映画の感想、スクリーン以外で鑑賞 2009年 2024/05/28 更新
採点基準
★★★★ :人類の宝(最高) ★★★☆ :絶対必見 ★★★ :観るべき映画 ★★☆ :観ても良い ★★ :中間 ★☆ :観なくてもいい ★ :観る価値はほとんどない ☆ :作者もろともこの世から消えてなくなれ(最低) なし :あえて採点せず
ストーリーは、基本的にすべて書いています。当然、ネタバレの可能性あり。
文章などの内容には、時々変更や追加が入ることがあります。
タイトル・邦題 (原題) | 採点 | スタッフ/キャスト | 製作年/国/カラー/縦横比 | 視聴日 | メディア | 作品の分類 | 更新日 |
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狼よさらば (原題:Death Wish)![]() |
★★ | 【監督】マイケル・ウィナー【原作】ブライアン・ガーフィールド【出演】チャールズ・ブロンソン、ジェフ・ゴールドブラム、オリンピア・デュカキス、他 | 1974年 米、カラー、1:1.85、94分、英語(日本語字幕) | 2009/08/25(火) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/08/26 |
ストーリー | 感想 |
強盗に妻を殺され娘を廃人にされたニューヨークで都市開発の設計の仕事に就いているポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)は、銃の扱いを教えてくれた父が間違って撃たれて死んで以来封印していた銃の腕前を生かして、ストリートギャングたちを次々に射殺していった。 謎のアマチュア刑事の出現に感化された市民たちも強盗に立ち向かうようになり、強盗事件は激減し、多数の犯罪に悩む警察も追いつめつつあったポールの逮捕を戸惑った。 ある夜、強盗に撃たれて病院に運ばれたポールに対し、彼を追っていた刑事は、街を出て行けば見逃すともちかけた。 ポールはシカゴにやって来たが、そこもチンピラたちがはびこる街だった。 |
「チンピラどもには銃で立ち向かう」ポール・カージーが主役の、マイケル・ウィナー監督&チャールズ・ブロンソンによる、以下の"Death
Wish"シリーズ第1弾。 (2)『ロサンゼルス』(Death Wish II、M・ウィナー、1982) (3)『スーパー・マグナム』(Death Wish 3、M・ウィナー、1985) (4)『バトルガンM-16』(Death Wish 4: The Srackdown、J・リー・トンプソン、1989 (5)『DEATH WISH/キング・オブ・リベンジ』(Death Wish V: The Face of Death、1993、日本未公開) 後のシリーズではあっさり銃を手にして、気前よく悪者たちをバンバン撃ち殺していると思われるが、この1作目には自らの手で殺人を行うことに葛藤するところを見せている。 |
風が吹くとき | ★★ | 【監督】ジミー・T・ムラカミ【脚本&原作&製作】レイモンド・ブリッグス【日本語吹替】森繁久彌、加藤治子、他 | 1986年 英、カラー、1:1.33、80分、英語(日本語吹替) | 2009/08/20(木) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/08/20作成 2009/08/26更新 |
ストーリー | 感想 |
全面核戦争が今にも起こりそうなイギリスの片田舎に、老夫婦が2人で住んでいた。 夫は世界情勢に注目し、マニュアル片手に核戦争に備えようとするが、妻は逆に呑気で平時の生活が出来ないことに不満だった。 しかし、夫の知識もいい加減で、部屋の片隅をにわか仕事で区切って核シェルターと称した。 ロシアの爆撃機が迫っているとのニュースに、夫は嫌がる妻をシェルターに押し込み、家の中は爆風と熱風でめちゃくちゃになるが、2人は無傷でシェルター内で数日過ごした。 シェルターから出て、水道も放送も止まっていることに気づいたが、イギリス政府がきちんと対応していることによるものだと思った。 放射能のことは知っていたが対応には無頓着で、体調は次第に悪くなっていった。 それでも、第2次大戦の体験やロシア人のことを想像して、将来に対して楽観的な会話を続けた。 しかし、期待していた救助は結局来なかった。 |
登場人物は事実上2人のみ。 専ら被害者としての役柄で、放射能でじわじわ死が迫る様子を見せる。 そして、無知で根拠も無く楽観的なのだが、仮にそうでなくても最終的には同様に死ぬ運命なので、そのこと自体は問題ではない。 死が理不尽に一方的にもたらされることと、死が迫っていることに対して無知で無邪気に振舞っていることが、観る者に滑稽さを悲しみを誘う。 とはいえ、庶民は戦争の中心から遠いところで無知なままひたすら被害を受ける立場だというのは確かなので、人間はしょせん滑稽な存在だという描き方は的を射ているのかもしれない。。 そんなわけで、戦争を避けることを具体的に描いた反戦映画とはちょっと違って、教訓にはならない。 あと、時々アーティスティックな画調のシーンが挟まれたりするのだが、このようなシリアスな映画には、小手先の手法は似合わない。 ![]() |
青空のルーレット | ★☆ | 【監督】西谷真一【原作】辻内智貴【出演】塩谷瞬、貫地谷しほり、嶋尾康史、忍成修吾、脇知弘、川村陽介、中島知子(オセロ)、高岡蒼甫、平田満、鈴木砂羽、仲村トオル(友情出演)、石田えり(友情出演)、近藤芳正、遠藤憲一、村田雄浩、福原忍(阪神タイガース、友情出演)、安藤優也(阪神タイガース、友情出演)、他 | 2007年 日、カラー、1:1.85、103分、日本語、公式サイト | 2009/08/16(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/08/17 |
ストーリー | 感想 |
ビルの窓拭きの会社にバイトしている人たちには、それぞれロックバンド、小説家などになる夢があった。 塩谷瞬と忍成修吾たちが公園でバンドの練習をしていると、聾唖者のOLの貫地谷しほりが吸い寄せられるように来て、塩谷と親しくなった。 バンドが演奏しているキャバレーのホステスの中島知子に想いを寄せる川島陽介がビルから転落して重症を負い、現場の責任者で小説家を目指している嶋尾康史は責任を感じつつ、危険な作業を強いた専務の平田満に反発した。 上京した目的を見失っていた貫地谷は、塩谷に触発されて、地元に帰って聾学校で働くことに生きがいを見出した。 川島の仕事の世話をするために、嶋尾は持ちかけられた独立の話を受けたが、それは平田が裏で手を回していて、初仕事であるビルの窓の清掃に来るはずの作業員が来なかった。 それを聞いた塩谷は、バンドのオーディションを止めて嶋尾の元に向かい、平田に不満を感じていた従業員たちも手伝いに現れた。 |
バイトをしながら夢を追い続ける人たちの話だけど、全体的に切実さが足りない。 その理由は、演出がカッコつけ過ぎの傾向があるから? 逆に、手持ちカメラによる長回しのショットのように、力技の部分は良かった。 やっぱり、登場人物の頑張りっぷりを描く映画は、作り手もカッコつけずにがむしゃらに頑張ってみせた方がいい。 出演者の中では、やっぱりしーちゃんが表情が豊かでいい。 彼女は明るくて笑いを取る役が多いけど、この映画のように憂いの表情を見せる役もいい。 |
狂熱の季節 | ★★★ | 【監督】蔵原惟繕【原作】河野典生「狂熱のデュエット」 | 1960年 日(日活)、モノクロ、1:2.35、75分、日本語 | 2009/08/08(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/08/09 |
ストーリー | 感想 |
少年鑑別所から出てきた川地民夫と郷えい治(「えい」は金へんに「英」)は、車を盗んで千代侑子を連れて海に行く途中、彼らを逮捕させた新聞記者の長門裕之を見かけて車を当て、連れ立っていた長門の恋人で画家の松本典子を連れ去って川地が砂浜で犯した。 長門の態度に変化のなかったことに不満を感じた松本が川地を探し当てて会いに来て、川地の子を妊娠したと言った。 長門に愛してもらうために、自分のように彼に乱暴してほしいと松本に頼まれた川地は、全く聞く耳持たずで店を出て、そこにいた千代が変わりに長門を誘惑して関係を持った。 そして、長門が父親らしき子を妊娠したのだが、郷はヤクザの幹部になって自分の子供として面倒見ると言った。 二人の仲の良さをねたましく思って飛び出した川地は、松本のアトリエに忍び込んで居眠りしてしまう。 そこに仲を修復した松本と長門が帰って来て、邪魔な川地をガス漏れ事故に見せかけて殺そうとしたが、川地が目覚めて出ていって失敗した。 郷が抗争で殺されて、千代が川地に同伴してもらって子供を堕ろしに病院に行くと、そこに松本と長門もいて、川地は正しい父親の組み合わせになるように連れを交換して、大笑いするのだった。 |
荒削りな少年たちのキャラをダイレクトにフィルムに焼き付けるような 蔵原監督の演出が冴える。 渋谷を中心にした街頭ロケを多用して、空や太陽のギラツキをローアングルのふらふらしたカメラワークで不安定に写している映像も印象的。 |
田沼意次の時代に、すさんだ江戸の町に暗躍した殺し屋同士の争いや、田沼が絡んだ蝦夷地の派遣争いなどで、なんやかんやと殺し合う映画。 コメントすることがないまま2時間ちょっとの時間が過ぎていくというのが、この映画に対するコメント。 |
家康がいざという時に御所ごと帝を爆破するために作った仕掛をめぐって、その仕掛けがある屋敷に待機している忍たち、主水たち幕府の役人、新選組、公家、主水の仕事人仲間、それと敵対する仕事人たち、神戸の外国商人、ええじゃないか、などが京都で絡み合うストーリー。 監督の広瀬襄は、70年代に松竹の監督になって、80年代から松竹製作のTV時代劇である必殺シリーズを手がけるようになった人で、この作品はテレビ版を基本にそれを発展させて映画らしく豪華にしている。 その発展の具体的な内容は、普通の時代劇では見られない、自転車、連発銃、ハングライダー、電気ショックなどが登場する面白さを狙ったり、お笑い芸人を中心とした出オチ狙いの出演者を多数登場させたり、『インディ・ジョーンズ』、『13日の金曜日』、『蒲田行進曲』などのパロディを多数取り入れてウケ狙いをしたりしている。 でも、お客さん向けサービスの量と、時代考証も無視した何でもあり感はすごいけど、思いつきを量だけ詰め込んで単に並べてみせただけの結果だった。 |
once ダブリンの街角で | ★★ | 【監督&脚本】ジョン・カーニー | 2006年 アイルランド、カラー、1:1.85、ビデオ撮影、分、英語(日本語字幕) | 2009/06/23(火) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/06/24 |
ストリートミュージシャンの男が、ピアノを弾くのが好きなチェコ人の女の客と知り合い、男は彼女や仲間と共にプロを目指し、一人ロンドンへと旅立つ。 劇中何度も演奏される主人公自作のポップミュージックのように、いい意味で心に引っかからずに聞き流すことの出来るような素敵な映画。 でも個人的には、素敵じゃなくてもいいから、観る者の心に引っかかろうとする意気込みを感じられる映画の方が好き。 |
ハーレーダビッドソン&マルボロマン [Harley Davidson and the Marlboro Man、意味(主人公2人の役名)] | ★☆ | 【監督】サイモン・ウィンサー | 1991年 米、カラー、1:1.85、99分、英語(日本語字幕) | 2009/06/18(水) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/06/24 |
ハーレーダビッドソンを演じるのはミッキー・ローク、マルボロマンはドン・ジョンソン。 ミッキー・ロークは、この1991年製作の作品あたりから目だった主演作が無くなって、最近『レスラー』で久しぶりに現れたような扱われ方だが、実は脇役ではずっとコンスタントに映画に出続けていた。 この作品の出来は、ドラッグを大量に盗んでしまったことから、その持ち主に追われて対決するという話で、なんかかる〜いというか甘っちょろいというか、その程度しかコメントすることはない。 |
拳銃王 [The Gunfighter、意味:「ガンマン」] | ★★★ | 【監督】ヘンリー・キング【原作】アンドレ・ド・トス、ウィリアム・ボクーズ | 1950年 米、モノクロ、1:1.33、85分、英語(日本語字幕) | 2009/06/18(水) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/06/24 |
監督のヘンリー・キングって誰だ?と思って調べたら、他の監督作品は『慕情』とか、そんなもん。 この映画が面白いのは、数々の銃の決闘で相手を倒してきたグレゴリー・ペック演じるガンマンより、彼をならず者呼ばわりして群がってくる人たちの方がろくでもないというストーリーで、アカデミー賞原案賞ノミネート作品。 この、大衆の不安や怒りや正義感が他人に濡れ衣を着させてしまうというストーリーは、1950年当時の赤狩りを批判する意味があるのかもしれない。 |
春婦伝 | ★★★ | 【監督】鈴木清順【原作】田村泰次郎 | 1965年 日(日活)、モノクロ、1:2.35、98分、日本語 | 2009/06/17(火) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/06/24 |
