映画日記 2003年 2015/08/30 更新





2003年12月31日(水) 晴 2004/01/01 更新

渋谷のシネクイントへ『ジョゼと虎と魚たち』(2003 日)の12:40の回へ。12:35頃に着いて、混んでいるとのことだったので座れるか心配だったが、大晦日のせいか混んではなくて、150人ぐらい。

終映は14:35ごろで、テアトル池袋の『東京ゴッドファーザーズ』の15:00の回にも行きたかったが、間に合わない可能性があったので、そのまま渋谷のシネ・アミューズの『幸福の鐘』(2003 日)の15:05の回。お客さんは15人ぐらい。

終映は16:55ごろで、今日は大晦日なので最終回を切り上げている映画館がほとんどなので、残るはそのままシネマライズで『ブラウン・バニー』を観るか、それとも横浜まで行って『直撃!地獄拳』を観るかで悩む。結局、後者の方が上映される機会が少ないのと、今日観た映画は2本ともせつなかった上に、前者はもっとせつなそうで今の精神上良くないということで、後者に行くことにする。2時間半も時間があいたので、ぶらぶら⇒横浜へ移動⇒ぶらぶら⇒食事⇒黄金町へ移動、で横浜日劇に着いたが、それでも開場まで25分ぐらいあったので、またぶらぶら。お客さんは10人ぐらい。男ばっかり。

2003年12月30日(火) 晴 2004/01/01 更新

『億万長者』(1955 日(新東宝))の録画を観る。台詞の量とストーリーのとんでもない展開が半端でなく、昔の日本映画は悠長だったわけではなくて、かなり無茶をしていたものがあったことを思わせる。

続いて『シベリアの理髪師』(1999 仏=露=独=チェコ)の録画を観る。上映時間約160分とかなり長いが、ストーリーの方も1885年のロシアと1905年のアメリカを行ったりきたりする、かなり広がりのある話。前半のドタバタ調のシーンの数々は、本当は良く出来ていて面白いのだろうけど、余り肌に合わなかった。しかし後半になって、前半のドタバタ調の勢いのまま、恋愛を軸にした物語を大技で強引に盛り上げてからは、かなり面白い。ストーリーは表面的でも、繊細でなくても、力技ってやっぱりいい。
(★★★、ドラマ系)

2003年12月29日(月) 晴 2004/01/01 更新

昨日行けなかった『ノンちゃん雲に乗る』、今日は昨日より早く出発したので開映の10:30に間に合った。ところが、映写機の不良とかで開映が1時間遅れ。でも、11:30ごろに来た人が映写室に入ったらあっという間に始まったので、映写機が悪かったのではなく、映写機を回す人がいなかったように思える。今時、映写機なんて誰にも回せるものだと思っていたが、モギリのお姉さんではだめだったのか? その後のスケジュールはきつくなかったので、私としては問題無しで、帰りに1年間有効の招待券と、現在昼間の部で上映中の『冬の日』(2003 日)の招待券をもらう。冬の日を観に来るために日を改めて阿佐ヶ谷に来るのもなんなので、そのまま引き続き13:00からの上映を観ることに。この映画、45分の本編だけの回だと600円だが、1時間のメイキングと合わせた上映の回は1500円だという、まるでメイキングの方がメインのような上映をしている。メイキングの中に登場するアニメ作家の面々の机の周りに、やたらとフィギュアが置かれているのがおかしい。

続いて渋谷に行き、『アイデン&ティティ』(2003 日)の整理番号をもらうために、昨日の教訓を生かして早めにシネセゾン渋谷に行く。それでも113番だった。お客さんはどうやら立ち見も出たようだ。

終映後、自由が丘武蔵野館の19:30からのレイトショー『不毛地帯』(1976 日)へ行く。お客さんは10人ぐらい。上映時間は5分間の休憩を入れて約3時間で長い。主人公の仲代達矢がソ連軍に連行されて来たシーンは、函館でロケしてハバロフスクとして使われていた。

2003年12月28日(日) 晴 2004/01/01 更新

ラピュタ阿佐ヶ谷の10:30からのモーニングショー『ノンちゃん雲に乗る』を観に行こうと思ったが、中野まで行ったところでどうにも間に合わなくなり、引き返して岩波ホールでの『美しい夏キリシマ』(2002 日)の11:30の回に行く。お客さんは50人ぐらい。

続いて、渋谷に行って『アイデン&ティティ』の13:50の回の開映ギリギリに行ったら、立ち見だと言われたので、急きょユーロスペースの『息子のまなざし』(2002 ベルギー=仏)に行く。整理番号53番をもらう。お客さんは80人ぐらいで満席に近い。予告編で、邦画の3話オムニバスの映画は、タイトルが何かよくわからなかった。その次の外国映画も同様(押しが弱い上に、タイトルが覚えにくい。)

続いて、シネマ・下北沢の赤目四十八瀧心中未遂』(2003 日)の17:00の回へ。ポレポレ東中野の劇場前にもあったと言われる、のぼりと盛り塩がここにもあった。お客さんは20人ぐらい。
出演者の新井浩文、津軽出身なのに津軽弁があまりうまくない。若いからしょうがないのか?

2003年12月23日(火・祝) 晴 2003/12/24 更新

昨日の深夜にBSで放送していた『ヨーロッパ』(1991 デンマーク=ノルウェー=仏=独=スウェーデン)の録画を観る。昔テレビで観たときは、トリアーのトの字も知らなくて、モノクロの重い画面になんだかわからない映画でしかなかった。

<ストーリー>
1945年10月のドイツに、ドイツ系アメリカ人のレオ・ケスラー(ジャン=マルク・バール)がやって来た。彼は戦争中は兵役を拒否し、ドイツに来たのもドイツ復興に貢献したいからだった。彼は寝台車の車掌をしている叔父を頼って同じ仕事に就く。そんな彼に鉄道会社の社長ハルトマンの娘カタリナ(バーバラ・スコヴァ)が目をつけ家族ぐるみで親しくなるが、彼女は連合国に反対するテロ組織”人狼”の元メンバーだった。彼女の父が、かつてはナチスの協力者、戦後になって連合国も彼を利用するために彼の罪を問わなかったことに、娘が反抗したのだった。さらにケスラーのところに、手に入れた情報を報告してほしいと連合国の大佐が、ハルトマンの友人だと名乗る人狼の男が近づく。ケスラーはカタリナと結婚するが、人狼が彼女を誘拐して、ケスラーに列車に爆弾を仕掛けることを命じる。カタリナを助けるために爆弾を仕掛けるか?罪も無い人を殺すことはやめるか? 結局爆弾は爆発しケスラーは死んでしまう…。


「10数えたら、あなたはヨーロッパにいる。」という英語のナレーションで始まるが、この映画のヨーロッパは"EUROPE(ユアラップ)"ではなく原題の"EUROPA(ユアロパ)"であるように、映画の中の架空の世界。そこでは誰もが中立的な立場をとることは出来ない。誰もが部外者ではいられない。戦地にはならなかったアメリカから来た主人公のケスラーでさえも、ヨーロッパに足を踏み入れたとたん、これまでの戦争のない世界のようでは済まされない。そして、彼の博愛主義は人々の対立の中にあっという間に呑み込まれてしまう。戦後の荒廃したドイツにアメリカの占領軍がいるというのが、偶然にも今のイラクと重なる。モノクロ映像の重苦しさがたまらなくいい。恐らくスクリーンプロセスを用いたと思われる、画面の前と奥のズレの違和感を利用した表現や、モノクロの一部をがカラーの映像(カラライゼーションのように、ビデオに落とした後、コンピューターで電気的に着色したのだろうか?)も面白い。
(★★★、ドラマ系、感覚系)

2003年12月21日(日) 晴 2003/12/22 更新

『憧れのハワイ航路』(1950 新東宝)の録画を観る。♪晴〜〜〜れたそら〜〜〜♪でおなじみの、岡晴夫の同名のヒット曲(1948)にちなんだ映画。監督は齋藤寅次郎、原作はサトウハチロー。

<ストーリー>
戦前にハワイの親元から日本に留学して、戦後もそのまま帰れずに親と音信不通になった岡晴夫と、かつての彼の同級生で、懸賞付きの公会堂の設計図を描いているロッパは、共にアチャコとみき(清川玉枝)夫婦の飲み屋の2階に下宿していた。みきも岡と同様、前の夫との間に出来た姉妹を置いて家を出たきり、娘たちのことが気になっていた。ロッパはパン屋の娘といい仲だったが、似顔絵描きの仕事で通っていたキャバレーの女も懸賞金目当てで彼に近づいていた。そのキャバレーに花を売りに来た女の子(美空ひばり)が脅されているところを岡が助けて下宿に連れて帰る。ひばりが帰った後、みきはひばりが自分の娘だったことに気づく。翌日、輸出用の日本人形を作っているひばりの姉の千枝子がお礼を言いに訪ねて来て、岡は彼女に一目ぼれする。彼女が家に帰ると、みきがひばりを訪ねていて、自分が母親だと告白するが、千枝子は自分たちを捨てたみきを受け入れない。その後もひばりは飲み屋に通うが、アチャコたちは時が来るまでみきをひばりに会わせないようにする。岡とロッパの今は亡き恩師の息子のキドシンは、千枝子の人形も扱っている貿易の仕事をしていた。岡がハワイの親の消息を知りたがっているのをひばりが知り、さらにそれを知ったキドシンがハワイの知人に問い合わせる。やがて、みきは娘たちと和解し、みきと一緒に暮らすことになる。ロッパもパン屋の娘に設計図を台無しされて怒り狂ったものの、キャバレーの女に捨てられパン屋の娘とよりを戻す。キャバレーでバンドマンが喧嘩してオーナーが彼らを追い出した後、岡が代わって歌を歌ってその場を切り抜け、ちょうど居合わせたハワイの興行師にスカウトされる。しかし、岡はキドシンが千枝子と結婚したがっているのを知り、岡は千枝子の気持ちを確認しないで身を引き、ハワイの父親とも連絡が取れて、ハワイ行きの船で旅立つ。


岡晴夫とひばりが何曲も歌うのにかなりの時間を割いている。それ以外は、湿っぽいシーンが多く、コメディアンたちが主役なのに、お笑いシーンはほとんどなく、ロッパが怒って取り乱すところぐらい。あとは、一瞬出演する伴淳三郎が怪しい英語をしゃべるだけ。ハワイの風景を映した映像が使われているのだが、この時代にハワイロケをするとも思えず、あの映像は誰が撮ったものだろう?
(★☆、ドラマ系)

2003年12月19日(金) 晴 2003/12/21 更新

WMCつきみ野に『ラスト・サムライ』(2003 米)のレイトショーを観に行く。3スクリーンで20:40、21:00、21:20の開映時刻のうち、21:00からの1番大きいスクリーンでの上映を観る。絶対混んでいると思ったら、お客さんは40人ぐらいだった。
予告編で、『トロイ』での船の数が常識はずれに多いけど、あれってほんとかなあ? あんなに沢山の船、どこの港に泊めるんだ?
それから、ドルビーのロゴ映像が、これまでのCGではなく、GAPのCFのようなものは初めて見た。続いて、THXのロゴも見たことないやつだけど、相変わらず音がゴテゴテ詰め込み過ぎで仰々しいのは、ルーカス社長のキャラが出てるんでしょうかねぇ?
『ラスト・サムライ』は、明治時代初期の話なのに、戦国時代のようなよろいかぶとで戦ってたり忍者が出てきたり、吉野から富士山が目の前に見えたり、日本では余り見られない氷河がありそうな(ロケ地のニュージーランドの)山が見えたりと、おかしいところはたくさんある。でも、詳しいことは感想のページに書くけど、この映画はアメリカの映画人による、アメリカ人のために作られた映画で、この映画の侍とかの設定はトムの「対象」としてのために作られたものでしかないのだから、それが現実に合ってないなんてことはとうでもいいことで、その重箱の隅を突っついて批判している人がいたら、何も解ってない人とみなしていいでしょう。
字幕(戸田奈津子)で、日本神話の日本誕生のナレーションで「日本諸島」という聞きなれない言葉を使っていたが、当時は「日本列島」とは呼ばれてなかったのだろうか?
日本人俳優はローマ字表記のみで、"KOYUKI"と書かれるとなんだか"KOKUYO"みたい。

深夜、今日の「ウラ関根TV」は不死身の男特集で、『ガントレット』のイーストウッド(よりも、四方八方から警官がバス目がけて銃を撃つと、絶対向かいの警官に流れ弾が当たるよなあ。)、『追跡者』のダムから落ちたハリソン・フォード、『クリフハンガー』の氷水に落ちたスタローン、『トータル・リコール』の目玉が飛び出たシュワルツェネッガー、『ジョーズ'87/復讐篇』のサメに食われた男、など。でも、どれもこれも『太陽を盗んだ男』の菅原文太に比べたらまだまだ甘いなあ。文太、絶対4回は死んでるもん。

2003年12月13日(土) 晴 2003/12/14 更新

深夜、『火星のわが家』(2000 日)の放映を観る。基本的に狙いがよく解らないなあ。ニューヨークで歌手として成功したが、音楽と恋の挫折で一時実家に帰ってきた鈴木重子。彼女の父で、かつて火星の土地の権利を売っていて今でも宇宙への夢を持ち続け、脳溢血で半身不随になりながら自伝を出版しようとしている日下武史。彼女の姉で、妹同様音楽を目指していたが、今は亡き母の病気で音大にいけず、浮気をしていた父を憎んでいるちわきまゆみ。司法試験を落ち続けて、かつて塾長だった日下武史と同居していて、鈴木重子に思いを寄せるようになる堺雅人。こうしたちょっとした心の傷を持つ者同士のさりげないやりとりの映画なんでしょうか? それにしては、宇宙の話ばかりする現実感のない父の設定が極端だったり、父が突然半身不随になって娘たちが介護をするようになる展開が、ただドラマを持たせるためだけで本来のテーマとは関係ないとしか思えないことなどが、さりげなさとバランスがとれていないことがドラマを弱くしている気がする。登場人物の中で、キャラの輪郭がハッキリしているのが姉だけというのもつらいけど、これも狙い?
鈴木重子&ちわきまゆみ姐さんの、共に映画初出演のボーカリストの起用の意味は?・・・本編で歌ではなく連弾をちょこっと披露しただけなの?
(★☆、ドラマ系)

2003年12月6日(土) 2003/12/11 更新

今日もまた仕事&映画で、WMCつきみ野へ『フォーン・ブース』(2003 米)のレイトショーに行く。お客さんは30人ぐらい。予告編前のCMでは、まだまだネスレの「花とアリス」が流れているが、よく見ると最後の「ついに完結」の文字が斜めの明朝体で、『ラブ&ポップ』のチラシの「…と思う。」だったかの文字にそっくり。『リリイ・シュシュのすべて』の字幕多用のスタイルが、「新世紀エヴァンゲリオン」の影響を受けたとも言われているが、岩井監督&庵野監督の『式日』の主演&監督コンビはやっぱり影響しあってるのだろうか?
予告編では、コリン・ファレル主演でうまくつながっている『リクルート』が流れる。

2003年12月5日(金)  2003/12/11 更新

相変わらず忙しい中、仕事をちょいと抜けてWMCつきみ野に『マトリックス・レボリューションズ』(2003 米)のレイトショーに行く。予告編が始まった頃に入場。お客さんは40人ぐらい。ところで、『マトリックス』では登場人物たちはメートル法を使ってたんだ。なんでだろう? 監督の外国趣味だろうか?

2003年12月4日(木) 晴 2003/12/11 更新

夜、WMCつきみ野に『すべては愛のために』(2003 米)の試写会に行く。忙しくて行くのをやめようかとも思っていたが、ちょうどうまい具合に(?)気が滅入って、頑張って仕事を続ける気分じゃなくなったのと、行くためには仕事を片付けなければならないという制限時間を設けることが仕事を早く済ませる気にさせるという効果があって、結局行くことに。でも、それならそれで、今度は時間内に仕事が片付かなくて行けなくなりそうになって慌てるが、開映10分前に片付いて、それでも間に合うのがいいねえ、近所の映画館は。でも、かなり急いで行ってギリギリに着いたせいか、チケット引き換えカウンターに置いてあったスポンサーの明治チョコレートは、ひょっとしてお土産で持って行っても良いものだったのでは?などとチケット引き換え後になって気づいたが、引き返すのもなんなのでそのまま入場。お客さんは、満席に近い150人ぐらいで、遅く行ったのでかなり前の方の席だったが問題なし。
この映画、原題が"Beyond Borders"で、だったら邦題も「いくつもの国境を越えて」でもいいべさ!と思うところ、『すべては愛のために』なんて大仰な邦題をつけたのは、大仰に「愛」を強調し過ぎるぐらいじゃないと最近の日本人が反応しないということをよくわかってますねえ>ヘラルドさん。それにしても、この映画アンジェリーナ・ジョリーがエチオピア難民キャンプ、カンボジアのクメールルージュ勢力地域、そして内戦真っ只中のチェチェンと、過酷な所に行くにもかかわらず、何故か顔だけは常にきれいに保たれている。帰りに、明治チョコのお土産をもらって帰る。

2003年12月1日(月) 雨 2003/12/05 更新

『キル・ビル vol.1』(2003 米)の上映がまだまだ続くと思っていたら、近所のWMCの上映が今週までというのを知り、夕方の回を観に行く。今日は映画1000円の日なので、お客さんはちょっと多くて40人ぐらい。

2003年11月30日(日) 雨 2003/11/30 更新

『一心太助 男の中の男一匹』(1959 日)の録画を観る。
<ストーリー>
一心太助(中村錦之助)は、大久保彦左衛門(月形龍之介)の屋敷に仕えていたお仲(中原ひとみ)との婚礼の日だというのに、昼間はいつも通り河岸に行き、夜に身支度を整えたところで、同じ長屋の玄太(花房錦一)の博打の揉め事で大喧嘩でぼろぼろになり、裸一貫で式をあげることになる。その後も新婚家庭に、兄と喧嘩した玄太、彦左衛門の家臣(堺俊二)の隠し子(夢路いとし&喜味こいし)、お仲の故郷の東北から江戸見物に出てきたお恵(丘さとみ)とお光を泊める羽目に。まもなく彦左衛門が急死し、邪魔者がいなくなったところで丹波屋(阿部九州男)が町奉行備前守(進藤英太郎)らと結託して、河岸を取り仕切る松前屋(大河内傳次郎)に豊臣残党の濡れ衣を着せて、代わって河岸から高額の税を取り始める。松前屋が刑場まで引き回されるとき、彼が弘前藩家臣の血筋の者と証明できる僧が現れ、太助は老中伊豆守(山形勳)に助けを求め、乱闘の末に磔の刑をやめさせる。太助は将軍家光(錦之助二役)の直々の誘いを断り、魚屋家業を続けるのだった…。


沢島忠監督の演出は、この作品も抜群のテンポのよさで、カッティングも実に鮮やかでスピーディー。横に長いセットを大勢の人とカメラがすごい速さで横移動する乱闘シーンもダイナミック。おまけに錦之助の威勢のいい演技も抜群の切れ味。というわけで、こういう昔の東映時代劇も、観るべきものはいっぱいある。
(★★★、ドラマ系、感覚系)

2003年11月29日(土) 雨 2003/11/29 更新

『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』(1989 日)の録画を観る。シリーズ41作目で、マドンナは2度目の竹下景子。
<ストーリー>
満男は大学受験に失敗して浪人生になるが、満員電車で予備校に通う毎日に、サラリーマンよりも寅さんのような人生がいいとこぼす。一方、毎朝満員電車で東京の会社に通う柄本明は、心身症気味で会社に無断で東北に行き、線路に寝そべって自殺を図るが、寸前で電車は止まり、乗り合わせていた寅さんと車掌の笹野高史は彼を見捨てられず、翌朝出社するために東京に帰ろうとするのを引き止めて、温泉旅館でどんちゃん騒ぎをする。気分が紛れて寅さんのように自由に旅をしたいと思った彼は、前から行きたかったウィーンに寅さんを連れて行こうとする。出発の日、くるまやに帰ってきた寅さんは、外国に行かない方がいいとみんなに言われて、迎えに来た柄本に行くのを断ると、寅さんと一緒じゃなきゃ行かないと言って様子がおかしくなる。とりあえず調子を合わせて成田までついて行って一人で行かせようと思ったが、結局寅さんもウィーンに行ってしまう。2人でウィーンを観光するが、思ったとおり寅さんは退屈しだし、足手まといになって柄本は寅さんを連れて来たことを後悔し、寅さんを置いて単独行動する。柄本を待つ寅さんの前を、日本人観光客相手の現地ガイドの竹下景子が通り、ふらっと彼女の後を着いて行ったら迷子になって、結局彼女のバスに乗る。竹下は知り合いの淡路恵子に寅さんを引き渡して、ホテルを探してもらう。淡路は、食事が全く合わない寅さんを自宅に連れて行って日本食をごちそうし、仕事が終わって駆けつけた竹下と3人で楽しく談笑。竹下は、数年前まで日本の会社の同僚と付き合っていたが、結婚するなら仕事を辞めて欲しいと迫る恋人と会社に嫌気がさし、当てもなくウィーンに来て困っていたところ、実はスパイだったらしいことが死後にわかったオーソン・ウェルズにそっくりの現地の男と結婚した淡路に助けられたのだった。意地で日本にいる家族に世話になろうとせず、帰省せずに頑張っていた竹下だったが、寅さんと話すうち故郷に対する想いがあったことに気づく。実は彼女にはヘルマンという恋人がいて、引きとめられることを期待しつつ帰国を告白するが、彼はそれを許す。彼女と寅さん、それに舞踏会で現地の女性と知り合ったりしてウィーンを満喫した柄本の3人が空港から出国しようとしたところにヘルマンが駆けつけ、彼女を引き止めて寅さんは寂しく帰国する。土産話を聞きたがるくるまやの人たちだったが、寅さんはさくらに「自分は夢を見ていたのか?」と言うのだった…。


このところストーリー的にも低迷していたシリーズで、この作品も普通に日本ロケだったら似たようなものだったろうが、マンネリ打破を狙ったのか、ウィーン・ロケが想像した以上に効果大で、寅さんの外国に慣れないコミカルなエピソードの数々のせいか、全体的に軽〜い仕上がり。現実には絶対に拒否されるパスポート写真や、日本語で話すのになぜか話が通じたり、失恋にがっかりする寅さんの作りものっぽいスナップ写真など、つじつまを無視して笑いを狙っているのもいい。それに、なんといっても柄本明の、普通にしていてもいつとんでもないことを始めるかわからないと思わせる変な目つきの演技が最高。
(★★☆、ドラマ系)

2003年11月27日(木) 2003/12/22 更新

『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1976 松竹)の録画を観る。シリーズ17作目で、マドンナは太地喜和子。

<ストーリー>
オープニングコントは、おいちゃん、おばちゃん、満男を飲み込んだ人食いザメを退治しようと、車船長はさくらと下半身を食われた源公共に海の上をさまよう。そこにサメが現れさくらも食われ、釣り竿にかかったサメを釣り上げようとするが、巨大なサメを前にして危うし!というところで、岸壁で釣りをしながらの居眠りから目が覚める。
満男の小学校の入学式の日、寅さんがとらやに帰ってくるが、満男が寅さんの甥だと教室で笑われたことに腹を立て、学校に文句を言いに行こうとし、みんなに止められ大喧嘩。とらやを飛び出した寅さんは、上野の飲み屋で勘定を払わないしょぼくれた恰好の宇野重吉の分まで払い、とらやに連れてくる。翌日、宇野は態度が大きくておばちゃんたちをこき使い、とらやを出て行かずに泊まり続ける。しかし、彼はとらやを宿屋だと勘違いしていたのであって、お詫びに落書きのような絵を描いて、寅さんに古本屋に売りに行かせると、、主人の大滝秀治はポンと7万円払った。彼は有名な画家だったのだが、寅さんがとらやに帰ると、宇野は既にとらやを去っていた。絵を描かせればまたお金が手に入ったのに、なんで出て行かせた?怒る寅さんととらやの人たちが喧嘩になって、寅さんはとらやを出て行く。宇野が絵を描く目的で故郷の播州の竜野を訪ねると、寅さんと偶然出会い、同行する寅さんまで先生呼ばわりされる。宴会の席で芸者の太地喜和子と知り合い親しくなる。翌日、接待は寅さんに押し付けて、宇野は一人岡田嘉子を訪ねる。宇野は岡田と一緒にならなかったことを後悔していると告げるが、岡田は「あなたが別の人生を送っていたら、後悔しなかったと言い切れるか?。人生に後悔はつきもの。ああすれば良かったという後悔と、なんであんなことをしたのかという後悔。」と言う。寅さんたちは竜野を後にするとき、太地が見送りに来て、寅さんは冗談半分で「所帯持とう。」と言う。寅さんが東京に帰ってまもなく太地もとらやを訪ねる。実は彼女はお金を貸した社長の佐野浅夫にお金を返してもらうために上京したのだが、相手は幽霊会社を潰していて、一文無しだから返済義務はないと言う。タコ社長が太地に付き添って佐野に直接交渉しに行くが、それでもダメだった。太地は、とらやの人たちの優しさに感激し、お金はあきらめると言う。寅さんは宇野に会いに行って、太地のために絵を描いてくれと頼むが、宇野は簡単に描けないと言って断る。とらさんが帰る前に太地は東京を後にし、寅さんもそのまま上野から旅に出る。後日、寅さんが太地の家を訪ねて「所帯持つためにやって来た」と言い、太地は宇野から送られた絵を見せた。太地はその絵は売らないといい、寅さんは東京の方角に向かって宇野に感謝するのだった…。


今回は、お話としてグッとくる内容でとても良い。太地喜和子のキャラクターも明るくて良い。ただし、寅さんや宇野重吉に対して、見た目の悪さや社会的地位の高い肩書きがつくことで他人の態度が全く違うということや、人生で後悔することに関することが、その場限りで膨らまないのがもったいない。
2人の恋愛が、失恋したことがはっきりしないまま終わるというのは、シリーズ中この作品だけかも。宇野重吉に加え、寺尾聰も共演。下条正巳と下条アトムはシリーズ中1回も共演していないようだ。
(★★☆、ドラマ系)

2003年11月26日(水) 2003/12/12 更新

『新しき土』(ドイツ版)(1937 独=日)の録画を観る。監督は「山岳映画の巨匠」アーノルド・ファンク、と、クレジットはされてないようだが、伊丹万作が共同監督。音楽は山田耕筰、作詞が北原白秋に西条八十。
<ストーリー>
農家に生まれた小杉勇は、富豪の早川雪舟の一人娘の原節子との結婚を前提に雪舟の養子になり、8年のドイツ留学からの帰国の船上にいた。彼には友人の若いドイツ娘が同行していた。8年間様々な花嫁修業をしながら小杉の帰国を待っていた節子だったが、小杉はヨーロッパの個人主義に染まっていて、古いしきたりを嫌い節子との結婚を拒否する。彼は、日本の成長に貢献するために満州を開拓することを夢見ていたので、節子のようなお嬢様はそんな生活に向いていないと思ったのだった。彼は自分を見つめ直そうと実の両親の家に帰って農作業を始める。やがて、養子縁組をどうするかについての家族会議に呼ばれ車で向かうが、約束の時間に間に合わず、気落ちした節子は近くの活火山に登り火口に身を投げようとする。小杉は後を追い、あわやというところで節子を引き止めると、ちょうど火山が大噴火を起こし、ふもとの村が壊滅。小杉は気を失った節子を抱きかかえて下山し、やがて2人は結婚して満州の新たな歴史の先駆けとなるべく、満州の荒地を耕す…。


おお、これはとんでもない映画。ありとあらゆる要素が詰まっていて、全部書くとものすごく長くなりそうだが、一言で言えば「格調高い珍品」。ドイツ版ということで、ドイツ人に日本を紹介する点が強調されている編集になっているようで、「日本版」が現存するのかどうかはわからないが、かなり違った編集になっているだろう。というわけで、ドイツ版のオープニングは、三原山かキラウェアのような火山が溶岩を噴き上げて噴火しているという、火山国をイメージする画から始まり、ファンクの『聖山』を思わせる磯に荒波が撃ちつける映像などで、日本は岩だらけの狭い土地で人々が火山や台風の脅威と戦っているというイメージを観る者に与える。そして、富士山、大工場とMADE IN JAPANの刻印、宮島、戦前の東京(実際には大阪)のネオン、東京のモダンな建物の数々、旧帝国ホテル、鎌倉の大仏、桜、寺、大相撲、日本舞踊、能、そして噴煙を上げる(恐らく)浅間山などの、外国人には物珍しい日本の映像が細かく多数映し出される。これらの映像は、日本人には当たり前でも、外国人にとっては「日本」がフォトジェニックであることを十分感じさせて、面白くもあり美しくもある。でも、この映画の編集がちょっと変で、例えばホテルのロビーみたいな場所のシーンで、カットが変わってまるでその一角に民家の居間があるかのように、フィルムの欠落があるかのような唐突で途切れ途切れの部分が途中何ヶ所かあった。
基本的に何についての映画かといえば、土着的で古いしきたりを守る全体主義の強さを持った日本のイメージの「東風」と、西洋の近代的で個人主義的なイメージの「西風」がせめぎ合い、そしてお互いの良さが合わさって日本は益々強大な国になり、満州に進出してドイツと日本でソ連を挟み撃ちにしようという映画。なにしろ、ラストカットが突然現れた満州の地を守る日本兵の顔のアップだったりする。アーノルド・ファンクがどこまでナチスの意向に沿っていたかは知らないが、クライマックスの火山に登るシーンは、ここぞとばかりに彼ならではの幻想的なものになっていて、政治色は全くなくなる。
それから、まるで安達祐実を大柄にしたような10代の原節子が、これだけアップでたっぷりと、しかもフィルムの状態もかなり良い状態で拝める映画は他にないのではないか? しかも、彼女の花嫁修業のシーンなどもあって、振袖、セーラー服、水着、ボート、剣道、なぎなたなど、様々な姿をも見せてくれる。でも、日本が製作に絡んでいるから、おかしな日本の描写はほとんどないのだが、彼女が最初に現れたとき、振袖に恐らく芸者の髪型(島田?)のかつら(洋装になったら髪が短くなるので)なのはマズイなあ。
社会情勢がすっかり変わった今となっては全然通用しない映画だが、それで見どころ盛りだくさんの映画。
(★★☆、感覚系、ドラマ系)

2003年11月24日(月) 曇 2003/11/27 更新

『カオス』(2000 日)の録画を観る。監督が『リング』の中田秀夫、主演が当時菅野美穂、佐伯日菜子と並んで「日本三大ホラー女優」と言われた中谷美紀、そしてタイトルが『リング』と同じカタカナ3文字で予告編もホラー風だったから、てっきりホラーだと思っていたら、全然ホラーではなく、純粋なサスペンスだった。展開は、時間が順番にではなく前後しながら映画が進み、光石研の奥さんの中谷美紀が突然行方不明になる、と思いきや彼女は誘拐されていた、と思いきや時間が行方不明の前に戻って、これは彼女がなんでも屋の萩原聖人を犯人に仕立てた狂言誘拐だったことがわかり、さらに…、と言った具合に、常に新たな謎が明かされては、その度に話が違う方に気持ちよく転がリ続ける、サスペンスとして上出来の展開。でもそれより見どころなのは、赤い口紅を塗る度に、悪女の表情へと微妙に変化する中谷美紀の変身ぶり。中田監督はサスペンスものもそつなくこなした。むしろまとまりすぎたぐらいで、もうちょっとはじけてけても良かったかも。
(★★☆、ドラマ系)

今日放送された『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』(1988 日)の録画を観る。5分間ほどカットされた短縮版。シリーズ40作目で、マドンナは三田佳子。
<ストーリー>
大学受験を控えている満男は、地方の大学に行きたいなどと言って、何やらさすらいの寅さんの血筋が出てきたらしい。一方の寅さんは、長野の旅先で一人暮らしのおばあさんのところに泊まると、翌朝そこに医者の三田佳子が現れ、嫌がるお婆さんを入院させようとする。寅さんも入院を勧め、結局3人で小諸の病院へ。寅さんは、三田と、彼女の姪で早稲田大学生の三田寛子と仲良くなり、一人暮らしの佳子の家で談笑。寅さんは、電話で寛子から満男に早稲田に入ることを勧めさせる。夜になって寅さんは帰り、翌朝そのまま東京に帰る。寛子は佳子に再婚相手を紹介しに小諸に来たのだが、佳子は断って、寛子も翌日東京に帰る。柴又に帰ってきた寅さんは、満男のための下見と称して寛子に会いに早稲田大学へ行き、通りがかった尾美としのりをつかまえて寛子の居場所を捜させる。寛子を待っていたら講義に紛れ込むことになって、講師に代わって学生相手に話し出して大ウケ。やがて、佳子が寛子とその母親の家に預けている一人息子に会いにきて、佳子と息子それに寛子と尾美の4人でくるまやにやって来る。小諸に帰った佳子から、入院中のおばあさんが危篤との知らせを受けて、尾美の車で寅さんと寛子が小諸に向かうが間に合わなかった。自分の家で死にたいと言っていたおばあさんを入院させたことや、子供と離れて暮らすことを悩んで、佳子は病院を辞めるとすまけい院長に言うが、この病院に必要だから残って頑張ってくれと諭される。寅さんは佳子と好意を抱き合っていることを知りながら、そのまま小諸を去る。博は寛子の歌集「サラダ記念日」を印刷してあげた…。


本筋は、ここ最近の寅さん映画の例に漏れず、恋愛も盛り上がらず平凡過ぎる内容。今回は、タイトルからもわかるように、俵万智の「サラダ記念日」が原作としてクレジットされていて、随所で短歌が詠まれるのが特徴だが、余り有効でないばかりか、流行に乗っている印象というマイナス面の方が大きそう。美保純がどうやら前作が最後だったのが残念。「とらや」も、羊かんでおなじみの現実の「とらや」から屋号の使用許可が打ち切りになって、今作品から「くるまや」になった。
(★☆、ドラマ系)

2003年11月20日(木) 2003/11/20 更新

先日観終われなかった『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960 日)の録画を観る。
<ストーリー>
麻薬の禁断症状に襲われながら、悪名高い宮地組のボスに決闘を挑んで、宮地の肩を撃って倒した竜ニ(赤木圭一郎)は、何者かに病院にかつぎこまれ、完治した1ヵ月後、宮地が殺されたことを知る。竜二を救ったのはコルトの銀(宍戸錠)で、彼のボスで麻薬の元締めの楊(西村晃)がいる銀座の洋装店のアジトに竜二を連れて行く。楊は竜二の腕を買って雇うと持ちかけ、楊に治療費の借りのある竜二は、殺しをしないことを条件に応じる。楊は竜二にマンションを世話し、別の部屋に住んでいる洋装店のオーナー房江に接待させるが、彼女の部屋には竜二の弟分で、麻薬中毒でボクシングの八百長試合をした圭吉がいて、竜二は彼を病院に入れる。警察にマークされたことを理由に楊からの麻薬を止められた堀田組の組長が、竜二をナイトクラブに呼び、情報を流すことを持ちかけるが、堀田と因縁のある竜二は断る。竜二はそこで盗聴マイクをみつけ、洋装店でモデルとしても見かけ、同じマンションにも住んでいるホステスのみどり(浅丘ルリ子)が仕掛けたとにらんで彼女の部屋に押しかけるが、彼女は何も知らないと言う。楊の手下で洋装店の隣の中華料理屋の張(藤村有弘)の麻薬取引に竜二と銀が同行すると、そこに堀田の手下が現れ撃ち合いになり、警察も現れて3人は捕まるがすぐに釈放される。楊はナイトクラブのトランペッターの石井に盗聴マイクを仕掛けさせ、取引は堀田の裏切りを確認するためのおとりだったが、警察に密告したのが誰かを追及しだす。竜二は借りを返す条件で銀と共に堀田を殺しに行く。そして、みどりに楊の追求が及んだのを、恋人だから保証するとキスをして見せて救う。みどりの兄は麻薬捜査官で、竜二にボスの正体を明かせという頼み竜二は断る。楊はまた、自分の手を逃れたかった房江が密告したとにらんで、圭吉とともにいた病院を手下が襲い、圭吉が命からがらマンションに逃げてきて竜二が病院に行くと、房江は連れ去られ院長は殺された。房江を拷問していた楊は、石井がみどりの兄の麻薬捜査官だということを知って、今晩の取引の後高飛びしようとする。銀は房江の始末を買って出るが殺したふりをして取引現場に行き、後から来た竜二が房江から聞いた取引場所を石井に通報。通りかかった火薬満載のトラックを奪って取引場所に行き、銀と一騎打が始まろうとするとき、2人めがけて突っ込んできたトラックの運転手を撃ち殺して、そのまま取引の人たちに突っ込んで全員爆死。銀はメンツをかけて竜二と一騎打ちをするが、銃をはじかれて破れ、生き残っていた楊から駆け付けた石井をかばって撃ち殺される。楊と竜二は逮捕され、警官隊に同行したみどりは、竜二に「何年でも待っている」と言うのだった…。


赤木圭一郎は、どうも特徴のない印象があって、この映画でも目立つのは西村晃&藤村有弘のインチキ中国人コンビ。西村晃なんて、ピーター・セラーズみたい。そして、さらにその上をいくのがエースの錠で、役名からして「コルトの銀」だし、目撃者をどんどん撃ち殺す割には、圭一郎らの命はちゃんと救っておいて、キザな言い訳を言ってのける。圭一郎に平手打ちをされたときの台詞が、「俺のツラに色をつけたのはお前で3人目だぜ。前の2人は墓の下でおねんねしてら。」、決闘をやめるように請われると、「俺はいいんだよ。たがな、このハジキが承知しねえんだ。」だって! 映画は、密告したのは誰か?という謎解きがあるが、話が込み入ってわかりにくく、結局地味気味なので、もっと理屈ぬきで面白くしてくれたらと思う。
(★★、ドラマ系)

2003年11月18日(火) 2003/11/20 更新

オセロの松嶋尚美(なほみ)ネタには相変わらず事欠くことがなく、「おすぎとピーコの金持ちA様×貧乏B様」にゲストで出て、相方の中島からの密告で、
 メグ・ライアンを馬の名前だと思ってた
 ヤクルトの古田をスタジオで見たときADだと思った
 赤ちゃんは肛門から生まれると思ってた

ということが明らかに。いいねえ、特にメグ・ライアン。先週の「汐留スタイル」でも、「曙と小錦って…違うよね?」と言ってたし、そして今晩の「きらきらアフロ」でも、鶴瓶の話がまだ途中なのに無理矢理話題を変えようとするし。あ、でも今日は鶴瓶が「顔フェチ」という発言に「フェチやねえぞ〜! そのままや!」って怒った方が面白かったかな。

そんな後で、『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』の録画を観出したが、見終わることが出来ずに終わる。

2003年11月15日(土) 2003/11/18 更新

おととい、Windowsの最新パッチをインストールしてから、スクロールバーを1回クリックすると2画面スクロールするようになってしまった。バグだろうけど、マンスリーのパッチのタイミングで一緒に直るとすると、少なくともあと1か月も待たなきゃいけないの? いちいち欠陥って騒ぐマスコミも悪いけど、騒ぎを目立たなくさせるために、すぐにリリースすべき修正をマンスリーにして、結果的に出し惜しみしていることになるマイクロソフトはけしからんなあ。マイクロソフトも、セキュリティ攻撃者を密告した人に懸賞金を出すといった、自社の製品の欠陥の責任転嫁をすることに金を使うくらいなら、バグを見つけてくれた人に懸賞金を出したらいいのに。もっとも、ユーザーが不便を感じることの解消といった、1銭にもならないことのために金は使うような会社じゃないからなぁ…。

深夜、WOWOWで『太陽を盗んだ男』(1979 日)を再見。いやあ、面白過ぎる! 今年のハリウッド製娯楽映画100本まとめても、この1本にはかなわないだろうなあ。まず、沢田研二演じる教師の役が素晴らしい。先生としてはやる気なさそう、原爆を完成させては大喜び、自分に死が迫ると恐れおののくといった、極めて普通の人間としてのキャラクター。だから、彼が基本的にテロリストでも、彼に同調して観てしまう。そんな観方をしたこの映画は、抑圧される側の人間が武器を手にすることで自由な世界の実現を感じることができる、まるで革命家の見果てぬ夢のような映画。それ以外にも、テロリストが肩入れする大衆の愚かさに対する失望、さらに革命の挫折、生きる目的を持てないことなど、色々な要素が詰まっている。公開当時、賛否両論巻き起こって、否定的な意見は荒唐無稽過ぎることだったけど、リアリティの無さは70年代前半の挫折からの反動でファンタジーにしたのだろう。 そして、後半の「あ〜ああ〜〜」から始まる本当に信じられないアクションシーンの連続また連続! 菅原文太、もうムチャクチャ! 本当に素晴らしい。
(★★★☆、ドラマ系、感覚系)

2003年11月14日(金) 2003/11/18 更新

九段会館へ『精霊流し』(2003 日)の試写会に、開映時刻の18:30の5分ぐらい前に着き、最前列の空いていた席に座る。九段会館は、床がテカテカして反射するので、最前列に座るとただでさえ暗いスクリーンがますます暗く見える。
ところでこの映画、主人公の「まさひこ」少年がバイオリン片手に長崎から上京し、やがて「精霊流し」という曲を作詞するので、原作者のさだまさしの実話だと勘違いする人がゾロゾロ出てきそうなので、あくまでもフィクションだということを強調。何しろ、さだまさしは映画のように一人っ子ではなく、弟だか妹だかがいて、少なくとも3人兄弟。
映画の中で、松坂慶子が鼻歌で歌う♪でんでらりゅうが出て来るばってん、でんでらりゅうが出〜て来んけん、こんこられんけん、こられられんけん、こ〜んこん(歌詞うろ覚え)♪ という歌は、「ハイサイおじさん」と並んで昔から気になっていた謎の歌で、たしか「3時のあなた」あたりの番組で、中年の男が歌っていたのを見たことがある。検索してみたが、やっぱり謎のまま。
エンドクレジットが出るまで、大西結花と仁科亜季子が出ていたことに気づかなかった。それから、椎名桔平と田中邦衛が「友情出演」となっていたが、友情出演ってノーギャラじゃなかったっけ? それにしては、2人とも10シーンは出ていたぞ。いいのか?

20:30ちょっと前に終映で、続いてレイトショーは、テアトル新宿の『FREESTYLE SHORT MOVIES』と迷ったが、結局シネクイントで21:30からの『DEAD END RUN』(2003 日)へ。渋谷に着いてシネクイントに向かう途中、街頭スピーカーで犬神サーカス団の「命みぢかし恋せよ人類!」が流れていた。テレビCMでも時々見るけど、一押しなのか?ヒットしてるのか? ゆっくり行ったのに21:00と早く到着。シネクイントがあるパルコPART3の向かいのシネマライズでは、2館で『木更津キャッツアイ』を上映していて、さらに斜向かいでは「木更津ぶっさん展」なんてのをやっていた。シネクイントのロビーで暇つぶしをし、入場待ちの整列が始まった頃、ロビーにあったプロモ用にブラウザが動いているパソコンをいじって、「Windows98って、シャットダウンしないでハイバネーションだけで使い続けていると、こういう風に表示が壊れてくるんだよなあ。」などと思っていたら、そのパソコンの場所が列の先頭位置で、最前列に並ぶことになった。お客さんは60人ぐらい。『DEAD END RUN』、音でげぇ〜!

