映画の感想、スクリーン以外で鑑賞 2006年 2007/09/16 更新




採点基準
  ★★★★ :人類の宝
  ★★★☆ :絶対必見
  ★★★ :観るべき映画
  ★★☆ :観ても良い
  ★★ :中間
  ★☆ :観なくてもいい
  ★ :観る価値はほとんどない
  ☆ :作者もろともこの世から消えてなくなれ
  なし :採点不能

ストーリーは、基本的にすべて書いています。当然、ネタバレの可能性あり。

文章などの内容には、時々変更や追加が入ることがあります。

タイトル・邦題 (原題) 採点 スタッフ/キャスト 製作年/国/カラー/縦横比 視聴日 メディア 作品の分類 更新日
夜の蝶 ★☆ 監督:吉村公三郎 原作:川口松太郎、撮影:宮川一夫 1957 日(大映) カラー 1:133 2006/12/07(木) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 2006/12/09
ストーリー 感想
 銀座のバーのママの京マチ子は、京都のバーの元芸姑のママの山本冨士子が銀座にも店を出すと聞いたが、山本は京が7年前に大阪にいたときに元夫が京都に囲っていた愛人で、京は山本に対抗心を抱いた。
 戦争で指を怪我して音楽家になる夢を断念して不本意ながら銀座でバーの女給の周旋をしている船越英二は、山本から店の女給を集めることを依頼された。
 そのころ、大阪のデパートの社長の山村聡が新宿駅前に支店を出そうとして、京の店で国会議員たちに働きかけていたが、彼は山本のパトロンで山本に資金を提供していて、その山本は薬品の研究家の芥川比呂志に恋をして彼との結婚を望み、彼に研究資金を提供していた。
 山村が部下の小澤栄太郎に裏切られて東京のデパートが新宿に出店することになり、山本が離れていった山村は京と親しくなり、食事に行く途中に2人で山本の店に行って見せつけた。
 山本は芥川の下宿に行くと、そこにいた研究員の女性と結婚すると言われ、店に戻って飲んだくれているところに京から今夜は山村と一緒だと挑発する電話がかかり、山本は2人の車を追って体当たりをし、2台の車は橋から落ちて山村だけが生き残った。
 京の葬式が終わり、新しい生活に向けてさっさと気持ちを切り替える女たちを、船越は感慨深げに見るのだった。
 ストーリーを見れば2大女優による激しい女の戦いの映画のようにみえるが、実際にはそんなに激しいシーンはほとんどなく、正直もの足りない印象。
 他にこれといった見どころもないし。
シンデレラ (原題:Cinderella) ★★ 1950 米 カラー 1:1.33 75分 2006/12/04(月) HDDレコーダー(WOWOW) アニメ 2006/12/05
感想
 シンデレラの父が継母と再婚して、父が死んで継母たちにこき使われるようになったところまで足早にナレーションで紹介して映画が始まり、そこから妖精が現れて「ビビデバビデブー」と言って魔法でかぼちゃを馬車にするところまでが75分の上映時間の半分以上経った45分ぐらいで、その間の大半がシンデレラの友達のネズミたちと継母の飼い猫とが対決するという、MGMの「トムとジェリー」を参考にしたとしか思えないような内容。(しかも、トムとジェリーに比べてギャグがシャープでない。)
 その後、城の舞踏会で一目ぼれした王子様が引きの画か薄暗い中でキャラもはっきりしないまま5分ほどシンデレラと踊ったりしただけであっという間に12時になり、その後は部屋に閉じ込められたシンデレラにガラスの靴を履かせるために、ネズミたちが鍵を奪い猫の邪魔と戦いながらシンデレラを助け出すという、またしてもトムとジェリーぽい見せ場が続く。
 恋愛シーンは淡白すぎるし映画の大半はトムとジェリーだし、なんか変な展開だなぁ。
 しかも、シンデレラはこき使われているときでも家族に対する態度がやけに居丈高で自信満々で、そのくせ舞踏会に行けなくなったときに急にヨヨと泣き崩れるというギャップにも違和感が。
 ストーリーはおなじみだが、ちょっと違うのはシンデレラが置き忘れた片方の靴を王子の使者が持って家に現れたときに、シンデレラが履こうとして実際には履かないことなのだが、意表を突いてはいるもののネタばらしのタイミングが早すぎてたいして効果的ではない。
空から赤いバラ (原題:Fathom) ★☆ 監督:レスリー・H・マーティンソン 原作:ラリー・フォレスター 1967 米 カラー 1:2.35(1:1.33で放映) 99分 2006/11/14(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、感覚系 2006/11/15
ストーリー 感想
 スカイダイビングの大会でスペインに来たアメリカチームのメンバーのファゾム(ラクエル・ウェルチ)のところに、対スパイ組織のキャンベル大佐(ロナルド・フレイザー)とウェッブ大尉(リチャード・ブリザーズ)が現れ、墜落して海底に沈んだ爆撃機の積荷の水爆の起爆装置「ファイヤードラゴン」を奪おうとしている中国の女スパイとピーター・メリーウェザー(アンソニー・フランシオサ)の家にパラシュートで降りて、仕掛けてある盗聴器を再始動させる任務を依頼した。
 ファゾムが降り立つと2人に見つかったが、ピーターに怪しまれることなく送ってもらって家を去り、再始動にも成功した。
 ファゾムは次にファイヤードラゴンを持っている疑いがある金持ちのセラプキン(クライヴ・レヴィル)のクルーザーに色仕掛けで乗り込んで、火事を起こしてセラプキンが持ち出したかばんを奪って逃げるが、中には入ってなかった。
 彼女の正体がピーターにばれて捕まると、ピーターは香港の探偵で、ファイヤードラゴンとは朝鮮戦争で中国に投降したキャンベルと思われる国連軍の兵士が中国から持ち逃げして爆撃機で密輸して海底に沈んだ黄金の竜で、彼は中国政府の依頼でそれを追っていると彼女に話した。
 ファゾムはピーターに脅され再びセラプキンに接近すると、彼は写真しか持っていなかった。
 ファゾムは、その写真を撮ったのが宿泊先の宿の主人マイク(トム・アダムス)だと気づき、彼に尋ねるとマイクは彼女に隠していたドラゴンを見せたうえで殺そうとしたので逃げて気を失った。
 気づくとそばでマイクが殺されていて、ドラゴンは無くなっていた。
 ファゾムはキャンベルに会うと、彼は起爆装置だと嘘をついていたことを謝って、危険だからと国外に出ることを勧め、彼女が荷造りをしてると、化粧ボックスの中にドラゴンを見つけ、列車に乗り込むとそこにキャンベルの手下、ピーター、セラプキンの3人が現れた。
 ファゾムが窓から化粧ボックスを落とすとピーターがあわてて列車を飛び降りたので、ファゾムはマイクを殺してドラゴンを奪って彼女に運ばせたのはピーターだと思い、別のカバンに入れていたドラゴンを手下に見せて、2人は列車をおりて待ち合わせたキャンベルと共に3人でセスナに乗ってフランスに向かった。
 しかし、その中でキャンベルがピーターが話したとおりの正体を明かし、ファゾムをセスナから落とそうとすると、そこにピーターが操縦するセスナが現れ、撃ち合った結果キャンベルは死んでファゾムは操縦していた手下を機外に追い出して代わって操縦し、ドラゴンを中国の女スパイのところ落として返し、ファゾマとピーターは地上での再会を約束した。
 スパイもので、なおかつ怪しい人たちの中で誰が悪人か判らないという『シャレード』タイプの物語で、先が読めないのは良いのだが、ピーター演じるアンソニー・フランシオサが実はクレジットの順番でラクエルを差し置いて1番目になっている「主役」なので、彼は善玉だろうとい予想がなんとなくつく。
 しかし、問題はラクエル・ウェルチが「重量級」の美人でグラマーなことで、この手のスパイアクション映画は『シャレード』のオードリー・ヘップバーンのように、軽いキャラの方が映画を楽しくすることができたと思う。
 『アラベスク』のソフィア・ローレンあたりもセーフで、ラクエルには軽さが感じられなかった。
空中ぶらんこ (原題:Trapeze) ★★☆ 監督:キャロル・リード 1956 米 カラー 1:2.35 2006/11/11(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系、感覚系 2006/11/12
ストーリー 感想
 パリのサーカスの空中ブランコ乗りのバート・ランカスターは、3回転宙返りに失敗して足を負傷してブランコに乗れなくなり、サーカスの雑用をしていた。
 そこに、彼の昔の仕事仲間の息子のトニー・カーティスがバートに3回宙返りを教わりにアメリカから来て、最初は固辞するがトニーの熱意に押されて自分も受け手として復帰することになった。
 サーカス団をクビになった4人組の曲芸団の1人のジーナ・ロロブリジーダは、仲間を捨てて1人サーカス団に残るためにバートに色仕掛けで近づくが袖にされ、彼女は次にトニーに接近して彼をとりこにし、座長に取り入ってブランコのメンバーに華を添えるために彼女がメンバーに加えられた。
 ニューヨークのサーカス団の団長が見に来て、バートとトニーだけがスカウトされ、はずされたジーナはますますトニーを誘惑し、3回転を完成させるのにジーナが邪魔だと思ったバートは、ジーナは仲間を踏み台にする女だから手を切れトニーに言ったがトニーはバートよりもジーナを選ぶと言った。
 しかし、実はジーナはトニーよりもバートの方に気があり、そのことに気づいたバートは彼女をトニーから引き離すためにジーナに気があるそぶりをした。
 ジーナは団長から、バートをメンバーからはずして新しい受け手とトニーとの3人でサーカスに残るようトニーを説得するように言われていて、サーカスへの残留かバートを取るかの板ばさみに合っていたが、バートがライオンに傷つけられたのをジーナが看病したことで2人は接近し、団長が2人を引き離すためにトニーに告げ口して、トニーはジーナを取り戻すために、彼女にバートはジーナをトニーから引き離すために愛してもいないのに付き合っていると言い、バートはジーナに本当に愛するようになったと言った。
 団長はバートをクビにして新しい受け手で客に見せようとするが、バートが一足早く受け手のブランコに登ってトニーに3回転に挑戦するように言い、トニーは成功させ客席にいたアメリカの団長から正式にスカウトされ、トニーはバートと組むことを条件にアメリカ行きを決めるが、バートは密かにサーカスを出て行き、ジーナがバートに付き添った。
 サーカスを舞台に三角関係の物語を巧みに描いている。
 その関係の要にあたるジーナ・ロロブリジーダの役は、仲間を差し置いて自分だけ目立とうとしたり色仕掛けをしたりなどの「魔性の女」で悪役っぽいのだが、彼女は曲芸の実力で劣るので仕事を失う恐れが恋愛の問題に加わるという深みのある役柄。
 空中ブランコのシーンも、真上から真下から、あらゆる方向からシネマスコープの画面で迫力満点に撮られていて、主役3人がかなりのカットをスタントではなく本人自身で演じている。
陽炎 ★☆ 監督:五社英雄 製作:奥山和由 原作:栗田教行 音楽:佐藤勝 主題曲:聖飢魔U 1991 日(松竹) カラー 1:1.85 110分 2006/10/26(木) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 2006/10/27
ストーリー 感想
 昭和初期の熊本。樋口可南子は幼いときに博打打ちの父がイカサマをして仲代達矢に殺され、料亭を営む男にもらわれて育つが、ヤクザの娘呼ばわりされるのに嫌気がさして家を出て、今では女胴師になっていた。
 彼女は、大阪で養父母の実の子である義弟の本木雅弘と再会したが、彼は実家を白竜やかたせ梨乃らヤクザの一家にのっとられて、大阪で博打に明け暮れていた。
 樋口は熊本に帰り、白竜の元で胴師をしていた仲代と手本引きの賭博で勝負することになった。
 仲代は樋口と会って、樋口の父を殺した事情を話し、そして勝負の賭場で最後まで残った2人の対決で樋口が勝った。
 しかし、熊本に帰った本木が、白竜の店で女郎をしていた恋人の荻野目慶子と密会しているところを殺され、樋口はかたせの料亭にダイナマイトと拳銃を持って乗り込んで立ち回り、仲代も樋口に加勢して一家を殲滅するが、仲代も死んで樋口は仲代を許し愛を確かめるのだった。
 なんか、よその星の違う人類のドラマを観ているかのように、気持ちが入り込めなかった。
 確かに画面に力がこもっているのは感じられるんだけど、それがこっちの気持ちをひきつける引力になっていなかった。
 ていうより、単にもっぱらかたぎの者には縁遠いストーリーのせい?
ガリバーの大冒険 (原題:The 3 Worlds of Gulliver) ★★ 監督:ジャック・シャー 製作:チャールズ・H・シニア 原作:ジョナサン・スウィフト 特撮:レイ・ハリーハウゼン 1960 英 カラー 1:1.33 2006/10/09(月=祝) HDDレコーダー(テレビ東京) ドラマ系 2006/10/11
ストーリー 感想
 医者のガリバーはお金を得るために新大陸への船の船医になり、彼と離れたくなかった恋人のエリザベスがその船に密航する。
 嵐でガリバーが船から落ちて小人の国のリリパットに流れ着いて、小人たちに敵だと疑われて砂浜で縛られるが、巨体を生かした力仕事をして小人たちの信頼を得る。
 リリパットは首相を綱渡りなどの曲芸の上手さで決め、また卵のどちらの端を切るかで争う隣国のブレフスキュとの間で戦争が始まりそうになったので、それを止めるためにガリバーはブレフスキュの港に行って軍艦を奪い取ってきた。
 しかし、今度はリリパットの王がブレフスキュを攻めると言い出し、また国王や軍人たちも平和より名声や誇りが大事でガリバーを邪魔だと思うようになり、ガリバーはボートで逃げ出した。
 彼は巨人の国のブロブディングナグに流れ着いて、女の子のグラムダルクリッチに拾われて王様のところに持っていかれ、そこでガリバーはエリザベスと再会し、グラムダルクリッチが2人の世話をすることになった。
 ガリバーが后の腹痛を治したことで面目を潰された錬金術師が国王に進言してガリバーを魔術使いとして火あぶりにしようとし、グラムダルクリッチが彼らを逃がして、2人が流れ着いたところはイギリスの故郷の町だった。
 ガリバーは、小人や巨人たちの持っていた猜疑心、事実を受け入れない気持ち、自分とは違う他人を認めない気持ちなどは人間の心にもあり、それらが戦争などに不幸を招くことを肝に銘じるのだった。
 感想は以前に観た時のものを参照。
 「ガリバー旅行記」ってひょっとしたら「ロミオとジュリエット」と並んで、平気で勇ましく好戦的なことを言う連中や、他国のことをろくに知らないで自分の思い込みだけで批判するどこぞの国の民族主義のバカに読ませて猛省を促したい小説の双璧かもしれない。
ビヨンド the シー 〜夢見るように歌えば〜 (原題:Beyond the Sea) ★★☆ 監督&脚本&製作:ケヴィン・スペイシー 2004 米=独=英 カラー 1:2.35 118分 2006/09/30(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 2006/10/07
ストーリー 感想
 歌手のボビー・ダーリン(ケヴィン・スペイシー)は、自伝映画の撮影で自分の役を演じながら、自分の過去を思い返していた。
 病弱で長くは生きられないと言われた少年時代に、母(ブレンダ・ブレッシン)の影響で音楽に目覚め、結局成人して音楽家なるためにブロンクスから発ち、やがて芽が出てクラブで歌いテレビにも出演し賞も受賞した。
 ハリウッド映画の出演依頼が来てイタリアへロケで行き、共演者のサンドラ・ディーにアタックして結婚し、フランク・シナトラを超えることを目指して、ツアー公演に出たり映画に出演したりと仕事に励んだが、サンドラはボビーと息子と3人で一緒にいることを望んで衝突する。
 ボビーはサンドラの意見に従って家にいるようになったが、1960年代に入って彼の音楽がうけなくなり、ボビーはベトナム戦争に反対して、ロバート・ケネディを応援する政治活動に没頭し、サンドラとの仲が冷えていった。
 そんなある日、姉が家に訪ねてきて、実は彼女が未成年でボビーを産んだことを聞かされて、ショックでボビーは家を飛び出し、フォークを歌っては客の冷笑を浴びていた。
 ボビーの心臓の病気が再発して手術を受け、彼がサンドラと再開して話し合ううちに、ラスベガスの舞台で昔のように客相手に歌うことを決め、死を覚悟しながら舞台に立ち、客席にいた姉を自分の母親として紹介した。
 そしてボビーの最期が訪れるが、思い出は事実ではなく月光のようなものであるように、彼は彼の歌を望む人の心の中で今でも歌い続けている。
 まあ、普通に良く出来ている普通の映画といったところ。
 そんなわけで、ケヴィン・スペイシーが監督まで買って出てこの映画を作ったのは、こういう(ドラマ)映画を作りたかったのではなくて、実際のボビー・ダーリンのファンだから、ってことではないのだろうか?
 何しろ、スペイシー自身が歌うシーンの彼はは妙にノリが良くて楽しそうに見えるし、ミュージカルシーンが多目だし。
スウェプト・アウエィ (原題:Swept Away) ★☆ 監督&脚本:ガイ・リッチー 2004 米 カラー 1:1.85 分 2006/09/23(土) HDDレコーダー(テレビ東京) ドラマ系 2006/10/07
ストーリー 感想
 ニューヨークから休暇でギリシャに来た金持ちの男女のグループが船を借り切ってイタリアへと向かったが、その中の1人の製薬会社社長夫人のマドンナは、資本主義社会では金儲けして何が悪いと言いわがままに振舞っていて、船内で乗客の世話をしていたイタリア人のジュゼッペ(アドリアーノ・ジャンニーニ)は船員たちに不満をぶちまけていた。
 2人が遠出をしようと乗ったゴムボートが故障して漂流し無人島に流れ着き、最初は傲慢な態度をとっていたマドンナも、ジュセッペの生活力を当てにしなければならない状況で立場が逆転し、ジュセッペはマドンナをこき使うようになった。
 そうしているうちに、ジュセッペはマドンナに対して恋心が芽生え、マドンナもこれまでの自分の生き方を反省してジュセッペを愛するようになった。
 その島にレジャーボートが来て、マドンナは島に残ることを希望したが、ジュセッペは島を出ても2人の愛が続くことに賭け、2人は島を出る。
 マドンナは夫と再会し、ジュセッペは謝礼金でマドンナに指輪を買って、港で待つとのメッセージに指輪を添えて彼女が泊まるホテルのフロントに託すが、夫が気づいてそれを手にし、2人でヘリコプターで発つときにポーターの少年にチップとして渡してしまう。
 少年はマドンナに代わって港に行き、マドンナに捨てられたと思いながら飛び立とうとするヘリコプターを追い、マドンナもジュセッペが自分を連れ戻しに来なかったと思いながら飛び立っていった。
 劇場公開当時、とにかく評判が悪かった映画で、観てみるとそんなに酷いとは思わないけど、これといって面白いところは何もない映画。
 このストーリーの映画としては、ねちっこさや変態っぽさが足りなすぎてつまんない。
男はつらいよ 旅と女と寅次郎 ★★ 監督&原作:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆 1983 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/09/18(月=祝) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 2006/09/19
ストーリー 感想
 佐渡金山一揆を率いた寅吉が故郷の柴又村に帰ると、そこにも手配書が回っていて、義弟の博が岡っ引きだと知って彼の手柄のためにお縄になる、という芝居の主役を演じて客からの歓声を浴びた…、という夢を山道の茶屋で見ていたところ、チンドン屋に起こされた。
 柴又に帰って来た寅さんが、仕事で満男の運動会に行けない博に代わって行こうとすると、満男に迷惑がられて翌朝柴又を発った。
 寅さんが佐渡に漁船で渡ろうとすると、公演をキャンセルして失踪した歌手の京はるみ(都はるみ)が港に来て、知らずに彼女も乗せることになり、一緒の旅館に泊まった。
 旅館の婆さんの北林谷栄がはるみだと気づいたことから寅さんも彼女の正体を知るが、気づいてない振りをしながら翌日はるみがのびのびと歩き回るのに付き合った。
 はるみが失恋した話を寅さんにしたとき、寅さんが彼女をはるみと呼んでしまったことで気づいていたことがバレ、そこに目撃情報を追って来たスタッフたちが現れ、はるみもそろそろ帰り時と、彼らと共にフェリーで佐渡を後にした。
 柴又に帰って来た寅さんがはるみとの思い出にふけっているところに、はるみがとらやにやって来て、リサイタルのチケットをプレゼントして、さらに別れた恋人とよりを戻したことを話した。
 はるみがとらやに集まって来た人々のために歌を歌う姿を寅さんは噛みしめるように見つめ、その夜柴又を発った。
 さくらと博だけがリサイタルに行き、はるみは歌の合間に寅さんへの感謝の言葉をいい、そのころ寅さんは羊蹄山のふもとにいるのだった。
 シリーズ31作目。
 感想は、前回のものとあまり変わらない。
 やはり、都はるみに随所随所で歌わせることで、ターゲットとなる観客層にサービスする映画という色合いが濃い。
 ということは、相対的にドラマの要素は薄い。
 寅さんがマドンナに夢中になるという設定を通すことに無理を感じてきた頃に、マドンナがスターという設定にすることが、寅さんがマドンナに夢中になることに違和感を感じにくくするということに効果があったと思う。
 寅さんがいつもとちょっと違う失恋をした後、彼女が歌う姿を見る寅さんが、スターの裏の顔を見たという思いが反映した複雑な表情を見せて印象的。
告白的女優論 ★★☆ 監督:吉田喜重 脚本:吉田喜重、山田正弘 1971 日 カラー 1:1.33 2006/09/12(火) HDDレコーダー(NHK-BS2) 感覚系、ドラマ系 2006/09/14
ストーリー 感想
 海堂あき(浅丘ルリ子)は、能勢監督(木村功)による演出で海岸で撮影中、彼女を撮影する男の存在に気づいた。
 撮影が終わったあきのところに、能勢の妻の桐子(稲野和子)が現れ、能勢との関係が取りざたされていたあきに対して暗に責めた。
 その夜、家に帰って同居する高校時代の友人の京子(赤座美代子)といたところに、海岸にいた男(原田芳雄)が訪れ、応対した京子は桐子が雇った私立探偵だと思って追い返した。
 消灯後、物音に気づいたあきは風呂場で能勢と京子が抱き合っているのをのぞき見し、ひとり寝室で身悶えた。
 後日、能勢が家を訪ねてきたとき、京子は能勢を自宅に招いたのは、高校時代あきと京子が先生(川津祐介)の住む寺を訪ねたとき、京子がクロロホルムで眠らされ犯されたにもかかわらず、あきが助けなかったばかりか学校に密告したことの復讐として、その現場を見て以来あきがセックス恐怖症になった事実を突きつけるためだったと言った。
 しかし、あきは能勢に、それは眠らせれていたはずの京子の思い込みで、真実はあきが目当てだった先生が邪魔な京子を眠らせて、先生に迫られたあきが怖くなって自分からクロロホルムを吸って眠ったのだと話した。
 あきが御用聞きの男たちが彼女を襲う夢を見たところに、原田が訪ねてきて彼はあきのせいで高校を追い出され北海道の田舎で代理教師になった川津の教え子で、わいせつ事件の真相を聞こうとあきに近づいていたことを話し、そこに能勢を探してあきの家に来た桐子に、あきがシャワーを浴びていた原田の姿を見せて桐子は飛び出して行き、あきは原田と抱き合った。

 一森笙子(かずもりしょうこ、岡田茉莉子)は声が出なくなって、明後日にクランクインする三大女優共演の「告白的女優論」に出られないとマネージャーの南川(三國連太郎)に言った。
 彼女は戸山博士を訪ねて、自分の精神分析をして欲しいと申し出た。
 ある夜、戸山博士の依頼で波多医師が彼女の自宅を訪ね、南川と付き人のリエ(太地喜和子)を含めた4人で、笙子の見た夢の分析を始めた。
 その夢は、家で別居中の夫がリエと抱き合っていたというもので、リエは女優を目指していたので笙子の夫だと思って近づいたのだと告白した。
 さらに、笙子と一緒にいることが多い南川が何故その夢に出てこなかったかを追求することになり、笙子がこれまで話していなかった、リエが他の男とも抱き合っていた夢の続きを話すと、南川がそれは笙子がこれまで付き合っていた男たちに笙子が抱かれているのだと言った。
 翌日、笙子は唯一南川に内緒で付き合っていた波多のアパートで過ごし、その日は波多と別れるために南川に後をつけさせていた。
 南川は、女優としての笙子を誰よりも理解していたつもりが把握しきれなかったことを嘆き、笙子に笙子本人を愛せなかったことを責められ呆然としているところをトラックに轢かれ、笙子に最期をみとられた。

 伊作万紀子(有馬稲子)は友人でデザイナーのノブ(久保まづるか)を連れて突然故郷の町に飛行機で降り立ち、万紀子が満州で生まれて引き上げた後、母の再婚相手の故郷のこの地を訪ねたこと、その父が間もなく亡くなったこと、かつてこの地で男と心中をして自分だけ生き残った話をした。
 万紀子が自宅に帰ると、彼女の行方を探していた母(月丘夢路)が、故郷の町で万紀子を見かけたと言う何者かの男からの電話があり、万紀子と会う約束をしていた唐沢(伊藤豪)を家に呼んでいた。
 万紀子と唐沢とノブは三角関係だった。
 母が電話で話しているとき、万紀子が受話器を奪って相手と話そうとするが何もしゃべらずに切れてしまい、万紀子は相手が死んだはずの心中の相手で、しかもそれは母の再婚相手だった。
 翌日、家に現れたノブに、万紀子は唐沢を譲ったのに何故来たのか?と聞くと、ノブは唐沢から万紀子が自分の人生を美しい悲劇にするために何度も未遂に終わる自殺をしてみせた自殺狂だと聞いたと話した。
 万紀子は人気俳優との二度目の心中をきっかけに役をもらってスターになったが、三度目の自殺は笙子の夫を巡って笙子と争っていたときに彼に振られたショックで手首を切ったのであり、自分は死に取り付かれているのだと話した。
 ノブが帰った後、唐沢が彼女の過去を許すと言うために家に現れ、万紀子は彼を避けて浴室に閉じこもり自殺しようとするが、唐沢に女優万紀子は死ぬことも演技だから死ねないと言われ、父の生存も知って思いとどまった。

 「告白的女優論」のクランクインの日、揃った三人はそれぞれインタビュアーに女優としての自身を語った後、撮影に挑んだ。
 3人の女優のそれぞれの物語が並行して展開する、一種のオムニバス。
 物語はそれぞれ、過去の性体験に伴う男性恐怖症、多数の男と関係を持った女、自殺をちらつかせた命がけの恋、というふうに、平凡な人々とはかけ離れた女優ならでは(?)のエキセントリックな物語で、加えて吉田監督ならではの重苦しい映像に芝居がかった芝居という演出スタイルなので、とてもじゃないけど気楽に楽しめる映画というわけにはいかない。
 この放映の時に吉田監督自身の解説があって、この映画が作られた1971年は、それまでの映画スターに代わってタレントが人気を得るようになった頃で、この映画は言わば3人の女優の映画スターとしての最後の出演作。
 映画スターとタレントの違いは、映画スターの方が一般人の日常から遠いところにいる存在で、プライベートなどもベールに包まれ、一般人は想像するしかない。
 だから、映画女優は職業柄憑依することを求められるから日常もこの映画のように平凡とはかけ離れたものか、もしくは女優の時間と日常とを完全に切り分けていて日常は平凡なのか、どちらも考えられる。
 でも、一般大衆にとってどちらが真相であって欲しいかといえば、それは平凡よりも非凡な前者の方がスターとしての魅力という点でふさわしい。
 それなら、そんな大衆の願望を叶えるような女優の実像をでっち上げた「大嘘映画」というのが、この映画の目指したものなのではないだろうか。
 そう考えると、一見堅苦しそうなこの映画が、俳優たちのオーバーアクト気味な演技や作為に満ちた画面作りといったわざとらしさが、デタラメぶりをより盛り上げることになっている。
 例えば、岡田茉莉子が見た夢を再現するために、夢の中に出た太地喜和子を本人が演じて、それを見た三國連太郎が夢と現実の区別が出来なくなって、現実の太地に「お前は(夢の中で)誰と抱き合っていたんだ?!」と異様なテンションで問い詰めるところなど、ナンセンスコントと言っても差し支えないのではないだろうか。
 こんな見方は吉田監督の意図とは違っているのかもしれないが、まあでもそうやって見れば楽しい映画として見れるんだから、いいんじゃないの?