いやぁ、たまに鈴木清順作品なんか観ちゃうと、映像のカッコよさや斬新さが他の普通の映画と全く別格といった感じ。 アドリブの効いたジャズの演奏とカラオケぐらいの違いがある。 やっぱり、映画はこうでなくちゃ。 |
卍 | ★★ | 【監督&脚本】井口昇【原作】谷崎潤一郎 | 2006年 日、カラー、1:1.78、ビデオ撮影、74分、英語(日本語字幕) | 2009/06/14(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/06/15 |
ストーリー | 感想 |
昭和46年。 園子(秋桜子)は、通っていた絵画教室で一緒に学んでいた光子(不二子)に、縁談を断るために2人が同性愛のふりをして欲しいと頼まれた。 しかし、園子は本当に光子に夢中になってしまい、彼女を家の寝室に呼ぶようになった。 このことが夫の兼二(野村宏伸)に知られて、園子に光子と会うことを禁じるが、園子に強く請われて2人が会うことを許すようになる。 さらに光子が2人の主導権を握って、謙二との関係も持つようになった。 そこに、以前から光子と付き合っていたが彼女の親に結婚を断られた栄次郎(荒川良々)も絡んできて、4人で意中の相手をものにするための主導権争いが始まる。 このことが世間に知れて、園子と光子と謙二は薬を飲んで心中をはかるが、園子だけが生き残った。 |
谷崎潤一郎原作の同名小説の映画化としては、私の知る限り3度目。 最初の映画化作品の増村保造版の『卍』(1964 大映)は、昔テレビで観たきりで記憶が定かではないが、ストーリーや登場人物の印象は今作とさほど変わらないと思う。 ストーリーは面白い。 登場人物の行動も、歯止めが無くて極端な状況に走ってしまうのは、増村作品に出てきた人々を思わせる。 でも、こんな登場人物のキャラって増村監督作品がオリジナル?それとも谷崎潤一郎の原作。 とにかく、ベースが面白いのだから、あとは映画化においての差別化は、主に芝居でいかにねちっくこ面白さを表現できるかにかかってくると思う。 その点、予算的に制約が大きいと、じっくり録って作り上げていくのが難しいのかも。 |
28週後... [原題 :28 weeks later"] | ★☆ | 【監督】フアン・カルロス・フレスナディージョ【製作総指揮】ダニー・ボイル | 2007年、英=スペイン、カラー、1:1.85、100分、英語(日本語字幕) | 2009/06/14(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | 感覚系 | 2009/06/14 |
ストーリー | 感想 |
前作『28日後...』で、ゾンビに噛まれたら感染するウィルスが全英に蔓延してから28週後、ゾンビたちは食料の人間がいなくなって全員餓死したと見られ、ロンドンの一角に検疫を強化した地区を作って復興が始まろうとしていた。 スペインから帰国して生き残った父(ロバート・カーライル)に迎えられた姉弟は、地区を抜け出して自宅に戻ると、感染したものの発症していない母親を発見した。 彼女を置き去りにした罪の意識で彼女の病室に忍び込んだ夫が感染して、再び感染者が増大し、NATO軍は地区ごとせん滅する作戦をとった。 生き延びた姉弟たちがヘリでフランスへと脱出するが、父から感染させられながら母の遺伝で発症しなかった弟から、フランスでの感染爆発が始まった。 |
基本的にはゾンビ映画で、パンデミックの脅威に対する対処、特に多数の安全のために一部を切り捨てられるか?とか、家族がゾンビになってしまうことで家族愛が意識されることなど、様々な要素が加わっている。 その結果、ストーリー的には良く言えば予定調和なご都合主義に流れていないと言えるが、はっきり言えば何処を目指しているのか解らない映画になってしまった。 アクションシーンは、速いカット割りでアップ多用の「目くらまし映像」で、とはいえ何が写っているか全然解らない程ではなく、スピード感を出すことを狙っている。 しかしそれは当然アクションを見せることを狙っていることになり、ゾンビものにはハンティング的な爽快感も加わることになるのだが、別のシーンでは人に銃を向けることをためらわせる良心が強調されたりして、どっちつかずの印象を受ける。 また、感染拡大を防ぐために、殺す必要の無い人間まで犠牲にするような徹底した対策を非情であるように描く一方、感染拡大はあってはならないことのようにも描いていて、どっちが本心なのか?疑わしくなる。 そんなチグハグを感じてしまう映画だった。 |
不知火検校 | ★★☆ | 【監督】森一生【原作】宇野信夫【出演】勝新太郎、中村玉緒、安部徹、他 | 1960年 日(大映)、モノクロ、1:2.35、91分、日本語 | 2009/06/13(土) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/06/14 |
なんといってもこの作品の魅力は、勝新演じる盲目の按摩のクレバーでスマートな悪人ぶり。 それまでは二枚目役者だった勝新が、心機一転醜い悪役を演じて、後の『座頭市物語』(1962)につながるという重要な作品。 あまりにも鮮やかな手口の数々に、ついつい彼に肩入れしながら観るのだが、だからといって悪事には報いから逃れられないという良識とのバランスも取れている。 |
大統領暗殺 [原題:"Death of a President"、意味「大統領の死」] | ★☆ | 【監督&脚本&製作】ガブリエル・レンジ、他【出演】ジョージ・W・ブッシュ、ディック・チェイニー、他 | 2006年 英、カラー、1:1.85、97分、英語&アラビア語(日本語字幕) | 2009/06/03(水) | HDDレコーダー(WOWOW) | フェイクドキュメント、社会派系 | 2009/06/04 |
ストーリー | 感想 |
2007年10月19日、反戦デモが巻き起こるシカゴで演説したブッシュ大統領は、その直後狙撃されて死亡する。 アフガニスタンのテロリスト養成キャンプから逃げ帰ってきたアラブ系の男が現場近くにいただけで証拠も無く逮捕されるが、まもなくイラクに出征していた息子を失った彼の父親が犯人であることが明らかになった。 |
ブッシュ大統領が暗殺されたらその後どうなるか?というフィクションを、実際のニュース映像と、インタビューなどを追加で撮影して、全体的にドキュメンタリー番組っぽくしたフェイクドキュメンタリー。 でも、大統領が暗殺された後に起こると思われる騒動のあれこれを描いているわけではなく、結局はアルカイダが犯人像として一番都合がいいから、それにうってつけの人間を犯人にでっち上げるという、事件を政治に利用することをアメリカがするだろう、というところ止まりのメッセージしかない。 元々セミドキュメンタリーというドラマチックでない手法に加えて、タイトル負けの内容の小ささで、やけにもの足りない映画になってしまった。 |
眠狂四郎悪女狩り | ★☆ | 【監督】池広一夫【原作】柴田練三郎【出演】市川雷蔵、 藤村志保、久保菜穂子、松尾嘉代、吉田日出子、朝丘雪路、江原真二郎、小池朝雄、他 | 1969年 日(大映)、カラー、1:2.35、80分、日本語 | 2009/05/31(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/06/01 |
シリーズ12作目で最終作。 鳥の仮面をかぶった10人ぐらいが踊ったりのミステリアスな表現を多用しているのだが、全体的にパッとしない感じをカバーしきれなかった。 |
眠狂四郎人肌蜘蛛 | ★★ | 【監督】安田公義【原作】柴田練三郎【出演】市川雷蔵、緑魔子、川津祐介、渡辺文雄、寺田農、他 | 1968年 日(大映)、カラー、1:2.35、80分、日本語 | 2009/05/31(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/06/01 |
シリーズ11作目。 今回の悪役は、将軍と妾の間にできた兄妹で、悪行のため江戸から追放された甲州で、領民たちを屋敷に幽閉しては殺す妹(緑魔子)と、妹を愛していて領民を実験台に毒薬を研究する兄(川津祐介)の「変態」キャラで、妹が狂四郎に恥をさらされた復讐に燃えながら彼を愛してしまうというストーリーで、前半は期待しながら観た。 でも、そんな設定を十分に生かしきれず、もっと面白くなったかもしれないのに、と思う結果に終わった。 |
眠狂四郎女地獄 | ★★ | 【監督】田中徳三【原作】柴田練三郎【出演】市川雷蔵、 高田美和、水谷良重、田村高廣、小沢栄太郎、伊藤雄之助、安部徹、他 | 1968年 日(大映)、カラー、1:2.35、82分、日本語 | 2009/05/31(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/06/01 |
シリーズ10作目。 狂四郎のライバルとして、田村高廣演じる正統派キャラと、伊藤雄之助演じるトリッキーなキャラの二本立てで充実させたり、狂四郎を狙う敵の軍団が、盲人の殺し屋がまぶしい光を放つ爆薬を使って狂四郎の目をくらましたりの凝ったアイディア、そして雷蔵の立ち回りと、今作も面白い。 しかし、その面白さがどちらかといえば小手先によるもので、映画の核の部分がそれほどでないのをかろうじてカバーしているという感じ。 タイトルの「女地獄」は、女たちが男を滅ぼす地獄ではなく、狂四郎に関わった女たちがみんな不幸になるという意味。 |
2部構成で、前半がザ・ゴールデン・カップス関係者や、彼らにあこがれたミュージシャンたちのインタビューと当時のテレビの録画で、不良→高い音楽性のバンド→GS→メンバーの入れ替わり→1972年解散までの時代についてで、良く描かれていた。 後半は、解散後31年後の再結成ライブの映像。 ちなみに、出演者の中で、デイヴ平尾、忌野清志郎、アイ高野、鈴木ヒロミツらがその後鬼籍入りした。 |
ダイブ!! | ★☆ | 【監督】熊澤尚人【原作】森絵都「DIVE!!」【出演】林遣都、池松壮亮、溝端淳平、瀬戸朝香、蓮佛美沙子、光石研、筒井真理子、江守徹、他 | 2008年 日(角川)、カラー、1:1.85、115分、日本語 | 2009/05/24(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/05/24 |
いわゆるスポ根で、スポーツに打ち込むに当たって様々なものを犠牲にし、特に飛び込みは個人競技なので、自分との戦いだったり、仲間が即ライバルになって、勝者が絞られると同時に敗者が決まるという、そんなストーリーを、悪い意味でベタに描いているのが冒頭から感じられた。 こういう青春映画って、映画に向き合える真剣さと生々しさが大事だから、図式的な演出は映画を作りものっぽくしてダメだと思う。 |
眠狂四郎無頼控 魔性の肌 | ★★ | 【監督】池広一夫【原作】柴田練三郎【出演】市川雷蔵、鰐淵晴子、久保菜穂子、成田三樹夫、金子信雄、他 | 1967年 日(大映)、カラー、1:2.35、87分、日本語 | 2009/05/19(火) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/05/20 |
狂四郎が成田三樹夫率いる邪教集団と対決することになり、そのメンバーたちが趣向を変えて襲ってくるのを、狂四郎が超人技で撃退する見せ場の連発が楽しいが、それ以外のストーリー部分はちょっともの足りない。 シリーズも9作目にして人気が低迷したのか、それ以上に映画全体の人気がテレビに奪われるなどで下降傾向だったせいか、やけに劇中におっぱいが出たり、タイトルも「魔性の肌」なんてその気にさせておいて実際には誰のどの肌が魔性なのか判らないといった偽装表示気味のことをするようになった。 |
眠狂四郎多情剣 | ★★ | 【監督】井上昭【原作】柴田練三郎【出演】市川雷蔵、中谷一郎、水谷良重、他 | 1966年 日(大映)、カラー、1:2.35、84分、日本語 | 2009/05/18(月) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/05/19 |
今作は特筆すべきことがなくて、良かったのは相変わらずの雷蔵の華麗な剣さばきぐらい。 殺陣のシーンなどで、手持ちでブレブレのカットが一部あり、狂四郎シリーズには不釣合いだと思ったけど、シリーズも7作目を迎えての現状打破の試行錯誤の1つだろうか? |
エクソシスト ビギニング (原題:"Exorcist : The Beginning"、意味「悪魔祓い師、誕生」) | ★ | 【監督】レニー・ハーリン【原作】ウィリアム・ピーター・ブラッティ | 2004年 米、カラー、1:1.85、114分、英語(日本語字幕) | 2009/05/16(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | 感覚系、ドラマ系 | 2009/05/17 |
『エクソシスト』シリーズの1作目でマックス・フォン・シドーが演じたエクソシストのメリン神父が、その約25年前の第二次大戦後にケニアで悪魔祓いを行った話。 ホラーっぽい映像、『エクソシスト』っぽい映像だけで出来ている映画で、もちろんそれは「ホラーの映像」ではないわけで、こけおどしだったり気持ち悪いだけの、ホラーになってない映画。 |
ストーリー | 感想 |
