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Joy From Playing the Koto
筝・琴

筝曲鑑賞記 2003 2004

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2004
 筝曲 鑑賞記 2003・2004   
        

6月26日
(土)
高橋佳子 筝・三絃リサイタル (紀尾井ホール 小ホール)

1.波 〜きらめき〜 高橋佳子作曲
     筝T…高橋佳子  筝U…渡辺優子  十七絃…黒川真理
2.三つの断章 中能島欣一作曲
     筝…高橋佳子
3.水の変態 宮城道雄作曲
     筝 本手…高橋佳子  筝 替手…渡辺優子
4.名所土産 玉塚検校 芦垣美穂 替手手付け
     三絃 替手…芦垣美穂  三絃 本手…高橋佳子
5.尾上の松 作者不詳 宮城道雄 筝手付け
     筝…高橋佳子  三絃…芦垣美穂  尺八…徳丸十盟

作曲の「波」は、沖縄の海で、特徴的な旋律の明るい曲。 「水の変態」は、歌がいまいちで、CDで聴き慣れた「雨の手事」も、 いつの間にか終わっていて、??? 三絃の芦垣さんの歌は、声に艶があり、聴かせどころ、歌い方が素晴らしかった。 筝曲の歌は、男性が高い声を出したり、女性が低い声を出したり、譜のままの音で 歌うのが、ヘンな音楽だと感じていましたが、いいものはいい、ということがわかる演奏でした。
古曲のリサイタルは、現代の聴衆と周波数が合わなくて大変だと思うが、 是非、続けていただきたい。やはり、古曲・新曲ミックスが、聴きやすい。


5月17日
(月)
ウィーン・ゾリステン・トリオ と 仲間たち (トッパンホール)

  *ヴァイオリン…ティボール・コヴァーチ
  *チェロ… フランツ・バルトロメイ
  *クラリネット…エルンスト・オッテンザマー
  *ピアノ…西山郁子  *フルート…平山 恵
  *筝…大畠博子    *十七絃…関野由美子

テレマン: 組曲 ト短調 TWV43:G2(ヴァイオリン・チェロ・フルート・クラリネット・ピアノ)
ハイドン: ロンドン三重奏曲第1番 ハ単調(フルート・ヴァイオリン・チェロ)
ベートーヴェン: ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調 作品11 「街の歌」
            (クラリネット・チェロ・ピアノ)
宮田耕八郎: 草笛の頃(ヴァイオリン・筝・十七絃)
ヴェルディ: ドップラー編曲:リゴレット幻想曲(フルート・クラリネット・ピアノ)
ロッシーニ: カステルヌーボー・テデスコ編曲(ハイフェッツ版):フィガロ (セヴィラより)
            (ヴァイオリン・ピアノ)
ブルッフ: コル・ニドライ 作品47(チェロ・ピアノ)
ハルヴォルセン: パッサカリア(ヴァイオリン・チェロ)
ブラームス: ハンガリー舞曲 第5番(ヴァイオリン・チェロ・フルート・クラリネット・ピアノ)
        アンコール 第6番( 〃 )

■コル・ニドライ 『神の日』
14世紀の中ごろ、イベリア半島のスペイン、ポルトガルには多くのユダヤ人が居留していた。 キリスト教に改宗しない人々に対し激しい迫害と、投獄が行なわれた。 敬虔なユダヤ教徒は、改宗した罪を悔い、ひたすら神に許しを請い、贖いの日を求め、 本来の信仰に帰ることを誓った。このような心底からの懺悔の思いを神の前に朗詠してい るうちに、いつしかメロデイがつき、祈りの歌となった。 19世紀の作曲家マックス・ブルッフがこの原曲のメロデイに動かされ、芸術的な内容に作曲した。 「ヘブライの旋律」という副題がついていて、タイトルはヘブライ語で「神の日」。 原曲はチェロとオーケストラ。文豪トルストイが、ヘブライ音楽の最高峰と絶賛。
■バッサカリア (シャコンヌ)
主題の音が低音部で終始反復されていく、バロック時代のゆっくりした変奏曲のこと。 スペイン起源の舞曲。 ハルヴォルセンはグリークの影響が強いノルウェーの国民主義作曲家・指揮者・バイオリニスト。 ヘンデルのチェンバロ組曲第7番ト短調の終楽章を編曲したもの。