女は女である (原題:Une Femme est une Femme) ★★★ 監督&脚本&台詞:ジャン=リュック・ゴダール 製作:カルロ・ポンティ、ジョルジュ・ド・ボールガール 1961 仏 カラー 1:2.35 2006/09/12(火) HDDレコーダー(NHK-BS2) 感覚系、ドラマ系 2006/09/14
ストーリー 感想
 パリのストリッパーのアンジェラ(アンナ・カリーナ)は、同棲相手のエミール(ジャン=クロード・ブリアリ)の子供を欲しがったが、愛しているとはいえ今は子供は欲しくなかった彼は、2人の友人のアルフレド(ジャン=ポール・ベルモンド)を家に呼んで、アンジェラを妊娠させてくれなどと冗談ではぐらかしたので、アンジェラが怒ってエミールとは喧嘩状態になった。
 翌朝、アンジェラはアルフレドに電話で呼び出され、彼女を愛していると告白され、エミールが他の女と映っている写真を見せられた。
 アンジェラは写真をエミールに見せて真相を聞きだそうとするも、結局お互い許しあうが、エミールが相変わらず子供を作ろうとしないので、彼を避けてアルフレドの所に行って彼と寝てしまう。
 エミールもやけを起こして娼館に行って家に帰り、アンジェラが彼にアルフレドと寝たことを告白して気まずい雰囲気になったが、妊娠したかどうかはっきりしないのをいいことに、エミールが父親だと確信するためにも、2人はベッドの中で子作りに励むのだった。
 ゴダールの映画の中でも、特にアンナ・カリーナの魅力を活かした可愛らしい仕上がりで、痴話げんかを楽しく描いている。
 ゴダールお得意の字幕や変なポーズやカメラ目線などの間合いも抜群。
アリ ★☆ 監督&脚本&製作:マイケル・マン 2001 米 カラー 1:2.35 2006/09/10(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 2006/09/10
ストーリー 感想
 1964年にチャンピオンを破ったカシアス・クレイ(ウィル・スミス)は、イスラム教徒としてモハメド・アリと改名し、ベトナム戦争へと徴兵されるも宗教上の理由で拒否し、裁判で争うことになってライセンスとチャンピオンの座を剥奪される。
 最高裁まで争って無罪を勝ち取り、チャンピオンのジョー・フレイジャーと戦うが破れ、その後フレイジャーを破った新チャンピオンのジョージ・フォアマンとザイールの首都キンシャサで戦い、勝利してチャンピオンの座に復帰する。
 こういう映画は、まず「人物」「時代」「社会」といったものを第一に描かなければならないと思うのだが、この映画はそれよりも「映画としての体裁を良くする」ことが第一の「ノリ映画」のように感じられ、結果としてなんとも手ごたえのない映画になってしまった。
 いわゆる「MTV的」映画ってやつか?
 アリがキンシャサの町をジョギングして民衆が集まってくるところや、フォアマンをKOするところなど、これ見よがしに画面がスローになって感傷的な音楽がかぶさったりするシーンを見ると、「そんなことより他にやるべきことがあるだろう。真面目にやれ!」と言いたくなる。
盗まれた欲情 ★★☆ 監督:今村昌平 原作:今東光「テント劇場」 助監督:浦山桐郎 1958 日(日活) モノクロ 1:2.35 2006/09/09(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 2006/09/09
ストーリー 感想
 大学出のインテリの長門裕之が演出家として籍を置いている劇団は、大阪の新世界の芝居小屋で時代劇とストリップを一緒に上演していて、ストリップが終わって時代劇が始まると多くの客が席を立つような有様だった。
 長門は大学の同級生に活況を呈するテレビで働くことを誘われ、長門の心は動くが、彼は自分の仕事に手ごたえを感じることの出来る土臭い小劇団での仕事が好きだった。
 客入りの悪さで芝居小屋での上演が出来なくなって、一座は河内にドサ回りに行くことになり、客の入りもまずまずだったが、友人たちのテレビでの活躍ぶりに比べて芽が出ない自分の境遇に嫌気が差して出て、劇団員のドンチャン騒ぎを抜け出して1人で夜道を歩いているところに、座長(滝沢修)の娘で彼を追って来た千草(喜多道枝)が彼に抱きついた。
 翌朝、千草の姉の南田洋子が内心長門のことを想いながら、長門に千草を幸せにして欲しいと言ったが、長門は千草と一緒になっても自分が幸せにならないと言った。
 雨の日に、長門は新解釈の演出を座長に申し出、座長も表向きだけは稽古をすることを許すが、約束の時間に団員は誰も集まらなかった。
 村人たちはストリッパー目当てにテントを覗いたり、千草をさらって追って来た劇団員と乱闘になったり、また劇団員も村の女目当てに村に散らばり、小笠原章二郎は村の小金持ちの老婆に金目当てで通いつめ、西村晃は役者になりたいと言ってきた村の女にテストと称して全裸にさせてものにしようとしたりした。
 長門と南田は気持ちを抑えきれずに、夜長門の部屋に南田が来て結ばれ、朝方部屋に来た千草に見つかり、一座が他の村に移動するその日、長門が座長に言って南田の夫で劇団の人気役者の栄三郎(柳沢真一)を含めて話し合いが持たれ、栄三郎が1人劇団を去ると言い、どちらを選ぶかの決断を迫られた南田が夫を選んだため長門が劇団を去ることになり、千草が長門について行くことになって、2人を置いて劇団員を乗せたトラックは村を出て行った。
 今村監督のデビュー作で、しょっぱなからいきなり今村らしさ全開の猥雑な押しの迫力に圧倒される。
 左で述べた小笠原章二郎や西村晃以外にも、ハッカ水に砂糖を入れたのを「コカコーラ」と言って売ったり、農家のアヒルを「拾った」と言い張って丸焼きにしたりなど、図々しい登場人物たちが満載。
 おかげで、長門裕之演ずる主役がらみのエピソードの印象が薄くなってしまったほど。
男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 ★★ 監督&原作:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆 1981 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/08/26(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 2006/08/26
ストーリー 感想
 浦島寅次郎が竜宮城で松坂慶子の乙姫様に別れを言い、玉手箱を貰って蛾次郎の亀吉に乗って柴又村に帰ってくると、50年の月日が経っていて村は原っぱと化していて、そこにいた妹のさくらと博に似た夫婦はさくらの孫だった。
 寅次郎は玉手箱を開けると、中からの白い煙を浴びた亀吉が一瞬で老いて、寅次郎を責め立てた…、といったところで目が覚めた。
 工場が苦しいと嘆くタコ社長に、とらやに現れた寅さんが竜宮城の夢にタコ社長がタコになって現れたと言ってからかっらので、気落ちして出て行った社長がその版戻って来ず、寅さんたちが探してるところに収入が入って安心して酒を飲んだ社長が帰って来て、帰って来た寅さんが心配させやがってと怒ったことにとらやの人々が反発し、翌日寅さんは出て行った。
 寅さんが瀬戸内海に来たとき、墓参りに来ていた松坂慶子と知り合って別れ、元々肌が合わない大阪に行って露天で愛の水中花を売っていたところに、大阪で芸者をしていた松坂と再会した。
 寅さんが松坂とデートしているとき、彼女から幼いときに生き別れた唯一の身内の弟がいて、芸者だからといって会いたがらない彼女を寅さんが説得して弟の勤め先に会いに行くと、応対した大村崑から弟が最近病死したことを知り、松坂はその夜酒に酔って、寅さんが泊まっている昔なじみの芦屋雁之助の旅館の寅さんの部屋に上がって眠り、翌朝「今後の生き方を考えます」と置手紙を置いて旅館を去り、寅さんもその日に東京へと帰った。
 寅さんが気落ちしているところに松坂がとらやを訪ねて来たが、彼女はもうすぐ対馬に嫁ぎに行くと言って帰った。
 夏になり、寅さんは対馬を訪ねて、松坂と寿司屋を営む夫の斉藤洋介と会った。
 シリーズ27作目で、満男が前作までの中村はやとから吉岡秀隆に交替。
 また、先日亡くなったシリーズ常連の関啓六が、前作の「寅次郎かもめ歌」に続いて、とらやの客として2回目の登場。
 感想は前回観た時のものと同じ。
 ストーリーは大したことなくても、松坂慶子を見てるだけでもいい気分になれるのだが、やっぱりそれならもっと彼女を生かすような映画にすべきだろう!と思ってしまう。
昆虫大戦争 ★★ 監督:二本松嘉瑞 1968 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/08/21(月) HDDレコーダー(WOWOW) 社会派系、ドラマ系 2006/08/22
ストーリー 感想
 飛行中の西側亡国の爆撃機が昆虫の群れに突っ込んでエンジンが炎上して墜落し乗組員たちは脱出し、島の洞窟で身を休めた。
 戦後二十数年ぶりに日本に返還されて間もない亜南群島のヤツ島の小さなホテルの従業員のゆかり(新藤恵美)と結婚したばかりで、東京の昆虫研究所の南雲教授(園井啓介)の依頼で近くの子島に毒虫の昆虫採集に来ていた譲治(川津裕介)は、昆虫研究員のアナベルと浮気をしていたときにその様子を見ていてパラシュートの落下地点へ向かった。
 某国の司令部ではゴードン中佐に搭載していた水爆の捜索を命じ、ゴードン中佐らが子島に着くと、乗組員の1人のチャーリーが海岸で倒れているのを発見し、残りの2人は洞窟で死んでいた。
 譲治が軍用の時計を拾って持っていたことで、時計目当ての殺人容疑で逮捕され、駆けつけた南雲が彼に面会すると、隠していたアナベルのことを話して殺しを否定した。
 各地で昆虫が大発生しているニュースがラジオで流れる中、南雲は2人の遺体を調べて虫に刺された跡を見つけ、赤十字から来た医者の小室(瞳麗子)の診察を受けていたチャーリーは、記憶を失ってうわごとで虫を怖がり、ゴードンと南雲らは彼の記憶を取り戻すために昆虫のフィルムを見せると、チャーリーは爆撃機が虫に襲われて墜落し、洞窟にいたところ虫が襲ってきて2人を殺したことを話したが、チャーリーは南の国の戦場で麻薬中毒になっていたため、ゴードンは幻覚として扱った。
 南雲と小室が洞窟を調べると、そこに毒虫の培養びんがあったことから、2人は何者かが乗組員を毒虫で殺したとにらんだ。
 ゆかりは譲治に身ごもったことを話し、譲治は島の外に護送されようとしたときに逃げて海に飛び込み、アナベルのボートに助けられて彼女の家に匿われたが、実は彼女は東側から依頼されて譲治から受け取った毒虫を家で増やしていて、彼女の手下たちが護送中のチャーリーを連れ去って彼女の家に連れて来て、アナベルが毒虫でチャーリーを拷問して積荷が水爆だということを聞き出し、毒で神経がやられて海辺に捨てられたチャーリーは小室のところの現れて彼女を襲ってゴードンの手下に殺されたとき、南雲はチャーリーが「ジェノサイド(人類皆殺し)」と言ったのを聞き、またチャーリーの遺体から虫の卵を見つけた。
 アナベルのところを逃げ出して来た譲治はゆかりと南雲と小室と合流し、南雲はチャーリーの言葉の真相追及のため同じように毒虫に刺されてみると、戦争などの人類の身勝手で生存が脅かされたため人類の滅亡を目指すという昆虫の言葉を感じ取った後、研究中の解毒剤で助かった。
 小室を除く3人は水爆を見つけようと子島へと向かうがアナベラたちに捕まった。
 かつてナチの収容所に捕らえられて人類全体を憎んでいたアナベラは培養した毒虫で人類滅亡を目指していたが、逆に虫に刺されて死に、南雲は駆けつけたゴードンたちと共に彼女の家を焼いた。
 アナベラの手下たちは水爆を見つけたがやはり虫に殺され、逃げた譲治とゆかりも虫に襲われ、譲治はゆかりをかばって一人犠牲になった。
 ゴードンは南雲を強制的に連行して司令部へと飛び、毒虫を殺し水爆を敵に渡さないためにも爆発させると言った。
 すると、乗組員の1人が爆破に反対してゴードンを撃つが、死ぬ間際に爆破スイッチを押して水爆は爆発し、飛行機も昆虫の大群に襲われて爆破した。
 子供を守るためにボートで1人島を離れていたゆかりは、島のあったところに上がったキノコ雲を呆然と眺めるのだった。
 核爆発のキノコ雲で始まるオープニングから反核、反戦、反米を前面に押し出した内容で、でも肝心の映画としての出来は、展開これといって意外性のないありふれたもので、描写も毒虫は見た目はスズメバチで画面上はただの黒い点で迫力に欠け、ちっともワクワクしない時間が続いた。
 ところが、ラストになって突然情け容赦ない悲劇的な展開になり、作者の映画にこめたメッセージが生半可なものでないことがひしひしと伝わって圧倒される。
男はつらいよ 寅次郎かもめ歌 ★☆ 監督&原作:山田洋次 脚本:山田洋次、朝間義隆 1980 日 カラー 1:2.35 2006/08/12(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 2006/08/13
ストーリー 感想
 江戸時代、飢饉で年貢が払えない柴又村の農民たちに、代官(吉田義夫)が娘を天狗の生贄に差し出せば崇りが収まると話し、さくらが生贄になろうとしたところ、通りがかった虚無僧が身代わりを買って出て、娘に化けで現れた代官たちの悪事を暴き、村人たちに昔村を出たさくらの兄の寅次郎だと名乗る…、といったところで目が覚めた。
 寅さんが旅の途中で柴又に立ち寄ったとき、さくらが中古の一軒家を購入したと言って寅さんを連れて行って見せた。
 その日の夕食時に寅さんが渡した二万円のお祝いを博が多過ぎると断ったことに寅さんが怒ってとらやを飛び出していった。
 江差に来た寅さんは、奥尻島にいる昔の仕事仲間が死んだと聞いてフェリーで島に渡り、そこで娘の伊藤蘭に会って墓参りをし、彼女の東京で定時制高校で勉強しながら働きたいとの希望を聞いて、とらやに連れて来てしばらく面倒を見ることにし、とらやの人たちやタコ社長の手助けで編入試験の試験勉強に合格しセブンイレブンの店員の仕事に就くことが出来た。
 やがて、家を出ていた伊藤の母の園佳也子がとらやに来て、伊藤は母に反発しながらもさくらに言われて帰っていく母親を見送った。
 一方、伊藤の別れた恋人の村田雄浩が函館から奥尻島の伊藤の家を訪ねて、不在を知って居場所を聞いて東京に会いに来て、よりを戻して村田を見送って朝帰りした伊藤は、心配して待っていた寅さんに村田と結婚すると言い、寅さんは彼女の行為に半ば怒りながらも、後のことはさくらたちにまかせて旅立って行った。
 さくらは伊藤の先生の松村達雄から、伊藤について学校に来ていた寅さんが入学を希望していたが、中学中退なので出来ないと話した。
 年が明けて、村田がとらやを訪ねて3月に結婚するが伊藤は学校に通い続けると言い、一方四国にいた寅さんは奥尻島で知り合ったあき竹城がお遍路で来ているところを再会した。
 感想は、前回観た時のものとほとんど同じ。
 追加すると、伊藤蘭演じるマドンナが単に無垢なだけのキャラで、映画を面白くするのに貢献していないことが、型どおりの展開をなぞっただけだという感想になった大きな要因だろう。
 今回の放送では本編よりも、解説で博が大学教授の父(志村喬)に反発して高校を中退して上京して新宿をふらついているときにタコ社長と出会って就職したことの復習と、寅さんの入学願書から生年月日が昭和15年11月29日、住所が柴又7-7-21だということ、さくらと博の家の二階に寅さんの部屋があったことがわかったのが収穫。
無法松の一生 ★★☆ 監督:稲垣浩 原作:岩下俊作「富嶋松五郎傳」 脚本:伊丹万作、稲垣浩 1958 日(東宝) カラー 1:2.35 2006/08/11(金) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 2006/08/15
ストーリー 感想
 明治三十年の小倉。一年前に博打で追放になって以来、街道で車に乗せる乗せないで喧嘩になった相手の若松警察の師範に頭を殴られた車夫の松五郎(三船敏郎)が小倉に戻ってきて寝込み、また、門前払いになった芝居小屋に嫌がらせで升席でにんにく鍋を煮て大喧嘩になり、現れた結城親分(笠智衆)がその場を収めて、後日親分のところに呼ばれた松五郎は素直に謝って親分に気に入られた。
 松五郎が車を引いている時に、気弱な少年敏雄を見かけて声をかけ、その子が木登りに失敗して落ちて泣いていたので、松五郎が家まで運び、それ以来彼の母良子(高峰秀子)と大尉の父(芥川)に気に入られて家に出入りするようになり、まもなく大尉が病死して、松五郎は良子から敏雄の父親代わりになって欲しいと頼まれた。
 3人で工業学校の運動会に行ったとき、松五郎は飛び入り自由の徒競走に参加して、おとなしかった敏雄が松五郎を応援するために初めて大声を上げた。
 親密な付き合いのため、松五郎の親方は彼が未亡人の後釜につこうとしてるのではと疑い、また良子は再婚話がきても断った。
 大正三年。小倉中学の4年生になった敏雄が友達と喧嘩に行く相談をしているのを聞いた良子が松五郎に助けを求め、師範学校の生徒と大乱闘が始まり、物陰から見ていた松五郎に敏雄が助けを求めに来たので、松五郎は憤慨して喧嘩の見本を見せるために喧嘩に加わって生徒たちを次々と倒していった。
 敏雄は進学で小倉を離れ、良子の家に行く機会の減った松五郎は居酒屋に行くようになってそこに貼ってあった美人画で気を紛らす日々をおくっていたが、夏になり敏雄が小倉の祇園祭りを見せるために先生を連れて帰って来て、松五郎は今では誰も叩けなくなった本当の祇園太鼓を叩いて見せた。
 その夜、松五郎は良子の家で彼女と2人きりになったとき、彼女への愛を感じて自分のことを「汚い」と言いながら家を飛び出し、やがて冬になって雪道で行き倒れて死んでいたところを見つかった。
 松五郎の家の所持品を調べると、良子からもらったお金は封を切らずに保管してあり、
 1943年に『無法松の一生』を監督した稲垣浩監督本人が、同じ伊丹万作による脚本で映像的にもそっくりにリメイクした作品で。(ちなみに、これ以降東映版(1963年)、大映版(1965年)も作られた。)
 オリジナルは、戦時中は軍人の妻に車夫の松五郎が思いを寄せるシーンが軍部に、戦後は封建的なシーンがGHQに検閲でカットされた作品なので、それを復元する意味でもリメイクされた。
 でも、オリジナルと比べるといろいろと見劣りすることが多いなあ。
 まず松五郎を演じた三船敏郎はもちろん素晴らしい俳優だけど、松五郎は単に豪快なだけでなく繊細さも見せるキャラで、そうなると演技の器用さの面でオリジナルの阪妻の方が上手過ぎて凄過ぎる。
 それから、映像面でもオリジナルのダメージを受けたモノクロ、スタンダード画面に対し、こちらはクリアなアグファカラーにワイドスクリーンなので有利はずなのだが、オリジナルの方がさすがの名手宮川一夫カメラマンの力量なのか、しっとりした展開のシーンの画面もしっとり感が強かった気がする。
 ところどころで人力車のシルエットが映し出されるのだが、リメイク版はフィルムが鮮明過ぎて人力車がミニチュアだと判ってしまうことが欠点になってしまっている。
 主人公の松五郎は、映画といえばアメリカ映画ぐらいで日本映画もろくに観ていないくせに映画史上最高のヒーローとして『アラバマ物語』のアティカス・フィンチを選んだAFIに意を唱え、当サイトが世界映画史上最高のヒーローとして堂々と推薦するキャラ。なんたって、アティカスはちゃんと教養があるけど、松五郎は字も読めないのに人間として立派だから確実に上。
11人いる! 監督:出崎哲、冨永恒雄 原作:萩尾望都 1986 日 カラー 1:1.35 2006/08/09(水) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系、アニメ 2006/08/10
ストーリー 感想
 人類が他の惑星の宇宙人たちと連盟を組むようになった未来世界。エリートを育成するコスモアカデミーの最終試験は、10人で古い宇宙船の中で53日間暮らし全員が生還することだったが、いざ試験が始まると乗り込んだのは11人だと判り、お互いが疑心暗鬼になる。
 やがて、宇宙船が軌道をはずれて更正に近づいて内部の温度が上がり、以前この宇宙船の乗組員を全滅させた病原体が息を吹き返して感染する者が現れた。
 受験生たちは船の一部を爆破して軌道を戻して、全員が53日後に生還し、11人目の人間が試験官の正体を明かし、全員が合格になった。
 まあ、ストーリーはともかく、演出なんてものがあったものでなく、声優が声を張り上げて台詞を言う例のアニメ演技で映画の深みがまったくなく、単に脚本の内容を映像で説明しているだけのような映画。
眠る男 ★★☆ 監督:小栗康平 脚本:小栗康平、剣持潔 1996 日 カラー 1:1.85 2006/07/28(金) HDDレコーダー(NHK-BS2) 象徴系 2006/07/28
ストーリー 感想
 群馬県のある村では、眠り続けながら生きている男拓次(アン・ソンギ)、祖国で娘を川で失ってメナムという名のスナックで働く女ティア(クリスティン・ハキム)、村に唯一残る水車小屋の番をする老人(田村高廣)たちがいて、また上村(役所広司)の家では30年前に切った木の切り株から芽が出たりするなど、冬の草木が枯れてもけっして死んではいないように、ひっそりと暮らしをしていた。
 春になって、拓次の様態が悪くなって、見舞い客たちは彼の名を叫んで霊を呼び戻そうとするが、息を引き取ってしまう。
 男の葬儀で能が舞われたのを見に行ったティアが森の中をさまよっていると、そこに現れた拓次が彼女に道を教え、夜たたずんでいた彼女の目の前で木が倒れて気を失い、気がつくと山小屋にいて、彼女を助けたのは子供の頃から拓次のことを思い続けて、山に登って拓次のことを思っていた上村だった。
 そのころ、温泉場では女たちは湯の温度が熱くなったと話し、男たちはメナムで働いていた南の島の女たちを見かけなくなったと話していた。
 私は小栗作品ではこの次の『埋もれ木』の方を先に観たたので、今回初めて『眠る男』を観て、『埋もれ木』は『眠る男』タイプの映画だということを知った。
 『埋もれ木』と同様にストーリーらしいものはなく、通常の映画がストーリーを媒介として作り手が観客に伝えたいことを伝えるとすると、『眠る男』の場合は「イメージ」が代わって媒介になっていて、「ストーリー」なら小説に置き換えることも可能だが、「イメージ」となるとそうはいかず、まさに映画でしか表現できない映画ならではの映画。