石油会社の御曹司のオグデン(マードン・ブランド)は、客船でアメリカに帰る途中、香港出港後に客室で目を覚ますと、昨夜彼と一緒だったらしい、香港でロシアから亡命してきた伯爵夫人だと称して男相手にダンスを踊っているナターシャ(ソフィア・ローレン)が、アメリカへ密航するために隠れたいたことに気づいた。 サウジアラビアの大使に就任することが決まったオグデンは、スキャンダルを避けるためにしぶしぶ彼女を自室にかくまうことになったが、次第に好意を抱いて、旅券もビザもない彼女がアメリカに入国出るように、いろいろと手を尽くした。 その甲斐も無く、結局ナターシャはホノルル入港時にデッキから海に飛び込んで入国した。 入れ替わりに乗り込んだ妻(ティッピ・ヘドレン)との夫婦仲が冷めていたオグデンは、彼女と別れることを決めてナターシャを追った。 |
チャップリン初のカラー作品にして遺作。 それから、チャップリン映画で彼が主役ではないのは、監督に専念していた『巴里の女性』と、2シーンだけチョイ役で出演していたこの映画だけ。 とはいえ、S・ローレンやM・ブランドらが、密航がばれそうになって、あわててジタバタして隠れるところなどは、往年の彼のコメディ映画のよう。 さらに、息子のシドニーに、サイレント映画のように台詞なしで動きだけでのコメディ芝居を2分間ぐらいやらせたりしている。 このスタイルは、おそらく公開当時も既に懐かしいスタイルだったと思うのだが、ソフィア・ローレンが本当に元貴族なのか?上手く成りすましているやり手女なのかは、映画の中で明示されないとはいえ、彼女の身のこなしでなんとなく判ってしまうあたりに、台詞に頼らず動きだけで表現することにこだわって、トーキーが普及した後でもサイレント映画を撮り続けた彼ならではの演出が光っていた。 |
ストーリー | 感想 |
佐渡から金を運ぶ船が沈没して、金の値段が上がるという噂を聞きつけたせん(菅井きん)とりつ(白木万理)を含む江戸の人たちが、われ先にと金を買っていた。 しかし、それは勘定奉行太田(西岡徳馬)らが金を隠して、値が上がったところで売って儲けようとしていたのだった。 このたくらみに巻き込まれた者から復讐を頼まれたも主水(藤田まこと)たちが、太田とその手下たちを皆殺しにした。 |
必殺仕事人の特徴といえば、凝った殺し方と、現代の社会事情を江戸時代に当てはめて見せる面白さ。 前者については、主水たち以外の仕事人グループが別の殺し方をしたり、敵の一団を率いる天本英世がコウモリを使って殺したりなど、バリエーションを見せる。 社会事情は、バブル景気の時代を思わせる財テクに躍起となる人々が描かれる。 でも、これらだけなら想像の範囲内でがっかりだったのだが、ちょっと面白かったのが、仕事がなくてつるんで放浪している若者たちが現れたり、そんなドロップアウトしたような人々が、恋人の帰りを祈る酒井法子にならって幸せが来るのを祈ったりするなどの変な登場人物たちで、彼らのエピソードをもっと膨らませたら面白い映画になったかも。 |
シルク (原題:"Silk"、意味「絹」) | ★☆ | 【出演】マイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司、芦名星、國村隼、他 | 2008年 日=加=伊、カラー1:2.35、英語&日本語 | 2009/04/30(木) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/05/05 |
ヨーロッパのかいこが絶滅し、フランスの男が国に妻を残して幕末の日本に潜入してかいこの卵を持ち帰るのだが、交渉相手の英語を話せる役所広司の謎の女(芦名星)や日本の魅力に惹かれて、その後何度も日本にやって来るという話。 でも、こんな話なのに、異なる2つの文化の(いい意味も含む)衝突が何も無く、メルヘンチックなご都合主義で進んでいく。 ついでに、これといった恋愛エピソードも無い。 いったい、どういうつもりで、何が目的でこんな映画を作ったんだろう? |
巨匠建築家 フランク・ロイド・ライト | ★★ | 【出演】フランク・ロイド・ライト、他 | 1998年 米、カラー1:1.33、英語 | 2009/04/29(水=祝) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドキュメンタリー | 2009/05/05 |
彼の残した建築と、身近な人々の証言をまじえて生涯を紹介するという、オーソドックスなドキュメンタリー。 彼の遺作とも言うべき「グッケンハイム美術館」は、最近観た『ザ・バンク 堕ちた巨像』で銃撃戦の舞台になっていた。(ただし、ハチの巣になっていたのは実物ではなくて撮影用のセット。) その他にも、『新しき土』でも撮影されていた、20世紀最後の手積みの建築物の旧帝国ホテルは、一部が明治村に移築されているのだが、それはこの作品では撮影されず、過去の写真だけだった。 帝国ホテルは新しくなっちゃったから、古いのは残ってないと思ったのだろうか? |
僕の彼女はサイボーグ | ★★ | 【監督&脚本】【出演】綾瀬はるか、小出恵介、他 | 2008年 日、カラー1:2.35、日本語 | 2009/04/29(水=祝) | HDDレコーダー(WOWOW) | 感覚系、ドラマ系 | 2009/05/05 |
見どころは綾瀬はるかだけと言ってもいい映画で、特に前半の作りこんだ外面的な魅力が圧倒的。 ただし、これが後半になって彼女の内面に注目し出すと、所詮は底の浅い演出やストーリーであるというボロが出て、全然ダメになる。 いかにも「韓国娯楽映画ってこんな感じ」な演出をするこの映画、キャラを作りこむ重要性は解っていても、その作りこみが表面的なだけであざとい。 例えれば、しょちゅうホラ話をする友達がいて、そのホラは凄く下手でウソがバレバレで面白くも無いのだが、あえてそれを本人相手に追求しても悪いことはあっても良いことは無いし、ちょいとはいい気分にさせてもらえるからほっといて聞き流しましょう、という気分になるような感じ。 こんな調子でずっと続けるつもりなのかなぁ? |
GONIN | ★☆ | 【監督&脚本】石井隆【出演】佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平、永島敏行、鶴見辰吾、ビートたけし、木村一八、室田日出男、横山めぐみ、永島暎子、川上麻衣子、岩松了、不破万作、栗山千明、他 | 1995年 日、カラー1:1.85、109分、日本語 | 2009/04/26(日) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | 感覚系、ドラマ系 | 2009/04/27 |
ストーリー | 感想 |
ヤクザから借金の返済を迫られているディスコのオーナーが、知り合った男たち4人と共に、そのヤクザの事務所から現金を強奪する計画を実行するが、正体を見破られて1人ずつ殺されていき、強奪団たちの逆襲が始まる。 | 5人のキャラや芝居を、どんどんエキセントリックにしていくのだが、単にただのエキセントリックなだけで、カタルシスに結びついていないので、一言で言って面白くない。 そんなわけで、出演者の中では落ち着いた殺し屋役のビートたけしが異彩を放つ。 |
噂の女 | ★★☆ | 【監督】溝口健二 | 1954年 日(大映)、モノクロ、1:1.33、84分、英語(日本語字幕) | 2009/04/22(水) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/04/26 |
ストーリー | 感想 |
京都で太夫を抱えるお茶屋の女将初子(田中絹代)の娘で、東京の大学でピアノを勉強していた雪子(久我美子)が自殺を図って帰って来た。 彼女の診察に呼ばれた医者の的場(大谷友右衛門)に、恋人が家業を知って振られたのが原因で、家業や母親を恨めしく思っていると言った。 雪子は的場に、母は悪い人ではないと言われ、また太夫たちと親しくなって、彼女たちが母を慕っていることを聞かされた。 初子は店を抵当に入れて新たに家を買おうとしていて、また、雪子と的場が親しくしているのを良く思っていなかった。 雪子と的場が東京に行くことになり、家にいた2人の間に初子が割って入り、的場に自分と復縁するように迫った。 的場は雪子を選び、初子も結局2人の東京行きを許したが、雪子は的場が母の気持ちをもてあそんだことが許せず、的場は2人のもとから去っていった。 初子が倒れて、雪子が代わってお茶屋をきりもりするようになった。 |
田中絹代はじめ、俳優たちが貫禄の芝居を見せる。 |
墓石と決闘 (原題:Hours of the Guns) | ★★ | 【監督&製作】ジョン・ステージェス | 1967年 米、カラー、1:2.35、101分、英語(日本語字幕) | 2009/04/19(日) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/04/20 |
ストーリー | 感想 |
1881年、OKコラルで保安官のワイアット・アープ(ジェームズ・ガーナー)兄弟とドク・ホリデイ(ジェイスン・ロバーツ)がクラントン兄弟一味と決闘をした。 生き残ったアイク・クライトン(ロバート・ライアン)は、決闘は保安官の権限ではなく個人的な恨みで殺しが目的だったと訴え、裁判にかけられたワイアットたちは証拠が無く無罪になった。 ワイアットの弟たちが保安官選挙に立候補するが2人とも銃撃されて、連邦保安官になったワイアットが、ドクたちと共に弟たちを襲ったクラントンの手下たちを追って、1人ずつ殺していった。 ドクは、逮捕状の出ていないクラントンを追って殺そうとしているワイアットを面と向かって批判しつつも共にメキシコまで追って行き、ワイアットはついにクラントンを見つけて、決闘の末倒した。 肺の病気で入院するドクと別れたワイアットは、州の保安官の申し出を辞退して旅立って行った。 |
史実に基づいて作られた映画だが、正確さを重視したせいか、ドラマチックさに欠ける。 |
X-メン | ★★ | 【監督】ブライアン・シンガー | 2000年 米、カラー、1:2.35、ドルビーデジタル、104分、英語(日本語字幕) | 2009/04/17(金) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/04/17 |
超能力を持つミュータントたちに脅威を感じた人間たちが、彼らを管理する法律を作ろうとする中、人間を制圧しようとする側と、人間との共存を目指す側の2つのミュータントのグループの対決を描いた映画。 直感的に面白くない映画だと感じたのは、ミュータントたちの能力は荒唐無稽なのだが、ミュータントは移民とか少数民族を連想して、まさにグローバル化しつつある現代において日常的にも実感できるストーリーはとてもシリアスで、結局荒唐無稽な面白さとシリアスなストーリーって相性が悪くて、1つの映画に共存させるのが難しく、どっちつかずになったということか? |
十戒 (原題:The Ten Commandments) | ★★ | 【監督&製作】セシル・B・デミル | 1956年 米、カラー、1:1.85、220分、英語(日本語字幕) | 2009/04/12(日) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | 感覚系、ドラマ系 | 2009/04/13 |
ストーリー | 感想 |
紀元前1000年ごろのエジプト。 奴隷だったヘブライ人に救世主の赤ん坊が生まれたとのお告げで、ファラオは男の子を皆殺しにする命令を発した。 命を助けるために川に流された1人の赤子は、子供がいなかったファラオの妹に密かに拾われ、モーゼ(チャールトン・ヘストン)と名づけられた。 成長した彼に人気や人望で及ばなかったファラオの実子のラメセス(ユル・ブリンナー)は、ファラオが王位をモーゼに継がせるのではないかと恐れていた。 ある日、自分がヘブライ人だと知ったモーゼは、実の親に会いに行き、相思相愛だった王女のネフレテリ(アン・バクスター)をも捨てて奴隷となり、ファラオに対してヘブライ人たちを救うと言い放ったので、王位とネフレテリはラメセスのものになった。 砂漠に追放になったモーゼは、瀕死の状態のところ、アブラハムの神が住むシナイ山のふもとで羊飼いをしている一家に拾われ、長女のツィポラ(イヴォンヌ・デ・カーロ)と結婚した。 シナイ山に登って神の声を聞いたモーゼは、神の使いとしてエジプトに戻り、ラメセスに神に従ってヘブライ人を解放するように命じ、ラメセスが応じなかったので天変地異の災いを起こした。 ついにラメセスから開放されたヘブライ人たちはエジプトを出てモーゼについて行くことになったが、息子を呪い殺されたことでネフレテリにそそのかされたラメセスは彼らを皆殺しにしようと戦車隊と共に後を追った。 ヘブライ人たちは紅海に行く手を阻まれて追い詰められたが、モーゼが海を割って対岸に渡って逃げ延びた。 モーゼはシナイ山に着き、1人登って数十日後、ようやく神が彼に答えて、十戒を石版に記した。 石版を持ち帰って下山したモーゼは、山にこもりっきりだった彼を見放して堕落した人々に石版を投げつけて地の底へと落とした。 それから数十年、荒野をさまよいながら神を信じ通して生き残ったヘブライ人たちだけが、ヨルダン川にたどり着くことが出来た。 |