トリオの芝居気と間近の迫力がよかった。チェロが素晴らしい。繊細な音から、 雷のように轟くまでの幅に圧倒された。音楽を奏でる気持ち、というようなものが溢れて、 共感できる。それが芝居気であって、日本人はえてして、解説や語りで芝居をしたがるが、 本職の部分でしていただきたいものだ。
筝と十七絃は、大変正確なテクニック。響きがはっきりしていて、ボリュームもすごい。 バイオリンは踊っていたが、お琴は、そういうのは無理なのかしらん。
『街の歌』、ベートーベンと STEINWAY & SON と揃ったにしては、??な感じ。 当時、クラリネット奏者の作曲依頼により、オペラ「海賊」の三重唱がモチーフで、 ベートーベン自身も嫌っていた部分なんですって。ご愁傷様です。
一曲目のテレマンのは、それぞれがばらばらに聴こえて困った。最前列の席では仕方ないかも、 とあきらめ気分だったが、だんだん合ってきた。耳が慣れたのでしょうか。
リゴレットやフィガロ(というのは、セヴィリアの理髪師であることが決まり?)は、 やはり、ヴォーカルでしょう。ところで、ピアノの方は、靴を忘れてきてしまったのかしらん…。


1月31日
(土)
花に舞い奏でる (練馬光が丘IMAホール)
筝曲 越天楽今様変奏
      三十絃楽器と箏の合奏  山田流 尾崎秀美芳

三十絃は、オーケストラと合奏できるように開発された筝で、日本に数台しかないそうです。 音域が広いので、洋楽に合わせられるということのようだ。確かに、野太い音色なので、 万葉や古今の歌には合いそうもない。NHK教育TVで男性奏者の演奏を見る機会があったが、 その時と同じに、絃を手の面で、かなり強く叩く奏法があった。あまり必然性が感じられないのだが、 音色の数を増やすということなのだろうか。
筝の音色の持ち味を、いろいろな所に生かすのは面白いが、大型化するほど ハープに似てきて、存在の意味がなくなるような気がする。
お仕舞に、筝の手が入るのは、どうもぱっとしなかった。 元々節があるところに、筝の音の節を合わせられなかった感じ。 謡なしに、筝だけで舞うとよかったと思うが、それを「仕舞」というかどうかは疑問。 試みとして評価し、将来の発展に期待しよう。別な芸能が生まれるかも…。

国分寺文化祭参加
第36回 三曲演奏会
国分寺三曲協会
2003.11.06


2003
 筝曲 鑑賞記 2003   
  
11.08
(土)
12:00〜












三曲演奏会  国分寺文化祭参加   国分寺市立 いずみホール

都踊 (宮城道雄作曲)…都踊を見て作曲
   筝・高音3 低音7 三絃7 尺八2

新暁 (宮城道雄作曲 島崎藤村詩)
   筝・高音5 低音3 尺八3 合唱(男声合唱団「ぶんだば」)
 伝統的琴歌のように高くなく、西洋の男声音域の合唱だったので、 春の暖かい大地に揺れる草のような、穏やかな曲となった。筝の強弱ある表現がよかった。

白樺の林にて (野村正峰作曲)…若者がたわむれているところ
   第一筝3 ニ筝2 尺八2
 ロシア民謡的旋律

住吉( 山田検校作曲)…和歌の神への賛歌(行平と松風など)
   筝3 三絃1 尺八1

Kのための斗為巾 (沢井忠夫作曲)…Kは作者のお嬢さん
   筝6 十七絃1             コロリンを多用した曲
 音の選び方がきれい。強弱の変化がきれい。

筝協奏曲 (長沢勝俊作曲)…独奏と掛合いの妙
   ソロ(大畠博子 恩田順子) 1筝2 2筝2 3筝2 十七絃3
 パートがたくさんあり、独奏部分が別にあるのが面白い。 両手を使う演奏部分が、音が豊かにふくらんで、きれいだった。

