〜か〜

かいじょう(開場) 劇場、ホールで観客を場内に入れること。「入れ込み」「客入れ」ともいう。 .
かいちょうば(開帳場) 舞台やスタジオの舞台装置で、床を任意の方向に傾斜させ、俳優が昇り降りできるようにした大道具。山道や坂道などに用いられる。寺院のお開帳のとき、多数の参詣客の混雑による危険防止のため、階段の上に板を敷いて作った斜面に似ているのでついた名。八百屋ともいう。(写真は所作台用開帳場)

写真
ガイドレール 吊り物のカウンターウエイトが昇降する時沿って滑るレール。 .
カウンターウエイト 吊り物などにおいて吊り道具と重量のバランスをとるための鉄製の鐘。松竹系の劇場では(ふんどう)、東宝系の劇場では(しず)と呼ばれる。

写真
かえて(替手) 三味線の奏法のひとつ。二人以上で三味線を弾くとき、本来のメロディーを弾く本手(ほんて)に対し、同じ調弦の三味線で違ったメロディーを弾いて合わせていく奏法。また、その奏者。同じメロディーを遅らせて弾く場合と、違うメロディーをからませて弾く場合がある。また、本手と違う調弦の三味線を用いる場合は、上調子(うわぢょうし)という。 .
かおみせ(顔見世) 歌舞伎の年中行事の一つ。江戸時代に毎月11月(京阪では宝暦のころから12月)に行われた。歌舞伎俳優の契約は1年単位が原則で、毎年11月から翌年10月まで、きまった座(劇場)に出演する制度になっていた。したがって11月は新規の顔ぶれで組織された一座を見せる最初の重要な興行で、芝居の年中行事の中でもとくに顔見世月といった。明治中期までで面影も消え、今ではわずかに京都南座の12月興行を顔見世と称し、年に一度の興行を行うだけとなっている。 .
かがみ(鏡) 大道具用語。襖、障子、ドアなど出入り口のある装置の場合、出入り口が開かれたときに舞台が客席から見えないように出入り口後方に立てられる張り物(→はりもの)のこと。窓などにも外の情景が描かれる。押し入れなどの場合は底ともいう。

