで響き渡るお声が、 忘れられません。


2005 最新へ Cat 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
5月21日
(土)
平成17年度 第2回   
東京金剛会 例会能   
1:30〜  国立能楽堂   
仕舞
[ 右近 ]…大川隆雄
[雲雀山]クセ…荒川 進
[ 船橋 ]…遠藤勝實
     地謡…榎本 健  坂本立津朗  山田純夫  見越文夫
    

[ 八島 ]
シテ…元吉正巳  ツレ…田村 修
ワキ…殿田謙吉  ワキツレ…舘田善博  大日方 寛
アイ…三宅近成
大鼓…柿原弘和  小鼓…森澤勇司  笛…一噌隆之
後見…豊島訓三  工藤 寛  熊谷伸一
地謡…酒井鴻風  遠藤勝實  見越文夫  大川隆雄
     城石隆輔  坂本立津朗  宇高通成  片山峯秀
正面とその周辺が一番後ろまで満席! 静かな八島でした。
狂言
[佐渡狐]
佐渡の…三宅右近  越後の…高沢祐介  代官…三宅右矩
この狂言は、お代官さまが去るまでは面白いのだけれど、 それから後が、なんとなく楽しめない。3人で盛り上がって、一人分空白ができると、 何か淋しい感じ。
右近さんがひと頃より若々しくなった。
仕舞
[遊行柳]…宇高通成
[隅田川]…豊島訓三
        地謡…熊谷伸一  片山峯秀  廣田幸稔  雄島道夫
隅田川。村雨に尋ねるなんて、今日も楽しい。 以前、笛の一噌なんとかさんが笑っていたけれど、理解者なのかも。 舞は、独特の柔らかさと頑固っぽさで、面白い。足運びのマと、腕が“活きている”のが、 上手だと思うようになった。自分の段階で、感じるものが変わるのかな。

[ 藤戸 ]
シテ…松野恭憲
ワキ…野口敦弘  ワキツレ…野口能弘  吉田祐一
アイ…高沢祐介
大鼓…安福光雄  小鼓…鵜澤速雄  太鼓…金春国和  笛…寺井久八郎
後見…宇高通成  田村 修  遠藤勝實
地謡…荒川 進  雄島道夫  工藤 寛  榎本 健
     田島 弘  廣田幸稔  今井清隆  山田純夫
前シテの母親がよかった。男役そのもののような声も、雰囲気が出ていて、予想外によかった。 後の息子の幽霊は静止画で、どう楽しんだらよいのか? 少し、うとうと。
アイが熱演だった。途中停車があったけれど上手。 狂言界に続々と若い方が誕生しているのがわかった。
2003年の「是我意」のワキの僧が大変よかったので、野口能弘さんを覚えた。 その後、まだ、あのときのような能弘さんに会っていない。


2005 最新へ Cat 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
5月20日
(金)
世界文化遺産 能楽   
能楽協会・日本能楽界 主催   
1:00〜  国立能楽堂
   
狂言
大蔵流
[二人袴]
父…山本東次郎  舅…山本則俊
聟…山本則重?  太郎冠者…山本則秀?
後見…山本則孝

■「えのころ」とは?
◇ゑのこ― 【〈犬子〉/〈犬児〉/狗児】(goo 辞書より)
   犬の子。えのこ。
   「―一疋来るをとらへて抱き/咄本・昨日は今日」

◇えのころ-ぐさ ゑのこ― 4 【〈狗尾〉草】
   “ねこじゃらし”は仔犬のむくむくした尻尾からの銘名でした
かなり笑った。過保護のムコは実は芸達者だった。 気が弱くて、へんな度胸のある、畏れを知らぬ青年に、温かいオトナ。 ひと言多い太郎冠者がトラブルメーカー。 “前半分の袴”って、“仮面”と同じかも。
父親の、人間味がにじみ出る感じがよかった。ひょうきんさも垣間見えて。