2003年11月11日(火) 2003/11/13 更新

『男はつらいよ 望郷篇』(1970 日)の録画を再見。シリーズ5作目で、マドンナは長山藍子。
<ストーリー>
死の床に伏せているおいちゃんの元に寅さんが帰ってきた正にその時、おいちゃんは亡くなってしまう。うなだれる寅さんの背中をを、「泣かないで」とさくらが揺する。というところで、寅さんが旅先の旅館で昼寝をしていたのを揺り起こされて夢から覚める。上野に着いた寅さんがとらやに「おいちゃん、生きてるか?」電話をかけると、夏の暑さにバテているおいちゃんは「死にかけてる」とおばちゃんに答えさせる。寅さんはとらやに来て嘘だったとわかるが、来る前に首尾よく御前様や葬儀屋を呼んでいたので、おいちゃんと大喧嘩。寅さんは出て行くそぶりをして、さくらに引き止められて残る。セールスマンになった寅さんの舎弟の登(津坂匡章こと秋野太作)がとらやを訪ね、彼から札幌のマサキチ親分が死にそうだと聞き、寅さんと登は札幌に行こうとするがお金がない。誰もお金を貸してくれない中、さくらが貸してくれるが、「額に汗して油まみれになって地道に働いて」と小言を言われる。札幌の病院を訪ね。そこで、「函館の行きずりの女に産ませた息子に会いたい」と親分が言うので、小樽で蒸気機関車の運転手をしている息子(松山省二)に会いに行くが、自分と母を捨てた父を軽蔑している彼は面会を拒否する。寅さんが病院に電話をすると、マサキチ親分は亡くなっていた。寅さんはこれまでのヤクザな生活を反省し、親のところへ帰って堅気になれと登を追い払い、自分も柴又に戻って地道に働こうとする。まず、油まみれになれるタコ社長の印刷工場で働きだすが使いものにならず、柴又のその他の2、3の店でも同様。姿が見えなくなった寅さんから、浦安の豆腐屋で油まみれになって油揚げを揚げているという連絡が入り、さくらがそこに行くと、杉山とく子と長山藍子の母と娘の店に住み込みで真面目に働いていた。長山藍子に「ずっといて欲しい」と言われたのをプロポーズだと思って喜んだ寅さんだったが、彼女が井川比佐志と結婚するので、残される母を手伝って欲しいということだと知って、がっくりして翌朝早く豆腐屋を出て、夜になってとらやに来て、さくらたちに別れを言って旅に出る。旅先で、同じく再び旅に出ていた登との再会を喜ぶ寅さんであった…。


最近放映された80年代後半の『男はつらいよ』と比べると、この頃は寅さんがいきいきしていて、いかにもコメディアンらしい細かい感情表現やギャグを見せる。森川信のおいちゃんも負けずに大仰な演技を見せるので、2人をはじめとした掛け合いが面白い。しかし、この程度笑わせてくれるのならもうちょっと面白くなりそうだとつい思ってしまう。それに、後半になってやっとマドンナが出てきたところの展開がマズい気がする。というのも、全体の流れからすると、ヤクザな生活の将来に不安を感じて堅気になろうとした寅さんなのだが、所詮付け焼刃ではうまくいかず、マドンナに受け入れられずに失恋することで、自分はやっぱりヤクザな生き方しかできないということが身にしみてわかり、ラストで再会する登に自分と同じものを見つけて再会を喜ぶ、という風にならなければならないと思う。それなのに、寅さんが豆腐屋で働くのが、地道に働きたいからなのか、マドンナ目当てなのか、二股かけているようでそのせいで前者の理由付けが弱く感じられるし、なにより失恋の理由が、マドンナと寅さんは住む世界が違うからというより、単に横から出てきた別の男に取られただけみたいに感じられるようではイカンだろう。

「まくら、さくら出してくれ…じゃねえや、さくら、まくら出してくれ」というギャグは寅さんのものだと思っていたが、この映画ではおいちゃんが言っていた。
1970年度のキネ旬8位だが、それほどでもない気が。全体的に不作だから入ったのかな? 17位の『緋牡丹博徒 お竜参上』や、32位の『君が若者なら』の方がいいと思うけど。
(★★☆、ドラマ系)

2003年11月9日(日) 曇→雨 2003/11/09 更新

昨日に引き続き、フィルムセンターでの「聖なる映画作家 カール・ドライヤー」の、まず13:00からの『あるじ』(1925 デンマーク)。今日も10分前に着くが、昨日の教訓でコーヒー1杯飲んでから入場。おかげで気分スッキリで鑑賞。お客さんは満席で300人。

終映が14:50ちょっと前で、続いて特集上映の最後の映画『むかしむかし』(1922 デンマーク)の開映16:00まで1時間弱のいつもより短めの空き時間で腹ごしらえ&PC入力。上映後、フィルムセンターで2週間ずっとピアノを弾き続けてくれたニール・ブランドさんに花束が贈呈された。
というわけで、東京国際映画祭も行きたかったんだけど、結局あっちは全部パスして、こっちのドライヤーに通ったのは間違いなく大正解、でしたとさ。

2003年11月8日(土) 晴・暑 2003/11/09 更新

先週末に引き続き、フィルムセンターでの「聖なる映画作家 カール・ドライヤー」の、まず13:00からの『グロムダールの花嫁』(1925 ノルウェー)。今日も開映10分ぐらい前に着く。お客さんはほぼ満席の300人弱。

終映が14:00ちょっと過ぎで、続いて16:00からの『ミカエル』(1924 独)。今回は満席。客席がちょっと暑かったのと、タルコフスキー作品のようにうっとりするような映画の内容で、観ていて眠くなってしまった。でも、こんな気分は、気持ちいい。

2003年11月3日(月・祝) 雨 2003/11/05 更新

『小さな恋のメロディ』(1971 英)を録画で再見。ご存知、45歳ぐらいより上の日本人にとっての御用達映画で、日本以外ではあまりヒットしなかったらしい。
子供の心はピュアで感受性豊かなのに、大人はそれを理解していなくて、親たちは忙しさにかまけて子供に取り合わなかったり、子供を前にして子供が幻滅するような会話を大人同士でしたり。さらには、少年軍は子供に教練なんかをさせるし、学校ではラテン語やら丸暗記だけの歴史やら、子供のためなどと言って、子供が興味を持てるようなものと遠くかけ離れたことを強要している。この映画は、そうした子供の気持ちを無視した大人の身勝手さを批判する映画なのだろうが、公開当時に受験戦争の真っ只中にいた日本の少年少女たちは、大人たちと対照的な子供たちだけのピュアな世界の方に、憧れの気持ちでそこに流れるビージーズの曲と共にヴィヴィッドに感じてしまったのだろう。確かに、そう思うのが当たり前の素晴らしい出来で子供の世界を描いた映画で、たとえ日本以外のすべての国、とりわけイギリス本国でこの映画が高く評価されてなくても、いい映画だと思える日本人の方が絶対正しい。映画はこんなにも簡単に国境を越えるので、逆に邦画に対して「どうせ外国人にはわからない。」とか、「外国でウケがいいのは勘違いしてるから。」なんてことは言わずに、どんどん外国に受け入れてもらえばいい。いっそのこと、外人ウケを狙った映画を作ったっていい。それがダメだと日本人が言ったところで、日本人より外人の方がお客さんとして喜んでくれてお金を払ってくれるのなら、文句を言う筋合いじゃない。
話を戻すと、30年前にこの映画を支持した日本の少年少女たちが、今ではすっかりそんな気持ちを失ってしまったかのように、まさにこの映画の大人たちのようになってしまったのだから、人間って本当にいい加減だよなあ。でも、以前はこの映画の中で子供と大人は完全に断絶していると思っていたのだが、今回観て気づいたのは、子供の恋心のような純情を無くしてしまったような親に幻滅していたメロディが、海岸で仲良く波打ち際にいた老夫婦を見て、恋心をずっと持ち続けることも出来るんじゃないかと思っているようにみえるのと、メロディが自分の恋心を涙ながらに家族に吐露したとき、それまで○○しなさい××しちゃだめ一辺倒だった親たちが、彼女の気持ちを受け止めようとしているところに、大人と子供が理解し合える希望の余地をのこしていること。
というわけで、良い子に向けての私からのメッセージは、「大人のいうことを真に受けちゃいけないよ!」「つまらない大人たちにも理解と憐れみを!」
(★★★☆、ドラマ系、感覚系)

2003年11月2日(日) 晴・暑 2003/11/03 更新

昨日に引き続き、フィルムセンターでの「聖なる映画作家 カール・ドライヤー」に行く。まず、13:00からの『不運な人々』(1921 独)。今日も開映10分ぐらい前に着く。お客さんはほぼ満席の300人ぐらい。

14:30ごろ終映で、腹ごしらえ&PC入力して、16:00からの『サタンの書の数ページ』(1919 デンマーク)の開映15分ぐらい前に入場。今回はチケット完売。この映画は、昨日今日の他の3本より上映時間が1時間も長い148分で、その間、ニール・ブランドさんは休むことなくピアノを弾きっぱなし。片手が空いたら顔を掻くことぐらいは出来たとはいえ、すごいですねえ。

家に帰って、夜、『ルールズ・オブ・アトラクション』(2002 米)のネット試写会。1Mbpsのストリーミングで観て、ほとんど問題なく再生できたのに、時々画面が止まることがあったが、その時何が起きたのかが気になる。

2003年11月1日(土) 曇 2003/11/01 更新

今日から東京国際映画祭が開幕だが、私はこの期間中渋谷にも、ファンタの新宿にも行く予定がなく、代わりに京橋のフィルムセンターでの「聖なる映画作家 カール・ドライヤー」に行く。10月11〜13日の、トーキー作品をメインとした朝日ホールでの上映に続き、第2弾はサイレント作品で、ニール・ブランド氏による生ピアノ演奏つきの上映。まずは13:00から『裁判長』(1918 デンマーク)。前売り券を買ってあって、当日券は余分に売らないので、完売で入れなかったり座れなかったりといったことは無いと思い、開映5分前に着いて、あいていた席に座る。お客さんは多分満席。
画面が何故かやけにフリッカーが目立った。サイレントなので毎秒18コマとはいえ、この間の『裁かるゝジャンヌ』ではこんなことなかったのに。

14:40ごろ終映で、1時間ほど腹ごしらえ&PC入力してから、『牧師の未亡人』(1920 スウェーデン)の開映時刻16:00の30分ぐらい前に入場。今回も満席。笑い声も起こって、反応は上々。

2003年10月31日(金) 晴 2003/11/01 更新

トイレでふと鏡をのぞき込んだら、左の眼球が内出血しているようで、白目の4分の1が赤目になっていた。目の使いすぎか?最近そんなに使ってないはずなのに、それとも『赤目四十八瀧心中未遂』を観に行けという啓示か?などと思ったが、自覚症状が無いので、予定通り東京国際ファンタスティック映画祭のオープニング作品(とはいっても、昨夜のオールナイトの前夜祭から既に始まっているのだが。)の『ロスト・メモリーズ』(2002 韓国)を観に、新宿ミラノ座へ。開始時刻の18:20ちょっと前に入場する。お客さんは満席。まず上映に先立って映画祭のオープニングセレモニーが始まり、ニッポン放送の山本元気アナと映画祭のプログラミング・ディレクターの大場渉太いとうせいこうの3人で進行。客席の『恋する幼虫』の井口昇監督、『妖夜回廊』のダニエル・ウー(ここで黄色い声)、『レコニング・デイ 血まみれドッグ』のジュリアン・ギルビー監督が紹介される。そして、『ロスト・メモリーズ』の主演のチャン・ドンゴン仲村トオルが現われると、もの凄い黄色い声とフラッシュの嵐。あとは、舞台挨拶とインタビュー、それに続いて登場した中根かすみちゃんが、2人に花束贈呈と出演作の『GUN CRAZY』(なんか彼女に対する反応が薄かったけど、『GUN CRAZY』は確か去年のファンタで上映されて、面白いという話も聞いているのに。)のビデオをプレゼント(兼宣伝)。そして3人が退場して、3分ぐらいのニッポン放送のCMを上映。主役がユリオカ超特Qで、田中要次も出演。不必要に長い。
そしてやっと『ロスト・メモリーズ』の上映。伊藤博文が暗殺されなかったおかげで、日本はアメリカと同盟を組んで第二次世界大戦で負けず、朝鮮と満州は日本の領土のままで、創氏改名も続いていて日本語が公用語の京城(ソウルのこと)が舞台という設定。まあ、完全なフィクションなので、現実に照らし合わせて考える必要もないのだが、その設定だと中国は共産党が日本とアメリカにつぶされて国民党のままで、上海あたりも日本が占領しているのだろうとか、「日本」と一口で言っても、戦争に負けなかったので当然大日本帝國なのだろうが、それにしては天皇の存在が感じられないとか、どうしても余計なことを考えてしまう。
あと、台詞も半分以上は日本語なのだが、台湾人だって国民党が来て50年ぐらいでみんな台湾語ではなく普通に北京語を話しているのに、こちらは日韓併合100年も経つのに、発音がひどすぎる。(何故かワンシーンだけ、チャン・ドンゴンの日本語に日本語字幕が付く。ついでに、髪の長い女の子が実は男の子らしく、字幕が「彼…」と訂正されていた。逆に男の子のような女の子だったら、訂正がもっと難しかっただろうから、良かったねえ。) なあんて、これは設定ではなくて韓国人の俳優たちが日本語を話しているから。『GO』の韓国語も変だったらしいから、あいこということで。慣れない日本語、ご苦労なことです。
あと、オープニングでの文字による歴史紹介で、「1988年、名古屋でオリンピック開催」、「2002年、日本ワールドカップ開催」というのは洒落が効いてる。
それにしても、『ロスト・メモリーズ』は、アクションシーンが延々スローだったりで、映画を観ている最中に「もう勘弁してくれぇ! いい加減に早く終わってくれぇ〜!」と久々に思ってしまったほど長い長い長い! この後、渋谷へ『DEAD END RUN』のレイトショーを観に行く予定だったのが、上映時間2時間45分が終わった頃には(ウソ。本当は136分。)、15分前で間に合わないので、そのまま帰る。

2003年10月26日(日) 晴 2003/10/28 更新

『(美空ひばりの)ラッキー百万円娘』(1949 日)の録画を観る。 どうやらこの映画、公開当時は『新東京音頭 びっくり五人男』というタイトルで公開され、後年になって78分のオリジナルを56分に短縮して『ラッキー百万円娘 びっくり五人男より』というタイトルがクレジットされた短縮版を作って公開し、そのヴァージョンのみが現存しているらしい。そのせいか、ところどころ展開が飛躍していると感じられるところがある。

<ストーリー> 母親に死なれ、大陸に出征した父親も帰ってこない美空ひばりを、露店で学生ピーナツを売っている中年大学生のエンタツとキドシン、彼らの下宿先の大家でおでん屋のアチャコ、遺産が入ったと言われているが妻に頭の上がらないサラリーマンのロッパたちが面倒を見る。ひばりの持っていた日本貿易博覧会の福引が100万円の大当たりで、それを聞きつけた父親がひばりを訪ねて来て再会する…。

ひばりが歌うシーンはあるのだが、路上で演奏している川田晴久の楽団に彼女が世話になっていたときも、子供だから働かせられないということで、人前で歌って大盛況というシーンはない。この映画は、吉本プロと新東宝の提携作品で、ひばりよりもお笑い芸人たちの方がどちらかといえばメイン。ひばりはデビューしたてで、この後に同年に公開された『悲しき口笛』で恐らくブレーク。斎藤寅次郎監督作品はほとんど観たことが無いのだが、裕福そうな婦人に貧しい身なりのひばりが追っ払われたのを見ていたもっと汚い男の子が、自分の服から虫をつまんでその婦人の襟元に投げ入れ、彼女がかゆみを覚えるといった軽妙なギャグを見せる。その他、今となってはそんなに面白くないけど、細かいギャグが盛りだくさん。
(★★、感覚系、ドラマ系)

深夜、昨夜BSで放送されていた『ワーテルロー』(1970 伊=ソ連)の録画を観る。

<ストーリー> ヨーロッパ戦線から退却してきたナポレオン(ロッド・スタイガー)は、皇帝を退位してエルバ島に逃れるが、やがてフランスに戻ってルイ18世を追いやり、民衆の支持の元に再び進軍する。彼は胃痛に苦しみながら、ベルギーのワーテルローでウエリントン(クリスタファー・プラマー)率いるイギリス軍と戦って敗れる…。

製作はイタリアのディノ・デ・ラウレンティス、監督は『戦争と平和』でナポレオンものを演出したことがあるソ連のセルゲイ・ボンダルチュク、配給はコロムビア映画、台詞は英語、エキストラはソ連軍、と東西両陣営にまたがる合作。前半は、大勢の兵士のエキストラが登場するが、戦闘シーンは無く移動するだけで、一方、ロッド・スタイガーの1人芝居でナポレオンの内面を描くと思わせるシーンもあるが、結局それも時間的にわずかで、見どころが無くて面白くない。後半になってやっと戦闘シーンになり、ナポレオンとウエリントンが将棋をさし合っているかのように、隊を動かして戦う。ワーテルローの戦いは1日の出来事で、時刻が時々字幕で表示されたりして、要するに実際の戦闘を忠実に再現しようとしているのか(?) 戦った人の数も史実に再現する対象になっているのか、この映画のエキストラの数が半端でなく多く、『スパルタカス』並で恐らく1万人以上で、これだけでもの凄い迫力。ただし、結局この映画の見どころはエキストラが多いということだけで、戦闘の真っ最中に「何のために戦う?」という台詞を言う将校がいたり、死体の山を前に「戦争は勝ってもむなしい」という感じのラストだったりで、妙に反戦的な印象が垣間見られるのだが、それは取ってつけたようなものでしかなく、また何人かの脇役も目立たせようとしているのだが、主役2人も含めキャラの描き方が全く不十分。結局、あれこれやろうとして中途半端になってしまって、カメラワークも凝ったりしてる割には散漫な印象の映画で、こんなことなら人間将棋映画に徹すれば良かったのに、という感想がすべて。
ちなみに、この機会に長年の疑問について調べたら、ロンドンのウォータールー(『哀愁』の"Waterloo Bridge"や、『ミッション:インポッシブル』に出てきたユーロスターのロンドンのターミナルのウォータールー駅でおなじみ)は、やっぱりワーテルロー"Waterloo"での勝利にちなんでつけられた地名のようだ。
(★★、ドラマ系、感覚系)

2003年10月25日(土) 曇 2003/10/31 更新

『ニューヨーカーの青い鳥』(1986 米)の録画を観る。原題は"Beyond Therapy"(セラピーを越えて)で、邦題の意味するものは、恋愛について悩みを抱えているニューヨーカーたちが、精神分析医に通ってカウンセリングを受けながら幸せ探しをするという内容から。しかし、この映画では問題だらけの変な人々に負けず精神分析医たちも問題だらけ。結局、そんな人たちが、カウンセリングに代表されるような頭で考えて何とかしようとすればするほど行き詰まり、ドタバタの果てに何となく丸く収まる。頭で考えるような恋愛がダメと言っても、じゃどうすればいいということは結局何も言ってないので、すっきりと筋の通った話ではないのだが、反面多くの登場人物が絡み合って複雑な味わいを残す映画である。
それから、邦題にわざわざ地名が入っているのは、この映画の舞台がニューヨークだということに絡んで、ラストにちょっとしたトリックがあるのだが、日本人にとってはイエローキャブや、ましてや精神分析医がたくさんいるということだけではニューヨークという地名がイメージしにくいということから、ニューヨークということをハッキリさせる邦題にしたということなのだろうか?
(★★★、ドラマ系)

WMCつきみ野へ『インファナル・アフェア』(2003 香港)の夜の回を観に、トニー・レオンのファンの奥さんと。WMCつきみ野が入っているつきみ野SATYでは、「阪神タイガースを応援します」なんて紙が下げられていたが、阪神とは関係ないよな? 阪神を応援するというより、業績不振のダイエーの足を引っ張って、倒産仲間に引き込もうというつもりだろうか? 5分前に入場。お客さんは30人ぐらい。
この映画、おとといの『座頭市』に続いて、恐らく「銀残し」で現像されていて、おまけに『座頭市』よりも強く(いわゆる100%ってやつか?)、黒味が多くて暗部がつぶれている。こうした画を狙っての銀残しなのだろうが、どうも暗部がつぶれた画を見ると、出来の悪いマスターから作られたビデオを見てるみたいで、好きになれない。陰影を強調するなら、銀残しの前に照明でなんとかした方が良いのでは?

2003年10月23日(木) 曇 2003/10/26 更新

WMCつきみ野へ『座頭市』(2003 日)の夜の回に行く。ひとけのないロビーで順番待ち無しにチケットを買い、中に入るとカップル1組のみで、お客様計3人。
予告編は、まず『ラスト・サムライ』は、何となくストーリーがわかってしまったと思えるほど長いもの。次は『阿修羅のごとく』で、 最後に『マトリックス レボリューション』。なんか『スター・ウォーズ』みたいな戦闘機戦になっちゃって、こんなんで大丈夫か?

2003年10月22日(水) 2003/10/26 更新

夜、テレビで「あんグラ☆NOW!」を見ていたら、ゲストの久本雅美の見た目が小森のおばちゃまみたいと誰かが言ったとき、画面の隅におばちゃまの写真と「故小森和子」の文字が映って、「えっ!おばちゃま死んでたっけ?!」とびっくりして調べたら、それらしいものは見つけられなかったので、スタッフの完全に思い違いだったらしい。赤の他人でさえこうしてびっくりしたのだから、知り合いが見ていたらそんなもんじゃないだろう。ヒドイなあ…。

その後、オセロがゲストの「Matthew's Best Hit TV」を堪能した後、「あしたまにあ〜な」でナレーションの濱田マリが「『トゥームレイダー』のララ・クロフトって、宝物を探すのにあんなにお金をかけちゃ、割に合わない。」とナイスなコメント。以前も、モーニング娘の新曲「シャボン玉」のプロモーションビデオの歌と振り付けを「武富士のCM」と言っていて、あの番組のコメントはするどいなあ。ララ・クロフトといえば、先週の土曜日のテレビ「エンタの神様」で、前田健が彼女のまねをしてたのがそっくりだった。左のまゆ毛を上げるのを、糸を貼り付けて上から引っ張ったりもしたりして。前田健といえば、松浦亜弥の「午後の紅茶」の新しいCM ♪アヂアヂ パテシェ〜 セ・シボ〜ン…♪ と歌うやつが始まったけど、前田健はさっそくあの衣裳を発注したに違いない。

「あしたまにあ〜な」に続いて、「堂本剛の正直しんどい」。今回は50回スペシャルということで、ゲストは剛が結婚したいという小林聡美。聡美のダンナと同じ匂いのする剛に、聡美から厳しいツッコミがビシビシ入るかと思ったら、和気あいあいだった。それにしても、小林聡美はいいなあ〜。三谷から奪い取りたいくらい。

2003年10月21日(火) 曇 2003/10/22 更新

深夜、『地獄花』(1957 日)の録画を観る。

<ストーリー> 平安時代、貴族の姫の一行を2組の山賊が同時に襲い、一方の山賊の馬介(山村聰)が姫だけをもらうことで山分けが成立したが、他方の山賊のステ(京マチ子)が姫をふびんに思い、馬介から姫を譲り受けて都へ帰す。後日、馬介がステの所に来て、姫の見返りとして彼女を襲い、ステは馬介の舌を噛み切って殺す。しかし、ステは馬介の子供を身ごもり、捨て子の彼女を拾った育ての親であり夫でもある麿(柳永二郎)は、それを知って怒り狂ってステを追放する。ステは、麿の手下の勝(鶴田浩二)に拾われ、彼の家に住む。やがてステは子供を生み、かつてワイルドだった彼女は、すっかり女らしくなる。そこに、麿がやって来てステとよりを戻そうと彼女が溺愛する赤ん坊を殺そうとするが、勝が戦って麿を追い払う。ステは勝に惹かれるようになり、山を降りて助けた姫を頼って都に行こうとする2人に麿の手下たちが迫る。琵琶湖で追い詰められ、勝は自分だけで責任を取るために湖に身を投げ、ステも赤ん坊を置いて彼の後を追う。麿は2人を救い、2人を都に行かせる…。

観始めてすぐに、この映画を観るのは初めてではないことに気づいた(3年前に観ていた)が、内容を全然覚えてないのでそのまま観続ける。
大映のビスタビジョン第1作目(キネ旬データベースによると、画面の縦横比が1:2となっている。通常、ビスタビジョンは1:1.85。)で、イーストマンカラー第1作目の『地獄門』(1953)にあやかったタイトルか? ちなみに、原作は室生犀星の「舌を噛み切った女」で、「地獄」とは無関係。更にちなみに、「花」の方は、京マチ子が襲われたときに髪に挿していた花のことだと思われる。
かなり褪色したフィルムを補正したせいか、空や雪が黄色っぽい。京マチ子は、前半の色黒で白目がギラギラしているのも、後半の女らしいのも素敵で、本当にどんな役でもいける。京マチ子が鶴田浩二と滝の上で命綱無しにもみ合うシーンもある。
(★★、ドラマ系)

2003年10月20日(月) 曇 2003/10/20 更新

『陽動作戦』(1961 米)の録画を観る。
1944年、日本軍に占領されたビルマに、3000人のアメリカ陸軍がインドからひそかに潜入し、日本軍の拠点を目指して、疲弊しながらも1000キロもの距離を数ヶ月にも渡って戦闘を繰り返しながら進んでいった…。
『陽動作戦』といっても、ジャングルの中を真っ直ぐ進むだけで、陽動作戦らしいことは何もしていない。原題は"Merrill's Marauders"((指揮官である)メリル准将の襲撃隊)。これといって変なところは無い映画なのだが、同じサミュエル・フラー監督による戦争映画の『最前線物語』と比べると、こうした戦争映画が面白いかどうかは、結局登場人物たちのそれぞれのキャラクターがハッキリと描かれているかによるということがよくわかった。印象に残る登場人物が無かったこの映画は、残念ながら面白くなかった。
(★☆、ドラマ系)

2003年10月18日(土) 曇・雨 2003/10/20 更新

『アメリカン・ゲリラ・イン・フィリピン』(1950 米)の録画を観る。フリッツ・ラング監督のアメリカ映画で、日本未公開作。
日本軍に占領されようとしているフィリピンのレイテ島から、単独でオーストラリアに撤退しようとするアメリカ海軍士官のタイロン・パワーが、フィリピン国内を逃げ回りつつ拠点を作って日本軍に対抗し、ついにマッカーサーを迎える…。
ストーリーだけ見ると波乱万丈の映画のようだが、全体的にはストーリーをなぞっただけのような映画。戦闘シーンはほんのわずかで、フィリピン人たちを組織して、資金捻出のために偽札を作っりもするのだが、そうした面白くなりそうなディテールをナレーションだけで処理しているようでは面白くなるわけがない。変な日本語を話す日本兵や、漢字のような変な文字もとりあえず出てくる。
(★☆、ドラマ系)

続いて『ココニイルコト』(2001 日)の録画を観る。長澤雅彦監督のデビュー作で、彼はこの後『ソウル』『13階段』『卒業』を監督するのだが、『ココニイルコト』はその中では『卒業』に近い。というより、これらの4本でくくるより、彼がプロデューサーとして携わった『Love Letter』と、彼が脚本を書いた『はつ恋』『ココニイルコト』『卒業』の4本でくくった方が良さそう。これらの4本に共通して言えることは、例えばブライアン・デ・パルマは、シーンの中に映像的な「仕掛け」を入れることで勝負していて、ストーリーはどうでもいいように、長澤監督は物語的な「仕掛け」を入れることで勝負していて、その物語や登場人物が現実を反映していなくてもそれはどうでもいいということである。つまり『ココニイルコト』のストーリーは、東京の会社で広告の企画の部門に所属する真中瞳が、上司との不倫が重役である妻にバレて大阪の営業の部署に飛ばされ、失恋と慣れない大阪生活で気力を失っているところに、同僚の新入社員の堺雅人と触れ合って生きる力を持つようになる、というものなのだが、挫折と再生が女性の観客たちの共感を得るような、リアリティを感じさせる生々しい作りになっていない。代わりに、落ち込む女性と彼女を脇で支える道化を装った男という、いかにもファンタジックな図式が前面に出ていて、さらに味付けとして、大阪と大阪弁の飾らなくて軟らかい印象、2人とも昔から星に願いをかけていたという設定と、プラネタリウムや曇ったガラスに描かれた星、そして思わずぐっとくるあの真昼の星空、『Love Letter』を思わせる一面の雪景色とそれにかぶさるREMEDIOSの音楽、といった具合に、リアリティよりもファンタジーを強調した物語的な仕掛けの数々が用意されている。
こうした、リアリティを無視してフィクションである物語を作り込んでいる映画って、どうも最近の日本の観客はフィクションというものを受け止める力が欠けているようで、リアリティの無さをあら探しされて、それが即ち欠点とされる不利を乗り越えるようなファンタジーの力が要求されるという高いハードルがある。(韓国映画にはこの手の作品が多いようで、日本でも評判が良かったりする反面、同種の日本映画に対してはリアリティの無さをうるさく言うのは、日本映画の場合は現実との比較をされやすいからだろう。逆に言えば、外国人というのものをリアルにとらえていないということか?) 『ココニイルコト』や『卒業』は残念ながらその高いハードルを越えるまでには至っていないが、越えてしまうことができれば『Love Letter』や『はつ恋』のような、映画ならではのフィクションで観る者を酔わせる大大傑作になれるのである。『卒業』の感想でも書いたけど、不利な勝負をしている長澤監督には頑張って欲しい。
(★★☆、ドラマ系、感覚系)

2003年10月16日(木) 晴 2003/10/17 更新

『芽ばえ』(1957 伊)の録画を観る。原題の"Guendalina"は、これがデビュー作のジャクリーヌ・ササール演じる19歳の少女の役名。
お金持ちの娘の彼女は、両親と一緒に海辺の避暑地に来ていて、夏も終わり同じようによそから来た若者たちのようにその地を離れようとしたところ、両親の不仲で父が出て行き、離婚が決まるまで彼女は母とその地に残ることとなる。グエンダリーナは、現地の青年のオーベルタンと親しくなるが、今はなき父がアナーキストだった彼との付き合いを母親は反対する。その後、両親はとりあえずよりを戻してその地を離れることとなり、オーベルタンとの駅での別れにグエンダリーナは涙にくれる…。
ジャクリーヌ・ササールは、見た目は新珠三千代に内藤洋子と小川真琴をちょっと混ぜたような感じ。『芽ばえ』は、彼女がレオタードのような格好で踊ったり、ピサの斜塔でデートしたりの、60年代の東宝青春映画のような軽い内容で、彼女がアイドル的な人気が出たのが理解できる。彼女はフランス人で、そのせいかイタリア語のアフレコが口の動きと合っていないように見える。
(★★、ドラマ系)

2003年10月15日(水) 2003/10/20 更新

一昨日の13日に放送された、内藤洋子、改め、喜多嶋洋子(写真)がゲストの「徹子の部屋」の後編の録画を観る。前回が女優を引退するまでで、今回がそれ以降。かいつまんで言えば、子育てが充実していて、子育て一筋で、でも最近それ以外のこともやってみようと思い、絵本を出版することになったということで、別に女優復帰するというわけではなかった。それにしても、今でも素敵な人です。

2003年10月13日(月・祝) 曇・大雨・暑 2003/10/22 更新

朝日ホールでの「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」の最終日で、12:00からの『彼らはフェリーに間に合った』(1948 デンマーク)『裁かるゝジャンヌ』(1927 仏)を観に行く。早めに着いたので、コーヒーで一服してから列に並んで5分後に入場。お客さんはかなり埋まって500人ぐらい。『裁かるゝジャンヌ』はサイレントで、ピアノ生演奏付きの上映。1927年製作のオリジナルが失われて、長らくオリジナルと違ったバージョンしかなかったところ、デンマークで状態の良いプリントが見つかって、それを元に1985年に復元したもの。ただし、今日のプリントは、毎秒20コマで、今のプリントではサウンドトラックの部分にまで映像が映っている、正真正銘のサイレントのプリントとして復元されたもので、今日のようにサイレントの映写機でしか完璧に上映されず。後日ユーロスペースで上映されるときは普通の映写機だから、毎秒24コマで上映されて動きがかなり速く見えてしまい、画面の中心がずれて、フレームの端がスクリーンに映されないことになる。『裁かるゝジャンヌ』のように、映像の動きのリズム、画面の極端に端にしか人物が映っていないような構図、反面ジャンヌのアップはほとんど画面中央だったりすると、きちんと上映されないのはかなり影響が大きいはず。今回の特集上映で、『裁かるゝジャンヌ』がユーロスペースでも上映される以外はフィルムセンターでしか上映されないのは、あそこにしかサイレントの映写機がないからだろう。というわけで、ドライヤー特集上映の前半戦はこれにて終了。大傑作につぐ大傑作で、もう大満足! 後半戦は、ちょうど東京国際映画祭と時期がぶつかっちゃうなんて…。

続いて、シネマライズで『リード・マイ・リップス』(2001 仏)の14:25の回を観に渋谷へ向かう。今日も朝日ホールの秘密のエレベーターで降りて1階に行くと、外はものすごいどしゃ降り。雨が降ることは天気予報でわかっていたので、かばんから折り畳み傘をとりだそうとしていると、私の脇を手塚眞(たぶん)さんが通り抜けて、隣の西武デパートまで雨の中を駆け抜けていった。どしゃ降りの中を有楽町駅まで歩いたら、すぐ近くにもかかわらずあっという間に濡れてしまった。渋谷に着いても相変わらずどしゃ降りで、激流のスペイン坂を鮭のように上っていって、シネマライズの地下に降りようとすると、そこには人の列が全員こっちをにらんでいて目が合った。彼らは順番待ちではなく、雨宿りをしている人たちだった。その脇を通り抜けて入場。シネマライズの地下では雨漏りが起きていた。お客さんは40人ぐらい。靴の中に浸水していたので、気休めに靴を脱いでティッシュやチラシを中に詰めたり、靴下を「ぴあ」の間に挟んだりして乾かしながら鑑賞。終映後に外に出ると、雨はやんで空は晴れていて路面もほとんど乾いてた。うーん、何だったんだ、あれは?

家に帰って、夜に『男はつらいよ 幸福の青い鳥』を観る。シリーズ37作目で、マドンナは志穂美悦子。結果的にこれが最後になる(?)オープニングコントは、さくら、博、満男、それに何故か蛾次郎を連れて、半年も幸福の青い鳥を探している寅さんが、諦めて柴又に帰ろうとみんなに言われた時、ついに青い鳥を見つけて楽園もみつけたところで、列車の中で車掌のイッセー尾形に起こされる。寅さんは筑豊へ行き、昔来たことのある劇場の主から、馴染みの旅役者の座長が死んだことを知り、その家を訪ねると、座長の娘の元歌手で今は旅館の女中の志穂美悦子と再会する。寅さんがその地を離れ、志穂美が寅さんを頼って上京して柴又に来る途中でチンピラに絡まれたところを、画家志望で鹿児島から上京した長渕剛に助けられ、彼が住み込みで働いている映画館の看板屋に泊めてもらう。その後、彼女はとらやに来て住まわせてもらいながら、とりあえず柴又の中華料理屋で働く。寅さんは志穂美の結婚相手を探すが、彼女は長渕に惹かれながらも、彼が気難しくてうまくいかない。長渕が志穂美に謝りにとらやを訪ねて、やっぱり喧別れをしたのを見た寅さんが、志穂美に彼の後を追うように言って、めでたく仲直りで寅さんも旅に出る。
志穂美悦子の役は地味すぎ。長渕は寅さんの世界になじんでいたが、かといって特筆するキャラでもない。それ以外も、コメントすることもないという情けない出来。
(★☆、ドラマ系)

2003年10月12日(日) 晴 2003/10/20 更新

昨日に引き続き、「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」を観に朝日ホールへ。12:00からの『城の中の城』(1954 デンマーク)、『ゲアトルーズ』(1964 デンマーク)の開映25分ぐらい前に着き、当日券待ちの行列を横目に入場して、コーヒーで一服。お客さんは300人ぐらいだが、昨日と違って老若男女ばらけた客層。ただし、昨日同様、何かのお仲間みたいな人たちが挨拶しあっていたのが目についた。

終映は14:00で、引き続き14:45から、デンマーク映画協会アーカイヴ館長のダン・ニッセン氏の講演会と、塩田明彦監督を迎えての座談会までそのまま座席で待つ。まず講演会は、ドライヤーの作品についてひとつひとつPCのスライドで丁寧に英語で解説(通訳付き)。講演会の途中で、客席にいた塩田監督が退場し、続いてのダン・ニッセン氏との座談会に現われる。司会進行監督は、フィルムセンターの人。監督は別にドライヤーに詳しいというわけでもなく、彼が座談会のメンバーに起用されたのは、『黄泉がえり』の監督だから『奇跡』に引っ掛けてということらしい。そんなもんだから、ニッセン氏の一通りの解説の後で、更に何を付け加えればいいのかわからない、まるで火あぶりにされるジャンヌ・ダルクのような気分と前置きして、ひたすらドライヤー作品に対する自分自身の解釈を述べるに終始していた。まあ、しょうがないですかねぇ? ニッセン氏もそれなりに受け答えしていたので、座談会としては成り立っていた。監督がどんどん語っているところで、ちょうどタイムリミットの16:45になって終了。

入れ替え制なのでいったん退場し、続く『ストーストレーム橋』(1950 デンマーク)『奇跡』(1954 デンマーク)の入場が17:00なので、そのまま列に並んで入場。お客さんはやはり300人ぐらい。『奇跡』のクライマックスで客席はものすごい緊張感で静まり返った。終映は19:45頃で、今日も秘密のエレベーターでスイスイ退場。

2003年10月11日(土) 曇 2003/10/12 更新

今日から3日間、朝日ホールで開かれる「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」に行く。しかし、昨夜「番長足球」に大ウケして、一夜明けてカール・ドライヤー(カール・テオドール・ドライエル)って、どんな映画ファンも真似できないようなこの振り幅の大きさはどうだい!と、自画自賛で自己満足。
まず初日の第1回目の短編『村の教会』(1947 デンマーク)と長編『怒りの日』(1943 デンマーク)の12:00からの上映に、開映15分ぐらい前に着く。お客さんは半分ぐらいの入りで300人ぐらい。こういう硬い映画では、女性の割合がガクッと減るのはなんか情けない。

次の回の『吸血鬼』は、NHK-BSで放送されたのを録画してあるのでパスして、その次の17:30からの短編の『トーヴァルセン』(1949 デンマーク)と長編の『二人の人間』(1944 スウェーデン)まで食事&PC入力の場所探しを兼ねて有楽町を一回り。まず、今日から例の子供だまし映画(タイトルなんか言わないよ)の上映が始まった丸の内東映へ。やはり今日が初日の『インファナル・アフェア』を上映している隣のシャンゼリゼと合わせて、特ににぎわっているわけでもなく、目だって変な人はいなかったものの、赤い帽子をかぶっていないぴあ出口調査隊(?)のような集団と、何故かテレビカメラが1台来ていた。次にシャンテ・シネに行くと、『アララトの聖母』が日比谷スカラ座2に移っていて、こちらは3スクリーン中2つで『永遠のマリア・カラス』を上映していた。強いなぁ。まあ、観ないけど。結局、30分ほどぐるっと大回りして、14:30ごろ銀座のドトールでPC入力。しかし、私のPCは安物なので、わずか1時間半でバッテリー切れになって店を出たものの、(ちなみに、安物のPCなので大きいとはいえ、背負って歩いているぶんには重くないのだが、家に帰ってから下半身にきているのに気づく。)開場までまだ1時間もあったので、また一回り。リニューアルしたシネパトスに行くと、チケットの自動販売機が撤去されて、その場所は手売りの窓口になっていた。自販機に比べてこういうのが良いと思うお客さんは多いかもね。私はどっちでもいいけど。

間が持たなくなって、結局開場時刻の30分前の16:30に朝日ホールに帰ってきて列に並んだら、早めに入れるということですぐに入場。ちなみに、当日券の人はそこからさらに30分待たなければならなかったので、前売りでよかった。お客さんは300人ぐらい。終映は19:00ごろで、ここはマリオンの6基のエレベーターで降りようとするとかなり待たされるのだが、朝日ホールの奥にエレベーターがあるのを知っていた私は、それでさっさと降りて帰る。

2003年10月10日(金) 曇 2003/10/12 更新

新宿文化シネマ3の『ロボコン』(2003 日)の19:00の回に行く。新宿駅には18:30ごろ着いたので、今日も金券ショップで映画のチケットチェック。今日が最終日の『青春ばかちん料理塾』『17才 旅立ちのふたり』の二本立てが\400、『福耳』が株主券が値上がったのか以前\300だったのが\900。うちのサイトで褒めたのを信じて観に行った人はいたのかな? この値段なら超特大の大当たりなのに。劇場には10分ぐらい前に着いて、結構混んでいたので、ちょっと見上げる位置で見づらいけど最前列の右寄りの席へ。結局、ほぼ満員の60人ぐらい。ここの劇場は初めてで、スクリーンが小さいが、同程度の新宿東映パラスや新宿ピカデリー4が映写機がスクリーンの向こう側にあるリア・プロジェクションなのとは違って、普通に座席後方にあるフロント・プロジェクション。上映前に映写室を見たら、映写機のレンズが見えなかったのだが、どうやら映写室の窓のところに斜め45度に鏡があって、上向きの映写機(?)でそこに反射させて映しているようだ。でも、それよりもスピーカーがスクリーンの裏ではなく下側にあって、音の聞こえる位置が不自然なのが気になる。予告編なしでいきなり上映っていうのが個人的にはうれしい。予告編が楽しみな人もいるだろうけど、最近は予告編以外でも映画の映像はバンバン流れているし、大体思わずおおっと思う出来の予告編は100本中1本あるかないかだしねぇ。
で、『ロボコン』は評判どおりの本当に素晴らしい映画で、観てない人には「ザマーミロ」ってなもんですねぇ。恨むんだったら、いい映画をまともに紹介していない映画ジャーナリズムを、面白くもない映画にスクリーンを当ててこうした映画を上映しない映画館を、そしてパスしてしまった自分を恨むんですな。結局あんまりヒットしなかったみたいだけど、私のような普通の情報源しか持たない者の耳にも、上映の2ヶ月前ぐらいにはかなりいい評判が入ってきてましたからねぇ。いい映画を観たいと思ったら、情報収集のちょっとした努力を怠ってはダメですねぇ。
ちなみに、ASIMO君は勝手に動いているのではなく、陰で人間が無線で操縦しているので、構造的にロボコンのロボットと同じ。

ハシゴする適当な映画がなかったので、今日はこれ1本で帰る。
深夜、「ウラ関根TV」で、竹内力主演の岸和田少年愚連隊カオルちゃんシリーズの最新作「番長足球」を紹介していたが、ガハハハ、こりゃくだらなすぎて笑いっぱなし。よく「30秒に1回の大爆笑」なんて惹句が着く面白くもない洋画コメディがあるけど、「番長足球」を劇場公開したら、最初から最後までノンストップで笑いっぱなしかも。

2003年10月7日(火) 2003/10/12 更新

『オー!ラッキーマン』(1973 英)の録画を観る。マルコム・マクダウェルの体験談を元に、『if もしも…』のリンゼイ・アンダーソンと再びコンビを組んだ作品。主演のマクダウェルが、将来有望なコーヒーのセールスマンから始まり、軍に捕まって敵のスパイにでっち上げられ、脱走してヒッピー女と知り合い、彼女の父の大実業家の秘書に納まって、某国の反政府軍を化学兵器でせん滅させる仕事の片棒を担がされるが、一人罪をかぶって投獄され、出所後改心して慈善活動をするも逆に嫌われ、俳優のテストを受けるが、カメラテストで意味もなく笑えない、という約3時間にも及ぶ転がりっぱなしのストーリーで描かれるのは、善意や正義感ではどうにもならないほど、この世は力でコントロールされているという絶望感と、そんな現実に気づいてしまえば、生きていけるだけでラッキーだと思えるという開き直りのような希望。1970年前後の世界的な運動の敗北感が表われているのだろうか? 9・11後の世界の動きに個人の力が無力だった今の気分とも重なって胸につき刺さる。
(★★★☆、ドラマ系、不条理系)

2003年10月6日(月) 2003/10/12 更新

『男はつらいよ 知床慕情』(1987 日)の録画を観る。シリーズ38作目で、マドンナは竹下景子。先日観た39作目の『寅次郎物語』の前作に当たるが、あちらと同様こちらもオープニングコントがなくなっていて、ただの回想だった。まあ、面白かったコントもあったとはいえ、本編には関係ないので、なくなってもいいんだけど。
寅さんが北海道のウトロで、畜産の将来を憂いている獣医の三船敏郎と知り合い、彼の手伝いをする。三船の娘の竹下景子は、父の反対を押し切って東京に嫁いだが、別れてウトロに帰って来る。そんな彼女に、三船は「それ見たことか」と冷たく当たる。しかし、そんな三船も馴染みの淡路恵子が飲み屋を辞めて故郷の新潟に帰ると聞いて、寅さんの助けで彼女が好きだと打ち明ける。
この作品は山田洋次との組み合わせが一見意外だった三船敏郎の評判が良かったのだが、確かに素晴らしく、頭がどうしようもなく固くて、ぶっきらぼうで、でも真っ直ぐなキャラクターは彼ならでは。どんなキャラクターにも自然になりきれる「カメレオン俳優」みたいなのが演技力があるいい俳優みたいに言われるけど、独自の持ち味を発揮できる彼のような俳優こそ貴重で、カメレオン俳優には代わりがいても、三船敏郎を演じられるのは三船敏郎だけということを思い知らされた。ただ、そんな彼のエピソードが余韻無しに終わってしまったのが残念だが、それは10分ぐらいカットされたせいかな?
(★★☆、ドラマ系)

2003年10月5日(日) 晴 2003/10/12 更新

午後、KAWASAKIしんゆり映画祭の「ドイツ・デュッセルドルフ/NRW日本デー2003報告・上映会」を観に、新百合ヶ丘の新百合ホール21へ行く。お客さんは50人ぐらい。入場無料で、上映作品は、『影わずらひ』(2001? 日)、『キネマ通りの人々』(2002? 日)、『河童になる日(2003? 日)、『青〜chong〜』(1999 日)で、観に行った目当ては、『BORDER LINE』が良かった李相日監督の『青〜chong〜』を観たかったこと。この4作品はいずれも新百合ヶ丘にある日本映画学校の学生による卒業制作または実習制作で、今年の5月に川崎市と関係のあるデュッセルドルフで開かれたNRW日本デーで上映されたもの。映画の上映に先立って、日本映画学校の寺川光洋さんによる報告会があった。李相日監督も、直前のベルリン映画祭での『BORDER LINE』の上映でドイツに行っていて、続けて行くのを嫌がっていたところを、なんとか同行してもらったとのこと。質疑応答では、ネオ・ナチやトルコ移民の問題をかかえるドイツらしく、『青〜chong〜』に関する質問も、映画についてより人種差別に関する質問ばかりで、ちなみにニューヨークでの上映では、日本の人種問題など全く無関心だったそうな。佐藤忠男校長も客席にいた。
報告会が終わって、まず人形アニメの『影わずらひ』(7分 16mm)。小説家が執筆中に部屋の鏡に入り込んだり、映った別の自分の姿を見るという話を台詞なしで見せるので、話はあって無いようなもので、アニメの技術に関してはよくわからないが、ケチをつけることもない出来。
(★☆、感覚系)
『キネマ通りの人々』(43分 16mm)は、古くてお客の少ない東京の映画館で、役者志望のモギリの若い男は、映画館を見捨てられないので京都での撮影の口を断ろうとするが結局行き、彼に恋して彼をモデルに映画館の物語の脚本を書いている女は、途方に暮れ、プロデューサーにも脚本を返される…。正直、出だしは映画好きのアマチュアが思いつきそうなノスタルジックな映画館モノなのだが、後半に目の見えない少女に客席で画面を語って「見せる」ことをするなど、作り手の映画好きの自分に酔わずに映画を愛する心や、映画人の夢を描こうとする思いが感じられる。映画館主が、「最近の客は映画をあれこれこねくり回して観過ぎる。」と愚痴をこぼすのは同感ですねえ。でも、やっぱりこういう『ニュー・シネマ・パラダイス』みたいな、滅び行く映画ネタで映画好きの観客の心をくすぐろうとするのは、卑怯だなぁ、というよりついつい乗せられてしまうのが嬉しいやら悔しいやら。だから、この手は一生に一度にしてね。脇役で、映画館主が佐藤允、プロデューサーが平田満、というところまでは平気だったが、少女役で蒼井優が出てきたのにはビックリ。
(★★、ドラマ系)
『河童になる日』(38分 16mm)は、小学生の男の子3人組が、夏休みの自由研究で、川原に小屋を建てて住む、頭がおかしいと言われているおじいさんのことを調べ始める…という、『夏の庭』のような話。で、おじいさんは孫に河童の話をしたら、それを信じた孫が川に入って溺死して以来、現実を受け入れられずに河童もいるものと思って川原に住んでいるという話で、妄想の明と暗はきっちりと描かれている。
(★★、ドラマ系)
『青〜chong〜』(54分 16mm)だけは劇場公開されているので、感想は別ページに書くが、上の2つのドラマは登場人物が映画の中でしっかりと存在していない感じもしたが、こちらは通常の劇場作品並みで、演出力で一歩差をつけた感じ。

2003年10月4日(土) 晴 2003/10/05 更新

深夜、『男はつらいよ 寅次郎物語』(1987 日)の録画を観る。シリーズ39作目で、マドンナは秋吉久美子。
オープニングは、寅さんが子供のころ父親に叱られて家出をしたときのことを夢で見たというだけで、別にコントではない。本筋は、寅さんの仕事仲間が死んで、彼の男の子が寅さんを頼って柴又に来て、帰ってきた寅さんに連れられて、蒸発した母親を捜しに、和歌山の和歌の浦、奈良の吉野と訪ね、旅館で子供が熱を出したのをきっかけに、隣の部屋に泊まっていた化粧品のセールスの秋吉久美子と知り合って親子3人のように振る舞い、久美子と別れて志摩に行って母親のさつきみどりをみつけ、別れたくないとすがる男の子を振り払って、寅さんは志摩を後にする。
10分近くカットされた短縮版なのだが、上に述べたあらすじ以上のものがほとんど何もないありさま。話は『菊次郎の夏』みたいなのだが、男の子のキャラクターが無いに等しく、秋吉久美子も柴又に来るのは寅さんが旅先にいるラストだけ。オープニングコントはないし、タイトルは普通すぎるし。なんか、面白くしようという気がないのかなあ? ありきたりな湿っぽいシーンはやたらと多いのに。
和歌の浦で寅さんが訪ねる「宇宙回転温泉」という巨大温泉旅館は、今では廃墟になっているらしい。
松村達雄が、男の子を診察する医者で出演。その他、河内桃子、正司敏江なども出演。
(★☆、ドラマ系)

2003年9月30日(火) 晴 2003/10/02 更新

夜、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で、「香港映画の復活」とかいう特集で、「『インファナル・アフェア』が○○の理由で結末を××に変えた…」って、ネタばらしするな! あわててチャンネルを切り替える。更にしばらく経って、火曜日お楽しみの「きらきらアフロ」を見ようと思ってテレ東に戻したら、福岡ダイエーホークス優勝特別番組でつぶれてしまっていた。なんだばあ〜、テレ東! ダイエーで買い物なんかするもんか!(近所にないけど)。

深夜、NHK-BS2の「ものしり一夜づけ 『さんま大豊漁』」で、『秋刀魚の味』の話になって、吉田喜重監督が出演してこの映画についてのコメントを言う。『秋刀魚の味』は『晩春』のリメークで、さんまが出てこないのになぜ『秋刀魚の味』というタイトルなのかというと、さんまのワタの苦さは大人の味で、複雑な味は言葉にすることは出来ず、実際に娘が花嫁衣装で父親の笠智衆に別れの挨拶をするシーンを比較すると、『晩春』より『秋刀魚の味』の方が圧倒的に台詞が少なく、本当に感極まったときは言葉が出ないというのは、死の直前の小津監督が至った境地、と解説していた。知らなかったですねぇ。

観たことがあったのに内容を全然覚えてない『突撃隊』(1962 米)の録画を観る。
第二次世界大戦のヨーロッパ。ドイツに対する防衛線を、わずか数人でアメリカの小隊が、味方の人数を多く見せたり、攻撃に打って出たりして守ろうとする。
かっちりとした出来のコンバットもので、夜の闇にまぎれて地雷原をはって進むシーンの緊張感はすごい。でも、大作でもないしこれといった特徴もないので、印象に残ってなかったのだろう。
スティーブ・マックイーンとジェームズ・コバーンが共演していて、『荒野の七人』(1960)『大脱走』(1963)の間。マックイーンは主役なのだが、コバーンは眼鏡をかけていて地味な脇役。
(★★☆、ドラマ系、感覚系)

2003年9月29日(月) 晴 2003/10/01 更新

午後、まず渋谷に行って、『ドッペルゲンガー』(2002 日)が上映3日目で、黒沢監督の前作『アカルイミライ』も混んでいたということで、シネ・アミューズの16:35の回の整理番号を確保してから、その前に新宿東映での『青春ばかちん料理塾』(2003 日)『17才 旅立ちのふたり』(2003 日)の2本立て13:10の回を観を観ようと思った。しかし、渋谷に着いたのがちょっと遅かったのと、『17才』の終映が15:35頃で、『ドッペルゲンガー』の開映時刻16:35まで1時間もあればかなり早めに着けて満席で入れないことはないだろうと思い、そのまま乗り換えて新宿へ。
新宿に着いて、途中で金券ショップを見て回ると、『福耳』は今300円で観れる。これは気軽に見に行って楽しめる映画。それから、某所では『ドラゴンヘッド』も300円だった。まあ、これは300円でも観たくないけど。
新宿東映会館は、座席数の多い順に、新宿東映、新宿東映パラス、新宿東映パラス2、新宿東映パラス3の4スクリーンで、新宿東映とパラスは封切館、パラス2と3は事実上単館系。『ばかちん』『17才』の2本はパラス2での上映だと思っていたら、一番大きな新宿東映だった。封切作品はここでわざわざ観ることはなく、もっぱらパラス2と3しか来たことがなかったので、新宿東映は初めて。さすが東映の新宿の旗艦劇場だけあって、建物は古いとはいえトイレはきれい。ちなみに、パラス2と3のトイレは古くてきたなかった(はず)。更にちなみに、他のスクリーンの上映作品は、『HERO』(パラス)、『仮面ライダー』『アバレンジャー』(パラス2)、『法王の銀行家 ロベルト・カルヴィ暗殺事件』(パラス3)。なお、本来なら『偶然にも最悪な少年』が東映邦画系なのでここで上映されるはずだが、作品の性格上歌舞伎町の新宿トーアで上映され、子供も安心して来れるこちらは、子供向きの映画を上映しているのだった。
お客さんは、平日の昼間でチビッコも混じって40人ぐらい。予告編は、本編の客層を意識してないようなラインナップで、ジジババの『蕨野行』、哀川翔主演100本記念『ゼブラーマン』、いきなり血まみれ『スカイハイ』なども流してた。『あたしンち』の予告編は『マトリックス リローデッド』まるパクリなのだが、面白さはイマイチ。
『ばかちん』は、後藤真希のケータイの着メロが「贈る言葉」、武田鉄矢のは「恋愛レボリューション21」。鉄矢の昼メシは赤いきつね。出演者も、ハロプロがらみで保田圭稲葉貴子(何の役?)、五木ひろし堀内孝雄勝野洋(⇒キャシー中島⇒ハワイヤ〜ン娘、つながり?)と、ついでに金八ファミリーの茅野成美。いろいろな小ネタ捜しで楽しめた。一方、『17才』の方はおちゃらけた映画ではないので、石川梨華の部屋にグラスに挿したポッキーがあるくらい。なお、両方の映画に、タイアップのam/pmが出てくる。
『ばかちん』は、後藤真希の役に謎のメル友がいると紹介されていて、それが誰か?なんてミエミエの謎で最後まで引っ張る展開だったらつらいなぁ、という懸念があったが、いきなり正体をばらしたので一安心。

終映は予想通り15:35頃で、渋谷に移動してシネ・アミューズへ行き、整理番号14番をゲット。時間があったので、向かいの文化村に行って、東京国際映画祭のチラシでももらって来ようと思ったら、まだ置いてなかった。あとは適当にぐるっと一回りして、開場前にシネ・アミューズに戻る。結局お客さんは40人ぐらいで、混むと思ったのは全くの見当違いだった。
『ドッペルゲンガー』の予告編で、最初に「超常現象とかって信じてます?」と言っているのが、永作博美か佐藤仁美か、まるで声だけのドッペルゲンガーのひろみとひとみのどっちだろう?と思っていたが、正解はひとみの方だった。

さて、今日観た3本はいずれもビデオ撮り作品なので、例によって画質チェック。『ばかちん』は妙にピントが甘くて、でも何故か後藤真希のアップだけはピントが合っていて、鉄矢との2ショットでも向かって左側にいることの多かったゴマキだけピントが合ってたりしたので、ひょっとして映写が悪くて画面の右側がボケていたのか? 『ばかちん』と恐らく同じ機材やプロセスで作られた『17才』は、ボケは気にならなかったけど『ばかちん』と同様に明るい光が当たっている所は色むらが見られるし、解像度は35ミリフィルムより落ちるからボヤッと見える。でも、映画として上映されるには問題ないレベルだし、走査線やギャザーは全く見られなかったので、進歩したもんだ。『ドッペルゲンガー』も、問題なのは35ミリフィルム程のシャープさが見られないことくらい。