かかり(掛り)
かかる(掛る)
1.唄や三味線の唄い出し、弾き出し、鳴り物の演奏のキッカケまたはタイミング。
2.音を再生するキッカケ
3.稽古の開始。
.
かきぬき(書抜) 歌舞伎用語。正本(→きゃくほん)の中から一つの役のせりふだけを書き抜いたもの。 .
かきわり(書割) 歌舞伎背景画描法から由来した言葉で、建物の軒、壁、柱、腰板などすべて定規で線を引いたように書き割ってあるので、このような描法でできている張り物(→はりもの)、切出し(→きりだし)を書割と呼ぶ。書割描法には原則として陰影はつけない。 .
がくや(楽屋) 通常は舞台の後方にあり、主催者室・衣裳部屋・出演者が準備を行ない、休憩をする部屋など、公演の準備をするための多くの部屋の総称。 .
かけあい(掛合い) 日本音楽用語。2種類以上の異なった音楽による演奏。 .
かげいた(陰板) 演出用語。陰の板付き(→いたつき)の意。開幕の時、あるいは回り舞台(→まわりぶたい)が回ってきたとき舞台上にいる板付きに対し舞台に登場するため舞台上下(→かみて)の袖で待機していることをいう。 .
かげだん(陰段) 観客から見えないところに置かれた階段、梯子、箱段などのこと .
かげどうぐ(陰道具) 小道具の一つ。最初から舞台に置いている置道具(出道具)(→おきどうぐ)に対して、俳優が進行にともなって持ち出す道具のこと。運び道具ともいう。舞台袖や出入り口、大道具の裏など客席から見えないところに置く。 .
かげばやし(陰囃子) 邦楽で、三味線と唄が舞台に出て演奏しているとき、鳴り物(太鼓、大皷、小皷、笛、その他)を客席から見えない場所で演奏すること。 .
かけわら(掛けわら 忠臣蔵山崎街道の場で見られるようになんとなく暗い感じを示す。 .
かこい(囲い) 上下(→かみて)とも大臣柱(→だいじんばしら)の外の部分を囲う張り物(→はりもの)をいう。舞台を広く飾る場合には背景が連続の道具を使う。京阪ではあてもと呼ぶ。 .
かざりこみ(飾り込み)
かざる(飾る)
大道具や小道具を、舞台やスタジオに組み立てる作業。大道具を組み立てることを「建て込み」と言い同意語。一演目の全幕を一つのセットで舞台全体に飾り込んで上演する場合を一杯飾りと言い、二場面、三場面を飾った時、二杯飾り・三杯飾りと言う。 .
かしゃがた(花車方) 歌舞伎の役柄。女方のうち年増、老女役専門の役者をいう。花車とは、近世初期の廓(くるわ)風俗の年配の女房、仲居のことで、傾城(けいせい)、買狂言を主流とした京阪歌舞伎において相思相愛の主人公達の恋の仲立ちとして活躍した。 .
かすがい(鎹) 大道具用語。張物(→はりもの)や立ち木などを組み立てるとき、つなぎや床に固定するために用いるコの字型の金具。長さ約9センチ。通称ガチ、ガイともいう。 .
かすめる(幽める) 1.下座音楽の演奏用語。音を薄く、弱く演奏すること。
2.音量を小さくすること。
.
かすみまく(霞幕) 大道具用語。木綿の白布に浅黄色で横霞を描いた幕で、山台(→やまだい)出語り(→でがたり)の浄瑠璃連中を隠すために用いる。高さ2メートル、横10メートルほどの幕の両端に棒(幕串)が取り付けてあり、出語りのきっかけで大道具方が取り除いたり、持ち出したりする。 .
かた(型) 演技、演出用語。舞楽、能楽、人形浄瑠璃、歌舞伎などにおいてある局面の思想、感情、情緒などを最もよく表現するものとして創造され、継承された演技、演出、扮装などの様式をいう。 .
かたぶた(片蓋) 半丸とも称する。前半分あるいは2/3ほどを立体的に作った道具のこと。 .
かたきやく(敵役) 歌舞伎の役柄。悪人役の総称で、初期歌舞伎において男役から最も早く分岐、専門化した職分。 .
かたりもの(語りもの) 邦楽の声楽曲の中で、言葉が主で筋のある物語を語るもの。または、この要素の高いもの。代表的なものとして、浄瑠璃、講談、浪花節などがある。 .
カットクロス cut-out dropともいう。森やアーチなどの絵の形に切り抜いた布製の「吊物」のこと。背後の道具と一体となって場面を形成するように下端が切出し(→きりだし)となっているドロップ(→ドロップ .
かつら(鬘) 演技者が用いる扮装用の頭髪用品。 .
カーテンライン 1)幕と舞台床と接する線。2)幕を操作する線条。 .
カーテンコール curtain callは終演後、観客が出演者を幕前(または幕の開いた舞台)に呼び出して喝采を送る儀礼的習慣。普通主役から順に登場する。 .
かぶき(歌舞伎) 日本の伝統演劇。1603年、出雲の阿国(おくに)が、京都の四条河原で女だけの歌舞を演じたのが始まり。歌舞伎は文字通り音楽、舞踊、演技で形成していて、様式的な美を基本にした演劇である。伴奏音楽に三味線を用いて、台詞の発声法もそれに準じていることなどから、台詞を美しく聞かせることに主眼をおいた聴覚の芸術でもある。 .
かぶきげきじょう(歌舞伎劇場) 歌舞伎劇の上演を目的とする劇場。舞台機構の特徴としては、舞台には場面転換のための「回り舞台」や「迫り」が設備されていて、客席を縦断して役者が出入りする「花道」が設けられている。舞台間口は横長で、上手(かみて)に義太夫を演奏する場所のチョボ床があり、下手(しもて)には音楽を演奏する下座がある。