金剛流
[土蜘蛛]
千筋之伝
シテ…金剛永謹
ツレ…今井清隆  廣田幸稔  工藤 寛
ワキ…宝生 閑 ワキツレ…宝生欣哉  則久英志  大日方 寛
アイ…山本泰太郎
大鼓…安福建雄  小鼓…幸 清次郎
太鼓…助川 治  笛…寺井久八郎
後見…松野恭憲  片山峯秀  田村 修
地謡…遠藤勝實  見越文夫  田島 弘  元吉正巳
     坂本立津朗  種田道一  宇高通成  山田純夫
うわさのホトケ倒し?目撃。
千筋之伝にも、色々演出の変化があるようだ。 土蜘蛛は、いつの間にかふわっとではなく、堂々と幕から現れた。 以前の豊島三千春さんのを拝見してしまったので、今日は糸が少々淋しかった。 怨念の糸のからまる奥で、さすが威丈夫の武将も病におちいる、という映像がなつかしい。
武者たちにあまりやっつけられないうちに、いきなり土蜘蛛がばったりいってしまったので、 あれは、力を温存しようという策略で、今頃きっと別なところに巣くって次の作戦を練っていると思う。 がんばれ征服されそうな民族!
今日のロビーは檜書店で、「小鼓 心に響く音と技の世界」 発行者:大倉源次郎  編集:伝統文化プロデュース 連、というグラビア誌を発見。生田コレクションを発端としながら、 国立能楽堂の鼓胴研究とはまた違った面の特集があり、面白かった。 能楽以外の伝芸名手や、現代鼓作家のお話なども。


2005 最新へ Cat 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
5月11日
(水)
国立能楽堂 定例公演   
1:00〜  国立能楽堂   
狂言
和泉流
[ 隠狸 ]
シテ・太郎冠者…野村祐丞  アド・主…野村万蔵
たいへん期待していたので、うーむ…という感じ。熱演風なのだが、どことなく味気なかった。 そもそも、死んだ動物を腰に下げているということが気持ちわるいのだから、 それを忘れさせるような何か魅力がほしい。

金剛流
[ 右近 ]
シテ 女・桜葉の精…今井清隆
ツレ・侍女…今井克紀  工藤 寛
ワキ 鹿島の神職…中村彌三郎
ワキツレ・従者…山本順三  是川正彦
アイ・所の者…炭 鉄男
笛…松田弘之 小鼓…住駒虚F 大鼓…河村総一郎 太鼓…小寺佐七
後見…種田道一  片山峯秀  豊島幸洋
地謡…遠藤勝實  元吉正巳  宇高竜成  見越文夫
     坂本立津朗  廣田幸稔  宇高通成  田中敏文
桜葉の精の、緑の大口?と白い長絹がよかった。梢から天に上がっていく型に、あったー!と感激。 同じ演者で、天狗になるとどう昇っていくのか興味がわく。 このような型が何百年も続いているとすると、松樹が神の通路であるというのも、 なんだか自然のことのように思える。
桜は老木の精であったり、葉っぱの精であったり、なかなかむずかしそうな木だ。  地謡、何となく同じ調子の一本調子な感じ。笛最高。お囃子全体がとてもよかった。
神職御一行は珍しい方々で、幕前の登場の所作のスケールの大きさに圧倒された。おもしろーい!  また、所の者の、耳に馴染みのよい話し方やマに、すごい力量を感じた。
展示室は「生田コレクション」で、見事な蒔絵と鉋目の鼓の胴が並んでいました。 解説プログラムも立派で、見ごたえあり。音も聴きたかった。


2005 最新へ Cat 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
3月19日
(土)
平成17年度 第1回   
東京金剛会 例会能   
1:30〜  国立能楽堂   
仕舞
[ 箙 ]…榎本 健
[ 草紙洗 ]…熊谷伸一
     地謡…荒川 進  工藤 寛  元吉正巳  大川隆雄
    

[ 泰山  
  府君 ]
シテ…金剛永謹  ツレ…坂本立津朗
ワキ…宝生 閑  アイ…遠藤博義
大鼓…安福光雄  小鼓…野中正和
太鼓…三島元太郎  笛…一噌庸二
後見…豊島訓三  山田純夫  遠藤勝實
地謡…酒井鴻風  田村 修  見越文夫  荒川 進
     城石隆輔  片山峯秀  松野恭憲  元吉正巳
「待たじ、はや」の場面と、連れ立って桜の木に近づくところが好きで、 楽しみにしている…。 すらっと背の高い後の天女でした。
狂言
[ 悪坊 ]
悪坊…山本東次郎  僧…山本泰太郎  宿の主人…山本則重
あっさりめの悪坊でした。悪坊が休むと態度が変わる僧が、 “一見被害者風”裏を返せば…という感じで、今日は、そこのいやらしさが目だった。
仕舞
[楊貴妃]…豊島訓三
[ 巻絹 ]…今井清隆
        地謡…大川隆雄  坂本立津朗  種田道一  見越文夫
内省的な感じと、外向きな表現と、ふたつ並んでおもしろかった。