2003年9月28日(日) 晴 2003/10/05 更新

『岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 EPISODE1』(2001 日)の録画を観る。この映画は何と言っても当時実年齢37歳ぐらいで15歳の高校生を演じた竹内力で、ずっと眉間にしわを寄せて目を吊り上がらせて、汗だかヨダレだかわからない体液を顔面からほとばしらせ、台詞もドスの利いた中村玉緒みたいな巻き舌で「んどぅぐるぁうぁあ〜〜…」といちいち言うのが笑わせる。映画全体の雰囲気も、楽しい雰囲気を出演者全員で作っているような感じで、観ていて気持ちいい。
(★★★、ドラマ系)

フジテレビ22:30からの「EZ!TV」で、映画の予告編についての特集があって、洋画の予告編は日本向けのものを作っていて、日本では見せ場を予告編で見せる傾向があるとか、サスペンス映画でもドラマを強調して女性向けにしてるとか、携帯を切る注意を兼ねたものが出始めたとか、予告編の重要性を強調していた。まあ、私は映画に対しては出来について正直でありたいという姿勢なので、駄作でも傑作に見せなければいけない予告編製作のを含めたプロモーションの世界など考えたくもないのだが、(商売と詐欺の境界はあいまいだとつくづく思う。)予告編とてしょせん一種のCMで、CMなんか真に受けないのは我々の世界では常識だから、ハズレを引きたくなかったら、予告編の研究と他の情報源の情報と合わせて、各自頑張って判断するんですねぇ。

2003年9月27日(土) 晴 2003/09/29 更新

フジテレビ18:30の「もしもツアーズ」、今週はいつもの30分より長い100分スペシャルで、ユンソナが案内する釜山の旅だったが、釜山には「PIFF通り」(Pusan International Film Festival)なんてのがあるんですねぇ。世界12大映画祭の1つに数えられる東京国際映画祭と、それには含まれないものの規模がより大きいとも言われている釜山国際映画祭は何かと比較されるけど、映画祭の規模をうんぬん言うより、誰のための映画祭で、その人たちのためになっているかを気にするべきで、例えて言えば、日本の町おこしで世界一長い滑り台を作ったところで、誰も滑らないものに力を入れるより、人々の役に立つものを目指す地に足の着いた努力をすべき。あちらでは通りの名前になるほど映画祭が受け入れられているといことの違いをまず認識すべき。

2003年9月26日(金) 曇 2003/09/28 更新

WMCつきみ野で、トニー・レオンファンの奥さんと『HERO』(2002 香港=中国)のレイトショー。お客さんは20人ぐらい。予告編で、『ラスト・サムライ』『キル・ビル』そして多分『マトリックス レボリューションズ』もそうだけど、日本刀の出てくる映画ばっかり。そして、『インファナル・アフェア』の予告編が『HERO』がらみでうまくくっつく。

2003年9月23日(火・祝) 曇 2003/09/23 更新

『夢なら醒めて……』(2002 日)の録画を観る。アイドルとしてデビュー直前の前田綾花は、不倫をして飛び降り自殺した親友が残した曲を歌って、彼女のためにもリリースしたいと思っていた。一方、少年時代に綾花を見そめた大森南朋は、彼女と同じような生活をして同じように考えることが究極の愛だと思い、実際に彼女しか知らないことも知っているのだが、さらに進行して外見も彼女そのものになる。そんな彼は、さらなる究極の愛のために悲劇的な結末を望み、親友は自殺ではなく曲を自分のものにするために突き落としたと綾花に向かって言い、風邪声で歌えなくしてしまう。さらに一方、綾花の売り出しに躍起となるマネージャー戸田昌宏の妻の渡辺真紀子が、嫉妬し南朋を間違って殺してしまう。綾花は、親友が自分に曲を残して自殺した時のことを思い出し、その曲を歌う・・・。
大森南朋が前田綾花に変身するという奇抜さだけでなく、アイドル志望である割には自意識が感じられないことといい、好きな人をモノにするのではなくその人になりたがることといい、何から何までリアリティがない映画。で、先日『中毒』の感想でも述べたが、こうした現実離れしたストーリーは、『転校生』のようにコミカルな映画なら良いのだが、登場人物の心情に迫るようなシリアスな映画だと、心情のリアリティを出すことが必要になる反面、ストーリーのリアリティの無さがそれを阻害することが問題になりがち。しかも、この映画はそこまでも行ってなくて、綾花の親友に対する思いも、南朋の倒錯も、戸田と真紀子のすれ違いも、どれも元々それらを描くことを真剣に目指していなかったのではないかと思えるほど筋として弱々しく、映画を貫く1本の幹にはなりえない。これは、ストーリーの奇抜さ以前の問題。
綾花ちゃんは、イメージにとらわれないでもっといろんなタイプの役に挑戦して、自分に合う道を見つけてほしい。
(★、ドラマ系)

・・・なんてビデオを観たりして休日の午後を過ごしていたら、ちょうどその時、テレビ朝日の13:20〜13:55の「徹子の部屋」で”ない東陽湖”(って何だよ!IME!)でなく内藤洋子さんがご出演写真)してたのを見逃す。うーん、復帰するのか? ちなみに、今回の続きが10月13日(月)に放送されるそうで、こちらもみんなが見やすい祝日にぶつけていて、テレ朝としては彼女はスペシャルゲストということなんでしょうねぇ。

2003年9月21日(日) 雨 2003/09/23 更新

TAMA映画フォーラム主催「ひきこもりからの一歩 映画『home』(2001 日)『こぼれる月』(2002 日)上映会」に行く。動機は、『home』に興味があったのと、『こぼれる月』もちょいと観たかったし、近所で2本合わせて1500円とお得だから。会場の多摩市のベルブホールは初めてで、駅のすぐそばなのにどこを通っていけばよいのかわからず、ぐるっと半周して裏口から入る。定員100人ぐらいの会場で、お客さんは50人ぐらい。まずは『home』の上映で始まり、休憩を経て『こぼれる月』の上映。本編前の『自殺マニュアル』の予告編も含めて、すべてビデオプロジェクターでの上映。『こぼれる月』終了後、同作品の坂巻良太監督によるトークショー。司会は、TAMA映画フォーラムの2人。『こぼれる月』は、神経症を患う監督自らの体験に基づく映画で、決して完治したわけではないが、見た目は全く普通の人で、精神病患者とそうでない人の垣根は低いというメッセージが映画にも見られた。タイトルは、花粉症が発症するのは、人それぞれ違う大きさのコップから体内にはいった花粉があふれることに例えられることを、神経症に当てはめていることと、気持ちを落ち着かせるために月を見ていたことからきているとのこと。質問コーナーでは、上映会のタイトルから引きこもりや神経症の身内の人も来ていて、2、3人程そっち関係の質問をしていた。

夜、NHK-BS1で「ハイビジョンスペシャル『「草原の祈り 大地の声」 − 喜多嶋洋子・ネイティブアメリカンへの旅』」を観る。喜多嶋洋子さんは、元女優の内藤洋子さんで、1971年に引退して以来、およそ30年ぶりのテレビ出演だそうで、1950年生まれなので、現在53歳。でも、声にも姿にも往年の面影はちゃんとあった。家族は夫と3人の子供と、一番上の喜多嶋舞の夫と孫。冒頭の挨拶で、結婚してすぐにアメリカに移り住んで、それからの人生は以前にも増して充実していたとのこと。まあ、私としてはわずか6年ぐらいの活動期間で、あの素晴らしい『あこがれ』『育ちざかり』などを残してくれたというだけで、もう何も言うことはないです。番組の内容は、夫の喜多嶋修さんと一緒に(でも、タイトルには「洋子&修」とか載せてもらえなかったのか。)ネイティブアメリカンの家やテントの数々を訪ねて彼らの生活に触れるという、ドラマチックでない「ウルルン滞在記」みたいなもの。

2003年9月20日(土) 雨 2003/09/21 更新

『妻二人』(1967 日)の録画を観る。ストーリーが込み入っているのでまとめると・・・、
高橋幸治がぶらりと立ち寄ったバーに、そこに勤める昔の恋人だった岡田茉莉子と偶然再会する。高橋は当時作家志望だったが、茉莉子が彼に出版社の社長を紹介するも小説は不採用になり、代わりに秘書をする娘の若尾文子の計らいで編集の仕事で雇われる。高橋は若尾に惹かれて茉莉子と別れて若尾と結婚する。久しぶりに会った茉莉子は、乱暴されながらも別の作家志望の伊藤孝雄と付き合っている。事業部長になった若尾は母に死に別れ父の再婚を許さず、「清く明るく美しく」を会社のスローガンとして掲げ、社会貢献を出版社の事業目的と考えていて、身体障害児の基金を行っているが、父はメーカーとのタイアップで事業拡大を目指す。高橋は茉莉子と会うようになり、茉莉子は伊藤が野心家でいずれ捨てられることを予期しつつも伊藤の小説の紹介を高橋に頼む。伊藤が会社に高橋を訪ねたところに、若尾の妹の江波杏子が現われ、彼女は伊藤と恋仲になる。障害児基金を管理している井上夫妻は基金を横領しているが、実は妻は社長の愛人で、基金の会計の仕事も夫との結婚もそのカモフラージュのために社長がお膳立てしたもので、夫婦のマンションに社長がいたところを江波と伊藤に見られる。伊藤は若尾に対し、彼女が反対している江波との結婚を、横領と父の浮気と夫の浮気をネタに認めさせようと迫る。茉莉子のアパートに来た伊藤は彼女を捨て、茉莉子は嫌がって銃で彼を殺そうとするも、銃を奪われて追い出される。伊藤のアパートに江波が転がり込んで来たのと入れ違いに、伊藤は茉莉子のいたアパートで、大阪出張と偽った若尾と深夜に待ち合わせて、ゆすりの金を巻き上げられた上に襲われた若尾は、伊藤のポケットにあった銃で彼を殺す。彼女はすぐに大阪へ飛行機で戻りアリバイを作る。一方、行くあてのなくなった茉莉子は、高橋のマンションに来て、お金だけ借りてホテルに行こうとする別れ際に抱き合っているとことを家政婦に見られる。捜査の手がアリバイのない江波に伸びたので、彼女は高橋のマンションにいたと口裏を合わすようにと社長が言う。その後、茉莉子が容疑者になって、口止め料代わりに事業部長昇進を社長に言われた高橋は、誠実に生きたいと思って若尾に留守中茉莉子と会ったことを告白し、警察で彼女のアリバイを証言するが、茉莉子は映画館にいたと言い張り、家政婦も家にはいなかったと嘘の証言をする。高橋は真犯人を捜そうとするが、寝返りがばれて社長にクビと離婚を言い渡させる。伊藤が殺される直前に誰かをゆすろうとしたことを江波から聞いた高橋は、若尾が首にした会計夫婦を疑って彼らの秘密を聞き出し、さらに事件の晩に社長は会計夫婦の妻と会っているのを夫が覗いていたので、残る動機の持ち主は若尾だけだと言われる。一方、若尾は父の浮気と基金の横領を父に問い詰めるが、逆に浮気も江波の反抗も若尾が潔癖過ぎるからで、ただの看板娘だと言われる。高橋は若尾から殺人の真相を聞きだし、周りの人々の汚さに嫌気がさした2人は、お互いに誠実に生きることと愛を誓い合って、若尾は自首し、釈放された茉莉子は去って行く。・・・
とまあ、そうは見えないだろうが、これでも必要最小限の言葉でまとめたつもり。これだけ入り組んでいるせいか、高橋と茉莉子の付き合っていた頃の回想シーンが回想だと判りにくかったり、茉莉子は高橋のマンションに行ってないと言っているのに、「そっと出入りしたから誰も観てない」なんて刑事に答えたりしたのは脚本のミス。
とはいえ、周りの人々に傷つけられ、真っ直ぐに愛に生きる覚悟を持つようになる人の力強さを浮かび上がらせるところが、いかにも増村監督らしい。
(★★☆、ドラマ系)

2003年9月19日(金) 晴 2003/09/20 更新

おととい書いた『さよなら、クロ』の時代設定は、記事によるとやっぱり1968年の末から69年の1月にかけてと、その10年後の78年の末ということだった。うーん、ということは授業料値上げ反対闘争の台詞があったのは覚えていたけど、安田講堂は思い過ごしか・・・?

新宿ピカデリーで18:45からの『コンフェッション』(2002 米)を観に行き、5分前ぐらいに着く。お客さんは40人ぐらい。
『ファインディング・ニモ』の予告編で、「父親の鏡」という字幕は、「父親の」が正解。
『コンフェッション』を観ながら、ドリュー・バリモアって誰かに似てるなぁと考えたあげく、とりあえず島崎和歌子ということに。
ここの劇場は久しぶりで、左側の壁が前より飛び出していて、以前にも増してうなぎの寝床みたいだ。エンドロールの下半分がボケていたのは、劇場が悪いのか?それとも元々そういうエンドロールなのか?(画面の中央下の字幕はボケていると思わなかったので。)

20:55ごろ終映で、続いてレイトでのみ上映している映画の中に適当なものがなかったので、『呪怨2』(2003 日)を観に劇場版『呪怨』発祥の地、テアトル新宿に行く。開映時刻21:10の10分ぐらい前に着いて、ほぼその間チラシをたっぷり集める。劇場入って右奥の通路がふさがれていて、そこが「伽耶子の部屋」になっていた。ここに入るには、決まった日時に申し込まなければならないので、興味のある人は劇場へ問い合わせを。あと、ロビーには、呪怨の黒だるまがあって、両目が入っていたからヒットしたということなのだろう。
お客さんは20人ぐらい。予告編の中では、YMOの「ライディーン」が流れ、ルービック・キューブや「ふりむけば愛」のポスターも出てくる、ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督の『1980』は、蒼井優ちゃんが聖子ちゃんカットで出ているというだけでも必見であろう。
『呪怨2』の最初の方で、右チャンネルのスピーカーからノイズが聞こえたが、意図しないノイズなのか意図した音なのかは不明。

終映は23:00で、靖国通りのガード下をくぐって新宿駅西口から帰る。映画よりも、夜に西口の柱の定位置にいつも立っていて詩集を売っている、白い服を着た女の方が怖い。まともに見れないもん。

2003年9月18日(木) 晴・暑 2003/09/18 更新

朝、昨夜の『狼火は上海に揚る』(1944 日)の残りを観る。阪妻演じる高杉晋作ら3人の武士が、幕末に上海に行く。当時の上海ははアヘン戦争後で租界ができ、中国人のキリスト教徒による太平軍が、阿片窟の一掃などの治安維持に乗り出す。彼らは同じキリスト教徒ということでイギリスを信じていたが、高杉が警告したように、イギリスは太平軍を攻める。
インド、中国と、西欧の列強に支配されて、次は日本か?との危機感があった幕末を描くことにより、アジアの植民地支配を一掃し、大東亜共栄圏を推し進めようという意図が込められた、日本と中国の合作による国策映画。イギリスやアメリカは自国の利益のために戦っているので、中国人にとってもいいことではないというのは、映画の中に限ればごもっとも。(ただし、日本も映画の中のように中国を助けようとしたわけではないのが現実なのはご存知のとおり。) だから、面白ければそりなりに評価できるんだけど、これが大掛かりなのに全く面白くない。中国語の台詞が多いが、字幕が白バックに白文字だったりで読みづらい。こういう映画に出演した中国人は、終戦後に日本に協力したかどで戦争犯罪人になったのだろうか? 戦時中なのに、イギリス人役で白人が多く出演していて、どうやらロシア系みたいなのだが、どこの国の人なんだろう? 放映時間は66分なのだが、一部が欠落していて、どうやらオリジナルは92分らしい。
(★、ドラマ系)

午前中は仕事を休んで、WMCつきみ野に『ファム・ファタール』(2002 仏)の9:45の回を観に行く。5分ぐらい前に着き、たまったポイントでタダでチケットを買ったりトイレに行ったりして、CM上映中に客席に入ったら無人だった。その後、小さな女の子を連れたお母さんが入ってきて、計3人で観る。女の子向きの映画じゃないけど、見せて良かったのかな?

2003年9月17日(水) 晴・暑 2003/09/18 更新

朝に『バグダッドの盗賊』(1940 英)の昨日の残りを観る。ダグラス・フェアバンクスの『バグダッドの盗賊』(1924 米)とは別ストーリー。監督としてクレジットされている3人の中の1人はマイケル・パウエルで、彼の『黒水仙』に出ていたサブーが盗賊の少年。ビンの中から現れる巨大な魔人や、空飛ぶ馬やじゅうたんなど、特撮の見せ場はあるが、スペクタクルとしてはフェアバンクス版より劣り、特に前半は巨大なセットや特撮が見せ場に貢献していない。テクニカラーの色はとてもきれい。
(★★、感覚系、ドラマ系)

午後、藤沢キネマ88に『さよなら、クロ』(2003 日)を観に行く。ここの劇場は一応洋画の拡大公開系だったのだが、流れた予告編が『サハラに舞う羽根』『永遠のマリア・カラス』『トーク・トゥ・ハー』『エデンより彼方に』『デュラス/愛の最終章』など、単館系が多い。まあ、この傾向はシネコンも同様で、『ハルク』がコケたのに象徴されるように、とりあえずハリウッド大作を上映しとけば安泰というのが通用しなくなって、劇場も単館系も開拓しなければいけなくなったということだろう。
『さよなら、クロ』は1960年代後半と、その10年後が舞台になっていて、時代考証はかなり念入りに行なっているようだ。おかしいと思ったのは、ポータブル・ラジオから流れるザ・スパイダースの「あの時君は若かった」(68年3月5日発売)の音質が、ラジオとは思えないほど良かったことぐらい。60年代の方は、「若者たち」(66年発売)を歌ってたり、正月に映画館で『卒業』(68年6月8日に日本初公開)を上映していて、その後『俺たちに明日はない』(68年2月24日に日本初公開)を上映していた。ちなみに、この2本を「ニューシネマ」と銘打って上映していたが、実際に68年に既にニューシネマという言葉が使われていたので、『俺たちに明日はない』が最初のニューシネマということで良さそうだ。それから、文化祭でアポロと思われる出し物が出ていたので、アポロ11号の月面着陸(69年7月21日)前後。あと、記憶が定かでないが、東大の安田講堂事件(69年1月)も話題に上がっていたかもしれない。以上のことから判断すると、『さよなら、クロ』の正確な年代は、69年の暮れから70年の1月ごろまで、もしくは、第2候補が68年の暮れから69年の1月までということになる。もっとも、これはあくまで時代考証が正確であって初めて言えることだけど。そうなると、10年後は必然的に78年末か79年末だろうけど、こちらの決め手は映画館で『ロッキー』(77年4月16日に日本初公開)が上映されていたことぐらい。2年ぐらいずれているようだけど、地方は遅れて公開されることが多いので。そういえば、この頃は地方は2本立てが当たり前なので、『ロッキー』が1本立てだったのは時代考証の明らかなミスその1だ。でも、ここで感心したのは、伊藤歩が住んでいた平屋の集団住宅がのトイレがくみ取りだったこと。
ところで、『さよなら、クロ』の音楽担当は"Unknown Soup & Spice"という、私にとってはUnknownなグループで、調べてみるとこの映画の音楽プロデュースの岩代太郎と、ごぞんじ濱田マリによる"Unknown Soup"と、『さよなら、クロ』で使われた曲には"Spice"として原田知世がゲストボーカルとして参加していたのだった。うーん、2人とも陰でいろいろやってるねぇ。

深夜、「堂本剛の正直しんどい」で、剛の釣りキチ三平とアラーキーの似てないモノマネで大いにウケ、その後『狼火は上海に揚る』(1944 日)を観るが、途中まで観て寝る。

2003年9月16日(火) 曇 2003/09/17 更新

火曜日のお楽しみ「きらきらアフロ」。関西では9月12日に放送済みの今回も、いま日本で一番おもしろい松嶋尚美のすごすぎるボケの連発に大笑い。
 「自民党の派閥が割れる。・・・タカ派とハト派。」
 「[亀井さんのことを]・・・カメヤマさん」
 「[アラファト]議長って何やってんの? MCみたいな?」
まさに天然女王と呼ぶにふさわしい彼女は、他のお笑い芸人にとっては、どんなに芸を磨いても笑いで敵うわけないからつらいよなあ。

その後、『バグダッドの盗賊』(1940 英)を観るが、最後の部分をちょっと残して寝てしまう。

2003年9月15日(月・祝) 晴・暑 2003/09/15 更新

『朱雀門』(1957 日)の録画を観る。先日来の『新・平家物語』シリーズから続く、大映時代劇シリーズ。おまけに、『羅生門』(1950、ヴェネチア映画祭金獅子賞)、『地獄門』(1953、カンヌ映画祭グランプリ)に続く、「門」シリーズ(?)。しかしこの門シリーズ、『地獄門』のときから既に、本編にはそんな門は登場せず、タイトルだけいかにも『羅生門』の二匹目のドジョウ狙いといったもので、『朱雀門』にも朱雀門は出てこない。ちなみに、『地獄門』の原作は「袈裟と盛遠」(菊池寛)、『朱雀門』は「皇女和の宮」(川口松太郎)と、やっぱり門には無関係。また、ずっと平安時代が続いていた大映時代劇シリーズだが、『朱雀門』は幕末。とはいえ、公家の世界の物語なので、衣裳的には平安時代とあまり変わらない。
和の宮(若尾文子)と侍女の夕秀(山本富士子)は、身分が違うとはいえ幼なじみの仲良しで、和の宮の婚約者の有栖川の宮(市川雷蔵)に対し夕秀も秘めた恋心を抱いている。しかし、勢力の衰えた徳川幕府が朝廷の力を借りるための和の宮と将軍家茂の政略結婚を天皇が許可する。2人を結ばせたい夕秀は駆け落ちを持ちかけるが、和の宮だけが見つかって有栖川の宮との待ち合わせ場所に行くことができず、結局江戸城に嫁入りに行く。有栖川の宮は夕秀と結ばれ、和の宮は有栖川の宮のことを思いながら死の床に伏せているところに、官軍の指揮官になった彼が夕秀と共にやって来る。
登場人物が、先日まで放送していたテレビドラマの「大奥」とだぶっていて、あっちの和の宮は安達祐実だった。『朱雀門』は、決して相手を恨んだり裏切ったりしない固い友情と愛情の三角関係モノで、そこに更に抗争に巻き込まれるという重圧がのしかかる典型的なメロドラマを、スター3人の魅力で見せる。
(★★、ドラマ系)

2003年9月14日(日) 曇 2003/09/15 更新

「ハロー!モーニング。」を今週も楽しんだ後、家を出て新文芸坐の「時代劇(チャンバラ)ぐらふぃてぃ」の『人情紙風船』(1937 日)『河内山宗俊』(1936 日)を観に、池袋へ向かう。新宿駅に着いたときには、開映時刻の14:35まで1時間近くあったので、余裕で駅構内のドトールでコーヒーをサンドウィッチで腹ごしらえ。でも、ひょっとして混んでるのではないかという不安もあって、14時ちょっと前に新文芸坐に着くが、ロビーにはそれほど人がいなかった。ここのロビーは喫煙コーナーの煙が広がっているので、離れたところで待って、時間が来て入場。お客さんは半分以上埋まっていて150人ぐらい。
2本とも上映前のアナウンスで、出るときは後ろからとか、特に携帯は液晶の明かりで他のお客さんに迷惑がかかることまでなどの理由を懇切丁寧に説明しての注意の呼びかけ。最近よくあるフィルムでの注意よりは、こうしたアナウンスの方が効きそう。隣に老人3人組が座っていて、加東大介や原節子の登場には反応していたけど、それ以外の出演者は彼らにとっても古くておなじみではなかったみたいで無反応。

深夜、『新・平家物語 静と義経』(1956 日)の録画を観る。昨日の『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』(1956)に続き、吉川英治原作「新・平家物語」の第三弾で、またもや主役が源義経に変わる。
義経が京に攻め入り、西国に逃げる平家を追撃するが、妻の政子らにそそのかされて義経の人気の高さに猜疑心を抱いた頼朝は、平家せん滅に報いも与えず、難癖つけて兄弟の円を経つと言い、鎌倉に向かう義経に会おうとせず、義経と幼なじみの静の仲を引き裂こうと別の女を妻にあてがおうとするなどの圧力をかける。それでも、兄思いで大乱を望まない義経は頼朝に歯向かわない。やがて、義経は静と別れて逃亡の身となり、静は鎌倉に行くこととなる。
ラスト、鎌倉開府の祝いの踊りを強要されながら、命がけで義経を思う踊りを踊ろうとする静の淡島千景の表情に緊張感がみなぎるが、全体的には「メロドラマにしてしまってはねえ・・・」といった感じ。(メロドラマがダメだというのではないが、それ以外の部分がストーリーをなぞっているだけの印象を受けるということ。)
(★☆、ドラマ系)

2003年9月13日(土) 晴・暑 2003/09/13 更新

『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』(1956 日)の録画を観る。8月18日に観た『新・平家物語』(1955)と同じ吉川英治の原作だが、あちらが平清盛の物語だったのに対し、こちらは清盛亡き後に平家が衰え、木曽義仲が京に上って平家を追い払うが、やがて頼朝の軍勢に追われ木曽に帰ろうとする話。でも、有名スタッフ&スター勢ぞろいのキャストに、エキストラ多数の大掛かりな撮影による大映カラー作品なのに、ストーリーをなぞっているだけみたいな映画で、さっぱり面白くない。
(★、ドラマ系)

昨日も書いたとおり、これから1週間は溜まった未見の映画消化週間と決め、まず『ターミネーター3』(2003 米)をWMCつきみ野での14:35の回へ、暑い中汗だくになって自転車で行く。でも、今日みたいな暑い日は、家の中に居てジュース類を飲んでばかりより、外に出たほうが調子がいい。
シュワちゃんのターミネーター、機械だから感情は理解できないくせに、サングラスを選ぶセンスは持ち合わせているのね。あと、クレア・デーンズが豹変して、ニック・スタールがきょとんとするなどのギャグがいくつかあったのに、クスリとも笑わないお客さん約100人であった。

2003年9月12日(金) 曇 2003/09/13 更新

観たい映画がたまってきたところに、それらの中で今週から来週にかけて上映が終わるものがたくさんあるので、どんどん片付けたいのだが、仕事が忙しくて時間がとれず。それでも、ヤマハホールで19:00からの『サハラに舞う羽根』(2002 米=英)の試写会に行く。なんとなく余裕を持って行ったつもりが、考えが甘くて着いたのはギリギリ。お客さんはほぼ満席の450人ぐらい。終映は21:15ごろで、この時刻だとハシゴも出来ず、帰る。

2003年9月8日(月) 曇 2003/09/09 更新

『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』(1985 日)の録画を観る。シリーズ36作目で、マドンナは栗原小巻。オープニングコントは、最も日本人らしい日本人ということで日本人初の宇宙飛行士に選ばれ、NASAで打ち上げるロケットに乗り込もうとする寅さんが、寸前で気が変わって拒むが結局乗り込むこととなり、打ち上げの緊張でオシッコがしたくなったところで目が覚める。
タコ社長の娘のあけみが、夫の元から家出して1ヶ月。社長がテレビ出演してあけみに呼びかけ、それを観ていた彼女がとらやに「寅さんに会いたい」と電話をし、ちょうど柴又に帰ってきた寅さんが直ちに下田に探しに行く。寅さんはすぐに彼女を見つけるが、帰りたくないと言うので、一緒に式根島に旅をする。そこで、寅さんは小学校の先生の栗原小巻、あけみは旅館の息子の茂と知り合い、茂にプロポーズされて心を乱したあけみは寅さんと柴又に帰る。寅さんは小巻が忘れらず恋の病を患っていると、実家の東京に帰ってきた小巻がとらやを訪ねる。しかし、彼女は昔からの知り合いの川谷拓三にプロポーズされ、寅さんはまた旅に出る。
前半の寅さんと小巻のやりとりはアッサリしてありきたりで、それに対して夫婦生活に対する漠然とした不満を抱き、東京と違った島の環境で男と恋に落ちるあけみ役の美保純が、前半の実質的な主役という新機軸をみせる。彼女、露天風呂でシリーズ唯一かもしれないヌードを見せたりもする。とはいっても、後ろ姿だし、引きの画だし、一瞬なんだけど。しかし、これが柴又に帰ってから、アッサリにしか見えなかった寅さんが恋わずらいでおかしくなり、一方、夫の元に戻ったあけみがその後どうなったかがほとんど描かれてないというのは、一体どうしたことだ?! そうかと思うと、あれほど小巻に夢中だった寅さんはいともあっさり身を引き、寅さんの恋が叶わないのは毎度のことなのに、とらやの人たちが泣いて悲しがるのも臭過ぎて変。せっかくの前半の新機軸が、後半になるといつにも増してベタベタになるのには、「いよいよこのシリーズも困ったことになったなぁ〜」と思った。次の37作目こそ美保純の主役を希望。
(★★、ドラマ系)

2003年9月7日(日) 曇 2003/09/07 更新

『ファイブ・イージー・ピーセス』(1970 米)の録画を観る。ジャック・ニコルソンの元ピアニストが、恋人のカレン・ブラックとも、久しぶりに帰った実家の家族たちとも、誰とも心を通わすことが出来ずにさまよう。彼が孤独にさいなまれながらさまよう役を演じた『アバウト・シュミット』とも重なるが、人物の描き方としてはこちらの方が誠実で深い。反面、そのせいで観ていて痛々しくて、何度も観たいと思うような映画ではないけど。
(★★★、ドラマ系)

2003年9月2日(火) 曇 2003/09/02 更新

『ダグラスの海賊』(1926 米)の録画を観る。原題は"The Black Pirate"。
海賊に襲われて父を亡くした公爵の息子ダグラス・フェアバングスが、復讐を誓って黒装束の海賊になって単身で一味に潜入する。船の壁面をよじ登ったり、ロープにぶら下がってマストに飛び移ったりの華麗な空中技を見せる。海賊船に攻め込むときに、潜水泳法で泳ぐところを水中撮影しているように見えるシーンは、実際には宙吊りになって空中を泳いだのかな? 彼の手下数十人が同様に水中を一斉に泳ぐシーンは、まるで『007/サンダーボール作戦』のようなスペクタクル。
この映画はサイレントなのに、初めて目にする2色式のテクニカラーで、見た目は2色刷りの印刷物のよう。
(★★☆、感覚系)

2003年8月31日(日) 晴 2003/08/31 更新

草月ホールで開かれている「シネマコリア2003」の18:15からの『中毒』(2002 韓国)の招待が当選したので、その前に恵比寿ガーデンシネマで14:50からの『パンチドランク・ラブ』(2002 米)に行く。ガーデンシネマのサイトで見たら、先週のこの時間は混んでいたということなので、余裕を持って早めに出たつもりが、着いたのが14:25だったのでやや不安に。それでも整理番号91番をゲットしたが、定員100人ちょっとのガーデンシネマ1でのう上映で、大きいほうのガーデンシネマ2は(恐らく土日だけは)『キリクと魔女』を上映していた。お客さんは満席。

終映後、ガーデンプレイスで腹ごしらえし、17:30に霞ヶ関経由で地下鉄で赤坂見附まで行く。駅の出口の案内に草月ホールが載ってなかったので、勘で出口を出て向かったものの、歩けど歩けど一向に着かず、10分間歩いてやっと開映時刻18:15の5分前に草月ホールへ着く。お客さんは満員近い200人ぐらい。
『中毒』の本編前に、『吠える犬は噛まない』の日本版の予告編が流れるが、ビデオに落として編集したボケボケの映像で、内容もどんな映画なのかわかりにくいものだった。
『中毒』上映後、監督のパク・ヨンフンのトークショー。お客さんの質問で、「あのラストシーン後、登場人物たちはどうなった?」なんて失笑ものもあったが、「何かヒントにした映画は?」という質問は、そのときは気がつかなかったけど、韓国でもヒットした滝田洋二郎監督の『秘密』のことを期待していたのだろう。まあ、監督がそれを言っちゃあパクリを公言しているも同然だから言わなかったけど。あのくらいパクっていてもいいと思うんだけど。

2003年8月30日(土) 曇 2003/08/30 更新

フィルムセンターの市川崑特集、16:00からの『おとうと』(1960 日)を観に行こうと思い、その前にシネマライズの『ホテル・ハイビスカス』(2002 日)の13:00の回を観に渋谷へ。お客さんは20人ぐらい。ついでに、2階で上映中の『アダプテーション』もそんなに混んでないみたい。話題作だから混んでいると思ったのに。やっぱり女ウケしない映画は日本ではヒットしないのか?
『ホテル・ハイビスカス』のお客さんは20人ぐらい。桃井かおりがナレーションをしている『リード・マイ・リップス』の予告編は、イメージが抽象的過ぎて予告編としてはマズイと思うんだけど。
『ホテル・ハイビスカス』で、美恵子のお父さんの妹が、美恵子と同じくらいの年齢で終戦直後に死んだ話が出るんだけど、ということは、あのお父さんは65歳は下らないということか?

京橋まで地下鉄で移動し、先々週の満席で入れなかった教訓から、45分ぐらい前にフィルムセンターに到着。お客さんは、ほぼ満席の300人。『おとうと』は「銀残し」という、カラーフィルムの彩度を落とす現像方法のさきがけの映画だが、そのせいかどうかはわからないがピントの甘い画面で、冷房温度も高めで眠くなってしまった。

2003年8月29日(金) 曇 2003/09/02 更新

今日、NHK-BS2で放映されていた『セブン・チャンス』(1925 米)の録画をザッと観てみる。でも、最後の10分間のクライマックスの、映画史上最高のアクションシーンはやっぱり見入ってしまって、思わず涙ぐむ。キートン、絶対に100メートルを8秒ぐらいの速さで走ってる。でも、いくら彼のアクションがすごいからって、あれは明らかにやりすぎで、あれを目指しちゃいけない。まるで映画の中で実際に人が死ぬところを見たがっているように命がけのアクションに喜ぶなんてことはしたくない。
(★★★★、感覚系)

深夜、今日も世界陸上末續が200メートル銅メダル。決まった瞬間よりも、高野コーチと抱き合って泣いているところでぐっとくる。末續、よく見ると小池栄子に似ている。(小池栄子はオールマイティーかよ?!)。司会陣は、おなじみ織田裕二と中井美穂で、織田裕二の暴走気味のトークよりも、荒馬のような彼を華麗に乗りこなすような中井美穂の進行ぶりに注目していたのだが、今年の裕二は例年よりおとなしめ。でも、この日は彼のエンジンがかかりだしてきたので、残りの放送が楽しみ。

2003年8月28日(木) 曇 2003/08/30 更新

明日が有効期限と思われるヴァージンシネマズの招待券があったので、海老名で『ゲロッパ!』(2003 日)の19:30の回に行く。チケットを買った後、例によって隣のWMC海老名に行き、試写会の申し込みをした後、戻って来て入場。お客さんは20人ぐらい。
『ゲロッパ!』で、西田敏行と岸部一徳が30年前のジェームズ・ブラウン日本公演に行った話しをして、その時の台詞で「JBを日本に谷村新司が呼んだ…。」という実話(当時はアリスのブレーク前)が織り込んであったりで、その他色々小ネタが多い。(井筒監督も、タレント活動のついでに番組で取り上げられたネタを映画のために収集してたということか。) なにしろ、JBを歌って踊る西田敏行なんて、最初に彼を見たのはテレビでエルビス・プレスリーのモノマネだから、今回の役にはうってつけ。どうせなら、山本太郎もかつての「元気が出るテレビ」のダンス甲子園の時の「めろりんきゅー」を思わせたらよかったのに。

2003年8月26日(火) 2003/08/30 更新

家に帰ったときには既に放映が始まっていた『ゴジラ対メガギラス G消滅作戦』を途中から。主人公の田中美里のキャラクターが固いというのを筆頭に、あれこれ問題はあるものの、評判どおり面白く、対決シーンも迫力がある。冒頭、男の子が怪獣の卵のようなものを拾ってきて、それが変容して始末に困って側溝から下水に捨てるのだが、ペットなどを飼ったら最後まで責任を持つという意味をもっと強く持たせた方が良かったかも。アライグマだとかジャンボタニシだとか、野生化したためにどれだけ多くの人が迷惑していることか。そんな取り返しのつかないことをする奴は懲役刑だな。

2003年8月24日(日) 2003/08/30 更新

昨日と今日と、日テレでは24時間テレビ「愛は地球を救う」。数年前までは、たとえ売名行為で芸能人たちが出演していても、誰にも迷惑をかけてないし、お金が集まるしで、まあいいんじゃない?という感想だったが、さすがにここにきて「感動の安売り」ぶりが鼻についてきた。山田花子のマラソンの応援ファックスをゴールの階段に貼り付けたりして、感動させようというお膳立てレベルでしかない演出と、他人に与えられた感動のお膳立てに簡単に乗る視聴者。どうりで、映画のCMで一般客を装った人が「感動しました」「泣けました」と言うものがなくならないわけだ。同様に、テレビなどで日本の将来に絶望的なイメージを見ては簡単に絶望し、怒っているイメージを見ては簡単に怒るんだろうな。

深夜、世界陸上。女子100メートル金メダルのケリー・ホワイト、よく見ると小池栄子に似ている。

2003年8月23日(土) 2003/08/30 更新

今日から世界陸上が始まってしまったので、これから1週間ぐらいは家では映画を観ない生活になりそう。なんで陸上を見るのが好きかを考えて気づいたことは、ルールが明確というスポーツ本来の特徴もさることながら、映像が映画的だということ。比べると、野球は単調な映像が3時間も続いたりでこれが映画だったら超駄作もいいところ。サッカーは引きの画ばっかりで表情がさっぱりわからない。他に映画的でスリリングな映像のスポーツといったら重量挙げ射撃で、オリンピックではこの2つがとても楽しみなのに、世間的には人気がないからまともに放送されないんだよなぁ。全く、わかってないなぁ。

2003年8月18日(月) 2003/08/27 更新

深夜、『新・平家物語』(1955 日)の録画を観る。地味な江戸時代と違って、平安時代の色鮮やかな衣裳で世界を驚かせた日本のカラー映画のさきがけの『地獄門』(1953)に続く、大映によるやはり平安時代が舞台のカラー作品。宮川一夫によるカメラは、画面の奥までピントが合っていて照明も当たっている映像。カラーフィルムの感度がまだ低かったころ、絞りを絞って明るい画面にするのは大変だったかも。
物語は、平安時代末期の世の中が悪くなっていたころ、まともな褒美もなしで皇族や貴族に仕えていた平清盛(市川雷蔵がつりあがった太い眉で演じる)が、延暦寺で反旗を翻すところまで。雷蔵の演技には見るべきものがあるけど、それぐらいかな? 溝口健二監督は、この手の作品に向いてないのかも。
(★★、ドラマ系)

2003年8月17日(日) 2003/08/21 更新

昨日は立ち見などをして、疲れがやや残る中、ほとんど1日中家にいてテレビをみたりする。おかげで、小倉優子を3回も見てしまった。テレビ東京22:54からの「そして音楽が始まる」で、今回の村下孝蔵の「初恋」などを観て思う。最近、映画でもとんがったところがないものは注目されにくくて、何かそれまでの映画と違う新しいものがないとプロからも評価されにくいものだが、新しさはなくても観ていて面白い映画はやっぱり評価されるべきだと思う。(今年の例だと『ぷりてぃ・ウーマン』とか『福耳』とか。) 「初恋」とか小坂明子の「あなた」とか、長く残るものってむしろ平易な作りのものの方だと思うから、映画もそのような残るべきものは逃さず拾い上げて、その良さを語っていきたい。

2003年8月16日(土) 雨 2003/08/21 更新

今日の予定は、
 13:00〜14:40 『プーサン』、フィルムセンター
 16:00〜17:25 『愛人』、フィルムセンター
 17:00〜    愛知からやって来たたまやんを囲む会、歌舞伎町
 21:00〜22:25 『海女の化物屋敷』、銀座シネパトス
といった具合だったが、まず家を出るのが遅くなって、フィルムセンターに間に合わないかもしれないと思いながら電車で向かう。結果、2分ほど遅れて着いたら、「完売」の表示と共に階段が閉じられていて入ることができず、そこで16:00からの上映までに銀座で何か映画を観ようと思い、ちょうど時間的にぴったりだったのが、シネスイッチ銀座で13:15から15:50まで上映の『名もなきアフリカの地で』(2001 独)で、これにする。この映画、全然話題になってなかったようなので、余裕で13:15ちょっと前に劇場に着いたら、なんと「お立ち見」の表示。ちなみに、シネスイッチ銀座2(2階)の『フリーダ』の13:40の回も、「席は前の方になります」だった。今さら予定を変えられないので、シネスイッチ銀座1(地下)の2階席の一番後ろで壁に寄りかかって立ち見。空調の吹き出し口が近くにあって、ちょっとうるさい。おまけに、傘をドアに引っ掛けて壊してしまって、とことんついてない。

『名もなきアフリカの地で』が素晴らしかったせいもあって、2時間半の立ち見を難なくこなし、再びフィルムセンターまで10分弱歩いて余裕で間に合ったと思ったら、またもや「完売」。どうやら、市川崑特集は大盛況のようで、開映時刻より前に完売になったらしい。がっくりして、最初は途中参加のつもりだったたまやんとの会に、最初から参加するために待ち合わせ場所の新宿ミラノ座前に、時間通りちょうど17:00に着く。すると、そこは『HERO』を観終わってミラノ座から出てくる人と、これから入場しようという行列で大混雑で、『HERO』を観終わったたまやん一行らしい人たちは判別できなかった。そこで、携帯に電話をかけて連絡を取ろうと思ったが、携帯を持っていない私は公衆電話を探すことになり、しかし公衆電話が歌舞伎町ではさっぱり見当たらない。コマ東宝の前でやっと見つけたがつながらず、またミラノ座に戻ってもそれらしい人は無しで、結局17:15ごろにもう1回電話をかけてやっと連絡がとれ、一行の待つルノワールに着く。主席者は、たまやん、映画館主・Fさん、Tiさん、へなへなさんで計5人。
この5人で延々と映画談義となったのだが、直接顔を合わせてする話は堅苦しくはならず和気あいあい・・・というより、しょーもない映画の話ばかり。韓国エステの店名(猟奇的な○女、チンぐっ、等)、幻のスピルバーグ作品「さゆり」アジア系俳優出演予想(ルーシー・リュー以下)、あの人はどこへ行ったシリーズ(ツイ・ハーク、マイケル・チミノ等)など、そんな話ばかり。でも、実は最近映画について他人と話すことに意欲をなくしているところなのだが、それでもこうした話題なら気兼ねなく話せるので、今の私には良かったと思います。おかげで、ルノワールを出たのが22:00ちょっと前で、5時間弱も話すことになった。『海女の化物屋敷』は別の機会にということで。今夜高速バスで東京駅から帰るたまやんをはじめ、全員で新宿駅方面に向かい、駅で解散。

2003年8月15日(金) 雨・涼 2003/08/21 更新

おそらく来週いっぱいでテアトル新宿の上映が終わる『ナイン・ソウルズ』(2003 日)の11:30の回を観に行く。劇場に着いたときには予告編が始まっていて、暗くてわからなかったがお客さんは20人ぐらい。テアトル新宿は冷風が厳しい。

続いて、シアター・イメージフォーラムでの上映が今日が最終日の『ハリウッド★ホンコン』(2001 仏=香港=日)を観に行く。劇場には。予告編が始まるちょっと前に着く。お客さんは20人ぐらい。予告編がマイナーな映画のものが多かったが、それにしても予告編までマイナーを気取っているのか内容がわかりにくくて、中には肝心の映画のタイトルがわからないものが1つ2つあったけど、それじゃイカンだろ?