セシル・B・デミル監督の『十誡』(1923年、サイレント、こっちの方を観てみたい。)のセルフ・リメークで、よくよく調べたらこれが遺作。 紅海が割れる有名なシーンがやっぱり一番の見どころなのだが、子供のころにテレビで見たのと今とでは、見え方が違うことによって印象が変わってしまった。 このシーンのように、特撮によるスペクタクルシーンは、特に時代の変化に影響されやすいし、また映画館で観るのと家で観るのとでも全然違うと思うから、それらを考慮せずに良し悪しは言えない。 少なくとも言えるのは、数十年前に観たときはワクワクするようなシーンだったことと、最近初めて観る人は、深く考えずに素直に観るべきで、その結果「古い」と思ったとしても、古典って所詮そんなふうに思われても仕方ないものだと思う。 ドラマ的には、1960年前後のハリウッド製のコスチュームプレイ史劇大作に対しての一般的な感想として、一言で言えば「大味」ということがここでも当てはまる。 セット、衣裳、エキストラを大掛かりにし、それらを生かす見せ場もいくつか用意し、ストーリーも空間的&時間的なスケールも大きくすることで映画の豪華さで観る者を惹きつけようとし、その結果登場人物も多くなると、早足気味で展開しないと尺に収まらなくなったりで、特定のシーンをじっくり見せるとか、特定の登場人物に的を絞るとかが難しくなり、結果的に大味で薄味になるというわけである。 同じデミル監督のコスプレ大作なら、男女2人の愛憎劇という、小さくて密度の濃い話の『サムソンとデリラ』(★★★)の方が、尺も128分と半分程度で面白い。 |
三木聡監督作品は、どれも小ネタ満載、飛躍しまくるストーリーで、基本的に同じパターンばかりの似たようなものばかりだと思うのだが、その中で『転々』などの良かったものと、この作品のように楽しめなかったものがあって、それはどんな微妙な違いによるものなんだろう? 考えられるのは、登場人物に関心を持てる接点が有るか無いかの違いで、この作品では誰にも興味が持てず、他人事の話にしか思えなかった。 |
マリッジリング | ★☆ | 【監督&脚本】七里圭、他【原作】渡辺淳一 | 2007年 日、カラー、1:1.85、100分、日本語 | 2009/04/08(水) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/04/11 |
ストーリー | 感想 |
OLの小橋めぐみには恋人の高橋一生がいたが、高橋の態度が冷たくなって恋が冷めてきたところに、新しい上司で妻子がある保阪尚希と不倫関係になった。 小橋は高橋のプロポーズを断ったが、保阪が交通事故に遭って待ち合わせに来ないで家に帰ったあたりから、不倫が続かないことを強く自覚するようになって、別れを切り出した。 |
けだるい雰囲気で進行する線の細い不倫モノ。 風景とか仕草とか、映像的に凝っているんだけど、物語の線が細いと、映像へのこだわりが映画を思わせぶりにする結果になりやすいのかな? |
ラスト・アメリカン・ヒーロー (原題:The Last American Hero) | ★☆ | 【監督】ラモント・ジョンソン【原作】トム・ウルフ | 1973年 米、カラー、1:2.35、95分、英語(日本語字幕) | 2009/04/01(水) | HDDレコーダー(WOWOW) | 感覚系、ドラマ系 | 2009/04/03 |
ストーリー | 感想 |
ジュニア・ジャクソン(ジェフ・ブリッジス)は、父親が作った密造酒を、パトカーの待ち伏せを振り切って車で運んでいた。 父が逮捕されて服役することになり、刑務所での待遇を良くするためのお金を得るために、事故を心配する母の反対を振り切って運転の腕を生かしてカーレースに出て、やがてレースに夢中になる。 車の資金確保のために酒の密造を始めると、出所してきた父が自分のようにさせないためにそれをやめさせ、ジャクソンは彼をドライバーに誘ったチームの車を運転して見事優勝し、レーサーとしてさらに飛躍しようとしていた。 |
『グラン・プリ』や『栄光のル・マン』のように、おそらく多数のエキストラの観客を使って、本当のレースを撮影しているかのように見せているレースシーンが見所の映画…のはずが、冒頭の山道のカーアクションの方がいい。 |
細雪 | ★☆ | 【監督】島耕二【原作】谷崎潤一郎 | 1959年 日(大映)、カラー、1:2.35、105分、日本語 | 2009/03/29(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/03/30 |
ストーリー | 感想 |
鶴子(轟夕起子)、幸子(京マチ子)、雪子(山本富士子)、妙子(叶順子)は大阪の旧家の4姉妹。 本家の鶴子は婿養子の辰雄(信欣三)の転勤で東京に引っ越す準備をしていた。 幸子は婿養子の貞之助(山茶花究)と子供と共に芦屋に住んでいた。 雪子は幸子に持ちかけられて見合いをするが、事故死した男を忘れられずに結局断った。 妙子は金持ちの奥畑(川崎敬三)と付き合っていたが、創作人形の個展に奥畑が連れて来たカメラマンの板倉(根上淳)とが好きになり、嫉妬した奥畑は板倉に妙子に会わないように言った。 妙子は板倉と結婚して、洋裁店を開いて独立しようと考えて本家から自分名義のお金を出してもらおうと東京に行ったが、鶴子たちはそれには反対で、妙子名義のお金は無いと言った。 そこに、板倉が緊急入院したとの知らせが入って妙子は帰り、手術をしたが板倉は死んでしまった。 雪子の見合いが今度は実を結ぶかと思ったとき、妙子の荒れた生活が理由で破談になり、勘当された奥畑はそんな妙子に立ち直るように言った。 バーテンダーの三好との間に出来た妙子の子供が子宮外妊娠で死産し、雪子は二人が愛し合っていることを確認し、東京から来た鶴子ら姉たちに反対されると思って会わずに三好と旅立った妙子を雪子が駅まで追いかけて、家柄にこだわるのは過去のことだと鶴子も賛成しているので、連絡をするように告げて別れた。 |
105分の尺に収めようとしたのか、展開がせわしない。 |
迷子の警察音楽隊 (原題:The Band's Visit) | ★★ | 【監督&脚本】エラン・コリリン | 2007年 イスラエル=仏、カラー、1:1.85、87分、英語&ヘブライ語&アラビア語(日本語字幕) | 2009/03/29(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/03/29 |
ストーリー | 感想 |
エジプトのアレキサンドリア警察の音楽隊が、アラブ文化センターの開会式で演奏するためにイスラエルの空港に着いたが、自力で現地に向かうことになった。 つたない英語だけに頼った結果、似た地名の田舎町に着いてしまい、そこで知り合った人々の家に分かれて泊めてもらうことになり、何人かは街に夜遊びに連れられて行った。 |
かつて戦争をしたこともある微妙な関係の2つの国の庶民が、今でも紛争の火種の国で触れ合うという映画。 エピソードの数々がみどころで、なかなかよろし。 |
女系家族 | ★★★ | 【監督】三隅研次【原作】山崎豊子「第三の悪名」 | 1963年 日(大映)、カラー、1:2.35、110分、日本語 | 2009/03/23(月) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/03/27 |
ストーリー | 感想 |
大阪の老舗の婿養子の主人が死に、遺言で三人の娘の京マチ子、鳳八千代、高田美和がそれぞれ、不動産、事業、動産を告ぐことになったが、自分の取り分が少なければ不足分を請求する権利を行使しようと狙っていた。 また、別の遺言に愛人の若尾文子にもいくらか遺産を与えて欲しいと書かれていて、番頭の中村鴈治郎(二代目)も遺産相続のどさくさに雪舟の絵をものにしようと考えていた。 若尾が身ごもっていると知った三人の娘と叔母は、医者を連れて行って嫌がる若尾を診察させ、若尾の心に火がついた。 そして、遺産相続を決める親族会議に、男児を抱えた若尾が現れ、彼女が持ってきた一番遅い日付の遺言には、子供は自分の子供で、若尾の子供に財産の半分を譲り、二十歳になったときに跡取にすると書かれていた。 |
この頃の大映の映画は、例えば産婦人科の器機を映したりするなど、ドキッとするようなことを堂々とやっていて、演じる若尾文子や京マチ子も、そんな映画の内容に負けずにゾクッとさせる演技で演じきっていて、とにかく人間としての強度が凄い。 今の時代で、映画でこんなインパクトを出そうとすると、どうすればいいんだろう? 例えば、実在の人物で誰をモデルにすれば、こんな映画を作れるだろう? |
恋人たちのメロディ (原題:Smic Smac Smoc) | ★☆ | 【監督&脚本&撮影】クロード・ルルーシュ【音楽&出演】フランシス・レイ | 1971年 仏、カラー、1:1.33、87分、仏語(日本語字幕) | 2009/03/23(月) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/03/23 |
ストーリー | 感想 |
フランスの造船所で働く3人の男たちは、貧しいながらも商売女や競馬などの下世話な世間話に花を咲かせる毎日だった。 1人が結婚し、路上でアコーディングを弾いている盲目の男を連れてきてお祝いし、そのまま車を盗んでサントロベに行った。 レストランで有り金のほとんどを使い切り、新婚の2人はホテルに泊まれず浜で夜通し語り合い、残りの2人はアコーディング弾きに女を買ってやった。 帰ってきた5人は警察に捕まり、署内でアコーディングで踊って、映画は終わる。 |
3人のうちの年長者が、いつもベラベラまくし立てて、コインランドリーで居合わせた女をしつこく口説いたり、洋品店でしく濃く値切ろうとしたり、結婚式が手抜きだと文句をつけようとしたり、ガソリン代を払わずに逃げたりで、良く言えばフランス人らしく欲望に忠実に日々を暮らしているが、警察に捕まって終わるのが無理も無いほど無神経。 まあ結局、ドキュメンタリーっぽく1週間で撮って、そんな労働者たちを描いた映画。 『華氏451』のように、クレジットは無しで代わりにナレーションでスタッフとキャストが紹介される。 |
サボテンの花 (原題:Cactus Flower) | ★★ | 【監督】ジーン・サックス | 1969年 米、カラー、1:1.85、104分、英語(日本語字幕) | 2009/03/21(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、お笑い系 | 2009/03/21 |
ストーリー | 感想 |
歯科医を開業しているジュリアン(ウォルター・マッソー)は、トニ(ゴールディ・ホーン)と付き合いながら、深入りする勇気が無くて、妻子がいると嘘をついていた。 夜にジュリアンが自分の家に来ないで家族といると思って寂しさのためにガス自殺を図ったトニは、隣の部屋のイゴール(リック・レンツ)に助けられる。 郵送されたトニの遺書に驚いてかけつけたジュリアンは、妻と別れてトニと結婚すると言うと、トニは妻に会って話をしたいと言い出したので、看護師のステファニー(イングリッド・バーグマン)に、妻を演じてジュリアンと離婚したいと思っていることをトニに話すように頼んだ。 しかし2人が会ってからトニは妻に同情してジュリアンから離れようとし、ステファニーもジュリアンに対する恋心が芽生えて、堅物キャラから一転社交的キャラに変わり、ジュリアンとトニの目の前でイゴールとイチャつき、それを怒ったジュリアンと喧嘩して歯科医を飛び出した。 ステファニーはトニに嘘を白状して、ジュリアンと結婚するように言ったが、ジュリアンはトニと別れてステファニーを選んだ。 |
ゴールディ・ホーンが、デビュー作でオスカーを受賞という快挙を成し遂げた数少ない人たちの1人になった作品。 でも、いわゆる、シチュエーション・コメディとしてはそれほどでもない。 彼女自身も、これ以降の方がもっと良くなる。 もう1人の注目の出演者で、「サボテンの花」のように久しぶりに花を咲かせる役のイングリッド・バーグマンは、50代前半で数年ぶりの映画出演で、大スターというそぶりを見せずに、普通の女性をきちんと演じていていい。 |
南北戦争の末期の西部で、とある場所に隠された大金をめぐって、3人が虚虚実実の駆け引きと対決を繰り広げる。 3人の中の2人、イーストウッドとウォラックが、コンビを組んで金儲けをしたり、相手を裏切ったりの繰り返しが特に面白い。 いわゆるマカロニ・ウェスタンなので、イタリア映画で、セルジオ・レオーネ以下のスタッフもイタリア人、主役たちはアメリカ人で、今回観たのは彼ら自身が英語で台詞を言っている英語版だが、イタリア語版もある。 ロケ地はスペイン。 allcinema onlineによると、上映時間は155分となっているが、今回観たのは"Extended English Virsion"(英語長時間版)の179分で、サウンドトラックもモノラルではなくドルビーデジタルのリマスタリングされたもの。 |
発表会の会場をダブルブッキングされた2組の合唱団が、お互いに譲らないため混乱が起きるという話。 とはいえ、きつい内容ではなく、ハートウォーミングな映画。 お調子者の役を演じると、小林薫はものすごくいい。 |
新SOS大東京探検隊 | ★☆ | 【監督】高木真司【原作】大友克洋「SOS大東京探検隊」 | 2006年 日、カラー、1:1.85、41分、日本語 | 2009/03/10(火) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | アニメ | 2009/03/22 |
子供たちが東京の地下を探検する話で、面白い人々がたくさん出てきて、面白くしようとあれこれ盛り込んでいるんだけど、結果的には面白くなってない。 アニメといったって、映画を面白くするセオリーは実写と同じはずなのに、そのあたりにもの足りなさを感じるアニメが多い。 |