 そのため、映画が訴えていることはあくまでも漠然としていて、まあどんな目立たない人間でも内なる秘めた力を持っていてそれに目覚めることがあるかもしれないし、人の存在は実際に存在することより他人の心の中に存在することの方が意味があるかもしれない、といったことがなんとなく感じられる映画になっている。
 映像は特に照明が凝っていてとてもきれい。
チャップリンの冒険 (原題:The Adventurer) ★★☆ 監督&脚本&製作&編集:チャールズ・チャップリン 脚本:ヴィンセント・ブライアン、マーヴェリック・テレル 製作:ヘンリー・P・コールフィールド、ジョン・ジャスパー 1917 米 モノクロ サイレント 1:1.33 2006/07/27(木) HDDレコーダー(NHK-BS2) お笑い系 2006/07/28
ストーリー 感想
 脱獄したチャーリーが警官たちに追われて海岸の崖っぷちを逃げ回り、海へと泳いでいった。
 近くの海でエドナの母が溺れて、助けようと飛び込んだエドナとその婚約者(エリック・キャンベル)たち共々、そこに泳ぎ着いたチャーリーが全員を助け、エドナの屋敷に連れて行かれる。
 エドナが提督になりすましたチャーリーに夢中なのに面白くない婚約者は、新聞記事からチャーリーが脱獄犯だということがわかって警察に通報し、屋敷を逃げ回って、エドナに別れを言って逃げていった。
 単純な映画だが、チャップリンの動きの素早さと、それを活かしたギャグの組み立ての妙をたっぷりと堪能できる。
 TVブロスの解説によると、運転手役はチャップリンのマネージャーや運転手などをしていた高野(こうの)虎市という人。
 チャップリンが映画の中で使用していたステッキが竹で出来た日本製だったりなど、日本との関わりが深い。
オープン・ウォーター (原題:Open Water) ★★ 監督:クリス・ケンティス 2004 米 カラー 1:1.85 2006/07/24(月) HDDレコーダー(WOWOW) 実録系 2006/07/25作成
2006/07/28更新
ストーリー 感想
 20人の乗客を乗せたダイビングの船が、沖で35分のダイビング時間の後にダイバーたちを乗せて帰るが、数を数え間違えて2人の男女の恋人同士を乗せ忘れた。
 彼らは潮に流され、波の揺れ、空腹、のどの渇き、クラゲ、サメなどと戦い、精神的にまいって口論もしながら救助が来るのを待つ。
 翌日、やっと2人が行方不明なのに気づいて捜索隊が出るが、その甲斐もなく男がサメに脚を食われて死に、女も海中に沈んだ。
 実話が元だそうで、日本人のダイバーが船に戻ってこれず流されたというニュースもあったから、珍しい事故でもないのだろう。
 ということなのかもしれないが、展開に意外性が少ないのが残念。
 まあ、結構緊張感が維持されていたのは良かったけど。
ステップフォード・ワイフ(原題:The Stepfprd Wives) ★☆ 監督:フランク・オズ 2004 米 カラー 1:1.85 2006/07/21(金) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、感覚系 2006/07/22
ストーリー 感想
 テレビプロデューサーのニコール・キッドマンは、出演者の素人をもてあそぶような番組を作ってはヒットさせていたが、出演者の男が番組の中で自分を捨てたフィアンセに発砲して局をクビになり、気を取り直すためにコネチカットの住宅地のステップフォードに家族4人で引っ越す。
 そこは、1950年代のような妻たちばかりが住み、ニコールは怪しいと思うが、彼女の夫のマシュー・ブロデリックはそこの男たちとなじむようになった。
 ニコールが引っ越そうとしたが、2人の子供たちがサマーキャンプから勝手に連れ出されたことを知って、子供を奪い返しに夫たちのリーダーのクリストファー・ウォーケンに会うと、そこで元々キャリアウーマンだった妻を従順な妻に変えるために、夫たちが妻の脳にチップを埋め込んでコントロールしていたことがわかり、ニコールもそこにいたマシューの望みどおり、チップを入れることになった。
 後日の舞踏会の最中、実はチップをいれた振りをしていたニコールがウォーケンの注意を引いているうちに、マシューが男性協会の地下室に忍び込んで妻たちのコントロールを解除し、しかもロボットのウォーケンを操っていた彼の妻のグレン・クローズが本当の張本人で、古き良き男女関係を復活させようと思ったのが動機だった。
 二コールはこの体験を本にして注目を浴び、ステップフォードでは夫たちが家事に励むのだった。
 物語の割と早い時期に妻の1人が人間ではなくロボットかなんかだということが判ってしまうのだが、突飛過ぎる設定をやわらげるのを狙ったのかもしれないが、謎を残したままで引っ張った方が良かった気がする。
 それにしても、あまり面白くない話だなぁ。
 ダメ夫の話よりは、ニコールの非道キャラの方を発展させた話が見たかった。
 あと、邦題は「〜ワイフ」ではなくて、正確に「ステップフォード・ワイブズ」にすべきだろう。
Jam Films 2 (公式サイト) ★★ 2004 日 カラー 1:1.85 2006/07/21(金) 生&HDDレコーダー(WOWOW) 感覚系、オムニバス 2006/07/22
机上の空論 (★☆) 監督:小島淳二 2004 日 カラー 1:1.85 2006/07/21(金) WOWOW 感覚系 2006/07/22
ストーリー 感想
 女性とつき合えるようになるための男性向けの恋のマニュアルを教訓編と実践編に分けて紹介する。
 ウエートレスの市川実日子を狙う片桐仁の前に、マニュアルを駆使して彼女に迫る小林賢太郎が現れるが、最後は片桐が彼女をものにする。
 見たのは実践編が始まって間もなくのシーンから。
 多様な表現方法を用いているが、それに反してストーリーが弱過ぎる弱点をカバーし切れなかった。
CLEAN ROOM ★★ 監督:高橋栄樹 2004 日 カラー 1:1.85 2006/07/21(金) WOWOW 感覚系 2006/07/22
ストーリー 感想
 世の中の汚れたイメージを嫌って無菌室にこもる韓英恵のところに、麻生久美子が「友達になろう」と言って無菌室の外に居座る。
 韓は麻生の話す外界の話を聞き、昔経験した男の子との海岸での出来事を思い出し、大人の世界に踏み出すように無菌室を出る。
 このオムニバス全般に渡って、ストーリーが弱い、或いはストーリーを語る力量に欠け、それをごまかすように映像表現をあれやこれや詰め込んで、結局約30分の尺を持て余してるという、短い尺のCMやミュージックビデオの監督が陥りやすい問題があるが、この『CLEAN ROOM』は作品の全体のトーンを崩さないことを第一に考え、簡単なストーリーとのバランスもとれていて、これが一番いい。
 なんたって、韓英恵ちゃんのフォトジェニックな魅力を最大限に利用したショットの数々があるのがいいし、風景も美しい。
HOOPS MEN SOUL 監督:井上秀憲 2004 日 カラー 1:1.85 2006/07/21(金) HDDレコーダー(WOWOW) 感覚系 2006/07/22
ストーリー 感想
 夜の街角で、父親の借金の肩代わりのため、恋人のすほうれいこを目の前でさらわれた須賀貴匡は、そこで知り合ったストリートの連中の助けを借りて、ヤクザの金を奪って金貸しの大森南朋のところに行ってすほうを解放するが、すほうは「私を金で買うの?」と怒って須賀の前から立ち去った。  ほんと、どうでもいいい話だなぁ。
 映像面で凝ってもごまかしきれないどころか逆効果。
FASTENER 監督:丹下絋希 2004 日 カラー 1:1.85 2006/07/21(金) WOWOW 感覚系 2006/07/22
ストーリー 感想
 少年が女の子にキスをされた時、下着姿の女との生々しいSEX、オヤジたちのタバコ一気吸い大会の乱痴気騒ぎ、下着姿の女が嶋田久作になって彼に甘えられる、テレビ番組の舞台裏の種明かしなどを体験する妄想をして、嘘をファスナーの内に隠して生きる大人になることをためらいながらも、大人になっていくことを受け入れた。  「大人になること」のメッセージがある割には、それを伝えるためのイメージの関連性が薄くて、結局大人の汚さのイメージが露悪趣味にしか見えない。
カラミティ・ジェーン (原題:Calamity Jane) ★☆ 監督:デヴィッド・バトラー 1953 米 カラー 1:1.33 2006/07/20(木) HDDレコーダー(NHK-BS2) ミュージカル 2006/07/22
ストーリー 感想
 ダコタの町デッドウッドの男装の女ガンマン、カラミティ・ジェーン(通称カラム、ドリス・デイ)は、駅馬車の御者に付き添っていて、酒場では襲ってきた先住民をたくさん撃ち殺したなどのホラ話をしていた。
 町には彼女とは腐れ縁のガンマン、ワイルド・ビル・ヒコック(ハワード・キール)がいて、また、彼女が恋をしていた騎兵隊の少尉が先住民に捕まったと聞くと、彼女は単身で救出した。
 町にある劇場が女優を呼んだつもりがやって来たのはフランシスという男優で、彼に女装をさせて乗り切ろうとするがバレて客が騒ぎ出し、カラムは劇場主を助けるためにシカゴに行って高名な女優のアデレードを連れて来ると言った。
 アデレードが公演中の劇場の楽屋に入ったカラムは、そこで女優を夢見てドレスを着ていた付き人のケイティ(アリン・アン・マクレリー)をアデレードだと思い、ケイティも女優になるチャンスとばかりにアデレードになりすましてダコタに行く。
 いざ舞台が始まるとケイティは嘘の重圧に押しつぶされて思うように歌って踊ることが出来ずにニセモノだと白状するが、それで吹っ切れた彼女の歌と踊りが観客を魅了し、彼女はカラムの小屋に住んで町で女優を続けることになった。
 二人で暮らすうちにすっかりカラムは女っぽくなり、ケイティを見初めた少尉とビルがカラムの留守中に小屋にやってきて、くじ引き勝った少尉がケイティをダンスパーティに誘い、彼女はその誘いを受けるが、少尉のことを好きなのはカラムだと言った。
 パーティ当日、カラムはビルに連れられて出席するが、ケイティの気持ちも少尉に傾いていて、2人の仲の良さを見てカラムはすぐに会場を去り、翌日、カラムはケイティのステージの最中に彼女に町を出て行けと悪態をついて劇場を飛び出すと、ビルが彼女の後を追って少尉は諦めろと慰めると共に、カラムのことが好きになっていて、告白して2人は愛し合っていることに気づいた。
 翌日、カラムはそのことをケイティに伝えようと町に行くと、彼女は少尉をカラムに譲るためにシカゴに帰ったところで、カラムは駅馬車を追ってケイティに話し、ケイティは町に戻って2組のカップルが結婚式を挙げた。
 ドリス・デイが男っぽい演技を見せて、ハイテンションで頑張っているけど、それに見合うだけの映画の出来になってなく、ストーリー、見せ場、共に量的にも質的にも物足りない。
いつも上天気 (原題:It's Always Fair Weather) ★★ 監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン 音楽:アンドレ・プレヴィン 1955 米 カラー 1:2.35 2006/07/19(水) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 2006/07/20
ストーリー 感想
 1945年10月、ヨーロッパ戦線から帰国したジーン・ケリー、ダン・デイリー、マイケル・キッドの3人の歩兵は、ニューヨークのなじみのバーに来て酒を飲み、10年後も変わらぬ友情でこの店で再会すると誓ってバーの店主と賭けをし、それぞれ別々の人生を歩んだ。
 そして10年後、3人は再会したが、話が弾まず3人とも会ったことを後悔した。
 その食事の場で、シカゴのテレビ局の副局長であるデイリーのつてで、感動の実話を紹介するテレビ番組のプロデューサーのシド・チャリシーが紹介され、博打うちからニューヨークのボクシングジムのオーナーになって八百長試合もしているケリーが彼女に一目ぼれして、身の上話をして一人立ち去った。
 番組のネタに困ってたチャリシーは、3人に内緒でもう一度テレビの番組の中で再会させようとして、ケリーのジムに行き、彼をテレビ局へ連れて行こうとした。
 しかし、ケリーは八百長試合に出るはずだった彼のジムの選手を気絶させて八百長を食い止め、ケリーは元締めの手下から1人で逃げ回り、テレビ局に着いてチャリシーの番組の本番が行われるスタジオに入った。
 そして、やはりそこにいたダイリーとキッド共々3人でステージに上げられたが、司会者の思惑通りには行かずに3人は冷めたままステージを下りた。
 そこに、八百長の元締めのボスがスタジオに現れケリーを脅すが、それを見たチャリシーがひそかにボスを撮影して八百長についての会話を全国放送で流し、気づいたボスとケリーたちとの間で乱闘になり、警官隊もかけつけてボスたちを逮捕し、番組も盛り上がって、意気投合した3人は例の酒場になだれ込み、そこにチャリシーも現れケリーと共に去り、残りの2人もそれぞれの家路についた。
 やはり一番前面に出ているのはダンスシーンで、それもジーン・ケリーお得意のアクロバティックなやつ。
 さらに、シド・チャリシーなんて、ものすごくヒールの高い靴を履いてものすごく激しいダンスを踊ったりして、凄いのなんの。
 でも、そんな振り付けも監督も製作も主な出演者も『雨に唄えば』(1952)と一緒の作りの映画なのに、あれに比べると何故か見劣りしてしまう。
 ダンスシーンがドラマシーンとなじまずに浮いてしまっているような感じ。
 ミュージカルだからといってダンスシーンだけ良くてもダメで、ストーリー、映像、音楽などとの微妙なバランスがとれてないといけないということだろう。


タイトル スタッフ/キャスト 製作年/国/カラー/縦横比 視聴日 メディア 作品の分類 採点 更新日
サマータイムマシン・ブルース 監督:本広克行 2005 日 カラー 1:1.85 2006/07/18(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、お笑い系 ★☆ 2006/07/18
ストーリー 感想
 夏休みの高校のSF研究会の部室に、2030年の後輩がタイムマシンで現れたので、部員たちは昨日壊れた部室のエアコンのリモコンを壊れる前に持って来てエアコンを使えるようにしようとして、2人がタイムマシンで1日前に行った。
 しかし、顧問の佐々木蔵之助先生が、そんな過去を変えるようなことをするとこの世のすべてが消滅してしまうと言ったので、残った部員たちが持ち帰るのを食い止めようとして後を追い、次第に事態がややこしくなっていった…。
 映画は高尚なテーマを取り扱わなければならないとか、人間ドラマを描かなければならないとか、別にそんな決まりはないので、この映画のようにたわいもない話だったり、演出がおちゃらけてたって全然構わない。
 でも、ちっとも魅力的じゃない登場人物たちがギャアギャア言って右往左往して終わるだけの映画を、観終わって何かしらの満足感を覚える人がいるとは到底思えないのだが
 そして、この映画は「おちゃらけ演出」という作り手の狙いが明確なので、そんな狙い通りに出来上がったと思うのだが、多額の資金や労力を要する映画製作の目的が「せいぜい暇つぶし程度の映画」を作ることにしか過ぎないというのも到底信じられない。
 ほんと、一言で言って「どうでもいい人による、どうでもいい人々のための、どうでもいい映画」だと思う。
ビッグ・バッド・ママ (原題:Big Bad Mama) 監督:スティーヴ・カーヴァー 製作:ロジャー・コーマン 1974 米 カラー 1:1.33 2006/07/14(金) HDDレコーダー(日テレ) ドラマ系 ★★ 2006/07/15
ストーリー 感想
 1932年のテキサス州パラダイス。
 ウィルマ・マックラッチー(アンジー・ディッキンスン)は、次女の結婚式に出席するため長女も連れて3人で教会に行き、叔父も合流して式が始まるが、能なしの新郎の家でこき使われるのが目に見えているのでウィルマは意義を唱えて式を取りやめ、4人で教会を車で逃げ出す。
 途中の山道で、密造酒の行商をしていた叔父を追っていた捜査官とカーチェイスになり、叔父が撃たれて命を落とし、3人は叔父の仕事を継いで金を得ようとする。
 しかし、次女が酒を売っていたところを保安官に見つかって捕まり、釈放させるために儲け全部をワイロに使ってしまう。
 町でウィルマが働いている最中に、娘2人はストリッパーのオーディションに合格して舞台に立ったところにアンジーが現れて、銃で客を銃で脅して無理矢理ギャラを奪って立ち去った。
 インチキ伝道師が説教で多額の寄付を聴衆から取ろうとしているところに出くわして、3人は彼から車ごと奪い取り、ついに銀行強盗をしているところに別の強盗のフレッド(トム・スケリット)が現れ、一緒に逃亡したことから4人で行動し、ウィルマとフレッドはベッドを共にするようになった。
 4人で行った競馬場にいたビル(ウィリアム・シャトナー)の言うとおりに賭けて大当たりしたことから、彼は競馬の売上金強盗の運転手として仲間に加わり、ウィルマはビルと寝るようになって、やきもちを焼いたフレッドは長女と寝るようになり、彼女は1人さびしくしていた次女も誘うが、長女は妊娠してしまい、鉱山の事務所の強盗で長女が撃たれて、次女がウィルマにそのことを話した。
 ウィルマはフレッドに怒りをぶつけたが、すぐに仲直りして5人は上流階級のパーティに潜入して客たちから金品を巻き上げ、後日そこにいた富豪の令嬢を誘拐して身代金を要求する。
 指紋などから5人が犯人だと判って大捜査網が敷かれたとラジオのニュースを聞いたビルが怖気づいて、色仕掛けでフレッドをだまして逃げた令嬢を見て彼女を追わずに逃げ出して警察に捕まった。
 令嬢はすぐに捕まり、アジトに使者が一人で身代金を持ってきたが、そこに例の2人組捜査官がビルの案内で警官隊を引き連れて銃撃戦になり、多くの警官とビルが撃ち殺され、3人を逃がすために残ったフレッドも撃たれ、身代金を手にした3人は車の中で喜ぶが、撃たれていた助手席のウィルマが息を引き取った。
 実在のギャングをモデルにしたそうで、いかにもロジャー・コーマン製作のB級映画といった出来上がりにになっている。
 つまり、ビックリするほど凄い映画ではないが、演出さえ手堅ければその手ごたえは十分に伝わる。
 それに、若い頃はスターだったアンジー・ディッキンスンも含めて、2人の娘共々3人とも脱ぐという「ポイント」も抑えているし、犯罪行為を重ねていく展開が全体的にあっけらかんとした雰囲気でいい。
踊る結婚式 (原題:You'll Never Get Rich) 監督:シドニー・ランフィールド 1941 米 モノクロ 1:1.33 2006/07/14(金) HDDレコーダー(NHK-BS2) ミュージカル ★★ 2006/07/15
ストーリー 感想
 ミュージカルの舞台の劇場主のロバート・ベンチリーは、ダンサーのリタ・ヘイワースにゾッコンで、彼女のためにブレスレットを買ったりするが、彼女は振付師のフレッド・アステアに好意を抱いていた。
 ヘイワースの名前入りのブレスレッドがベンチリーの妻に見つかったことで、彼はとっさにアステアの代わりに買ったものだと嘘をつき、4人で食事に行ってそこでアステアからヘイワースにブレスレットを渡させて浮気でないことを証明させようとする。
 ベンチリーはこれだけですまさずにアステアとヘイワースが婚約したという嘘の記事を新聞に載せさせ、ヘイワースの仕業だと思ったアステアが彼女の家に怒鳴り込むと、そこに居合わせた彼女に恋するトムが冗談でヘイワースの兄に成りすまして婚約破棄したアステアに銃を向ける。
 アステアに召集令状が来て、彼は逃げるように検査をごまかして入隊すると、そこに大尉だったトムがいて、彼の嘘に怒って彼を殴って営倉に入れられた。
 そこに、トムに面会に来たヘイワースが現れ、いつのまにか彼女に好意を抱くようになったアステアは自分は二等兵ではなく大尉だと言い張り、制服を盗んでは更に営倉暮らしが続いた。
 ベンチリーが基地でショーをするのでアステアに手伝いを依頼し、相手役にベンチリーの新しい女のソーニャをとの申し出に、アステアはヘイワースを要求した。
 トムがパナマへの転属が決まってヘイワースに求婚したことを知ったアステアは、基地を抜け出してアパートに戻りブレスレッドを彼女に渡そうとするが、すでにその名前をソーニャに彫り直していたベンチリーは、そのアパートでヘイワースとソーニャと鉢合わせするように仕組んでヘイワースはアステアに振られたと思って出て行く。
 アステアは仕返しでベンチリーとソーニャといるところにベンチリーの妻を呼んでソーニャの名前入りのブレスレッドを見せることでソーニャを役から降ろし、ベンチリーはショーのためにアステアを営倉から出し、パナマへと発とうとするヘイワースを呼び止めてショーに出演させる。
 ショーの中でアステアとヘイワースの結婚式が行われたが、その判事役が本物で式は有効だとわかってヘイワースは怒り出すが、ベンチリーが誤解を解いてヘイワースはアステアとの結婚を受け入れるのだった。
 ストーリーはご都合主義もいいところで、ものすごくいい加減で、間に挟まれるギャグも唐突なのだが、この映画の目的はアステアのダンスを見せることであって、ストーリーなどはそのために方便に過ぎない。
 ストーリーの流れとは関係なくアステアが踊るシーンが5回ぐらいあり、しかもそれぞれがざっと3分以上、しかも彼が踊り続けるのを長まわしで余すところなく捕らえていて、その迫力に圧倒される。
隣人13号 監督:井上靖雄 2005 日 カラー 1:1.85 2006/07/10(月) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/07/11
ストーリー 感想
 小学生の頃いじめられた小栗旬は、そのいじめた新井浩文が働く工務店に就職し、新井と妻の吉村由美と1人息子が住むアパートの部屋の真下の13号室に住むが、実はおとなしく見える小栗は二重人格で、その別人格の中村獅童は新井への復讐を狙うばかりでなく、そばにいる人間を手当たり次第に殺した。
 小栗が新井の息子の子守をしていたときに中村の人格が現れて子供を誘拐し、その夜小栗の正体を知った新井はショットガンを手に入れて息子を救いにかつて通った小学校に行くと、突然現れた息子を撃ち殺してしまい、中村は新井から銃を取り上げて突きつける。
 新井は観念して中村に詫びると、小栗の心は小学校の頃に飛び、小栗の逆襲で新井はいじめをやめて、小栗は平穏のまま小学校を卒業した。
 直感的に面白くないと感じたのは、復讐モノとして展開するにもかかわらず、主人公のエモーションの発し方がストレートでないからか?