深夜、今回の「ウラ関根TV」のネタは巨大怪物シリーズで、『アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ケーキ』(2000 ギリシャ)と『モスキート』(1994 米)で、『モスキート』のジャケットの「で蚊い」という言葉と、血を吸われてしぼんだ人の目玉がボヨヨ〜ンと飛び出すのにはウケた。

2003年8月14日(木) 雨 2006/10/10 更新

 『ガリバーの大冒険』(1960 日)の録画を観る。
 特殊効果レイ・ハリーハウゼン&製作チャールズ・H・シニアによる"in SUPER DYNAMATION"(ただのダイナメーションとどこが違うかは不明)の日本未公開作品。原題は"The 3 Worlds of Gulliver"で、ご存知「ガリバー旅行記」が原作の、ガリバーが小人の国と巨人の国に行く映画。(あれ?3つの世界の残り1つは何? 人間の世界のこと?)
 今回はアニメは巨人の国での巨大なリスや小さいワニぐらいで、小人や巨人や背景などど、比べて巨大なガリバーや小さいガリバーとの合成が特撮の大部分で、あまりワクワクするようなものではない。
 でも、ストーリーの方はスウィフトの原作は読んだことないけど、「ガリバー旅行記」って文化の異なる異質な者同士が接触して、妬みから衝突したり相手から教わったりといった話だったのね。
 うーん、奥が深いかも。
(★★、ドラマ系)

続いて、特殊効果レイ・ハリーハウゼン&製作チャールズ・H・シニアシリーズの『地球へ2千万マイル』(1957 米)の録画を観る。
『シンドバッド 7回目の航海』(1958)よりも前の映画で、そっちよりも(モノクロだからというわけではなく)『地球の静止する日』のような典型的50年代怪獣映画もの。金星から持ち帰った恐竜のような怪物が、あっという間に巨大に成長し、ローマの街でひと暴れ。怪物が象と一騎打ちしたり(象は実写とダイナメーションを組み合わせている)、ロケットが海に墜落したりの特撮はまずまずだが、ストーリーにメリハリが無さ過ぎて面白くない。
(★☆、ドラマ系)

2003年8月13日(水) 曇・涼 2003/08/13 更新

NHK-BS2の昼の映画の、先週から今週にかけての阪妻特集から『魔像』(1952 日)の放映を観る。
阪妻は、勘定奉行とその取り巻きが私服を肥やすのにたまりかねて、彼らに反抗しお尋ね者になった侍と、彼を助ける「喧嘩屋」の江戸の町人の二役。この喧嘩屋の役の方が、山田五十鈴演じる奥さんとのやり取りが抜群で、とてもラブラブでむしろバカップルっぽくて面白い。悪役が片目と片腕を負傷していると、自分も片目をつぶって片腕で戦ったりして、まるで丹下左膳。ちなみに、阪妻はこの『魔像』の後に、同じ松竹製作で同じ林不忘の原作の『丹下左膳』に出ている。
一つの画面に2人の阪妻が映り、阪妻同士が握手したりとなかなかの合成だが、二重撮りによるものなのでよく見るとあらが見える。
(★★☆、ドラマ系)

2003年8月10日(日) 晴 2003/08/13 更新

深夜、『シェーン』(1953 米)の録画を観る。説明不要の有名作なので、枝葉の話題をポツポツと。
キネ旬1985年2月下旬決算特別号の、石上三登志氏によるサム・ペキンパーの追悼記事からペキンパーの言葉。「西部劇に本当の死を持ち込んだのは俺じゃない。ジョージ・スティーブンスだ。『シェーン』でジャック・パランスがエリシャ・クックを撃ち殺したあの時から、西部劇は西部劇でなくなっちまったんだ。(人殺しの映画になってしまった。)」
『シェーン』の舞台は中西部のワイオミングで、古くから牛を飼っている悪役側と、後から来て土地の権利を持つ開拓者たちとの争いがあり、シェーンは開拓者側につく。この開拓者たちは、どうやら南北戦争で敗れた(アラバマなどの)南部出身者のようで、悪役のジャック・パランスは元北軍らしいなど、両者の関係の背後にはなにか事情がありそう。でも、アメリカの歴史は詳しくない。ネットでちょいと調べてわかったのは、1892年のワイオミングで起きた、家畜業者協会が東欧からの開拓者たちを殺したジョンソン郡戦争を描いたのが『天国の門』で、フィクションの『シェーン』も時代は1890年ごろ。
少年は、木で作った銃で遊ぶなど、銃をかっこいいものとして遊んでいるし、実は強いシェーンに憧れ、彼が敵をやっつけることを期待している。この映画では、自分たちの生活を脅かすものには断固として立ち向かうという面もあるのだが、基本的には西部にも銃に変わって法律が世の中を納める時代がやってきて、力で抑えられつけられてきた弱い個人にも安泰が訪れることを思わせる。でも、その後のアメリカは個人で銃を持ち続け、力で弱者を押さえつけつる(この映画でいうと悪役)側に立っちゃったのね。今『シェーン』をリメークしたら、シェーンは情け容赦なく悪者を全滅させ、そのまんま居残ってメデタシメデタシの勧善懲悪ものになるんだろうな。
ラストでシェーンが死んだ(?)という説は、公開当時の日本でも既に話題になったようで、私は(確か)『交渉人』でこの話題が出たとき初めて知ったのだが、確かにシェーンは撃ち合いの後に血を流していたし、馬で山を登る姿はうつむいて馬が勝手に歩いているようにも見えるし、最後のカットはシェーンを乗せた馬が墓場を歩くシーンだし、かつてはガンマンだったと思われるシェーンが死ぬことで、銃が西部を支配した時代が終わったことを象徴して終わるほうが映画の流れとして納得できる。でも、なんたってシェーンは撃たれても痛そうなそぶりを見せず、涼しい顔で少年と別れるんだから、あれじゃ死んだと思わないのが当然だよなあ、絶対。こういう判りにくさはイジワルでなんかイヤだなあ。なんでもっとハッキリ描かないの?
あと、『たそがれ清兵衛』はシェーンを手本にしたらしい。
(★★★☆、ドラマ系)

2003年8月9日(土) 雨・台風 2003/08/09 更新

『シンドバッド 虎の目大冒険』(1977 英=米)の録画を観る。原題が"Sinbad and the Eye of the Tiger"で、虎の目とは悪者の魔女が魔法をかけるときに猫の目のようになることからきている。この映画も"Filmed in DYNARAMA"。
出演は、シンドバッドがジョン・ウェインの息子のパトリック・ウェインで、相手役がタイロン・パワーの娘のタリン・パワーと、胸の谷間担当の、この数年前にボンドガールだったジェーン・シーモア。
でもこの映画、どういうわけかロケのシーンで俳優のアップが合成だったりして、何か気合の入っていない出来になってしまった。まあ、70年代後半の頃には、この手の映画に対する需要は落ちていただろうから、予算が厳しかったなどの事情があったのだろうか?
それにしてもイカンのは、ダイナメーションによって動くものが、ヒヒや巨大セイウチや巨大原人や巨大ケンシコ(剣歯虎。絶滅した牙の大きいメスライオンみたいなやつ。)みたいなものといったケモノばかりで、見た目が全然魅力的でない。やっぱり、ガイコツだとか彫像だとかヤマタノオロチみたいな妖怪の類や、そうしたものこそダイナメーションにふさわしい。
(★☆、感覚系)

2003年8月8日(金) 曇 2003/08/09 更新

引き続き、昨日放映された『シンドバッド 虎の目大冒険』はひとまず置いといて、その前に『アルゴ探検隊の大冒険』(1963 英=米)を観る。
ギリシャ神話のアルゴ船の探検の話の映画化。
巨大な守り神の像が動いて、人間を手づかみにしようとしたり船の前に立ちはだかったり、ヤマタノオロチのような大蛇と戦ったり、最後は有名なガイコツ剣士たちとの戦いと、見どころ満載。
ところで、ダイナメーションの弱点は、実際の動くものを普通に撮影したときにはコマの中の映像はブレて写るところ、コマ撮りでは全くブレないところの違いがわかってしまうところで、ガイコツ剣士の動きを見ると特によくわかる。『ジュラシック・パーク』でもダイナメーションを使うことを検討したのだが、この問題があるため全面的にCG採用となったのでした、とさ。
ヘラの役は、この翌年にボンドガールになるオナー・ブラックマン。
(★★★、感覚系)

2003年8月7日(木) 2003/08/09 更新

おとといに引き続き、『シンドバッド 黄金の航海』(1973 英=米)の録画を観る。クレジットでは"Filmed in DYNARAMA"(ダイナラマで撮影)となっているけど、ダイナメーションと何が違うのか? まあ、どうせダイナラマなんて名前だけで実体のないものだと思うけど。『…7回目の航海』から15年も経っているので、シリーズというわけではなく、出演者もシンドバッド役がジョン・フィリップ・ロー(彼は"I am Law"なんて冗談を言うのだろうか?)、彼の恋人役&胸の谷間担当は、この数年後にボンドガールになるキャロライン・マンロー(よく見ると酒井彩名似)。この作品でもいろんなものが動くのだが、なんといっても腕が6本ある千手観音(?)のような像が動いて、くねくねと踊ったかと思えば、それぞれの手で刀を操る6刀流での剣劇が素晴らしい。最期はあっけなさ過ぎだけど。
(★★☆、感覚系)

2003年8月5日(火) 晴→雨・暑 2003/08/09 更新

今週、NHK-BS2で夕方に放送するレイ・ハリーハウゼンによるダイナメーション(クレイアニメと実写の合成による映画)&チャールズ・H・シニア製作の特集から、『シンドバッド 7回目の航海』(1958 米)の録画を観る。特撮のみが見せ場のすべてと言ってもよい作品。最近ではCGが当たり前になって、そのリアリティが特撮の価値を計る唯一のモノサシのように思われているふしがあるが、それではリアリティではCGよりはるかに劣るダイナメーションのこの作品は、観る価値がないどころか、これを悪く言う人はまずいないのではないか? とはいえ、例えば『ハルク』のCGって評判悪いみたいだけど、あれをダイナメーションで作ったとしたら、「今どき」なんて言われてもっと不評だろう。というわけで、特撮の評価なんかをする人が、基準となるモノサシをすべての映画に対して公平に用いているかは疑わしいし、ましてやリアリズム一辺倒での評価なんて間違いもいいところ。でも、リアリズムとは別のモノサシでは、ダイナメーションにはCGでは失われてしまった「何か」があるはずだが、はたしてその「何か」とはいったい何だろう?
(★★☆、感覚系)

2003年8月3日(日) 晴・暑 2003/08/06 更新

昨日に引き続き、フィルムセンターで市川崑特集。今日は16:00からの『満員電車』(1957 日)を観に行くが、その前に徒歩でハシゴできるということで、日比谷のシャンテ・シネ2の『藍色夏恋』(2002 台湾=仏)の13:20の回に行く。13:00に劇場に着く。シャンテ・シネ3の『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』13:05の回はお立ち見だと。さらに、シャンテ・シネ1の『永遠のマリア・カラス』なんてノーマークの映画は、連日大入りのため急遽みゆき座での上映になり、そのみゆき座で昨日から上映のはずだった『ハルク 吹き替え版』がシャンテ・シネ1で上映されていた。
『藍色夏恋』のお客さんは、半分ぐらい埋まっていて80人ぐらい。

終映後、フィルムセンターに向かって歩くと、今日も警察博物館で白バイ警官の格好をしたチビッコが白バイにまたがっていた。
結局、15分ぐらい歩いて15:20頃に着く。昨日の状況から、40分前と余裕をもって来たが、最終的にやっとの250人ぐらいの入りだった。昨日の『日本橋』の入りが一番多かったのって、淡島千景&若尾文子&山本富士子の主役目当てで、今日の『満員電車』の川口浩との差が出たということか?
帰り道、また警察博物館の前を通ると、子供を前に乗せてお父さんが白バイにまたがっていた。

深夜、『城取り』(1965 日)の録画を観る。製作=石原プロモーション、配給=日活作品。関が原の合戦の後、諸大名が徳川になびく中、徳川にはむかう上杉藩に、戦国時代の緊張した世の中に惹かれる浪人の裕次郎が来て、周知の仲の千秋実と共に、隣国の伊達政宗の藩境の城を単独で取ろうとする話。というと、『用心棒』や『椿三十郎』のような策略の面白さで見せる映画かと期待したが、この裕次郎、自信満々に「城を取る」と言いながら、策はそのときはなくて、後付けで城の工事に囚われた庶民を説得して一緒に戦わせるというというんだから、いい加減な話だし、自分の安い野望のために庶民を担ぎ出すんだったら、最初から侍たちが合戦しろと言いたくなる。
(★☆、ドラマ系)

2003年8月2日(土) 晴 2003/08/03 更新

フィルムセンターに、市川崑特集の『処刑の部屋』(1956 日)『日本橋』(1956 日)を観に行く。
銀座1丁目の駅からフィルムセンターに向かうと、途中の警察博物館の前の白バイのところで、青と赤の白バイ警官の制服を着たチビッコが1人ずついた(赤は女性用?)。青の子が白バイにまたがって写真を撮っているところ、脇で赤の子が「暑いから早くぅ〜。」なんて言っていた。
『処刑の部屋』開映時刻5分前の12:55ごろ着く。お客さんはかなり入っていて250人ぐらい。
終映後、『日本橋』までは1時間半弱あったので、近くのドトールで腹ごしらえとPC入力。ここは2度目だが、前に入った時も席のあたりがどぶ臭いと感じたことを忘れてた。
30分前の15:30に余裕で入ったら、既に席はほとんど埋まってた。結局ほぼ満席で300人ぐらい。
どうも冷房の設定温度が高めになっていたようで、さすがは国立の施設らしい徹底した省エネ(?)だが、そのせいか空気が淀んだような感じだった。

帰りの電車も弱冷房車両に乗ってきたら、やはり空気が淀んでいる感じがしたせいか、降りた頃には気分が悪くなって「夏バテか?」と思った。そういえば、ニュースを見てないからわからなくて、TBSのサイトの森田さんのページを見たら、今日梅雨明け宣言があったみたいですねえ。でも、私はこの「梅雨明け宣言」が嫌いで、季節の変わり目なんか自分の肌で感じたとおりに決めればいいのに、なんで日本人は気象庁の言うことに従いたがるのか? 気象庁に「夏は昨日で終わって今日からは秋だから、もうひと夏の恋は終わり。」なんて言われたら怒るだろう?! あと、よく「日本には四季がある。」なんて言って日本の自慢をする人がいるけど、世界的には四季のある国なんてありふれているので、こんなこと堂々と言ったらきょとんとされるんじゃないの? まるで、「日本には首都がある」なんていってるもんだろ?! 梅雨を入れて「五季」とかだったらユニークだろうけど、それでも「雨季と乾季」しかない熱帯地方に比べて、何が優れていると言えるのか?
話を戻して、昨日までまったく元気だったのに、肌で季節を敏感に感じすぎてか、突然の「夏バテ」に、効くのは餃子だ!と思い、ラーメン屋でラーメンと餃子を食べて、その甲斐あってかどうかは定かではないが、とりあえず復活。その代わり、しばらくの間のどが渇いたけど。
復活したところで、WMCつきみ野へ行き『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』(2003 日)のレイトショー。開映10分前に着き、列に並んで5分前にチケット購入。お客さんは20人ぐらい。
予告編は、『KILL BILL』『偶然にも最悪な少年』『ドラゴンヘッド』『天使の牙B.T.A.』『呪怨2』と、日本関係の映画が続く。『KILL BILL』は、ユマ・サーマンが日本刀を振り回しているけど、今年は『リベリオン』、『マトリックス リローデッド』あと忘れたけど確か他にも2、3の映画で日本刀が出てきたはずで、日本刀って世界中にそんなにも出回っているのか? 『ドラゴンヘッド』の東宝のロゴは今までのと色合いが少し違ってた。『呪怨2』は、今までのより長いものだった。ここで、客席が暗くなって本編かと思ったら、さらに『スカイハイ』の予告編。最近、『スカイハイ』みたいに、東映だか東宝だか作風で違いがはっきりしない。映画版の『スカイハイ』の釈ちゃんは、テレビ版と衣裳が違うだけじゃなく、険しい顔で日本刀を構えていて、あれじゃ『修羅雪姫2』か?
『バトル・ロワイアルII』は、東映の「荒磯に波」の後、「深作組」のロゴ(?)に続いて、"A KINJI FUKASAKU FILM"の表示。でも、映画の最後には、深作欣二監督の写真の後、「監督 深作欣二 深作健太」。出演者は、石垣佑磨は『ラヴァーズ・キス』とは別人のようだったので、エンド・クレジットまでどの人かわからなかった。ほかに、仁科貴とか藤村ちかとか、全く判明できなかった人たちも。

2003年8月1日(金) 曇 2003/08/02 更新

今日は14時頃からWMCつきみ野で『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』を観ようと思っていたのだが、急用が入って終わった頃には15時で既に始まってて行けず。その後の渋谷のユーロスペースで今日が最終日の『BORDER LINE』(2002 日)の18:40の回(トークショー付き)の前に何か観ようと探し、結局渋谷に向かって、渋谷エルミタージュで16:00からの『マトリックス リローデッド』(2003 米)にする。16:00に劇場に着き、CM上映中に入場。お客さんは40人ぐらい。CMが5分ぐらい続いた後、いきなりドルビー・ステレオ・デジタルのロゴが出てきたので、予告編も無しで本編上映か?と思ったら、『マトリックス リローデッド』と同じワーナー配給の『HERO』と『ラスト・サムライ』の予告編が付いていたのだった。そして本編。ところで、ここ渋谷エルミタージュは東映系なので、以前だったら東映の予告編が流れていたであろうが、それが無かったということは、東急文化会館の閉館に伴って、エルミタージュが渋谷パンテオンの代替の映画館(つまり東急系)になったということなのだろう。
『マトリックス…』は暗いシーンが多くて、白い字幕がまぶしく感じた。
18:16ごろにエンド・クレジットが始まって、これなら18:40からの『BORDER LINE』に余裕で間に合うな、と思っていたら、そこからエンド・クレジットが10分以上も続き、終わったのは18:28頃。最近2時間を越える長尺の映画が増えたのは、長すぎるエンド・クレジットが影響しているのかも。逆に言えば、上映時間が長いようでも、正味はそれほどでもないということか?

エルミタージュからユーロスペースまで徒歩で5分ぐらいで着き、整理番号55番でユーロスペース2(大きいほう)に入場。お客さんは65人ぐらい。
上映が終わり、『BORDER LINE』の李相日監督阪本順治監督のトークショー。阪本監督の感想の通り『BORDER LINE』は登場人物を真摯に描いた真面目な映画で、(反面、先日の『おばあちゃんの家』の、頭で考えたような絵空事ぶりを思い出して、ますます反発を感じたが) もっと若者らしく弾けてもいいんじゃないか?とのこと。また、盛んに話題にされたのが、監督はスタッフたちとのコミュニケーションをしっかりとるのが大事ということで、阪本監督はスタッフにおごったりして確かに「いい監督」だったが、それよりも作品の出来で報いることのできる、「鬼」にもなる「すごい監督」になるべきと言っていた。阪本監督は、『どついたるねん』でいきなり評価され、2作目の『鉄拳』では「傲慢な監督」だったらしいが、出来上がった作品を観てスタッフたちに『鉄拳』ならぬ『欠点』とバカにされた、などとも。約20分のトークショーだったが、クリエーターの話はこだわりが感じられて面白い。
劇場の外でチラシを物色していると、中から『BORDER LINE』にも出演していた田中要次さんが現われた。誰かと歓談中だったが、時間とチャンスがあったら「田中さん、今年もついにトップに並びましたよ。」なんてことも言いたかったなと思いながら渋谷駅に向かう。

さて、期待してる人が誰もいないかもしれない、今日の「ウラ関根TV」情報。屏風の言葉は、
 バタービーン 首もなければ…
 井上和香のクチビル保護膜になりたい
 谷川真里にはり倒されたい
と、全文は不明、最後の1つは意味不明。映画ネタが『地獄のデビルトラック』じゃ、たいしたネタにならないなあ。今回の関根勤は、MEGUMIに対してセクハラコメントが激しすぎ。

2003年7月31日(木) 曇 2003/08/02 更新

『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』(1985 日)を観る。シリーズ35作目で、マドンナは樋口可南子。オープニングコントは、姥捨て山に行くおばちゃんを背負おうとした寅次郎が、背負えずに後ろ向きにこけると、背中に荷物を背負った行商のおばちゃんが3人ぐらいいるだけの田舎の駅のホームで目が覚める。
寅さんが仕事仲間の関敬六と、旅先の長崎の五島で倒れた初井言栄を助けたら彼女の最期を看取ることになり、東京から来た孫の樋口可南子と知り合う。関敬六と喧嘩別れして柴又に帰った寅さんは、可南子の下宿を訪ねる。寅さんは失業中の可南子に仕事の世話をしたりする。そこの下宿には、可南子に密かに思いを寄せる、司法試験のための勉強中の平田満がいて、寅さんもそれに気づき、彼女のことはあきらめろと言う。しかし、満のことを気づいていると可南子から聞いた寅さんは、タイトル通り満に恋愛指南して2人きりでデートをさせる。ところが、可南子の部屋で寝てしまった満は、嫌われたと思って田舎の秋田の鹿角市に帰って自殺しようとしたところ、寅さんと可南子と満の恩師の松村達雄教授がやって来て2人は結ばれる。
以前の寅さんならマドンナと一目合ったらとたんにでれっとなるところ、このころでは初対面ではいたってクール。とはいっても、外面的には押さえ気味でも、今回久々に寅さんが恋に落ちる展開で、「たいしたもんだよ風呂屋の小便。見上げたもんだよ屋根屋の(金玉)ふんどし。」の文句も久々に復活。ここまでは面白さに期待できたし、好きな職業に就く夢を持つべきか、地道に生きるべきかというテーマの映画になりそうだったのだが、恋愛指南しだしてからコミカルになりすぎで、すっかりまとまりがなくなった状態で終わってしまった。
松村達雄と杉山とく子がまた新しい役で出演で、ほとんど準レギュラー。
(★★、ドラマ系)

深夜、『金髪の草原』(1999 日)の放映をながら視聴。劇場で観たときは、池脇千鶴が血のつながらない弟のことを愛しているという設定がわかりにくくて、伊勢谷祐介演じる老人のに惹かれたのは、彼女の周りの人たちには見られない誠実さのせいだと思っていたがちょっと勘違いしてたかな? まあ、なにはともあれいい映画だな、こりゃ。

2003年7月30日(水) 曇 2003/07/31 更新

藤沢キネマ88で今週いっぱいの『おばあちゃんの家』(2002 韓国)の17:25の回を観に行く。
余裕をもって行きたかったところ、間に合うかどうかもわからないまま藤沢に向かうが、乗り込んだ湘南急行は急行の停止駅を2つも飛ばすのでさすがに速い。でも、駅に着いたのは開映5分前で、映画館まで小走りで、予告編が始まったころに入場。
藤沢キネマ88は、ミニシアター系の作品も最近は時々東京から遅れて上映するという、地域のシネコンなんぞには真似出来ないきめ細かい作品選びで、しかも水曜日がメンズデーと、お気に入りの映画館。
お客さんは20人ぐらい。
『おばあちゃんの家』は夏の映画みたいだけど、稲穂はまっすぐだけど茶色くなっているし、山は紅葉が始まってるしで、恐らく秋に撮影されたもの。近いと大体の気候がわかっていいねえ。

2003年7月29日(火) 雨 2003/08/02 更新

ルミネtheよしもとの7月の招待券があったので、「7じ9じ」を見に行く。細かい内容はパス。まあ面白かったけど、前売でも3500円は高いかな? 新喜劇の方の主な出演者は、東野幸治、大山英雄、島田珠代、COWCOW、星田英利、大島(森三中)、三瓶。吉本新喜劇をまともに通しで見たのは、子供の頃うちの地方で、恐らく「デン助劇場」とか藤山寛美の舞台中継などをテレビでやっていた頃、一時期だけテレビで放送していて、当時は谷しげるが「ま〜あぁ、ごきげんさん」と言ったり、いま寛大(の方だっけ? はな寛太の方じゃなくて)が「ちょっと待ってね」と言っては、まわりの全員がコケたりしたのを見た時以来。今回は大勢のコケってのがなかったけど、最近はやらないとしたら寂しい。あと、島田珠代の激突が見られなかったのも寂しい。
忙しかったので、開演直前に会場に着き、幕と同時に会場を後にする。

と、これだけだと映画ネタじゃないので、無理矢理。往復の小田急で、日本工学院の1日体験入学の広告に宮崎あおいが起用されているのを見つけて、「ほほう」と思う。その広告はこんな感じで、あおいちゃんは何もしなくても見た目がいいねえ。

2003年7月28日(月) 2003/07/31 更新

深夜、WOWOWで『チキン★ハート』(2002 日)を観る。松尾スズキ、池内博之、忌野清志郎の3人がダメ人間を演じるのだが、特に松尾スズキのダメ演技が堂に入っていて、そばにいたらイライラすること間違い無しのキャラ。で、こういうキャラって『アバウト・シュミット』でも感じたけど、作り手がその役に愛着を感じないような描き方をされると、観る方も同様に感情移入できず、そんな状態でダメぶりを見せられるといい気分はしない。こうした突き放した描き方の映画って、そうした意味で不利である。というより、成功例を知らなくて、映画の中のダメ人間には作り手も愛着があるはずだから、観ているものが弱い心のキャラに寄り添えるようでなければならないのではないか? (『ピアニスト』ですら、イザベル・ユペール演じるピアノ教師の心の苦しみがわかるから、彼女を突き放しているというより寄り添っていると言えると思う。) そんなわけで、かなり我慢しながら最後まで観たら、池内演じる、相手を殴れなくなって、「殴られ屋」をやってる役って、自分も傷つけられたくないから相手も傷つけないという、後ろ向きな優しさへの批判だというのはわかったけど、それだけじゃねぇ・・・。
(★☆、ドラマ系)

2003年7月25日(金) 雨 2003/08/02 更新

新宿武蔵野館で今日が最終日の『パイラン』(2001 韓国)の夜の回。開映10分ぐらい前に着いて、整理番号は13番をもらい、前から2列目に席を確保して、トイレとチラシ集めから帰ってくると、最前列を取っていたのは新宿タイガーマスク。彼と一緒に映画を観るのは、今年の『人斬り銀次』と1995年の『レッド・ブロンクス』に続きこれで3度目。いづれも夜の回なのは、夕刊を配り終わった後の時間だからだろうか? 今回と『人斬り銀次』は金曜日だけど、『レッド・ブロンクス』は水曜日だから、曜日は特に決まってないのかもしれないけど、これだけ幅広く観ているのだから、毎日映画を観ているのかもしれないし、新宿ならそれが可能かもしれない。
お客さんは15人ぐらい。
『パイラン』はセシリア・チャン演じる中国人の役名のことで、漢字では「白蘭」で北京語では確かにパイランと読むのだろうけど、タイトルの英語表記はなぜか"Failan"。まあ、あの『シュリ』だって、ハングルや英語タイトル"Shiri"からすれば日本のタイトルも『シリ』でなければいけないのだけど、「尻」っていうタイトルじゃマズイから「首里」にしたのだろうし、(同様の例としては、「馬・サーマン」とか「マシュー・マコナ屁ー」など)、「パイラン」もハングルでは何か変な意味があるんでしょうかねえ?ということで、何はともあれめでたくおあいこということで。(って、そういう問題か?!)
それにしても、この映画のセシリアは可憐だなあ。でも、彼女ってガラガラ声じゃなかったっけ?

深夜の「ウラ関根TV」、屏風の言葉は、
 リサ[・スティッグマイヤー]お幸せに
 ヤックンの目つき=ジョー山中
映画ネタは、ドルフ・ラングレンが日本生まれの刑事を演じる『リトルトウキョー殺人課』。「闘魂」の鉢巻をして、ちゃんちゃんこみたいなものを着てマシンガンを撃つ姿がかっこ悪い。共演はブランドン・リー。これは、かつて「奇妙な果実」でも紹介されたかな?

2003年7月23日(水) 雨 2003/07/24 更新

銀座のヤマハホールに『福耳』(2003 日)の試写会に行く。開映時刻の18:30の10分ぐらい前に着き、既に満席近かったので急いで席を探し、前の方に1つ空いていたところに座る。予告編無しでいきなり本編の上映。田中邦衛は今回も絶好調。彼の役の出身地が羅臼で、健さん同様北海道から離れられないのか? 宮藤官九郎は邦衛に乗り移られる役なので、口を尖らせてしゃべって邦衛のモノマネみたいなこともやっていたが、微妙に似てないのが良かった。あと、谷啓なんか、小刻みに動いてまばたきするだけで相変わらず面白い。多々良純が元海軍の軍人を演じていたけど、最後の敬礼は海軍のじゃないぞ。海軍のはこうだ!(『秋刀魚の味』の加東大介を参照)

2003年7月22日(火) 2003/07/24 更新

『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』(2003 米)の試写会が当たり、その前に来週からレイトショーのみになってしまう『六月の蛇』(2002 日)のシネ・アミューズの15:15の回に行く。開映5分ぐらい前に着き、整理番号15番で、お客さんは20人ぐらい。『六月の蛇』は青っぽいモノクロの映画なので、内装が赤いシネ・アミューズ イーストではなく、当然青い内装のウエストの方で上映。
予告編で、キアロスタミの『10話』が、最初にピアノのアルペジオがしばらく続くので、「『サウンド・オブ・サイレンス』か? まさか、由紀さおりの『夜明けのスキャット』じゃないよな?」などと思っていたら、『スノーマン』で使われていた歌だった。『スノーマン』じゃ『夜明けのスキャット』みたいに、コミックバンドのネタにはならないなぁ。
それから、黒沢清監督の『ドッペルゲンカー』は、お笑いだという噂だけど、たしかにおかしな調子だった。「ドッペルゲンガーを見ると死ぬ」なんてホラーみたいなのに。それに関係してか、「ビデオを見ると死ぬ」映画に出演していた佐藤仁美がこちらにも出演。あと、ユースケ・サンタマリアの起用は、ひょっとして役所広司のドッペルゲンガーの役だろうか? そういえばなんとなく似ている。その他予告編が何本か上映された後、本編の上映。あれえ? 来週からシネ・アミューズで公開の『カクト』の予告編はないの? 半年ぐらい前には見たぞ。

終映は16:55頃で、18:00までに『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の会場、二重橋前の東商ホールに行くのに時間的余裕があり過ぎるので、先ごろ閉鎖された東急文化会館を見に行く。通り道の半蔵門線の駅の地図では、東急文化会館の部分は緑色の紙が貼られていた。東急文化会館は、シャッターが閉まっていて、どおってことない様子だったが、別に何か期待していたわけじゃないので、問題なし。
地下鉄で有楽町駅に着いたのは17:30で、開場までまだ30分もあるので、日比谷界隈を一回り。宝塚劇場前では出待ちか何かで人だかりが出来ているところを通り抜けたりした。そして、18:00ちょっと前に東商ホールに着き、並んで入場。
試写会前の予告編で、『ジョニー・イングリッシュ』って『JM(ジョニー・ネモニック)』みたいなタイトルの映画は、ローワン・アトキンソンがとぼけたスパイを演じる映画だけど、レスニー・ニールセンの『スパイハード』とは何か違うの?
さて、『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』は、無罪を主張する死刑囚のケヴィン・スペイシーを、記者のケイト・ウィンスレットが刑の執行数日前にインタビューし、彼の冤罪をはらそうとする謎解きの映画でもあるんだけど・・・、実は半分ぐらい観たところで、犯人と殺人の動機がほとんど判っちゃったんですよねえ。だって、あんなにヒントが次々に出されたら、あれ以外に考えられないじゃん。思えば、アラン・パーカーの映画では『エンゼル・ハート』も半分ぐらい観たところで犯人判っちゃったし。彼はお客さんを騙しきれないいい人なのか? でも、『エンゼル・ハート』は、最後に明らかになる犯人が途中で判っちゃったら、それ以降はなんにも面白くなかったけど、こちらは死刑執行までにケイトが死刑を止めることができるか?という設定もあるので、判ってからも楽しめる。

2003年7月21日(月・祝) 2003/07/26 更新

昨夜、留守録していたNHKアーカイブス「NHK特集『戒厳指令…更新ヲ傍受セヨ・二・二六事件秘録』」を観る。制圧軍側が電話を傍受して、手回し録音機で会話を録音したレコードの声の主は誰か?を追ったもの。中にはドイツ大使館との会話というのもあり、どうやら制圧軍側の軍人が大使館にいて、ドイツに情報を流していたらしい。『スパイ・ゾルゲ』では、事件当日はゾルゲたちが大使館から外に出て情報を集めていたので、大使館内のそんなシーンはなかったけど、大使館内のパーティで日本の軍人が招待されていたシーンはあったし、日本軍とナチスは裏で接触していたので、そんなことがあったこともうなづける。また、両者の間に入って『シベリア超特急』でおなじみの山下奉文少将の家への電話も傍受されていたりなどしたが、びっくりするような事実はなかった。とはいえ、反乱軍に占拠された料亭に連隊長だか大隊長だかが電話をかけて、将校ではなく軍曹あたりを呼び出し、まるで伯父さんが甥っ子に語りかけているみたいに投降を促すところなど生々しくて、内容よりもそうした肉声が残っているものを聞くということで、はるか昔のことではなく、より身近なものとして実感できた。

夜、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の「トレンドたまご」のコーナーで紹介された「草刈機まさお」に衝撃を受ける。するってぇと何ですか?姉妹機が作られたら、その名前は「草刈機たみよ」ですか? たみよにはもれなく「刈り取った草は『すおう』」なんて掃除機が付くんですか? しかし、トイレの消臭剤「消臭力(りき)」以来のナイスなネーミングなのに、真生子以下の出演者が誰も突っ込まなかったのはもったいない。

深夜、『荒ぶる魂たち 抗争勃発篇/血戦篇』(2002 日)の録画を観る。三池崇史監督によるヤクザの抗争ものだけど、『シティ・オブ・ゴッド』を観た直後だと、どうしても要領の悪い展開に見えてしまうなぁ。まあ、あっちがテンポ良すぎるんだろうけど。
(★★、ドラマ系)

2003年7月20日(日) 小雨 2003/07/24 更新

WMCつきみ野へ、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(2003 米)のレイトショーを観に行く。開映5分前ぐらいに着いたら、なんと席が最前列しか空いていないということで、まあこの映画は字幕はあんまり読まなくていいか、と思い入場。というわけで、ほぼ満席でお客さんは175人ぐらい。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』(ブエナビスタ)の予告編で、「1998年『アルマゲドン』、2001年『パール・ハーバー』、そして・・・、ジェリー・ブラッカイマーが・・・」というコピーが出たと思ったら、続いて『バッドボーイズ2バッド』(ソニー)の予告編で、「1998年『アルマゲドン』、2001年『パール・ハーバー』、そして・・・、ジェリー・ブラッカイマーが・・・」と別会社が同じようなことを言ってた。私は『アルマゲドン』は家で観て”「スペクタクルバカ」映画(半分ほめ言葉)”だと思ったし、『パール・ハーバー』は観てないしで、ブラッカイマーの名前のありがたみはわからないけど、今のハリウッドは監督は誰でも一緒みたいな感じだから、プロデューサーが前面に出るのは実状に沿ったものだろう。それにしても、この2本に加えて『ハルク』『S.W.A.T.』と、テンションが高くてやたら短いカットの予告編を4本最前列で見たら(実際には、目が疲れるのでスクリーンの下の方を観ていた)、4本まとめてすっかり観る気がしなくなった。こんな調子なら、とても2時間近くも『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』は観てられないと思ったが、予告編と違って本編はもっと落ち着いた編集で、杞憂に終わってなにより。

2003年7月19日(土) 曇 2003/07/20 更新

昨日のオールナイトから帰ってすぐに寝ようとするが、朝になってしまったので眠れず、留守録した昨夜の「ウラ関根TV」を観る。
今回の背後の屏風の文字は、
 ベッキーの後姿はカッコイイ!
 川原亜矢子の飼犬(ソレイユ)になりたい
 黒田勇樹の乳輪ポッテリ(ウルルンより)
と、相変わらず微妙な面白さ。今回は「イヤな高校」特集ということで、40歳の関根勤が17歳の高校生を演じた税金ビデオに続き、37歳の竹内力が15歳の高校生を演じた、『岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説』という有名なネタ。8/23発売のシリーズ最新作の『岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 番長足球(サッカー)』を映像無しで紹介。続いて、『青い山脈'88』の保健の先生役の舘ひろしが、三つ揃えで決めていて刑事にしか見えないということで、ゴルフクラブを磨いている映像には「ライフル磨いてる」、サングラスで自転車にまたがっている映像には「オートバイだよ」、ピンセットでつまんだ脱脂綿で消毒する映像には、「食い込んだ弾丸を取ってる」、職員会議の映像には「合同捜査だよ」と、関根のコメントが面白い。でも、確か評判の悪かった映画で、こんなのに出ていたから、日本映画に嫌気をさした工藤夕貴はアメリカに行ったのかな?

夜、ヴァージンシネマズ海老名に『シティ・オブ・ゴッド』(2002 ブラジル)のレイトショーを観に行く。開映時刻の21:00の10分前に劇場に着くと、チケット売り場には今日が初日の「『踊る大捜査線2』満席」の貼り紙。
『シティ・オブ・ゴッド』のお客さんは50人ぐらい。またまた、『呪怨2』の予告編でちょいとザワザワ。『ファム・ファタール』の予告編を初めて見たけど、デ・パルマらしさはここからは感じられない。
終映後、試写会の申し込みがあるかもしれないと思って、近くのWMC海老名に行くと、ここでも『踊る大捜査線2』はSold Outの回があった

2003年7月18日(金) 小雨 2003/07/20 更新

WMCつきみ野に『ソラリス』16:50の回を観に行く。お客さんは結局10人ぐらいだったのに、金曜日は指定席らしく、前の方の席にして予告編が始まった頃に客席に入ったら、隣の席に男の人が座っていた。他の席から前の方に移ったのかチケット売りが隣同士の席にしたのかは知らないけど、1列後ろの席に座る。
予告編をいろいろやっていたけど、やっぱり『呪怨2』のインパクトが圧倒的に強い。『呪怨』では予告編で見せ過ぎという意見があったからか、『呪怨2』のは短かめ。しかし、前作は単館上映だったのに、今回はいきなり拡大公開というのがすごい。

いったん家に帰ってから、招待券が当たった新宿ミラノ座での「庵野秀明 SPECIAL NIGHT」に行く。20:00から指定席引き換え開始のところ22:10ごろに着き、ラーメン屋でラーメン食って腹ごしらえをし、22:40に並んで入場。変な奴ばかりだったらどうしようと思っていたが、見た目は普通のひとばかり。指定席のすぐ前というちょっと後ろ目の席で、招待客はもっと前にせんか!ていうか、タダだからこんなもんか? お客さんはミラノ座の半分だから600人ぐらい。そして、予定通り23:00からトークショーの開始。司会者の紹介で、オーケンといえば大前健一でも大澄賢也でも大江健三郎でもない大槻ケンジと、何故か黒づくめで黒いつばのある帽子、そして黒い覆面をかぶった庵野監督が入場。この覆面、庵野監督の新作『キューティーハニー』で使われるらしいが、帽子を脱ぐとバットマンみたいに頭の上に耳がついていた。以上の3人で、『エヴェンゲリオン』『式日』と、過去の作品について監督にコメントしてもらう。『エヴェンゲリオン』は、DVD発売のため久しぶりに観たら、「他の人が作っていたら、こりゃハマる。」と思ったそうな。式日は、オーケンが「全山口県人を敵に回した。」という、私も聞いたことのある評判に触れたら、「いや、そんなことはない。あの寂れた商店街は、今は日本中どこでもあんな感じで、あれが美しいと思う人もいる。」と監督。はい、私も同感で、銀天街や太陽家具や宇部興産は行ってみたい場所。そんなこんなで、次回作の『キューティーハニー』(現在撮影中)の話になったところで、さらにここで主役の佐藤江梨子が登場。映画の中のハニーの普段着の衣裳で登場、といってもスカート短かぁー。そして次の瞬間・・・、「行く行く、絶対観に行く!」と思ってしまった。実は『キューティーハニー』は、同じ庵野監督の漫画が原作のビデオ「流星課長」の出来があんまりだったことなど、懸念材料もあったのだが、チャーリーズ・エンジェルの3人が束になっても敵わないようなあんな完璧な見た目を生で見てしまっては、そう思ってしまうのも無理はないんでないかい? ハニーは30変化ぐらいするらしいが、衣裳はプロトタイプをスライドで紹介したぐらいで、全貌は内緒。佐藤江梨子は中学生のときに劇場版の『エヴァンゲリオン』を観ていたそうで、確かにそんな彼女が庵野監督の映画に出るというのは、時の流れを感じることじゃのお〜(<誰?) オーケンが、「今まで日本映画はコミックが原作の映画で数々の失敗をしている。」と言って、『ドカベン』だとかのタイトルを挙げるマニアックトークをしていたけど、最後に念押しで「くれぐれも『キャッツ・アイ』は超えてくださいよ。」と監督に言っていたのは、いくらなんでも失礼ってもんだろう。トークショーが終わって、やっと庵野監督が覆面をはずし、プレス向けに撮影。

23:45から休憩で、24:00から『式日』(2000 日)の上映。公開時に観た感想では、コミュニケーションの不能という点からの感想になっているけど、改めて観ると藤谷文子演じる”彼女”は、早いうちから母親に対する愛憎をむき出しのエキセントリックな行動が冒頭から炸裂させている、母親への愛憎劇の要素という、「エヴァンゲリオン」(ついこの間初めて観たばかり)と同じものを強く感じた。まあ、当時の私にとっては、コミュニケーションが個人的にかなりの大きなテーマだったからその面を強く感じ、今回はそれほどでもなかったので、確かに今ではもうコミュニケーションにはさほど期待していないなぁ、ということを改めて自覚することになった。
あと、今回の上映はなんだか画面のヌケが悪くて、公開時に観たときのせっかくの赤の美しさが今いちだった。プリントが褪色などの劣化をしたためか、それとも、ピンボケか光源の輝度が低いなどの、ミラノ座の映写に問題があったのかは不明。

14:10に上映が終わり、休憩を挟んで14:30から『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TURE)2/Air/まごころを、君に』(1998 日)。一応解説すると、上映時間160分のこの映画の前半「DEATH(TURE)2」がテレビ版のリミックス、5分のインターミッション(久しぶり!)の後の後半が、テレビ版の25話と最終話の26話が急ごしらえだったため、第25話「Air」と第26話「まごころを、君に」を新たに作ったというものらしい(詳しい事情は不明)。ただし、テレビ版の結末は私としては満足で、それが証拠に、劇場版はテレビ版とは全く違うものの、言わんとしていることは一緒。それにしても、終盤の展開のわけのわからなさが『ソラリス』とも似ていて、しかもアレのさらに上をいっているので、『ソラリス』の印象がすっかり薄くなってしまった
終映は29:10(翌日の5:10)で、久しぶりのオールナイト上映をほとんど眠気を感じないまま観終わることができた。劇場を出ると既に明るい小雨模様の朝で、元気に新宿駅に向かう。ただし、以外に乗客が多かった電車の中では、少し眠ってしまったけど。

2003年7月17日(木) 2003/07/21 更新

今週いっぱいで上映終了の『スパイ・ゾルゲ』(2003 日)を観に、WMCつきみ野の朝の回(この回だけなので)を観に行く。開映時刻09:25の5分前に着いたが、平日の朝だというのにチケット売り場には長蛇の列で、予告編が終わるころようやく購入し、しかし3時間の映画なのでトイレには忘れずに行き、客席に入ったらちょうど予告編が終わったところだった。お客さんは20人ぐらい。
この映画の撮影は、『スター・ウォーズ エピソード2』と同じ、パナビジョンとソニーの業務提携で、ソニーのHD24pカメラのシネアルタにパナビジョンのレンズをつけて、パナビジョンのHD24pカメラとして(恐らくパナフレックスと同様に)レンタルされたもので撮影されていて、エンドクレジットには"PANAVISION DIGITAL IMAGE"のロゴがあった。それにCG、デジタル合成等を行って、デジタルデータの編集時までフィルムは一切使われず、編集後フィルムレコーディングでプリントを作った。この画質は、知らなければフィルムで撮影されたものと思えるほどフィルムと比べて遜色ないが、条件が悪い場合、例えば尾崎がゾルゲと最初に会う上海のレストランのシーンでは、肌の色がもの凄く汚かった。去年の東京国際映画祭で、クリスティのDLPプロジェクターでデジタルデータをそのまま上映したものと比べると、そのレストランのシーンは問題なくきれいに映っていたはずで、全体的にもDLPの方がきれいだった気がする。電気信号で撮影された映像は、フィルムレコーディングの段階で画質が落ちてしまうということか?

2003年7月16日(水) 2003/07/20 更新
朝のテレビ「とくダネ!」で、昨夜開かれた『地獄甲子園』の試写会の模様が紹介され、ゲストがプリティ長嶋リトル清原(以前なら、この並びに松井の真似で”はなわ”が加わっていただろうけど。)だったが、試写会のお客さんは演芸好きの人は少ないようで、プリティの「今日の映画、『地獄巨人軍』ですか? 今4位ですけど。」といったギャグや、清原のマニアックな形態模写にクスリともしていなかった。映像がスタジオに切り替わり、キャスターのフジテレビ笠井アナに司会の小倉智昭が「この映画は『少林サッカー』を超えてるの?」と聞くと、笠井アナは「いえ、アレには達していません・・・観てないですけど・・・。」・・・このへんの不用意な発言を軽々しく口にするあたり、まさに「男おばさん」とはよく言ったものだ。相方の、♪あんまり、意味がない、デブなのに、軽部♪とジョン・レノソにも歌われた軽部アナも、めざましテレビでカンヌ出品作の『アカルイミライ』のあらすじをもっともらしく紹介したものの、それが観てないで言ってるのが丸わかりのトンチンカンなものだったし、自分で自分たちを「男おばさん」と呼んで調子にのるな。仕事面でもっと精進しろよ。

深夜、テレビ「堂本剛の正直しんどい」。今回のゲストは『ウルトラマン』新作出演で、剛と同郷の奈良出身の吹石一恵。そして、剛の微妙に似ていないものまねによる”ヤナギバ警部”が2度目の出演で、
 「パクついていけ! 石を吹け!」
 「フルーツでかっ! 俺はデカ」
 (マシンガンを撃ちながら)「ダダダダダダダ、段田男」
などのギャグを連発。くだらなくて大笑い。

2003年7月15日(火) 2003/07/20 更新

ふと思い立って、今まで買ったときのままだったPCの壁紙を、東映の「荒磯に波」に変える。ただし、壁紙用の映像は東映のサイトをはじめどこにも見つけることはできず、検索で見つけた小さい映像を、手作業で形を合わせて作る。元が小さいので、画面は相当荒い。というわけで、今後東映マークの壁紙のPCを使っている人を見かけたら、それは私でしょう。

2003年7月13日(日) 曇・雨・涼 2003/07/14 更新

深夜のテレビ「NNNドキュメント'03、撃ち抜かれたカメラ 一ノ瀬泰造 幻の戦場写真」を観る。
浅野忠信が一ノ瀬を演じた『地雷を踏んだらサヨウナラ』の中で現物が小道具として使われた、銃弾で撃ち抜かれた彼のカメラの中に残された撮影済みのフィルムを、およそ30年ぶりに取り出して現像してみるというもの。彼の父親は亡くなっていて、母親は自宅の暗室で彼の写真をプリントしている毎日で、6月に発売された一ノ瀬の新しい写真集「家に帰ろう」をきっかけにして、それに使うためにカメラを開けることを母親が承諾し、富士フィルム、復元士、日大芸術学部などの協力で、すっかり感光していると思われるフィルムから映像を復元しようとした。結果は、撮影されたのは4コマだけで、4コマ目に猫の顔らしい像がかすかに浮かび上がっただけだった。
今まで一ノ瀬の顔をちゃんと見たことなかったけど、写真集の表紙の顔は確かに浅野忠信そっくり。

引き続き、最近は早く寝ていたので見てなかった「すっから母さん」を久しぶりに。
西田敏行の女装に、ほのぼ〜のコント、小倉優子の演技と、妙なことでは随一の番組だが、オセロのトークが聞けるだけでも貴重だし、普通に楽しめる。何しろ、白い方の松嶋は鶴瓶相手に「きらきらアフロ」、一方の黒い方の中島もあちこち1人で出ていて、2人っきりというのは恐らくこの番組だけなので。

2003年7月12日(土) 晴・暑 2003/07/12 更新

『ドラゴン ブルース・リー物語』(1993 米)の録画を観る。
ブルース・リーが死ぬまでの生涯を、2時間でやや駆け足気味にイーブンペースで型通り描いた映画。だから、倉田保昭が沖縄の武器であるヌンチャクを彼に紹介した、なんて細かいエピソードは当然含まれていない。
若い頃のケンカや他流試合のシーンで、彼の作品の格闘シーンを思わせることを盛り込むといった軽いお遊びはあるものの、実際の映像の類は一切使わず、主演のジェイソン・スコット・リーに過度のソックリさんぶりは求めてないので、実録くささはなく、アメリカでの一人のアジア人の人種の壁にまつわるエピソードも含まれた普通のドラマとして観ることが出来る。
(★★、ドラマ系)

2003年7月11日(金) 晴・暑 2003/07/12 更新

深夜、『薔薇のスタビスキー』(1973 伊=仏)の録画を観る。
ジャン=ポール・ベルモンド演じるスタビスキーは、1930年代のフランスで、債券を偽造して、稼いだ金で手広く事業をし、警察などには口止め料をばら撒き、バクチにも気前良く金を使い、そうしているうちに資金繰りが苦しくなるも相変わらず強気だったが、犯罪行為に捜査の手が伸びる・・・、といった映画なのだが、全体的に映像的に動きの少ない台詞だけによる映画で、登場人物の区別がつかなくて話もつかみにくかった。
ベルモンドが銃をぶっ放す映画だと思っていたら、『ラ・スクムーン』と勘違いしていたのだった。
(★☆、ドラマ系)

2003年7月9日(水) 曇・涼 2003/07/10 更新

銀座ガスホールで18:30からの『セクレタリー』(2002 米)の試写会が当たったので、その前にシネセゾン渋谷に『NOVO』(2002 仏)の14:30の回を観に行く。着いたのは14:30ちょっと過ぎ。お客さんは40人ぐらい。
予告編で、レニ・リーフェンシュタールの新作の彼女が海に潜る映像の後、引き続き次の映画の予告編が、また海底の映像が続いたと思ったら、『えびボクサー』だった。
あと、「PTA」ことポール・トーマス・アンダーソン監督の『パンチドランク・ラブ』の予告編は、かなり色々見せていてストーリーも何となくわかってしまったが、それでもまだいろんなものを見せてくれると期待できる。
『NOVO』のエンドクレジットに、オノ・ヨーコのフィルムがどうのこうのと書いてあったが、あのお尻のアップだけを映した映画か何か? また、主人公と彼の友人が、黒い胴着で合気道と空手が一緒になったような、よく判らない武術の道場で稽古していた。背景には、達筆の掛け軸が何本かかけられていて、日本語で書かれた解説書を読んでいたから、日本の武術なんだろうけど、監督が日本に住んでいたジャン=ピエール・リモザンだけに、いいかげんではないのだろう。
終映後、トイレに行ったら、ケータイ片手に用を足している人を2人見た。左手でメール、右手にマ〜ラ。そうまでして使いたいか? ちなみに、電子機器は塩分に弱いので気をつけよう。

新橋に向かう途中の溜池山王の駅のホームで、PCの入力作業。場所代がタダなのがいいやね。

開場時刻の18:00ちょっと過ぎにガスホールに着くように向かう。新橋の駅から地上に出てしばらく歩くと、ヤクルトホールや徳間ホール裏って何もなかったはずなのに、巨大なビルがいくつも建っているのが見えて、あそこが汐留だと初めてわかる。そういえば、徳間ビルは資生堂が買い取って、「汐留なんとかビル」という名前になるそうなので、今まで東新橋だったところがドンドン汐留になるということか?
米が食べたくなってちょうど会場の近くにサンクスがあったので、おにぎり1個買って入場。
帰りは昨日と同じ電車だった。

2003年7月8日(火) 雨・涼 2003/07/10 更新

しんゆり映画祭からのメールマガジンで、日本映画学校での『蕨野行』(2003 日)の試写会の招待をしていて、タダというのと、果たしてまともに公開されるかが怪しかったので、観に行く。日本映画学校は、以前『裸の島』の上映会で行ったことがあってそのときは満席に近かったので、16:00からの開映の20分ぐらい前に余裕を持って行く。入り口を入ると、学生たちが廊下で撮影をしているらしくて、カメラやライトやカチンコを持った人がいた。その脇を通って、迷うことなく最上階まで階段で上がったら、どうやら一番乗りだったようだ。前回は有名作だったし休日だったし新藤兼人監督がゲストで来てたし、まあそうした違いで恩地日出夫監督の新作というだけでは集まらなかったのだろう。結局、学生25人ほどと佐藤忠男校長や教師らしき人と製作者、あと私を含めた部外者10人ほどだった。まず製作者があいさつし、映画は今年の秋に新宿東映パラス2で3週間上映されるそうで、前売り券をよろしくとか言っていた。
映画の内容は、『楢山節考』のように山に行った老人たちが死を待つような話なので、若い学生たちにはピンとこなくてきつかったのではないだろうか?
この映画の製作は「日本の原風景を映像で語る会」とかいう会で、エンドクレジットの賛同者みたいな人々の中にあった「野中ともよ」はあの野中ともよだろうか? 「永六輔」はあの永六輔だろう。

終映後、何もなくお開きとなり、続いてもう1本、渋谷のユーロスペースでの上映が今週いっぱいの『D.I.』(2002 仏=パレスチナ)を観に行こうと新百合ヶ丘の駅のホームで電車を待っていると、佐藤校長が目の前を通り過ぎていった。
19:00の開映時刻の10分ぐらい前に着く。お客さんは40人ぐらい。ところどころ笑いが起きていたが、全体的にみんな(私もだけど)わらっていいのかどうかわからないで困っているようだった。
エンドクレジットのキャストの最後に「サンタクロースの息切れ」みたいな役の「ミシェル・ピコリ」は、あのミシェル・ピコリだろうか?

2003年7月6日(日) 小雨→晴、涼 2003/07/06 更新

フィルムセンターの特集上映「発掘された映画たち2003」の『冬の宿』(1938 日)『姿三四郎』(1943 日)の最長版(91分)を観に行く。
『冬の宿』は、お客さんは250人ぐらい。例によって年齢層は高く、窓口で「原節子が出ているから観たかった。」なんて言っているおばあさんがいた。その原節子、ワンシーンだけのチョイ役で、『安城家の舞踏会』の頃よりもさらに10年ぐらいも前だから、ものすごく若くて(1920年生まれ)声が甲高い。映画の中に映し出される1938年の日本は、SUNTORY WHISKEYも普通に飲んでるし、大阪の盛り場はネオンきらびやかでショーボートのような船もあるし、東京の競馬場は今と変わらず大勢の欲望が渦巻いてるしで、とても3年後に太平洋戦争が始まるようには見えない。
原版が発見されたため上映可能となったプリントの状態は、一部絵と音が悪いところがある以外はきわめて良好。

1時間半ほどの時間をおいて、引き続き『姿三四郎』。お客さんはやはり250人ぐらい。『姿三四郎』は、1943年の封切時は97分で、1944年の再公開時に79分に短縮され、現在はこの短縮版が巷に出回っている。切られた部分は行方不明だったのが、ロシアでプリントが見つかって、そこから79分版の不足分を抜き出して追加した91分版を上映。追加部分は79分版に比べ画質が悪いので、どこが該当箇所かはすぐわかる。さほど重要なシーンはなく、縦線のスクラッチはまだしも、コマ落ちが多くて台詞が抜けたりしていた。逆に、なぜ1944年にその部分をカットしたのかがよくわからない。

2003年7月5日(土) 曇、暑 2003/07/09 更新

『ひばり・チエミの弥次喜多道中』(1962 日)の録画を観る。先日の『白馬城の花嫁』に続き、沢島忠監督作品。
舞台に上がることを夢見ている劇場の下足番の美空ひばりと江利チエミが、麻薬団の逮捕に協力したため、目をつけられるのを恐れて、男装して東海道を西へと旅に出る。
麻薬、黙秘権、青春、キャベツなどの現代の言葉が平気でポンポン出てくるので、時代劇ならではの重々しさのない、軽いノリ
の歌あり恋あり笑いありチャンバラありの映画。劇場の客席のシーンのエキストラの多さは今じゃ考えられなくて、すごいなあ。
(★★、感覚系、ドラマ系)

続いて『ジャンケン娘』(1955 日)の録画を観る。
東京の高校生の美空ひばりと江利チエミが、修学旅行先の京都で舞妓の雪村いづみと知り合う。その後、お座敷で知り合った大学生を探しに上京した彼女を2人が助ける。
どうということない映画なのだが、なんとなく楽しいのは、この映画が初顔合わせの三人娘のなせる技か? でも、江利チエミがアクセントを効かしていて、彼女がいなかったら後の2人だけではありきたりな映画になっていたかも。
3人がそれぞれソロで歌うシーンがほぼ等分に与えられている。衣裳など各人のイメージが、ひばりが黄色、チエミが赤、いづみが青で色分けされていたりするのは、当時はまだ珍しかったカラー映画を意識してのことだろうか?
(★★☆、感覚系、ドラマ系)

今夜の「SmaSTAION-2」は、「スマムービー、おすぎはいくら?」スペシャルで、旧作のDVDの値段をつけてもらうもの。おすぎはいいとして、問題は香取慎吾の姿勢の方。おすぎといえば、「おすぎです! 私に騙されなさい!」でおなじみの、映画のコメントが日本人に一番影響力がある、日本での映画の権威第一人者なのだが、まさにその「権威」にお伺いを立てることから一歩も出ていない。だから、未見にもかかわらず、『ショーシャンクの空に』などの名作との「評判」という「権威」にベッタリで映画を選んだりして、そんな姿勢でおすぎとさしで映画を語ろうなんて、エセ映画ファンもいいところ。映画を語らんとするための知識を身につけるための情報収集に労力を割くぐらいなら、自分の目で観て自分なりの意見を持っておすぎと渡り合えよ!そうじゃなきゃ、セレクションもおすぎ任せで、初心者としての聞き役に徹しろよ!ということ。まあ、以上の批判は香取君本人に対するものじゃなくて、あのコーナーでの香取君に当てられている役割に対してのものなんだけど、役割とはいえ「映画好き=インテリ」と思われたいだけのようなエセ映画ファンぶりを見せられるのは気分のいいもんじゃない。だって、香取君は謙虚さが持ち味だと思うから、ねえ?