秒速5センチメートル | ★☆ | 【監督&脚本&原作】新海誠 | 2007年 日、カラー、1:1.85、63分、日本語 | 2009/03/09(火) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | アニメ | 2009/03/22 |
物語は若者の恋愛で、映像は実際の風景を再現することを目指していて、ドラマの進行は独白とモンタージュを多用。 恋愛なら2人のやりとりの生々しさ(『ハルフウェイ』みたいな)を期待するが、独白とモンタージュはそれとは正反対の効果で、まるで頭の中の世界を見ているような出来上がりで、映画が重くなる。 そもそも、アニメ自体が生々しさとは合わない。 そのくせ、映像はリアルな風景をめざしているのだが、そこに力を入れるのってなんか間違っていると思う。 アニメでリアルな映像を目指すなら、最初から実写の方が以上のような数々の問題に対して有利なことばかりだと思ってしまう。 |
動物園 (原題:Zoo) | ★★ | 【監督&撮影&編集】フレデリック・ワイズマン、他 | 1993年 米、カラー、1:1.33、130分、英語(日本語字幕:田中武人) | 2009/03/09(月) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドキュメンタリー | 2009/03/09 |
米フロリダ州マイアミのメトロポリタン動物園の様子を撮影したドキュメンタリーで、出来事の数々を無差別に記録して、説明を追加したりメッセージを織り込むような加工無しで見せることに徹した映画。 映画の半分は、動物園に行けば誰でも目にすることができるような光景で、わざわざ映画で見せる必要が無いと思われるが、これは残り半分の動物園の舞台裏のシーンと対比させるためにあるのだろうか? その舞台裏も、特にドラマチックなシーンは無いのだが、死産したサイの赤ちゃんの解剖をしたり、動物を殺した野犬を撃ち殺して焼却炉で始末したり、虚勢手術をしたりなど、それらの出来事に飼育員たちがほとんど感情を露にせずに、淡々と作業を進めていくのが、飼育員の一般的なイメージと全く違って興味深い。 |
鞍馬天狗 黄金地獄 (公開時タイトル『鞍馬天狗 横浜に現わる』) | ★★ | 【監督&脚本】伊藤大輔【原作】大佛次郎【出演】嵐寛寿郎、原健作、他 | 1942年 日(大映)、モノクロ、1:1.33、90分、日本語 | 2009/03/06(金) | HDDレコーダー(WOWOW) | 感覚系、ドラマ系 | 2009/03/07 |
ストーリー | 感想 |
明治四年。横浜で粗悪な貨幣が出回り、ヤコブ商会の仕業ではないかと思われたが、手広く商売をしていて影響が大きいので、証拠無しにうかつに摘発できなかった。 倒幕の立役者の鞍馬天狗こと倉田典膳(嵐寛寿郎)が、ヤコブ商会のサーカスに潜入捜査をしていた。 一方、角兵衛獅子の杉作は、目が見えない姉のお力(りき)を外国人の医者に診てもらうため、横浜の路上で曲芸を見せていた。 彼らは倉田とふとしたはずみで知り合い、倉田がお金を出してお力が目の治療をし、杉作は倉田の捜査を手伝うようになった。 倉田は、贋金の製造工場がヤコブ商会の軍艦製造ドックの下にあることを突き止めるが、お力が人質に取られ倉田がヤコブ商会に乗り込んで乱闘になり、ヤコブが証拠隠滅のためドックごと爆破しようとした時、倉田からの知らせを受けた西郷隆盛のよこした馬車隊がかけつけ、お力が手術後の目の包帯を取って導火線の火を消し、命がけで爆破を食い止めた。 |
1942年製作の『鞍馬天狗 横浜に現わる』(8巻、107分)を戦後に再上映したもの。 途中ところどころシーンが飛び飛びに見えるところがあるのは、GHQによるチャンバラ映画に対する検閲の結果、カットされたためか? 立ち回りなどの他に、馬車が疾走するシーンが『駅馬車』みたいで、スピード感があって見応えがあるだけに、完全版で観たかった。 明治四年の設定だが、時代考証はいい意味でいい加減で、ゴム風船や水上バスらしき船が出てきたりなど、全体的にまるで昭和初期。 |
大停電の夜に | ★ | 【監督&脚本】源孝志、他【出演】豊川悦司、田口トモロヲ、原田知世、吉川晃司、寺島しのぶ、井川遥、阿部力、本郷奏多、香椎由宇、田畑智子、淡島千景、宇津井健、他 | 2005年 日、カラー、1:2.35、132分、日本語 | 2009/03/05(木) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/03/08 |
人のいい奇麗ごとの映画は最悪だということの見本。 |
ストーリー | 感想 |
19世紀末のイギリス。 ミス・ギデンス(デボラ・カー)は、田舎の屋敷に住むマイルスとフローラ(パメラ・フランクリン)の幼い兄妹の育児と教育を、ロンドンに住む彼らの叔父(マイケル・レッドグレーヴ)から一任された。 彼女は兄妹の不可解な言動に悩まされ、その屋敷にいるはずのない男と女の姿を見たり声を聞いたりするようになった。 彼女は家政婦のグロースに聞くと、以前この屋敷はクイントという男が取り仕切っていて、彼はギデンスの前任者の女を虐待しながらも屋敷の中で密かに愛し合う仲だったが、クイントが殺されて、まもなく女も後追い自殺した。 2人の霊が兄妹にそれぞれ乗り移っていると思ったギデンスは、フローラをグロースに託して、マイルスと2人のみが屋敷に残って、彼を治そうとした。 マイルスが、記憶から消していたクイントの惨劇を思い出した時、彼は命を絶たれ、ギデンスもその場に倒れた。 |
60年代のヨーロッパ映画らしい、クールでシャープな映像が冴える。 ホラー演出は、全体的に古典的でぶっきらぼうな感じで、それが怖さに繋がっているところと、ベタ過ぎる感じがするところがあった。 後に『ヘルハウス』などにも出ていた、パメラ・フランクリンのデビュー作らしい。 |
ケンタッキー人 (原題:The Kentuckian) | ★★ | 【監督&出演】バート・ランカスター【原作】フェリックス・ホルト「ガブリエルの角笛」【出演】ウォルター・マッソー、ジョン・キャラダイン、他 | 1955年 米、カラー、1:2.35、104分、英語(日本語字幕:風間綾平) | 2009/03/03(火) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/03/04 |
ストーリー | 感想 |
暗黒の恐怖 (原題:Panic in the Streets、意味:街のパニック) | ★★ | 【監督】エリア・カザン【出演】リチャード・ウィドマーク、ポール・ダグラス、バーバラ・ベル・ゲデス、ジャック・パランス、ゼロ・モステル、他 | 1950年 米、モノクロ、1:1.33、96分、英語(日本語字幕) | 2009/03/02(月) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/03/04 |
ストーリー | 感想 |
ニューオルリンズに密航してきた外国人とトランプのギャンブルをしていた男3人(ジャッく・パランス、他)が、勝ったその密入国者から金を巻き上げるために帰り際を襲って殺し、港に捨てた。 その死体を調べた衛星局員のリチャード・ウィドマークは、肺ペストにかかっていたことを見つけ、すぐにでも接触した人に血清をうたなければならなかったが、公表すると犯人が市外に逃亡して感染が広がる恐れがあったので、警察は肺ペストことは伏せて犯人捜査を行い、ウィドマークも犯人を捜した。 次々と病死する人が現れる中、パランスは警察が必死に捜査してるのは、仲間の1人で密入国者の従兄弟が何か密輸品を預かっているからだと思って発病した彼を問い詰めるが、そこにウィドマークが現れて残りの2人が逃走するも、追いつめられてついに捕まり、事態は解決した。 |
1950年度アカデミー賞の原案賞(原作者が対象)と、ヴェネチア国際映画祭の国際賞受賞作品。 事件捜査と伝染病の感染を防ごうとする2つの展開が1つになっているところが斬新だが、シンプルに捜査だけのストーリーに比べ、登場人物の制約が多い分、窮屈な映画という印象を受けた。 ジャック・パランスがエリア・カザン監督に起用されて映画デビューを飾った作品で、既に荒々しいキャラを発揮していた。 |
ゾンビーノ (原題:Fido、意味:ファイド(ゾンビの名前)) | ★☆ | 【監督&脚本】アンドリュー・カリー、他【出演】キャリー=アン・モス、他 | 2006年 カナダ、カラー、1:2.35、92分、英語(日本語字幕:東野聡) | 2009/02/25(水) | HDDレコーダー(WOWOW) | 象徴系、お笑い系 | 2009/02/26 |
ストーリー | 感想 |
宇宙からの影響で世界中でゾンビが発生して人間との戦争が起きたが、ゾムコンという会社がゾンビをコントロールできる首輪を開発して以来、召使いのようにこき使う目的でゾンビが商品化された。 しかし、ある少年が仲良くなったゾンビのファイドの首輪が調子が悪かったせいで、彼にかまれてゾンビになる町の人が続出した。 ゾンビと交流を持つことがご法度だったためファイドはゾムコンの工場に連れて行かれ、少年がファイドを連れ出そうと工場に潜入したことがきっかけで、そこで人間たちとゾンビたちの争いが起こった。 その結果、多くの邪な人間たちが死に、ゾンビと心を通わせる人たちとゾンビたちとの平穏な関係が始まった。 |
異形のゾンビが罪の無い存在で、反面ゾンビたちを支配できるようになった人間たちの様々な心の醜さがあらわになることで、心ある人間関係の重要さを描いた映画。 ちょっと残酷で、ちょっと可笑しくて、ちょっと心が温かくなる、ユニークなゾンビ映画を目指したのだろうが、もうちょっとで面白い映画になりそうなところ、一歩及ばず面白くしきれなかったという、惜しい結果に終わった。 |
ベルベット・レイン (原題:江湖、意味:世の中)) | ★ | 【監督】ウォン・ジンポー【製作&出演】エリック・ツァン【製作総指揮】アラン・タム、アンディ・ラウ【出演】アンディ・ラウ、ジャッキー・チュン、ショーン・ユー、エディソン・チャン、他 | 2004年 香港、カラー、1:1.85、85分、広東語(日本語字幕:) | 2009/02/22(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/02/22 |
ストーリー | 感想 |
命を狙われているヤクザのボスのアンディ・ラウとその弟分のジャッキー・チュン、一方、金目当てでボスの暗殺に志願して選ばれたチンピラのショーン・ユーとその相棒のエディソン・チャン。 2つのストーリーが交錯する展開だが、実は若い2人はボスたち2人の若い頃のエピソードだったというオチ。 |
大勢が殺しあうシーンで、スローモーションになってドラマチックなBGMが流れるような表現方法に象徴されるように、全般的にそのようなカッコよさを目指したのだろう。 しかし、「カッコイイ」ことと「カッコつけている」ことは似ているようで天と地ほどの違いがあり、その違いは映像やBGM以外の部分で、「底が浅い」、「中身が無い」、「やる気が無い」と感じられてしまうと、見てくれだけの映画になってしまう。 |
まず、目に付く欠点をどんどん挙げていこう。 第1に、なんといっても「無意味なVFXの映像が多い」こと。 シーンが変わって場所も変わるときに、次のシーンの場所の景観が映った2〜3程の短いシーンを挿入することを多用しているのだが、そんな捨てシーン的なものに対して、やり過ぎにしか見えない無駄な力の入れよう。 そんな見当違いは、会話のシーンに合成された背景がやたらとチャカチャカ乗り物が飛び交っていることが多いことにも表れ、それは手前に映っている人間の芝居を押しのけてまでVFXの存在感をアピールするかのように見える。 また、VFXの映像のほとんど全部が一言で言えば「VFX機器のデモ映像」みたいで、視点が無意味にやたらとグルグル動いたりで、「映画作品の一部としての映像」というより、「機能はとにかく使っちゃお」的な低レベルな目的意識しか感じられない。 比べれば、宮崎駿の映像に対する考え方が「お客さんに見せるべき自分のイメージを形にすること」だとしたら、ルーカスは映像センスのないVFXオペレーターが作ったものをそのまんま採用しているだけみたい。 ルーカスの映像にたいする怠慢ぶりはVFX以外にも見られ、その最たるものは刀をクルクル回しているだけの、何の迫力もない殺陣。 ルーカスって黒澤明を尊敬していたはずだけど、この殺陣を観る限りそんなことはこれっぽちも感じられない。 過去の傑作に対する思いと、自分の映画作りとは別だってこと? そうでなければ、お金に目がくらんで、殺陣の演出みたいに苦労の割りに一銭の得にもならないことはやらないポリシーとか?記憶喪失になって黒澤のくの字も覚えてないとか?実は別人と入れ替わっているとか?そうとしか考えられない。 あと、ヨーダって戦うときに眉間にしわを寄せて目を吊り上げて見栄を切って精悍に見せようとしてるんだけど、その一連の表情の変化がどう見てもマンガそのもの。 ヨーダをドナルドダックと入れ替えてもそんなに違いは無いと思う。 以上のように、さほと映像への思い入れが無さそうなのにもかかわらず、映像的に盛りだくさんっぽく見せているのは、一応「特撮映画『スター・ウォーズ』シリーズ」としての体裁を整えたいからか? そうだとしたら、シリーズという縛りが無く純粋な一からの新作だったとしたら、もっとまともな表現になっていたかも。 