 復讐の対象者であるはずの新井浩文と直接対決するのは終盤になるまで待たされるし、それまでに他の人を殺すという、展開上の寄り道をし過ぎるし。それも、無関係な人間に対するにしては不釣合いなくらいむごい殺し方だし。
 新井との対決しても、すっきりしない収束のし方だし。
 それに、全体的にもったいぶったシーンが多すぎる。
逆境ナイン 監督:羽住英一郎 原作:島本和彦 2005 日 カラー 1:2.35 2006/07/09(日) HDDレコーダー(WOWOW) マンガ系 2006/07/10作成
2006/07/11更新
ストーリー 感想
 今まで地区予選でも勝ったことのない全力学園の野球部キャプテンの不屈闘志(玉山鉄二)は、学長(藤岡弘、)の廃部宣告に触発され、やる気のない部員たちにモチベーションを与えて、甲子園を目指す。
 なんとなく予選を勝ち進むうちに、不屈はマネージャー(堀北真希)を突然好きになって、試合に出ずに彼女を追いかけたため、野球部をクビにされる。
 強豪日の出商業との決勝戦で大差で引き離されたとき、不屈が球場に現れ彼の投打に渡る活躍で逆転勝ちをおさめる。
 たとえ荒唐無稽な映画でも、登場人物のキャラだけはリアルな人間らしい生っぽさを持たせたほうが、観る者を感情移入しやすくし映画に引き込むことに有利になるところ、この映画ではそれすら捨ててキャラ、ストーリー、映像表現と、何から何までマンガチック一辺倒で押し通している。(同じCGスポーツモノの『少林サッカー』が、ストーリーの根っこが登場人物のコンプレックスがらみで生っぽいのとは正反対。)
 まあ、それはそれで思い切った決断だと思うが、そこまでするからには成果としてそれなりの「驚き」が何かなければならないところ、この映画は過去のどっかのマンガ本やテレビアニメで見たようなマンガチックな表現方法をなぞっただけでそれ以上の新しさは何もない。
 マンガを実写+CGで見せれば新しくなるかというというと、中身が一緒ではそうはならないのである。
 だから、マンガ好きの人には「このショットは画的にベタ」、「この台詞回しもマンガ的でベタ」などと言って「面白がれる」映画だとしても、決して「面白い」映画ではない。
 例えれば、マズいと評判の店に食べに行って「やっぱりマズい」と言ってヘラヘラと楽しめる人が存在するからといって、そんな人たちは無視して「マズくて評価に値しない店」と言い切ってしまっても問題ないのと一緒、ということ。
監督&脚本:木下恵介 音楽:木下忠司 1948 日(松竹) モノクロ 1:1.33 2006/07/09(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) 感覚系、ドラマ系 ★★★ 2006/07/09
ストーリー 感想
 木戸光子がレビューの舞台で踊っていたところに、小沢栄太郎が舞台裏に現れ、明日の朝一の汽車で箱根に来るようにとだけ言い残して箱根へ向かった。
 翌朝、彼女は列車の中で3人組の強盗が家に押し入った記事を読み、また小田原の駅で小沢の知り合いの男2人を見かけた。
 箱根湯本駅で会った小沢は、儲け話があるので一緒に浜松に行こうといい、明晩の舞台まで帰らなければいけない木戸は気が進まないまま同行するが、彼が強盗犯だという疑いが強くなり、真鶴の駅でホームに飛び降りて、小沢も後を追う。
 山道で木戸は自分が働いても更なる金欲しさで悪事を続ける小沢に不満を言うと、彼女をなだめようと近づく小沢の表情に殺意を感じて彼を避け別れ話を切り出す。
 すると小沢は、悪いことでもしないと兄弟を食わせられなかった世の中が悪いと言い、兄弟たちも出て行った今は木戸しか心を通わす人がいないと泣き言を言ったので、二度と悪いことをしないという条件に浜松行きの返事は保留して熱海まで同行する。
 熱海に着いて小沢が上機嫌になったのを見た木戸は、小沢が悪事をはたらいたことを重く考えてないと思い、さらに火事で店員が店を空けた質屋から小沢が宝石を盗み出したのを見て木戸は逃げ出し、小沢はナイフで脅して秘密を知る彼女を浜松に連れて行こうとし、木戸が腕を切られて叫んだので、小沢は消防団員たちに取り押さえられた。
 木戸は小沢に対する気持ちに整理をつけ、再び舞台に立つのだった。
 ストーリーはヒッチコックの『疑惑の影』(1946年キネ旬3位)や『断崖』(1947年キネ旬1位)に似ていて、男が犯罪者ではないかと疑う女の話。
 映像的にも、速いカッティングでアップやあおりや斜め構図や移動撮影などを多用した斬新なものになっているのも、ヒッチコックに影響を受けているのかもしれない。
 クライマックスの熱海市街地の火事のシーンが、煙が2か所から大量に噴き出し、延焼の恐れがある近所のすべての旅館の2階から布団などの調度品が通りに向かって振ってくるなど大掛かりなものになっている。
白昼堂々 監督:野村芳太郎 原作: 結城昌治 脚本:野村芳太郎、吉田剛 1968 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/07/04(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/07/05
ストーリー 感想
 小倉駅で生田悦子が坂上二郎の財布をスッたのに感づかれて捕まり、そこに居合わせた刑事の藤岡琢也に連れて行かれるが、実は藤岡は足を洗った東京のスリの親分で、生田の案内で彼女の親分で藤岡と旧知の仲である渥美清が住む廃坑の町の泥棒部落に行った。
 渥美は数十人からなるスリや万引きの組合を治めていて、盗んだブツを換金する手数料を取っていたが、最近組合員は現金を狙うようになって上前をはねられなくなったと言うので、藤岡はデパートの品を万引きするのが見つかりにくく通報されにくいので良いと言った。
 1ヵ月後、新宿のデパートの警備員をしている藤岡は、倍賞千恵子が万引きしているのを見つけて捕まえ、彼女の色仕掛けや泣き落としを振り切って品物を取り戻して帰すが、その後藤岡は彼女に財布をすられたことに気づいた。
 その後、さらに万引犯を見つけるが、そこに渥美が現れて、彼は藤岡の勧めに従って万引団を引き連れて東京に出てきて、藤岡に仲間を紹介してブツをさばく仕事を頼んだ。
 藤岡と渥美は、世話になったスリ係の刑事の有島一郎が勇退を迫られて刑事を辞めることになったと聞いて、2人は足を洗った振りをして会いに行き、お互いに頑張ろうと盛り上がったことで有島は刑事を続ける決心をしてしまった。
 倍賞が藤岡に会いに来て、藤岡は彼女を渥美に紹介し、彼女を加えた万引団は洋服の生地を一度に大量に盗む手口で成果を上げていった。
 一年後、藤岡のところに彼を尊敬する新米刑事の新克利が訪ねて来た、彼が生田が万引する現場を見つけて彼女を捕まえるもブツが出てこなかったため、新はお詫びに生田に御馳走することになり、2人の会話が弾んだ。
 万引団の1人桜京美が張り込んでいた有島に捕まって仲間は逃げ、警察で取り調べを受ける桜のところに間もなく弁護士のフランキー堺が現れ、彼女に仲間のことはしゃべらないよう指示した。
 渥美が思いを寄せる倍賞を特別扱いして組合の結束が弱まってきたので、藤岡の勧めで渥美は倍賞にプロポーズし、倍賞は1年の契約結婚という形で承諾した。
 桜が保釈されてすぐに行方をくらまし、有島はタレこみと桜の証言から泥棒部落の存在を知り、渥美と倍賞のお祝いが行われているところに有島と新が現れ、足を洗ったはずの渥美がいたので、しらばっくれる彼に万引きのことを問い詰め、新と生田も再会した。
 桜を捕まえ損ねて東京に戻った有島たちは、デパートで万引団の一員で記憶喪失の田中邦衛を捕まえ、彼が持っていた駅の手荷物預かり所の預かり札からブツの受け渡し方法を知り、新が駅に行くと、そこに藤岡の商売のことを知らない彼の娘の大貫泰子が藤岡の使いでブツを受け取りに来た。
 万引団の大半が逮捕されて、渥美は藤岡に会いに来て、船の上でデパートの売上金を盗む手伝いを頼んだが、その会話を有島が密かに聞いていた。
 当日、警備員の立場を利用した藤岡のサポートもあって渥美は売上金を盗むが、有島が渥美をマークしているのを見た藤岡は、有島につかみかかって渥美を逃がそうとするも、結局2人とも捕まってしまい刑務所に入る。
 有島は刑事を辞めてデパートの保安員になり、倍賞は泥棒部落を仕切りながら渥美の出所を待つのだった。
 監督もキャストも粒ぞろいで、そつなくまとめられているのだが、泥棒が主役といういかがわしい題材は、森崎東監督のような泥臭い作風の監督の方がよかったかな?と思ってしまう。
 出演者は他に、二郎さんとからむ萩本欽一(コント55号)、藤岡の妻で三原葉子、佐藤蛾次郎、など。
大勝負 監督:井上梅次 脚本:井上梅次、宮川一郎 1965 日(東映) カラー 1:2.35 2006/07/02(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★☆ 2006/07/03
ストーリー 感想
 文化から天保の頃。関八州では十手を握る親分たちが悪行の数々を重ねて政道は乱れたので、大目付や勘定奉行堀大和守(大友柳太朗)たちは、十手持ちにふさわしくない者から十手を取り上げようと考えたが、一斉に取り締まっては騒ぎが大きくなるので、真岡(もおか)に隠密を放ってそこに関八州の親分たちを集めて一網打尽にしようとし、それを察した親分たちは結束を確認する
 真岡では、渡世人の御嶽の仙太郎(みたけ、大川橋蔵)と越後の浪人の海野蛸十郎(片岡千恵蔵)が、旅芸人の市村花之丞(高千穂ひづる)の紹介で用心棒の職を奪い合っていた。
 真岡に代官檜垣三右衛門(ひがきさんえもん、大坂志郎)が現れ、彼が十手を奪いに来たので親分たちが黙っちゃいないと町中が騒然となり、新田の常吉親分(しんでん、天王寺虎之助)は、隠密と疑わしき者は切り捨てるよう子分たちに言った。
 仙太郎はその常吉の用心棒にしてもらう見返りとて、花之丞が常吉に興行の依頼をしに来るようにすると言い、常吉の弟分で真岡の興行を取り仕切る虎五郎(多々良純)の用心棒になった蛸十郎と対決となったところに、花之丞が明日結論を出すと割って入ってその場は収まった。
 その夜、代官が正体不明の隠密が親分たちの結束を崩そうとしていると話しているところに、聞き覚えのある笛の音と共に仙太郎が現れ、真岡を混乱させて代官の腹を切らせると言って去った。
 翌日、花之丞が常吉親分のところに行ったので、虎五郎は常吉に渡すことになっている越後から来た娘たちと仙太郎か蛸十郎が隠密だというでまかせの情報と引き換えに、花之丞の興行を譲り受けることで常吉と話をつけた。
 常吉が蛸十郎を呼びつけて問い詰めると、蛸十郎は代官を斬って潔白を証明すると言った。
 その夜、花之丞は料亭で常吉から蛸十郎が代官を斬ろうとしていることと、別の部屋にいた虎五郎から今の代官の策略で前の代官が切腹したという噂は、張本人の常吉が広めた嘘だと言った。
 代官が夜道を歩いているところに蛸十郎が現れて斬りかかって代官の袖を切り落とし、そこに仙太郎が現れて代官は自分が斬ると言って蛸十郎と斬り合いになり、その様子を見ていた常吉の子分が代官に向けて発砲したところ、花之丞が寸前で現れたことで弾はそれた。
 翌日、切り落とした袖と花之丞の証言で常吉の2人に対する疑いは晴れ、ガセネタを流した虎五郎を憎んだ。
 代官は娘に、仙太郎は前の代官の息子で、その前代官は政道の乱れを正すために生糸問屋の筑波屋の寄付で江戸に役人を増して十手を取り上げようとしたが、賄賂との密告で江戸に呼び出されて切腹し、筑波屋も口封じで殺されたことを話した。
 常吉たちが花之丞の芝居小屋に殴りこんだところに、何者かの密告で代官が現れ、代官は常吉の十手を取り上げて虎五郎に預け、常吉のこれまでの悪事を暴くことを命じ、真岡は常吉の応援に来た関八州の親分の手下たちと虎五郎たちとの間での争いが激しくなった。
 仙太郎と花之丞は、代官の命を狙う前代官の息子だが実は仇は常吉だということと、勘定奉行に頼まれて常吉と虎五郎を仲違いさせたことを話し合った。
 虎五郎が料亭にいたところを殺され、蛸十郎は代官所に現れて越後の娘たちがたぶらかされることを調査していた長岡藩士であることを明かし、生前の虎五郎から聞いた常吉の悪事を書いた書面を代官に渡した。
 常吉が、虎五郎から賄賂をもらって十手を売り渡した悪代官と戦うと公言して閻魔堂に立てこもり、関八州からの助太刀と共に代官所を焼き討ちにしようとするが、蛸十郎の助太刀もあって撃退し、代官の娘をさらおうとした常吉の子分を仙太郎が皆殺しにして去っていった。
 公儀は戦以外の目的で侍を派遣できないばかりか、近々将軍が鷹狩で真岡を通ることになり、代官は現状を訴えるため腹を切ることを考えていると言い、それを聞いた代官の娘が前代官の潔白を仙太郎に話して父を殺すことをやめるように説得するために単身常吉のところに乗り込んで、それを聞いた仙太郎は、常吉に代官が仇だと信じているという芝居をし、翌日娘と囚人との交換の遣いに代官所に付き添った仙太郎を見て味方につくと悟った代官たちは、交換に応じて蛸十郎が単身閻魔堂に囚人を連れて行き、仙太郎が蛸十郎と対決すると見せかけて常吉を手始めに子分たちを斬り捨て、花之丞たちも花火を爆発させ、斬り込んで来た代官所の役人たちを江戸からの大筒隊に見せかけてヤクザたちはチリヂリになり、まもなく大和守率いる旗本たちによる偽鷹狩に事態が解決したことを報告した。
 花之丞の一座は旅を続け、仙太郎と蛸十郎はそれぞれ江戸と越後に帰ろうとしたが、旅をする方が楽しいと思い直し、2人で花之丞を追いかけるのだった。
 『用心棒』を思わせる、主人公たちが数々の策略を張り巡らせる物語。
 ただし、ミステリーの要素を強調して、ストーリー的に凝った映画のもできるところ、ストーリー的にも演出的にも奇をてらわず解りやすくストレートにして、クライマックスに向かって自然に盛り上がる映画になっている。
 勧善懲悪モノとして単純明快後味すっきりで楽しめる。
トロイ (原題:Troy) 監督:ウォルフガング・ペーターゼン 2004 米 カラー 1:2.35 2006/06/18(日) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/06/19
 ドラマ部分が少なく戦闘シーンがメインの映画で、その戦闘シーンも確かに大掛かりなのだが、同時にこれといった驚きも無い大味な見せ場の映画とも言える。
 でも、かつての1950年代ころのハリウッドのコスチューム・プレイ映画が、歴史の事実をどっちが勝ってとっちが負けたかといったレベルのストーリーだったのが多かったのに対し、同じスペクタクル映画とは言え21世紀の『トロイ』は、戦争や復讐の連鎖の虚しさと、愛といった個人的な感情が復讐や戦争へと駆り立てる感情とつながっていることも、少ないドラマ部分の中にもきちんと盛り込まれているのは時代の影響だろう。
必殺仕掛人 監督:渡辺祐介 原作:池波正太郎 脚本:渡辺祐介、安倍徹郎 1973 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/06/13(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/06/14
ストーリー 感想
 仕掛人の元締めの音羽屋(山村聡)は、駿府の盗人だった妻の過去を知った旦那から妻のお照殺しを依頼され、その仕掛を梅安(田宮二郎)にたのみ、彼は仲間たちと仕掛を成し遂げる。
 梅安は仲間の徳次郎(浜田寅彦)と江戸を離れて温泉に行くが、徳次郎が一人で寝ているところを、お照に裏切られて彼女の命を狙っていた彼女の元仲間の孫八(川地民夫)が現れて、やはり元仲間だった徳次郎を殺し、徳次郎は梅安に孫八がやったと言い残した。
 梅安が江戸に戻ると、仲間で浪人の西村左内(高橋幸治)が同心の峯山又十郎(室田日出男)から町方に仕官することを勧められ、彼は足を洗うことも考えていたが、峯山の目当てはその口利き料三十両で、峯山はまた香具師の平十の裏家業をネタに賄賂を要求したり、平十の店を狙っている孫八ともつながっていた。
 そこに、音羽屋から西村に峯山殺しの仕掛がはいり、一方平十が病気で死んで跡を継いだ息子の為吉(森次晃嗣)がそこで働いている孫八に、孫八が駿府の元盗人で、裏家業からは手を引くと言って意見が分かれた。
 そこを、徳次郎の敵のため峯山をマークしていた梅安と仲間の千蔵(津坂匡章=秋野大作)が見ていた。
 孫八は平十の妾のお吉(野際陽子)とつながっていて為吉を追い出し、為吉は平十の弟分の大五郎に相談して、大五郎は孫八とお吉の仕掛を依頼し、梅安がお吉のところに行って孫八の帰りを待っていたところに、ふいに孫八が帰ってきて、梅安が仕掛人だという正体を知っていた彼は梅安を捕らえて依頼主を吐かせようとした。
 西村は、峯山を呼び出して仕官の話を断るついでに、彼の目に余る武士に有るまじき行動に怒って宮下を切り殺した。
 梅安は孫八とお吉の寝込みを襲って2人を殺し、為吉が旦那に戻ったが、実は平十の縄張りが目当てだった大五郎は為吉を殺して目的を果たすが、襲名式に現れた音羽屋が嘘をついていた大五郎を殺した。
 時代劇なのに動きが少なくて地味すぎ。
 テレビの「必殺」シリーズが、初期のやはり重苦しさから、「仕事人」にコメディーリリーフとして菅井きんと白木万理を配して展開にメリハリをつけたりなどの工夫を施したのも解ろうというもの。
木更津キャッツアイ 日本シリーズ 監督:金子文紀 脚本:宮藤官九郎 2003 日 カラー 1:1.85 2006/06/11(日) HDDレコーダー(WOWOW) 感覚系、ドラマ系 ★☆ 2006/06/11
 まあ、ストーリーをどうこう言う映画じゃなくて、ノリとか雰囲気の映画なんだろうけど、監督の演出の引き出しが、台詞を絶叫させるとか、広角レンズやあおりやクレーン移動を多用したカメラワークとか、編集でガチャガチャするとかぐらいしかなくて、見た目や聞いた感じが派手で勢いがあるようにみせてるんだけど、ものすご〜く底が浅くて安直でなんとかの一つ覚え。
 例えれば、みんなおんなじに聞こえるB'zの曲を、ノンストップで2時間きかせているような一本調子な映画で、テンションに抑揚をつけて映画全体のノリにうねりを持たせるとかメリハリをつけるとかは一切無かった。
青春とはなんだ 監督:舛田利雄 原作:石原慎太郎 脚本:山田信夫、舛田利雄 企画:水の江滝子 1965 日(日活) カラー 1:2.35 2006/06/10(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/06/10
ストーリー 感想
 10年間アメリカをふらついていた石原裕次郎が帰国して長野の町に着くと、居酒屋で不良高校生たちがチンピラに絡まれたのを見て、割って入って高校生たちを助けたのは、彼が彼らの高校に英語教師として赴任したからだった。
 裕次郎は最初の授業でいきなり校庭で英語のラブレターの書き方を教えるなど型破りな授業をしたが、受験に役に立たないと言う生徒の太田博之に、受験の勉強は役に立たないと言った。
 昨夜の高校生たちが裕次郎に会う前にけんかをして一人の橘が相手の時計を強奪したことで警察が学校来て、結局事件にはならなかったが、学校は彼を退学に決め、裕次郎は若者の熱情を考慮しない決定に反対した。
 裕次郎は勝手にラグビー部の顧問になって、ぶらついていた不良たちも強引に部員にして発散させた。
 彼らから、時計を盗んだのは橘ではなく、教頭と体育館建築の件で取引しているPTA会長の息子の友田で、兄貴分の橘が1人で罪をかぶったと聞かされた。
 夜、太田が恋人と会っているところに裕次郎が通りかかり、親に恋愛を禁止されている彼に自分に素直に悔いの無い行動をすることを勧めた。
 しかし、太田の父が息子の東大受験を妨害していると講義して、裕次郎の退職を討議する職員会議を教頭が開いたが、太田が自分が受験をやめると反抗したことで、父は訴えを撤回した。
 不良3人が橘の無実を証明するために、けんか相手の高校に乗り込んで仕返しを受けながらも時計を盗まれた目撃者を連れてきて職員会議で証言させ、友田が白状して橘の無実が証明され、裕次郎は友田への寛大な処分を求め、安易に退学を決めた教育者にあるまじき点と、PTA会長との裏取引の件で教頭を糾弾した。
 喜ぶ生徒たちに、橘はあえて学校に戻らず社会に出て自分の生きる道を探すと言い、生徒たちは自分の青春を精一杯生きようと思った。
 堅苦しい因習より感情に素直なことを、誰かの受け売りにしたがっているだけの良い子より、脱線しても若者らしい情熱を、学校の勉強より社会勉強を、というメッセージの映画なんだろうけど、映画そのものがメッセージ中心で、堅苦しくて面白くない。
 それとも、面白さが足りないからメッセージだけ浮いてしまったのか?
オーシャンと十一人の仲間 (原題:Ocean's Eleven) 監督&製作:ルイス・マイルストーン 原作:ジョージ・クレイトン・ジョンソン、ジャック・G・ラッセル 1960 米 カラー 1:2.35 2006/06/06(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/06/07
ストーリー 感想
 オーシャン(フランク・シナトラ)をリーダーとした、元空挺部隊の10人が、アシーボスが立てた計画に則り、年明けと同時にラスベガスの送電線を倒して停電にし、5軒のカジノの金庫が自家発電のタイミングで開くように仕掛けをしておいて中のお金を強奪し、ゴミ収集車に積んで非常線を突破してゴミ捨て場に隠した。
 しかし、強奪直後にメンバーの1人のトニーが心臓発作で急死し、別のメンバーのジミーの母とラスベガスに来ていた恋人でプロの犯罪者のサントス(シーザー・ロメロ)がカジノのオーナーと30%の分け前で金を取り返す取引をし、事件の真相を感づいてオーシャンに50%の口止め料を要求した。
 オーシャンたちはトニーの棺に金を隠してシスコへ持ち出そうとしたが、お棺は火葬されてしまい、参列した仲間たちは呆然とした。
 強盗モノのわりにはずいぶんとゆったりした映画で、ディーン・マーティンやサミー・デーヴィス・ジュニアが歌ったりして、メンバーが勢ぞろいしてベガス向かうところで前半が終わり、後半になってやっと犯罪映画らしくなる。
 計画も大ざっぱで、緻密な犯罪を見せる映画ではない。
夜ごとの美女(原題:Les Belles de Nuit) 監督&脚本:ルネ・クレール 1952 仏 モノクロ 1:1.33 2006/05/29(月) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系、感覚系 ★★ 2006/06/04
ストーリー 感想
 夜は近所の騒音に悩まされながら安アパートの一室でピアノで作曲、昼は学校の音楽教師をしているジェラール・フィリップが、放課後に行ったピアノの家庭教師先で眠気に襲われ夢を見る。
 1900年の人気作曲家のジェラールはオペラの上演が決まって婦人(マルティーヌ・キャロル)と恋に落ちたが、また夢の中で再会することを約束して目が覚める。
 酒場のラジオから夢の中で婦人がピアノで弾いていた曲が流れてきて、それが実際にあった昔の曲だったことがわかった。
 その夜ベッドに横たわったジェラールは夢の中で1900年の婦人と再会し、その後1830年のころはもっと良かったという老人の一言でアルジェリアに出兵する兵士になったジェラールは、アルジェリアの王女(ジーナ・ロロブリジーダ)と恋に落ちるが、敵同士のため再会を約束して別れた。
 また老人が現れて、ルイ16世の頃の争いは生きる喜びを奪ったと言って、ジェラールは侯爵令嬢のジュザンヌ(マガリ・ヴァンデゥイユ)にチェンバロを教えていたが、彼女の父が2人の恋を引き裂こうとしたので、ジェラールは革命を唱えた。
 ここでジェラールは目を覚まし、再度寝ようにも外が騒がしく、家賃の滞納のかたにピアノを持っていかれそうになったり、学校に遅刻したり、夢の中の女たちにそっくりな女たちには男がいたりで、イライラが募って郵便局で暴れて警官に連行されて、留置場で夢を見る。
 ジュザンヌと再会して翌朝の駆け落ちを誓った後、王女の侍女から月の出とともに密会する手はずを聞き、婦人とオペラを祝うパーティの後に会うことを約束した後、起こされて釈放される。
 眠りたくても眠れなくなり、睡眠薬を買おうとして近所の人たちから自殺すると思われ、つきまとわれて余計眠れなくなったが、深夜にやっと寝て婦人と再会するも、時間が遅くなって夫が帰宅してきたのと鉢合わせになり、逃げ出して王女に会いに宮殿に忍び込むと、彼女の兄たちに見つかって逃げ出し、ジュザンヌに会いに行くと、ジェラールを待っていたところを蜂起した市民たちに連れ去られ、彼女を追って貴族に間違われて捕まり、ジュザンヌに愛の障害の無い20世紀は良かったと話したあと、ギロチンにかけられたところで目が覚めた。
 今度は眠りたくなくなった彼が騒ぎながら夜の通りに出ると、近所の自動車修理工の娘のジュザンヌが現れて2人は抱き合い、お互いに愛し合っていることを知った。
 堪えきれず眠ってしまったジェラールは、各時代の人々から追われて逃げ回り、あわやというところで目を覚まして逃げた。
 そこに、ジェラールにオペラの審査会への招待状が来ていて、ジェラールと近所の人たちが車を飛ばして駆けつけると、彼の作品が採用されたことがわかった。。
 ジェラール・フィリップが、覗いていた望遠鏡を耳に当てると遠くの話し声が聞こえたり、異なる時代を移っていくうちに恐竜がいる原始時代やノアの箱舟の時代にまで行ったりと、夢の中の世界という設定を自由自在に使っている楽しいロマンチックコメディ。
 出演者の中で他に知っているのはジーナ・ロロブリジーダしかいないのだが、彼女はアラビア風のブラジャー1枚の衣装や、入浴シーンでの後姿のヌード(吹き替え?)も見せてくれる。
666号室 (原題:Chambre 666) 監督:ヴィム・ヴェンダース 1982 仏=西独 カラー 1:1.33 2006/05/28(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドキュメンタリー ★☆ 2006/05/28
 1982年のカンヌ映画祭に集まった映画人を、ホテルの一室に呼んで、カメラの前で「映画は滅びるか?」というテーマで自由に語ってもらう。
 ゲスト任せの単なるインタビューという、ほとんど何も手間をかけていない内容で、映画の出来はゲストの発言の中身しだいという出たとこ勝負。
 結局、まとまりのあるものになる保証が無いなりの結果で、発言内容も全員のが有意義ということもなかった。
 その中で印象に残ったのは、多くの人が芸術的な面の発言をしていたのに、「制作費が高騰し続けていて、これからも大変だろうが、そんな状況でもベストを尽くすしかない」と、現実的な問題を挙げていたスピルバーグ(『E.T.』で出席)と、小説や演劇や詩が廃れたように映画も廃れつつあると言っていたポール・モリセイ。(映画だけでなく、芸能全体に対する人々の見方が浅くなっているというのには同感だけど、その原因を登場人物のキャラに魅力があるものがなくなったというのはどうかな? テレビのトーク番組が面白いのは当人のキャラがよく出てるから、という意見も一理あるかもしれないけど。)
喜劇 女は男のふるさとヨ 監督:森崎東 原作:藤原審爾「わが国おんな三割安」 脚本:山田洋次、森崎東、熊谷勲 1971 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/05/23(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/05/24
ストーリー 感想
 森繁久彌と中村メイコの夫婦は、新宿のうらぶれた住宅街で何人かのストリッパーを抱える「新宿芸能社」を経営していて、数年前にとんずらした倍賞美津子がそこに戻ってきた。
 倍賞が巡業先から少しずつ送っていたお金が500万円になっていて、2人は結婚を望む彼女に縁談を持ちかけようとしていたところ、倍賞が大阪から彼女を追いかけてきたヒモにさらわれたと聞いた森繁が彼女を連れ帰りるために潜入したのはぼったくりバーで、森繁は有り金を取られた上に殴られて大怪我を負い、中村は仕返しにバーに大量の糞尿を撒き散らす。
 翌日、バーの連中がお礼参りに来て、倍賞がヒモに包丁で立ち向かおうとしたところに警官隊が来て一味は捕まったが、倍賞は責任を感じて出て行き、気仙沼で彼女の熱烈なファンの自動車整備工の河原崎長一郎と知り合い、倍賞がもらったスクラップのマイクロバスを修理して、2人でそこに寝泊りしながらの巡業の旅に出た。
 新宿芸能社に陰気な緑魔子が倍賞の紹介でやって来て、ストリッパーへの道を歩き始め、年が明けて倍賞は別府で運転免許を取り、倍賞は河原崎に鹿児島まで一緒にいてもいいと言うが、パスは倍賞がもらったスクラップではなく河原崎が自腹で買ったものだと知り、倍賞は河原崎の愛情の強さを知って求婚して、2人で新宿芸能社に帰って来た。
 しかし間もなく、河原崎は妻子があって、実家に遺産が転がり込んで一族の人が変わってしまったことに嫌気がさして蒸発していたのだと話し、河原崎が結婚後の生活のために遺産を分けてもらって妻とも別れるために実家に帰ったすきに、倍賞がどこかへ立ち去ってしまった。
 緑が大学を不合格になって自殺しようとした少年を思いとどまらせるために青姦をしたことで警察に捕まったがすぐに釈放され、彼女の行為を気に入った近所の伴淳三郎が緑を嫁にもらうことになり、倍賞はバスを運転しながら地方を回っていた。
 森崎監督らしい、わい雑な魅力がある映画。
 映画が始まっていきなりものすごい体の柔らかいストリッパーがネグリジェにブラジャー姿でブリッジをしながら森繁の周りをうろうろしするといったエロから、なんといっても、大きいポリバケツ数杯分のうんこを撒くという凄いグロまで盛りだくさん。
 新宿芸能社は、確か『書を捨てよ町へ出よう』でも舞台になっていた廃線脇の建物にある設定だけど、あの廃線って今で言うとどこにあったんだろう?
ウンベルト・D (原題:Umberto D.) 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 1951 伊 モノクロ 1:1.33 2006/05/13(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★☆ 2006/05/13
ストーリー 感想
 元公務員のウンベルト・D(カロル・バッティスティ)は、年で体が弱っている上に安い年金で高い家賃は払えず、大家の女から立ち退きを要求されていたが、彼女の使用人でどの恋人のか判らない子供を密かにみごもっているマリア(マリア・ピア・カジリオ)は彼の味方だった。
 大家が夜に客を招きいれて歌い騒ぐのにも耐えられなくなり、飼い犬をマリアに預けて病院に入院した。
 すぐに退院させられ部屋に戻ってくると、そこは大家の結婚相手が住む部屋として改装中で、犬が逃げていったので保健所に行くと、危うく野犬として処分されそうだったところを見つけることが出来た。
 しかし、街で出会った顔見知りたちも彼のお金に困った話を聞こうともせず、ある早朝マリアに、父親ではないと言い張る恋人とは別れるようにとの別れの言葉を残して部屋を出て行き、犬を誰かに与えようにもいい貰い手がなく、犬を抱えたままフラフラと踏み切りの中に入って列車が目の前を通過し、ウンベルトに殺されると思った犬が彼から逃げて行って、彼が犬を追いかけ犬も彼のところに戻り、彼らは一緒にどこかへと道を歩いていった。
 貧しい者が溢れる時代の、貧しい人の貧しい生活を描いたよくあるタイプの映画なのだが、終盤でウンベルトにとって最後に残った人生の仲間である犬とのやりとりによって物語をドラマチックに盛り上げているのは、さすがのデ・シーカ監督だった。
紳士泥棒 大ゴールデン作戦 (原題:After the Fox / Caccia Alla Volpe) 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ 脚本:ニール・サイモン 音楽:バート・バカラック 1966 英=伊 カラー 1:2.35 2006/05/13(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/05/13
ストーリー 感想
 エジプトで金塊の輸送車が強奪され、警察は輸送先と見られる地中海沿岸の各港を警戒するように手配し、その警戒網を突破できそうなイタリアの犯罪の天才の通称フォックス(ピーター・セラーズ)をマークした。
 服役中だったセラーズは面会に来た手下を通して強奪犯からこの陸揚げの仕事を依頼されたが、彼はむしろ愛する妹のブリット・エクランドが街をふらついていると聞いたことに憤慨して脱獄し、50%の分け前で仕事を引き受け、偽映画監督に扮してイタリアの小さな港町でロケをし、小道具として本物の金塊をエキストラに船から運び出させようと考え、地元警察や町人たちを信用させて協力させるために、ちょうどイタリアに来ていたアメリカのかつての人気スターで、老いた今でも若ぶっているビクター・マチュアに出演交渉をして引き入れた。
 計画が成功しかけたところに、脱獄していたセラーズを追っていた刑事に見つかって金塊ごと捕まり、ロケ隊やエキストラたちが裁判にかけられ、セラーズが1人で罪をかぶって刑務所に戻るが、すぐに脱獄するのだった。
 1960年代のピーター・セラーズ出演のイギリス映画の典型的なパターンで、彼が得意の変装やイタリア訛りの英語などを駆使した、ギャグは多いけどほとんど面白くないものばかりのコメディ。
 ただし、この映画は監督と脚本家がこの顔ぶれなだけに、よくこんなセルフパロディっぽい役を受けたと思えるほどのヴィクター・マチュアのキャスティングや、セラーズ扮する偽監督の思いつきの演出が、若さだけにこだわっていたマチュアに俳優としての資質に目覚めさせたり、でたらめなカメラワークにみんなが失笑を漏らす中評論家が勘違いして絶賛したりなどの皮肉が盛り込まれている。
ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密 (原題:"Ghosts of th Abyss") 監督:ジェームズ・キャメロン 製作:ジェームズ・キャメロン、チャック・コミスキー、アンドリュー・ワイト、ジャナス・タシュジャン 出演:ビル・パクストン、ジェームズ・キャメロン 2002 米 カラー IMAX 2006/05/08(月) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドキュメンタリー ★☆ 2006/06/04
 2001年に、ジェームズ・キャメロンらの手によって海底に沈むタイタニックを撮影したドキュメンタリー。
 海底での現在の映像に『タイタニック』の映像を重ねることで往時の姿を想像しやすくするよう工夫したりしている。
 さらに、終盤に2台のリモコン式の探査機の1台が故障してタイタニック内で動かなくなり、残り1台で「救出」する予定外のドラマも記録されている。(もちろん、映画本来のテーマとは無関係だけど。)
 しかし、これが思いのほか盛り上がらない映画になっているのは、現在のタイタニックの映像は学術的な意味が大半と言ってよく、たとえ海底の遺品が朽ち果てた姿になったことで年月の長さを感じるにしても、逆に朽ちずに当時の姿を残しているものを見ることで感慨にふけるにしても、それらは結局「モノ」に対してのものでしかない。
 結局私のような物性面での興味が無い者は、専らタイタニックに対する関心は「逸話」的なものであって、すなわち、何が起きて、それからどうなって、人々は何を思いどう行動したか、といったことであり、それらは単なる撮影記録よりも再現ドラマの方により期待できるということだろう。
 この映画はアイマックスで作られているのだが、テレビで見た低解像度の映像から想像するに、劇場でもアイマックスならではのハイクオリティーな映像のシーンはほとんど無かったのではないだろうか?