[ 百万 ]
シテ…工藤 寛  子方…山根あおい
ワキ…安田 登??  アイ…山本泰太郎
大鼓…佃 良勝  小鼓…幸 清次郎  太鼓…小寺佐七  笛…藤田次郎
後見…松野恭憲  片山峯秀  田村 修
地謡…熊谷伸一  雄島道夫  遠藤勝實  榎本 健
     田島 弘  種田道一  今井清隆  山田純夫
百万の長絹姿がよかったのと、都人が鏑木さんだったのと、幼子が上手だったのに 驚きました。
こんなに何度も橋掛りに行く百万は初めてのように思う。所要時間増加。 探し続けた我が子にめぐり合って、興奮して舞い上がっているところなのだろうか。


2005 最新へ Cat 観能予習 復習  2001 '02 '03 '04 '05  
3月4日
(金)
第2回 杉並演劇祭 参加  
アットホーム能楽鑑賞会 vol.2  
蝋燭能の夕べ  
セシオン杉並ホール  6:30〜  
解説
三浦裕子…武蔵野大学講師。同能楽資料センター研究員。
『 「鵜飼」は、5番目のフィナーレ的番組で、重すぎず、きびきびと演じられる。 ワキの諸国一見の僧は、だいたい没個性で、観客の代表として物語を引き出す役目。 ここでは安房の清澄から来たと名乗り、日蓮を指している。法華経を大切にという教えであり、 「南無」というのは、古代インド語で、あなたを信じます、身を捧げますという意味で、 「妙法蓮華経」は法華経を飾って大切に言ったものである。
シテは前後で役が変わるが、昔は後場も鵜使いがいたようだ。 蝋燭能としては、夜の御堂でのできごとなので、合っているのと、 暗くて見えない分、言葉や動きに敏感になるのが面白いのではなかろうか。
日が昇ると魚は集まらない。夜漁をしていると漁火が明るく、終わると火も消え、侘しい。 「後の闇路をいかにせん」と殺生の地獄を暗示している。旅の僧は、そのような出会った人を救う方便である。 僧の回向と、僧を接待した功徳で、最後は極楽にいける。地獄の鬼や閻魔は、地獄だけにとどまるのでなく、 そのような橋渡しもする。前場では、陰惨なだけでなく、思わず漁を楽しんでしまう情景も描かれている。 』

『能は宗教劇ではない』 と仰ったのが、何か、意味するところがあるようでした。

金剛流
[ 鵜飼 ]
シテ(鵜飼の老人・ 地獄の鬼、閻魔王)…工藤 寛
ワキ(旅の僧)…安田 登  ワキツレ(伴の僧)…野見山光政
アイ(所の者)…大蔵ヘ義
大鼓…柿原光博 小鼓…鵜澤洋太郎  太鼓…小寺真佐人  笛…槻宅 聡
後見…豊島訓三  遠藤勝實
地謡…元吉正巳  山田純夫  坂本立津朗  片山峯秀
舞台の上に能舞台が置かれ、その回りに蜀台が並べられていました。 開演前に紋付袴の方が二人点火して回り、客席の明かりが暗くなりました。
蝋燭に照らされると、すべてに深い意味があるように、奥深く見える。 面の陰影はすばらしく、向きにつれてそれ自体が語っているようで、こういう時に どんな声が聴こえるのかと、どきどきした。笛の音が、今このために作ったかのように しーんと響いた。手にしたたいまつで面が隠れると、もっと見たい、動かないかなー、とか思った。 す巻きにされるお話のところで、舞台の明かりが暗くなり、 真ん中にスポットライトの光が魚翁を丸く照らしたので、少々現代劇に飛んでしまった感じがした。