2003年6月28日(土) 曇 2003/06/29 更新

『白馬城の花嫁』(1961 日)の録画を観る。
白馬城の殿様がいつの日か自分をお嫁にもらってくれることを夢見ているはた織り娘の美空ひばりの家に、その通り隠密行動をする殿様、実は盗っ人の殿様小僧(鶴田浩二)が現われ、彼女は夢中で江戸まで殿様に付いて来る。
オープニングから「お祭りマンボ」に似た軽快過ぎるテーマソングに乗って(でも、「お祭りマンボ」って本当にマンボなの? 「マンボNo.5」とかトニー谷の「さいざんすマンボ」みたいなのがマンボで、「お祭りマンボ」はマンボじゃないと思うんだけど。)、美空ひばりが陽気に振る舞っては歌うという、信じられないテンポのよさ。なにしろ、ひばりが歌って踊るシーンの最後のカットが、「ヤッホーッ!!」(←何語?)とシャウトするひばりの口のアップだったりするから、もう完全に時代劇じゃなくて立派なミュージカル。残念ながら、江戸に来てひばりが殿様とはなればなれになってしょげだしてからは勢いがなくなるのだが、それでも多くのエキストラを使っての、通りを駆ける人を同じスピードのカメラで横移動で撮影することを多用した映像の豪快さも見どころの、あっという間の85分。
2001年に三百人劇場で特集上映された沢島忠監督作品で、あの時に観に行かなかったばかりか、彼の作品を観るのはおそらく今回が初めてだけど、うーんこりゃ本格的に凄いかも。
(★★★、感覚系、ドラマ系)

フジテレビの27時間テレビ、オープニングでウッチーが「あの素晴らしい愛をもういちど」の去年と同じ部分を去年と同じ音程のはずし方をして、歌唱特訓開始。ウッチーの歌った直後にアヤパンが顔色ひとつ変えずに歌ったので、さすがだなあと思ったら、ウッチーにつられて音程をはずさないように必死だったそうな。
長崎県の飛島の鶴瓶師匠&ココリコ、最初は飲まないと言っておいて、人が集まらないということで、居酒屋つるべを開いて島民たちとベロベロ。そして、ドラム缶風呂に生着替えで、湯船から立ち上がろうとする鶴瓶の股間を映さないようにギリギリのカメラワークとスイッチング。くだらな過ぎる〜。究極のお笑いは全裸か?
モーニング娘。は、昼間はミュージカル公演だし、小川麻琴はギックリ腰で休養中だし、夜は18歳以上の5人しか出ないしで、思ったほど出番が多くないが、ウッチーの特訓部屋で石川梨華が「オホホホホホホホホ〜」と白鳥麗子のような発声練習をして壊れてみせて、他のメンバーが止めにかかるといった見せ場も。
特訓部屋には中居くんも現れて、素人が下手な歌を歌うんじゃないと、プロの歌手からの厳重注意。
深夜のさんま&中居くんのトーク、先日の「ぴったんこカンカン」の大竹しのぶの出演もネタにしたり、しのぶがさんまに殺虫剤を吹きかけたとか、喧嘩してしのぶがズルズル言うので、泣いているのかと思ったら、ラーメンを食べていて「おいしいヨ」と言ったとか、こりゃまた面白すぎる。トークの最中、酔いつぶれて寝ていた鶴瓶の寝起きの顔が死ぬほど面白すぎる。おまけに、一瞬パンツを脱いだ映像に本当にあ然。その後、さんまの今注目の女性ベストテン、10位:ハンツコーワ、9位:新大阪駅地下のスパゲッティ屋のウエイトレス、8位:長谷川京子、7位:紋舞らん、6位:飯島直子、5位:川原亜矢子、以降は眠っちゃったので不明。9位の女から電話がかかってきて、中居くんがタイプじゃないってことで盛り上がり。ああ、面白いことだらけできりがないのでここまで。で、番組のテーマの「再会」はどこへ行った?

2003年6月27日(金) 曇 2003/07/06 更新

ル・シネマ2で今日が最終日の『春の惑い』(2002 中国)の最終回の18:50の回。18:25着いて整理番号48番をゲッツ! お客さんは70人ぐらい。しかしこの映画、劇中BGMは無しで台詞も穏やかで極端に少なく、お客さんもみんな固唾を飲んで見入っていたので、客席は恐ろしいほどに静まり返っていた。おかげで、天井からの空調の音が、ドルビーが台無しになるほど耳障りに感じた。

終映は21:00少し前で、ハシゴするレイトショーの映画は希望順に
 (1)『17才』(2001 日) (テアトル新宿、21:20〜)
 (2)『テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる』(新宿武蔵野館、21:20〜)
 (3)『キャンディ』(シネマライズ、21:10〜)
とバックアップ体制をとっていて、まず(1)(2)が間に合いそうにない時のための(3)をやめて新宿に向かうために渋谷駅に向かう。渋谷の駅前で信号待ちをしていると、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』の広告の車が通りかかった。左側面がキャメロン・ディアスがサーフィンをしている大きな絵で、後ろの側面のやや小さめな絵が、消防車のホースみたいなので放水をしているルーシー・リューの絵だった。(ということは、見えなかった右側面はおそらくドリュー・バリモアが描かれていたはず。)このルーシー・リューの絵、映画の看板の絵にありがちなように微妙に似ていない。まるで、ねぶたの送り絵のようだった。山手線で21:15ごろ新宿について、なんとか(1)に間に合いそうなので、駅のそばの(2)をやめてテアトル新宿に向かう。ということで、三輪明日美ちゃん、結婚おめでとう!といった意味も込めて『17才』。ロビーでは木下ほうか監督自らお客さんを出迎えていたが、すぐ開映だったので急いで客席に滑り込む。お客さんは150人ぐらいと大盛況だったが、ロビーの雰囲気から関係者が多数含まれている感じ。
終映後、本日の特別上映『著作者人格権』(2003)の上映。日本映画学校俳優科の製作で、ビデオ上映、モノクロ、39分で、監督は細野辰興、出演は木下ほうかと日本映画学校俳優科の生徒たち。というわけで、作品はもちろん超低予算で、銀行のシーンなんか、大学の総務課のような場所のカウンターを使っていて、全然銀行に見えなかったりした。でも、台詞がちょっと聞き取りにくかった。監督の命令に助監督は絶対服従、映画を撮るためなら出資者を騙そうとするし銀行強盗だってする、作品が残ることこそ映画人の証、といった活動屋バカを描いた作品。
23:05頃に上映がすべて終わり、木下ほうかと細野辰興のトークショーということだったが、時間帯が遅かったので突っ込んだ話はなく、舞台挨拶のようになってしまった。俳優たちも何人か客席から挨拶。ちなみに、木下監督は(少なくとも長編の)監督はもうしたくないとのこと。
終わったのが23:20ごろで、終電が迫っているのでさっさと帰り、新宿駅から23:35の終電で帰る。

深夜、家に帰って、さあて今週の「ウラ関根TV」。トロマ映画の『カブキマン』のようなとっておきのネタが出てきたあたり、ひょっとしてネタに苦しいか? でも、セットの背後には相変わらず
 「水木一郎=宮尾すすむ」
 「声太ヤックン」
などの文字が躍ってた

2003年6月26日(木) 曇 2003/07/01 更新

早朝、『騎兵隊』(1959 米)の録画を観る。原題が"The Horse Soldiers"なので騎兵隊で構わないのだが、インディアンと戦ったりするのではなく、南北戦争の北軍のこと。主役の隊長のジョン・ウェインは、豪快で言動は乱暴だが情は厚いという、いつも通りの役。相手役は軍医のウィリアム・ホールデンで、誤診で妻を亡くした医者嫌いのジョン・ウェインと口論が絶えない。さらに、反抗的な南部の女を捕虜にし、これらのメンバーで南部に進攻し、爆破しようとする駅を目指すうち、お互いのわだかまりが解けていくという、つまり典型的なロードムービーで、『隠し砦の三悪人』と同様に様々な危機が襲ってくる映画。とはいえ、あれに並ぶほど面白いというわけではないが、こちらも十分面白い。
(★★☆、ドラマ系)

WMCつきみ野で『アバウト・シュミット』(2002 米)の夜の回。お客さんは10人ぐらいで、笑い声も聞こえないまま『アバウト・シュミット』を観ていた。ジャック・ニコルソンは、『プレッジ』に続いて、冒頭で定年退職を迎える役。

続いて、『8マイル』(2002 米)のレイトショー。お客さんは30人ぐらい。若い人ばっかり。
(以下、続く)

2003年6月23日(月) 2003/06/29 更新

先日亡くなったグレゴリー・ペック追悼で放映された『アラバマ物語』(1962 米)の録画を観る。1年ぐらい前にも観ているので、感想はそちらを参照。この映画に関してはAFIとかいう、映画についての変なランキングを定期的に勝手に発表するアメリカの組織が、映画史上最も偉大なヒーローとして、インディアナ・ジョーンズやジェームズ・ボンドを抑えて、この映画の主役アティカス・フィンチを1位に挙げたことでも最近話題になったが、この結果が発表されたのが3日で、グレゴリー・ペックが老衰で亡くなったのが12日とタイミングが良く、まさか彼の危篤を知って急に発表したというお膳立てになっていた、なんてことはないでしょうね? なにしろアティカス・フィンチは、黒人差別の激しい1932年のアラバマで黒人が白人女をレイプした事件の弁護をする弁護士で、銃の名手なのにそうしたことはひけらかしもしないし、やられてもやり返さないという静かな正義漢で、子供たちに対しては静かに語りかける良き父親という、ヒーローとしては非常に地味なキャラクター。日本だったら、座頭市やガメラなどを抑えて、『生きる』の志村喬や『無法松の一生』の松五郎を選ぶようなもの。さすがは武力で他国を脅すようなことはしない、常に弱者の立場に立つことを忘れない、正義を愛するアメリカらしい結果といえるだろう。
(★★★☆、ドラマ系)

2003年6月22日(日) 晴、暑 2003/06/28 更新

NHK-BSの『ちいさこべ』(1962 日)を観る。昨日放映された『冷飯とおさんとちゃん』(1965 東映)と共に、主演:中村錦之助、監督:田坂具隆、そして原作:山本周五郎の、山本周五郎生誕100年番組だそうな。しかし、年とったせいなのか、世の中が殺伐としていると感じているのか、山本周五郎原作のような話が心にしみるようになってきた。
ストーリーは、江戸の若棟梁の錦之助が川越での仕事中に江戸の大火で家と両親を失い、大工の組を一から立て直すことになるが、そのかたわら孤児になった子供たちの面倒を見ることになる。一方、やはり孤児で、今では博打やかっぱらいをしている男(錦之助の二役かと思ったら中村賀津雄だった)も、同じ境遇の子供たちに小遣いをあげたりして子供たちに親しげに近づくが、子供たちを悪の道に誘うなと言う錦之助と対立する。
子供には悪人のレッテルを貼ってさらに悪の道に追い詰めることはせずに、暖かい手を差し伸べて育てようという映画で、食うや食わずの生活を強いられるような状況では、汚いことに手を染めてでも生きていって何が悪いと言われそうでも、本当に正しいことをするには、すぐに結果が出ないからといってあせらずに地道にコツコツとやっていかなければならないことを訴える。
1962年当時は2本立て興行が当たり前だったところ、2部構成の1本立てで、上映時間が170分もある。そのわりに人情モノの地味な内容だったせいか興行的に失敗で、今まで余り注目を浴びなかったが、長い上映時間の中に様々なものが盛り込まれている。
中でも、子供たちがお金を稼ぐために、手作りの粗末な人形で焼け跡で人形劇を開くが、その劇の内容はいつか焼け跡にも花が咲く日がくるという、みんなを勇気づけるものだった。一方、錦之助の若棟梁が組の再興のために金持ちの家の立派な増築を手がけ、そのためにお金にならない町の再建は辞退していたのだが、たとえ立派な職人の仕事でもそれは金持ちの道楽のためにしかならないことに気づく。これを自分に当てはめると、映画を趣味として年に100本ぐらい観るということは、何だかんだで年間数十万円はつぎ込んでいるわけで、これって立派な金持ちの道楽かもしれない。しかも、その道楽のリアクションとして、「あの監督も、もう終わりだね。」なんてことを偉そうに言おうものなら、作り手にとっては一番観てもらわなくてもいい人間だろう。金持ちの道楽ではない、焼け跡の人々が人形劇を見るような気持ちで映画を観る映画ファンでありたいと本当に思う。
(★★★、ドラマ系)

映画とは全然関係ないテレビの話。
「さんまのからくりTV」のご長寿早押しクイズで、「スカンクがおしりから出すものは?」の回答、「スカラー波」! 相変わらずすごいなあ。
そして深夜のコント「すっから母さん」。女装した西田敏行とセーラー服の小倉優子の2人が、当たり前のように絡んでいるのが何とも不思議。小倉優子は例のブリブリ調子で、相手に合わせるなんてことはしてないのに。西田敏行に大物感がないのか?それとも懐が深いということか?

2003年6月21日(土) 晴、暑 2003/06/21 更新

『男はつらいよ 寅次郎真実一路』(1984 日)の録画を観る。シリーズ34作目で、マドンナは大原麗子。
オープニングコントは、東京に怪獣が現れ(松竹唯一の怪獣映画『宇宙大怪獣ギララ』(1967)の映像を使用。ただし、ギララとは呼ばれず、ただの「怪獣」と呼ばれ、挙句の果てにギャグで「ゴジラだ!」なんて言われる。)、あらゆる武器は通用せず、筑波山麓で世捨て人のように暮らす車寅次郎博士を最後の望みと頼って、吉田茂のような格好のタコ社長の総理大臣と蛾次郎の官房長官がやって来る。そこに怪獣も東京からやって来て、車博士が怪獣をやっつけるところで目が覚め、目の前で子供がゴジラの覆面をかぶっているのを見てびっくりする。という、だんだん本編と無関係に、かなり浮いた印象のオープニングになってきた。
本編は、寅さんが東京の酒場で大手証券会社の本社で株のディーラーをしている米倉斎加年(あれ、彼は柴又の駐在さんとして準レギュラーだったはずだけど…。)が、味気ない仕事に嫌気がさし、牛久沼の一軒家からの通勤に家族との時間を削ることを苦にして失踪する。彼の故郷の枕崎に現れたという情報を聞き、彼の妻の大原麗子と寅さんが彼の思い出の地を探し回るが見つからない。結局、彼らが帰ってきた後に米倉が舞い戻り、自分の家に帰る。
出世コースと家族団らんが両立しないサラリーマンの苦悩と、麗子に恋するばかりに米倉が自殺して自分が後釜に納まることを望んでしまった寅さんの自己嫌悪がメインの映画なんだけど、(13分ほどカットされているせいかもしれないけど)どっちも今いち描ききれてないといった感じ。
(★★、ドラマ系)

ところで、6月1日「ナックの『マイ・シャローナ』が今だにポピュラーなのって日本だけ?」と書いたが、『リアリティ・バイツ』の中でもあの曲が使われていたので、アメリカでも相変わらずお馴染みなのでしょう。『チャーリーズ・エンジェル』の前作も音楽のアナクロ・ギャグがあったから、「マイ・シャローナ」も使われているかも。

2003年6月20(金) 2003/06/26 更新

壊れそうだったマイPC、やはりハードディスクが壊れていて、温まってくると変な動きをすることが特定できたので、新しいハードディスクを買って、冷えているうちに中身を丸々コピーして、ほぼ回復に成功。壊れ方が即死だったらこうはいかなくて、メーカーに送ってデータも消されて初期状態で戻って来るはずだったから、不幸中の幸い。ハードディスクは断然安いバルク品を扱っている近所のパソコンショップで、熱くなる高速回転のものは避けて、2001年製のものを1.5万円ほどで購入。15GBから40GBへ容量アップ。本当は、もっと容量が少ない30GBぐらいでも、ちょっとぐらい高くても、新しいものが良かったのだけど、品切れだったので。

2003年6月17日 (火) 曇 2003/06/17 更新

今日は仕事が休みで、今週いっぱいでシネクイントの上映が終わる『the EYE』を朝から、その後フランソワ・トリュフォー映画祭の『あこがれ』『夜霧の恋人たち』をユーロスペースで午後から観に行こうと思ったが、開映時刻を勘違いして、すぐに家を出ても『the EYE』に間に合わないことに気づき、いやそれよりも昨日か一昨日あたりからPCのハードディスクがカッタンカッタン音を出して、動作がとても不安定で今にも起動しなくなりそうな感じなので、動いているうちにデータのバックアップをせっせと取り始める。バックアップは途中までで、渋谷のユーロスペースへ。5分前ぐらいに着き、お客さんは平日の昼間だというのにユーロスペース2(大きい方)のかなり埋め尽くす70人ぐらい。てっきり『D.I』を大きい方で上映しているのかと思っていたら逆だった。『D.I.』ってヒットしてないのか?

ドトールで食事&PC入力(壊れそうなのに、と言われそうだけど、大丈夫。)で1時間ほど時間をつぶす。PCは家で使っていたときよりも快調。長時間使って熱くなってくると調子が悪くなるのかも。『the EYE』は、シネクイントの半券割引サービスで、『刑務所の中』の半券で1000円で観る。お客さんは20人ぐらい。
予告編で、『地獄甲子園』は、チャウ・シンチーの賛辞に、まさに『少林サッカー』のような大げさすぎる野球の映像、しかしそればかりでなく、配給も同じクロックワークスだったんだ。

2003年6月15日(日) 曇 2003/06/21 更新

昨夜から引き続き、『シベリア超特急2』(2000 日)。今回も「WOWOWオリジナル版」という、ホントにオリジナルなんだか、数あるオリジナルの中の1つなんだか、よくわからない名前のバージョン。
前作の続編というよりむしろリメークで、鉄道爆破で足止めをくらった客が、ソ連との国境の満州の街のホテルで殺人事件に出くわすといった内容で、寝台列車をホテルに変えて、外部との出入りがない閉ざされた場所での犯人探しという、やはり『オリエント急行殺人事件』のようなストーリー。今回は、前作のように展開の穴も気にならず、ヒットが期待されて予算に余裕が出来たのかセットも改善されてと、自主映画っぽさはほとんど感じられなくなった。トリックも洗練されて、ミステリーとしてはまずまず楽しめる。なにより、冒頭で登場人物を1人ずづチェックインさせてきちんと紹介したり(このシーンが約9分半にも及ぶ長回しだったのだけれど、インパクトのない映像だったので、気づいたのは後だった。)、トリックの解説を再現映像で見せたりと、最近の下手なミステリー映画ではおろそかにされているキッチリ整理して見せるということを、常套手段を用いて見せるところなど、さすが長年そうした映画を観てきただけのことはある。おなじみとなったどんでん返しの連続も、思ったより不自然ではなく、ギャグにもなっていたりしてまずまず。
まあそれでも、映画全体の出来としては普通にどうってことのない映画といったところなのだけど。
階段を転げ落ちる車椅子とか、(『戦艦ポチョムキン』というより、スローだから『アンタッチャブル』か?)過去の映画の名シーンを再現するような映画マニアらしいお遊びも相変わらず。
(★☆、ドラマ系)

続いて、『シベリア超特急3』(2002 日)。今回も続編というより同じようなストーリーのリメークといった感じで、現在の瀬戸内海での船上パーティーで殺人事件が起き、その状況が60年前のシベリア超特急の殺人事件と酷似していることから、事件解決のために過去の事件を回想するという話。
メインタイトルの""SIBERIAN EXPRESS 3"の文字が画面の右から左に流れるのは、監督お気に入りの『風と共に去りぬ』からのもの。
食堂車でウォッカ・マティーニで乾杯するのは、ショーン・コネリーが来日したときに、大森で彼にエッチな接待をしたという、日本一の007シリーズの事情通、元ユナイト映画日本支社長水野晴郎ならでは。(ただし、シェイクではなくステアしたものみたいだったけど。)
列車の窓の水滴に書かれた「Π(パイ)」の文字は、ヒッチコックの『バルカン超特急』『引き裂かれたカーテン』から。
警笛で叫び声がかき消されるのは、ご存知『望郷』
冒頭、7分30秒もの『虚栄のかがり火』『スネーク・アイズ』を思わせる移動撮影の長回しがあったり、第1作目から多用しているマルチスクリーンが、ここでははっきりスプリットスクリーン(しかも、『悪魔のシスター』を思わせるような使い方をしている)になっているところなど、前作の『アンタッチャブル』にも見られるように、ひょっとして水野監督はヒッチコック以上にブライアン・デ・パルマを意識しているかも。デ・パルマ・フォロワーって、個人的にはポイント高し。
とまあいった具合に、ここでも過去の映画から頂いたことを色々やっているのだが、これだけやると大抵自己満足ぶりが鼻につくものなのに、水野監督は本筋から浮くようなことまではしておらず、意外に趣味がいい。
いや、こうした楽屋オチの部分より、肝心の本筋の方の出来は前2作よりあらゆる面で進歩していて、変な部分はかなり少なくなり、ミステリーとしても(相変わらず『オリエント急行殺人事件』みたいだけど)まずまずで、少年と少女の淡い恋まで描かれている。さらに、前2作でも見られた戦争によってつらい人生を歩んできた虐げられた人々の叫びといった反戦メッセージが、ここでは60年にも渡るような戦争の憎しみが、何かと戦時中の出来事はなかったことにしようとしている今の日本人にも向けられるように描かれていて、かなり痛烈である。
水野監督は本当に天然なのか無邪気なのかそれは見かけだけなのか、未だに量りかねるところがあるのだが、以下は全くの仮説なのだけれど、1作目が変な風にウケたものだから、表面上はそんな人たちにも調子を合わせつつ、2作目3作目と同じストーリーで作り続けるうちに、少しずつ予算も増やして完成度を高めていって、戦争を忘れるなというメッセージの映画を若者にキッチリ見せるという策略を、3作目で実現出来たのではないだろうか。1作目2作目が存在しなくていきなり3作目が発表されたら、たいして話題にならなかったかもしれない。そして、話題づくりには力を貸した、映画あら探し愛好家の邪なシベ超ファンたちは、彼らの期待に反したまともな3作目を観て、「面白くない」なんて捨て台詞の1つも残してシベ超シリーズから退場したのではないだろうか。これって、水野監督が勝利したということになるのかも。
なーんて、ここまで誉めても映画の出来はテレビの2時間サスペンスの水準はちょいと越えている程度なんだけど。
(★★、ドラマ系)

2003年6月14日(土) 曇→雨 2003/06/17 更新

昨日の深夜、WOWOWで放映されていた『シベリア超特急』(1996 日)を観る。作品そのものよりも、なんでこの映画が話題になっているかの方が気になって観てみたのだが、さて…。ちなみに、この映画「××バージョン」というのが多数存在するのだが、今回のは「WOWOWオリジナル版」で、それってオリジナルって言ってないような気がするんだけど。複数のオリジナルが存在するってこと?
ストーリーは『オリエント急行殺人事件』と『バルカン超特急』みたいで、監督のマイク水野こと水野晴郎のミステリーとヒッチコック好きが高じて出来たような映画なのは確かだろう。メインタイトルは『北北西に進路をとれ』みたいだし、倒れてスカートが広がるのを俯瞰で撮ったのは『トパーズ』、白く光るミルクの入ったグラスは『断崖』といった具合。ただし、もっと個人的な趣味性に溺れた、はめをはずした映画を危惧していたのだが、それはこの程度で抑えられていて、代わりにこの映画から感じられたのは反戦メッセージだった。つまり、水野監督は何も妙ちくりんな映画を作って妙なウケを狙っていたのではなく、まともな映画を作ろうとしたのが感じられる。
一方、巷で問題になっていたのは、まずラストの、映画が終わったと見せかけて、その後映画が現実世界に戻りクランクアップ後の俳優の素のやり取りで映画が続くというどんでん返しだろうけど、これは『蒲田行進曲』などにも見られたように展開としてはありふれたもので、この映画では映画の中の反戦メッセージを現実につなげるという意味では、この展開は意味のあるものである。あと、低予算ゆえのセット丸わかりなこと、展開が飛躍していてストーリーのつながりがおかしいところがあること、演出や俳優の実力に問題があることなどは、確かに劇映画の出来としてはかなり問題ありだけど、笑いを誘うほどトンデモナイということはなく、単なる駄作といったところ。というわけで、つまりですねぇ、映画評論家の大ベテランとはいえ、監督としては全くの新人で、おまけに主役まではって自分の趣味が色濃く出た映画を作った、ということから当然「自主映画」という言葉が連想され、結果として35ミリで撮影されたとはいえ「自主映画」と言って差し支えないような代物で、普通そうしたものはトホホな出来をそれなり受け流すのものなのに、それをカルト映画のように大げさに笑いのネタにしている人って、トンチンカンもいいところですよねぇ。(学生が手作りでつくった怪獣映画を、まるで東宝の正月映画のような基準で観て、本気になってバカにしてにして、「トンデモ映画」なんて言わないでしょう。)まあ、はなからあら探しして笑いものにしてやろうという不純な気持ちがそうさせるんでしょうねぇ。映画をナメてますよねぇ。
(★☆、ドラマ系)

2003年6月13日(金) 2003/06/14 更新

少しずつ回復しつつあるが、相変わらず早く眠って夜中に目が覚める生活が続き、昨日の深夜にタイマー録画したBSの『ある日どこかで』(1980 日)を観る。ストーリー的にはもの足りないというか、あのオチの付け方だと、主人公2人の人生を描くことをその時点で投げちゃったみたいで、その後のことも描いてみせるような余韻を持たせて欲しかった。しかし、改めて観て屋外のシーンなんかルノワールあたりの絵画のような画作りで、さらにソフトフォーカスに加えて、現在のシーンでは画質が硬めのイーストマンカラー、1912年は暖かいフジカラーで撮影するなど(今は両者の違いは当時ほどない気がする)、1912年の時代を映し出そうとした意欲がありありと感じられる。主演2人も、そうした雰囲気にぴったりの魅力を見せて素晴らしい。ヤノット・シュワルツ(の表記が日本では通りが良いが、本人によればフランス語読みでJeannot Szwarcはジュノー・シュワークと読むのが正しいらしい)監督、やるもんだ。彼は『ジョーズ2』『スーパーガール』『サンタクロース』なども監督しているが、『ある日どこかで』がお気に入りのようなので、彼に会ったらこの映画を話題に上げて喜んでもらおう。(って、誰に向かって言ってるんだか。)
今回の放映は新しいマスターのようで、以前のものより暗部のコントラストが良くなって確かにきれいなのだが、全編明るくクリアーな画質にしてしまって、上記のイーストマンとフジの使い分けで時代の隔たりを感じさせるといったことは感じられにくいものになってしまっていた。
(★★★☆、ドラマ系)

グレゴリー・ペックが亡くなった。失礼ながら、既に亡くなっていると思ってた。

夕方、仕事を早めに切り上げて、WMC新百合ヶ丘へ『ダブル・ビジョン』(2002 香港=台湾=米)を観に行く。WMCつきみ野で6個、WMC海老名で1個ハンコを貯めて、新百合ヶ丘でタダで観る。お客さんは8人ぐらい。
予告編で、『ザ・リーグ』という初耳の映画、ショーン・コネリーが頑張ってアクションしているけど、全然面白そうに見えないなあ。

2003年6月12日(木) 曇→小雨 2003/06/12 更新

朝、WOWOWの『力道山物語 怒涛の男』(1955 日)を観る。長崎県の大村市の少年時代から映画は始まり、けんかが強いため相撲部屋に推薦されて入門した力道山は、つらい新弟子時代、母の死、空襲、などを乗り越えて関脇にまで上がるが、私利私欲に走る親方と争い、自らまげを切って廃業。その後プロレスの道に入りアメリカ修行から帰って日本で大活躍、NWA王者ルー・テーズと対決するためにアメリカへ旅立つところまでの物語で、普通の伝記風の映画。ただし、映画の最初に断りが入るように、完全な実話ではなくフィクションが含まれていて、例えば彼が力士になるために朝鮮から来た朝鮮人だということは伏せられているが、冒頭の「玄界灘の波は荒い」という字幕はそれをほのめかしていたのだろうか?
力道山は3人が演じ、子役、1939年の入門後、そして1944年に十両に上がってからは力道山本人が演じ、なかなか味がある芝居をしている。http://www.jmdb.ne.jp/によると、彼は生前28本の映画に出ていたんですね。確か、力道山が柱を揺すったら、天井が崩れてきたという、まるで『サムソンとデリラ』みたいな映画があったはずだけど。
力道山の取組やプロレスの試合の実写フィルムも使用。
古賀政男が製作で、遠藤幸吉、ハロルド坂田、沖識名、美空ひばりなども出演。
(★★、ドラマ系)

2003年6月11日(水) 2003/06/14 更新

午後から今週いっぱいで上映終了の『NARC』(2002 米)を観に行こうと思い、その前にもう1本、これもシネセゾン渋谷で今週いっぱいの『BULLY』(2002 米)の14:10の回に行く。1階のエレベーター乗り場のところにある、シネセゾン渋谷の隣の渋谷松竹セントラルの窓口(開いてたり閉まってたりして、どう使うのか謎なのだが)で、「『マトリックス』お立ち見」の札が。平日の昼間だというのに、今日がレディスデーだからだろうか? エレベーターで6階へ上がり、渋谷松竹セントラルを横目に見ながらシネセゾンの窓口に行くと、「『BULLY』でよろしいですね?」と言われた。『マトリックス』と間違えた人がいたのだろうか?
お客さんは30人ぐらい。予告編で、出た!『えびボクサー』。冒頭で「○○エビ」とかもっともらしく解説しているけど、あれ本当はエビじゃなくてシャコなんだよなあ。ちなみに、シャコは実際に貝殻を砕くほどの強力なパンチ力を持っているので、巨大シャコなんかとボクシングしたら、人間なんか一撃で骨ポッキリ。なんか、青い巨大タコも出てくるみたいだけど、どんな映画なんだろ?と言いつつ、観そうにないけど。予告編も、凝ってはいたけどもう一息といった感じ。それから、5分で記憶がなくなるという男の話『NOVO』の予告編もやっていたけど、あれの二番煎じかと思いきや、監督があの『TOKYO EYES』のジャン=ピエール・リモザンで、こちらはせつない恋愛もののようなので、期待できるんではないでしょうか?

『BULLY』終映は16:15頃で、『NARC』の開映17:00までに日比谷スカラ座2へ、思ったより余裕なかったが無事に移動。お客さんは20人ぐらい。

2003年6月8日(日) 2003/06/11 更新

NHK-BS2で『花嫁の父』(1950 米)を観る。タイトルから、娘を嫁に出す父親のしみじみとした映画かと思っていたら、かなりドタバタした映画で、まず相手の男はどんな奴だ?とあれこれ妄想。そして、結婚式を自宅で開こうとしても、250人も招待してどうなるか?などの問題が次々と起こるという、『お葬式』のような内容。でも、『お葬式』のように下品にはならず、あくまで上品な楽しい映画なのは、さすが古き良きハリウッド映画。
(★★★、ドラマ系)

2003年6月7日(土) 晴 2003/06/08 更新

『化石の森』(1973 日)の録画を観る。東京の大学病院でインターンをしている萩原健一が、患者をぞんざいに扱う医師たちに失望して、岸田森(おお、「傷だらけの天使」コンビだ)の新興宗教の坊主が「患者を救うのは医療でなく信仰」などと言ったり…、という医療問題の映画かと思ったら、上京して都会で1人で暮らす者、そして残された母親の、誰かと関わっていなければいられない孤独の方が印象に残った。でもタイトルの意味は、7年前に母親の杉村春子の姦通を目撃して以来親子の縁を切ったショーケンが、憎しみを耐えて生きている世間の人々を化石のようだと例えたことから来ていて、うーんつまり、何の映画なのかまとまりに欠けるということか?
この頃の篠田正浩の映画って、大島渚や吉田喜重などの松竹ヌーベルバーグの他のメンバーと共通する作風なのか?と思ったが、武満徹の音楽がそんな気分にさせるだけだったりして。
(★★、ドラマ系)

2003年6月5日(木) 晴 2003/06/08 更新

『銀座旋風児』(1959 日)の録画を観る。「ぎんざせんぷうじ」こと、装飾デザイナーの麒麟児、二階堂卓也(小林旭)が事件を解決するこのシリーズは、旋風児と書いて『ぎんざマイトガイ』と読むというややこしさ。アキラは蝶ネクタイに襟なしスーツなんかも着たりして、加山雄三の若大将以上に女性に追っかけられてモテモテ。アキラは変装もするのだが、しゃべり方が紛れもなくアキラなのに気づかれず、「貴様は誰だ?!」なんて言われる。ついでに、浅丘ルリ子も男に変装するのだが、ズボンに帽子で長い髪を隠しているだけで、どう見ても女。それ以外は、単に事件を捜査して犯人を捕まえるというものなのだが、渡り鳥シリーズと違って都会的なアキラもカッコいい。
(★☆、ドラマ系)

2003年6月1日(日) 2003/06/08 更新

相変わらず超朝方の生活が続き、朝からWMCつきみ野へ『めぐりあう時間たち』(2002 米)の10:40の回へ。10:25ごろに余裕のつもりで着いたら、今日は映画1000円の日ということで、いままで見たことのないような長い列がチケット売り場にできていた。でも、思ったより列が速く流れて、予告編上映のちょっと前に客席へ入場。お客さんは100人以上の大盛況で、前よりの席に座る。
『めぐりあう時間たち』で、パラマウント90周年の新しいロゴを見たが、何であんなに視点を動かしたものにするかね? いかにも「CGでこんなこともできるようになったから、この機能使えばかなり(「り」にアクセント)良くない?」ってなもんで作ったみたいで、安直で野暮ったく、格調なんかありゃしない。
『めぐりあう時間たち』の主演3人のクレジットの順番は、メインタイトルではメリル→ジュリアン→二コールで、エンドクレジットでは二コール→ジュリアン→メリルの順。

終映は12:45ごろで、眠くなったらハシゴはやめようと思っていたが、大丈夫そうなので引き続き13:30からの『シカゴ』(2002 米)。こちらも大入りで、お客さんは150人ぐらいで、一番後ろの席。
予告編は、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』でナックの「マイ・シャローナ」が使われてるけど、本編でも使われているのか? そうだとしたら、この曲が根強く聞かれているのって日本だけじゃないということか?
『マイ・ビッグ・ファット・グリーク・ウェディング』の形容詞だらけの原題から、何故か「グリーク」だけ抜かされた邦題になった映画の予告編は、オープニングのチャート式で、「今、1人または女友達と映画館に来ている?(Yes/No)」という設問があって、…ハイハイ、結婚適齢期の女性だけを対象にしてるということなのね。
『シカゴ』本編をなんとか深刻な眠気に襲われずに乗り切れて、帰宅。

2003年5月29日(木) 2003/06/08 更新

WOWOWの『続・飢える魂』(1956 日)を観る。先週の『飢える魂』の続編で、2人の女の心の葛藤はますます深まり、愛に気持ちが傾きかけるが、結局子供の存在が大きく、「子供を捨ててまで愛に走るか?」という問題が立ちはだかる。しかし、こういう物語は女は結婚して夫に生活を面倒見てもらうというのが当たり前だった時代だからこその映画で、今は女性の生き方がより自由になった反面、映画として成り立つ設定を1つ失ったということか?
前作では倉敷、名古屋のテレビ塔、松坂、那智勝浦、京都、続編では奈良の薬師寺、志摩と、日本各地の景勝地を巡る優雅な映画。
(★★☆、ドラマ系)

2003年5月27日(火) 2003/06/02 更新

夜中に目が覚める生活が続いていて、早朝に『ドイツ零年』(1947 伊)を観る。オープニングに映し出される、見渡す限り廃墟となった戦後間もないベルリンの映像が圧倒的にすごい。『戦場のピアニスト』の廃墟のワルシャワも敵わないのは、こっちは本物だから当然か。物語は、日本の終戦直後と同じで、物不足で苦しいタケノコ生活を送る中、心がすさんでいく少年が主人公で、こうした子供たちのモラルを下げるような悪い環境を拝し、命の大切さを教えようと訴えるもの。でもモラルを守らせるといっても、闇市まで否定するとまではいかなくても、大人ですら実行できないことを子供に強要するのは無茶な話で、まず大人がしっかりしなきゃいけないというのは、青少年問題について自分のことを棚に上げて子供に厳しいことを言う今の大人たちも全く一緒。しかし、そんな悠長なことを言ってられないほど、当時の状況は急務を要したのかもしれない。
(★★☆、ドラマ系)

2003年5月25日(日) 2003/05/29 更新

昼過ぎから夕方まで眠ってしまい、すっかり昼夜が逆転。元に戻せるのだろうか?
先日WOWOWで放映していた「新世紀エヴァンゲリオン」の録画を、1週間ぐらいの間に少しずつ観て、途中録画に失敗した1.5話以外の24話を深夜に観終わる。観たのは今回が初めてで、評判通りかなり良かった。感想はなんでも感想のページに近々載せるとして、既に観た『ラブ&ポップ』『式日』と合わせて庵野監督作品から感じられるのは、不安定な心を持ちながら他人に心を開かない若者などの弱い立場の主人公に対し、放っておけないという気持ちで何とか心を開かせようと強く働きかけていることが感じられる。そして、私もそうした監督の気持ちや主人公に接点を見ることで、極端かもしれないが監督が観る者を挑発しているように感じる。そうした監督の思いは、「おせっかい」とか「説教くさい」とかいわれるかもしれないが、他人の気持ちに働きかけずにはいられないという気持ちは断然支持する。とくにこうして長々と文章をネットで公表しているような人なら否定できないはずだけど、違うかな? まあ、"Don't trust over 30"の若者なら、大人の言うことを全否定するのが仕事みたいなものかもしれないけど、私のようにいい年の人がクールに振舞って拒否するのって、ただの逃げ?無関心?放任主義? 

2003年5月24日(土) 曇 2003/05/25 更新

深夜、『世界の終わりという名の雑貨店』(2003 日)の放映を観る。軽薄な記事を求める読者との心の隔たりから、書くのをやめて「世界の終わり」という雑貨店の店番をしているライター(西島秀俊)と、学校や家庭に居場所がないと思い、雑貨店にやって来た高校生(高橋マリ子)との触れ合い、といえばまるで『式日』みたいだが、身を切る覚悟の元に作られたようなあの映画と、高橋マリ子のイメージビデオともとれそうなイメージ先行で作られたようなこれとでは、違いが如実に表われてしまった感じ。心の喪失感から「世界の終わり」などという言葉が軽く使われるあたり、二ビル星(だったっけ? いいや、覚える気ないし。)が来て世界が終わるハズだったパナウエーブみたいで、彼らが神聖に感じられる白装束よりは、乙女ファンションの数々や制服や古風な白い下着などを次から次ぎへと着替えて登場してはバレエのような踊りも見せる高橋マリ子の方がちょっとはこちらの心に響くとはいえ、薄っぺらい印象は似たようなものかも。ファンタジックな映画の傑作とは程遠く、つまりどれだけの割合の人々を「信者」にできるかがファンタジー(宗教を含む)の「世評」して表われ、それを大きく左右するのは作者の思い入れの強さとテクニックだということだろう。この映画はそれらが弱かっただけ、などと「駄作」とデジタルに切って捨てずに、傑作から駄作まで地続きに考える私は心が広いなあ。(←なんじゃい!この文章。)
しかし、『四月物語』(1998)や『式日』(2000)にも出てきた赤い傘がここでも出てきたり、岩井監督作品でおなじみの篠田昇風の16mm(?)による荒い粒子の手持ち撮影や、Remedios風のピアノ曲など、アイディアを拝借したとしたらイージー過ぎない?
(★、感覚系)

2003年5月22日(木) 2003/05/26 更新

『飢える魂』(1956 日)の録画を観る。川島雄三監督の『幕末太陽傳』(1957)の直前の日活作品。南田洋子は年の離れた社長の夫にぞんざいに扱われ、接待女までさせられることに不満で、彼女を慕う三橋達也に惹かれるようになる。彼女の知り合いの未亡人で、息子(これがデビュー作の小林旭)と娘を養う轟夕起子は、夫を思い続け子供との生活第一のため旅館経営をしようとするが、夫の親友で病気がちの妻がいる大坂志郎と親しいことが子供たちに嫌われている。不倫の誘惑に心を惑わせる2人の女の物語はどうなるか?と思ったところで、「飢える魂 第一部 終」と映される意外な結末。この続きは、1週間後にWOWOWで放送される『続・飢える魂』をお楽しみということだった。第一部は、後半にかけて緊迫感が高まり、続編に期待。
(★★☆、ドラマ系)

2003年5月20日(火) 2003/05/26 更新

『ホスピタル』(1971 米)の録画を観る。総合病院の中で、検査で入院した患者が医療ミスで重体になったり死んだり、また何者かが暗躍して医師や看護婦が次々と死んでいく。さらにその病院には、拡張工事のため立ち退きを要求している住民たちのデモ隊が押しかけていて、さらに細々とした問題の数々に悩まされる院長(?)のジョージ・C・スコットは、医療の現場への失望それに家庭崩壊とインポで自殺を考えていた…。次から次へと問題が発生するドタバタの展開で飽きさせずに社会的な問題をヒューマンに描いていて面白かった。共演は、ボンドガールでおなじみのダイアナ・リグ、それとノンクレジットのチョイ役でこれがデビュー作のストッカード・チャニング。
(★★★、ドラマ系)

2003年5月18日(日) 曇 2003/05/26 更新

フィルムセンターで16:00からの『思春の泉』(1953 日)を観に行く。観に行こうと思った理由が、フィルムセンターの「逝ける映画人を偲んで 1998-2001(2)」の紹介のチラシ「NFCカレンダー」の表紙の左幸子がもの凄く可愛かったから。彼女はあまり可愛いという印象はないけど、デビュー間もない『思春の泉』の23歳ぐらいの頃はそんな感じだった?。で、『思春の泉』の前に渋谷のユーロスペースで『D.I.』を観るか、日比谷スカラ座1で『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002 米)を観るかでさんざん迷って、結局上映期間残り1週間の後者に決め、日比谷に向かう。途中の地下鉄の中で、ひょっとしたら13:10からの『キャッチ・ミー・…』の回の終映時刻は16:00の直前ぐらいじゃいかと思い出したが、後戻りはできず、日比谷スカラ座へ。窓口で終映時刻を確認したら、15:50頃ということで、それなら何とかなるだろうと思い入場。お客さんは50人ぐらい。

終映は15:50ごろで、フィルムセンターに早足で向かうが、日比谷から京橋まで10分間で移動するという考えが甘かったことに途中で気づいて全速力で。16:00をちょっと過ぎてフィルムセンターに着くが、ちょうど上映前のアナウンスが終わって、客席が暗くなる直前に入場。お客さんは200人ぐらいで、空いてる席がないので仕方なく最前列の左端に座って、斜めに歪んだスクリーンを観ることに。『思春の泉』は、左幸子と花澤徳衛の追悼。上映されたプリントは、石坂洋次郎の原作『草を刈る娘』のタイトルで再公開された時の88分の短縮版の16mmのもので、オリジナル版は現存していないのだろう。舞台は、原作では青森県の岩木山のふもとの嶽温泉の近くの高原となっているそうだが、映画では『馬』と同じ、岩手県の岩手山の見えるあたり。宇津井健のデビュー作で、今と見た目が余り変わらず、はだか馬にまたがって疾走したりしていた。
終映後、昨日なくした手帳のことを、いつもお見送りをしてくれるスタッフのおねえさんに訊いてみたら、届いていたということで、滅多に行けない5階の事務室へ。失くしたのがフィルムセンターで良かった。

2003年5月17日(土) 2003/05/25 更新

映画のことをメモしたメモ帳が見当たらないのは、昨日どこかで落としたからだろうか? 『仁義の墓場』を観ていたときには手元にあったことは確かなのだが。明日フィルムセンターに行く予定だから、訊いてみよう。

2003年5月16日(金) 曇 2003/05/24 更新

昨日、深夜に眠れなくて『おんな極悪帖』を生で観てしまったせいでかなり寝不足で、それでも予定通りにフィルムセンターで19:00からの、特集「逝ける映画人を偲んで 1998-2001(2)」の『仁義の墓場』(1975 日)を観に行こうとする。そして、寝不足で仕事が手につかないと勝手に理由をつけて昼間から映画を観ることにし、あれこれ迷って決めたのは、フィルムセンターの同じ特集の15:00から16:10までの『怪談異人幽霊』(1963 日)と、近くのシネスイッチ銀座で上映されていて、上映時間が16:30〜18:40でちょうど間に納まる『ぼくんち』(2002 日)にする。
時間にかなり余裕があったので、行きの電車で熟睡するために電車に乗る前に牛乳を飲む、ご存知(?)「電車熟睡作戦」が効いてかなりぐっすり眠ることができ、さらに銀座に着くなりドトールでエスプレッソを飲んで、3分ぐらいでさっさと出てフィルムセンターにに向かう。
『怪談異人幽霊』のお客さんは100人ぐらい。クレジットに出てくる名前が、製作の大蔵貢と音楽の近江俊郎以外は知らない人ばかりだが、一応監督&脚本の小林悟の追悼。

続いて、シネスイッチに向かう途中、また別のドトールにちょいと寄っていく。お客さんは40人ぐらい。『ぼくんち』はどちらかといえば面白かったんだけど、淡々とした調子なので寝不足にはつらい。チラシに載っている人たち以外に大勢の出演者が出ていたけど、知っていたのは福本清三ぐらいだった。

そしてまたフィルムセンターへ、今度はあまり余裕がなかったので真っすぐ行く。『仁義の墓場』のお客さんは150人ぐらい。映画評論家の野村正昭さんがいた。今回は脚本の鴨井達比古の追悼ということだが、先日の『誇り高き挑戦』と同様、深作欣二監督と室田日出男の追悼にもなってしまった。この映画もタイトルこそ『仁義なき戦い』に似ているけど、どちらかといえば淡々とした感じで、いよいよ寝不足にはつらい。

2003年5月15日(木) 雨 2003/05/16 更新

深夜に放映していた『おんな極悪帖』(1970 日)を観る。原作は谷崎潤一郎の「恐怖時代」。始まっていきなり、岸田森演じる殿様が屋敷のお白州で侍の首をはね「ハッハッハ!」と高笑い。乱心した殿と目を合わせようとしない側近たちの方に取って返し、安田道代演じる側室のお銀の手をとって寝室に連れて行き、素っ裸にして体をまさぐり、この間ずっと高笑いのしっぱなしという、ものすごい始まり方。お銀は深川の女郎そして芸者だったのが、佐藤慶の家老の手はずで側室になり、誰の子供かわからないが殿様との間にできたとされている男の子を跡取りにするために、腹心の小山明子とその恋仲の田村正和らと共に、江戸屋敷の奥方を殺そうとし、また自分の秘密を守るために、色仕掛けなどで仲間たちの口を次々と封じていき、思惑通りに物事が運んでは笑みをたたえる安田道代。彼女は全裸の後ろ姿や引きの画でおっぱいを見せているみたいだけど、確かではないが裸はふき替えだろう。そして剣の使い手の田村正和、というよりマサカズ(若い頃の彼はカタカナの方がイメージにぴったり)、立ち回りで髪が乱れると前髪が花形満みたいになったりして、おなじみの絵に描いたような色男ぶり。倒産間際の大映にしては、バラエティ豊かな出演者が見もの。
(★★、ドラマ系)
木曜深夜のテレビ東京の邦画の番組「シネ・ラ・バンバ」は、来週は『夜の診察室』で、大映の末期の映画シリーズに入ったのか?と思ったら、再来週は『リメンバー・ミー 時の香り』なので、単なる2回シリーズだった。