 つまり、映画の大半を占める潜水艇での撮影はビデオカメラによると思われるので、それをアイマックスにブローアップしたのではせっかくの大画面プリントの良さが発揮されなかったのでは?ということ。
 アイマックスはそのハイコスト&ハイクオリティな上映方式から、通常の35ミリプリントの映画との差別化のためには、得意とする雄大な風景を作品のメインにすえると、アイマックスのカメラの大きさがあだとなって、機動性の観点から使用が制限されるというジレンマがあると思われる。
青い山脈 監督:西河克己  原作:石坂洋次郎 脚本:井手俊郎、西河克己 1963 日(日活) カラー 1:2.35 2006/05/07(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★☆ 2006/05/08
ストーリー 感想
 城下町の地方都市、東京から来た女子高の先生の島崎雪子(芦川いづみ)に、体育教師の田中(藤村有弘)がラブレターらしい手紙を渡そうと彼女の本に差し込むが、その本は同僚の白木先生(北林谷栄)に貸し出された。
 放課後、島崎は前の学校で不純異性交遊の噂が立ったことで高2のときに転校してきて、1人珍しくバイク通学をしている寺沢新子(吉永小百合)から、もらったラブレターが同級生の誰かが寺沢が男好きかを試すために書いたものに違いないと相談を受け、島崎は校医の沼田(二谷英明)に相談するが、きっちり対処した方がいいという島崎に、沼田が古臭いルーズな人間関係を肯定するような回答をしたので、島崎は沼田を張り倒し、その後に沼田は彼に気がある芸者置屋の女将の梅太郎(南田洋子)に会い、彼女の妹で市会議員の通称「赤牛」(三島雅夫)にはらまされ捨てられて流産した駒子(松尾嘉代)の往診のために置屋に行って、ビンタされたことを話すと、梅太郎は脈があると言った。
 島崎がホームルームでラブレターの話を持ち出したところ、寺沢がバイクで傷つけた松山浅子(進千賀子)のスカートの弁償のため、家業の養鶏の卵を売りに行った先の店番をしていた大学生の金谷六助(浜田光夫)にネズミに驚いて抱きついたところを見ていた生徒がいて、寺沢の不純な行為が学校の名誉を汚すことを戒めるために松山たち数人が偽の手紙を書いたことを白状し、島崎がその行為は母校愛ではなくひがみだと責めたため、寺沢を除く生徒たちが島崎に反発して事は大きくなり、寺沢、島崎、沼田、金谷、金谷と同じラグビー部で寺沢に一目ぼれした富永(高橋英樹)、梅太郎、梅太郎の末の妹で女子高の生徒の笹井和子(田代みどり)たちが、赤牛を頂点として先生たちの大半と対立することになり、脅しをはねつけた沼田が往診の電話に呼び出されて赤牛の手下に暴行を受けたりもした。
 金谷と富永が寺沢の家を訪ねると、赤牛の息のかかった農協が、組合員たちの鶏をよそに売ってもうけるために安く買い上げることにことを決めたので、寺沢の家の鶏をその日の夜に密かに運び出すのを2人も手伝うことになり、途中の山道で男たちが封鎖していたのを乱闘の上で突破した。
 PTAの役員会議が開かれ、沼田の作戦で富永を保護者代理として潜入させ哲学的な発言をさせて議論の流れをコントロールしようとし、議論が発展しないまま赤牛の提案で投票した結果島崎支持の票が上回ったが、田中が偽物だと見破った富永を激しく追及して状況は不利になった。
 そのとき、白木が田中が島崎に書いたラブレターを暴露して田中は逃げ出して会議はお開きになり、保護者として出席していた梅太郎は、島崎と沼田のつながりの強さを知って沼田から身を引き、後日、後ろめたさから偽ラブレターを校長室から盗み出そうとして見つかった松山に、寺沢はわざと殴られて仲直りし、サイクリングで海に行ったときに、金谷と寺沢、沼田と島崎はお互いに好きだと告白し合った。
 「青い山脈」3度目の映画化で、これまで唯一観たことのある1949年の今井正監督による初映画化作品ののストーリーはよく覚えていないが、あちらが正続合わせて約3時間だったのに対し、こちらは100分と尺が半分ぐらいしかないので、少なくともかなり端折っているのではないだろうか?
 それでも、旧態然とした因習の堅苦しいさをユーモラスかつねちっこく暴いてみせるのことでおなじみの石坂洋次郎による物語は、この映画でもやっぱり面白い。
 それに、単に価値観の新旧間の対立だけでなく、革新側の中でも島崎先生のように中央突破で力任せに保守派の偏見を破ろうとするより、表面的には保守派に調子を合わせて接しながら相手を変えようとする狡猾さの方が重要なのでは?という対立軸も含む奥深い話でもある。
 しかし、映画の中ではこれらの対立の決着はつけられないまま、有名な海に向かって叫ぶラストシーンでうやむやにされてしまって、かなり拍子抜けしてしまった。
 それに、鶏を売るくだりは、学校内の話とは全く関係なく、カットした方が良いと思う。
愛と平成の色男 監督&脚本:森田芳光 1989 日 カラー 1:1.85 2006/05/06(土) HDDレコーダー(テレビ東京) ドラマ系 ★☆ 2006/05/07
ストーリー 感想
 石田純一は彼目当ての若い女の患者たちで予約がいっぱいの歯医者で、恋人の久保京子から結婚を迫られているが結婚する気はなく、それでも日常をぬるく感じて確かな恋愛を求めていて、不眠症に悩んでいてで夜はジャズクラブでアルトサックスを吹く日常だった。
 恋人の久保と別れるために、歯科医で看護師をしている妹の鈴木保奈美を宗教の熱烈な信者に仕立てて会わせ、別れることが出来たが芝居はばれていた。
 石田が保奈美とディスコへ行ったときに、歯が痛い話をしていたことで話しかけた財前直見と知り合った。
 彼女は昼は画廊で働き夜はホステスをしていて、石田が夜道で彼女が石田の大学の同級生で歯科医の桂三木助と歩いているところを見かけて、一緒にいた財前の同僚の武田久美子に一目ぼれした。
 その後、石田は財前を家まで見送ったが長居せずにすぐに帰り、翌日停めた車の中で寝ていると、駐車禁止の取締りをしていた婦人警官の武田と再会して、その日2人はラブホテルに行って抱き合い、石田の不眠症は解消した。
 石田はクラブを辞めた財前とも付き合い続け少しずつ恋愛が発展していったところに、病院で財前と武田がダブルブッキングで鉢合わせをしてしまって喧嘩をしだした。
 石田が岩手に演奏しに行ったときに、聴きに来ていた鈴木京香と知り合い、刺激のない田舎を出て東京に行きたいという彼女に東京行きを勧め、東京で2人でデートをしているところを、一緒にいた財前と武田に見られてしまった。
 石田を求める京香に、石田は東京に出て来たのなら自分のことは1人でするようにと言って立ち去り、後日、財前と武田と3人でデートをすることになった石田は、自分を分かち合おうとしている2人と別れるために実は妻子持ちだといい、信用しない2人を家に招待して、京香とどこかの子供3人を家族に仕立ててファミリーパパ振りを見せ付けた。
 しかし、これも嘘だと見破った2人は、三木助と共に嫌がらせで石田をマスコミに大々的にとりあげてもらうようにし、石田はたくさんの女性に追いかけられた。
 妻を演じて以来石田の家に居座るようになった京香も石田に結婚を迫るようになり、石田は彼女から逃げるため、病院をたたんでバングラディシュで医療活動をするようになったといい、京香と財前と武田が見送る中、妹と一緒にヘリで飛び立ち、6日間のグアム旅行へと行くのだった。
 結婚はしようとせずに、複数の女と付き合いながら、関係がうっとうしくなったら別れて他の新しい女を捜すという、「色男」が主人公の物語の典型で、こういう話は社会状況にはよらずに、どの時代の物語でも受け入れられるもののようだ。
 つまり、ある意味普遍的な物語なのだが、この映画はむしろあまりに中立的過ぎるといった感じで、 物語のどこにも作り手がツッコミも批評もなく、観ていてこの物語のどこに関心を持ったらいいのか解らないままだった。
 つまり、登場人物の誰にも好意も嫌悪感も抱くことが出来ず、何をしようが「勝手にすれば」としか思えなかった。
 タイトルに「平成」とあるのだが、その時代の表層的な風俗は描かれていても、時代の根幹に関わる特殊性は感じられなかった。
 「愛と平成の〜」というタイトルが、いかにも「愛と○○の××」という安直な映画のタイトルを連想させることから、てっきり物語の軽薄さを批判的に捕らえた映画だと思ったのだが、それが図星でもなければ大きく見当ハズレでもなかった。
 物足りない映画だと感じたのは、そんな理由からだろう。
魂のジュリエッタ (原題:Giulietta Degli Spiriti) 監督:フェデリコ・フェリーニ 1964 伊=仏=西独 カラー 1:1.66 2006/05/04(木=休) HDDレコーダー(NHK-BS2) 観念系、感覚系 ★★☆ 2006/05/07
ストーリー 感想
 結婚記念日を自宅で祝おうとジュリエッタ(ジュリエッタ・マシーナ)は使用人たちと準備して夫の帰宅を待っていたところに、夫が予定外のお客を呼んで、中に霊媒師がいたことからみんなで降霊術が行われて、その最中ジュリエッタは気絶した。
 翌日、浜辺でくつろいでいた彼女は、奇妙な幻想や夢に襲われた。
 夜、夫は「ガブリエッラ」という寝言を言っていたのを聞いたジュリエッタは翌朝そのことを夫に訪ねたが、そんな女は知らないと答えてそそくさと出て行った。
 結婚記念日の夜に来た占い師の女が、世界的に著名なアメリカの占い師が7年ぶりに来たということで、ジュリエッタを連れて行き、怪しげな説法に半信半疑な彼女は、夫に浮気されているかもしれない心の不安を話すが、反感を覚えた占い師が不気味な現象を起こすと、ジュリエッタは脅えて、帰り際に「今日いいことがある」と言われた。
 帰りの車の中でジュリエッタは、教師だった祖父が踊り子を見初めて、彼の妄想の中で踊り子と2人で飛行機で飛び去った話をした。
 その夜、夫がひそひそ声で電話をしているのを見つけたジュリエッタは問い詰めるが、夫は誰と電話で話していたのかは言わず、姉に相談して私立探偵に調査を依頼することにした。
 ジュリエッタは、子供の頃に殉死した聖女の役を演じたことを思い出し、それを演じたときに火あぶりになって天に上れば神様に会えると思っていたが、直前で祖父が子供を火あぶりにかける劇はけしからんと乱入して、ジュリエッタを連れ出した。
 ジュリエッタは友達のスージー(サンドラ・ミーロ)と会い、彼女のセックスの話を聞かされた。
 ジュリエッタは探偵から夫がガブリエッラという女と会っているところの16ミリフィルムや録音テープを提示された。
 ジュリエッタはスージーのところへ行き、そこで若い男をあてがわれるが、聖女を演じた子供の頃の自分が火あぶりにかけられる幻覚を見て我に返り、その場を立ち去った。
 ジュリエッタは火あぶりにかけられる幻想に襲われ続け、浮気心を起こしたことを後悔したりなど、復讐か寛容かどうすべきか悩み苦しみ、弁護士から離婚することを忠告され、友人は彼女に、夫に捨てられることを恐れているが、本当は1人になりたいと思っていて、
 ジュリエッタはガブリエッラを訪ねたが、帰りが遅くなるとの彼女からの電話があって会えず、家に帰ると、夫が休養のため一人旅に出ると言い、ガブリエッタはただの友達だと言って出て行くのを見送ったが、ジュリエッタの心の中にはかつて仲睦まじかった2人と、夫を待つガブリエッタの姿があった。
 1人家に残されたジュリエッタを、過去の様々な出来事の幻想が襲い、その中の火刑台に縛られた聖女を演じる自分を助け出すと、幻覚はすべて消え去り、唯一残った「本当の友達」の声と共に、気分が晴れていくのだった。
 ほとんどの映画は物語から出来ていて、ある時間から始まってある時間で終わるという、ある範囲の時の流れを描いている。
 これとは別に、例えばある人が今考えてることをそのまま描いたような映画というのがあって、最近の映画では『TAKESHIS'』が解りやすい例だが、これには時の流れは無関係だから物語性は薄い。
 前者のタイプは普通の映画の決まりごとに則っていると言えるのだが、でも作者が自分の考えていることを映画で表現しようとしたとき、前者のアプローチは後者に比べて、その考えを託す物語をわざわざ作るのが面倒くさいことが問題になる。
 また、前者のような物語が中心となっている映画よりも、後者のイメージ中心の映画の方が、小説など別のジャンルでは表現しにくく、まさに映画でしか表現できないタイプの映画だと言える。
 映画監督の中にはキャリアの晩年になると、細かい決まりごとは無視して、映画ならではの表現を追及しようとして、物語中心の映画からイメージ中心の映画を作るようになる人が結構いるようで、日本の代表例は鈴木清順、そして海外ではフェリーニがそれに当たるだろうか?
 フェリーニは、『8 1/2』にはその傾向が出ていて、その次の作品で彼の初のカラー作品である『魂のジュリエッタ』ではっきりしたようだ。(ちなみに、黒澤明も彼の初のカラー作品である『どですかでん』(1970)で物語性がぐっと薄まったのは偶然か?)
 『魂のジュリエッタ』という邦題の「魂」からは、「魂がこもっている」という印象を受けてしまうが、正確には「観念のジュリエッタ」というべきか?
 『TAKESHIS'』が北野武監督の頭の中のある思いをそのままイメージ化した映画であるように、この映画もタイトルが示すように、フェリーニの妻であるジュリエッタ・マシーナの頭の中をそのままイメージ化した映画だと思われ、彼女の過去の記憶や妄想が、映画の中ではそのまま幻覚という形で描かれている。(実際にフェリーニが浮気をしていたのか、ジュリエッタが子供の頃の宗教的な経験に囚われているのかは、よく判らない。)
 その映像表現は、いわゆるフェリーニならではの自由でゴージャスな感じが出ていた。
 ただし、こういう映画の場合、その描かれている人自体に興味が持てるかがポイントになり、『TAKESHIS'』の北野監督は約25年来のおなじみなことが映画を面白く観れた理由かも知れないが、ジュリエッタ・マシーナの夫婦仲や宗教のことはどうしても興味が持てないのがつらいところ。
ディープ・ブルー (原題:Deep Blue) 監督:アラステア・フォザーギル、アンディ・バイヤット 2003 英=独 カラー 1:1.66 2006/05/04(木=休) HDDレコーダー(WOWOW) ドキュメンタリー ★☆ 2006/05/04
 海にまつわる、主にそこに住む生物たちの映像をたくさん集めて、見た目のインパクトが大きいものを中心にしたヴィジュアルが主役のドキュメンタリーで、そこにシンフォニーのBGMをかぶせて情感たっぷりに編集して見せる、といった映画だが、そんなコンセプトは正直言って使い古されているので観ていてすぐに飽きてしまい、「よく撮ったなぁ」という感想どまり。
 だから、こんな映像今まで見たことないという「どうぶつ奇想天外!」も知らないような人や、こういう映像は何度見ても見飽きないという人にはいいかも。
三十三間堂通し矢物語 監督:成瀬巳喜男 脚本:小国英雄 1945 日(東宝) モノクロ 1:1.33 2006/04/28(金) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/04/29
ストーリー 感想
 江戸時代初期、和佐大八郎(市川扇升)の父親は紀州藩の侍で、京都の三十三間堂での通し矢の記録を持っていたが、後年になって星野勘左衛門が一日で八千本当てるという大記録で更新し、もはや若くない父が藩の名誉をかけて再挑戦を命ぜられて挑むが及ばず責任を取って切腹した。
 大八郎は国元を離れて京都のお茶屋の小松屋の若い女将のお絹(田中絹代)の元で5年間世話になり、17歳になったときに亡き父に代わって再挑戦すると名乗り出たが、練習では記録に及ばずスランプに陥っていた。
 大八郎が夜の街を歩いていたときに、何者かの差し金で彼を付けねらう侍たちとの口げんかから斬り合いになり、大八郎は小松屋に逃げ帰り、大八郎に手傷を負わせようと小松屋に来てお絹が応対していたところ、隣の部屋で泊まっていた唐津勘兵衛(長谷川一夫)が割り込んできて、彼の凄みに侍たちは逃げていった。
 勘兵衛はお絹に自分が大八郎の弓の指導をすると申し出たが、実は彼こそ星野勘左衛門で、家名を守るため大八郎の邪魔をしようとしている弟の数馬(河野秋武)と出くわし、考え方の違いを明らかにした。
 大八郎が勘左衛門を意識して自信を無くしていたところに、数馬が小松屋に現れて兄の勘兵衛に会いに来たと言ったことで正体がバレ、勘左衛門は数馬について有馬から出てきた母の所に行き、小松屋の人々は一様に憤慨した。
 数馬は勘左衛門に大八郎との弓の試合を提言して2人行った結果大八郎が勝ち、自信を得た大八郎は通し矢に挑み、午前中で目標の半分以上の5千本を当てたところで昼休みを取ろうとしたところ、立ち会っていた勘左衛門が今の調子で休まず続けることを進言したが大八郎は聞き入れなかった。
 勘左衛門の言ったとおり、午後になって急に矢が当たらなくなった大八郎は取り乱し出し、勘左衛門はお絹に密かに痛み止めと、勘左衛門に勝ったのだから自信を持つようにとのアドバイスを托し、お絹からそれを聞いた大八郎は調子を取り戻して、ついに8133本を当てて勘左衛門の記録を破り、勘左衛門は人知れず1人旅立つのだった。
 映画の出来はまずまずなのだが、主人公の大八郎のキャラが、ただただ子供っぽ過ぎ。
 通し矢を控えているのに挑発に乗って斬り合いを始めようとするわ、勘兵衛から的確な教えを受けていながら、彼の正体が勘左衛門とわかった途端に、その教えはどこへやらで部屋に閉じこもってしまうわ。
 そんな応援する気にもなれない男が主人公であるところが、この映画を楽しめなくしている。
暴れ豪右衛門 監督:稲垣浩 脚本:井手雅人、稲垣浩 1966 日(東宝) モノクロ 1:2.35 2006/04/24(月) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★☆ 2006/06/04
ストーリー 感想
 加賀七党の一揆の一派を率いる豪右衛門(三船敏郎)は勝ち続けていて、人質に出ていた弟の弥藤太(佐藤允)と隼人(田村亮)も村に戻って来ることになった。
 弥藤太は豪傑でワンマンの兄を尊敬していたが、隼人は自意識の方が強く、人質になっていた先の戦国大名円城寺の城で知り合って相思相愛だった、やはり人質だった越前朝倉家の梓姫(星由里子)のことが忘れられずにいた。
 一方朝倉家では、円城寺より一揆のほうが敵として手ごわいが、とりあえず円城寺を倒すために百姓たちを丸め込もうと考えていたが、豪右衛門を説得するのは難しいと彼らも思った通り、話を持ちかけた豪右衛門は、策略が当たり前の侍の申し出などあっさりと断った。
 朝倉は他の七党の百姓たちと共に円城寺を攻め入り、二人の弟はやがて侍の時代が来て百姓だけ団結しても歯が立たないと思っていて、侍と手を結ぼうとしない兄の選択に不安を感じていた。
 弥藤太は落ち武者が村に捨てていった赤子だったあやめ(大空真弓)と恋仲だったが、侍嫌いの豪右衛門はあやめも毛嫌いし、あやめは弥藤太に駆け落ちを持ちかけるも、弥藤太は村に留まって兄と行動を共にすることを選んだ。
 朝倉が村を攻めようと迫っているのを知った豪右衛門は朝倉の砦を攻めに行くが、隼人が梓姫を追って朝倉に寝返り、戦のない世を作るために砦の総大将になって豪右衛門たちと戦おうとしていた。
 豪右衛門が隼人を目覚めさせようと怒鳴りつけるうちに隼人は兄のもとに行こうとして砦の門に挟まれたまま朝倉軍に殺されて、豪右衛門たちは門を突破して砦を乗っ取るが、そのすきに村を攻められる。
 朝倉の城に攻める本隊とは別に村には豪右衛門ら3人だけが村に戻るが、村人の半数近くが殺された後で、豪右衛門が後を任した妻の小笹(乙羽信子)を責めて殴りつけるが、彼女が待望の子供を身ごもっていることが判って、急速に怒りがおさまる。
 そこに、砦が朝倉軍に攻められているとの知らせが入り、豪右衛門と生き残った村の女子供たちが向かおうとしたところ、朝倉軍と行動を共にしていた百姓たちが豪右衛門を攻める気になれず次々と寝返って村に現れ、豪右衛門は加勢に感激しながら手薄になった朝倉の城に攻め込むのだった。
 ワンマンな夫に虐げられているように見えるが、実は夫を理解して調子を合わせている乙羽信子の妻や、敵についていたと思ったら味方になるといった加東大介演じるフットワークの軽い男など、魅力のある脇役もいるのだが、圧倒的に三船敏郎の存在が映画を支配している。
 その結果は、彼の演じるキャラが怒鳴り散らし続ける一辺倒で、映画も前半中盤と単調な印象だったのだが、クライマックスになって三船が追い詰められたり心の弱みをちょっとだけ見せたりすると、ぐっと人間的な厚みが出て、映画も盛り上がりを見せるあたりが、さすが三船敏郎ならではの比類なき魅力。
月形半平太 監督:マキノ雅弘 原作:行友李風 脚本:伊藤大輔 1961 日(東映) カラー 1:2.35 2006/04/22(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/04/23
ストーリー 感想
 薩長連合が実現していなかった頃、月形半平太(大川橋蔵)は京都の勤皇の志士たちを取り仕切って、長州藩士や浪人たちを斬っている見廻組と相対することになったが、敵討ちを訴える藩士たちを、時期を待つようにと言って抑えた。
 彼はまた、芸妓の梅松(丘さとみ)とお茶屋で親密に会っていたが、長州藩士たちが見廻組の奥平(山形勲)を夜道で襲う計画を察知し、月形と梅松が田代になりすまして待ち伏せ場所に行って計画を妨害した。
 後日、月形が夜道を1人で歩いているところを襲った見廻組の1人早瀬辰馬(里見浩太朗)は、彼には敵わないと判断して斬り合いには加わらず、町人までも斬ってしまう見廻組に疑問を感じて脱退し、月形の所に行って匿われることになる。
 これを聞いた長州藩士たちは、月形が会津藩と通じているのではと疑いだし、早瀬のことを見廻組に密告することにし、奥平たちは夜道で早瀬を襲うが、現れた月形は逆に田代を斬り殺す。
 長州藩士たちの大半が幕府の側につくと言い出し、月形は日和見な彼らと袂を分かって夜道を1人歩いているところに、長州から桂小五郎(高田浩吉)が来て、長州は薩摩と同盟を結ぶことになり、藩内の薩長連合反対派を抑える必要があると言い、そこに反対派たちが月形を襲おうとして現れ、逆に月形は彼らを斬る。
 桂からの手紙を梅松が月形に届けに来て、月形はいよいよ幕府と対決する決意をしたことで、梅松は長州へ帰ろうとする月形と後でもう一度会う約束をしたが、その手紙は新選組と長州藩士たちが桂小五郎の名を騙って月形を大乗院へおびき出そうとしたもので、月形はそこで新選組と斬り合いになり、月形からの手紙で企みを知った早瀬も大乗院に向かい、途中長州藩士たちと出くわしてこちらも斬り合いになる。
 早瀬や桂たちが大乗院に駆けつけた頃、傷つきながらも敵を全滅させた月形は正気を失い、梅松は待ち合わせ場所で月形を待ち続けるのだった。
 まあ、芝居や殺陣など、映画の作りは確かで見応えがあるのだが、いかんせんストーリー的に今いち盛り上がらない。
ミスタア・ロバーツ (原題:Mister Roberts) 監督:ジョン・フォード、マーヴィン・ルロイ 原作:トーマス・ヘッゲン 1955 米 カラー 1:2.35 2006/04/21(金) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/04/22
ストーリー 感想
 太平洋戦争末期、後方で物資の輸送をしている海軍の船の乗組員たちは、退屈な任務に嫌気がさして異動届けを出していたが、船長のジェームズ・キャグニーはそれを認めなかった。
 やがて、ロバーツ中尉(ヘンリー・フォンダ)が最前線に異動することになったが、それは同僚たちが船長のサインの偽造大会を開いたおかげだった。
 しばらくして、艦に届いた郵便物の中にロバーツからの手紙があり、退屈に耐えて輸送する元同僚たちを褒め称えるものだったが、別の手紙にロバーツが日本軍の特攻で戦死したことが書かれていた。
 映画の全体的な雰囲気がメリハリが無く平板で、映画の世界に入り込もうという気持ちがサッパリ起きないまま終わってしまった。
モンパルナスの灯 (原題:Les Amants de Montparnasse / Montparnasse 19) 監督&脚本:ジャック・ベッケル 原作:ミシェル・ジョルジュ・ミシェル「モンパルナスの人々」 1958 仏=伊 モノクロ 1:166 2006/04/18(火) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/04/22
ストーリー 感想
 モディリアニ(ジェラール・フィリップ)は、誰からも彼が描く絵を理解されず、酒びたりで恋人のベアトリス(リリー・パルマー)と寝る日々をパリで送っていた。
 彼がリリーと街角で会っているとき、ジャンヌ(アヌーク・エーメ)を見初めるが、彼女はモディリアニと同じ絵画学校に通っていることがわかり、彼は早速彼女に近づいて2人は親しくなって、結婚するためにジャンヌが荷物を取りに実家に帰ったところ、両親に反対されて部屋に閉じ込められる。
 モディリアニはベアトリスにジャンヌのことを話すと、ベアトリスは彼には自分が合っていて彼女を不幸にすると忠告するが2人の結婚を受け入れ、モディリアニが家に帰るとジャンヌはいないままだったので、ジャンヌの家に夜に押しかけドアをノックし続けるうちにその場で倒れ、彼を診た医者はパリを離れて環境の良い土地に行くことを勧めた。
 モディリアニはニースに行ってしばらくすると、ジャンヌも彼を追って来て2人は一緒に暮らすようになり、彼の古典が画廊で開かれて結果は盛況で、新聞も好評だったが、モディリアニは浮かぬ顔で画廊を去り、また画商モレル(リノ・バンチュラ)は、彼の絵は酒びたりの彼が間もなく死んだ後に初めて評価されるのでその時に買うと、モディリアニの友人の画商のスボロフスキー(ジェラール・セティ)に言った。
 スボロフスキーはモレルには売らないと反発したが、モレルの予想通り、翌日には客足が途絶えた。
 アメリカ人の旅行者が彼の絵を気に入ってまとめて買うということでホテルに絵を持っていたが、俗物ぶりにうんざりして結局売らずに帰った。
 モディリアニが酒場でクロッキーを売ろうとして断られ続けているところにモレルが出くわし、モディリアニが夜道で倒れたのでモレルは彼を病院に連れて行ったが、モディリアニは死んでしまい、モレルは身内を探すと言って病院を後にしてモディリアニの家に行くと、ジャンヌに彼の死は告げずに絵を根こそぎ彼女から買い、何も知らないジャンヌは絵が売れたことを喜んだ。
 映画の最初に、「この映画は真実を元にフィクションを追加して作られている」といった意味の断りが入る。
 そうまでして創作として作ったわりには、深酒だか持病だかで死んじゃうだけの、ドラマチックとは程遠い、興味の薄い物語。
 ジェラール・フィリップって確かに男前なんだけど、彼の演じる役の身になって考える気分にはさせてもらえないなぁ。
 そういう意味では、例えばスティーブ・マックィーンなどとは間逆のタイプで、身近に感じることが出来る後者の魅力はわかるけど、前者は今いち魅力を感じない。
この首一万石 監督&脚本&原作:伊藤大輔 1963 日(東映) カラー 1:2.35 2006/04/13(木) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/04/14
ストーリー 感想
 日替わりで雇われ人足をしている権三(大川橋蔵)とちづ(江利チエミ)は恋仲だったが、武士の娘であるちづの父の東野英治郎は娘が町人の権三と夫婦になることを許さなかった。
 九州の小此木藩一万石の殿様の妻と側室が江戸屋敷で続けて3人懐妊し、そのたびに費用がかさんだため、家臣の代わりに権三たちがやっこになりすました道中人足として九州まで行くことになり、江戸にちづを残して旅立った。
 小田原に泊まった宿で酒も出ないので、人足たちは権三を除いて女郎を買いに繰り出し、翌日のろけ話を聞かされてむしゃくしゃした槍奴の権三が街道のごみを蹴ろうとしてつま先を怪我してしまい、一行から遅れて来ることになった。
 一行が三島で泊まることにしていた本陣に、後から参勤交代で来た渡会藩49万7千石が譲れと割って入って、応対した小此木藩の家臣が、東照宮由来の槍を運んでいるので、本陣は譲れないと嘘を言った。
 結局、渡会藩がお金を払うことで小此木藩が本陣を出て行くことになったが、その頃三島の宿に着いた権三がちづに似た女郎の千鶴(江利チエミ)を見かけて、槍を本陣に置いて千鶴のところに行き、槍が偽物だと気づいた渡会藩は、槍を取り返しに来た人足に、大事な槍を放って置いたことを責めて、武士の作法に則って取り返しに来いと、嫌がらせで追い返した。
 小此木藩士たちは嘘を隠すために槍を取り戻さなくてはならなくなったため、酔って帰って来た権三に武士になりたいとの望みを叶えてやると言って身なりを整えさせ、ちづとの縁談のこともあって最初のうちはその気だった権三も、切腹してくれと言われて自分が捨て駒のように扱われていると感じ始めて拒否して逃げ出し、そこに権三の命を救うために人足たちが盗み出してきた槍が権三の手に渡って、権三は小此木藩士たちに斬られながらも、槍で応戦して全員を殺してしまう。
 傷ついた権三のもとに千鶴が駆け寄るが、そこに三島の代官所の鉄砲隊が来て権三に向けて一斉射撃をし、巻き込まれた千鶴もろとも撃ち殺された。
 ニセやっこたちによる一行のドタバタを描いた映画だと思いながら、全体的にユルい印象で、伊藤大輔監督も晩年はこんな程度か?と思って観ていた。
 ところが、クライマックスになっていきなり阿鼻叫喚の斬り合いが繰り広げられてビックリ。
 橋蔵の役は町人だから槍の使い方はきれいなものではなく、その上何度も刀で斬られて血を流してヨタヨタしながら槍で戦っているので、そんな無骨な殺陣が双方血まみれのシーンの荒々しさをより強調している。
 いやあ、さすが伊藤監督、恐れ入りました。
 でも、やっぱりクライマックスだけ浮いちゃったかな?