シリーズの縛りといえば、この『エピソード3』は既存の『エピソード4』に展開的につながることになるのだが、「つなげる」ことに固執するあまり、省略しても構わないような細部に至るまでつながりのシーンをわざわざ作ったので、そんなシーンの数々が終盤にバタバタと続いてみっともなく見えたのも弊害の1つだろう。 あと、ストーリーの細部もところどころマヌケ。 あらゆる状況を察知できるはずのジュダイが、なぜみんなまんまと策略にはまるのか? それも、悪の気がムンムンしているはずの人のそばにいながら気づかないなんて。 アナキン・スカイウォーカーの子供を隠そうとしているのに、その子が『エピソード4』でルーク・スカイウォーカーを名乗ってたら、全然隠していることにならない、などなど。 欠点はこのぐらいにして、ストーリーに目を向けると、民主主義の危険性を示していることが特筆すべきこと。 民主主義は、世の中がどう動くかの責任が一人一人にかかってくるということで、皆が現実に対して盲目的になってしまうとあっという間に悪い世の中になって、しかもその悪さに気づいたときには後戻りできない。 アナキンは民主主義を最も尊重している人なのだが、一方で自分で正しく判断しなければならないという民主主義における個人の責任を怠って、盲目的に「民主原理主義」に走ってしまうことが間違いの本質だということをハッキリと描いている。 物事を破滅に導くのが、世の中でもせいでも一部の悪人たちのせいではなく、自分自身の心の中にあるということを、「フォースのダークサイドに堕ちる」という絶妙の象徴で表している。 しかも、そんな映画が民主主義の輸出もしている総本山のアメリカから発せられているのだが、逆にそんな国だからこそ「民主原理主義」の危険性を身近に感じられるからかもしれない。 ただし、ここで最大の問題が持ち上がってくるのだが、そんな社会的、哲学的なテーマを含んでいて、なおかつ『スター・ウォーズ』には信者と言えそうな人々が世界中に数多く存在すると思われるにもかかわらず、そんなフォースの教えを実践している人がいて世の中が良くなったという気配がさっぱり感じられないこと。 つまり、映画のメッセージが誰にも届かず、映画製作が徒労に終わってるんじゃないかということ。 これは、『スター・ウォーズ』がやり方を間違っているのではなく、所詮は世の中を変えることが出来ないという映画そのものの問題なのかもしれないのだけど。 以上のことをめとめると、 (1)映画の出来は、とにかくしょぼい、マンガっぽい。 (2)シリーズの継続性や固定ファンの呪縛のせいで、(1)の問題点を作り手が自覚していても修正できない。もしくは、修正する気もないか、問題があるという自覚も無い。 (3)メッセージを込めていても、映画のスタイル自体に(1)の問題があって不釣合い。もしくは、理解力が無い相手に対してメッセージを発しているという無意味なことをしている。 よって結論は、 シリーズとしては破綻していて、今となっては今後発展することの無い過去の映画。 まあ、今後も固定ファンが騒ぐことはあるかもしれないけど、それが当人たち以外に何か意味があるものになることはないだろう。 |
嘆きのテレーズ (原題:Therese Raquin(テレーズ・ラカン、意味:主人公の名前)) | ★★★ | 【監督&脚本】マルセル・カルネ、他【原作】エミール・ゾラ「テレーズ・ラカン」 | 1952年 仏=伊、モノクロ、1:1.33、107分、仏語(日本語字幕:古田由紀子) | 2009/02/16(月) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/02/16 |
ストーリー | 感想 |
テレーズ(シモーヌ・シニョレ)は、両親を亡くして以来リヨンの伯母に引き取られ、そのまま溺愛する息子のカミーユ(ジャック・デュビー)と結婚したが、病弱な夫の看病と家業の店番をさせられているのが実態だった。 酔ったカミーユをトラック運転手のローラン(ラフ・ヴァローネ)が家まで送ってきたことで彼とテレーズが相思相愛になって密会をするようになる。 このことがカミーユに知れてしまい、険悪になった夫婦仲を修復するためとして2人でパリ旅行に出かける。 ローランは2人が乗った夜行列車に乗るが、カミーユに見つかって3人で口論になり、ローランがカミーユを車外に突き落として殺してしまう。 リヨンに戻ったテレーズに夫殺しの疑いがかかる中、同乗していた水兵(ローラン・ルザッフル)に目撃証言をして欲しくなかったら金をよこせと脅される。 テレーズとローランは、カミーユはドアが開いていたことによる事故死との結論で鉄道会社から受け取った示談金を水兵に渡し、水兵が去ろうとしたところ車にひかれて死んでしまう。 そのころ、水兵の泊まったホテルのメイドが、彼が戻らなかったときに出すように頼まれていた警察宛の手紙を投函した。 |
浮気、邪魔な夫を殺す、目撃者からの脅しというストーリーは、今となっては普通過ぎるのだが、堂々としたシモーヌ・シニョレ以下の俳優陣の迫真の演技など、基本的な部分でしっかりと魅せる。 |
『仄暗い水の底から』(★★★)のリメイクに当たる。 両者の違いは、日本版がホラー描写優先で、ハリウッド版はおどろおどろしい雰囲気は継承しつつも怖がらせることはかなり抑えていて、親子の絆が引き裂かれることに対する恐れや悲しみのドラマを中心にした感じ。 その結果、普通の映画になっちゃったかな? |
ヨコハマメリー | ★★★ | 【監督】 | 2005年 日、カラー、1:1.33、分、日本語 | 2009/02/11(水=祝) | HDDレコーダー(テレビ神奈川) | ドキュメンタリー | 2009/02/13 |
終戦間もない頃から米兵相手の娼婦になって、1995年頃まで白塗りで横浜の町に立っていたメリーさんについてのドキュメンタリーで、彼女にまつわる人々のインタビューを通して、それらの人々の人物像やかつての横浜の街が浮かび上がってくるという映画。 かつての横浜やいかがわしい繁華街になじみのある人なら特別な思い入れがあるだろうが、そんな接点が何も無い私にとっては、メリーさんも含めてほとんどすべてがこの映画で初めて知ることばかり。 でも、例えば戦後生まれの私のような人間が昭和という時代に特別の思い入れを持っていたとして、そんな特定の時代や場所や人に対する思い入れなんてものは、あと千年、早ければ数十年も経てば、その頃の人にとってはまるっきり時代劇の世界になって何の意味もなくなってしまう。 それでも、この映画は決して特定の人だけのためのものではない。 この映画に登場する人々が一人ひとり異なった顔をもった人間であることを輪郭くっきりに描いているように、今現在私が暮らす世界とは違ったところにいる何の面識の無い人であっても、彼らが娼婦、ゲイ、エロ物書き、水商売といった属性を持っているからといって、一くくりでどういう人間かを決めつけるのではなく、それぞれちゃんと1人の人間として存在しているという思いを抱かせてくれる映画だった。 |
隠し剣 鬼の爪 | ★★☆ | 【監督】山田洋次 | 2004年 日(松竹)、カラー、1:1.85、分、日本語 | 2009/02/09(月) | HDDレコーダー(日本テレビ) | ドラマ系 | 2009/02/12 |
この映画で描いていることをまとめると、 (1)侍の時代において許されぬ身分違いの男女の恋 (2)上の者の命令が絶対のルールを尊重すべきか?それに反する侍の志や仲間への思いやりを尊重すべきか? (3)自分の保身と大義と、どちらを優先させるか? といったところか? (3)については、仲間を売るようにと脅しをかけるエピソードがアメリカの赤狩りを思わせる。 結局(1)が弱いのが、この映画の一番の弱点かな? 幕末の不安定な状況で、侍たちが江戸からの軍事顧問の教練によって兵士へと変わっていくあたりにも、世の中の制度や変化に振り回される人々の姿がうかがえる。 |
ニワトリはハダシだ | ★★☆ | 【監督】森崎東 | 2003年 日(松竹)、カラー、1:1:85、分、日本語 | 2009/02/08(日) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/02/10 |
ざっと内容を言うと、検察、警察、ヤクザなどが結託したり、結託の事実が漏れそうになると権力を行使して握りつぶそうとするような勢力と、そんな権力側によって虐げられる庶民(ここでは知的障害者と在日コリアンが弱者の象徴として登場)の階級闘争の映画。 まあ、階級闘争は具体的な社会告発ではなくイメージ的に描かれているのだが、そんな庶民の怒りと、だからといって最近流行の「悪者探し」「悪いことは何でも世の中のせい」が達者な人々とは違って、自分自身が強くなることのバネにしようとする庶民の姿を描いているのは森崎監督らしく、好感がもてる。 |
ダイ・ハード4.0 | ★★☆ | 2007年 米、カラー、英語(日本語字幕) | 2009/01/12(月=祝) | HDDレコーダー(WOWOW) | 感覚系 | 2009/02/10 |
前作『ダイ・ハード3』は、ほとんど内容を覚えていないのは、何がどうなっているのか解らない映画だったからだと思うが、『ダイ・ハード4.0』ではブルース・ウィリスは次々と襲ってくる目先の危機に対処し続けるという解りやすい展開なので、あとはアクションの派手さを見せ付けることで面白い映画になっている。 全体的にかなり荒っぽい作りなんだけど、退屈しなければ御の字のタイプの映画。 |
池田勇人から佐藤栄作へと首相が替わったころの政略、九頭竜ダム落札事件に関するゼネコンの談合、裏情報を握る金貸し、そしてマスメディアなどが、それぞれ賄賂、脅迫などお金でつながっていることを、実在の人物や事件をモデルに書かれた小説の映画化。 「外面は輝いているが、中身は真っ黒」というのがタイトルの意味。 まあ、こういう実録風社会派映画は、「どの程度本当なのか?」ということを気にするより、「こういうこともあるかもしれないなぁ」と思って、「例え権力側が公明正大、清廉潔白なイメージをトップダウンで庶民に示してきたとしても(例えば『美しい国、日本』とか『愛は地球を救う』なんかもそう)、それには絶対何か裏があるきれいごとに過ぎない。」と疑うクセを身につけるためのきっかけにすればいい。 ただでさえヒューマニズムだとかエコロジーだとか、マスメデイァなどが広めるきれいごとには、いい年した大人ですら簡単にホイホイ乗っかってしまう最近の日本においては、なおさらこうした映画などは定期的に作られて欲しい。 それに、なんといったってぶっちゃけ単純に面白いからね。 |
ストーリー | 感想 |
城南学園では、優等生をほめる大学側に反抗して、女子学生が平凡な男子卒業生を毎年1人選んで、「ナルシスの指輪」を1年間身につけてもらうという伝統があった。 67年度は、水森亜土が堺正章を選んで、それ以来2人は恋人になったのだが、マチャアキが所属するスパイダースが人気者になって、追っかけから逃れるために隠れたコンテナが、彼らを乗せたままタヒチに運ばれてしまい、亜土は指輪の返還できずに困った。 そんな中、女子卒業生の選考委員たちが5人の候補を選び密かに審査を進めるが、やがて彼らにばれてしまう。 それでも審査は続いて、5人を別荘に招待することに成功したが、そこへの道中で彼らは尾崎奈々と知り合い、彼女がマネージャーを務めるバンドがホテルに来ないのを助けるために、急遽5人で演奏した。 実は彼らは5人とも尾崎の兄の高校教師の中山仁が開設したフォークソング部の部員になって、不良になりかけていたのを回避できたのだが、中山の行為が不良を助長していると非難されて教師を辞めて以来、5人は音楽を辞めていた。 演奏が好評だったので、尾崎を助けることで療養中の中山に恩返しをするために、ヴィレッジ・シンガーズとして尾崎のマネージメントの元でプロの活動をはじめたのだった。 それを知った審査委員たちは、指輪へのこだわりや男の選り好みの審査をやめ、彼らのような思いやりのある人たちこそ賞賛に値すると思って5人全員に新たな指輪をあげ、この新たな伝統が来年以降も続くことを願った。 |
最初のうちは、女子大生たちが男を表彰する伝統などという、どうでもいいことを重大視している冗談半分の映画かと思っていたが、形にこだわるより中身が大事ということに目覚めるという健全なテーマを、基本的には歌あり青春あり細かい笑いありの、軽快なテンポの楽しい映画になっているという、バランスのいい映画。 おまけに、この映画がヴィレッジ・シンガーズの実話であるかのような設定(だけで実話ではない)で、ラストで実際の彼らにインタビューをしているドキュメンタリーっぽいシーンがあり、そのしゃべり方が劇中の芝居とは全く違って生々しいことで、映画と現実が違うという印象を植えつけているのが面白い。 ヴィレッジ・シンガーズといえば「亜麻色の髪の乙女」が代表曲だと思うが、それが主題歌扱いではないものの、劇中でフルコーラス歌われている。(ただし、そのシーンに出てくる尾崎奈々は、ちょっと茶色っぽいだけで亜麻色でもなければ、長い髪でもなくショートヘア。) |
小さなスナック | ★★ | 【監督】斎藤耕一【出演】藤岡弘、尾崎奈々、毒蝮三太夫、ケン・サンダース、パープル・シャドウズ、高橋昌也、ジュディ・オング、他 | 1968年 日(松竹)、カラー、1:2.35、84分、日本語 | 2009/02/06(金) | WOWOW | ドラマ系、感覚系 | 2009/02/06 |
ストーリー | 感想 |