所の者の語りが「ザ・語り」という感じでおもしろかった。 高い声で、時として裏返ったようなところもあったが、よかった。 僧が、法華経の字を書くために石を集めようというのが、よくわかった。 本ではなく、実際に聞き取れるとおもしろさが増し、功徳の効果倍増。

閻魔王は、赤い髪に赤い顔で冠を載せ、濃紺に金の模様の狩衣の大きな袖を巻いたり払ったり、 威力を放っていた。 床が床なので、足拍子は板の音だったが、メリハリがあってよかったのと、 前場では、いまいち??だった大小鼓も、テンポよく声も音も盛り上がってよかった。 時間が短く感じられて、なんだか終わるのが残念だった。地謡がおとなしかった。
アット
ホーム
タイム
使用面の紹介と質疑応答時間
 回答者…三浦裕子 ・ 工藤 寛 ・ 安田 登 ・ 大蔵ヘ義
   聞き手…雪乃さずき(舞台女優)
<使用面> ★三光尉…三光坊が作ったから。庶民、鵜飼を生業としている老人。 口の回りのヒゲは、毛を植えてある。高砂の住吉明神の小牛尉は、彫って描いてある。 ★小べし見…鬼の類。へしむとは口を結んだ形。大べしは天狗で、この小べしは大きいほう。 赤っぽく憤怒の表情をしている。

ワキは脇役ではない。着物の脇のように、表と裏を接ぐ何かである。 幽霊を見て人々に伝えてあげる。うまく言えない思い、恨みを分け、語らせることによりまとめ、 引き出してあげる。

狂言師という言葉はなく、能楽師である。間狂言とは、現在行われている空気を感じ取り、 後をどのようにしようかと考える、前半と後半のつなぎ役である。狂言とは、人間らしい、 人間くさいものである。

質疑応答
★ 面が変わったように見えるのは、面の傾きや、造りが左右対称でないところが、 そうみえるように造られているといえる。演者としてうれしい。
★ 間の語りが本に載っていいないのは? 出版されてはいない。能楽大全?には載っている。 ワキはアイとの会話があるので、間狂言を知っているし、アイがいないときは、ワキが代行する。
★ 登場するスピードが独特で、ゆっくり歩んでくるなかに、いろいろ想像が働く。  速さは、「位」といわれ、曲の内容、役柄で、速い遅い、ゆっくり、静かになど決まっている。 それは「師伝」で伝えられる。お囃子は位がわかっているので、登場の一声で、老人をあらわしたりする。
★ シテがガラッと換わって見えたりする役作りは? 自分の中で気持ちを切り替え、動きや謡に表わそうと いう気持ちを持つ。「面」を見て、表情を自分に移入する。囃子の演奏を体に受けて表わす。 などなど。
午前中まで雪が降ったので、いらっしゃるのを断念なさったかたがいて、残念でした。 私も雪かきで疲れました。会場は空いていて、勿体無い。

前回に続き、今回も、質問の時間がいい感じでした。 大蔵ヘ義さんは若い方で、小学校の頃は、家に帰るとお稽古なので、それが嫌で遊んで遅く帰った、 など、実感がこもっていました。
雪乃さんの進行、要点をのがさず、てきぱきとしていて、よかった。


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2月24日
(木)
国立能楽堂企画公演   
…蝋燭の灯りによる…    
6:30〜    
仕舞
宝生流
[ 求塚 ]
シテ…近藤乾之助
地謡…朝倉俊樹  當山孝道  前田晴啓  金井雄資
お能の舞台では、すごい姿になるのかも。ずっと前の小督の仲国が良かったように。 宝生流のお仕舞は、どうも想像力が作用しなくて、わからない。慣れなのかしらん。 地謡いまいち。蝋燭のぼんぼりの雰囲気満点の景色で、音が残念だった。