クイール 監督:崔洋一 原作:秋元良平(写真)&石黒謙吾(文)「盲導犬クイールの一生」 脚本:丸山昇一&中村義洋  出演:小林薫、椎名桔平、香川照之、戸田恵子、寺島しのぶ、黒谷友香、名取裕子、水橋研二、他 2004 日(松竹) カラー 1:185 2006/04/08(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/04/09
 元々動物とのふれあいを感動的に描く映画に興味がないというのもあって、あまり気乗りしないまま観たので、映画としてはまっとうに出来上がっていると思うけど、それだけではやっぱり興味を持てないのは相変わらずだった、ということぐらいしかコメントできないなぁ。
茶の味 監督&脚本&原作&編集:石井克人 出演:佐藤貴広、坂野真弥、浅野忠信、手塚理美、我修院達也、土屋アンナ、中嶋朋子、三浦友和、樹木希林、加瀬亮、水橋研二、庵野秀明、岡田義徳、寺島進、武田真治、和久井映見、草g(なぎ)剛、相武紗季、堀部圭亮、野村佑香、田中要次、田中星児、尾野真千子、松山ケンイチ、高橋一生、森下能幸、三木俊一郎、他 2004 日 カラー 1:1.85 2006/04/05(水) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、感覚系 ★☆ 2006/04/08
 和のテイストを取り入れた映画とのふれこみだったが、見た印象ではその影響はほとんど無く、これまでの石井監督作品同様、長い時間をかけての深い表現とは間逆の、その場限りの表層的な表現で勝負した映画だった。
 その表現方法は『鮫肌男と桃尻女』や『PARTY7』ではうまくいってたと思うが、この映画ではうまくいってなかったようだ。
 『茶の味』はストーリーの主要なパートが男子高校生の片思いだったり、その妹が巨大な自分の姿の幻影にとらわれるなどの、繊細な表現で描かれるのが普通なものであり、石井監督風の小手先の表現を見ながら、やっぱり繊細に描いて欲しかったという願望の方が勝っていたからだと思われる。
スカイハイ[劇場版] 監督:北村龍平  原作:高橋ツトム 2003 日(東映) カラー 1:1.85 2006/03/30(木) HDDレコーダー(テレビ朝日) ダメ系 2006/04/03
ストーリー 感想
 刑事の谷原章介と教会で結婚式を挙げようとしていた釈由美子は、控え室で何者かに心臓を抜かれ、血まみれでバージンロードを谷原の方に向かって歩いて死ぬ。
 釈は、地獄と天国とどちらに行くかを決める怨みの門に来て、選択をするために霊になって現世に戻り、自分が何故誰に殺されたかを調べに行く。
 谷原もまた独自に捜査して犯人を殺そうとし、釈は殺人や自殺をすれば地獄に落ちると聞いて、谷原を止めようとする。
 やがて、犯人は大沢たかおとその手下の魚谷佳苗で、6人の心臓を集めれば亡き妻が生き返ると信じての犯行だと判った。
 怨みの門番の椎名英姫が大沢たちを止めようとして逆に殺され、釈が門番の役目を引き継ぐことになる。
 ついに6つの心臓が揃ったとき、大沢は谷原に撃ち殺され、怨みの門に来て釈と一騎打ちになり、その最中に門の向こう側のあの世から大沢の妻が蘇ろうとした時、谷原が現れて大沢を銃で撃ち、門は閉ざされた。
 大沢は観念して地獄に行き、谷原は再会した釈に結婚指輪を渡して、心臓マッサージで生き返って釈と別れて現世に戻る。
 そして、釈は怨みの門で死者たちを迎えることになるのだった。
 とにかく北村演出は、アクションシーン以外はもったりしていて話にならないくらいダメ、アクションシーンも含めて映画を5秒程度の単位で作ってそれらを継ぎたしているだけだから、緊張感が5秒以上続かない、アクションの緊張感が低いくせにカッコつけだけはいっちょまえで、おかげで余計に気分が冷める、女優たちはアクション要員か殺され要員ぐらいにしか思ってなくて全然魅力的に撮らない、等々、この映画もいつもの彼のダメパターン。
 なおかつ、この映画は飯田譲治作品並に無意味な殺戮を繰り返すだけの内容で、観ていてうんざりしてくるので、本来なら採点は最低点の☆(=クビ宣告)になるところ、この後に撮った『ゴジラ FINAL WARS』が面白かったということで、採点は★にする。
座頭市御用旅 監督:森一生  原作:子母沢寛 製作:勝新太郎、西岡弘善 1972 日(東宝) カラー 1:2.35 2006/03/30(木) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/04/03
ストーリー 感想
 野原で身重の女が男に金を奪われ殺されそうになっているところに座頭市(勝新太郎)が通りかかって男は立ち去り、市はその場で子供を取り上げることになったが女は息絶え、市は女が言い残した男の名を頼りに子供を届けようと立ち去り、その様子を1人の男の子が見ていた。
 市が訪ねた町で男は見つからず、目明しの森繁久彌から旅籠の女中をしている男の妹の大谷直子のことを聞いて彼女を訪ねると、大谷も兄の子供かハッキリしないので、とりあえず子沢山の家に金を払って預かってもらいながら兄の帰りを待つことにした。
 その町に三國連太郎親分の一家が来て、借金を返せない家の娘を集めて女郎屋を開こうとし、森繁から金で目明しの座を買おうとしたが、森繁はキッパリと断った。
 大谷も、亡き父が残した借金の一両が二十両にまで膨れ上がって親分に女郎にされそうになっていたところに、彼女の兄の明石勤が帰って来て、彼は妻に二十両を預けて先に帰らせたと言い、彼と殺された妻の間の男の子の健太が、市が母を殺したと言い、市は明石に殺しはしてないが二十両を作ると言って賭場に行き、イカサマを見破って二十両を手に入れた帰り道に賭場の男たちに襲われる。
 市は反撃しようとするが、市をつけ回している健太に「人殺し!」と言われて、反抗せずに捕まって拷問を受け、その後なんとか脱出して森繁のところに行き、お尋ね者の自分にかけられている懸賞金で大谷の借金を返すように頼む。
 森繁は断って市を追い返したところに、一味が現れて森繁は斬り殺され、明石が連れて行かれた大谷を返してもらおうと三國を訪ねると、市を殺せば返してやると言われたが、それは嘘で帰り道を襲われたところに市が現れて一味を斬り殺し、中の1人が健太の母の手ぬぐいを持っていたことから健太の疑いは晴れた。
 三國が大谷を抱こうとしているところに市が現れ、斬り合いの末三國たちを斬り殺して逃げ、大谷と健太に別れを言って去った後、街道で待ち伏せていた三國の用心棒の高橋悦史とすれ違いざま斬り合って倒す。
 今回も座頭市が、祭りの露天にあった獅子舞をかぶって隠れて、その後かぶったままで斬り合いをしたり、板の間に油をまかれてツルツルすべる状態で斬り合いをしたりなど、凝ったことをやっているが、シリーズ23作目ともなると、それだけで作品を持たせることは難しいなぁ。
乱れ雲 監督:成瀬巳喜男 脚本: 山田信夫 音楽:武満徹 1967 日(東宝) カラー 1:2,35 2006/03/26(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★☆ 2006/03/27
ストーリー 感想
 商社に勤める加山雄三は、外国勤務の辞令を受けたばかりの通産省役員の土屋嘉男を交通事故で殺してしまい、裁判で車の故障が原因であるため無罪の判決が出たが、商社にとって通産省は大事なのと、加山が運転していた車に接待の外人にあてがうコールガールを乗せていたことで、加山は青森に左遷になり、また未亡人の司葉子には賠償金を支払う誠意を見せたが、司は加山を拒み続けた。
 司は姉の森光子が女将をしている十和田湖畔のホテルで働くようになり、そこを接待客の常宿にしている加山が現れて、席を抜いた司は夫を思い出すと言って相変わらず加山を拒み続けるが、ついに加山の熱意が伝わり、転勤の希望が受け入れられたので、青森を離れる前に十和田湖を案内する約束をする。
 しかし、その転勤は危険な西パキスタンだと分かり、加山が司と十和田湖を散策していたとき、雨に降られて加山が風邪をひいて、司が彼女のホテルで彼の看病をする。
 加山との仲が噂された司は、姉に加山が夫を死に追いやったことを告げ、だから彼を愛するわけがないと言い、再会した加山にもそう言って、世間の目を気にすることはないと言って迫る加山と口論になった。
 十和田湖で心中があり、司は発とうとしている加山のところを訪ねて2人で山間の旅館に行き、途中交通事故現場を見て、2人の気持ちは動揺する。
 旅館で加山は司に幸せになって欲しいと言うが、司は答えられず、翌日加山は青森を離れ、司は1人十和田湖畔にたたずむのだった。
 司葉子は、普通に加山雄三と出会っていたら、普通に恋愛は順調に発展しただろうが、実際には数々の障壁が立ちはだかり、彼への好意との間で揺れ動くことになり、それが極端に少ない台詞で色濃く描かれている終盤部分がいい。
オペラ座の怪人 (原題:The Phantom of the Opera) 監督:ジョエル・シューマッカー 音楽:アンドリュー・ロイド・ウェーバー 2004 米=英 カラー 1:2.35 2006/03/23(木) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/03/25
 登場人物の心情を明確に描くために、普通の映画では演技などの表現を細かくするといったアプローチをするのに対し、ミュージカルって歌や踊りで様式的に表現するといった違ったことをしているので、成功するためには題材が限られるとかより的確な演出を求められるということなのだろう。
 結論から言えば、この映画の出来は登場人物たちが恋や音楽といった「魔力」にとらわれている物語にもかかわらず、そのあるべきはずの魔力というものがほとんど感じられないものになっていた。
 原因は、簡単に言えば表現がそこまで深くできなかったということだろう。
 少なくとも、カメラワークや編集などはもっとケレン味があった方が良かったのでは?と思えるもので、結果的にメリハリの利いていない映像で歌と歌詞で表現するという、大味な映画になってしまった。
 結果、まがい物のはずの『ファントム・オブ・パラダイス』の方が、映画としてははるかに濃いということになってしまった。
父、帰る (原題:VOZVRASHCHENIYE / The Return) 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ 2003 露 カラー 1:1.66 2006/03/21(火=祝) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★★ 2006/03/21
ストーリー 感想
 二人兄弟のところに、生まれてから一度もあったことがなかった父が12年ぶりに帰って来た。
 母は特に喜んでない様子のまま、父はなつかない2人を連れて車で旅行するが、途中どこかに電話をかけたりして、何か他に目的があるようだった。
 そんな意味不明の旅に、特に弟の方が不快感をあらわにするが、父は雨の中置き去りにするなど、そっけない態度で応えた。
 父は2人をひと気の無い島に小船で連れて行き、父はそこで廃屋の中の地面から何かの箱を掘り出した。
 兄弟が2人で釣りをするために船で漕ぎ出すが、約束の時間を過ぎても戻って来なかったため、兄が父に殴られ、弟が逃げ去って灯台に登りそこから飛び降りると言い、追って来た父が止めようとして落ちて死んでしまう。
 兄弟は父の遺体を積んで島を離れるが、船が着いたとき沖に流されて、弟は「パパ」と叫んで岸から船を追うが、船は遺体を乗せたまま沈んでしまった。
 父親の過去と現在の背景が全然描かれてないのだが、するとやはり本筋は久しぶりに家に帰って来て、慣れない子供に父親らしく接しようとする父親と、見慣れぬ男をすぐには父親だとは思えない子供たちとの葛藤に絞られることになり、結果としてかなり見応えのある出来になっている。
 特に父親側の、反抗的な子供に手を焼きながらも、感情的にならず、口数は多過ぎず、甘さは見せず、一言で言えば「大人」な態度が映画を引き締めている。
 さらに、登場人物以上に主役とも言えそうなのが風景の素晴らしさで、ただ単にきれいに撮られているだけでなく、ドラマや登場人物の心理を描く上での味付けのような役割まで果たせていることに驚かされた。
フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白 (原題:The Fog of War: Eleven Lessons from the Life of Robert S. McNamara) 監督:エロール・モリス 2003 米 カラー 1:1.85 2006/03/19(日) HDDレコーダー(WOWOW) ノンフィクション ★★★ 2006/03/21
 第二次大戦の日本の都市への空襲の作戦立案に加わり、戦後はフォードで社長まで上りつめたとき、ケネディに要請されて国防長官になり、キューバ危機やベトナム戦争を経てジョンソンに解任されたマクナマラへに対し最近行ったインタビューから主に構成された映画。
 こういう映画は、まずマクナマラ本人が自分にとって都合の悪いことをしゃべってないかもしれないし、映画の作り手たちもマクナマラにとっていい印象を与えるような過去の録音テープのみを取り上げるといった意図的な編集をしている可能性があるので、真実を描いているとは限らないということを踏まえて述べると、核戦争のような破滅的な事態は十分起こりえることなので、それを回避するための提言をすることが、残り少ない人生で自分が出来る最後の使命であり、何故なら過去の成功例や反省すべきことの数々を経験している自分が、それを語り伝えることで使命を果たしたいからだと思える。
 その目的のために、彼は過去の自分の過ちを素直に認め、また例えばベトナム戦争を泥沼にした責任は誰にあるかといえば、それは大統領という立場上ジョンソンだと言うが、だからといって他人に責任のすべてを押し付けたところで、自分を含めたそれ以外の人々に問題が無いわけではなく、何の解決にもならないことをわきまえている。
 彼の提言からは、人間は自分中心に物事を見がちで、判断も的確ではなくミスをしないなんてことはありえないという、人間の不完全さが浮き彫りにされ、それを肝に銘じて感情的には成らず慎重にならなければならないということだろう。
地獄の天使 (原題:Hell's Angel) 監督:ハワード・ヒューズ 原作:マーシャル・ニーラン、ジョセフ・モンキュア・マーチ 1930 米 パートカラー 1:1.33 2006/03/19(日) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、感覚系 ★★★ 2006/03/20
ストーリー 感想
 ロイ(ジェームズ・ホール)とモンティ(ベン・ライオン)の兄弟はカール(ジョン・ダーロウの)の故郷のミュンヘンを訪ねていたが、そこで男爵夫人に手を出しているところを夫に見られたモンティは、決闘を申し込まれてオックスフォードに逃げ帰り、ロイが決闘に挑んで腕を撃たれた。
 3人はオックスフォードに帰ってまもなく第一次大戦が起こり、カールは召集され、ロイは英国空軍の航空隊に入り、モンティも女性とのキスに釣られて入隊した。
 舞踏会でロイは恋人のヘレン(ジーン・ハーロー)をモンティに紹介すると、ヘレンはモンティに迫り、モンティは兄に気兼ねして、ロイにそれとなくヘレンに深入りするなと忠告するが、ロイは聞き入れなかった。
 ドイツの飛行船がロンドン上空に迫り、吊り下げられたカールの嘘の指示で海上に爆弾が投下されたが、ロイとモンティたちが出撃して、飛行船の船長は上空に逃げるためにカールのワイヤーを切って落とし、銃撃戦になってロイたちの戦闘機は不時着するが、残った1機が体当たりして飛行船は墜落した。
 フランスの基地に赴任したロイは、そこの食堂で働いていたヘレンと再会する。
 味方の機が撃墜されていく中、元々飛行機乗りに向いていないモンティが出撃を恐れ国のために死にたくないと言い出すが、不時着した敵機に乗って敵陣内の補給庫を爆撃する任務に兄弟で志願し、前夜に2人でヘレンの店に行くと、そこで他の男と絡んでいたヘレンからロイは堅物で好きではないと言われた。
 2人は爆撃に成功するが、出撃していたリヒトホーフェン男爵の飛行隊に見つかって追われたところに、味方の飛行隊が来て壮絶な銃撃戦になる。
 しかし、結局敵陣内に撃墜されて、冒頭の男爵から総攻撃の情報の自白を強要され、ロイは男爵に自白する条件として、寝取られた同僚を殺したいと言って銃と弾丸一発をもらい、自白しそうだったモンティを撃ち殺して自分はドイツ兵に化けたスパイとして銃殺され、情報が守られたおかげでイギリス軍の総攻撃は成功した。
 『アビエーター』にも登場する、ハワード・ヒューズの監督作品。
 後半、約30機もの戦闘機が木の葉が舞うように飛び回る空中戦が、まずなんといっても圧巻。
 それ以外にも、ミニチュア(や、恐らく本物も)を使った墜落や爆発シーンの数々も迫力満点。
 また、スペクタクルシーン以外のラブシーンなどにも、トーキー初期の映画とは思えない程の細やかな演出を見せている。
 『アビエイター』の中で描かれていたように、雲待ちで撮影を延期させたりするなど、映像に対するすさまじいこだわりが実を結んだ結果と言えるだろう。
新座頭市 破れ!唐人剣 監督:安田公義 製作:勝新太郎 原作:子母沢寛 1971 日(ダイニチ) カラー 1:2.35 2006/03/19(日) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、感覚系 ★★ 2006/03/20
ストーリー 感想
 野原で座頭市(勝新太郎)が集団に襲われるが、逆に斬り殺して残った2人が逃げ去った。
 親子3人の唐人の曲芸師一家と、右腕の無い唐人の武芸者のジミー・ウォングが出会うが、街道で将軍への献上品の南部藩の行列の前に男の子が飛び出したため、かばって両親が斬り殺され、ジミーがその武士たちを斬り殺して逃げ、武士たちは目撃者たちを斬り殺し、その罪をなすりつけられたジミーはおたずねものになった。
 男の子が死にかけている父親にすがりついているところに市が通りかかって子供を預かり、唐人狩りが行われていると聞いて子供を隠すように山道を歩いているところにジミーが現れ、子供を連れ去った。
 しかし、その夜のねぐらで3人が再会し、子供が通訳になって市がジミーが向かっている寺に案内することになる。
 そのねぐらに危険が迫ったので3人は近所の農家に泊めてもらうが、翌日市が1人で宿場に酒を買いに行ったすきに、市をつけていた2人の密告で農家が唐人狩りをしている安部徹親分の一味に襲われ、2人は逃げ去り、農家の両親を殺された娘のお米(およね、寺田路恵)は唐人の居場所を聞き出すために連れて行かれて、市はそこに踏み込んでお米を助け出すが、親分から市が金で情報を売ったと聞かされていた彼女は市を恨んだ。
 お米はその後ジミーたちと出会って2人を寺に連れて行き、市も寺を訪ねると、そこにいたジミーと旧知の唐人の僧の覚全(南原宏治)から無事を聞いて、会わずにそのまま立ち去った。
 ジミーも市が裏切ったと思っていたが、覚全からの密告で南部藩士が寺に現れ、ジミーは撃退するが男の子が人質として連れ去られ、ジミーに出頭を求めた。
 お米が南部藩士のところに願い出ようとしたところで市と再会して、子供が受け渡し場所に護送されるところを市が襲って救い出し、安部一味と対決して親分を斬り殺して一味は逃げ去った。
 そのころ、ジミーは子供が現れないので藩士たちと斬り合いになり、現れた覚全が裏切ったと知って対決して倒し、そこに現れた市と一騎打ちしようとする。
 市はためらうが結局斬り合いになり、やって来たお米も止めることが出来ず、結局ジミーが市に斬り殺された。
 勝新の座頭市は、殺陣だけではなく、柱だろうと樽だろうと机だろうと、何でもきれいに斬っちゃうバカバカしいまでの豪快さや、この映画ではてんぷくトリオとのやり取りのシーンなどに見られるように、座頭市ならではの奇妙な動作を生かしたとぼけたギャグの数々などの醍醐味がこの映画でも味わえる。
 勝新のトリッキーな役作りにあっては、さすがのジミー・ウォングも普通の登場人物にしか見えない。
美術館の隣の動物園 1998 韓国 カラー 1:1.85 2006/03/18(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/03/18作成
2006/04/02更新
ストーリー 感想
 軍隊に入っている男が休暇を貰って恋人のアパートに行くと、恋人は引っ越していて代わりに別の女が住んでいた。
 男が恋人の連絡先を探して、その部屋を連絡先に指定したので、かかってきた電話に見知らぬ女の留守電の声で答えたので、3人で待ち合わせて会うと、恋人は別の男と婚約していた。
 振られた男に女は出て行くように言うが、彼女が応募しようとしている脚本を手伝うことで一緒に住むことになった。
 女は普段は結婚式のビデオ撮影の仕事をしているのだが、そこでしばしば見かける男に告白できず片思いで、そんな彼女と振られて未練がある男がお互いを非難し合いながら、お互いの恋愛を脚本に反映させていった。
 脚本の完成と同時に男の休暇が終わって一人家をでたことに気づいた女は、2人のゆかりの地の動物園の隣の美術館に行って再会し、お互いに愛し合っていることを確認するのだった。
 男女が出会ってもめごとが始まった時点で、この2人が困難を乗り越えて結ばれる話だろうという予想通りの、意外性のない展開。
 その展開を成り立たせるたることが作り手にとって最優先で、そのために都合のいいように2人とも気まぐれで利己的になったり優しくなったりするので、そんないい加減な設定の登場人物に対する思い入れなんか出来るはずもなく、つまりは中身が何にもない、ハッピーエンドで終わらせるためだけの映画。
 2人で作っていた脚本の内容が劇中劇で描かれるのだが、それも特に映画の彩りになってない。
未来惑星ザルドス (原題:Zardoz) 監督&脚本&製作:ジョン・ブアマン 1973 米 カラー 1:2.35 2006/03/18(土) HDDレコーダー(WOWOW) 象徴系、哲学系 ★★★ 2006/03/18
ストーリー 感想
 2293年。神「ザルドス」の宙を舞う巨大な像が、未開の地の「エクスタミネーター(殺し屋)」たちに銃を与え、そこで昔ながらの性行為によって繁殖する「プルート(獣人)」を殺してこの世を清めることを訴え、エクスタミネーターたちもそれに応えた。
 エクスタミネーターの中の1人のゼッド(ショーン・コネリー)が、永遠の命を与えられる特権階級「エターナルス」による平和の地「ボルテックス」に行くために像の中に身を潜め、中に乗っていたアーサーを撃ち、彼は像から落ちていった。
 コネリーがボルテックスにたどり着くとすぐに捕まり、彼の進入経路とアーサーの行方と最近の外界の様子を知るために記憶を取り出され、不老不死で子供を作っていないエターナルスたちは彼に興味を示すが、コンスエラ(シャーロット・ランプリング)はボルテックスの秩序を乱すと反対し、彼の処置の結論は先送りされた。
 念力で殺すことができるためゼッドはボルテックスを見て回ることができ、そこには罪を犯して加齢の罰を与えられ死なずに隔離されている老人たちの反逆者や、無気力な人間たちが増えていた。
 食事会でゼッドの扱いで意見が対立し、表決の結果7日間の研究の後に殺すことに決まり、全員での瞑想の共有を拒否したフレンド(ジョン・アルダートン)は反逆者とされた。
 ゼッドはボルテックスと外界の境界付近に来ていた仲間のところに行ったが透明な壁に阻まれ、隔離施設のフレンドのところに行くと、そこの人々は死にたがっていることを知った。
 フレンドに言われてメイ(セイラ・ケステルマン)と会い、ボルテックスを滅ぼす「タバナクル」の秘密を教える見返りとして、彼はエクスタミネーターたちがザルドスになりすましたアーサーからの命令で殺しではなく獣人たちを奴隷として耕作をさせ、収穫物をザルドスに献上するようになり、また下界で見つけた書庫にあった「オズの魔法使い」を読んで、仮面の老人が人々を脅して支配しているその物語からザルドスの正体を知り、復讐のために収穫物に紛れ込んでボルテックスに侵入したことを告白した。
 エターナルスたちはゼッドが来たことでそれまでと違って怒りを露にして逃げたゼッドを殺そうとし、無気力人間たちも彼に接するうちに感覚を取り戻し、欲望のままに行動するようになった。
 ゼッドとフレンドとメイが再会して、メイはゼッドから受精してもらう代わりに彼に知識のすべてを伝えた。
 コンスエラが先頭に立ってゼッドを追っているうちに、感情が沸き起こって彼と会ってお互いに愛し合っていることに気づき、ゼッドはタバナクルを破壊しようと接触を試みると、タバナクルによってその内部に取り込まれたが、ゼッドは内部の鏡に映った昔の自分を撃ち殺してタバナクルを破壊した。
 ゼッドを襲いに来た暴漢たちを、ゼッドが新たに身につけた念力で撃退し、ボルテックスを作った老人のところに行くと、彼は自分のしたことが自然の摂理に反していたと言い残して死に、エターナルスたちがゼッドに殺されることを望んだが、彼は既に殺人の意欲をなくしていた。
 そこにエクスタミネーターたちが現れ、エターナルスは次々と望んで殺されていくが、ゼッドはコンスエラを連れて洞窟内に身を潜め、そこで2人は男の子と産んで育てて旅立たせた後に死んで骨と化すのだった。
 性善説と性悪説のどっちを信じるかと言われれば、私は性悪説の方。
 というのも、性善説を唱える人って、(当然自分自身を悪人とは思っていないから)悪行に走った人間を自分と区別して、そうした人たちや悪行の芽となるものを何とかしさえすればこの世は平和になると考えていることで、それは即ちこの映画でボルテックスを目指していたエターナルスの考えそのもの。
 しかし、人間にとって一番大切なのは生きていると実感することで、それにつながる精神の高揚は、その反面人を悪事へと導く、大切であると同時にいかがわしいものでもある。
 つまり、性善説の人はエモーションこそ悪の芽だから抑え込むべきだと言いかねないところ、私はそれは人間の本質に逆らった生き方で、むしろ悪の芽にもなりうるエモーションをコントロールしながら付き合っていくと考えるほうが正しいと考え、この映画でショーン・コネリー演じる主人公のたどる運命は後者の考え方に沿っていると言えるだろう。
 この映画の未来世界の造形について、製作から23年経って既に未来世界になった現在から見ると、コンピューターが本体そのものが形として表面的に見えないところにあるところなど、科学的には問題ないが、ユートピアの衣裳がサイケ風だというのが、本格的SF映画に反してかなり安っぽく見える。
 でも、考えようによっては、空疎な理想ばかり追っている彼らの姿を象徴して安っぽく見せているという狙いかもしれない。
 あと、ショーン・コネリーの格好もコスプレごっこに見えてしまう
 しかし、それを除けば人間の本質を丸裸にしてしまう(ジョン・ブアマン自身の原案による)哲学系SFの意欲作で、まさに「SF映画はこうでなくっちゃ!」と言いたくなる作品だった。
ココロとカラダ 監督:安藤尋 脚本:玉城悟、安藤尋 2004 日 カラー 1:1.85 2006/03/14(火) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系、感覚系 ★☆ 2006/03/16
ストーリー 感想
 田舎の女子高生の阿久根裕子は林の中の一本道を下校中、道から離れたところで同じ高校生の未向がレイプされているのを見つけ、男を石で殴り殺す。
 数年後、東京の未向の家に阿久根が来て住むようになって、阿久根を含めた田舎から逃げてきた未向に阿久根は疎ましく思わるようになるが、阿久根は未向と同じ男に体を売る仕事をしたいと言い、男をまわしてもらう。
 しかし、阿久根がある男にひどく殴られたことで未向は阿久根に同情し、2人でドライブに出かけて、砂浜に1人でいた子供を誘拐し、未向が身代金要求の電話をかけるが、刑事の職務質問にあって捕まってしまう。
 車で子供を連れまわしていた阿久根は、未向が帰らぬ状態で気持ちに踏ん切りがつき、ひとりで高校の制服姿で例の林に来て、心の重荷になっていた死体を掘り返すが、そこに死体はなかった?