かぶせる 舞台装置の飾られてある前に、上部からドロップ(→ドロップ)を降ろしたり(この反対をとばすという)左右から張物(はりもの)でおおって舞台転換をすること。 .
かぶりつき 劇場用語。観客席の舞台よりの最前列をいう。本雨、本水、本泥場面などでは水や泥が客席まではねるので、座方が桐油びきのかぶりものを渡したことから生まれたともいわれる。また大入りをかぶるという興行用語に関連させて、舞台端へかぶりつくまで客を入れたためこう呼ばれるようになったともいう。 .
かぶる 歌舞伎興行用語。1)大入りのこと。2)終演のこと。 .
かべ(壁) 屋体物の柱と柱の間の面で、板壁、土壁張壁の3種があり、土壁の色は白、ネズミ、ネギシ、茶、黒、桃等の色があり、家柄によってそれぞれの色が定まっている。張紙にもまたそれぞれの模様があり、花の丸、霞、定紋ぢらし、雪等がそれである。張壁の場合、黒または赤の押縁が添えられる。土壁との区別になるし、格調も現せる。 .
かまち(框) 床(とこ)や玄関などの端に渡す化粧横木のことで、上がりかまちと言い、舞台では舞台端(最前部)の横木を舞台かまちと呼ぶ。 .
かみだし(上出し) 回り舞台の回し方のひとつ。時計の針と同じ方向に、客席から見て右側が出てくるように回転すること。逆回しともいう。 .
かみて(上手) 舞台用語。客席から舞台へ向かって右側をいい、下手(しもて)に対する。外国では舞台から客席に向かって右側をライトハンド、左側をレフトハンドという。テレビでは舞台と同じく、カメラから見て上手(右)、下手(左)という。 .
かんじしつ(監事室) 劇場用語。通常客席後方に位置した小さい部屋。ここで常に舞台の進行状況、舞台装置などを監視して誤りを発見すれば、直ちに電話等で舞台裏に連絡修正させる。 .
カラーフィルター 照明用語。color filterは色光を光の透過でうるために用いるフィルター。カラーフィルターは耐熱、不燃性、透過率の高いこと、褪色の少ないこと、色相の多いことなどが材質、製法の条件とされている。かつては綿布、セロファン紙、ゼラチンなどが素材にさてていたが、現在はプラスチック系材質によっている。色相数は約80種類。独自の番号表示により分類されている。色相フィルターのほかに色温度数変換用のコンバージョンフィルター、ブラックライトと呼ばれる可視光線を遮断し紫外線のみを透過するUVフィルターなどがある。 .
かんじんのう(勧進能) 能の公演形式の一つ。本来は社寺の建立や修復の勧進(寄付募集)のために興行される能のこと。 .
かんていりゅう(勘亭流) 歌舞伎の外題(→げだい)看板、番付、正本の表紙などに使われる特殊な書体。肉太く、内輪に丸みを帯びた書体は御家流の書風を様式化したといわれ、その書体は(内へ入る)という芝居の縁起に由来する。安永期(1772〜81)芝居町(堺町)で書道指南をしていた岡崎屋勘六が余技に中村座の名題看板を書いて好評を博し、勘亭というぺンネームをとって勘亭流と呼ばれた。 .
がんどうかえし(がんどう返し) 大道具用語。強盗返しとも書く。(箱天神)(どんでん返し)ともいう。屋台などの立体的に飾った道具の賽子を底の一遍を軸として転がすように、全体を90度回転させて下部に仕掛けた道具を正面に見せる転換法。歌舞伎独特の見せ場の一つ。 .
かんむりこうえん(冠公演) 企業がスポンサーになって行われるコンサート、演劇、ミュージカルなどの公演のこと。公演名に協賛する企業の名称や商標名を冠のように付けることからこのようにいう。 .