2003年5月13日(火) 2003/05/23 更新

ヴァージンシネマズ海老名9で19:00からのの『サラマンダー』(2002 米)の試写会に行く。劇場には18:50頃に到着して、後ろの方の端の席になる。お客さんは200人弱。本編上映前に、『ミニミニ大作戦』『スパイ・ゾルゲ』『チューリーズ・エンジョル フースラトー(…って聞こえる)』の予告編が流れるが、『スパイ・ゾルゲ』の新しい予告編が、もー最悪! だいたい、今NHKの「その時〜歴史が動いた」が人気があるから、その視聴者の中心の中高年が確実に期待できる年齢層なのに、バックに流れる音楽が重厚なオーケストラでなく、わけのわからないロックなんか流してるのはどういうこと? 何が♪いんふぃにてぃいい〜〜〜♪だ! 編集も、場面場面の断片の継ぎはぎみたいで、さっぱりそそられない。それに、最後に写される戦前の東京の映像のCGは、なんか特徴のない画で、あれじゃ上海のオープンセットと思われるぞ。若者にもアピールすることを狙って、CGをふんだんに使っていることを示すために、有名な現存しない東京の建物をこれ見よがしに映して見せることを何故しない?!(例えば、日劇とか銀座とか。これでも通じるか怪しいけど。) こんな予告編じゃ、誰にも観て欲しくないと言っているようなもんだぞ! それともまさか、本編の出来が想像以上にヒドイからなのか?と勘ぐってしまう。
さて『サラマンダー』、例によってダジャレのネタとして「ゲリマンダー」「コリアンダー」などと考えていて、そいうえば「ゲリマンダー」ってって何だっけ?ということで調べてみたら、「与党が自分に有利になるように選挙区を変えること」で、語源は「マサチューセッツ州知事のゲリーが、自党に有利になるように組み替えた選挙区の形がサラマンダーに似ていた」からだとか。高校の公民の時間にでも習ったきり、使ったことはもちろん聞いたこともなかったのではないだろうか? 今回こうして使って、そして今後死ぬまで使わない気がする。そして、ほんじゃ「サラマンダー」って何かといえば、伝説上の火の中に棲むトカゲだそうな。そして邦題の『サラマンダー』だが原題は"REIGN OF FIRE"(炎の支配)で、松浦美奈さんの字幕では、冒頭では映画の中の空飛ぶ巨大な怪物を指して「サラマンダー」と読んでいたが、映画の中で英語のナレーションや台詞ではサラマンダーなどとは一言も言ってなく、字幕でも途中から怪物のことは「ドラゴン」と呼ばれていた。つまり邦題は東宝東和によるオリジナルのネーミングで、確かにこの邦題が最善かもしれないけど、あれはトカゲじゃないなぁ…。
終映後、試写会のスタッフがアンケート用紙を集めていたが、遅く入場したせいかそんなものもらってなかった。ひょっとしてアンケートに答えたら何かが抽選で当たるかとも思ったが、結局書かずにその場を去る。まあ、いいか? そういうの当たったことないし。さらに、ロビーから劇場の外に出るときに、集めたアンケート用紙を次々と読みながら退場して行くスタッフ3人といっしょになった。
今日は適当なハシゴする映画がないので、これだけ。

2003年5月11日(日) 2003/05/22 更新

京橋のフィルムセンターに、特集「逝ける映画人を偲んで 1998-2001(2)」の、13:00からの『誇り高き挑戦』(1962 日)を観に行く。一応脚本の佐治乾の追悼ということなのだが、監督の深作欣二(2003没)の追悼にもなってしまった。お客さんは150人ぐらい。浅間山のような噴煙を噴く噴火口をバックに、東映の三角マークのような「ニュー東映」の三角マークが現われるのは初めて見た。映画の中で、今もある東映本社の建物が一瞬写るのだが、向かい側の首都高の高架はまだなかった。

14:30頃終映で、次に何の映画を観るか決まってないまま銀座方向に歩くと、先日「どこにあるのか?」と掲示板に書いた「」の看板のヒサヤ大黒堂のビルを発見。
結局次の映画は、16日で上映が終わる『鏡の女たち』(2002 日)に決め、15:55からなので1時間以上時間があったが、とりあえず日比谷線で恵比寿の東京都写真美術館ホールに向かう。15:30頃に受付で整理番号40番ぐらいをもらい、入場時刻までコーヒーでも飲みに行こうかと思ったところ、ちょうどそこに吉田喜重&岡田茉莉子夫妻の監督&主演コンビが来館。週末の上映は今日が最後だからだろうか? 黒のスーツと黒のドレスで、もぎりとパンフレット販売のスタッフへの挨拶と、ロビーで展示中の往年の岡田茉莉子さんの写真と岡田監督作品スチル写真などを眺めて、それが終わるとロビー中央で2人でたたずんで、他の人たちは気づいているのかいないのか、距離を置いて立つという気まずい(?)雰囲気。そりゃ私も話しかけてもよかったけど、せいぜい言えることといえば、
 「岡田さん、観ましたよ『香華』に『秋刀魚の味』。あれは良かったですね。あと、『人間の証明』と『金田一耕助の冒険』も。」
ぐらいしか言えないし、ましてや
 「監督の『エロス+虐殺』と『戒厳令』観ましたよ。どちらにも撃沈させられましたけど。」
なんて言えないもんなぁ。
そうこうしている間に、上映中の回が終わって中からお客さんが出てきて、その中の何人か(顔見知りかどうかは不明)が2人に話しかける。そして、入れ替わりにこちらが入場。お客さんは50人ぐらい。『鏡の女たち』のスクリーンには、あの世から室田日出男が甦って来ていた。

2003年5月10日(土) 曇 2003/05/11 更新

深夜に『イルマーレ』(2000 韓国)の吹替版が放映されていたので観る。海岸にあるイルマーレ(イタリア語で海)という名前の家の前の郵便箱を通して、1999年の若い女と1997年の若い男の間で手紙(と小物)のやりとりをする話で、『猟奇的な彼女』の感想で書いた通り、岩井俊二の『Love Letter』や大林宣彦作品のような、時空を越えた恋愛モノ志向が韓国映画に強く見られるという私の仮説を、また1つ裏付けるような作品である。でも、違う時間に存在する2人という設定がそんなに生かされてなくて、遠距離の文通と大差ないやりとりが大部分というのは面白くないなあ。それどころか、遊園地での2年間の時間差デートはちょっとわざとらしいし、男の側からの片想いは重くてウジウジした感じだし、強引な悲劇のエピソードもちょっとねえ。夢のようなファンタジー映画なら、こうした不快な展開は避けて、気持ち良いエピソードだけで貫いて欲しいもので、タイムパラドックスを堂々と破ったオチも、それ無しで不快なままで終わってしまうよりはマシだから、しかたがなくあれで終わらせたといった感じ。採点の★は、ファンタジーへの果敢な挑戦だけは認め今後に期待するという意味でオマケをプラス。
チョン・ジヒョンはさとう珠緒が吹替えて、声に特徴があり過ぎて番組終了時のクレジットを待たずにすぐに判ってしまい、珠緒ちゃんが思い浮かんでしまうのはマズイだろう。手紙の朗読が多いのと、下手な声優という役柄のため、棒読み調はさほど問題にならず。
(★★、ドラマ系)

2003年5月9日(金) 2003/05/21 更新

『猫と庄造と二人のをんな』(1956 日)の録画を観る。原作は谷崎潤一郎。猫を可愛がってばかりで全く頼りない庄造(森繁久彌)を、彼の先妻(山田五十鈴)と後妻(香川京子)が、庄造愛しさというより相手に負けたくないという意地の張り合いで庄造を奪い合う。昨日の『風雲児 織田信長』では、「利家とまつ」の松嶋菜々子のような貞淑な信長の妻を演じていた香川京子が、こちらでは何しろ相手が山田五十鈴なので、水着姿や下着姿などで始終キンキンまくしたてる激しい演技。この2人の駆け引きとそれが最後には取っ組み合いまでする凄まじさと、2人の間で優柔不断に振舞う森繁のやり取りが面白い。森繁って今まで真剣に見たことないけど、この映画ではいいねえ。
(★★★、ドラマ系)

2003年5月8日(木) 2003/05/19 更新

『風雲児 織田信長』(1959 日)の録画を観る。中村錦之助演じる織田信長が、父の死を受けて領主になってから、桶狭間の戦いで今川義元を破るまでの話。この映画もなんといっても錦之助。眉毛を思いっきりつり上げたメークをし、やたらと上半身ハダカになって、豪快なキャラクターが魅力的。そして一番の見せ場はクライマックスの桶狭間の戦い…ではなくて、敵の目をあざむくために無防備を装って、一転信長の出陣の合図で軍勢が一斉に今川義元の本陣を目指して突進していくところ。合戦シーンは不意を突いた織田の軍勢が一方的に勝ってしまうので、それほどでもない。
(★★☆、ドラマ系)

深夜、NHK教育テレビの「トップランナー」今日のゲストは『あずみ』の公開をあさってに控えた北村龍平監督。(映像と音で表現する)映画としての特質を一番表わすのが「アクション映画」だとか、自分はタランティーノやジョン・ウーの影響を受けているけど、世界中で銃の横撃ちをやり出したのはダサいとか、今はアクションを撮っているけど、そればかりでなくいづれ別の映画も撮りたいとか、(ハリウッドとか言われているけど)自分の撮りたい映画を撮らしてくれるところで撮るだけだとか、言っていることは全くもっともなことばかりで、自分自身も周りの状況もちゃんと判っている人だった。あとは、腕と結果がついてくることだけだな。それより、この番組はゲストよりも4月からの新司会者に、日本一トークのできない俳優の武田真治と、日本を代表する不思議ちゃん女優の本上まなみという、あまりにも大胆な起用の方が注目だったが、武田真治はちゃんとやっていて、あまりしゃべらなかった前任者の田辺誠一よりも良いくらい。じゃ、あのしゃべれないキャラはつくりだったのか?

2003年5月6日(火) 2003/05/19 更新

『真剣勝負』(1971 日)の録画を観る。内田吐夢監督&中村錦之助コンビによる、吉川英治原作の宮本武蔵モノだが、東宝作品なので、東映での宮本武蔵5部作のシリーズの新作というわけではなく、回想シーンも東映作品の映像は使えず新たに作られていた。テーマソングが東映の作品のパロディみたいにそっくりで、同じ小杉太一郎が担当。
山道で日が暮れて武蔵が立ち寄った家には、宍戸梅軒(三國連太郎)と妻のお槙(沖山秀子)の鎖鎌の使い手の夫婦と赤ん坊の3人がいて、武蔵がお槙の兄を殺したタケゾウだと知って敵を討とうとする。武蔵の正体がバレるのが始まって25分ぐらい経ったところで、そこから最後までの約50分間が、手下と共に寝込みを襲うスリルとサスペンス、なぎなた、槍、火縄銃などの使い手の手下たちを相手の立ち回り、そして赤ん坊を人質にとっての鎖鎌夫婦とのにらみ合いと、ノンストップの見せ場の連続で、まあ面白いのなんのって! 観てないからあくまで決めつけだけど、こういうのを観てないで今年の『魔界転生』や『あずみ』が面白いとか言っている人は、まさに「知らぬが仏」でしょうねぇ〜。そのことが不幸なのか幸福なのかは、各自の映画ファンとしての貪欲さによるのだろうけど。
内田監督の遺作で、ラストが途中で終わった感じなのは、どうやら未完に終わったためらしい。
(★★★☆、感覚系)

2003年5月5日(月/祝) 2003/05/19 更新

『反逆兒』(1961 米)の録画を観る。徳川家康(佐野周二)の三男の三郎信康(中村錦之助)が主役で、桶狭間の戦いで滅ぼされた今川家から嫁いで来た彼の母親の徳姫(杉村春子)は織田信長(月形龍之介)を恨んでいて、彼の妻(岩崎加根子)は織田信長の娘という人間関係の中、信康がのし上がることを恐れた信長が、徳姫の彼に対するむほんを口実に、信康共々亡き者にするように家康に圧力をかける話。オープニングこそ合戦シーンで始まるが、全体的に屋敷の中でのほとんど動きのないシーンが大半なのは残念。
(★★、ドラマ系)

2003年5月4日(日) 2003/05/11 更新

『スカイ・ライダーズ』(1976 米)の録画を観る。ジェームズ・コバーン演じるパイロットの元妻と彼の子供2人がテロリストに誘拐され、周りが崖っぷちの修道院跡に囚われているのを、ハングライダー・サーカスの助けを借りて救出に向かう。ストーリーは単純だし、修道院からハングライダーで逃げ出した後、なぜかまた修道院の上空を通ってテロリストたちに撃たれたりするのはよくわからないが、月明かりの中を切り立った崖の絶景をバックにハングライダーが飛ぶ緊張感あふれる映像がなんといっても素晴らしい。それとジェームズ・コバーン、やたらと白い歯を見せてニヤリと笑ったり、テロリストのヘリコプターの脚につかまって空高く飛んだりと、カッコいいのなんの。ミル・マスカラスのテーマでおなじみのジグソーの「スカイ・ハイ」が主題歌の『スカイ・ハイ』(1975 香港=豪)と共に、2本のハングライダーのアクション映画の日本公開が1976年にぶつかったのは有名な話。
(★★☆、感覚系)

2003年5月2日(金) 曇 2003/05/04 更新

今日が最終日の『小さな中国のお針子』(2002 仏)の夜の回を観にル・シネマへ。ここは、最終日でも満席だったりするので、1時間前に行って見たら、16:20の回は違っていたが、13:40の回は満席だった。ついでに、となりのル・シネマ1で上映中の『北京ヴァイオリン』も、朝の1回目から午後の回まで3回とも満席だった。整理券54番をゲットし、下の階で待つ。今日はなにやらオーチャードホールとシアターコクーンで何か催し物をやっていて、文化村は老若男女やたら人通りが多い。家に帰ってから調べたら、オーチャードホールでは松山バレエ団「ジゼル」、シアターコクーンでは野田秀樹の「オイル」だった。
入場時刻になって上に上がり、客席に入ると席はほぼ満席。

21:05頃に映画が終わって、向かいのシネ・アミューズで『blue』(2001 日)のレイトショーへ。予告編なしで21:10からの上映なので、5分以内に移動しなければならないのだが、ル・シネマのエレベーターはなかなか上がってこないので、隣の東急百貨店本店に回ってエレベーターで降りるという大回りをして、なんとか間に合う。整理券番号は18番なので、お客さんは20人ぐらい。シネ・アミューズは、内装が青一色のウエストと赤一色のイーストという、定員130人ぐらいの客席2つからなっているのだが、『blue』はやっぱり青のウエストで上映されていた。
主演の2人がDyDoの自動販売機で飲み物を買うシーンがあるのだが、この映画が撮影されたのが2001年の8月ごろなので、当時は市川実日子が将来アサヒの十六茶のCMに起用されるとは思っていなかったということ。市川姉妹はお互いに似ていないと思っていたが、実日子はある角度で見ると実和子にそっくりだった。
『blue』は間違いなくビデオ撮りで、コントラストがフィルムよりビデオっぽいから、明るいシーンなどフィルム撮りより画質がいいと感じる人もいるのではないだろうか。実際には白はとび気味で黒はつぶれてしまっているし、田んぼの稲を写すと解像度が悪いのがはっきりするのは『リリイ・シュシュのすべて』(2001)と同じ。でも、気になるほど悪いということは全然ない。
小西真奈美が持っているCDのことを市川実日子に聞かれて、「アズテック・キャメラ」と言うのだが、アズテック・カメラのことをそう言う日本人を見たことがない。どの辺にいるのだろうか? こっちも「ピーター・ゲイブリエル」ぐらいは言うことにしよう。
新潟交通のバスが走るので、映画の舞台は新潟市なのだが、ロケ地は新潟市と富山県の高岡市で、高岡では伏木高校で高校内のシーンの大半を撮影し、それ以外は新潟市。つまり、最初に出てくる新潟の救急車は富山で用意したニセモノだろう。新潟の海岸からは、海の向こうに佐渡島がちゃんと見えていた。

2003年5月1日(木) 晴 2003/05/02 更新

今週いっぱいで多くの映画館で最終日の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を観に行こうと思ったら、さらに3週間、5月23日まで上映するとのことなので、今週末から朝早い時間しか上映しなくなる『星に願いを。』(2002 日)に予定変更し、WMCつきみ野の夜の回へ。お客さんは30人ぐらい。
神奈川ニュースで、新設の県立福祉大学の入学式と、先日の選挙で田嶋陽子を破って(といっても彼女は4位)当選した松沢新知事の挨拶が約5分間。そのせいか、予告編が『恋愛寫眞』(←なんでこんな変換できないタイトルをつけるんだよ! こんなときは、「映画国語辞典」のページが役に立つ。)1本だけ。『星に願いを。』が東宝なのに、何故か松竹の予告編。
『星に願いを。』は『オー・ド・ヴィ』に続く函館が舞台の映画で、こちらも路面電車がこの世とあの世の橋渡し。冒頭、吉沢悠が家を出て路面電車に乗って病院に向かうけど、函館ドックの方から市の中心部に向かう電車に乗ったのに、降りた電車の行き先は「どっく行き」。まあ、構図の関係上、山をバックに入れようとすると、現実の地理を無視した方がいいわけで、こんなローカルな間違い探しは、単なる知ってる人だけの密かな楽しみですねぇ。『ギターを持った渡り鳥』の浅丘ルリ子の屋敷が、国の重要文化財の旧函館区公会堂だとか、『007は二度死ぬ』の大里化学の本社がホテルニューオータニだとか・・・ね! 気がつけば、竹内結子に中村麻美、それに牧瀬里穂って、ほとんどエース級だなあ。まあ、オリジナルの『星願』のセシリア・チャンも強力だったので、このクラスをぶつけないといけないと思ったのかも。

21:00ごろ終映で、15分ぐらいで家に帰ってテレビを観たら、「とんねるずのみなさんのおかげでした」で、ちょうど牧瀬里穂VSモー娘。の保田圭&高橋愛の食わず嫌い王決定戦が始まったところだった。ちなみに、牧瀬はみたらし団子が「いつ飲み込んでいいかわからない」という理由で嫌いだそうな。相手の方は高橋愛のモンブラン。

2003年4月30日(水) 雨→曇 2003/05/16 更新

テレビドラマの「新・夜逃げ屋本舗」をちらっと観て、ゲストが淡路恵子、正司照枝、草村礼子、それに秋野太作まで、出演者が『ぷりてぃ・ウーマン』とだぶっているなあ、と思っていたら、製作が同じ光和インターナショナルで、演出も渡邊孝好監督だった。さらに、来週のゲストは西田尚美

「マシューズ・ベストヒットTV」のゲストの保田圭に、マシュー共々どっかんどっかん笑う。(マシュー、すっかり調子が狂って、地の関西弁が出ていた。) 天然でもないのに、すごいなあ。5月5日で卒業だなんておしいなあ。彼女と入れ替わりに入ってくる新メンバーは全然特徴なさそうだし、モー娘。はこれでいいのか?

『瞼の母』(1962 日(東映、監督:加藤泰、主演:中村錦之助))の録画を観る。番場の忠太郎が「上の瞼と下の瞼をぴったり合わせりゃ姿が浮かぶ」生き別れた母を訪ね歩くという、お馴染みの…というのは嘘で、どんな話かは知らなかった。でも、調べてみると『瞼の母』(1952)、『番場の忠太郎 』(1955)と、同じ原作なのにどれも話が違うから、どれが本当かわからない。
忠太郎がやっと会えた母に、親でないと冷たく否定されるところは、やっぱりグッとくる。
(★★、ドラマ系)

2003年4月27日(日) 晴 2003/05/01 更新

『巌窟の野獣』(1939 英)を録画で再見。ヒッチコックが渡米する直前の、イギリス時代最後の作品。海賊の拠点のジャマイカ・インという限られた場所を舞台に、敵味方あいまみれる中、『フレンジー』のように助けを請うてはいけない人とは知らずに助けを求めたりなど、次から次へと状況が変わるストーリーはかなり面白い。でも、悪役のチャールズ・ロートンをサイコなキャラクターということで同情を誘うという設定は余計だったのでは? 彼が眉毛を剃って、おでこに太いつけ眉毛を付けるという変なメークをしていた。
(★★☆、ドラマ系)

続いて、『地獄のデビルトラック』(1986 米)を録画で再見。機械が勝手に動き出して人間を襲うというB級映画らしいアイデアを元に作られ、部分的に良かったとしても、全体的に作りが緩いとしても、あくまでB級の範囲内という典型的なB級映画で、だいたい面白いB級映画なんて圧倒的に少ないんだから、まあこんなもんな出来。で、多分世間的に問題なのは、脚本と監督がスティーブン・キングだってことだけど、この後彼は単なる小説家として、監督はもちろん脚本もほとんど書いていないので、なんにも考慮する必要はないでしょう。
(★☆、B級系)

さらに続いて『スミス夫妻』(1941 米)を録画で再見。夫が妻とよりを戻そうと必死になるコメディ。終盤は舞台をスキー場に移し、ここで車で山道を走っているときに立ち往生して困るところが面白い・・・と思っていたら、それは他の何かの映画のシチュエーションで、『スミス夫妻』の方は以外にあっさり終了。ストーリーは今一だけど、恋とユーモアで一応ヒッチコックらしい。それにしても、何の映画と勘違いしたんだろう?
(★★☆、ドラマ系)

深夜、『雪之丞変化』(1963 日(大映)、監督:市川崑)の録画を観る。長谷川一夫の三百本記念作品にふさわしく、女形の雪之丞と義賊の闇太郎の二役の長谷川一夫、雪之丞に一目ぼれする娘に若尾文子のしとやかさ、女盗賊の山本富士子の江戸っ子言葉のきっぷの良さ、駆け出し盗賊の昼太郎の市川雷蔵の飄々とした味、その他先代の鴈次郎に勝新太郎と、豪華キャストき加え、冒頭の暗闇での空を切る光る刀のみの映像で表現された切り合いなど、異常に期待を持たせて始まったのだが、室内で座ったままの人を、市川崑得意の、シネスコの画面の片方の端しか使わない構図で見せる重苦しいシーンが大半で、見せ場が少なかったのががっかり。豪華キャストも、結局ちょっとずつ顔をみせただけだった。
(★★、ドラマ系、感覚系)

2003年4月26日(土) 2003/05/03 更新

『駅馬車』(1939 米)の録画を観る。今まで何度も観ているので軽い気持ちで観始めたのだが、駅馬車の乗客たちが繰り広げるドラマが本当によくできていると、改めて感心。そして、駅馬車が襲われるシーンのアクションも凄いけど、さすがに子供の頃初めてあれを観た時のような興奮はもうすることはない。その時の思いで★4つ。でも、昔純粋な気持ちで映画を観ていたのと、こういうしっかり作られた映画をたまに観ると、最近の手垢にまみれたような映画ばかり観ていてはだめで、時々こうしてちゃんとした映画を観て、心を洗い流した方がいいとつくづく思うのであった。
でも、この映画に対して、「白人の側から描いていて、先住民の側からの視点に欠けている」なんて言い出す奴が最近いそうな気がする。そんな奴にはモニュメント警告!(渓谷、バレー)
(★★★★、ドラマ系)

2003年4月25日(金) 雨 2003/04/30 更新

TOKYO FMホールで19:30からの『ロスト・イン・ラ・マンチャ』(2001 米=英)の試写会を観に行くが、その前に今日が最終日の『わたしのグランパ』(2003 日)を観に渋谷東映へ。午後に仕事でミーティングがあって、予定の時間が過ぎたあたりから雑談モードになったので、無理やりお開きにして渋谷に向かうが、それでも出発が予定より遅くなったため、駅に着くなり映画館に駆け込んで、開映直前の『魔界転生』の予告編上映中に客席に入る。お客さんは30人ぐらい。

続いて半蔵門に移動し、TOKYO FMホールに19:20頃に着き、一番前の右の方の席に着く。最近、この斜めの角度でスクリーンを見ることが多い。お客さんはほぼ満席で250人ぐらい。今回の試写会は、主催者がTOKYO FMで、提供がオリックス・クレジット。そして配給が先日の『ぷりてぃ・ウーマン』と同じシネカノンで、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』とは全然関係ないはずなのに、バンダイの「プリモプエル」のパンフレットが映画のチラシと一緒に配られていた。

2003年4月24日(木) 2003/04/29 更新

明日の午後に映画3本のハシゴを予定していたのだが、ハズせないミーティングがあったことに気づき、3本の中の1本『人斬り銀次』(2003 日)を今日の夜の回に観ることにし、新宿へ向かう。
おととい新宿に行ったときに、新宿東口の某金券ショップで『人斬り銀次』の前売り券が800円で売っていたのをチェックしていたので、まず西口の金券ショップ行って、定価に近い値段やもうちょっと安めの店があったものの、800円以下では売られてなかったので、おととい見た店に行くと、なんと300円になっていた。そこで、500円玉でお釣りまでもらって券を買う。ちなみに、西口には明日が最終日の『モーヴァン』を600円で売っている店もあったので、最近は金券ショップでは前売り券はほとんど定価売りのものばかりだったのだが、値下がり傾向になってきたのだろうか?
開映時刻の5分後ぐらいに新宿東映パラス3に着き、予告編上映中に客席に入る。ここはスクリーン左脇にある大きな「禁煙」のランプがあって、前から3列目より後ろだと目障りでしかたがなかったのだが、以前はこうこうと明るく光っていたのが、うすぼんやりとした明るさになっていたので、以前より気にならなくなった。それでも、スクリーンが小さいので前の方がいいのだが、定員48人のところ20人ぐらい入っていて、思うように席はとれない。横から見る形になってしまうのは仕方がないのだが、一番前の左側の席がいくつか空いていたので、そこに向かう。ところが、その座席には何やら上着のような荷物のようなものが2つの座席の上に置かれていて、1つ空いていた左端の席に座る。よく見るとそれは、新宿の映画館に時々出没する、新宿タイガーマスクの衣裳だった。以前、新宿ビレッジ(今の新宿スカラの地下)で『レッド・ブロンクス』を観に行ていたとき、予告編のときに彼が入ってきて、空いている客席の一番前に座って、マスクをはずして映画を観ていたのを目撃して以来だった。しかも今回は隣の隣の隣の席にに座っていたので、それとなくマスクの下の姿が見えてしまったのだが、彼が一番前の席に座るのは素顔を見られないようにということだろうから、どんな人かは内緒にしておこう。
『人斬り銀次』は、夏八木勳、竹内力、石橋蓮司、麿赤兒、鶴見辰吾、そして古尾谷雅人と、激渋の出演陣。古尾谷雅人は遺作となったこの作品で総理大臣を演じていたが、料亭の鴨居よりも頭が上にあるのに、家の中で首を吊るなんて・・・。

2003年4月22日(火) 2003/04/27 更新

新宿の厚生年金会館で18:30からの『ぷりてぃ・ウーマン』(2002 日)の試写会が当たっていたので、その前に新宿東映パラスで上映中の『わたしのグランパ』を観ようと思って行ったら、出発時刻が遅くなってしまい、ギリギリにしか間に合いそうになかったので、無理して行かないであきらめて、行きの電車でぴあを見ながら他の映画を探し、こういうときに有利なのは上映時間の短かい映画ということで、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード』(2003 日)を観に行くことにする。新宿コマ東宝へ向かう途中、靖国通りの横断歩道を渡ると、向こうから自転車に乗ってやって来るハゲ頭の大男は・・・キラー・カーン?
『しんちゃん』を歌舞伎町で上映するのってどうなのよ? と思いながら入場すると、やはり子供連れは1、2組だけで、他は大人が15人ほど。しかも、この16:30からの回が最終回で、18:00には店じまいって・・・いいんでしょうか?
予告編で、来年の正月映画はまた『ハム太郎』と『ゴジラ モスラ メカゴジラ S.O.S』で、モスラの幼虫なんかがひょこひょこするのが、うーんクラシック。でも、この予告編の映像って、(撮影はこれからだと思うから)過去の作品の使い回し?

終映が予定の18:00より5分以上遅れ、厚生年金会館まで早歩きで10分ぐらいで着く。お客さんは多分1000人以上は入っていて、前の方の左側に座る。
今回の試写会は舞台挨拶付きで、主催のニッポン放送の桜庭アナの司会で、淡路恵子、西田尚美、風見章子、草村礼子、イーデス・ハンソン、正司照枝、絵沢萠子、馬渕晴子、渡邊孝好監督が登場して1人づづ挨拶。この中では、風見章子さんが最年長だそうな。他の人が挨拶をしている間、淡路恵子と西田尚美が和気あいあいと雑談していた。
部隊挨拶は10分程で終わって全員退場し、続いて今回の試写会とこの映画のスポンサーのバンダイのしゃべるぬいぐるみ「プリモプエル」の着ぐるみが登場し、プリモプエルの当選者の発表。私はハズレ。
『ぷりてぃ・ウーマン』は、東京で2館のみの上映なのに、大会場の厚生年金会館で2日続けて試写会と大盤振る舞いのようにも思えたが、確かにいい映画だったので、内容に自信があって口コミで動員が増えることを期待しているのだろう。

2003年4月21日(月) 2003/05/01 更新

先週に引き続き、「東京ラブ・シネマ」をちらっとだけ観る。タイアップなしかと思っていたら、シネスイッチなど実名が使われていたので、これからは続々と出てくるのだろうか? 要するに何が気に入らないかというと、まずなんといっても「ラブ」がイヤで、それに加えて「東京」「ミニシアター」の組み合わせに、女性視聴者を相手に、恋も仕事もうまくいってハッピーエンドという結末が見えてしまうような軽薄さがイヤ。これが「福島シネコン・ウォーズ」とか「弘前ラスト・シネマ」だったら、同じ実話ベースでも観る気がするんだけど。ま、お手軽ななりに頑張ればいいさ。ネタとして以外には期待しないけど。(悪口言ってるわけじゃなくて、ドラマには興味がないってだけですよ、念のため。)

深夜、『「物陰に足拍子」より MIDORI』(1996 日)の録画を観る。『アタシはジュース』『ありがとう』と続いた「フジテレビMOVIES」の1作目。
授業をサボって保健室に行ったりしていた高校生のみどりが、同居する兄夫婦、付き合い始めた男子生徒、少女たちを相手に怪しげな性の解放を説いている彼の姉などと触れ合ううちに、他人に依存したり依存されることを望んだりの彼らの馴れ合う姿にうんざりし、一人で生きていくことを決意するという映画。
観終わってみればちゃんとした映画なのだが、始まって55分経ったあたりで、みどりの心境が保健室でくすぶっている延長からさっぱり進まず、映像も引きの画に長めのカットなので、すっかりダレてしまい1.5倍速再生。だいたい、そんな心境の主人公に対しては、自分を不幸だと思っているのなら自分で乗り越えるしかないだろうし、不幸だと感じるまでもないとも言えるからこっちが気にかけなくてもいいし、早い話がどうでもいい対象に思えてしまう。あと、ぼんやりしたキャラクターが大半の中、兄嫁の中島ひろ子のイヤミな役が絵に描いたようなのもマイナス。つまり、「何を伝えるか」という点では良いとしても、「どう(楽しく)伝えるか」という点で配慮に欠けて観る者をダレさせてはいけないのではないか? 似たような映画でも、『害虫』や『ラブ&ポップ』はそんなことはなかった。
みどり役は嶋田博子という余り見ない人。彼女と付き合うのは、デビュー間もない加藤晴彦。みどりに迫る男子高校生役で、これがデビュー作(?)で、当時は「ヨースケ」という、隣の晩ごはんをやっていそうな売れない芸人のような芸名だった窪塚洋介
(★★、ドラマ系)

2003年4月20日(日) 2003/05/01 更新

『チャップリンの霊泉』(1917 米)の録画を観る。いつもの浮浪者と違って、湯治場に来た金持ち風のチャップリン。そこの入り口の回転ドアに挟まったり回り続けて目が回ったりといろいろ見せてくれるが、他はあまり見せ場がないのが残念。昨日観た作品にも出ていたエリック・キャンベルとかも、乗っていた車椅子が暴走して湯船に頭から飛び込むなどの激しいアクションを見せているが、彼はこの年に亡くなってしまったらしい。
(★★、感覚系)

2003年4月19日(土) 2003/04/24 更新

『チャップリンのスケート』(1916 米)『チャップリンの勇敢』(1917 米)の録画を観る。共にサイレントの短編で、音は音楽のみで活弁は無し。
『スケート』は、チャップリンはレストランのウエイターで、シェイカーを振ってカクテルを作ったりなどで例によって抜群の動きを見せながら、他の従業員やお客さんを翻弄する。彼は客のスタウト夫妻の怒りを買うが、チャップリンがランチタイムにローラースケート場に行ったとき、スタウト氏(エリック・キャンベル)がエドナ・パーヴィアンスにしつこく迫り、チャップリンがまたまた抜群のスケーティングで助ける。彼は後に『モダン・タイムス』でも華麗なスケートを披露しているので、このくらい軽いもんなのだろう。そして、チャップリンはサー・セシル・セルツァーになりすましてエドナのスケートパーティに招待され、エドナの両親も別々にスタウト夫妻を招待するスワッピング状態で、6人がパーティでバッタリ会ったものの、相手の正体をバラすと自分もマズいからだまっていることにするというすごいシチュエーションになる。これをどうケリをつけるのかと思っていたら、スケートでの集団ズッコケで、チャップリンがみんなに追いかけられてENDというごまかしだったのがちょっと残念。
スタウト夫人は、ヘンリー・バーグマンという『独裁者』までチャップリン映画の常連だった太った男の俳優が女装して演じていた。
(★★★、感覚系)

『勇敢』は、浮浪者のチャップリンが教会で牧師と娘のエドナによって改心し、警官として働き出すが、警官さえも袋叩きにされる犯罪地区のイージー街に派遣される。チャップリンはそこで、殴られてもびくともしない大男のエリック・キャンベルを偶然に捕まえ、街の他の荒くれ者たちから恐れられる。しかし、警察署に連行されたエリックが手錠を引きちぎって逃走し、チャップリンに復讐するためにイージー街に戻ってくる。で、ここから通りやビルの中や部屋の中を逃げ回るチャップリンの動きの凄いこと! これだけで文句無く面白い。
(★★★、感覚系)

2003年4月17日(木) 2003/04/24 更新

『デッドマン』(1995 米)の録画を観る。実は、誰が監督したのかすっかり忘れていて、ティム・バートン? コーエン兄弟? などと思いながら観ていて、観終わってからジム・ジャームッシュだと思い出した。かつて観た彼の映画とは雰囲気がずいぶん違うなぁ。
ストーリーはタイトルの通り、主人公のジョニー・デップが、映画の大半を生きているのか死んでいるのかわからない状態で、お尋ね者として逃亡するというもの。まあ、いいんだか悪いんだか何とも言えない、どちらかといえばいい雰囲気の映画。
(★★★、感覚系)

2003年4月16日(水) 2003/04/24 更新

12日の「リベリオンって何?」を受けて、スペルが"rebellion"だとわかったので調べたら、「[政府などに対する]反乱」だそうな。確かに映画の内容には合っているけど、中学から今まで4半世紀近く英語に関わってきて、1度も目にしたことがないと思われるような単語を、いきなりタイトルに使わなくても・・・、とは思う。

2003年4月14日(月) 2003/04/16 更新

今日から始まった、配給会社に勤める人たちを描いた連ドラ「東京ラブ・シネマ」をちらっとだけ見る。配給会社の社員が映画館の前で呼び込みをしているシーンを見ただけで、実際の状況を反映しているかは知れたもの。実在の映画を登場させてタイアップするかと思ったが、それもなし。(まあ、タイアップされたら煙たくなるだけか?) つまり配給会社の設定は形だけで、競合コンビニ会社の営業だろうが、競合イチゴ品種の栽培農家だろうが何でもよくて、ライバル同士が恋に落ちるという安いラブストーリーで、安いものにホイホイ乗っかって見続ける人も、今度の月9(って何様?)の視聴率はどのくらいか?という安い話題も、私にゃどうでもいい世界。だいたい、あいも変わらずラブストーリー、あいも変わらず狭い年齢層の出演者、そして、あいも変わらず「東京」。「夕張」とか「湯布院」とか「名古屋」とか「海老名」とかじゃイカンのか? あ〜安い安い安い安い・・・・。

2003年4月12日(土) 雨 2003/04/13 更新

『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』(1983 日)の録画を観る。シリーズ32作目で、マドンナは竹下景子。オープニングコントは、寅さんが柴又のことを思うと、レオナルド熊扮するニセ寅さんが家族に暖かく迎えられて慌てる・・・、というところで夢から覚めると、寅さんはローカル線に乗っていて、そこにはバカボンのパパのような格好をしたレオナルド熊が小さな娘を連れていた。
寅さんが旅の途中に、義弟の博の故郷である岡山県高梁市にある博の父の墓参りをしたとき、墓のある寺の住職と娘の竹下景子と知り合い、帝釈天の寺男だった寅さんが、住職の代打で法事でお経を読んだりする。博が父の三回忌でさくらと満男を連れて来て、法衣を着た寅さんを見てびっくり。話の面白い寅さんは檀家にも住職にも気に入られ、出戻りの竹下と一緒になってと冗談混じりで言われる、柴又に帰った寅さんは、出家して婿養子になると真剣に考えるが、修行の真似事にも耐えられず三日坊主に終わる。寺を継がずに、カメラマンを目指すために家出した弟を見に上京した竹下は、寅さんに「婿養子に行くなんて冗談に決まってるじゃないか。」と言われ、がっくりしたように東京を去る。
寅さんの笑い話の語り口にゲラゲラ笑いながら聞く人々、仏門に入ろうと柄にもなく神妙になる寅さんのおかしさなど、久々にシリーズの面白さが帰ってきた感じ。そして、出家できない自分の身の程をわきまえて身を引く寅さんにはしんみり。でも、この別れのシーンはちょっとあっさり気味だったので、もうちょい引っ張ってほしかった。
他の配役は、竹下の弟が中井貴一、その恋人が杉田かおる、住職がまた別の役で出た松村達雄。彼は酒好きの役だったが、しらふでも飲んだくれてくだを巻いたような台詞の言い方なのに。
先日観た33作目の『男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎』で、満男が自宅でパソコンを使っていたのは、今回のラストでタコ社長から贈られたものだった。
(★★☆、ドラマ系)

夜、WMC海老名に『ヘヴン』(2001 米=独=英=仏)を観に行く。開映時刻の19:25頃に着き、予告編が流れている客席に入る。お客さんは30人ぐらい。
イタリアが舞台で、台詞も半分以上がイタリア語なので、イタリア映画かと思ったらそうじゃなかった。じゃ、なんでイタリア?
終映後、隣のヴァージンシネマズ海老名に行って『サラマンダー』の試写会に申し込み。そこで、旧マイレージカードのマイレージなどが、新カードに切り替えない限り無効になることがわかった。まあ、年会費500円払って滅多にしか行かない映画館の会員になってもしょうがないから、♪ハイ、それま〜で〜ヨ〜♪ だな。

ところで、昨日書き忘れたけど、『リベリオン』って原題が"Equilibrium"で、心の平静という意味で、劇中では心の平静をもたらす薬を供給する施設の名前として使われている。なるほど・・・って、じゃ「リベリオン」っていったい何?

2003年4月11日(金) 曇 2003/04/12 更新

夕方まで行こうかどうか迷っていたのだが、『リベリオン』(2002 米)『「あの子を探して」ができるまで』(2002 日)を観に行く。直前に決めたので、行きの電車にまでの時間がなく駅までダッシュしてギリギリ間に合ったと思ったら、なに?5分遅れ? で、今度は新宿に着いてからの時間が厳しかったのだが、それでも前売り券を買って行こうと思ったら、前に並んでた人がご贈答用だとか領収書だとか時間のかかることを言っていて、おまけに買っていたのが『マトリックス リローデッド』だとぉ? そんなのまだ買わなくていいよ! そのころまで生きてる保証ないぞ! とういわけで、やっとのことでチケットを手に入れ、歌舞伎町のシネマミラノまでダッシュして18:55頃に客席に入ったところで、ちょうど『リベリオン』の上映開始。危なかった。お客さんは30人ぐらい。シネマミラノは客席の並びが変な形の映画館だが、ここで映画を観ると決まって男の割合が高く、客席が熱い。

続いて、飲んだくれの若者がやけに大勢群がる金曜夜の歌舞伎町を抜けて、筋肉痛の脚で新宿武蔵野館3へ。客席の入り口のところに『キープ・クール』の中国版のポスターが貼ってあったが、荷車を引いていた役のチャン・イーモウの顔が一番大きかった(チョイ役なのに)。お客さんは10人弱。予告編なしでいきなり上映。スクリーンいっぱいに上映されず、小さめの画面だったので、ビデオ撮影したものをキネコで16ミリフィルムにプリントしたものを上映したのだろうか?

2003年4月10日(木) 晴 2003/04/11 更新

『ルイ・ブラス』(1947 仏)の予約を観る。原作ビクトル・ユゴー、脚色ジャン・コクトー、主演のジャン・マレーが二役で、剣劇もあってもっと面白くなりそうなのに、やけに淡々とした映画。
(★☆、ドラマ系)

2003年4月9日(水) 曇→小雨 2003/04/11 更新

今週で上映が終わる『卒業』(2002 日)『キープ・クール』(1997 中国)を観に行く。まず、シャンテ・シネへ『卒業』の13:30の回。今日はレディスデーなのでお客さんは多めかもしれないが、40人ぐらい。
堤真一の役が、冒頭のレストランでのデートで自分で注文したことがないなどの恋愛下手ぶりが自分のことを見ているようで、おまけに待ち合わせの相手が素敵な夏川結衣さまでは、ラーメン屋なんかで待ち合わせて汚い格好で現われるわけにもいかないし、緊張するよなぁ。まあ、そんな目に合うことはありえないので、困ることはないんだけど。でも、この結衣さまの登場シーンで、下から照明を当てていたのはいかんなあ。
堤真一の役は、昭和35年(1960年)の(確か)水瓶座(1月20日頃〜2月20日頃)生まれで、映画の冒頭の1月中旬に3歳さば読んで38歳と言っていたことから2002年ということになるが、ラストの卒業式の3月上旬にも41歳と言っていたということは(水瓶座が確かだとすると)2001年になってしまい、これはチョンボですなあ。ちなみに、息が白かったので、撮影時期は2001〜2002の冬と思われる。ラストの雪はたぶんCG。

15:40ころ終映で、続いて新宿武蔵野館まで地下鉄で移動して、『キープ・クール』の16:20の回。お客さんは20人ぐらい。予告編の1発目が、またまた出ました『呪怨』。武蔵野館で上映するわけでもないので、テアトル新宿の宣伝らしい。それから、今は亡きレスリー・チャンがビルの屋上のヘリに立っていたりする『カルマ』の予告編も。これは4月19日から新宿武蔵野館で追悼再上映とのこと。
『キープ・クール』は、見ていてイライラするやりとりや、常に斜め構図の画面や、観ていて疲れる映画だった。それが狙いだってのはわかるんだけど。

2003年4月8日(火) 雨 2003/04/11 更新

昨日の『男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎』(1984 日)の録画を観る。シリーズ33作目で、マドンナは中原理恵。録画に失敗して途中から観たオープニングコントは、トレンチコート姿の寅さんが復讐を果たすが、愛する中原理恵も死んでしまい、夜霧の中を彼女を抱きかかえて歩いていると、夜霧にむせて夢から覚めたら、たき火の煙にあぶされていたのだった。そしてタイトル『夜霧にむせるむせぶ寅次郎』。
今回タイトルバックはいつもの荒川の川原でなく、寅さんは旅先(岩手県の花巻温泉?)にいるまんま。何故か32作目が今週の木曜日の10日に後回しになっていて、タコ社長の娘あけみ(娘、いたっけ?)役の美保純が、今回いきなり初登場で、冒頭でいきなり結納で中盤で結婚。昔レギュラーだった寅さんの弟分の登(津坂匡章→秋野太作)が、所帯を持って盛岡で小さな食堂を開いているところに寅さんが訪ねてくるシーンはまるまるカットされた。(これ、大事なシーンじゃないの?) 寅さんは、日本で霧の街といえばここ、釧路に来てフーテンの風(ふう)子(中原理恵)と出会う。理容師免許を持っている彼女は、床屋に勤めても長続きせず、新しい職場を探しているところだった。フーテンの風子と言われるだけあって、浅丘ルリ子のリリーのようなキャラクターで、寅さんとのやりとりも観ていて気持ちいい。田舎に定住して暮らす寂しさを恐れてか、風子は寅さんに対し「寅さんがもう少し若かったら結婚するのに。」と言ったり、一緒になっても幸せになれないとわかっていながらバイクサーカスのトニー(渡瀬恒彦)について東京に出てきたり。しかし、大好きな寅さんが一貫して自分のような不安定な生活をせずに堅い生き方を風子に勧めることが、彼女にとって何よりつらいのがひしひしと感じられる。中原理恵がかなりもうけ役な好編だが、全編ほとんどお笑い無しで、これではダメだと思ったのか、ラストに寅さんが熊に襲われるシーンを無理やり持ってきたのはいかんなぁ。あと、佐藤B作(役名が「福田栄作」ってのは安直だなぁ)の役はなんか意味があったのだろうか? 寅さんが「根暗」と呼んでいた彼がとらやにやって来て、寅さんがさくらに向かって「ねくら。ねくらじゃない、さくら。根暗に団子出して。」と言ったのが、昔懐かしい「まくら、さくら取ってくれ。」を彷彿とさせるギャグのネタになったぐらいか?
満男がこの作品から中学生になった。
(★★☆、ドラマ系)

2003年4月7日(月) 晴 2003/04/09 更新

鉄腕アトムの生年月日が今日だそうで、近所のスーパーでは「鉄腕アトム納豆」「鉄腕アトムマーブルチョコ」などが売られていた。しかし、こういうのや、お菓子のコーナーで「スペクトルマン」「キカイダー」などのお菓子が平気で売られているのは、今の子供に向けて作られたものじゃなくて、リアルタイムでファンだった「いい大人」向けなんだろうな。こんなノスタルジーべったりじゃ、子供たちに合わす顔がないよな。今の30代〜50代は、先人の創作した遺産を食い潰しているだけで新しいものを何も生み出せない、だめなオタク世代だなぁとつくづく思う。

2003年4月6日(日) 晴 2003/04/07 更新

昨日より引き続き、NHK−BS2で『宮本武蔵 一乗寺の決斗』(1964 日)。吉岡清十郎を倒したことから、一乗寺下がり松で武蔵は1人で吉岡一門73人と決闘をすることになる。
武蔵はますます己に厳しく武士らしい剣豪らしい道を進むのだが、そんな彼が非情と呼ばれる不本意や、それにお通とお互いに想い合っている思いを交わしながらも、それを振り払っていかなければならないなど、武蔵の苦悩も深まる。
そして、この映画の見どころはなんといってもクライマックスの決闘シーンで、時代劇アクションの白眉。青いモノクロ画面の中、静から動へ、武蔵が山の斜面を駆け下りて来るところで切り替わる鮮やかさ。息が白くなるほどの寒い中、刈り取り後の田んぼで泥まみれになる錦之助の渾身の立ち回り。すごいなあ。こんなアクション、もう映画では見られないかも。内田吐夢監督の時代劇は、他に『血槍富士』ぐらいしか観てなくて、あれもクライマックスの立ち回りがもの凄かったので、もっと本格的に観ないといかんなあ。
この映画と前作の3作目の『宮本武蔵 二刀流開眼』(1963)に谷啓が出ているのだが、2作目の『宮本武蔵 般若坂の決斗』(1962)で武蔵がお通の前を去るときに残したメッセージ「ゆるしてたもれ」が、彼のソロシングル「愛してタモレ」(1963)に関係あるのだろうか?
(★★★☆、ドラマ系)

続いて『宮本武蔵 巌流島の決斗』(1965 日)。武蔵は、身寄りの無い子供、伊織と田を耕し、収穫後襲ってきた野武士を倒す。その後、伊織と江戸に出て小次郎から舟島での果し合いを申し込まれる。
飛んでいるハエを箸で捕まえたり、巌流島の決闘など、おなじみのシーンが見られる。しかし、前作のあのピリピリした武蔵を観た後では、農作業をしたりする武蔵自身が剣の道にむなしさを感じ始める今作は、どうしてもゆるく見えてしまう。まあ、そういう流れなのだから仕方ないのだけど。でも、シリーズ通して観て面白かったですねえ。巌流島の決闘の後の武蔵については大河ドラマ「MUSASHI」を観ろってことかな? 観ないけど。
(★★☆、ドラマ系)

2003年4月5日(土) 雨・寒 2003/04/06 更新

NHK-BS2で『宮本武蔵』(1961 日)を観る。吉川英治原作、内田吐夢監督と中村錦之助のコンビによる東映の宮本武蔵5部作の第1作。
宮本村から又八と共に関が原の戦いの西軍に加わった武蔵は、故郷に帰る途中、残党狩りから2人を助けたお甲が又八とできて武蔵を置き去りにし、又八のいいなずけのお通に知らせに戻ったら、村人と残党狩りから殺されそうになるところを、沢庵和尚が助けて白鷺城の開かずの部屋で3年間自分を見つめなおすことになる。
錦之助の荒々しい演技がいい。あと、そんな武蔵と硬軟まじえた態度で接する沢庵の三國連太郎も。
(★★★、ドラマ系)

続いて、2作目『宮本武蔵 般若坂の決斗』(1962 日)。3年後、自分を見つめなおした武蔵(たけぞう)は、宮本武蔵(むさし)と名を変えて、世間に出て3年間の成果を確かめつつ剣の腕を磨く。道場破りをしては門下生に逆恨みされるが、僧の日観に強すぎることを諭され、武蔵は彼に負けたと思う。そして、武蔵は彼に恨みを抱く者たちと奈良の般若野で対決することになる。
前作とはうって変わって、腹の据わった武蔵が様々な人と絡んで精神が磨かれていく。クライマックスの対決もいいが、中盤で道場で対決した相手を一撃で倒すのが鮮やか。
(★★★、ドラマ系)

さらに、3作目『宮本武蔵 二刀流開眼』(1963 日)。武蔵は大和の国の柳生石舟斎の城へ彼と手合わせをしに行くが、結局会えぬまま彼の凄さだけは思い知らされる。そして、武蔵は名門吉岡道場の二代目、吉岡清十郎と京都で因縁の対決をする。
今回は派手な立ち回りは無いが、それでも切花の切り口の鮮やかさで剣の腕を推量するなど、全体的な緊張感はかなりある。健さんの佐々木小次郎が初登場。大和、大坂、周防沖、京都と、もの凄い広い地域のあちこちで武蔵を巡る10人ぐらいの人が出会うのはものすご〜い偶然なのだが、その方が話がドラマチックになるので、野暮は言いっこなし。
(★★★、ドラマ系)

2003年4月2日(水) 雨 2003/04/04 更新

封切館のみで有効の『レッド・ドラゴン』(2002 米)の招待券があったので、今週いっぱいということで観に行く。ついでにもう1本は、最初来週いっぱいの『卒業』にするつもりだったが、これも招待券のある『ピノッキオ』(2002 伊=米)が打ち切りになるかもしれないと思い、近所のシネコンでは吹替版しかやってなくて、字幕版は都内でしか上映してないので、2本を渋谷に観に行く。