 とにかくストーリーが解りにくい。左のストーリーも正しいか全く自信なし。
 登場人物同士の関係性とか、登場人物の言動の過去との因果関係とか、それ以前に例えばラストシーンは回想なのか?地面を掘ったのは死体を掘り返すためか?掘るのをやめたのは死体が無かったからか?など、物語のポイントになる部分がことごとく不明確。
 なにも映画は判り易くなくちゃいけないとか言わないし、曖昧な映画があってもいいんだけど、「曖昧」と「不明確」は別物。
 「不明確」は怠慢あるいは技術不足によるもので、欠点でしかない、と思いました。
 以上、映画の内容以前のコメントがやっと。
ペイチェック 消された記憶 (原題:Paycheck) 監督:ジョン・ウー 2003 米 カラー 1:2.35 2006/03/12(日) HDDレコーダー(WOWOW) 感覚系 ★★ 2006/03/13
ストーリー 感想
 ベン・アフレックは、ある会社に依頼されて、ライバル会社が開発した3次元モニターを不法なリバースエンジニアリングによって改良した製品を開発し、証拠を消すために開発期間の2ヶ月間の記憶を消す、という仕事をしていた。
 彼はあるパーティで博士のユマ・サーマンと知り合う。
 その後、彼は2ヶ月の自己記録を大幅に超える3年間の契約をオールコム社と結んで仕事にかかり、次の瞬間3年間が経過したことに気づき、報酬である依頼主の株式の株価を見ると、総額9千万ドル強にもなることがわかった。
 さっそく一部を現金化しようとすると、報酬の株式はすべて自分で4週間前に放棄していて、残されたのはサングラスなどの覚えのない小物が入った封筒だけだった。
 そして間もなく彼は、3年前に中止になった国家プロジェクトの機密が、彼が申請した特許の元になっていたことが理由で、国家機密を盗んだ容疑で逮捕された。
 しかし、記憶が消されているので両者の関係は不明のままで、捜査官が封筒の中の「無煙タバコ」を吸うと、煙が出て火災報知器が作動し、消化剤で見通しが聞かない中、封筒内のサングラスをかけて封筒を持って逃走した。
 封筒の送り主は自分自身だったことがわかり、彼はこれまでの出来事から、自分が将来役に立つものを自分に残していて、つまり自分が3年間で開発したのは未来を見ることが出来る機械だったことが判った。
 一方、完成品の回路にウィルスが仕込まれていて作動しない事態がオールコム社で起きていたが、回復できそうだというエンジニアの見込みから、アフレックを見つけ次第殺して彼の秘密を奪い返すことに決め、アフレックが3年間に親密に付き合っていたオールコム社に勤めるサーマンに接近した。
 その頃サーマンもアフレックと再会して、封筒に残された未来の映像から、この発明が原因で将来核戦争が起こることがわかり、2人でオールコム社に潜入して機械を破壊する前にウィルスを解除させて近い将来を見てみると、アフレックが銃で撃たれる映像が映し出された。
 機械が動作を再開したことを察知してオールコム社側は2人を殺そうと迫るが、間一髪で爆破に成功し、国家から機密保持のため殺人命令が出ていたアフレックも爆死扱いになり、生き残った2人は9千万ドルの当たりの宝くじを見つけるのだった。
 『マイノリティ・リポート』と似たような物語なのだが、両方の映画ともストーリーは(現在ではなく未来の危機に対して「自衛」と称する攻撃をすることに対する批判が含まれているとはいえ)事実上アクションシーンを見せるための方便に過ぎないようなもので、それならジョン・ウーにはもってこいの映画のはずなのに、どういうわけか見せ場に精彩がなく、『マイノリティ〜』に比べて見劣りする結果になってしまった。
 わざわざ香港映画でおなじみの棒術をベン・アフレックにやらせたり、それにおなじみの白い鳩を登場させたりのご愛嬌を無理やりねじ込んでいたりすることから、手を抜いていたわけではないように思えるが。
 主役はエンジニアということで、アクション俳優とはかけ離れたベン・アフレックをキャスティングして彼にアクションをさせたことが原因だろうか?
秘剣 監督:稲垣浩 原作:五味康祐 脚本:木村武、稲垣浩 1963 日 モノクロ 1:2.35 2006/03/12(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★★ 2006/03/13
ストーリー 感想
 寛永十年の小倉小笠原藩。剣の腕に覚えのある早川典膳(市川染五郎、今の松本幸四郎)は、型の剣術に飽き飽きし、剣術は人を殺すためのものだと言った。
 巷では無礼討ちが続けて起きていて、典膳たちが学んでいる道場の誰かの仕業ではないかとの疑いがあった。
 当地を宮本武蔵(月形龍之介)が訪ねて来たと聞いた彼は、一目会いたいと訪ねるが門前払いをくらった。
 道場の師範代になった典膳は、竹刀ではあるが真剣勝負のような稽古を門弟たち相手に行った。
 武蔵が典膳たち若い武士と会う機会を持ち、太平の世に血気にはやることはたわけだという武蔵と、命を犠牲にしてでも剣を磨くべきと言う若者たちが対立し、武蔵が畳を斬ってみせたのに対抗して典膳も真っ二つにした。
 この件が元で典膳はひっ塞を言い渡され、師範代もやめさせられ許婚とも破談になり、典膳が謹慎を破って外出したことが見つかって剣を抜く騒ぎになったため、典膳は姿をくらまし、その追っ手として貰い子の典膳と兄弟のように過ごした細尾長十郎(長門裕之)が任ぜられた。
 典膳は山中で三輪(池内淳子)匿われながら独力で剣の修行をして、そこに長十郎が現れて彼も世話になり、典膳は相手の命を奪う代わりに親指を切る秘太刀をあみ出したことを語った。
 長十郎は典膳を討つ代わりに一人で戻ると言い、それに対し典膳は長十郎を切腹させないために自分も共に戻ることにした。
 典膳の処分が決まらない中、長十郎は典膳の助命に奔走したが、打ち首に決まったことを伏せた状態で典膳の身柄が重役に預けられることになった。
 しかし、典膳がこれまでに自分に対する処分が誰がどう決めたかを聞き出すために、抜け出して次々と関係者の指を秘太刀で斬っていき逃亡した。
 再び典膳の上意討ちの旅に出た長十郎は、肥後の国に行ってかつて典膳に教わった親指を斬る技を使って典膳をおびき出そうとしていたとき、途中武蔵と再開して、典膳が説得されずに剣に心を奪われていると思ったら、迷いを捨てて斬れと言われた。
 その後、典膳に付き添っていた三輪と再会して、典膳を斬らないという約束で彼のところに連れて行ってもらい、秘太刀を捨てて熊本の細川家に推挙をすすめる長十郎と、己の技にこだわる典膳との間で物別れになり、翌日に果し合いを行うことになった。
 その夜、典膳は三輪に2人で暮らす夢を語り、翌日果し合いに臨んで、典膳は長十郎へ情けをかけずに秘太刀を使わず彼を斬り殺したが、逆に長十郎が典膳の親指を斬る相討ちになり、典膳は敗北感の叫び声を上げるのだった。
 典膳は劇中で武蔵が言うとおり、武蔵の若い頃のように剣の腕を磨くことが人生のすべてといった感じの人物で、そうした生き方に既に虚しさを感じている老いた武蔵と対立する。
 自分の実力に自信のある者がそれを発揮できる世の中を望む若者と、一見正しそうなそんな若者の考えが虚しさを伴うことを知っているから抑え込もうとするが説明できずに若者を苛立たせる老人たちとの対立は、深みのある内容で、作品に重厚な印象を与える。
 クライマックスの一騎打ちをはじめ、緊張感の高い殺陣のシーンの数々も良い。
ふんどし医者 監督:稲垣浩 原作:中野実 脚色:菊島隆三 1960 日 モノクロ 1:2.35 2006/03/11(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★☆ 2006/03/13
ストーリー 感想
 幕末、大井川の西岸の東海道の宿場町の島田宿。
 妻のいく(原節子)の唯一の道楽である丁半博打をさせてその真剣な姿を見るのを楽しむため、毎回負けては妻のために着物まで脱ぐので「ふんどし先生」と呼ばれていた小山慶斎(森繁久彌)は、腕はいいので金持ちに呼ばれては多額の治療費を取る反面、金のない者からは取らなかった。
 ある日、賭場の博打打ちの半五郎(夏木陽介)が斬られて、慶斎のところにお咲(江利チエミ)たちに担がれて来て、他の医者には助からないと言われた半五郎を、慶斎は一か八か片方の腎臓を取る手術をして、半五郎は助かった。
 江戸から池田明海(山村聰)が、慶斎を江戸に連れ帰って日本の医学の向上に努めてもらうためにやって来た。
 明海はかつて慶斎と共に長崎で医学を学んで、2人で江戸に帰る途中川止めに合った島田宿で病人たちを診るうちに、慶斎はそこに残って庶民たちを診る医者になることにし、川止めが解かれて明快が江戸に向かった後、明海を追って長崎から出てきたいくが慶斎と結ばれたのだった。
 慶斎は改めて庶民のために働くと明海の申し出を断り、それを聞いていた半五郎は医者になると言って長崎へ旅立った。
 やがて明治になって、大井川に渡し舟が出来て宿場は廃れたころ、医者になった半五郎が帰って来て、ちょうど運び込まれた子供を慶斎は腹痛だと診立てたのに対し、半五郎はチフスではないかと言ったが、慶斎は聞き入れなかった。
 しかし、その子の症状が悪化して他の子供たちにも同じ症状が出たので、慶斎と半五郎は子供たちを自分の診療所に連れて行って隔離して診察を続けた。
 子供たちに会わせてもらえない親たちが診療所に押し入って連れ帰り、荒れ果てた診療所で慶斎は庶民たちに裏切られた無念さと、医学の進歩に取り残されて誤診したことの後悔から、今度こそ東京に出て医学を学ぼうと思った。
 ちょうどそこに教授になった明海が来たが、彼は慶斎ではなく半五郎を東京に連れて行きたいと言ったので慶斎は怒り、江戸に行きたがる半五郎に師匠を裏切るのは良くないとお咲は反発したが、結局2人は東京に行った。
 診療所を壊したことを反省して再建工事をする人々に、慶斎は診察しないと罵声を浴びせるが、結局その後もその地でふんどし姿で医者を続けるのだった。
 医学の進歩に貢献するべきか、診療に専念して下々の人々を救うべきか、簡単に結論を出せないシリアスな内容もはらんでいるが、基本的には森繁演じる主人公のキャラの飄々としたところも良く、軽く楽しめる映画。
紅顔の密使 監督&脚本:加藤泰 原作:千葉省三 1959 日(東映) カラー 1:2.35 2006/02/28(火) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/03/11
ストーリー 感想
 平安京ができて間もない頃、陸奥で大陸からの浪人と共に反乱軍が蜂起して都へと迫り、朝廷は坂上田村麻呂が軍を差し向けるまでの時間稼ぎとして、陸奥でまだ落城していない胆沢城を持ちこたえさせることにし、そのために陸奥出身で、武器になる油水の井戸のありかを知っている武麿(大川橋蔵)を密使として派遣させた。
 しかし、都に偵察に来ていた赤鷲(田崎潤)は、夜叉姫(故里やよい)からの情報でこのことを察知していた。
 武麿は逢坂の関で父を探しに陸奥へ向かう狭霧(さぎり、一条珠実)と知り合って旅を共にするが、寝泊りした家で赤鷲たちと共になって密使ではないかと感づかれたため、寝込みを襲われる前に逃げ出した。
 赤鷲たちは後を追ったが、夜叉姫の乗るみこしが落雷のショックで崖から転落し、崖にしがみつく彼女を武麿たちが助けた。
 武麿と狭霧は東国への船に乗るが、そこで陸路を行く仲間と別行動をとった赤鷲と乗り合わせることになって武麿と争い、武麿は船から落ちて狭霧は捕まる。
 武麿は常陸の国の府中に来たとき、そこにいた母が彼の姿を見て呼び止めたため追っ手に見つかって逃げるが母は捕まった。
 武麿も結局捕まり、赤鷲たちから密使の目的を白状させられそうになって乱闘になり、母が彼をかばって死んだ。
 武麿の処刑の役をかって出た夜叉姫が彼の目を焼いて武麿は放り出されて、逃げ出していた狭霧が彼を救って、目の見えない彼を連れて胆沢城を目指す。
 悪路王(あくろおう、吉田義夫)率いる反乱軍が胆沢城に迫り、赤鷲が夜叉姫を連れて密使に成りすまして城内に潜入し、見張りを殺して合図ののろしを上げたところに武麿が駆けつけ、夜叉姫が武麿に恩を返すために加減をしたため武麿が失明を免れたことがわかって、正体のばれた赤鷲は夜叉姫を殺して逃げた。
 狭霧は城内にいた父の吉備の道玄(加藤嘉)と再開して、悪路王が総攻撃をかけてきたところに城内の古井戸から油水を掘り当てることができて、そのおかげで反乱軍は退散し、1人残った赤鷲は武麿と一騎打ちをして殺された。
 反乱軍はゲルのようなテントに住んでいるのでモンゴル人と思われ、中にはインド人やアラブ人のような人も混じっていて、夜叉姫は宴会で洋風の踊りをしながら脱いでいってブラジャー姿になったりするなど、いい意味でいい加減な映画。
 石油を使う展開上、合戦シーンは大掛かりなのだが、殺陣のシーンと共にそんなに見ごたえはない。
錨を上げて (原題:Anchors Aweigh) 監督:ジョージ・シドニー 1945 米 カラー 1:1.33 2006/03/06(月) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系、ミュージカル ★★ 2006/03/07
ストーリー 感想
 音楽家のイタルビが指揮する楽隊の演奏の中、手柄を立てて勲章をもらって、ハリウッドでの休暇も与えられた水兵のフランク・シナトラとジーン・ケリーだったが、恋人のいないシナトラは、恋人と会おうとしていたケリーの後をつけて邪魔がられる。
 海軍に入ると言い張って自宅の住所を教えない迷子の男の子に手を焼いていた警察が、通りがかった水兵の2人に男の子の住所を聞きださせようとし、そのまま自宅まで連れて行って留守番もさせられた。
 両親のいない少年の保護者の叔母で、歌手志望のキャスリン・グレイソンが帰って来ると、彼女に一目ぼれしたシナトラは、さっさと帰ろうとするケリーを引き止めて彼女と頻繁に会うようになる。
 彼女の留守中に恋敵らしい男が来たので、2人はグレイソンがあばずれだとの作り話を聞かせて追い払ったが、その男はグレイソンがイタルビに使ってもらうために1年もコンタクトを取ろうとしていた音楽業界の有力者で、チャンスを奪った2人は、シナトラは昔聖歌隊にいてイタルビと知り合いだからオーディションの話をつけるとウソをついた。
 3人でグレイソンが歌っている歌の仕事をしているレストランに行き、そこで彼女の歌を聴いてケリーが彼女に、そしてシナトラは同郷のブルックリン出身のウエイトレスに惹かれるようになった。
 2人はイタルビのオフィスがあるMGMスタジオに行って彼に頼もうとするが当然簡単に会うことはできず、グレイソンはオーディションがあると言われた日にスタジオに行くが、そこの喫茶店でイタルビと同席になったことで彼のはからいでスクリーンテストが実施された。
 休暇の期間が終わり、真実を明かせなかったことを後悔しながら海軍に戻った2人だったが、イタルビが水兵たちを集めて新人歌手グレイソンのお披露目演奏会を開き、”ブルックリン”も現れて、2組のカップルは再会を喜んだ。
 この手のMGMミュージカルは、傑作とまではいかなくてもちゃんと見せ場はあるもので、まずジーン・ケリーが夢想したロミオとジュリエットのバルコニーのシーンで、ロミオになった彼が凄い身のこなしでバルコニーを駆け上がるところ。
 それから、ジーン・ケリーがアニメのトムとジェリーと共演するシーンがあるのだが、そこで彼と踊るジェリーの、光る床に反射している脚もアニメで描かれているのが凄い。
 あと、これは映画の出来とは関係ないが、カメラテストのシーンで映される大きめのカメラは、この映画はテクニカラーなのでテクニカラーカメラ?かと思ったが、フィルムを3本使うテクニカラーカメラはもっと大きいだろうから、恐らくこの頃は既にエクタクロームなどのリバーサルフィルム1本で撮影する方式になっていて、そのカメラではないだろうか。
暗黒街 (原題:Underworld) 監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ 原作:ベン・ヘクト 1927 米 モノクロ サイレント 1:1.33 2006/03/05(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/03/06
ストーリー 感想
 ブル・ウィード(ジョージ・バンクロフト)は単独で行動するギャングで、ある夜押し入った銀行から出るところを飲んだくれの浮浪者(クライヴ・ブルック)に目撃され、彼を連れ帰る。
 浮浪者の「ロールスロイスのように口が固いから誰にも言わない。」という言い回しが気に入ったブルは彼を信じて釈放した。
 その後、酒場に来たブルはそこで働いていた”ロールスロイス”を見かけ、さらに酒場にいたマリガン(フレッド・コーラー)が、ブルの目の前でロールスロイスに嫌がらせをして客たちに一目置かれようとしたが、ブルは彼を助けて連れ出し、面目を潰されたマリガンはブルを恨むようになった。
 ロールスロイスは身なりを整えてブルのアジトの番をするようになり、ブルの女のフェザース(イヴリン・ブレント)は品のある彼に惹かれたが、彼はブルの女。
 ギャングたちが集まる舞踏会で、ロールスロイスとフェザースが踊っているのを見て嫉妬したブルはロールスロイスを怒って、引き離された2人は気持ちが塞いだ。
 ブルが酔いつぶれたすきにマリガンがフェザースに迫り、起こされて怒ったブルは逃げるマリガンを追い詰めて撃ち殺し、捕まったブルは絞首刑の判決を下される。
 ロールスロイスは、刑執行の日に霊柩車で拘置所に侵入してブルを奪還して、ロールスロイスが警察の注意を引いているすきに、フェザースにブルと逃げるようにとの計画を言うが、フェザースはロールスロイスとは別れたくないと言った。
 決行の日、ブルが計画を伝えられたが、ロールスロイスとフェザースができているとの噂も聞いて嫉妬に狂い、偽の霊柩車が看守にばれたので、ブルは単独で脱獄し、ロールスロイスへの復讐のためにアジトに戻ると、そこにはフェザースしかいなくて、追って来た警官隊に包囲されて銃撃戦になる。
 その頃、駅でブルを待つ振りをしていたロールスロイスは、彼に張り付いていた警官から、ブルがアジトに立てこもっていることを聞いて駆けつけ、彼が持っていたアジトの抜け道の鋼鉄製の扉の鍵を届けるためにアジトにもぐりこもうとしたところ、フェザースの制止を振り切ってブルが彼の腕を撃ち抜く。
 それでも抜け道を通って来たロールスロイスの姿を見て、ブルはやっと彼が裏切ってないことに気づくが、フェザースが傷ついたロールスロイスを抱いていたわったのを見て、ブルは抜け道から2人を逃がし、自分は残って警官たちに捕まりながら、人生の最期にけじめをつけられたことに満足するのだった。
 ストーリーは、サイレントの頃の映画はそんなに複雑なものはないので、こんなものといった感じ。
 映像的には、表情のアップがいいショットがところどころ見られて、まずまず。
 放送されたヴァージョンは、ギャング映画に不釣合いな、チープな電子楽器(?)のBGMがついていたけど、あれは何だったんだろう?