金剛流
[ 山姥 ]
  白頭
シテ(女・山姥)…金剛永謹  ツレ(百万山姥)…種田道一
ワキ(従者)…中村彌三郎  ワキツレ(供人)…山本順三  福王和登
アイ(里人)…茂山忠三郎
笛…藤田六郎兵衛 小…曽和正博 大…安福建緒 太…三島元太郎
後見…松野恭憲  山田純夫
地謡…遠藤勝実  宇高竜成  片山峯秀  工藤 寛
     坂本立津朗  廣田幸稔  宇高通成   ?
山姥の赤みがかった面、目や口元が端正で、山の自然の結晶 かもしれない感じがしてよかった。峻厳で年を取った山姥ではなく、 智的ではりのある表情のように見えた。足拍子が鳴り響いた。
プログラムに、「百魔山姥」という表現があって、字に驚いた。
舞台正面、脇正面に高低の差のある「結び燈台」(新国語図録) に漏斗のように巻いた風防の奉書をつけ、 ぼんぼりのようになった灯かりが並んで、また、橋掛りの松の左右にも並んで、きれいで、 舞台も見やすかった。場内の照明も暗く、本格志向。中入りで蝋燭の芯を切るのも面白かった。
狂言が無いのが超残念。あれば、どんな曲になるのかなあ。

★展示室、「柳川藩十一万石 立花家伝来」の女面以外の数々、薄い造りで表現が繊細で、 それでいてずっしりした奥のほうから、鋭い気が飛んでくるようなのが、どうも、 凡人は触れないほうがよさそうに見えた。金眼に威力があり、肌が妙にぴりぴりしていた。 石王尉が不気味だった。この展示室の面の角度は見やすい感じ。


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2月20日
(日)
都民芸術フェスティバル 参加公演  
第45回
  
式能  
国立能楽堂  第一部 10:00〜 第二部 3:30〜  主催:能楽協会  

金春流
[ 翁 ]
シテ…金春安明  千歳…善竹大二郎  三番三…善竹十郎

笛…藤田六郎兵衛
小鼓…曽和正博  住駒充彦  森 貴史
大鼓…安福光雄  太鼓…徳田宗久

後見…櫻間金記  横山紳一
地謡…金春憲和  井上貴覚  本田芳樹  大塚龍一郎
     高橋 忍  本田光洋  吉場廣明  辻井八郎
後見…大蔵彌太郎  善竹富太郎
    
[ 高砂 ]
シテ…高橋 汎  ツレ…山井綱雄
ワキ…副王茂十郎  ワキツレ…副王知登  永留浩史
アイ…大蔵吉次郎
    
狂言
大蔵流
[末広がり]
シテ…大蔵彌太郎  アド…大蔵基誠  アド…大蔵千太郎
後見…大蔵ヘ義
   

宝生流
[ 清経 ]
シテ…寺井良雄  ツレ…野月 聡  ワキ…村瀬 純
笛…中谷 明  小鼓…久田舜一郎  大鼓…亀井 実
後見…宝生英照  佐野由於  辰巳満次郎
地謡…小林信也  小倉伸二郎  水上 優  大友 順
     小林与志郎  高橋 章  亀井保雄  朝倉俊樹
    
狂言
和泉流
[ 蝸牛 ]
シテ…野村万蔵  アド…野村 萬  小アド…野村扇丞
後見…山下浩一郎
    

金剛流
[ 半蔀 ]
シテ…豊島三千春  ワキ…野口能弘  アイ…山本泰太郎
笛…藤田大五郎  小鼓…観世新九郎  大鼓…柿原崇志
後見…豊島訓三  豊島幸洋  豊島晃嗣
地謡…工藤 寛  元吉正巳  片山峯秀  遠藤勝實
     坂本立津朗  宇高通成  松野恭憲  山田純夫
    
狂言
大蔵流
[樋の酒]
シテ…山本東次郎  アド…山本則直  アド…山本則俊
後見…遠藤博義
    

喜多流
[枕慈童]
シテ…谷 大作
ワキ…高井松男  ワキツレ…大日方 寛  則久英志
笛…帆足正規  小鼓…野中正和  大鼓…大蔵三忠  太鼓…金春惣右衛門
後見…粟谷辰三  粟谷浩之
地謡…大島輝久  井上真也  粟谷充雄  佐々木多門
     長島 茂  内田安信  香川靖嗣  出雲康雅
    
狂言
和泉流
[ 水汲 ]
シテ…野村萬斎  アド…高野和憲
後見…月崎晴夫
    

観世流
[ 鉄輪 ]
  早鼓
シテ…梅若万三郎
ワキ…宝生 閑  ワキツレ…宝生欣哉  アイ…石田幸雄
笛…一噌庸二  小…鵜澤洋太郎  大…亀井忠雄  太…三島元太郎
後見…梅若紀長  武田志房
地謡…武田友志  藤波重孝  木原康之  津田和忠
     武田尚浩  岡 久広  坂井音重  中島志津夫
    


