
00/12/02 雅美の一生

内海光司
「女の一生」11/21 昼の部(都共済組合貸し切り) 芸術座
「よかった探し」をしながら見たら、ちゃんと内海光司だけに集中して見ることが出来た。明るい話を書こう。
生涯一好青年で通すつもりなのかと、本気で心配だった内海だが、さすがにそれだけではマズかろうということに気づいたのかもしれない。それとも、単にいままで、そういうシーンすら求められていなかったのか。とにかく、「煙草を吸う内海」は、かつて「もう一度家族」で「開けたばかりのビールをあおった(入れ替えるヒマもなく見えたので、本物の酒だったのだろう、たぶん)」シーン以来の衝撃だった。
しかも、長い足。カッコつけてソファに座る。長さを強調してから。ステキよ、光司。ふだん「内海」とか「お兄ちゃん」とかしか呼べないわたしが、ついつい「光司」とファーストネームで呼んでしまうくらい、カッコイイわ。
どっかで見たようなポーズつけだったりするのもご愛敬。「彼的かっこよさ」がどこにあるのかは、ファンのわたしたちはみんな知ってるもんね。
学ラン姿の足は長いし、カジュアル服でも足が長い。身体も薄いし細いし、頭も小さくてひょろ長い。分かりきっていたことなのに、呪文のように唱えてしまう、このダメダメさ加減。
貸し切りの日だったので周囲はおじさまおばさまばかり、「あの人、細いし薄いし足長いでしょーー!」とひとりひとりに言って回りたい気分だった。
あれで、いっそもっと悪党だったらよかったなあ。悪の内海。宿願だわ。
ダメ母親を心底軽蔑していて、ただの金づるとしか思っていない。事業をはじめるだのこれが最後だの、ぜーんぶうそっぱちで、ねだった金はすべてギャンブルか酒につぎ込んでいる。学校も中退、働きもせず、女と適当に遊んでヘラヘラと暮らしている。そーゆーキャラクター作りだったら、おもしろかったのに。
単に甘えん坊のぐすったれ、結局最後までダメ母親に依存したダメ息子だった。もっとも、あの母親に育てられたのだから、まっとうな人間になるわけないのだが。
それにしてもあの物語、あけみさんと雅美くんがどこで知り合ったのか、どうして恋仲になったのか、興味あるよなあ。「完全に堕落した息子」というキャラ設定だったらまだ分かるが、あの半端な状態じゃ、あんな純愛になるような出会いは考えられないのだが。
まっとうに考えると、事業を興すといって雅美を騙した友人あたりに、「世間勉強だ!」とカフェにむりやり連れていかれて、そこで女給のあけみさんと知り合った、とかかなあ。
いっそ、「街角の曲がり角でぶつかったときに一目惚れ」くらいトンデモナイほうが、物語にはふさわしいのかもしれない。
ほら、お母さんの場合も、似たようなもんだったし。
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