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ばあたり(場当たり) 舞台に本番と同じように大道具などを飾り、立ち位置や出入りの段取り合わせをすること。 .
はいけいまく(背景幕) 風景などが描かれた幕。ドロップ(→ドロップ)と同意語。 .
はいめい(俳名) 歌舞伎の役者名(はいみょう)とも読む。本来は俳人の雅号だが、歌舞伎界では役者名、芸名、名称としてその地位、役柄、身性を左右するバロメーターとなる。 .
はこあし(箱足)
はこうま(箱馬)
→足 .
はしがかり(橋掛り) 能舞台の一部の名称で、舞台の左側にある「鏡の間」と舞台とをつなぐ廊下のような部分。演者の登退場だけでなく、演じる場所としても使用される。例えば、舞台と橋懸かりを別の家の中と設定したり、舞台を下界、橋懸かりを雲上に設定した演出などがある。

はしょる(端折る) 演奏や演技の途中を省略すること。 .
はしりこみ(走り込み) 大道具用語。二重屋体の襖、障子などの出入り口の裏側や、土手などの見えない部分に俳優の出入りのために同じ高さの台をおく。これを走り込みという。俳優の出入りするとき、上り下りが見えないための台。 .
はしら(柱) 二重の上に立てて座敷を組むために用いられ、幅3寸のものと4寸のものがあり、前者は一般民家に、後者は武家屋敷、御殿等に用いる。 .
ぱたんがえし(ぱたん返し) 張り物の一部分に横軸(蝶つがい)を利用して上半分を前にひっくり返すことの呼名で、前と違った場面が現わされる一つの手法である。 .
バックドロップ 幕構成舞台装置(ウイングボーダーシステム)の背面となり、舞台裏をマスクするように舞台奥に吊り下げられ、通常、天空や背景やその他の背景画面の描かれている大きな幕。 .
パッチング
パッチ
舞台照明設備の場合、多数の照明器具が負荷回路に接続されているが、この負荷回路はさらに一定数の調光器に電気的接続により組み込まれる。この組み込み機構をパッチ機構(patching)という。各負荷回路がそれぞれの調光器と直結されている場合は必要ない。電気的パッチ方式には、強電パッチ方式、電子クロスコネクション方式などがある。音響機器等の結線も「パッチ」「つなぎ込み」などという。 .
バトン 装置道具や照明器具を吊り物機構に取り付けるための横棒、最近では金属パイプが用いられるのが通例である。この場合我国舞台裏では(てっかん)(パイプ)と通称されているが設計界やメーカーの間ではバトンという用語が通っている。しかしbattenという語は、元来小割木材を意味しているものでただbattenだけでは米、英では他に別の意味を持っている。いわゆる(てっかん)をさすにはアメリカでは正式にはpipebattenと呼ばれ、イギリスではbarrelと呼ばれている。

花頭口 元来仏寺建築様式で金閣寺の舞台を始め寺の道具に窓や入口に用いられているが、御殿物にも用いられ、理屈抜きに立派に見える。 .
はなみち(花道) 歌舞伎劇場独特の舞台機構。能舞台の橋掛りから変化したという説と、舞台の俳優に纒頭(こんどう)(はなの祝儀)を贈るために設けた歩み板からという説がある。舞台効果からいえば前者が、名称からいえば、後者が正しく思われる。花道の突当りは鳥屋(とや)といわれ、その入口にかかっている幕は揚幕(→あげまく)といわれる。花道の七三(舞台から三、場幕から七の場所)(→しちさん)は、演出上重要な位置で(すっぽん)というせり出しが作られている。ここから出てくる人物は、現実の人形以外のもの(動物の変化、精霊、幽霊、妖怪など)という約束になっている。なお舞台に向って花道より右手の客席を芸表、反対側を芸裏という。 .
はねる その日の公演が終了すること。終演。「9時にはねる」などと使う。昔、芝居が終わると外囲いのムシロを上にはねておいたことから生じた言葉。略して「はね」ともいう。 .
はふ(破風) 能舞台と歌舞伎舞台との間に種々の関係が深く、舞台装置においても戻橋などの舞台に装られている。 .
ばみる 舞台稽古などの際に、小道具や出演者の立ち位置などを決めて、その位置に粘着テープなどで目印をつけること。 .
はやがわり(早替り) 人形浄瑠璃でも人形出遣いで裃を引き抜くが、おもに歌舞伎演出を指す。すなわち一人の役者が同一狂言における同一場所で二役以上の役を瞬間的に替って勤める。 .
はやく(端役) 主要でない役、またはその役を演じる俳優。 .
はやし(囃子) 日本音楽用語。(はやしたてる)から生じた語で、元来は歌や舞踊を盛り上げるための打楽器が主体となる音楽を指す。歌舞伎の場合は、能の囃子の影響のもとに発展したもので、狭義では管楽器および打楽器のみの演奏(鳴物)を指すが、広くは唄、三味線も含める。歌舞伎囃子には舞台に出て舞踊の伴奏を行なう出囃子と黒御簾内で劇の進行に合わせて影囃子(下座音楽ともいう)があり、その手法には能の囃子そのものおよびその歌舞伎化したもの、さらに歌舞伎独自のものの3種類がある。なお胡弓、大太鼓、摺鉦(すりがね)、拍子木など能の楽器以外のものが多種使用される。 .
はやしかた(囃子方) 歌舞伎の鳴物師。能の囃子方を主体としたもの。後に唄、三味線が加ったが鳴物師のみを指すことが多い。 .
はやしことば(囃子詞) 唄の掛け声の部分。唄の調子を整えたり、唄を引き立てるために入れるが、特別の意味は持たない詞。 .
ばらす 舞台装置を解体したり、照明や音響機器をもとの状態にもどすこと。 .
はりだし(はりだし舞台) つけたした舞台。「エプロン」(→エプロンステージ)、「でべそ」と同意語。 .
はりぼて(張りぼて) 小道具用語。場面転換などの舞台操作や演技表現のため、本物に似せて軽く作った大、小道具。張り子、紙の型抜きや竹組などの土台に、紙や布を張り重ねて作る。今は発泡スチロールなどの新素材を使用することもある。 .
はりもの(張り物) 大道具用語。舞台装置の大道具の重要なもので、材木で枠を作りそれに紙あるいは布を張ったもので、古い張り物は細かく材木で骨を作り、それに日本紙を張った。現在ではベニヤに紙を張ったもの(パネル)や布地を張ったものがほとんどで、泥絵具で必要な色を塗ったり、あるいは絵を描いたりして使用する。 .
ばんぎ(盤木/板木) 下座音楽の楽器。樫の厚い板をつり下げて、橦木という一種の撥で打つ。時刻や行事、火災、地震、一揆、騒動などの変事を知らせるときに使用したもの。歌舞伎では早い間で打って、急変を告げる場面で用いる。 .
はんまる(半丸) 客席から見える部分だけを立体的に製作した大道具。丸い柱や岩石の半分ほどを写実的に作ること。 .
はんまわし(半回し) 回り舞台(→回り舞台)を使用するとき、通常は180度回転して裏と表を入れ替えるが、半回しは90度程度回転して舞台装置の角度を変えて見せる演出方法。 .