まず、『ピノッキオ』を観に渋谷松竹セントラルの14:30の回、予告編が始まった頃に入場。お客さんはレディスデーのせいか平日の午後にしては多く、40人ぐらい。
ここの映画館は今回初めて。隣のシネセゾン渋谷にはしょっちゅう行っているのに。予告編は、『MOON CHILD』は悪い予感がしますねえ。だいたい、世の中がダメになった近未来が舞台の映画っていうのはねえ、えてして・・・。
『ピノッキオ』はドルビーデジタルで上映されたが、スクリーン右の方から「ビ〜〜ッ……ビ〜〜ッ……」っていう電話の呼び出し音のような謎のノイズがかすかに聞こえた。
『ピノッキオ』のエンドクレジットの歌を聞いて、「柿って、イタリア語でカキって言うんだぁ…。」

続いて、『レッド・ドラゴン』を上映している向かいの渋東シネタワーへ、終映の16:30から16:45開映までの余裕の移動時間で、地下を通ってほとんど雨に濡れずに行くことができた。ここの映画館も、2年半前の『U-571』以来久しぶり。その間に、シャンテ・シネや日比谷スカラ座が、1階の窓口で入場券に引き換えてからそれぞれの劇場に行くスタイルになっていたので、東宝の劇場はみんなそうなったんだと思い1階の窓口に並んだら、ここは当日券以外の人は直接行っていいと言われた。なんじゃい! というわけで、慣れない映画館でうろうろエレベーターを探して7階に昇る。お客さんは50人ぐらい。
予告編は、『ドラゴンヘッド』……だから世の中がダメになった近未来が舞台の映画っていうのはねえ、えてして・・・。日本映画はこんなのばっかりか? でも、『スパイ・ゾルゲ』の新しい予告編を見て、これ見過ごす人が多いかもしれないけど、最後にちらっと映る70年ぐらい前の東京はもちろん全部CGで、最近はCGなんかではちっとも驚かないけど、これにはちょっと驚いた。それから、『デアデビル』『X-MEN2』『サラマンダー』などの予告編は、観たくなるというより、「ハリウッドも懲りずにいろいろ考えるねえ。」と、感心するやら呆れるやらという思いしかないのだが、極めつけは地球の核の対流が止まって、太陽からの放射線が地上に降り注いで地球が滅ぶという『ザ・コア』で、誰かが地球の中心に突入でもするのかな?
「携帯の電源を切れ」のお願いが、予告編の最初にアニメのゴジラ、途中に『ザ・コア』の宣伝を兼ねたもの(『シカゴ』と同じ方式)、本編直前にダメ押しと、3回も流れた。渋谷の客は礼儀知らずということか?
『レッド・ドラゴン』を観て、「折り紙って、英語でオリガミって言うんだぁ…。」
『レッド・ドラゴン』が終わって、さっさと帰る。、渋谷では駅と映画館の間の、すごく短い距離しか歩かなかった。しかも、ほとんど地下のみ。雨の日向き。

深夜に、今夜NHK-BSで放送された『グーニーズ』(1985 米)の録画を観る。子供たちが主役で大人顔負けの活躍をする映画って、思慮に欠けた子供の言動にイライラしたり詰めの甘さを感じたり、逆に大人くさくなるとリアリティがなくなったり、落しどころを両者の間にもってこないといけないという大きなハンデがあると思うのだが、この映画は前者寄りになってしまっている。いくら子供映画だからって、悪役に魅力がないという大欠点をはじめ、身を潜めている最中に大声で口論し合うなど、あちこち詰めが甘いところだらけ。まあ、子供たちの世界には大人が忘れてしまったピュアな気持ちがある、という映画なので、こっちがすっかり汚れた大人になってしまったと言われそうだが、この映画を受け入れるにはサンタの存在を信じて疑わないぐらいのピュアな気持ちが必要なのでは?
(★☆、ドラマ系)

2003年4月1日(火) 曇 2003/04/03 更新

WMCつきみ野で、『スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする』(2002 仏=カナダ=英)の夜の回に行く。
拡大公開されたクローネンバーグ作品は『戦慄の絆』か『ザ・フライ』以来だと思うのだが、こんな地味目の作品が何故拡大公開なのか?絶対に混んでないと思ったのに、1000円の日とはいえ40人ぐらい入っていたとは、クローネンバーグって実は人気あったのか?
WMCのルーニーチューンによる注意事項が終わった後、予告編の画面が下に大きくずれていた。真ん中に座っていたので行けなかったが、誰かが係員に知らせてくたおかげですぐに直る。
映画館に行くときに、調子に乗って自転車でかっ飛ばして少し疲れたせいか、映画を観て眠くなってしまったので、これからはゆっくり行くことにしよう。

2003年3月30日(日) 晴 2003/04/04 更新

昨日放映された『釣りバカ日誌10』(1998 日)の録画を観る。
耐用年数が数年のショッピングセンターを安く作る契約に対し、建築は長く残る文化だと取締役会で反発してみせたスーさんが社長を辞職。ハマちゃんにちゃんに働くことを勧められ、就職したビル管理会社が鈴木建設にスーさんを派遣したものだから、スーさんは変装して働く。一方、スーさんが同僚になった金子賢が恋人の宝生舞と喧嘩して、実家の北九州に帰った彼女を追って、ちょうど北九州に出張するハマちゃんと一緒に行く。
建築物を作っては壊し、街の風景をどんどん変えていく人間の営みに対する複雑な思いみたいなものはこめられているのだろうが、全体的にはエピソードが通り過ぎていくだけの映画。スペースワールドとか門司とか関門橋とか、行ったことがあるところでのロケは個人的におもしろかったけど。
(★☆、ドラマ系)

深夜に放映されていた『魔界転生』(1981 日)を観る。深作監督が一番気に入っていた自作がこの映画だというのが意外だったが、でもこれはやっぱり面白い。天草四郎、細川ガラシャ、宮本武蔵などの実在の有名人たちが、現世にすごい怨み妬みを抱いて蘇るのだが、中でも柳生但馬が自分の息子の十兵衛の成長を確かめるための対決をする為に蘇るというのがすごい。それと、細川ガラシャ役の佳那晃子の切れまくりぶりもものすごく、まもなく公開予定のリメイク版のクララお品役の麻生久美子は、こんなのに対抗できるのだろうか? ラストの燃える江戸城の炎の中に十兵衛が現れるところもいいねえ。
(★★★、感覚系、ドラマ系)

2003年3月29日(土) 曇 2003/03/30 更新

深夜、「愛のエプロン3」のワーストエプロンを決める総集編で、文句なしで1位になった堀越のりによる、伝説の「あんこう鍋」のおぞましい映像を見た後、続いての「トーキョー/f」が今日が最終回で、寂しいなあ。今週もナイスなぼけを連発の板谷由夏さまの鼻歌によるエンディングテーマ、先週は ♪ちゃらん ちゃらん ちゃらっちゃらっちゃらっちゃらっちゃら〜 ちゃらちゃらら (はぁー)♪ と「ピンクパンサーのテーマ」だったが、(「伊勢崎町ブルース」じゃないんだから、最後の「はぁー」は余計だろ!) 今回は ♪だだん だん だだん、だだん だん だだん、だらら〜〜・・・♪ と「ターミネーターのテーマ」で、由夏さま最後に「I'll be back.」(また会いましょう)ときたもんだ。
続いて、これも今日が最終回の「ブラックワイドショー」、ウィークリーニュースで使われたベッカムの写真が、何故か東京ファンタのマークをバックに写っている偽ベッカム夫妻のものだった、ということで無理やり映画ネタにしたところで、ちょっと前まで朝のワイドショーでおなじみだった北朝鮮事情通4人による居酒屋トーク第2弾という、最終回にふさわしい特集。前回、ワイドショーは視聴者に受ける北朝鮮ネタしか取り上げないとか、珍しくもない情報を「独占情報入手!」などと言っているなど、文句タラタラだった。そんな彼らも、イラク情勢のおかげで暇になって、温泉に行ったり屋久島に行ったりしてるとか。金正日(←キムジョンイルで変換できた!)は今頃イラク情勢のテレビを見て寝不足に違いないとか。元喜び組の女の人のインタビューのため日本のテレビ局が払ったギャラが、4人合わせたより高額だったらしいとか。なお、番組の最後の方で、北朝鮮が来月ベルヌ条約に加盟するので、これまでの番組のように、北朝鮮軍兵士の荒技や律動体操や白馬にまたがった金正日などの映像を無許可で流していたのは、著作権に引っかかってできなくなるというのは本当らしい。でも、たとえ北朝鮮ネタはなくても、ラジャ・ライオンやパトちゃんのラブコールなど他にもあったのに、終わるなんて寂しいなあ。
以上、映画にほとんど関係ない話で、失礼しました。

2003年3月28日(金) 晴 2003/03/29 更新

おととい観れなかった『戦場のピアニスト』(2002 ポーランド=仏)を、WMCつきみ野に同じ15:40の回に観に行く。20分ぐらい前に着いて、今日は満席ということはなかったが、それでもお客さんが130人ぐらいと盛況で、前は近すぎる席しか空いてなく、後ろの席に座る。
『シカゴ』の予告編が相変わらず「アカデミー賞最有力」ってのが引っかかるようになったが、でも『ペイ・フォワード 可能の王国』みたいに、ノミネートすらされなかったのが「アカデミー賞最有力」と称していたようなぬか喜びにならなくて良かった。それから『ネメシス』ってタイトル、ダメデス。何とかならなかったのか?
『戦場のピアニスト』は、(ドルビー・デジタルなのに)上映されたスクリーンがアナログ音響で、ブチブチとノイズがやたらとうるさかった。

終映後、仕事を再開し、結局WMCつきみ野での『青の炎』(2002 日)のレイトショーが始まるちょっと前で終わらせて、観に行く。お客さんは20人ぐらい。
邦画の予告編が次々と映される。『あずみ』は、上戸彩が茶髪なのだが、それはともかくやたらとカメラがグルグル回ったりするわりには、アクションが血がドバドバだけのワンパターンっぽいなあ。「時代劇を越えたJIDAIGEKI」って、あのぉ・・・。『魔界転生』の予告編も新しくなったけど、相変わらず押しが弱いなあ。窪塚と佐藤浩市だけでなく、麻生久美子以下のキャストも前面に出した方がいいんでないの?
『青の炎』は、『ラヴァーズ・キス』に続いてまた鎌倉が舞台。二宮和也が自転車じゃなくロードレーサー(でも、自転車じゃん)に乗るとき、道路の右側を走っちゃいかんよ。私は自転車のことだけにはうるさくて、『メッセンジャー』での見通しの悪い交差点に猛スピードで飛び出して曲がる自転車を格好良く見せてるつもりの映像をちらっと見ただけで、そういう殺人行為か自殺行為を勧めるような映画は最低だと、全編観もしないで決めつけたりしてるもので。
蜷川演出は、演技とかちっともリアリズムじゃないんで、その点では映画悪口愛好家の皆さんにはうってつけで、まあ私はそんな単純な批判はしないんだけど、でも、うーん・・・、どんな映画を狙ったんだろう?

2003年3月27日(木) 曇→小雨 2003/03/29 更新

昨日の「オスカー受賞アジア人俳優の3人目は誰か?」の答えがついにわかった。正解は「ユル・ブリンナー」で、これでひと安心・・・と思いきや、『王様と私』は1956年で、『サヨナラ』は1957年なので、ナンシー梅木が最初というのとくい違うぞ。うーん、どうなってんだ? まあ、どうせIMDbが何か間違っているだけだろう

シネ・アミューズでの『アカルイミライ』(2002 日)が来週からレイトショーになるため、というより、入れ替わりに『アカルイミライ』のメイキングの『曖昧な未来、黒沢清』(2002 日)が今週いっぱいで終わってしまうという方の理由が大きいということで、まず『アカルイミライ』の19:00の回を観て、良かったら引き続き『曖昧な未来、黒沢清』を観ることにする。
シネ・アミューズに併設のカフェで、金髪で図体の大きいプロレスラーの高山みたいな人が歓談中だったが、隣のシネ・アミューズ イーストで上映中の『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』の今夜のトークショーのゲストの高山善廣本人だった。(トークの相手はフランク・デュボア(ブリスター店長))。格闘家も普段はおとなしくて、ただの大きな人だったんだ。
『アカルイミライ』のお客さんは50人ぐらい。予告編なしで上映開始。前から2番目に座ると、スクリーンの穴が目立つなあ。
映画の中で映画に関する小道具を見つけると、どうしても何か意味があるのか?と思ってしまうが、『アカルイミライ』でも浅野忠信の住んでいる部屋に、何かのポスターと『サウンド・オブ・ミュージック』はじめ何枚かのLPのサントラ盤があったり、りょう演じる弁護士の事務所に『中国女』のポスターがあったりと、全く意味不明。

続いてレイトショーの『曖昧な未来、黒沢清』。お客さんは30人ぐらい。予告編で『カクト』の伊勢谷友介のナレーションの声は窪塚みたい。
『曖昧な未来、黒沢清』はビデオ撮りなので、オリジナルはもちろんスタンダードで、それをビスタサイズの左右に黒味を入れてプリントを作ったので、スクリーンのマスクと映写機のレンズはビスタのままだった。(そのままスタンダードでプリントに焼き付けると、ビスタサイズで上映されたら画面の上下がケラれてしまうから、しかたなくこうしている。)

2003年3月26日(水) 晴 2003/03/26 更新

WMCつきみ野での上映が今週までの『戦場のピアニスト』の15:40の回(1日1回のみ)を観ようと思い5分前に着いたら、チケット売り場の前に長い行列、そしてSold Outの表示。ガーン。今日はレディース・デーだからかなあ? 当初の予定だからだろうけど、今週で打ち切りは早すぎるよなあ。代わりに来週から始まる『アナライズ・ユー』とか『ブラック・ダイヤモンド』とか、ぜーったいにヒットしないと思うけど。結局『シカゴ』の試写会の申込書を書いて、『戦場のピアニスト』はあさって観ることにし、代わりの映画も観ないで帰る。

アカデミー賞の授賞式での、歴代受賞者の俳優たちの中にいても不思議ではなかったのに、何故かいなかった人たちのことが気になって調べてみたら、
 シャーリー・テンプル    (74歳) 最新日本公開作『令嬢画伯』 (1949)
 ピーター・ユスティノフ   (81歳) 最新日本公開作『プロポーズ』 (1999)
 キャサリン・ヘップバーン (95歳) 最新日本公開作『めぐり逢い』 (1994)
 ナンシー梅木        (73歳) 最新日本公開作『戦略泥棒作戦』 (1962)
 ジョーン・フォンテイン   (85歳) 最新日本公開作『夜は帰って来ない』 (1961)
 デボラ・カー         (81歳) 最新日本公開作『アレンジメント/愛の旋律』 (1969)
 ジョアン・ウッドワード   (73歳) 最新日本公開作『フィラデルフィア』 (1993)
 ジョン・ミルズ        (95歳) 最新日本公開作『フーズ・ザット・ガール』 (1987)
     (「allcinema ONLINE」より)
というわけで、ぜひとも出て欲しかったですねえ〜。ジョン・ミルズなんて、娘が出ていたのを見て驚いていたら、まさかお父さんがご存命だったとは思わなかったですねえ。危うく私の認識の中で殺してしまうところでした。ナンシー梅木(日本にいたときの名前? 受賞作の『サヨナラ』などではミヨシ・ウメキ名で出演)のことを調べていたら、3人いるアジア人俳優の受賞者の第1号とIMDbに書いてあったのだけど、ハイン・S・ニョールとあと1人は誰だろう?

2003年3月24日(月) 曇 2003/03/26 更新

夜、日本時間の午前中に行われたアカデミー賞の授賞式の再放送をWOWOWで観る。まず、例年一番楽しみな物故者のコーナー。ダドリー・ムーアって、いい男だったなあ。『トラ!トラ!トラ!』の監督は入れてもらえなかった。でも、そのコーナーよりもっとすごかったのが、オスカー俳優59人勢ぞろいのコーナーで、こういう受賞者を揃えるというのは前にもあったと思うけど、ミッキー・ルーニーとかオリヴィア・デ・ハヴィランドとか、とっくに亡くなってると思っていた人がぞろぞろ出てきたのには本当にびっくり。びっくりした人を挙げると、
 ミッキー・ルーニー      (82歳) 最新日本公開作『ベイブ/都会へ行く』(1998)
 オリヴィア・デ・ハヴィランド (86歳) 最新日本公開作『スウォーム』(1978)
 マーガレット・オブライエン (66歳) 最新日本公開作『西部に賭ける女』(1960)
 ヘイリー・ミルズ       (56歳) 最新日本公開作『死海殺人事件』(1988)
 カール・マルデン       (89歳) 最新日本公開作『ナッツ』(1987)
 エヴァ・マリー・セイント   (78歳) 最新日本公開作『恋のじゃま者』(1986)
 パトリシア・ニール      (77歳) 最新日本公開作『クッキー・フォーチュン』(1999)
 テレサ・ライト         (84歳) 最新日本公開作『レインメイカー』(1997)
 カーク・ダグラス       (86歳) 最新日本公開作『オスカー』(1991)
 ジェニファー・ジョーンズ   (84歳) 最新日本公開作『タワーリング・インフェルノ』(1974)
 レッド・バトンズ        (84歳) 最新日本公開作『ストーリー・オブ・ラブ』(1999)
 ジョージ・ケネディ      (78歳) 最新日本公開作『裸の銃を持つ男 PART 33 1/3/最後の侮辱』(1994)
 クリフ・ロバートソン     (77歳) 最新日本公開作『スパイダーマン』(2002)
 ジャック・パランス      (83歳) 最新日本公開作『シティ・スリッカーズ2/黄金伝説を追え』(1994)
 クロリス・リーチマン     (76歳) 最新日本公開作『電話で抱きしめて』(2000)
 リタ・モレノ          (71歳) 最新日本公開作『どんな時も』(1995)
 ジョージ・チャキリス     (68歳) 最新日本公開作『パリは燃えているか』『ロシュフォールの恋人たち』(1966)
 マクシミリアン・シェル    (72歳) 最新日本公開作『ディープ・インパクト』(1998)
 ジュリー・アンドリュース   (67歳) 最新日本公開作『プリティ・プリンセス』(2001)
 ピーター・オトゥール     (70歳) 最新日本公開作『ファントム』(1998)
そして、
 ルイーズ・ライナー      (93歳) 最新日本公開作『グレート・ワルツ』(1938)
     (「allcinema ONLINE」より)
とまあ、すごいですねえ。オスカー持っているのに、忘れられてステージに上げてもらえなかった人とかいないでしょうね? (ハリソンはまだだったんだ。)
ナショナリズムをふりかざされるのが不安だったけど、それはなかった。平和を望むコメントをした人はたくさんいたが、具体的に戦争の当事者を批判をしたのはマイケル・ムーア1人だった。ブーイングを受けていたけど、その少し後でバーブラ・ストライサンドが言論の自由に感謝するといったことを言ったのは効いた。言論の自由を脅かす存在こそ、ハリウッドにとっての最大の敵のはずだからねえ。もっとも、マイケル・ムーアのコメントは、受賞作『ボウリング・フォー・コロンバイン』のテーマそのものだから(あの映画を今だにほとんどのメディアが「銃社会の映画」って紹介しているけど、映画観てないで言ってるんじゃないの? あれは「アメリカの病的さ」の映画で、銃はあくまで一部に過ぎないのに。)突飛じゃないけど、他の人だったったら気まずかったかも。まあ、受賞者たちに反戦メッセージを強要するのも筋違いだから、ナショナリズムに流されずに式を進められたことで良しとしよう。ブーイングはちょっといやだったけど、スティーブ・マーチンの笑えないブラックジョークよりはましか?
・・・と思っていたら、放送では気づくはずないけど、授賞式の前の本来なら「レッド・カーペット」の時間に、「愛」「勇気」「正義」の戦いを描いた映画の名シーンを編集した映像”the spirit of America”を放送したんだそうな。何だろ?『アルマゲドン』とか流したのかな?
あと、ロマン・ポランスキーの受賞が発表されたときの異様などよめきは何を意味するのだろう?
終わってみて、今回特に何かあったというわけではないが、結局大御所に圧倒されたのは、さすがアカデミー賞。

2003年3月23日(日) 2003/04/03 更新

『カタクリ家の幸福』(2002 日)の録画を観る。韓国映画の『クワイエット・ファミリー』をミュージカル、というより歌謡映画でリメイクしたもの。うわー、評価に困るなあ、こういう映画。『クワイエット・ファミリー』は観てないので想像なのだが、オリジナルは気持ちがバラバラにの家族に困難が降ってわいて、団結して対処するうちに家族が1つになるという映画で、それをそのままリメイクしたら大時代な映画になってしまうので、いっそのことミュージカルにしてついでにストーリーも「そのうちなんとかなるだろう」といったいい加減なものにしてしまったのでは?と思ってしまうような映画。
問題(?)の、特殊効果がすべてクレイアニメで行われているのは、シュヴァンクマイエルの『アリス』のオマージュだろう。(ウソ)
(★★、感覚系)

2003年3月22日(土) 曇 2003/03/23 更新

『アルプスの若大将』(1966 日)の録画を観る。シリーズ7作目。若大将と青大将が教授のお供でマッターホルンでのスキーに始まり、ツェルマット(スイス)、ジュネーブ、ウィーン、ローマをパンナムで旅する。若大将が澄子とアルプスで知り合った後、なぜかウィーンとローマで偶然に(!)再会するのだが、彼女はパンナムのローマ支店で地上勤務をしていたので、ヨーロッパのあちこちにいたのだった。彼女の上司はパンナム元日本支社長で、演じるのは大相撲の千秋楽での「ひょう!しょう!じょう!」でおなじみのパンナム東京支店長デビッド・M・ジョーンズ。しかも、若大将はウィーンでトニー・ザイラーと路上でご歓談。そして、若大将は澄子のガイドでローマの名所の数々を観光と、まるっきり典型的な観光映画。若大将は、ローマのホテルで澄子のことを思いながら、ひとりで「君といつまでも」を歌うのだが、画はギター弾き語りなのに音はレコード(バンドの伴奏)って、変。その後若大将は、ローマのレストランに客として行き、勝手にステージに上がって弾き語りで拍手を浴びたり、自宅の部屋で歌ったり、夕暮れの苗場のゲレンデで歌ったり、苗場のホテルでブルージーンズをバックに歌ったりと全部で6曲披露し、まるっきり典型的な歌謡映画。そして、クライマックスは回転とジャンプと滑降の3種目の総合という、考えられないスキー大会で、今回は澄子は海外に行ってしまって応援なしで、若大将が独力で3種目で活躍し京南大学の勝利に終わる。青大将、ますます絶好調。
(★★、ドラマ系)

2003年3月21日(金・祝) 晴 2003/03/22 更新

『不良少女 摩子』を録画したつもりが、番組の変更で代わりに録画されていた『太陽の男 石原裕次郎』(1988 日)を観る。映倫マークが付いているから、正真正銘の劇場映画のはずなのに、データがインターネット上にもキネ旬決算号にもどこにもない。1987年に亡くなった石原裕次郎の出演作品を、何にも考えずに切り取ってつなげただけのダイジェストで、彼を知らない人たちには何も訴えない、往年のファンが懐かしむだけの作品。
(★、ダイジェスト)

続いて、『銀座の若大将』(1962 日)の録画を観る。シリーズ2作目。後の作品がシリーズのお約束を利用して余計な説明は端折ってノリ重視の映画になっているのと違って、この頃はまだきちんと段階を踏んで話がすすんでいくといった感じ。ちなみに、クレジットは、
 加山雄三
 団令子、星由里子
 有島一郎、*、*、*、上原謙(有島一郎の友人で、銀座でステーキ屋を経営し、娘を若大将と結婚させようとする)
 *、中真千子、田中邦衛、堺左千夫、左卜全、飯田蝶子
と、後のおなじみの脇役がまだかなり後ろの方で、そこからのし上がってきたことがわかる。青大将も、まだ単に金持ちのキザでいやな奴といった感じ。彼の使っていた拳法は、「示現(じげん)流空手、さそりの構え」だということがわかった。
若大将は店内で揉め事をとめようとしては、なぜか必ず「表へ出ろ」と言わずにそのまま暴れて店をめちゃくちゃにしてしまう。喧嘩の強さを買われて拳闘部にスカウトされる展開は、最初から入部済みのその後の作品と違う。最後に、「たらふく食えないから」と拳闘の引退宣言をするのも違う。それ以外の、澄子が早とちりして若大将のことをあきらめ、誤解が解けて大会会場にやって来て、「若大将、がんばって!」と声援を送ると若大将が優勢になって勝つというのは相変わらず。
(★★、ドラマ系)

『銀座の若大将』を観終わったところでテレビのチャンネルを回していたら、MXTVで『二十四時間の情事』(1959 仏=日)の放送が始まって既に5分ぐらい経過していたけど、そこから観始める。フランス人女優が恐らく8月6日頃の広島に映画のロケに来て、岡田英次と恋に落ちる。彼女は故郷のヌベールで戦争中にドイツ人と恋に落ちて彼と死に別れ、彼女は地下室で何年も過ごした。岡田は1人だけ広島の家族から離れていたため被爆を免れた。「恋」と「戦争」と「街」が結び付けられ、「広島」に来て恋に落ちたため、思い出さないようにしていた「ヌベール」を思い出しつつも、「広島」に惹かれて「ヌベール」を忘れることを恐れる、といった話(たぶん)。意味ありげなセリフのやりとりが多用されるところなど、アラン・レネ監督の次の作品である『去年マリエンバートで』を彷彿とさせる、なんて言うほど彼の映画は観ているわけではないのだが。でも、両方の映画に共通の、どよんとした雰囲気に落ちていく感じになるのは好き。
(★★★、感覚系)

深夜の「虎乃門」の「こちトラ自腹じゃ!」のコーナーは『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』で、先週の『ダイ・アナザー・デイ』評は反論したいことだらけだったけど、前作の評には納得だったので、今日の「感情移入できない」などの感想はかなり当てにできるだろう。で、美保純と話して得た井筒監督の結論は、この映画は「森を守る映画」。ははは、そうだったのか。

そして、深夜放送していた『オペラ座/血の喝采』(1988 伊)をなんとなく観始める。再見。ストーリーはあるんだかないんだかわからないけど、ダリオ・アルジェントの見てるだけで痛そーな恐怖描写はここでも絶好調で、まぶたに針をつけて目を閉じられないようにするところなど、何度見ても「ひーーっ!」。グロはグロなんだけど、不思議と下品さは感じない。観てるのがつらいと言われた最近の映画の数々も、アルジェント先生の名人芸には及ばないです。
(★★☆、感覚系)

2003年3月20日(木) 晴 2003/03/22 更新

WMC新百合ヶ丘では今日が最終日の『猟奇的な彼女』(2001 韓国)のレイトショーに(都内に観に行きたくないので)行く。
お客さんは30人ぐらい。
予告編で『ピノッキオ』が流れ、惹句が「人生はすばらしい」って、"Life is Wonderful"ってことだな。

家に帰って、今日放送していた『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』(1982 日)の録画を観るが、途中で『真夜中まで』(1999 日)の放送が始まったので、そちらに切り替える。観ていたら、六平直政のドラック運転手が荷台の人に気づいて運転席を降りてくるところで、WBSの「へいちゃん」ことテレビ東京の大浜平太郎アナが出てきて、イラク攻撃のニュース速報。で、元の番組に終わったらトラックから降りるところまで数分間カット。うー、許せん!ブッシュのバカちんのせいだ!NO WAR!、って、そんな問題じゃないよなぁ。おまけに、多数のチョイ役の人たちがどこに出ていたかをまとめたエンドクレジットも丸々カット。まあ、地上波じゃしょうがないか?
和田誠監督ならではの映画の知識、特に巻き込まれ形のストーリーや証拠探しのマクガフィンなど、ヒッチコックタッチを映画に盛り込む点では、そこいらのハリウッドのヒッチマニアなど及びもつかない上品さ。ただし、その上品さが面白さに結びついているかというと疑問が残り、例えば追っかけシーンなども含めて、ほぼ全編ジャズを流しているのも、上品だが緊張感には欠けてしまう。でも、こういう上品さが受け入れられる時代が来て欲しい。
(★★☆、感覚系)

続いて『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』に戻る。シリーズ30作目でマドンナは田中裕子。オープニングは、ミュージカル仕立てで若者の争いが絶えないブルックリンにスケコマシのジュリーがやって来るが、刑務所から出てきたブルックリンの寅の迫力の前に退散し、街に平和がやってくるところで、神社のお堂で目が覚める。でも、お堂がブルックリンとどう関連しているのかがわからない。ちなみに、ダンスはSKD。
寅さんは、例によってタイトルバックで荒川の川原に帰ってくるが、マツタケご飯の中のマツタケの切れ端の奪い合いという古典的な喧嘩で、その日のうちにあっという間に旅に出るという、すごいおざなりな展開。別府、臼杵、湯平温泉を旅し、そこで結婚間近の児島美ゆきが田中裕子と2人旅をしているところ、寅さんと沢田研二と知り合って4人でドライブ。この展開って、吉永小百合が旅行先で寅さんと知り合うシリーズ9作目の『男はつらいよ 柴又慕情』と一緒だぞ、と思っていたら、寅さんと楽しく旅しているときに流れていたシュトラウスのワルツ(タイトル知らず)がここでも使われて、うーん、おざなり。寅さんはいよいよ恋愛下手の沢田研二と、人生の一歩を踏み出すということが出来ない田中裕子との縁結び役に徹する、というのも、中村雅俊と大竹しのぶを結びつけようとする20作目の『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』と一緒だなあ。というわけで、今回は観ていてかなりつらかった。寅さんがジュリーに恋の手ほどきをするというのも、イメージとかけ離れすぎているし。
ご存知、沢田研二と田中裕子をプライベートで結びつけるきっかけとなった作品。これがシリーズ3回目(?)の出演になる光石研は、タイトルバックでの測量技師のアパッチけんの助手という、アップのない役だった。
(★☆、ドラマ系)

2003年3月19日(水) 晴 2003/03/20 更新

有楽町スバル座の『船を降りたら彼女の島』(2002 日)の13:55の回を観ようと、いつものように急行電車の発車時刻に合わせて駅に着いたら、電光掲示板の表示が見慣れた「水天宮前行」ではなく、見慣れない「押上行」とかの各駅停車だったのでびっくり。なんと、今日から半蔵門線が押上まで伸びて、そこからさらに東武につながって、ダイヤが変わっていたのだった。でも、本数は増えて、急行も1時間に2本から4本に増えたおかげで急行がすぐ来て、予告編が始まったころに入る。
お客さんは平日の昼間なのに思ったより多く、40人ぐらい。年齢層は高かったけど。
映画は、木村佳乃が愛媛県の島に東京から帰省するのが正月を過ぎたあたりなんだけど、愛媛といえばみかんとばかりに、畑から庭木までみかんがたくさんなっている。でも、みかんって正月前には収穫終わってるんじゃないの?
ムラジュン(と水橋研二)は、映画によって見た目が変わるので、今度はこんな役かぁ、などと楽しめる。

終映が16:05で、続いて渋谷のユーロスペースでの『青の稲妻』(2002 中=日=韓=仏)の16:25の回。思ったとおり移動時間が短過ぎて、16:30ごろに着いて、予告編の最中に入場。お客さんは30人ぐらい。
『青の稲妻』には、ゴロゴロ雷鳴は聞こえるシーンはあるけど、稲妻は出てこない。中国語タイトルは”任逍遥”で、映画の中にも出てくる映画の元になった歌のタイトルだそうだが、意味は不明。英語タイトルは"Unknown Pleasures"で、「未知の喜び」と言われても映画の内容からはピンとこない。結局、タイトルは何でもいいか?

今日の「マシューズ・ベストヒットTV」のマシュー・セレクションのコーナーはラブシーン特集で、ゲストの矢口真里が『タイタニック』を選んだのに対し、マシューは『寒椿』(1992 日)の南野陽子と高島政宏の濡れ場。うーん、この映画知らなかった。勉強になるなあ。もう1つ、矢口との学園ドラマらしいセリフしりとりで、『ねらわれた学園』の高見沢みちるを狙ったセリフを言っていた。

2003年3月18日(火) 曇→雨 2003/03/19 更新

『流★星』(1999 日)の録画を観る。1998年から約1年間に渡ってテアトル新宿で連続レイトショー公開された「リトルモアMOVIES」の4本のうちの4番目の作品。山形の上山競馬場に通ってはスッてばかりいる緒形拳と江口洋介と、整形の費用のために援助交際をしている中学生の清水真美の3人が、競走馬の流星を人質(馬質?)に身代金を得ようとする。馬を連れて3人がのんびり逃げ回る田園や高原の風景が良く、そのせいか16ミリ撮影にもかかわらず画質がすごく良く見える。当時、10代の女優の中では実力トップクラスだった清水真美ちゃんは、この映画以来目にしてないけど、20歳過ぎた今もがんばっていきまっしょい!のようで、なにより。
(★★、ドラマ系)

2003年3月15日(土) 曇 2003/03/17 更新

昨日放映された『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』(1983 日)の録画を観る。シリーズ31作目。オープニングは、寅さんが舞台の主役で、江戸時代に佐渡から逃げてきたお尋ね者の役。夢から覚めると、チンドン屋の衣装を枕に寝ていた。
ただでさえこの頃の男はつらいよは、マドンナに一目ぼれしていた以前の作品とは違って、寅さんの恋愛感情が薄くなってきているのに、今回のマドンナは都はるみで、現実の彼女とほとんど違いのない演歌歌手の京はるみという役で、寅さんの彼女に対する気持ちも、恋愛感情というより最初から大スターへの憧れといった感じ。でも、失恋した彼女が失踪した旅先で寅さんと知り合って、沈んだ気持ちのはるみと、彼女の気持ちを察して優しく応対する寅さんのふれ合いがいい。全体的には、都はるみの持ち歌が数曲歌われ、まるで歌謡映画のようで、その分ストーリーの展開に乏しい(と感じたのは9分ほどカットされていたからかも。)
(★★、ドラマ系)

2003年3月14日(金) 晴 2003/03/15 更新

深夜、『ダブルス』(2001 日)の放映を観る。元ソフト会社の社長の鈴木一真が、金庫破りの萩原健一を雇って深夜にビルに忍び込んで金庫から大金を盗むが、エレベーターが故障して閉じ込められる。映画の舞台がほとんどエレベーターの中で、2人のやりとりを経て、コンピューターでシミュレーションして成功率をはじき出し、ゲーム感覚で金庫破りをするような、頭の中で完結しているような子供っぽい一真が自分を見つめ直すようになる、という話なんだけど、その肝心のやりとりが観ていて楽しいものでないのが何とも・・・。おまけに、物語が急展開したかと思ったら、それは一真の頭の中のシミュレーションならぬ妄想だという、タネを知ってがっかりすることを2度もやったり、オチもすんなりつけないで余計なヒネリを入れたりなど。展開をトリッキーにするくらいなら、台詞を練り上げるなどの方に脚本の段階で力を入れるべきだろう!と言いたくなる、最近ありがちな映画。どうでもいいけど、川原亜矢子と平愛梨のツーショット、亜矢子デカい。
(★、ドラマ系)

2003年3月12日(水) 晴 2003/03/15 更新

今日の昼に放送された『エレキの若大将』(1965 日)の録画を観る。若大将シリーズで印象に残っているのは、6作目のこの作品ぐらい。青大将の運転する車が澄子の車と事故を起こし、若大将と2人で停学&弁償のため、賞金のために勝ち抜きエレキ合戦に出て、田能久もつぶれたので、若大将がプロのバンドに入り、「君といつまでも」のレコードデビューで再建。さらに、アメラグの決勝戦も勝つ、という盛りだくさんのストーリーをものすごい快調なテンポで見せる。
ちなみに、この映画が公開されたのは1965年の年末で、エレキを弾くのは不良と言われたころで、映画の中で皆のあこがれの的だったのはビートルズ。一方、『青春デンデケデケデケ』では、観音寺での同じ1965年の春にラジオでベンチャーズを聞いたのがきっかけでエレキにのめり込んだ高校3年生の1年間の話。1966年の年初からグループサウンズがデビューしだし、ビートルズの武道館公演は1966/06/30-7/02の3日間。
青大将の、あらゆる場面で足を引っ張るダメ人間ぶりはシリーズ1か? でも、彼は謎の拳法を使って、若大将と共にライバルのジェリー藤尾たちを叩きのめしたりと、意外と喧嘩が強い。そのジェリー藤尾、金持ちの息子でエレキもうまく、あだ名が(青大将、赤まむしに対抗して?)「でんきうなぎ」。加山雄三は見た目あっさりで、長島一茂の方が役者っぽく見えるぐらい。田中邦衛、有島一郎、飯田蝶子の布陣は、改めて観るとすごい強力。飯田蝶子(1897-1972)なんて、若大将たちがエレキを弾いているテレビ中継を見て、軽快なダンスを披露。ついでに、澄子の恋敵の父親で上原謙も出演。ちなみに、私は日本人なら誰でも出来る田中邦衛のものまねをするときに、大抵の人は「純! 蛍!」と黒板五郎でやるところを、「澄ちゅあん!若大将なんかやめて、僕とつきあわないか?」と青大将でやるのがこだわり。
(★★★、ドラマ系)

続いて、『ハワイの若大将』(1963 日)の録画を観る。シリーズ4作目。
ヨット部員の若大将のヨットと澄子のモーターボートがぶつかって2人が知り合う。カンニングで若大将と青大将が停学になり、ハワイに留学しようとして結局遊んでいる青大将を若大将が連れ戻しに行く。ハワイの店で澄子が店員をしていて、いろいろあってみんな日本に帰ってきて、ヨットレースで若大将たちが優勝する、という『エレキの若大将』とほとんど同じストーリー。でも『エレキの若大将』と比べると、スポーツ以外の部分の物語がエレキに比べるとハワイは密度が低く、アメラグに比べてヨットは見た目が緊張感に欠け、やや分が悪い。
映画の最初の方では、青大将というあだ名は陰口だけでのものだったが、途中から自身でも言うようになっていた。ハワイの青大将の滞在先が、広島弁らしい言葉をしゃべる左卜全。彼はかつて田能久の厨房で働いていて、看板娘だった飯田蝶子に憧れていた。彼の息子が上原謙で、澄子が勤める店のオーナー、というすごい偶然。青大将の天敵の赤まむしがシリーズ初登場(?)。若大将シリーズは星由里子ふうのキュートな女性たちが華を添えているのがいいねえ。
(★★☆、ドラマ系)

2003年3月11日(火) 晴 2003/03/13 更新

今日は松竹主催の覆面モニター試写会に招待され、何だかわからない映画1本のために交通費かけて行くのもどうかと思ったのだが、他に用事もあったし、松竹の2時間の映画ということから、ちょっと観てみたい『MOON CHILD』じゃないかと見当をつけて行くことにする。
有楽町のビックカメラで買い物の用事を済ませ、会場の東銀座の東劇まで10分ぐらい歩き、開映10分前の19:20頃に着く。もの凄く念の入ったリサーチ目的のアンケート用紙を受け取り、上映前の回答の部分に答えて上映開始。作品は『エニグマ』(2001 英)だった。うーん、確かにこれはミステリーなのかラブロマンスなのか、どっちつかずの内容で、どう売っていけばいいのか困るような映画だからアンケートでそれを決めようということなのだろう。見どころは、メガネと妊娠中の体形による全身ブスな役作りで演技の幅の広さを見せたケイト・ウィンスレットぐらいかな。
東劇の向かいの旧松竹本社の土地にビルが建っていた。(完成済?未完成?) 大谷図書館がそのビルの中に入っているらしいが、それ以外に何か入っているかはわからない。

2003年3月10日(月) 晴 2003/03/13 更新

深夜、『ガメラ3・邪心<イリス>覚醒』(1999 日)の放映を観る。小理屈がうるさいとか賛否両論渦巻いた作品だけど、確かにそれは言えるかも知れないけど、でも理屈無しに怪獣同士が戦う映画だと、それはそれで空疎だと言われそうだし、何よりガメラに両親を殺された復讐心に狂った少女と怪獣とが心が通じるという設定は、ドラマとして入り込みやすい抜群の設定だと思う。それに、このド迫力の映像のお釣りならいくらでも返ってくるだろう。
渋谷の街のシーンで、三輪明日美を発見。
(★★★、感覚系)

2003年3月9日(日) 晴 2003/03/10 更新

『クリクリのいた夏』(1999 仏)の録画を観る。原題が"Les Enfans du Marais"で、「沼地の子供たち」の意味らしい。(実はフランス語は知らない) クリクリという女の子が5歳の時の、第1次世界大戦後間もない頃の出来事を、大人になった彼女が回想するというスタイルで始まっておきながら、実はクリクリの登場シーンはごくわずかで、彼女の知らないはずのエピソードのシーンが大半という、観るものに疑問を抱かせるようなお膳立てって何のため?という思いが最初から最後までずーっと邪魔をする。(ラストでやっと、エピソードの穴は彼女の想像だということが明らかになるのだが。) それに、これは邦題に対する文句だけど、邦題からはある人のクリクリとの出会いと別れの短いひと夏の物語だとイメージしてしまうが、物語は春から冬にかけてでちっとも夏じゃないから、これも誤解の元。で、いろんな登場人物が絡んでくる構成なのだが、それぞれがうまく絡み合っているわけでもなく、ひとりひとりのエピソードも消化不良のものばかりで、例えばかつて貧乏で沼地に住んでいて、一代で財を気づいて隠居した老人が、満たされない気持ちから街の家から沼地に通って次第に昔の気持ちを取り戻すが・・・という、この映画で一番ドラマチックと思えるエピソードですら尻切れトンボに終わってしまっている。
(★☆、ドラマ系)

深夜、フジテレビで放映された『浅草キッドの浅草キッド』(2002 日)を観る。ビートたけしの浅草フランス座時代の体験を描いた自伝エッセイ「浅草キッド」が原作で、主演はたけし役が水道橋博士、修行仲間の井上雅義役が玉袋筋太郎の漫才コンビ浅草キッドの2人。他の出演者は、師匠の深見千三郎役が石倉三郎、ビートきよし役がつぶやきシローなど。監督は、『菊次郎の夏』のメーキングの監督もした篠崎誠。今から35年ぐらい前の話なのに、時代考証を全く考慮していないのは、制作費がないからか?それとも、時代性は特に重要じゃないから、北野武を現在の架空の人物のつもりで描いたのか? でも後者だとしても、浅草芸人たちの思いというものが、本編よりも本編放映前のインタビューたけし自身が語った、「なぜ浅草に行こうと思ったかというと、売れない芸人でも暮らしやすい街だから。」という言葉からの方が実感できるようじゃダメだよなあ。そのインタビューがなかったら、浅草芸人の卵たちがなぜ集まってきたのか?とか、芽が出そうもないのに何故なかなかそこから出て行こうとしないのかがほとんどわからなかったと思う。
(★☆、ドラマ系)

2003年3月8日(土) 晴 2003/03/09 更新

土曜日の深夜のテレビは、「愛のエプロン3」「ブラックワイドショー」と面白い番組が並ぶのだが、さらに板谷由夏おねえさまが顔色ひとつ変えずに強烈にボケまくる「トーキョー/f」も、今一番のお気に入りの映画情報番組ではずせない。今日はロケ地はシネマ・下北沢で、由夏さまによるエンディング曲は「ルビーの指輪」だった。

NHK−BS2で『タルコフスキー・ファイルin「サクリファイス」』(1988 スウェーデン)を観る。これは、ドキュメント部分はビデオ撮りで、今回は30コマ/秒のビデオのマスターのまま放映された。(劇場版は、このマスターをキネコでフィルムにして上映したことになるが、劇場で観た時の記憶はない。)まあ、タルコフスキーに関しては言い出すと長くなるので詳しくは書かないが、人々が右往左往するシーンなどやっぱり素晴らしく、最高。

2003年3月7日(金) 2003/03/09 更新

「日本アカデミー賞」の授賞式をテレビで見る。豪華さではアメリカに完全に負けるが、それに文句を言ったところで、誰かの責任というより、社会における映画の占める地位の違いが表われているというのが正解だろう。番組としては、例年よりかなり良かった。というのも、受賞式の映像のバックに流れていた、市川森一と福沢アナの下品なことこの上ない解説がなくなって、代わりにみのもんたによる解説を完全に切り離したこと。それに、受賞者たちへのインタビューも上品な内容になっていた。さらに、観客が満足してくれたことに感謝した宮沢りえの受賞コメントの素晴らしさといったら、賛辞を並べるだけの面白くもないアメリカのものに比べたら圧勝だった。受賞結果に関しては、予想が簡単に全部当たってしまった。そんな無難な結果じゃ、賞の権威としてはやっぱりまずいだろう。

2003年3月5日(水) 晴 2003/03/09 更新

思い立って、まず来週からはモーニングショーのみになってしまう『オー・ド・ヴィ』(2002 日)の16:10の回。行く途中で気づいたけど、今日は映画1000円の日だった。1000円の日が第1水曜日からついたちに変わるのは来月からだった。
開映と同時に入場。お客さんは25人ぐらい。
ちなみに、『オー・ド・ヴィ』は「オー」にアクセントがある。映画の中で、鰐淵晴子の愛人の医者の役で、小椋桂みたいなさえない外見のおじさんは誰だろうと思っていたら、あがた森魚だった。老けメークというよりもナチュラルなんだろうけど、ちょっとびっくり。

18:30ごろ終映で、引き続きシャンゼリゼに移動し、『アレックス』(2002 仏)の18:40からの回。お客さんは50人ぐらい。女性の方が恐らく多い。
予告編は、『わたしのグランパ』って、菅原文太がムショ帰りの役なのに、ほのぼの映画のように感じた。それから、またまた出ました『魔界転生』の、窪塚くん演じる銀のマニキュアの天草四郎。念のため、こう書くと馬鹿にしてるみたいだけど、『魔界転生』期待してるし、窪塚くんも好きなんですよ。最近のライフカードのCF同様、「そのまんま行けーっ!」って感じ。でも、深作版『魔界転生』の時のように、「エロイムエッサイエム」とか言って欲しいな。
『アレックス』はシーンが過去から未来への逆の順番になっていて、クレジットも普通は一番最後に出てくるドルビーとかが最初に下から上に現われるだけでなく、クレジットの文字も「Я」のように一部左右反転している。そのせいで、「NOE」という文字(ギャスパー・ノエ監督のこと)を「EON」と読んでしまって、なんで007シリーズの製作プロが『アレックス』に関わっているのか?と、しばらくの間勘違いをしてしまった。
終映後、チラシのラックに行ったら、全部で10作品ぐらいなのに、東映の劇場に何故か東宝の『卒業』のチラシがあった。

終映は20:30頃で、続いてテアトル新宿で21:20からの『pierce LOVE&HATE』(1997 日)のレイトショーを観に、丸ノ内線で新宿三丁目まで余裕で移動。コンビニでおにぎりを買って劇場に入る。お客さんは35人ぐらいと結構多い。
予告編なしでいきなり上映開始。もともとオリジナルビデオなので、ビデオプロジェクターによる上映だが、撮影はフィルム。音のバランスが左側のスピーカーに偏っていたのは、最初の音楽だけだったろうか?

夜中過ぎに家に帰って、留守録していた「マシューズ・ベスト・ヒットTV」などを観ると、マシュー・セレクションのコーナーのファンタジー映画特集で、『テラ戦士ΨBOY』なんかを選んでいた。相変わらずすごいマニアックな番組。ついでに、その後の「堂本剛の正直しんどい」で、枕の中身の材料のマルコビーンズにちなんで、剛が「どうも、マルコビーンズです。」と、謎の人物マルコビーンズのコスプレをしていたのには、くだらな過ぎて大爆笑。ジャニーズが吉本を超える日が来るか?