常連の若者数人がたむろする毒蝮三太夫のスナックに尾崎奈々が1人で来るようになり、若者たちの1人藤岡弘が彼女に惹かれて親しくなる。 尾崎は世間知らずで、若者たちと一緒にいて青春を楽しんだ。 デートの帰りに尾崎の家まで尾行した藤岡は、若い彼女が美容室のオーナーであることを知り、それ以降尾崎は藤岡に会わなくなった。 でも、しばらくして2人は再び会うようになったのだが、やがて尾崎が自殺を図って交通事故にあったとの知らせを受けた藤岡が彼女の入院先にかけつけた。 藤岡はスナックで彼女を待ったが、病院で自殺した尾崎が現れることはなかった。 |
WOWOWのGS特集の中の1本だが、パープル・シャドウズの同名のヒット曲を主題歌にしたというだけで、中身は砂浜を駆けるといった風景を生かした映像を多用したりの、完全に斎藤耕一のクールで瑞々しい悲恋モノで、特に「GS映画」というわけではない。 作風はヌーヴェルヴァーグっぽくて、ジュディ・オング(本人役?)が素で語っているようなシーンもゴダールっぽい。 |
ザ・スパイダースのバリ島珍道中 | ★☆ | 【監督】西河克己【出演】田辺昭知、堺正章、井上順、かまやつひろし、加藤充、大野克夫、井上孝之、小川ひろみ、杉本エマ、内田良平、高品格、郷^二、他 | 1968年 日(日活)、カラー、1:2.35、87分、日本語 | 2009/02/04(水) | WOWOW | ドラマ系、感覚系 | 2009/02/04 |
ストーリー | 感想 |
日本で開発された衝撃に弱い高性能プルトニウムが、犯罪組織の手によって香港で演奏するスパイダースのアンプに隠されて国外に持ち出され、内田良平と高品格が香港でそれを密かに抜き出すことになった。 脚を怪我した田辺昭知以外のメンバー6人が香港に行き、部屋を空けたときプルトニウムを持ち出そうとするが、部屋に戻ったマチャアキと順に見つかって失敗し、2人は顔を見たマチャアキの命を狙う。 身の危険を感じたメンバーは、居合わせた歌謡ショーのドサ回り6人組になりすまして、彼らの次の巡業先のジャカルタへと逃げる。 そこの契約相手と追ってきた2人が銃撃戦を繰り広げ、日本から駆けつけた田辺を加えた7人はバリ島へと逃げる。 プルトニウムに気づいたメンバーは処理に困って寺に埋めるが、追って来た2人が隠し場所の口を割らせようとし、現地の警察が出動して一味は逮捕された。 |
前3作に比べて演奏シーンが減って、普通のサスペンスコメディっぽくなった。 でも、普通の映画っぽくしちゃうと、スパイダースを出演させている意味が薄れてきちゃうなぁ。 まぁ、マチャアキは歌もいいけど歌手だけにしておくにはもったいないくらい芸達者ぶりを見せているので、いいのかな? |
ザ・スパイダースの大進撃 | ★☆ | 【監督】中平康【脚本】伊奈洸、倉本聰【出演】田辺昭知、堺正章、井上順、かまやつひろし、加藤充、大野克夫、井上孝之、和泉雅子、真理アンヌ、草薙幸二郎、堺駿二 、他 | 1968年 日(日活)、カラー、1:2.35、82分、日本語 | 2009/02/03(火) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/02/03 |
ストーリー | 感想 |
アメリカから帰国したスパイダースたちの一人堺正章は、アメリカで買ったタンバリンを常に首にかけておくほど気に入ったが、それには真理アンヌたちによって密輸のために本物の宝石が仕込まれていて、彼女はタンバリンを取り戻そうと彼らを見張り続けた。 また、入国の時楽譜入りのアタッシュケースが別のものと入れ違って、その持ち主の草薙幸二郎にも狙われることになった。 楽屋が空室のときに荒らされて別のタンバリンが盗まれたことから、メンバーたちは身の危険を感じたが、そのままコンサートにために鹿児島へと飛んだ。 そこでも事件が起こり、タンバリンとアタッシュケースが狙われていることに気づいたメンバーは、東京に戻ってから犯人たちをおびき寄せて警官隊が逮捕することに成功した。 |
例によって、物語と平行して歌を何曲も披露すると言う映画。 メンバーが身に着けている宝石を狙うものに襲われるというストーリーで、ビートルズの『HELP! 四人はアイドル』(1965)と似てるのは、まあやっぱりそういうのはしょうがないということで。 |
ザ・スパイダースの大騒動 | ★ | 【監督】森永健次郎【出演】田辺昭知、堺正章、井上順、かまやつひろし、加藤充、大野克夫、井上孝之、奈美悦子、川口恒、堺駿二、青空はるお、青空あきお、獅子てんや、瀬戸わんや、楠トシエ、他 | 1968年 日(日活)、カラー、1:2.35、87分、日本語 | 2009/02/03(火) | WOWOW | 感覚系、お笑い系 | 2009/02/03 |
ストーリー | 感想 |
川口恒の運転していた車が奈美悦子の車に追突し、その反動でさらにその前のスパイダースの車に追突したことで、堺正章と井上順が奈美目当てに彼女の入院先に通いつめた。 奈美と話すのは専ら順で、マチャアキは口下手で何も言えず、彼女との妄想に浸るだけだった。 順も含めたメンバーたちがマチャアキの恋の行方を見守ったが、奈美が川口と婚約したことを知り、彼女の口からマチャアキにショックを受けないように婚約を知らせるように頼んだ。 マチャアキは以前より少し自分に自信が持てるようになって、失恋をのりこえていった。 |
例によって、物語と平行して歌を何曲も披露すると言う映画。 前2作と比べて、マチャアキと順の出演の比率が増えたが、演出の快調さが足りない。 病院の掃除夫役で堺俊二がかなり目立つ出演。 |
ストーリー | 感想 |
海外の演奏ツアーから帰ってきたスパイダースのメンバーは、帰国するなり銀座でガールハントをするが、誰も成果なし。 テレビの歌番組で松原智恵子が、「私のところに一直線に来てくれた人の恋人になる」と言ったのを聞いて、彼らは他人の家の中や屋根の上などを通って、横浜から松原の家がある世田谷を目指す。 しかし、松原は自分のことを好きなのに告白してくれないバンドメンバーの山内賢の煮え切らない態度を直すために彼に対して言ったのだった。 松原の隣の隣に住む山内は、メンバーたちの助けを借りて松原の家を目指すが、通り道になる間の家の内田朝雄に阻まれて思うように出来ない。 スパイダースたちは謎の行動を取る若者たちとして世間の評判になり、松原のテレビを見ていて理由に感づいた者の中には、同じように松原目当てに彼女の家を目指すものも現れた。 スパイダースが松原の家に近づいてきたのを見た山内は、彼らともみ合いながら1番で松原の家にたどり着くことが出来、負けたスパイダースたちはあっさりとそのまま直進して、地球を一周して横浜に帰ろうとした。 |
スパイダースの歌を織り交ぜて面白おかしい映画を目指したと思われる。 その基本を押さえつつ、一直線に歩くというストーリーの判りやすさと画づらの面白さ、それに、ガールハントの延長として軽い気持ちで始めたことが、いつの間にか一直線に歩くこと自体が第一目的になっているという当事者のいい加減さと、「彼らの真っ直ぐな生き様は、最近の若者とは違って頼もしい」などと見当違いな盛り上がりをする世間とのギャップの対比も面白い。 |
竜馬暗殺 | ★★ | 【監督】黒木和雄【出演】原田芳雄、石橋蓮司、中川梨絵、松田優作、桃井かおり、粟津號、野呂圭介、田村亮、山谷初男、平泉征、他 | 1974年 日、モノクロ、1:1.33、118分、日本語 | 2009/01/31(土) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系 | 2009/02/02 |
幕府側と尊皇派の両方に追われる坂本竜馬が、京都の土蔵に身を隠すが、やがて殺されてしまうまでの物語。 竜馬はしたたかな政略家と言うよりは夢想家っぽかったりするなど、登場人物たちは全体的に偉人然とした描かれ方ではなくて、身なりや行動がだらしなくて、悩める普通の人間として描かれる。 幕末の時代劇というよりは、70年代に流行った青春映画っぽい。 |
事故にあって以来前日の記憶が無くなってしまうようになった大学生(佐藤隆太)が、学生プロレスに熱中することで障害の痛手を克服しようという話。 いわゆるスポ根モノだが、その克服する対象が記憶障害で、その記憶障害というのが、状況が特殊すぎて普遍性を感じられないので、あくまでも映画を成立ための設定だけにしか思えないというのがなんとも…。 なんで、もっと観ている人が自分に重ねられやすいような普通の設定にして、普通にいい映画にしようとしないんだろう? それに、記憶障害が映画の重要ポイントだとしたら、何故それを映画が始まってからしばらくの間伏せた後にネタばらしするような、ウケ狙いのネタになんかするんだろう? 黒澤明の『生きる』は、主人公が末期がんだということに気づいたという設定に意味があるから、がんであることをファーストシーンで示しているのであって、中盤までがんを伏せていきなり死んでドッキリ!なんて映画だったら、前半は主人公が意味不明の行動することになってしまって映画が台無しになってしまう。 『ガチ☆ボーイ』は、まさにそんなことをしてしまっている。 |
誰かに見られてる (原題:"Someone to Watch over Me"、意味:「私を見張る誰か」) | ★★ | 【監督&製作総指揮】リドリー・スコット【出演】トム・ベレンジャー、ミミ・ロジャース、他 | 1987年 米、カラー、1:1.85、ドルビーステレオ、105分、英語(日本語字幕) | 2009/01/24(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/01/24 |
ストーリー | 感想 |
殺人事件を目撃した富豪の女クレア(ミミ・ロジャース)を口封じのために殺そうと狙っている犯人ヴェンザ(アントニアス・カツラス)から護るために、ニューヨーク市警の刑事マイク(トム・ベレンジャー)たちが家に張り込んで警備することになったが、そのうちマイクとクレアが恋に落ちる。 このことが、最近夫婦仲が悪いマイクの妻エリー(ロレイン・ブラッコ)に知れて問い詰められるが、マイクはエリーを愛しつつもクレアのことが捨てられないと答えた。 ヴェンザがエリーと1人息子が家に居るところを人質にとって、マイクにクレアを連れてくるように脅したが、マイクとヴェンザが口論になったすきにエリーが銃でヴェンザを撃った。 マイクは家族たちと抱き合い、その姿を見たクレアがその場を離れた。 |
奥さんに浮気を問い詰められたら、嘘でも別れるといってその場を逃れれば良さそうなところ、浮気相手に未練がある表情を妻に見せてしまうという、あまり見たことのない展開が面白い。 |
疾走 | ★★☆ | 【監督&脚本】SABU【原作】重松清 | 2005年 日(角川)、カラー、1:1.85、124分、日本語 | 2009/01/24(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系、感覚系 | 2009/01/24 |
ストーリー | 感想 |
ある街は"浜"と干拓地の"沖"に別れていて、浜の人たちは沖のことを嫌っていた。 浜に住むシュウジ(手越祐也)は、子供の頃に沖に住むヤクザの鬼ケン(寺島進)とその女アカネ(中谷美紀)に親切にされるが、まもなく鬼ケンは殺された。 中学生になったシュウジは、人殺しだったとの噂の神父(豊川悦司)がいる沖の教会のクリスマスパーティに行き、そこで両親(鈴木一真、矢沢心)が心中して学校でも生徒にも先生(平泉成)にも迎合しない同級生のエリ(韓英恵)と親しくなる。 優等生だったシュウジの兄のシュウイチ(柄本祐)がカンニングが見つかって停学になってから自暴自棄になり、シュウジを連れて教会に乗り込んで神父に殺人のことを問い詰めると、彼が弟(加瀬亮)の恋人を寝取ったために、弟が恋人一家を皆殺しにして死刑囚であることを打ち明けた。 シュウイチが連続放火をしていることが明らかになって、シュウジは学校でもののしられるようになり、両親(菅田俊、高橋ひとみ)もそれぞれ家からいなくなった。 沖にレジャー施設ができることで、エリを含めた沖の生徒たちが立ち退きで転校することになり、街に居づらくなったシュウジは、神父について大阪に行き、一緒に神父の弟と面会し、兄の罪をかぶっている境遇の共通点を指摘された。 シュウジは大阪にいたアカネと再会したが、アカネの男のヤクザの新田(大杉漣)によってホテルに拉致され、同じように拘束されている家出娘のミユキ(永井流奈)を助けるために新田を殺そうとし、アカネがとどめをさした。 アカネが警察に通報して、逃げたシュウジはミユキとはなればなれになって、東京に行ってアカネと再会し、彼女を引き取って肉体関係を迫ってきた叔父(田山涼成)をシュウジが刺して、2人は街に戻ってきたが、警官に囲まれてシュウジは発砲されて死ぬ。 数年後、神父が住む元教会には、エリと、アカネとシュウジの間に出来た息子がいて、アカネの出所の日を迎えていた。 |
まず、ロケ地の地方の風景が素晴しい。 それも含めて、全体的には、雰囲気で観る者を引き付けているということでOKだけど、ストーリーが盛りだくさんな割には、そこから具体的に何か迫るものは無かった。 例えば、神父に象徴される宗教的な要素は、どんな意味があったのか?とか。 |
初雪の恋 ヴァージン・スノー | ★ | 【監督】ハン・サンヒ【出演】イ・ジュンギ、宮崎あおい、塩谷瞬、森田彩華、柳生みゆ、乙葉、余貴美子、他 | 2006年、日(角川)=韓国、カラー、1:1.85、101分、日本語&韓国語(日本語字幕) | 2009/01/24(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/01/24 |