一管風月 (山本隆治作曲)…3楽章の組曲
   尺八(1尺6寸管)2 (1尺8寸管)2 (2尺3寸管)2
 朝→竹の余韻→速いリズムの宴、という曲趣で、3種類の尺八の音色の違いがおもしろかった。

笹の露 (菊岡検校作曲 八重崎検校編曲)…笹=酒をきこしめせ
   筝4 三絃4 尺八1
 歌が上手で、しっかりと正確な演奏。

氷の雫音しずね (水川寿也作曲)
   1筝17 2筝12 17絃6 三絃4 尺八15
 ピチカートで始まり、ぴりぴりした緊張感の終り。

6.19
(木)
7:00〜
牛腸征司 作品展   こまばエミナース(井の頭線駒場東大前)
目黒区大橋2-19-5  03-3485-1411

トロンボーン四重奏
ホルンとピアノの為の二重奏
尺八・筝とピアノの為の三重奏 「忍草」
メゾ・ソプラノと筝・十七弦の為の歌曲集
     「春の大和路」 俳句 佐藤信子
ソプラノと尺八・二面の筝・十七弦の為の歌曲集
     「花がたみ」 作詞 三好達治

  トロンボーン…小田桐寛之  井口有里  羽吹明  井上順平
  ホルン…笠松長久          尺八…藤原道山
  筝…高畑美登子  宇野文恵   十七弦…宮本幸子
  メゾ・ソプラノ…内藤明美      ソプラノ…三縄みどり
  ピアノ…牛腸征司

筝の演奏は、古典的な響きで、一音一音はっきりして、装飾的なものが少なかった。 俳句や詩の歌が重々しかった。なんとなく、マーラーの雰囲気。 ホルンの音色が、ユーモラスで面白い。


5.03
(土)
倭の音  能と17弦のコラボレーション   
  西荻地区区民センター (西荻まちメディア2003 イベント)

始めの1時間が、装束をつけての金春流の「羽衣」の序ノ舞と、 井上貴覚さんによる、初心者体験ワークショップ。次の1時間が、筝の演奏でした。 スタンドに置いた各筝の裏の穴にそれぞれマイクが向けられていました。

「めぐりめぐる」 沢井忠夫作曲
      演奏…磯貝真紀(17弦) 大野雅子(17弦)
「千鳥の曲」 吉沢検校作曲
      演奏…カーティス・パターソン(本手) 磯貝真紀(替手)
「さくらさくら」 沢井忠夫編曲
      演奏…
「氷華」 沢井比可流作曲
      演奏…パターソン  大野(17弦)  磯貝(17弦)

目をつむって音を聴くと、迫力もあり、技術も見事でおもしろい演奏だ。 しかし、伝統の音か、となると判断に困る。 畳から離れた段階で、伝統音楽のある部分は滅びたと思う。『かそけき』風情というような音。 現代倭の国の、これからの倭の音には、倭の記憶はじゃまなのかもしれない。 お筝は、圧倒的な音の数の道を突き進まなくては、生き残れないのだろうか。 亜流ハープになってしまわないだろうか。

4.26
(土)
杵屋五司郎 三味線 トークライブ   青山カワイ2F
  三味線…杵屋五司郎
  三味線 助演…守 啓伊子、蓑田弘大  ピアノ…伊藤怜美

お話も上手で、声もよく、糸の振動が直に伝わるような距離がよかった。 「二上り」と「三下り」の曲想の違いと、『裏を拾う』技の説明が勉強になった。 洋楽と違う、音の多さの理由がわかったような気がする。
「吾妻八景」「都風流」の感じは、いつの間にか意識に蓄積されていて、柳の影がゆれる川面が浮かぶ。 そして、テーマソグという言葉に、なるほどという感じの「勧進帳の終りの5分」。迫力と変化に富んでよかった。
「JAPAN」と「呼応」は、強い弾き方が強調され、ピアノも、叩くようで、あまり精神性は感じられなかったが、 駒を替え、撥を象牙から木製にしてから、糸と撥のアタリの激しさに、きな臭い空気まで漂ってきて驚いた。 さすがライブ、大舞台とは違う面白さ。

2003
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