2005 最新へ ねこ 観能予習 復習  2001  '02  '03  '04  '05  
1月29日
(土)
国立能楽堂特別公演   
1:00〜   

金剛流
[ 大社 ]
シテ(老翁・杵築太神)…宇高通成  前ツレ(男)…宇高竜成
後ツレ(御崎の神)…種田道一  (海龍王)…廣田幸稔(←松野洋樹)
ワキ(臣下)…高安勝久  ワキツレ(従者)…塩田耕三  藤野藤作
笛…松田弘之  小鼓…幸 正昭  大鼓…亀井広忠  太鼓…桜井 均
後見…金剛永謹  廣田泰三  。。。
地謡…遠藤勝實  見越文夫  元吉正巳  工藤 寛
     片山峯秀  今井清隆  松野恭憲  坂本立津朗
間狂言
大蔵流
神子神楽
シテ(神主)…茂山七五三
アド(神子)…茂山逸平  (参詣人)…茂山童司
    

観世流
[ 葵上 ]
  梓之出
   空之祈


   


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1月10日
(月)
九世 野村万蔵 襲名披露会 
十日 夜の部  国立能楽堂  18:00〜 
小舞
「花の袖」…野村拳之介
「宇治の晒」…野村虎之介
    
仕舞
「笠の段」…金春安明
一調
「八島」…近藤乾之助  安福建雄
舞囃子
「岩船」…金剛永謹
   
狂言
[花子]
シテ…野村万蔵
アド…野村万禄  小アド…野村 萬
後見…野村扇丞  小笠原
文化の香り漂う都人だった。以前の少し田舎っぽい印象払拭。 後朝の帰りにしんみりした風情があって、やがてくる修羅場?の時の変貌と、 違和感のない一人の存在として、見ごたえがあった。 妻も良かった。ただわわしいというのではない部分が表れるような口調が感じられた。 むずかしい役なのではないだろうか。
半能
[石橋]
シテ…友枝昭世  ワキ…福王茂十郎
アイ(文殊菩薩に仕えるもの)…小笠原 求@ 野村扇丞  野村万禄
大…大倉正之助 小…幸 清次郎 太…金春惣右衛門 笛…一噌庸二
後見…塩津哲生  友枝雄人  狩野了一
地謡…内田成信  中村邦生  長島 茂  金子敬一郎
     出雲康雅  香川靖嗣  粟谷菊生  粟谷明生
いいお獅子だった。赤いカーリーヘアーで、お獅子の表情と装束の雰囲気が、 西域的というか、伎楽のようだった。
二つの一畳台は、正方形に置かれ、 紅白の牡丹は対角線上。文殊菩薩に仕えるもの、とは具体的に何なのだろうか。 3人で、石橋のほとりでお獅子を待つ間酒盛を始め、酌み交わし、交互に舞う。3人全部が 同じことをするのを見るのは、少々長くて疲れた。で、お獅子が出そうになると、 恐ろしいからといなくなってしまって、驚いた。 これだけねばったのだから、逃げないでくださいな。
法師が見守るなか、独特の笛の旋律が流れ、お獅子登場。勇壮なのに、猫科的で面白い。 一頭で、堂々と、頭を振ったり、胸を張ったり、かがんだり、飛び乗ったり、降りたり、 両手を広げたり、前で合わせたり、メリハリある動きの連続で、 それが独特のファッションと相まって、なかなかよかった。 本場・清涼山で、法師もこのお獅子に満足したのではないだろうか。 お囃子もよかった。地謡もよかったのでほっとした。 喜多流って、地謡がてんでんばらばらのときがあるので。 お獅子が去り、法師が去り、お囃子が去る姿も、とてもよかった。めでたしめでたし。
耕介→万之丞→八世万蔵。 良介→与十郎→九世万蔵。 史高→扇丞?
改名についていかれません。数年前、モアの薪能での「梟山伏」がとてもよかったので、 野村家関係を覚えるきっかけとなりました。


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