2003年3月4日(火) 晴 2003/03/08 更新

WOWOWで『悪太郎』(1963 日)を観る。本編前に鈴木清順のインタビューが3分流れ、そこで「映画は見せ場をつくることが大事。筋はどうでもいい。筋がでたらめだったり、つじつまが合わないとか、そんなのは構わない。見せ場のために映画を作るようなもので、見せ場の中に俳優がいなくてもいい。見せ場が持てばセットだけでも良い。俳優だけで見せ場がうまくいけば俳優だけでも良い。人間の気持ちを追うなんてのは、馬鹿馬鹿しくてやってられない。監督1人の頭では映画なんか出来ないから、見せ場のアイデアはスタッフから集めて、それを形にするのが監督の役目。」と言ってのけて、さすが清順さんは映画に対する割り切りがいい。彼の映画の見せ場の異常さの圧倒的な力を見たら、ストーリーとか気持ちとかの常識を振りかざしたところでほとんど野暮。
『悪太郎』は、清順らしさがはっきりしてきた頃で、腰を抜かして妙な動きをする野呂圭介とか、山内賢と和泉雅子がお忍びで京都で1夜を明かした翌日、会話をしながら何故かお堂の前を左右に2往復するなど、変なカメラワークや変な演技が見られる。
内容は『けんかえれじい』の姉妹編のようで、こちらも山内賢が田舎の旧制中学に転校してきて、上級生たちの脅しに真っ向から逆らい、和泉雅子の女学生に思いを寄せる。違いは、あちらがとぼけていてエッチで豪快なのに対し、こちらは上品で真面目で繊細な感じ。保護者兼先生の芦田伸介の「20歳の時に出来ることを、40、50になってからいくらやろうとしても出来はしない。」という言葉が重く感じられるストーリー。『けんかえれじい』よりこっちの方が好きかも。
(★★★☆、ドラマ系)

2003年3月2日(日) 晴 2003/03/02 更新

『クイルズ』(2000 米)の録画を観る。
話の内容は『ショコラ』と一緒で、戒律とか道徳などの、社会的イメージとして神聖で守るべきものとされているものの胡散臭さと、それよりは人間の感情に従って生きる自由の方を選ぶべき、というもの。実質的な主役は、聖職者という前者の立場にいるが、次第に後者の立場を理解して心が揺れ動くホアキン・フェニックス。彼のような役柄を設けずに、前者をみっともなく、後者を魅力的に描くという露骨な描き分けをした『ショコラ』よりも、『クイルズ』の方が上。ジェフリー・ラッシュ演じるマルキ・ド・サドはボカシの入った全裸シーンが多かったけど、劇場版でもボカシ入りだったのだろうか? しかし、マイケル・ケインももちろん良かったのだけど、なんたってケイト・ウィンスレットがいいなあ。
(★★★、ドラマ系)

2003年3月1日(土) 雨 2003/03/02 更新

ワーナー・マイカル・シネマズ海老名の『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002 カナダ)の12:05の回。
期間が今日からのポイントカードをさっそく申し込み。
今日は映画1000円の日で、そのせいかお客さんは50人ぐらいと大盛況。
予告編で『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』のが流れるけど、うーん、いくらコンピューターを使えば好きなアングルから見たどんな映像でも作れるとはいえ、ここまでやっちゃやり過ぎなんでないの? いわば映画のマンガ化、『メリー・ポピンズ』を見ているみたい。
今日はお子ちゃまのお客さんが多いのか、客席の外のべコベコする板の床の通路を走り回っていてうるさかった。
帰り際に、チケット売り場の表示を見たら、『黄泉がえり』の13:20の回が売り切れになっていた。

続いて、ヴァージンシネマズ海老名に移動し、『呪怨』(2002 日)の15:10の回。
チケット売り場にはものすごい人が並んでいたが、並び始めて5分ぐらいと思ったより早く買えた。ちなみに、『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』『黄泉がえり』『ワンピース』が1回ずつ売り切れ。
時間があったので、ビナウオークにある全国ラーメン店の中から、喜多方の大安食堂へ。食い終わって劇場に戻ると、有料になったというのに、マイレージ会員にたくさんの人が申し込んでいたのは、なんでだろう? ロビーで『キル・ビル』のチラシを手に入れるが、日本ネタがひとつも紹介されていなかったのは、なんでだろう? 『二重スパイ』のチラシは、「シュリ」「JSA」そして・・・と書いてあって、その下の「祖国に死ぬか。愛に死ぬか。」っていうのはシュリを連想させるし、ハン・ソッキュとコ・ソヨンの2ショットの写真は、『JSA』の3ショットの写真みたいという、守りに入っているようなデザイン。『CUBE2』は、CUBE(3乗)の2乗だと6次元になるの?(原題は"CUBE2(ツー) : HYPERCUBE"なので、別に問題ない。) でも、「謎の四次元立法体(立法体って三次元でしか言わないぞ)に閉じこめられる。」となっているから四次元なんだろうけど、それなら前作の三次元立法体では6つ(つまり、x軸、y軸、z軸のそれぞれにプラスとマイナス方向で、3x2=6)あった出入り口が、今度は(四次元だと、x、y、zにもう1つ軸が増えるので、4x2=8で)8つになるのだろうか?そんなの映画でどう表現するんだろう?なんて文句をつける数学にうるさい映画揚げ足取り屋が出てくるぞ!(そんな奴いないか?)
『呪怨』の客席に入ったら、なんと145席ほとんど満席! 年齢層は圧倒的に若くてみんなポップコーンなんか食ってた。
予告編で、『魔界転生』は期待しているけど、予告編で見る限りは売りになるものがなくて、ビジネス的に弱いかな? 天草四郎役の窪塚くんのヅラは、まるで『GO』のクルパーみたいなソバージュ。

映画が終わって外に出たら、ロビーには入場を待つすごい数の人。こんなに映画好きがいたなんて・・・。

2003年2月27日(木) 晴 2003/03/01 更新

先日、松たか子の演技がひどくて2分も見られなかったと書いたが、今日ちらっと一部見た「GOOD LUCK!!」のきむ拓がさらにひどくて、30秒が限界だった。なんで台詞をさらっと言わずに、2拍ぐらい変な間を入れて、その間キョロキョロしたりするかね?! しかも、なんで口じゃなくて鼻で台詞を言うかね?! でも、これって人気あるんだってねえ。そーかあー、最近はこんなんでいいのかあー? こういうのがいいって言われちゃ、こっちは本物の宇宙人と交信して彼らと映画の話をするしかないかなあ?

深夜、NHK−BS2で『SAWADA 青森からベトナムへ ピュリツァー賞カメラマン沢田教一の生と死』(1996 日)を観る。
タイトルでほとんど紹介しきっているが、写真「安全への逃避」で有名なUPIのカメラマン沢田教一の、1970年にカンボジアで亡くなるまでの生涯を描いたドキュメンタリーで、1996年のキネ旬文化映画ベストワン受賞。文化映画と一般映画の区分がどういう点で分けられるのかがわからないが、考えられるのはこの映画のように彼の撮影した写真や、関係者たちのインタビュー映像や、過去と現在のベトナムなどの映像といった念入りな取材に基づき、ナレーションによりきっちりまとめられたひたすら正攻法の映画が文化映画ということか? でも、こういう映画はたしかにより正確な人物像を伝えているのだろうが、どうしても第三者の視点からしか見ることが出来ず、それよりは同じ五十嵐匠監督作品なら、同じくカンボジアで死んだ一ノ瀬泰造カメラマンを描いた『地雷を踏んだらサヨウナラ』のような劇映画の方が、主人公に感情移入できるので、ドキュメンタリーより胸に迫る。
(★★、ドキュメンタリー)

2003年2月26日(水) 晴 2003/02/28 更新

WOWOWで『ビョークの『ネズの木』〜グリム童話より』(1986 アイスランド)を観る。まさにダークなグリム童話で、それ以上でも以下でもない感じ。
(★★、ドラマ系、感覚系)

2003年2月24日(月) 雨 2003/02/26 更新

映画じゃないけど、21時台に裏番組に適当なのがなかったので、佐藤仁美&平山あや目当てでフジテレビの「いつもふたりで」をなんとなく観たら、せりふせりふしたせりふをせりふせりふした間合いで妙にどぎまぎ言う芝居をしている松たか子が見るに堪えず、2分も観てたら限界を感じ、他に切り替えてしばらくしてシーンが変わったころ戻ってくる。といっても、松たか子がどうこう言うつもりではなく、演出がひど過ぎで、それから脚本もダメということ。テレビドラマはほとんど観ないし、中でも評判の「月9」の人気がどれだけのものかは知らないけど、世間との感覚の隔たりの余りにもの大きさをまた1つ感じてしまい、「そーかあー、最近はこんなんでいいんだあー・・・。」が最近の口癖になりそう。こっちはミポリンや酒井若菜の方がいいなあ。

深夜、『聖山』(1926 独)の録画を観る。舞踏家だったレニ・リーフェンシュタールの女優デビュー作
ストーリーは、海の女のレニが山頂に立っている男の幻影を見て、それを追い求めてマッターホルンのふもとのホテルで舞踏の公演をする。一方、山の男のヴィゴと友人の2人がステージで踊る彼女を見て、別々に彼女と知り合うが、互いにはそのことを知らない。ある男がレニに抱きついているのをひそかに目撃した友人は落胆してやけ気味になり、その男がヴィゴだとも知らずに、彼と一緒に危険な冬の聖なる北壁を登る。しかし、嵐で崖の途中で立ち往生になり、そこでヴィゴの秘密を知った友人が血相を変えたせいでヴィゴはザイルで宙吊りになり、われに返った友人がそのザイルをつかみ、ヴィゴを見捨てずザイルを持ち続ける。レニが吹雪の夜道を山小屋まで歩いて2人の救助を依頼するが、救援隊が発見してまもなく2人とも転落してしまう。
でも、この恋愛と友情の三角関係のストーリーはあくまで表向きで、海の女と山の男はうまくいかないという悲劇や、人が山に登るのはそこで自分自身を見るから、などの神話的、観念的な面が強く、そうした物語をすべて飲み込むような海や山の映像の圧倒的な存在感が本当の主役の映画。
序章での、ものすごい荒波が岩に砕け散る映像もすごいが、波に対抗するようにレニが波打ち際や崖っぷちで両腕と両脚むき出しの姿で、『民族の祭典』の冒頭というより『メトロポリス』のマリアのダンスに近い「海辺の踊り」を力いっぱい踊っているのもすごい。
スキーの長距離レースのシーンがあり、そのレースが今のクロスカントリーのようなレースで、しかしコースの大半がダウンヒルのような急斜面で、20人ぐらいの選手が用意ドンで一斉に斜面を滑り降りるというすさまじいもの。友人が一番美しい山を見つけて下山してレニと自分以外の男を見たとき、一番美しい山が粉々に砕け落ちるイメージを挿入するといった、ショックの表現方法も強力。
その他、花が咲き乱れる牧場、大量の水が流れる激流、大雪原をスキーで滑り降りる遠景、凍りついた崖のアップやそこを人が登っていく遠景、吹雪の中雪に埋まりながら山小屋を目指すレニ、凍りつきながらザイルを握って立ち続ける友人の姿と、そのとき彼が見た氷の宮殿にレニと2人でいる幻覚、などなど、映像的に見どころ満載。
(★★★☆、感覚系)

2003年2月21日(金) 2003/02/22 更新

昨日放送していた『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(1982 日)の録画を観る。
シリーズ29作目で、マドンナはいしだあゆみ。今回は放送に気づいたときには既にタイトルクレジットだったので、オープニングコントは不明。
寅さんはまず京都に行き、人間国宝の陶芸家(十三代目片岡仁左衛門)と知り合うが、寅さんは相手がすごい人だとは気づかずになれなれしく振舞う。このような住む世界が違うもの同士が触れ合うシチュエーションだと、寅さんの自由な振る舞いに相手が感化されたりするのを面白く描くものだと思うが、そうした面白さはほとんどない。それどころか、別れ際にもらった高価な茶碗を、寅さんが放り投げたりしてぞんざいに扱うのは、安直なウケ狙いに見えてやり過ぎ。
そして、その家で女中をしていたかがり(いしだあゆみ)が失恋して、陶芸家に押しが弱いからだととがめられ、子供がいる丹後半島の舟屋のある漁村に帰ってしまい、寅さんが彼女を訪ねる。後ろ髪を引かれる思いで彼女と別れ、柴又に帰って恋の病で寝込み、そこにかがりが訪ねて来て、鎌倉のあじさい寺に寅さんを誘う。しかし、そこでのデートで寅さんの煮え切らないよそよそしい態度に、自分にはやっぱり合わないと感じたらしく、寅さんもそれを察して旅に出る。でも、このかがりの寅さんに対する恋の話って、最初の失恋と何も関係ないような。うーん・・・。
いしだあゆみを見て、ウィノナ・ライダーはいしだあゆみ化してるのか?などと思う。(いしだあゆみが万引きするということではなくて、2人ともきれいということ。) 満男の台詞が増えただけでなく、寅さんのデートに鎌倉に付き合わされたりと出番が増えた。それにしても、シリーズはまだ18作も残っているのに、ここにきていよいよジリ貧気味だなあ。満男をメインに持ってきたり、後藤久美子を投入したりして、これから復調するのかなぁ?
(★☆、ドラマ系)

2003年2月19日(水) 晴 2003/02/22 更新

今週いっぱいの『ラヴァーズ・キス』(2002 日)を、今日観に行かないと見逃してしまうと思い、日比谷スカラ座2の16:20の回に行く。30分以上前に着いたので、例によって有楽町シネ・ラ・セット→丸の内東映→ちけっとぽーと銀座店→シャンテ・シネのコースで銀座散策。丸の内東映の『バトル・ロワイアルII』の大きなポスターには「・・・ご冥福を祈ります」の貼り紙があった。シャンテ・シネのチケット売り場の前が、おばさんから若い娘まで、20人ぐらいの女(と1人の男)でびっちり。通りかかったのが16:00ごろだったので、16:20からの『猟奇的な彼女』(16:10からの『ふたりのトスカーナ』は恐らく違う)を観ようとしている人たちらしい。今日は水曜日でレデースデーなので、こんな事態なのだろう。
16:05ごろ日比谷スカラ座に入ると、こちらはレデースデーとはいえ男女比半々ぐらい30人ぐらいで、年齢層は20代までがほとんど。予告編が、『ドラゴンヘッド』『踊る大捜査線2』『スパイ・ゾルゲ』『あずみ』『星に願いを。』『卒業』『青の炎』って、ほとんど若者向き。最近は高齢者向きの映画がヒットしたりして、そうした流れには反しているようだが、若者相手に攻めないようでは間違いなく先細りだもんねぇ。でも、出来が良くなければいけないのはもちろんで、出来が悪いと逆に邦画の名折れになって邦画離れを進めるだけだけど、これらははたして大丈夫でしょうかねえ?

2003年2月18日(火) 曇→雨 2003/02/22 更新

WMCつきみ野で『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002 英=米)の試写会。
開映時刻の19:00の20分前に着いたら、いい席は既に埋まっていて、一番後ろの一番端の席に。本編の前に、同じ配給会社のFOXの作品『ソラリス』『X−MEN2』『デアデビル』の予告編。『ソラリス』って公開はもっと先かと思っていたら、なんと3月。(あくまでアメリカの)評判は悪いと聞いているけど、『ローラーボール』と同じで出来に自信のない映画を、試写会もろくに開かないでこっそり公開するパターンかなあ? こりゃまずい。
さて、本編の方はなかなか面白かった。シリーズ40周年20作目ということで、10作目の『私を愛したスパイ』のように、過去の作品の焼き直しもいろいろ見られた。ハル・ベリーの水着は『ドクター・ノオ』、隠し撮りは『ロシアより愛を込めて』、アストンマーチンに脱出装置があるのと、レーザーで切られそうになるのは『ゴールドフィンガー』、小型酸素ボンベとQの研究室の空を飛ぶ装置は『サンダーボール作戦』、衛星は『ダイヤモンドは永遠に』、ユニオンジャックのパラシュートは『私を愛したスパイ』、チャンバラで備品を壊しまくるのは『ムーンレイカー』、輸送機から脱出するのは『リビング・デイライツ』などなど。まだまだありそう。
それから、秘密兵器や登場する科学技術がエスカレートしてきて、科学的におかしいところが目に付くようになった。過去の作品でいえば『サンダーボール作戦』に当たるだろうか。まず、相変わらず人工衛星が写った映像を地上で見てるし(カメラはどこ?)、見えないアストンマーチンは、車体表面に背景の映像を映す仕組みだと、目線を変えたらずれてわかってしまう。遺伝子を入れ替えて他人に変わるのは、後天的なもの、例えば筋肉のつき具合や骨の伸び具合までは変えられない。同じ遺伝子を持っていてもおすぎとピーコでは顔が違うように、全くそっくりになるとは限らない。脳細胞はそのままだから、頭蓋骨の小さい人になれるとすると、脳が圧迫されてしまう。それに、『ゴールドフィンガー』であれだけ飛行機の中で銃を撃っちゃいけないと言っていたのに、最初の1発はなんともなかったの? まあ、こういうことは映画が面白ければどうでもいいことで、この手のあら探しも楽しみの1つということで・・・。

2003年2月16日(日) 2003/02/19 更新

『遠すぎた橋』(1977 米=英)の録画を観る。
1944年6月6日のノルマンディー上陸から3ヵ月後、撤退中のドイツ軍の背後に多数の空挺部隊を降下させ、地上部隊の進軍と合わせて一気にドイツ軍をたたこうという、連合軍の「マーケット・ガーデン作戦」の実話の映画。
しかし、最初から失敗するとわかって観ているせいか、連合軍のやることなすこと失敗の原因だらけに見える。素直に地上を進軍しても、補給が追いつかないために速度が制限されているのに、さらに急ごうとするところが失敗の大元で、さらに決行までわずか1週間で、準備し始めてから具体的な問題が次々見つかり、敵の勢力が侮れないという諜報員の情報も無視され、地上軍は急がなければいけないのに道路を埋め尽くして出迎えた市民たちにのんきに手を振るといった具合。それもこれも、さすがに5年も戦争が続いて、1944年のクリスマス前にさっさと終わらせたいという気持ちからだろうけけど、それで犠牲になるのは人命だというのに。で、結論は上層部が悪かったという映画なのだが、それじゃ余りにも映画として底が浅すぎやしませんかねぇ?
撮影に使われた飛行機や戦車や人や爆薬の数はものすごいが、そのわりにインパクトに欠ける。
(★☆、ドラマ系)

2003年2月12日(水) 曇 2003/02/13 2015/08/30 更新

『死の銀嶺』(1929 独)の録画を観る。監督が”山岳映画の巨匠”アーノルド・ファンク、主演が当時はまだ”山岳映画の女王”だったレニ・リーフェンシュタールのコンビによるサイレント映画で、1997年に復元された綺麗なマスター。
ストーリーは、ヨハネス・クラフト博士は妻のマリアとガイドのクリスティアンと3人でスイスアルプスのピッツ・パリューを登山中、自分の不注意で彼女が雪崩に巻き込まれクレバスに落ちて死なせてしまい、それ以来、彼はその山に1人で登り続けている。一方、ふもとの山小屋にマリア(レニ)と婚約者のハンスがやって来て、2人はそこで雪をかけ合ったりしてイチャイチャ。そこにヨハネスが山小屋に来て、3人で山小屋で1夜を過ごす。翌朝、悪天候のおそれがあるにもかかわらず、ヨハネスは1人で難所のピッツ・パリュー北壁に向かおうとするが、自分に何が出来るか試したいとハンスが同行し、マリアも後を追ってついて行く。途中、ハンスが先導したいと言い出すが、落下した氷塊に当たって氷壁を滑落。助けようとしたヨハネスも、足を滑らせ脚を骨折し、3人は動けなくなる。彼らと競うように登ってた学生たちも、雪崩に巻き込まれて全滅。翌日、クリスティアンが山に登って学生の1人の遺体を発見し、ふもとに帰って夜に捜索隊が出発する。3日目の夜、ハンスが精神的にまいって、2人に縛られる。4日目、カップルの友人のパイロットが新聞で遭難を知り、飛行機で彼らの居場所を見つけクリスティアンに知らせる。そして、ついに彼らは見つかるが、その前にヨハネスはその場を離れ、1人雪に埋もれて死ぬのだった。・・・
ストーリーの展開やカットのつなぎにちょっと首をかしげるところもあるのだが、それでも冬山の風景が抜群で、登山や滑落や雪崩はすべて本物。そして、なにより捜索隊が各自松明を片手に1列になって村を出発するところや、クレバスに次々降りていって松明で照らされたクレバスの中を写したりといった初めて見る映像の数々。氷壁やつららに映る松明の明かりが美しい。
ドキュメンタリーの『レニ』にも、彼女の女優時代の話があったけど、忘れたからもう一度観ようかな?
(★★☆、感性系)

2003年2月9日(日) 晴、暖 2003/02/10 更新

WMCつきみ野へ『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002 日)のレイトショーを観に行く。予告編が始まったころ客席に入る。お客さんは10人ぐらい。

2003年2月7日(金) 晴 2003/02/08 更新

今日が最終日の『K−19』(2002 米)の朝の回をWMCつきみ野で。少し遅れて劇場に着き、本編直前に入る。お客さんは10人ぐらい。
ハリソン・フォードが艦長(英語で”キャプテン”)で、前艦長のリーアム・ニーソン大佐(英語で”キャプテン”)は、ハリソン艦長を気に入らない乗組員から『あなたが艦長(キャプテン)』などと言われていた。ZAZの『フライング・ハイ』で、オーバー機長とロジャー副機長がコックピットで無線交信して、「オーバー(どうぞ)」、「ラジャー(了解)」と言ったのを聞き間違えるのがギャグになっていたけど、あれみたいなもんじゃないの? ちなみに、”キャプテン”は陸軍と空軍では「大尉」だけど、海軍では「大佐」だそうで、ややこしい。字幕の戸田奈津子さんは間違えてなかったみたいだけど。

2003年2月5日(水) 2003/02/08 更新

『アガサ 愛の失踪事件』(1979 英)の録画を観る。アガサ・クリスティが実際に失踪し、今も謎の失踪中の出来事をフィクションで作り上げたもので、そこで彼女の作品さながらにトリックが使われるという、ファンにはうれしい内容。高身長のヴァネッサ・レッドグレーブを低身長のダスティン・ホフマンが見上げる目線がいい。
(★★☆、ドラマ系)

2003年2月2日(日) 2003/02/08 更新

『姿三四郎』(1977 日)の録画を観る。黒澤明版は観ていて、あれにもあった三四郎が池の中に入り続けたり、原っぱで果し合いをしたりのシーンがこちらでも見られる。三四郎役の三浦友和もまずまず。しかし、1970年代の岡本喜八の東宝作品は、60年代の彼と比べてどれも彼らしさのない平凡なものばかり。でも、この次の作品が『ダイナマイトどんどん』(1978)だから、やるときはやってたということか?
(★★、ドラマ系)

2003年1月30日(木) 晴 2003/02/01 更新

テレビを観ていたらWOWOWで放送していた『GUN CRAZY 裏切りの挽歌』(2002 日)を観る。
正義感に燃えて弁護士になった菊川怜が、法の力の無力さから刑務所帰りの永澤俊矢と知り合って銃の手ほどきを受けて殺し屋になって悪人どもを次々に殺すも、永澤の悪事に対して対決することになる。ストーリーは本当にいい加減で、犯罪組織に入っても博愛主義を訴える菊川怜といい、そんな彼女が寝返ったら厄介なことになるが明らかなのに始末をしないボスの永澤俊矢といい、登場人物もスットコドッコイ。ほとんどの人はこれだけで見限るだろうが、アクションシーンだけを見ると一応まともな作り。それより、なんといっても凄いのが菊川怜のコスプレで、いきなりハイヒールにミニのスーツ姿で法廷シーンで現われ、殺し屋になってからはレザーファッションで、屋上から狙撃するシーンでは黒のピッタリの皮ジャンに皮パンと、誰が見ても「犯人はあの女だ」とバレバレのスナイパーの制服のような格好。そして、クライマックスでは黒の皮のロングコートに黒の短パンで、動くたびに脚があらわになるが、現実には絶対にありえない格好。いろんなことに挑戦しても、どうもピッタリ納まるキャラクターが定まらない現実の菊川怜を彷彿とさせるが、こうやって何でもやってくれたら、そのうちピッタリのキャラが見つかるかも。ラストの姿なんか、『女囚さそり』の松島ナミかと思ったし。
鑑賞後、納豆クイーンにちなんで夜食の納豆を食べる。
(★☆、感覚系)

2003年1月28日(火) 2003/02/01 更新

今日BSで放映された『トレイル・オブ・ザ・ピンクパンサー』(1982 米)の録画を観る。ピーター・セラーズの死後、かつてのシリーズ作品で撮影された映像を再利用して1本の映画にした作品で、彼の未亡人のリン・フレデリックが怒って裁判を起こして勝訴したといういわく付きの作品。ハーバート・ロムが出ているシーンで見たことのないシーンがあったので、追加で撮影もされたのでは? そんな風に作られた映画なので、確かに面白くないストーリーなのだが、エンドクレジットで『ピンクの豹』での地球儀に手をついてこけるギャグから始まる、歴代シリーズ作品のお笑いの名シーンのつるべ打ちにはまいった。
(★☆、お笑い系)

2003年1月25日(土) 晴 2003/01/27 更新

WMCつきみ野に『マイノリティ・リポート』(2002 米)のレイトショーを観に行く。
ある用事を済ませてから映画館に行くことにしたので、かなり早めに家を出たのだが、思ったより用事に手間取って着いたのは開映時刻の21:35頃。ところが、何を勘違いしたのか本当の開映は21:30で、念のためまだ予告編なのを窓口で尋ねてからチケットを買うと、うまい具合に希望通り前の方の席が1つ空いていて、本編に間に合う。お客さんは100人ぐらい。
この映画にメリル・ストリープが出ているということだった筈なのだが、クレジットでも見当たらず、http://us.imdb.com/で見ても載っていなかった。何かの間違いだったのか、出演が取りやめになったのか、それともクレジットなしのカメオ出演だったのか? 怪しいのは医者の助手なんですけどねえ。真相はいかに。
昨日も気がついていたのだが、各スクリーンの入り口のところにドルビーとかのプレートが貼られていたのが無くなっていた。なんでだろう? ちなみに、昨日も今日も「ぷちっ」というノイズが聞こえたので、恐らくアナログのドルビーステレオによる再生。

2003年1月24日(金) 2003/01/27 更新

本当は、シネマ下北沢の『刑事まつり』の16:30の回と、続いて新宿か渋谷で『AIKI』の、共に今日が最終日の2本をハシゴしようと思っていたのだが、忙しくて行けず。代わりに、WMCつきみ野に運命の女(2002 米)のレイトショーを観に行く。お客さんは10人ぐらい。
あと、今夜は『千と千尋の神隠し』がテレビで初めて放映されたのだが、私は裏番組の『ピンク・パンサー4』の方を留守録したのだった。

2003年1月23日(木) 2003/01/27 更新

今日NHK-BS2で放送された、『ピンクパンサー3』(1976 英)の録画を観る。シリーズ中一番無茶苦茶な内容の、完全なスラップスティックコメディで、私のお気に入り。ピーター・セラーズとハーバート・ロムの一流俳優コンビがクルーゾー主任警部とドレフェス前主任警部をそれぞれ演じるが、この映画の2人は空前のバカぶりで、何度も爆笑。しかし、よくよく見ると水に飛び込んだりなどの体を張ったアクションは2人とも吹き替え。まあ、当たり前だけど。ケイトー役のバート・クォークだけは後ろ向きに転がるのをやっていた。
(★★★☆、お笑い系)

2003年1月22日(水) 2003/02/02 更新

18:30から有楽町のよみうりホールでの裸足の1500マイル(2002 豪)の試写会へ。18:15頃に会場に到着。
この映画は1930年代のオーストラリアが舞台なのだが、「エイ」の発音が「アイ」になったり、口をあまり開けずにホニョホニョとしゃべるオーストラリア訛りの英語をしゃべる人が、ケネス・ブラナーをはじめほとんどいなかった気がする。

終映は20:10ごろで、続いてシブヤ・シネマ・ソサエティの『キス★キス★バン★バン』(2000 英)の21:00からの回へ。渋谷駅から道玄坂をてくてく上がっていって、着いたのは20:50ごろ。今日はレディースデーで、お客さんは35人ぐらい。開映時刻になって、映写トラブルがあったらしく、5分ぐらい遅れて上映が始まる。シブヤ・シネマ・ソサエティは今回で2回目だが、『キス★キス★バン★バン』がシネスコだったせいか、画面の左半分がずーっとピンボケだったことに初めて気がついた。(アナモフィック・レンズで上映すると、アナモなしのビスタサイズよりピントがボケやすい。) 映写機とスクリーンの角度が悪いせいだとすると直らないかもしれないけど、直せるなら直してね。

2003年1月20日(月) 晴 2003/01/25 更新

新橋のヤマハホールで18:30からの『13階段』(2003 日)の試写会へ。10分ぐらい前に到着。
主演は反町と、最近やたらと目につく山崎努で、ついこないだ『刑務所の中』を観たのに、今度も役柄は看守に変わったとはいえ、やはり刑務所の中から始まり変な気分。おまけに、刑務所(拘置所?)長は崔洋一だし。それから、彼が鼻歌を歌うと、つい『GO』の「きよしこの夜」を思い出してしまう。おまけに、死刑囚の役で宮藤官九郎が出てるし。大杉漣も出てるし。
それにしても、『13階段』は役者たちの持ち味がよく出ているのだが、なんといっても一番の見ものは宮迫博之。彼はテレビドラマによく出ていたのは知っていたが、映画で見たのは「宮迫です!」と言って自分の頬をぶつギャグが認められて(?)出演した『クロスファイア』の自分で自分を殴る男ぐらい。そんな彼がここで好演を見せ、春には主役の『蛇イチゴ』の上映があるから、もう「遠藤憲一にそっくりの・・・」とは言わせない(?) でも、クレジットやチラシでは相変わらず
 宮迫博之
 (雨上がり決死隊)
と小さなカッコ付きで出ている。相方の蛍原思いなのか?
今回の試写会はとんかつの和幸が主催で、アンケートに答えて500円のお食事券をもらう。一見とってもお得のようだが、和幸に行かないから、年前に試写会でもらったものもまだ使わずに持っていて、これじゃ意味無いなぁ。

終映は20:35頃で、続いてシネ・アミューズで21:10からレイトショーの『Jam Films』(2002 日)を観に渋谷へ。銀座線の新橋駅のホームに降りる階段に『マトリックス・リローデッド』のポスター数種類が貼られていた。他の駅でも貼られているのだろうか? 新橋だけだとしたら、なぜ新橋?シネ・アミューズに5分ぐらい前に到着。1階のエレベーターホールで、隣で上映中の『アカルイミライ』共々、「混雑しています」の貼り紙があった。『アカルイミライ』はおととい上映が始まったばかりだからわかるけど、『Jam Films』っていまだに混んでいるのか?と思って少し驚いたが、実際には整理券番号20番ぐらいで、全体は25人ぐらい。何だったんだ、あの貼り紙は?

2003年1月19日(日) 2003/02/02 更新

『カラフル』(2000 日)の録画を観る。
ある少年が死んで、天使が彼をこれから死ぬ自殺をはかった別の少年(田中聖)の体にホームステイさせ、生前にした悪いことを思い出せば輪廻のサイクルに入れると言われる。そして、とりあえず宿主になりすますために、彼がどんな少年だったかを探ることになり・・・という話なのだが、設定がとにかく回りくどい。
宿主の少年の家族構成は、この映画の脚本の森田芳光の『家族ゲーム』と全く同じなのだが、ここでは父親が理不尽にクビにされ、母親は自分の平凡さに悩み、憧れの彼女は自己嫌悪を感じつつ物欲を抑えられず援助交際をするなど、周りの人間もそれぞれ悩みを持っている。それらの人々と接して得られた結論は、『カラフル』というタイトルの意味するように、人々は1つの色で表されるのでなく、それぞれ違った色を持っているということであり、他人が自分とは色が違うことに寛容になって、自分は自分で自分の人生をしっかり前向きに生きようという、はっきりしたメッセージを持った、内容的にかなり深い真面目な映画。しかし、物語の構造に凝りまくっていることが、「メッセージを伝えるために人工的に作られた物語」という面白味の無さを先に感じてしまう映画にしてしまったのがなんとも残念。
(★★、ファンタジー系)

2003年1月17日(金) 晴 2003/01/18 更新

『男はつらいよ 寅次郎神風船』(1981 日)、きのうの続き。)
本筋は、寅さんが柴又に帰ってきて、ちょうど開かれていた柴又小学校の同窓会に出席し、みんなに煙たがられて酔った寅さんをとらやに連れて来た人のいい東八郎にも口の悪さをとがめられて旅に出る。日田で家出娘の岸本加世子と出会い、祭りで商売をしていると、そこには商売仲間の小沢昭一の奥さんの音無美紀子が一人で店を出していた。聞くと夫は病気ということで、福岡県の秋月の彼の家に見舞いに行き、もし死んだら妻を嫁にもらってくれと頼まれるが、音無から彼は実は長くないと聞かされる。人生のはかなさを感じた寅さんは岸本を置いて柴又に帰り、人が変わったように神妙な気持ちでいる、夫を亡くした音無が東京に出てきて働いていると知り、彼女と結婚しようと真人間になって就職試験を受ける。とらやに来た音無を寅さんが見送るとき、「亭主が『俺が死んだら寅さんの奥さんになれ。話はついている。』と言ってたけど、本当?」と聞かれて、「話を合わせただけ」と答えてしまい、「寅さんが本気でそんなこと約束するわけないよね。」と言われて、また失恋。
ここで、音無に気があるように見えないので、とらさんの一方的な失恋ということになるんだけど、彼女も結婚する気があるようなそぶりを見せて、2人とも失恋ということにした方が良かったのでは? 音無も岸本も子供のころ暖かい家庭に恵まれなかったという共通点があるのに、それを結びつける展開にしようとは思わなかったのかなぁ? そんなことより、シリーズ初期では寅さんが真人間になるといったような、柄にもないことするさまを見ているだけで笑わせてもらったのに、この頃ではあっさり済ませるようになってしまった。これじゃイカンなぁ。岸本加世子はレギュラーにしてもいいと思うほど良かったけど。
(★★、ドラマ系)

2003年1月16日(木) 晴、寒 2003/01/18 更新

今日放送された『男はつらいよ 寅次郎紙風船』(1981 日)の録画を深夜に観る。
第28作目で、マドンナは音無美紀子。オープニングコントは、トンカツを作っているテレビの料理番組で、ノーベル医学賞は車寅次郎博士が受賞というニュース速報が流れ、車総合病院では寅さんに向かって岸本加世子の看護婦が忙しいスケジュールを話している。そこに、寅さんと大学生時代に恋人同士だった音無美紀子が、子供の命を助けて下さいと寅さんに言い、寅さんはノーベル賞の記者会見をキャンセルして手術。寅さんはメスではなくナイフとフォークを手にし、患者の体の上にあるトンカツを切ったところで例によって目が覚める。そこは食堂で寅さんはトンカツを食べた後で、店を出るとハチンコノーベルの看板を持ったサンドイッチマンとすれ違う。いつの間にか吉田義夫が出ていないことに気がついたけど、彼の最後の出演は『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(1977、19作目)で、遺作は『夢見るように眠りたい』(1986)らしい。
(・・・明日に続く ↑)

寅さんを観ている途中で、テレビで『伊賀忍法帖』(1982 日)を放映していたので、そちらを観始める。これがデビュー作の渡辺典子のくの一が、悪者に捕まっていきなり手ごめにされそうになるところで変な期待をさせるが、自分の首を切り落として、代わりに美保純の首をつけられて手ごめにされる。美保純がロマンポルノから一般映画にやっと進出してきた最初が、典子の代わりに脱ぐという役にされたのだった。他に風祭ゆきとかわいのどかもヌードを披露。さらに、成田三樹夫のコスプレも。他に、佐藤蛾次郎、福本清三、ストロング小林(この直後に金剛に改名)が敵の妖術僧という異色のキャスティング。美保純と蛾次郎(←しかし、すごい名前だなぁ。名前の中に昆虫、それもよりによって、。)で、一応寅さんつながり。というわけで、ストーリーは安っぽいが、奈良の大仏殿の炎上などの見せ場はあったものの、途中で寝る。

2003年1月14日(火) 2003/02/02 更新

『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(1975 日)の録画を観る。
第15作目で、マドンナは浅丘ルリ子のリリーが再登場。オープニングコントは、シルバー船長のような格好の海賊の船長タイガーが、吉田義夫&タコの奴隷船を襲って、カツシカ島からさらわれたチェリーたちを助けると、チェリーはタイガーの妹だということがわかり、一緒にカツシカ島に帰る。ここで、「海賊船悪魔号」というハリウッド映画を上映している映画館で目が覚める。
本筋は、11作目の『寅次郎忘れな草』ですし屋と結婚したリリーが結局別れて寅さんのいないとらやにやって来て、再び歌手になって旅立つ。一方寅さんは、家族に冷たくされ会社をサボって旅をしている船越英二と八戸で知り合い、青森から青函連絡船で函館に行くと、そこでリリーと偶然に会う。それから3人で旅をして、お金がなくて長万部の駅で1泊したり、札幌の大通り公園で船越が万年筆を売って寅さんとリリーがサクラになる泣き売をしたり。小樽に行き、船越が学生時代に憧れていた女性の今の姿を見に行き、2、3言葉を交わしてその場を去る。船越が彼女に何もしてやれないと嘆くと、女が男に幸せにしてもらうという考え方は男の思い上がりと言い、反論した寅さんがリリーは亭主に捨てられたと言ったため、リリーは怒って3人は別れてしまう。船越は東京の家族の家に帰り、寅さんもリリーもお互い相手がとらやに来てるんじゃないかと思って、とらやで鉢合わせになる。それから2人とはイチャイチャして柴又で変な噂になる。船越がメロンを持ってとらやを訪ねて、さくらに「寅さんはリリーさんと結婚しないんですか?」と聞く。後日、そのメロンを切り分けてみんなで食べようとした時に、寅さんの分を忘れたことで一騒動。リリーにまで大人気ないと言われて寅さんが飛び出す。夜になって雨が降ってきたので、寅さんがとらやに帰ってきて傘を持ってリリーを駅まで迎えに行く。(散歩して、たまたま駅を通りかかったということにするため、傘は1本で相合い傘。) リリーがアパートを見つけたのでとらやを去る時に、さくらが寅さんと結婚して欲しいと言うと、なんとリリーの返事はOK! 帰ってきた寅さんに「冗談だろ?」と言われて「冗談よ。」とリリーは去ってしまう。さくらたちは寅さんにリリーの後を追うように言うが、寅さんは結局身を引いてしまう。
寅さんとリリーは何度も喧嘩してはすぐ仲直りしたりと夫婦のようでもあるし、何の気兼ねも無く話し合えるのは友達のようでもある。果たして、寅さんは運命の相手との結婚のチャンスを、冗談話にして台無しにしてしまった大バカ者なのか?それとも共に流れ者で、結婚して普通の生活をするのに向いていないことを直感で判断して正しい選択をしたのか? そんな微妙な関係にほのぼのとしたりしみじみとしたりする、なんとも味わいのある映画である。シリーズ最高傑作とも言われているけど、果たして他にこれを超える傑作はあるか?
(★★☆、ドラマ系)

続いて、『しあわせ家族計画』(1999 日)の録画を観る。
三浦友和のお父さんが失業、社宅を追い出されて渡辺えり子の妻の父親のいかりや長介の和菓子屋にお世話になるも、そこも従業員に金を持ち逃げされて・・・、といった具合に、ほとんどの登場人物が問題を抱えて首も回らない中、三浦友和が賞金を懸けて、みんなの期待が集まる中、テレビ番組のしあわせ家族計画に出演する。
まあかなり甘めの、苦しいながらもみんなで頑張って希望を持てればOKという話なのだが、パッとしない中年男の役をやらせたら三浦友和という人は本当にうまい。
(★☆、ドラマ系)

2003年1月12日(日) 晴 2003/01/16 更新

よみうりホールで18:30からの『ボーン・アイデンティティー』(2002 米)の試写会が当たっていて、その前にやはり招待券のあった『火山高』(2001 韓国)を観に、渋谷東急3での14:10の回へ。しかし、急行に乗り損なって30分後の急行に乗り、14:20頃に映画館に駆け込んだ時にはまだ予告編で事なきを得る。お客さんは思ったより多くて50人ぐらい。『火山高』は、やたらと後ろのスピーカーから音がする映画だったが、やっぱりやり過ぎだよなぁ。

終映後、時間に余裕があったので、食事などをしてから有楽町へ行き、18:00頃よみうりホールへ。
『ボーン・アイデンティティー』で、無職のフランカ・ポテンテが、久しぶりに会った彼女の兄に「お前、今、何の仕事してるんだ?」と聞かれて「shipping #%@$* 〜」と言ったのを字幕で「船舶関係」と訳していたけど、あれは「運送関係」(つまり、マット・デイモンの運転手)が正しいんじゃないの? まあ、本筋には全然関係ない台詞だけど。字幕担当は戸田奈津子

終映は20:35頃で、続いて銀座シネ・ラ・セットで21:10からの『情婦』(1957 米)へ。すぐには行かずに、しばらくぶらぶら。「手相の勉強をしてるんですけど・・・」と話しかけてきた統一教会らしき男を追い払い、東映本社の前を通りかかると「バトル・ロワイアルII」の前売り券、2月22日発売の看板が出ていて、そういえば深作監督が今日亡くなったことを思い出し、何か変わったことがあるかと思ったが何もなく、時間が時間だけに本社の明かりも点いていなかった。シネ・ラ・セットには20:55頃に着く。お客さんは30人ぐらい。
『情婦』はどんでん返しで有名な映画で、ネタがばれる前に観てしまいたかったのだが、なかなか観る機会が無く、今回ビリー・ワイルダー追悼特集の3本の中の1本で観ることができた。

2003年1月10日(金) 曇 2003/01/16 更新

半蔵門のTOKYO FMホールで19:30からの『カンパニー・マン』(2001 米)の試写会へ。終映後、もう1本観ようと思ったが、終映時刻21:10だと何も観ることができないので、逆にその前に1本観ようと思い、シネセゾン渋谷で17:00からの『CQ』(2001 米)が時間的に一番楽なので観ることにする。ただし、それでも17:00には間に合わないことがわかっていたのだが、上映時刻表と上映時間88分から計算して予告編が15分以上あることがわかり、17:15頃に客席に入ったら、計算どおりまだ予告編の最中だった。
お客さんは25人ぐらい。

18:50頃終映で、19:10頃に余裕でTOKYO FMホールに着く。ここはパイプ椅子なので座り心地が悪い。ちょっと集中力が欠けてしまった。

2003年1月9日(木) 2003/01/16 更新

有楽町の朝日ホールで18:30からの『黄泉がえり』(2003 日)の試写会へ。開映時刻直前に会場に入り、いきなり本編上映。
終わって、マリオンの6基のエレベーターの待ち時間が長くて外に出るのが大変だろうなぁ、と思っていたら、朝日ホールの客席脇に退場専用のエレベーターがあるのを見つけて、そこから降りる。

続いて、ハシゴのレイトショーは、同じ銀座の銀座テアトルシネマの『8人の女たち』(2001 仏)。そこへ向かう途中、通りかかった丸の内東映の前に5、6人の列が。どうやら、11日初日の『T.R.Y.』の順番待ちらしい。ごくろうさまですねぇ。
時間に余裕があったので、有楽町線の銀座一丁目の駅に降り、帰りの地下鉄の時間を調べる。本数が少なくて長く待ちそうだったので、銀座線で帰ることも考え京橋駅に向かう。途中、銀座テアトルシネマの向かいの歩道を通り過ぎると、劇場前に同じビル内のル・テアトル銀座で上映中の『ウエストサイド物語』のディスプレーで、ジョージ・チャキリスと思われる男が、例のY字バランスの姿勢をとっている銅像が立っていた。京橋駅で時刻を調べて銀座テアトルシネマに戻ると、なんとさっきまであったはずの銅像がなくなっている。さては、あれはハナ肇の銅像のように中に人が入っていて動いたのか?などと一瞬思ったが、エレベーターホールの奥にしまい込まれたのだった。大きさは3メーターぐらいで、材質はプラスティック。
エレベーターで銀座テアトルシネマの階に上がると、知らないうちにチケット売り場が1階に変わっていて、戻ってチケットを買ってまた上がってくる。
お客さんは10人ぐらい。「ぴあ」には21:20の回は予告編なしと書いてあり、確かに無かったがCFが4分間流れた。
帰りの電車の中でキネマ旬報を読んだら、『8人の女たち』は1950年代の話だということがわかった。えーっ!そんなの全然わからない。現代の話だとばかり思っていた

2003年1月7日(火) 2003/01/19 更新

4日の深夜に放送されていた、『わが青春のフロレンス』(1970 伊)の録画を観る。さわやかな青春映画のような邦題(原題の"Metello"は主人公の名前)のイメージとは全然違い、20世紀初頭のフィレンツェで、ストライキを先導するレンガ職人の青年の話。でも、職場の近所の年上の奥さんや、妻になる同僚の娘、さらにストライキの最中に妻に隠れて隣の部屋の奥さんとできてしまったりもする。1971年のキネ旬ベスト4だけど、うーん???
(★☆、ドラマ系)

2003年1月6日(月) 晴 2003/01/09 更新

『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』(1980 日)の放映を観る。シリーズ26作目で、マドンナは伊藤蘭。オープニングコントは、飢饉や疫病で苦しむ柴又村の人たちに吉田義夫の悪代官が、筑波山の天狗のたたりを鎮めるために、村で一番美しいおさくを生贄に差し出せと言い、通りがかった国定忠治風の寅さんが身代わりになって、悪代官たちをやっつけるというもの。
本筋の方は、最初に寅さんが柴又に帰ってきて、一軒家を買ったさくらに寅さんが2万円のご祝儀を渡して、そんな大金は受け取れない、いや受け取れでケンカになってすぐに飛び出す。寅さんは江差に行き、知り合いの同業者が死んだと聞いて、彼の家がある奥尻島を訪ね、彼の娘の伊藤蘭と知り合い、彼女の上京に付き合って2人で柴又に来て、みんなで彼女にバイト先のセブンイレブンを紹介し、定時制高校に入学させると、函館から昔の恋人の村田雄浩が訪ねてきて2人は結婚する・・・っていうストーリーをなぞっているだけのような内容。(ただし、10分ほどカットされている。)シリーズの初期だと、森川信のおいちゃんと寅さんの意地を張り合った口げんかなんか本当に面白い抜群のやりとりだったのに、ここではまるで寅さんが旅に出るためのきっかけ作りのためだけみたいで、寅さんは口げんかもほどほどにさっさと飛び出してしまう。それに、寅さんの日ごろの悪態が、マドンナの前ではコロッと態度を変えてデレデレするその落差が面白かったのに、ここではそんなのはさっぱりなかったばかりか、ついに寅さんは恋愛感情なしのマドンナの親代わりになってしまった。もう、昔の『男はつらいよ』シリーズのようには戻れないのか?
定時制の生徒役で光石研と、2代目おいちゃんの松村達雄が今回は先生役で出演。
(★☆、ドラマ系)

2003年1月5日(日) 2003/02/02 更新

今日は、ル・シネマでの『至福のとき』(2002 中)と、シネクイントでの『刑務所の中』(2002 日)の2本を観ようと思い渋谷へ。観る順番を電車の中で考えていたのだが、『刑務所の中』を先にすると『至福のとき』の入場に間に合わないということで、先にル・シネマの14:50の回に行く。14:25頃に着いたのに、整理券番号は既に72番。お客さんは全部で90人ぐらい。
ところで、『至福のとき』のチラシなどに使われている、ひまわり柄の赤いワンピースを着たドン・ジエの写真の背景のボケた緑色は合成で、本当の背景は確かきたない壁かなんか。でも、誰が背景を入れ替えたのか知らないけど、緑バックの方が断然良く、うまいこと考えたもんです。

ル・シネマから渋谷の町を横切ってシネクイントへ行き、17:00の回の15分位前に着く。
お客さんは50人ぐらい。またまた本編の客層を無視して『呪怨』の予告編が流れて、いやなものを見たといった空気が客席に流れる。さらに『the EYE』とかの怖そうな予告編も。
『刑務所の中』は噂通りの面白さで、笑い声がしばしば聞こえた。

2003年1月4日(土) 晴 2003/01/11 更新

昨日の深夜に放送された『ロベレ将軍』(1959 伊)の録画を観る。ヴィットリオ・デ・シーカ演じる詐欺師は、イタリアを占領するナチに逮捕された者の家族から、ナチとの仲介人として釈放のための賄賂をもらっては、そのお金でバクチをしている。とはいっても、彼は根っからの悪人というわけではなく、ナチとも調子を合わせつつ、賄賂を手にしたらナチに渡して釈放してあげたいと本当に思っているのだが、お金を手にするとついバクチをして、スッてしまったらお金をもらった家族に申し訳ないのと、自分もお金が無くて困るという理由で新しい金づるを探すといった感じで、自分がいい思いをしたいだけでなく、できれば他人にもいい目にあって欲しいという、ノンポリで調子のいい小市民である。そんな彼がついにナチスに逮捕されて、罰を受ける代わりに、パルチザンと連絡を取ろうとして殺されたロベレ将軍になりすまして刑務所に入り、そこにいるパルチザンが連絡してきたらナチスに知らせるという役割を引き受ける。しかし、そこで体験したことにより愛国心に目覚め、ナチスに協力することに抵抗を感じるようになる。
主人公に注目すると、愛国心に目覚めるという心境の変化だけの話でどうということがないようだが、第2次世界大戦から14年後の製作当時には、重みをもって受け止められたのだろうか? 刑務所を舞台に繰り広げられるスパイものとしては、緊迫感があってまずまず面白い。ロッセリーニ監督の1959年ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞作。
(★★☆、ドラマ系)

2003年1月3日(木) 雪 2003/01/09 更新

昨日の深夜にBSで放送された『無敵艦隊』(1937 英)の録画を観る。ケイト・ブランシェットの『エリザベス』でおなじみのエリザベス女王の頃のスペインと戦っていた16世紀末のイギリスの話で、海賊としてスペインの戦艦と戦っていた軍人と彼の息子のローレンス・オリヴィエがスペインの戦艦に捕らえられるが、スペインの艦長とオリヴィエの父は旧知の仲で、オリヴィエはスペインの彼の家にかくまわれる。その家で娘との恋が芽生えるが、父親が処刑されて、スペインに対する復讐を誓いイギリスに帰る。イギリスの宮廷には彼の恋人のヴィヴィアン・リーがいて、若い2人の愛し合う姿を若くない女王はうらやましく見る。女王はオリヴィエに、逃走中に死んだスペイン側のスパイになりすまし、スペイン国王に会ってイギリスにいるスパイ仲間のメンバーの割り出しを命令する。危険な任務だが、オリヴィエはヴィヴィアンに帰ってくることを誓う。スペインで国王からメンバーを割り出すことに成功するが正体がばれてつかまってしまう。しかし、スペインで恋仲だった娘たちに助けられ、イギリスに戻る。まもなくスペインの戦艦が数多くイギリスに押し寄せる・・・。
愛と復讐の物語かと思ったら、むしろ大半は本格的なスパイサスペンス、合戦シーンも少しあって、これで主役は一応エリザベス女王という、かなり盛りだくさんで楽しめる。ローレンス・オリヴィエとヴィヴィアン・リーが出会ったきっかけの映画だそうな。
(★★☆、ドラマ系)

2003年1月2日(木) 2003/01/18 更新

実は日付不明なのだが、この日だったということにして、『ISORA 多重人格少女』(2000 日)の録画を観る。この映画は雨のシーンが多く、そんな雰囲気の中で悲しい超能力者の木村佳乃の思いつめた目がなんといっても決め手。最近、トヨタのCMで妙な衣装を着て「よしよし佳乃」とか言われているけど、役に恵まれて欲しいもんです。
(★★、感覚系)

2003年1月1日(水/祝) 曇 2003/01/02 更新

シネスイッチ銀座に『アイリス』(2001 英)の14:40の回を観に行く。電車の中で「銀座に着くのはギリギリの時間かな?」と思いつつ、もう1本何を観ようか考えて、『8人の女たち』『わすれな歌』なども候補にあがったが、結局銀座シネパトスの『スパイダーパニック!』(2002 米)にすることにし、ついでに順番を逆にしてこちらの15:00の回を先に観ることにする。今日の銀座は閉店している店が多く、ものすごく人通りが少ない。いつもこうだといいねえ。
『スパイダーパニック!』はお客さん30人ぐらい。男の割合高し。近くにいた男が、笑うような見せ場でもないのに、いちいちヘラヘラしていて、こういう映画はあんまり観る態度をうるさく言うものではないとは思うけど、映画を小バカにしているようでいやですねえ。
続いて数分の移動時間でシネスイッチ銀座に着き、予告編が始まったところで客席に入る。お客さんは40人ぐらい。

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