韓国から京都の高校に転校してきたイ・ジュンギが、宮崎あおいにひと目ぼれして二人の恋が芽生えるという話。 韓国人監督による演出が、コミカルにテンポ良く進んでいく韓流スタイルで、よく言えばコッテリ作り込まれているが、悪く言えばわざとらしくて表層的。 イ・ジュンギはそんなスタイルにはまっているが、間合いを取って深い芝居をするあおいちゃんは表層スタイルになじまない。 で、結論は、どこまでも表層的な映画は観ているうちに物足りなくなって、二人の恋の行方なんかどうでもいいと思うようになってしまった。 やっぱり恋愛モノは、喜怒哀楽が単純な描き方より、しっとり深みを感じさせるスタイルの方がいいんじゃないの? |
明日への遺言 (あしたへのゆいごん) | ★★ | 【監督&脚本】小泉堯史、他【原作】 大岡昇平「ながい旅」【出演】藤田まこと、富司純子、西村雅彦、蒼井優、田中好子、頭師佳孝、竹之内豊、他 | 2007年、日、カラー、1:1.85、110分、 | 2009/01/22(木) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/01/23 2009/01/24更新 |
藤田まこと演じる岡田中将は、撃墜した爆撃機から脱出した米兵の捕虜たちを処刑した件の戦争犯罪での被告人たちを救うために、全責任は命令した自分にあると主張する。 しかし、戦争裁判の一番の争点は、条約で禁止されている無差別爆撃による民間人の殺戮も米軍による戦争犯罪で、裁判無しの捕虜の処刑は略式の手続きで戦争犯罪人を裁いただけだから無罪か?ということで、罪を1人でかぶることとはちょっと違う。 そして、そんな裁判のシリアスなやりとりと平行して、傍聴席の妻や娘の結婚と孫の誕生に目を細める中将といった戦争とは無縁のほほえましいやりとりがあったりする。 だから、全体的にまとまりの無い印象を受けた。 何が悪いというのか?何が間違っているのか?もしくは戦争中は間違いをせざるをえない状態だから悪くないのか?このことについて考えることを助けるような映画になってなくて、一番感じたのは、アメリカの戦争犯罪という他者の落ち度を訴えるなら、自分をかばわずに自分の落ち度でも率直に証言しなければならないという立場をとり、裁く側のアメリカ人の心も動かした中将の真摯な生き様だった。 |
遥かなる山の呼び声 | ★★ | 【監督】山田洋次【脚本】山田洋次、朝間義隆【出演】高倉健、倍賞千恵子、吉岡秀隆、ハナ肇、武田鉄矢、木の葉のこ、 鈴木瑞穂、杉山とく子、畑正憲、渥美清、他 | 1980年、日(松竹)、カラー、1:2.35、124分 | 2009/01/19(月) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/01/21 |
タイトルが『シェーン』(★★★☆)のメインテーマの曲名と同じであるように、流れ者が牧場に住み着いてそこの家族と触れ合うというストーリーが『シェーン』をなぞっている。 しかし、結果は未亡人の倍賞千恵子が、寂しさを露にして高倉健を求めてくること以外、特筆すべきことはない。 ついでに、山田洋次監督は普段は剣の使い手であることを隠している主人公が、最後に決闘をするという『たそがれ清兵衛』(★★★☆)でも『シェーン』のストーリーをなぞっている。 |
夏時間の大人たち | ★★★ | 【監督&脚本】中島哲也【出演】岸部一徳、中村久美、根津甚八、石田えり、余貴美子、藤井かほり、他 | 1997年、日、カラー、1:1.85 | 2009/01/18(日) | HDDレコーダー(テレビ東京) | ドラマ系 | 2009/01/21 |
映画の作り手たちの中で、とてつもない優しさにあふれる映画を作っていた人といえば市川準だったが、中島哲也監督も彼に匹敵すると言っていい。 『嫌われ松子の一生』(★★★☆)も『パコと魔法の絵本』(★★★)も、いわゆるダメ人間たちにスポットを当てることで、ダメ人間は本当に何もかもダメで負け組なのかといえば決してそんなことはない、勝ち組負け組みたいに人間に対して簡単にレッテルを貼るようなことなどできないことを描いていた。 この彼の劇場映画デビュー作でも、小学生の主人公が逆上がりができないことがメインのエピソードになっていて、「逆上がりができないままで大人になったら、万事何をやろうとしても成し遂げられないダメ人間になる」という理由で先生から逆上がりの特訓を命ぜられる。 このような「決め付け人間」たちの主張に対し、「逆上がりって、人生でそんなに大事?」、「逆上がりが出来ない5人全員で協力して全員出来るようにならければならないという連帯責任って、いったい何?」といった疑問が自然にわいてくる。 この映画は、逆上がりも含めた様々なエピソードで、他人に対してのエライとかダメだとかの評価って全然当てにならないことや、他人を負け組呼ばわりすることって、「逆上がり出来ない奴は全部ダメ」などと恫喝するのに便利だったり、自分より下の人間を作り出すことで自分のアイデンティテイを保っているような、むしろこっちの人たちの方が真のダメ人間じゃないのか?それに比べれば、不器用ゆえに結果を出せない人たちの方が他人を傷つけないだけマシなんじゃないのか?と思わされる。 彼は、デビュー作から「ダメ人間たちへの応援映画」の作り手だったのだと思う。 |
危険がいっぱい(原題:【仏語】"Les Felins (The Love Cage)"、意味:ネコ科) | ★★ | 【監督&脚本】ルネ・クレマン、他【撮影】アンリ・ドカエ | 1964年 仏、モノクロ、1:2.35、93分、フランス語(日本語字幕) | 2009/01/16(金) | HDDレコーダー(NHK-BS2) | ドラマ系、感覚系 | 2009/01/21 |
ストーリー | 感想 |
ニューヨークでボスの女に手を出したアラン・ドロンに対し、彼のいるフランスに追っ手が差し向けられ、捕まったドロンはあわや殺されるところで海に飛び込んで逃げ、教会に匿われた。 そこに、食事の提供を無償で行っている女(ローラ・オルブライト)とその姪(ジェーン・フォンダ)が何故かドロンを運転手として雇い、彼女たちの屋敷に住むことになった。 実は、その屋敷の隠し部屋に南米への高飛びの機会を待っている男がオルブライトに匿われていて、ドロンは彼の嫉妬対象として雇われたのだった。 ドロンがパリに逃げようとしたので、フォンダがドロンを誘惑して彼を引きとめようとした。 ドロンが秘密を探り当てて、匿われていた男が逆襲してきたところに、ドロンの追っ手が屋敷に現れ、男と撃ち合いになって彼とオルブライトは撃ち殺された。 2人の遺体を始末しようとしたドロンとフォンダだったが、トランクの中の遺体を見つけられてドロンが殺人犯の疑いをかけられ、かれは屋敷の隠し部屋でフォンダに匿われ続けることになった。 |
ルネ・クレマン監督&アラン・ドロンのコンビの『太陽がいっぱい』(★★★★)にちなんだ邦題。 『太陽がいっぱい』ほどではないにしても、凝ったストーリーと、アメリカ映画とは違う切れ味のあるシャレた映像が見どころ。 |
製作当時の1984年に、高額ギャラの双璧だった2人のダブル主演ということで話題になった作品だが、それ以外には何の注目点も無い、ありきたりな展開の映画。 |
エピソードや演出が、ほとんど凡庸。 人の死が悲しいのは、その人の生前があってのことで、日本人だけで1日何千人もの死を全部悲しんでいるわけではない。 映画の中の架空の死なら尚更、その人の生前を作り上げなけければならないはずだが、この映画でそれに値するのは恋のときめきぐらいで、それすらも麻由子ちゃん相手にあの程度?と言いたくなるほど、万事薄味でコクの無い映画。 |
ピンチクリフ グランプリ(原題:"Flaklypa Grand Prix / The Pinchcliffe Grand Prix"、意味:ピンチクリフ村の車が出場した自動車競走大会) | ★★ | 【監督&脚本&製作&撮影&編集&スクリプター】イボ・カプリノ、他 | 1975年 ノルウェー、カラー、1:1.66、88分、ノルウェー語、公式サイト | 2009/01/04(日) | NHK-BS2 | アニメーション | 2009/01/05 |
ストーリー | 感想 |
周りが断崖絶壁の丘の上にあるピンチクリフ村に住むフェルゲンは発明家だった。 彼の助手だったルドルフが、フェルゲンの発明した燃料噴出装置の設計図を元に無断でレースカーを開発して勝利を重ねていたのをテレビで見て、フェルゲンたちも対抗してグランプリに出場することを決意し、彼と同居しているアヒルのソランが、スポンサーとしてアラブの石油会社の社長を見つけてきて、車を完成させた。 ルドルフの妨害を受けながらも、フェルゲンの車は性能の高さで逆転勝利をつかみ、次の日からフェルゲンたちは以前どおりの村ののどかな生活を送った。 |
全編人形アニメーションによる映画で、クライマックスのスピード感あふれるレースシーンが見どころなのだが、そうなるとこの映画の良さを語ることが即ち技術論になってしまい、まるで実験映画を観ているような気分になってしまうことが、何とかならないかなぁ?と思ってしまう。 |
クィンテット(原題:"Quintet"、意味:5つ揃い、劇中で行われる映画オリジナルのボードゲームの名前) | ★☆ | 【監督&脚本&製作&原案】ロバート・アルトマン | 1979年 米、カラー、1:1.85、118分 | 2009/01/03(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/01/03 |
ストーリー | 感想 |
未来。エセックス(ポール・ニューマン)とヴィヴィア(ブリジット・フォッセー)は、ほとんどの生物が死に絶えた氷原を狩をしながら暮らしていて、10年ぶりに"シティ"に来て兄の家を訪ねた。 シティでは路上に死体が転がっていて、人々は働かずに"ゲーム"を生活の糧にしていて、若い世代が存在しないので、妊婦のヴィヴィアを珍しがった。 エセックスが外出しているとき、ヴィヴィアたちが家で5人で行うボードゲーム"クィンテット"をしているところに爆弾が投げ込まれて全員爆死した。 爆破の真相がゲームだと知ったエセックスは、カジノを訪ねて参加予定だった兄に成りすましてトーナメントに参加した。 審判員のグリゴール(フェルナンド・レイ)は、エセックスが偽者だと気づいていたが、参加意図を探るためにそのまま参加させた。 ゲーム終了後、参加者たちは次々と殺されていくが、実はボードゲーム上の戦いのように、実際の人間が殺しあうゲームが行われていたのだった。 ゲームの実態に気づいたエセックスは、親しくなった対戦相手のアンブロシア(ビビ・アンデショーン)を殺して1人だけ生き残り、アンブロシアの亡骸を抱えてグリゴールのところに行くと、グリゴールは勝者への見返りは無く、人々は死のスリルを得るために参加しているのだと語った。 エセックスは、ゲームに参加せずに傍観者としてゲームを楽しむグリゴールに対して、アンブロシアの遺体を燃やして死の匂いを嗅がせ、シティから去って氷原へと1人旅立った。 |
シティの人々は、近いうちに人類が滅ぶから何もしないのか、或いは、何もしなくなったから人類が滅びようとしているのか、どちらか判らないが、とにかく生にしがみつこうとは思っていない。 ストーリー展開が遅くて、2時間の尺にしては中身が無い。 そんな中で一番のポイントと思われるのは、無気力な状況にいる人たちの会話や、部屋の壁面にある往年の世界の絵や写真なのだが、その意味を探ろうという意欲より、「解らなくてもいいや」という思いの方が勝ってしまっているという、つまりはあまりそそられない映画。 |
ハッド(原題:"Hud"、意味:主人公の役名) | ★☆ | 【監督&製作】マーティン・リット | 1962年 米、モノクロ、1:2.35、108分 | 2009/01/03(土) | HDDレコーダー(WOWOW) | ドラマ系 | 2009/01/03 |
ストーリー | 感想 |
家族できりもりしているテキサスの牧場のオーナーのホーマー(メルヴィン・ダグラス)の息子ハッド(ポール・ニューマン)は、34歳の独身で、街の複数の人妻と付き合って寝泊りしたりしていた。 牧場の死んだ牛に口蹄疫の疑いがかかり、法律にしたがって届け出たホーマーに対し、ハッドは正直者がバカを見る世の中だから検査結果が出る前に売った方がいいと言って対立した。 なにかと2人が反発するようになった原因は、ハッドが酒酔い運転をしていた車に乗っていた兄が事故で死んだからだとハッドは思っていたが、ある日ホーマーからそれ以前からハッドの自分勝手さを嫌っていたと言われた。 それに対しハッドは、体が弱ってきた父を引退させて法的に自分が牧場を経営する考えを口にした。 、ある夜、酒に酔ったハッドは住み込み家政婦のアルマ(パトリシア・ニール)を襲おうとし、ハッドとホーマーの中立の立場の17歳の兄の息子のロン(ブランドン・デ・ワイルド)に止められた。 口蹄疫であることが確定して牧場の全部の牛が射殺され、家を出ることになったアルマをバス停まで送った帰り道、ハッドろロンは落馬したホーマーを見つけたが、まもなく彼は死んだ。 ロンはハッドを憎んで牧場を出て行き、1人ハッドだけが残された。 |
親子の愛憎というよりは単なる性格の不一致、世代交代というよりは、単に災難に見舞われただけ、てな感じで、肩透かしをくらった。 |
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