嵐の中を突っ走れ 監督: 蔵原惟繕 原作&脚本:松浦健郎 企画:水の江滝子 美術:木村威夫 1958 日(日活) カラー 1:2.35 2006/03/01(水) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/03/05
ストーリー 感想
 大学の体育の講師をしていた石原裕次郎は、参加した乗馬大会でライバル校の生徒の北原三枝に破れ、彼女を追いかけているときにチンピラに絡まれて喧嘩し、大学をクビになってしまう。
 裕次郎は館山の女子高の先生の口をみつけて赴任すると、地元の新聞社に就職した北原と再会した。
 彼女は、猟師を締め出した漁場で魚を増やすためとの名目で爆薬を使った実験をしている研究所に裏があるとにらんで取材をしていた。
 そのうち、不良のため生徒の父親の漁師が自殺したり、取材に協力していた裕次郎がチンピラたちに襲われたり、予定されていた漁師の決起集会に脅されて誰も参加しないなどの事態が起きた。
 夜、裕次郎と下宿先の漁師と新聞社の編集長が禁漁区に船で漕ぎ出すと、そこで漁船が乱獲して海上で横流ししていることを突き止めた。
 この記事の新聞が刷り上ったところ新聞社が襲われて、印刷機が壊され編集長が連れ去れてしまう。
 裕次郎が敵地に乗り込んで乱闘になり、そこに北原たちが手刷りした新聞を呼んだ漁師たちも騙されていたと知って殴りこんできて、事件は解決した。
 残念ながら、コメントすることが無いです。
妻よ薔薇のやうに 監督&脚本:成瀬巳喜男 1935 日(PCL) モノクロ 1:1.33 2006/02/26(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/02/27
ストーリー 感想
 東京でOLをしていて、結婚を考えている恋人がいる娘の母が、最近離れて暮らす父を思う歌を作っていることに気づいた。
 娘がタクシーに乗っているとき、その父が東京に来ているのを見たが見失い、家に来るのを待っていたがついに現れなかった。
 娘は父を訪ねて信州の田舎町に行くと、そこには父の家を「自分の家」」だと言った小学生の証人と出会い、彼に連れられて父の家に行くと、そこには娘のことを知っていると丁寧な態度で言う愛人がいた。
 やがて帰ってきた父との会話で、娘は父を東京に連れ帰るつもりで来たと言ったが、父はそれを断り、さらに父が毎月振込みをしていると思われたのは、父によれば最近は送っていなくて、愛人が送っていたことがわかった。
 結局、娘は父を連れて東京に帰り、母も加えた3人で外出するが、父と母のあいだはよそよそしかった。
 父は家に着くなりすぐに信州に帰ると言い出し、母もそれに応じて彼を行かせたが、出て行った後涙に暮れる母を見て、娘は母が負けたと思った。
 後の成瀬作品をほうふつとさせるような、冷めてしまった夫婦の話で、一度やり直そうとしてやっぱりダメだったで終わりと、初期作品らしいシンプルなストーリー。
 それでも、ショットの数々は今の映画と全くと言っていいほど変わらず、少なくともこの映画が作られた1930年代には、既に映画が完成されていたことがわかる。
ミスター・アーサー (原題:Arthur) 監督&脚本:スティーヴ・ゴードン 音楽:バート・バカラック 1981 米 カラー 1:1.85 2006/02/27(日) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/02/27
ストーリー 感想
 放蕩息子のアーサー(ダドリー・ムーア)は、父親が決めたスーザン(ジル・エイケンベリー)との結婚をしなければ縁を切って財産も与えないと言われてしぶしぶ承諾する。
 ニューヨーク市街の紳士服店に言った時、リンダ(ライザ・ミネリ)が万引きをするのを目撃して、警備員に捕まった彼女を救い、後日デートに誘う。
 しかしスーザンの父に、結婚して自分の会社で働くという条件を突きつけられて念を押され、アーサーはリンダに別れを告げる。
 長年アーサーの身のまわりの世話をしていた執事(ジョン・ギールグッド)は、最初はリンダをアーサーから引き離そうとしていたが、自分がガンだとわかって、アーサーのためにも彼が本当に愛している人と結ばれることを願い、アーサーの婚約パーティにリンダを招待する。
 リンダと再会したアーサーは悩んで、結婚式の当日ウエイトレスの仕事をしていたリンダに結婚を申し込み、彼女を教会に連れて行ってスーザンに結婚の撤回を告げ、怒ったスーザンの父に殴られる。
 参列者が帰った教会で、アーサーはリンダに無一文になったが2人で暮らしていこうと話すが、1人残ってそれを聞いていたアーサーの母(ジェラルディン・フィッツジェラルド)が彼を不憫に思って、財産は渡すことを申し出る。
 アーサーは最初は断ったが結局受け入れ、しかし彼は以前の放蕩生活には無かった本当の幸せを感じるのだった。
 ダドリー・ムーアがピアノ演奏も見せたりして、相変わらずの芸達者ぶりを見せる。
 しかし冒頭でのアーサーが、金に物言わせてふざけてはばか笑いをするという、何の同情も感じられないキャラで、その後次第にしおらしくなっていくにしても、彼が幸せを手にしていく過程を心から喜べない。
 ジョン・ギールグッドのアカデミー助演男優賞受賞作だが、彼の演技は相変わらず例の調子で、この映画での演技が特に優れているとは思えない。
 邦題に一言。主役の役名はアーサー・バックなので、『ミスター・アーサー』ではなく『ミスター・バック』でなければならない。
静かな生活 監督&脚色:伊丹十三 原作:大江健三郎 音楽:大江光 1995 日(東宝) カラー 1:1.85 2006/02/23(木) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/02/24
ストーリー 感想
 海外で有名な作家の山崎努にオーストラリアから教授の誘いがあったが、彼は精神的に行き詰って時々奇行に走るので、自殺を恐れた妻の柴田美保子もついて行くことになり、後には娘の佐伯日菜子と、弟の大森嘉之と、知的障害がある彼女の兄の渡部篤郎が残された。
 日菜子は兄を連れて出かけたが、彼が外で痴漢のような行為をしてしまうのではないかと気が気ではなかった。
 それでも彼のために水泳を習わせるのだが、コーチを名乗り出た今井雅之はかつて、海難事故死した男のヨットの唯一の生き残りで、保険金の受取人になっていたことから、殺人疑惑でテレビに取り上げられ、この事件を元に創作された小説を山崎が書き、そこでは今井をモデルにした男が殺人を犯したことも評判になって、今井は山崎を恨んでいた。
 それでも、今井は献身的に兄妹に接し、彼を信頼した2人は彼の家に行くが、そこで今井が日菜子に襲い掛かってきて、あわやというところで渡部が助けに入って2人は逃げた。
 やがて日菜子の心の傷も癒え、兄妹は2人の生活を「静かな生活」と呼んで大切に思うのだった。
 小市民を見下したような数々のご指南映画を作ったことで嫌いだった伊丹監督の、その路線から外れた数少ない映画ということで期待が持てた作品。
 「静かな生活」とは、劇中で宮本信子が言う「何でもない人として生きて、何でもない人として死ぬ」、そうすれば穏やかな死を迎えられるというのが一例。
 でも、人が他人と接触すれば、障害者はもちろん、健常者でも何かと他人に傷つけられる。
 それは劇中の小説の書き出し「人は人の道具ではない。」ということに反しているからで、他人とニュートラルに接することが「静かな生活」につながるということなのだろう。
 演出的には見どころがないけど、それにしてもこのころの日菜子はかわいいなぁ。
踊る大紐育 (原題:On the Town) 監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン  原作脚本:アドルフ・グリーン、ベティ・カムデン 音楽:レナード・バーンスタイン 1949 米 カラー 1:1.33 2006/02/20(月) HDDレコーダー(WOWOW) 感覚系、ミュージカル ★★ 2006/02/20
ストーリー 感想
 ニューヨークに停泊中の軍艦から、朝の6時にジーン・ケリー、フランク・シナトラ、ジュールス・マンシンの3人のセーラー服姿の水兵が24時間の外出を許されて街に繰り出し、名所観光を一通りした後ガールハントをしようと思ったとき、ケリーが地下鉄に貼られたミス地下鉄(ヴェラ=エレン)のポスターを見て夢中になり、降りた駅で偶然そのヴェラが撮影中だったところに出くわして知り合い、残りの2人もそれぞれタクシー運転手のベティ・ギャレット、博物館の学芸員のアン・ミラーと知り合う。
 6人が一緒に夜の街で遊んでいたとき、実はただのモデルでコニー・アイランドの見世物小屋で踊り子をしているだけの自分をケリーがニューヨーク一の有名人だと勘違いしていることに絶えられなくなったヴェラが姿をくらまし、5人でギャレットのタクシーでコニー・アイランドに向かおうとしたところ、マンシンが博物館で恐竜を壊したことで追っていた警官たちが見つけてカーチェイスになる。
 ケリーは踊っているヴェラと再会して愛を確かめ合い、警官たちを見て水兵たちは逃げて行くが、残った3人の女性たちが泣き落としでスピード違反を含めたすべての罪を許してもらい、軍艦に駆けつけた女たちは期限の6時直前に再会して別れの言葉をを言うことができた。
 後半に妄想シーンが入るあたり、後の『巴里のアメリカ人』や『雨に唄えば』などと同じ構成。
 まあ、それら2作と比べるとヴィジュアル面で見劣りしてしまうので、原型としては意味があるといったところ。
メールで届いた物語 (mail) 監督&脚本:清水浩 2005 日 カラー 1:1.85 2006/02/18(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 2006/02/19
ストーリー 感想
 仕事にも不満たらたらの郵便配達員の加瀬亮が、自殺した男宛の送り元のない手紙を開封して、送り主の入院中の聾唖者の相武紗季を突き止めて男の友人に成りすまして訪ねて、男に成りすまして返事の手紙を書くが、彼女は死んでしまう。
 後日、相武から加瀬宛の手紙で、彼女が相手が自殺して受け取ってもらえないと解っていて手紙を送っていたことが書かれていて、最初に会ったときに編んでいた手袋が同封されていた。
 一言で言って、甘ったるい設定と主役たちの人気に寄りかかっただけの映画で、ファンタジーだからこそ必要な映画にリアリティや厚みを持たせるための作り込みが全くなされていない。
 要出直し。
メールで届いた物語 (CHANGE THE WORLD!) 監督:伊藤裕彰 脚本:井上淳一 2005 日 カラー 1:1.85 2006/02/18(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/02/19
ストーリー 感想
 男にふられてやけ食いしてダイエットのためにボクシングを始めてのめりこんだが、デビュー戦でKOされて網膜はく離で引退してタクシーの運転手としてパッとしない毎日を送っていた吹石一恵が、自分探しで天使の格好をして参加してたデモ隊から逃げ出してきた多部未華子を拾ってタクシーに乗せて海に連れて行き、そのデモが掲げていた「CHANGE THE WORLD」の言葉に吹石が触発され前向きな気分になったとき、多部は天使が飛び去ったように姿を消す。
 吹石は、公園でおもちゃの拳銃で猫を撃っていた少年を追い詰め、顔を撃たれたので殴ったときに拳を骨折して、ギリギリ正当防衛で釈放されたことで、このことを知った猫好きの松尾敏伸と知り合って彼をくどき、後日片腕を負傷した姿で松尾と待ち合わせながら、「CHANGE THE WORLD」のメッセージを携帯メールで発信していた。
 9・11テロなども織り込んで、争いが絶えない世界と、それに対比して無力で自分のすべきことが見つけられない個人について描こうとする意欲は感じられたが、欲を言えばまだ描きこみ不足か?
 短い尺で手際よく話を進めるテンポの良さが不思議な感覚を醸し出していることと、実はアクション派の吹石一恵の魅力が生かされていたのが良かった。
メールで届いた物語 (アボカド納豆。) 監督:鈴木元 脚本:大森寿美男 2005 日 カラー 1:1.85 2006/02/18(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/02/19
ストーリー 感想
 上司の近藤芳正と不倫している同僚の奥貫薫に恋したがそのことを誰にも打ち明けていない岡田義徳が、同僚の大倉孝二と飲んで、女性が誰が好きかを告白せずに知る方法として、好きな人に「アボカド納豆」という呪文のチェーンメールを送ると結ばれるというメールを送ることを思いつき、岡田は奥貫をはじめ昔の女たちに大倉の携帯からメールを送る。
 大倉と別れた帰り道、酔っぱらって奥貫からの「アボカド納豆」のメールが待ちきれず昔の女に電話をするが、誰もが他に「アボカド…」を捧げる相手がいた。
 奥貫は、実は彼女と関係がある大倉の携帯から「アボカド…」のメールが届いたことを大倉に問い合わせたことで、岡田の好きな人が奥貫だったことを知って悶絶して奥貫の家に向かい、奥貫の家に岡田が現れて、そこにいた近藤と殴り合いになり、奥貫はそれを眺めるのだった。
 観ている間は岡田と大倉の会話など見所ではあるが、見終わってみるとあっという間に印象が薄くなるのは、やっぱりストーリーにボリュームが足りないからか?
メールで届いた物語 (やさしくなれたら…) 監督&脚本:鳥井邦男 脚本:加藤正人 2005 日 カラー 1:1.85 2006/02/18(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★☆ 2006/02/19
ストーリー 感想
 架空請求のメールを携帯に送って金を搾り取っているヤクザの一員の北村一輝が、街で彼の死に別れた妻にそっくりな原沙知絵がそのメールに返信してしまったところを見かけ、彼女に接近して親しくなると同時に携帯を変えさせて連絡を途絶えさせる。
 しかし、一味が詐欺を一段落させるに当たって名簿を売ろうとしているのを知って、北村はパソコンから名簿を消去したが、そのことがバレて一味につかまってどこかへ連れていかれる車中から、北村との再会を待つ原の姿を見かけた。
 これは普通のVシネっぽい内容だが、小さくまとまり過ぎで、押しに欠ける。
 それを表すかのように、このタイトル自体がなよっとし過ぎ。
愛と青春の旅だち (原題:An Officer and a Gentleman) 監督:テイラー・ハックフォード 1982 米 カラー 1:1.85 2006/02/18(土) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★ 2006/02/19
 改めて観ると、「軍隊に入って厳しい訓練に耐え抜けば、人生のハッキリした道筋や、それに女も手に入れられる」ということを謳った、海軍スポンサーの映画というのが、いちばんしっくりくる解釈かなぁ?
 なにしろ、落伍者は(実は単なる転職とも言えるのに)徹底的に負け犬として描かれているし。
 以上の見方に確信があるわけではないのだが、それはそれで即ちテーマがハッキリと解りづらい映画という欠点があるからということになるのかな?
みなさん、さようなら (原題:Les Invasions Barbares) 監督&脚本:ドゥニ・アルカン 2003 加=仏、カラー 1:185 2006/02/10(金) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★★ 2007/09/16
 主人公は60代と思われるが、そうすると彼と昔の仲間たちは1960年代に青春を送ったかつてのフラワー・チルドレン世代で、実際に相変わらずマリファナ(?)を回しのみをしたり、主人公はフリー・セックス志向っぽい。
 そんな世代のこの世の中のすえ方といえば当然「革命」だったのだが、世の中を変えようという気持ちが数々の挫折や失望をくぐり抜け、いざ死を目前にしたときに思い浮かべる自分の人生が、そんな世界的なことではなく女の太ももを見たときに起こった心のきらめきのような、きわめて個人の感覚的なものだというは、自分はいつ死ぬのかわからないけど、自分の場合もなんとなくそんなものだろうと共感できる。
旅愁 (原題:September Affair) 監督:ウィリアム・ディターレ 原作:フリッツ・ロッター 1950 米 モノクロ 1:1.33 2006/02/07(火) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/02/09
ストーリー 感想
 ローマからアメリカに帰る飛行機で隣同士の席になって偶然知り合ったジョーン・フォンテーンとジョセフ・コットンは、修理のために緊急着陸したナポリで、離陸までの時間を観光に出かけるが、飛行場に戻って来た時には既に飛び立っていたので、2人は更にポンペイやカプリの青の洞窟などを回って楽しい日々を過ごす。
 そんな時読んだ新聞で、彼らが乗っていた飛行機が墜落して全員死亡したとの記事を目にしたので、2人は自分たちの生存を知らせようとしたが、妻のジェシカ・タンディと離婚したがっていたコットンが、このまま死んだことにすることにし、フォンテーンもピアニストの活動を捨て、彼女のピアノの恩師のマリアに小切手を振り出し、そのお金でマリアが住むフィレンツェに2人で家を買って住む。
 アメリカにいたタンディが、夫の最後の様子を知りたいと思ってマリアに会いにフィレンツェのマリアの家にやってきて、マリアとそこにいたフォンテーンが2人を出迎え、話し合った後に帰った車の中で、息子がフォンテーンが飛行機に乗っていたピアニストだということに気づいたと母に話し、彼女は夫が生きていることを知って喜んだ。
 フォンテーンはタンディからの手紙をコットンに渡し、夫の意思を尊重する彼女の思いを知って、2人はアメリカに帰って元の仕事に戻ることにしたが、コットンは妻の愛情は理解しつつ家には帰らなずにフォンテンといることにした。
 しかし、フォンテンはコットンを妻のところに戻すために、コンサートの後空港に向かい、コットンに別れを告げ単身南米へと飛び立って行った。
 まあ、観光映画が価値があった時代に、それ目当てでも楽しめる映画で作りもしっかりしてるんだけど、全体的にはメロドラマ。
旅路 (原題:Separate Tables) 監督:デルバート・マン 製作:ハロルド・ヘクト 原作戯曲:テレンス・ラティガン「別々のテーブル」「七番目のテーブル」 1958 米 モノクロ 1:1.33 2006/02/07(火) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/02/09
ストーリー 感想
 ロンドンの近くのボーマンスの小さなホテル。デボラ・カーは恋心を抱く退役少佐のデヴィッド・ニーヴンが映画館での痴漢行為で逮捕され釈放され、新聞記事から彼が語った戦争中の武勇伝もうそだったとわかってショックを受け、彼女の母親が先頭になって泊り客たちの賛同を得て彼にホテルを出て行ってもらうことにする。
 また、アメリカ人のバート・ランカスターはホテルの支配人のウェンディ・ヒラーと恋仲になっていたが、そこの彼の別れた妻のリタ・ヘイワースが現れ、彼にまだ気があるようなそぶりを見せ、ランカスターはどまどって、彼女にまたいいようにもてあそばれると思って拒絶する。
 結局、ヘイワースはランカスターとお互いの孤独を理解し合うことができてアメリカへと経つことにし、ニーヴンの恐縮する姿を見た泊まり客たちも声をかけ、カーは殻を破って母に逆らってニーヴンに話しかけ、彼もホテルに留まることにし、それぞれの新しい人生が始まっていった。
 タイトルは『旅路』だけど、舞台はホテルのみで移動はないので、むしろ『旅籠』。
 人生に臆病になって何かから逃げながら生きている人々がそれぞれ新たな一歩を踏み出す話なのだが、原作が舞台劇なので、物語の重要なポイントであるランカスターとヘイワースの結婚生活の実態が、過去を振り返る2人の会話から想像しなければならないのがつらいなぁ。
陽のあたる場所 (原題:A Place in the Sun) 監督&製作:ジョージ・スティーブンス 原作:シオドア・ドラーサー「アメリカの悲劇」 1951 米 モノクロ 1:1.33 2006/01/18(水) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 ★★☆ 2006/02/27
ストーリー 感想
 伝道の仕事に執着する母を持つモンゴメリー・クリフトは、伯父が社長をしている会社で働かせてもらうため、シカゴのホテルの給仕の仕事を辞め、ヒッチハイクでやって来た。
 伯父の家を訪ねた時、金持ちの令嬢のエリザベス・テイラーが現れ、モンティは彼女の美しさに一目で惹かれた。
 モンティは工場の箱詰めラインに配属され、同僚のシェリー・ウィンタースと恋に落ちた。
 伯父から昇進の話を持ちかけられて伯父の家のパーティーに行き、そこに来ていたリズともお互いに愛し合うようになる。
 モンティはリズの家の別荘がある湖に誘われたりで、一緒の時間が少なくなり、新聞でモンティとリズたちが湖で遊んでいる写真を目にしたことで、彼の気持ちが離れたと思って焦り、職場での男女交際を禁止している会社に、自分が彼の子を妊娠していることをバラすと脅して結婚を迫った。
 モンティはひと気がなくて溺死事故も起きたことのある例の湖にシェリーを連れて行き、手漕ぎボートの上で殺意と良心との間で心が揺れていたとき、モンティの気持ちの曇りを察したシェリーが、自分に死んでほしいとモンティが思ってると言って立ち上がった拍子でボートが転覆し、モンティは1人岸に泳ぎ着いた。
 リズはモンティを両親に紹介するが、シェリーの水死体が上がって捜査が始まり、彼女の家の大家の証言でモンティが逮捕され、リズとの関係を口外しないことを条件に弁護士がつけられて裁判が始まる。
 モンティは、殺意はあったが殺人ではなく事故だと証言したが、状況証拠しかなかったにもかかわらず陪審員は有罪の判決を下した。
 死刑の日を待つモンティのところに、夏休みが終わって学校に戻ったもののモンティのことが忘れられずに勉強も手につかないリズが面会に現れ、モンティに愛してると言い、後日モンティの死刑が執行された。
 野心のある男が、金持ちの令嬢と結婚しようと思って、今付き合っている女が邪魔になって殺そうとする……といったおなじみの内容の映画の古典。
 野心と良心との間の葛藤や、殺意を抱くことが既に罪か否か、また物証が軽視される陪審員制度の危険性など、様々な要素の物語をしっかりと描いている。
 追悼シェリー・ウィンタース。
感染 2004 日(東宝) カラー、1:1.85、98分 2006/01/15(日) HDDレコーダー(WOWOW) ドラマ系 2007/09/16
 照明暗めでおどろおどろしい雰囲気を出して、気の狂った登場人物を設定したり妙な体液や血をドバドバ流したり、そういうのを見せればホラーの出来上がりだと思って作られたような映画。
 ちなみに、この文章は富江 REVENGEの使いまわし。
男はつらいよ 翔んでる寅次郎 監督:山田洋次  脚本:山田洋次、朝間義隆 1979 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/01/07(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/02/27
ストーリー 感想
 戦前?の昭和。医学博士の寅さんは自費で便秘の薬の研究をしていて、借金をしていたタコ社長はじめ近所の人から馬鹿にされていたが、芋の煮ころがしを見てひらめいて薬を調合したところ、研究室ごと爆発した…といったところで、便秘を見てもらった旅先の病院の待合室で目覚めた。
 寅さんが帰ってきて、寅さんのことをありのままに書いた満男の作文が元で口論になって、早々に寅さんはとらやを発った。
 北海道の山道をドライブしていた桃井かおりが、ガス欠で通りかかった湯原昌幸の車に乗せてもらったところ襲われて、車から逃げ出したところ寅さんに助けられる。
 寅さんと車を置いてきたかおりが近くの宿まで歩くと、満室のところそのホテルのオーナーだった湯原を脅して泊めてもらう。
 かおりは田園調布から来て、結婚間近だが気乗りしない身の上を寅さんに話し、寅さんはその悩みは贅沢だと言った。
 翌朝、かおりは1人宿を発って、東京に帰って会社会長子息の布施明との盛大な結婚式を挙げるが、お色直しの最中に逃げ出してしまう。
 寅さんが静岡に行く途中とらやに立ち寄ったところに、タクシーで乗り付けたかおりがウエディングドレス姿で現れて、寅さんの部屋にかくまわれた。
 かおりの母親がとらやに来て、かおりとの話し合いの結果、しばらくとらやにお世話になって自分の将来を考え直すことにした。
 かおりはとらやの人々に、結婚したら自分の人生はそれで決まってしまうことを恐れ、1人で生きる方がいいのではないかと思って結婚をやめたことを語り、ついでに寅さんに恋愛感情は全くないことも言った。
 しばらくして、布施がとらやに現れ、寅さんが彼からかおりのことを思い続けていることを聞き、そのことをかおりに言うと、彼女は自分が恨まれてると思っていたので驚いた。
 後日、布施はかおりと会って自分が父の会社を辞めたことを言い、町工場で働きながらボロアパートで1人暮らしを始めた。
 そのことを知ったかおりは、布施の妹の戸川京子からアパートを聞いて訪ね、布施の優しさに打たれて結婚することを決め、寅さんに仲人を頼み、柴又の人たちとかおりの母と布施の妹だけの少人数で、柴又の料理屋の2階で微笑ましい結婚式を挙げた。
 寅さんは北海道に旅立ち、また女に手を出していた湯原と再会した。
 シリーズ23作目。
 前半、寅さんが湯原昌幸の弱みにつけ込んで、ただで泊まったり、その他事あるごとに脅迫しては要求を飲ませる展開が、この頃の『男はつらいよ』シリーズから無くなりつつあった喜劇的な面白さが戻ってきた感じで良かった。
 それから、結婚式からウェディング姿で逃走するというのも、絵的には見栄えがしていい。
 寅さんとマドンナの恋愛も、「その気が無い」とかおりにサッサと言わせて終わらせ、本筋に集中させた作戦も問題ない。
 ところが、後半になると金持ちの花婿の布施明がかおりの愛情を得るために貧乏生活を始めたり、そんな彼にかおりが惹かれていったり、展開がありきたりなズルズルベッタリの人情話になって失速してしまった。
男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく 監督:山田洋次  脚本:山田洋次、朝間義隆 1978 日(松竹) カラー 1:2.35 2006/01/07(土) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★☆ 2006/02/09
ストーリー 感想
 寅さんの帽子の形をした宇宙船が帝釈天に着陸し、寅さんがメタリックのスーツと鞄を身につけてとらやの2階から下りて来て、実は本物の寅さんは30年前に旅先で死んでいて、それを憐れんだ第三惑星の女王様が地球に差し向けた身代わりが自分だと話し、源公をはじめとする猿型宇宙人3人が寅さんを迎えに来て、寅さんは宇宙船に乗りこんで飛び去って行き、乗り遅れた源公が網で捕らえられた…、というところで、山の中の無人駅のホームで昼寝をしていた寅さんが、高校生のグループが持っていたラジカセから流れるピンクレディーの「UFO」の歌で目が覚めた。
 寅さんが柴又に帰って来ると、おいちゃんが病み上がりだということを知った寅さんがお見舞金をあげたことでおいちゃんたちもいい気分になったが、寅さんがとらやを継いだら事業を拡大して店を壊してビルにし、タコ社長の印刷工場を団子工場にすると言い出したことで、あっという間に喧嘩になって寅さんが出て行く。
 そして、熊本の山奥の宿に泊まっているときに、地元の農家の青年の武田鉄矢が恋人にふられたところに出くわし、往生際の悪い武田に寅さんが潔くしろと言ったことで、武田が寅さんを人生の師として崇めるようになる。
 しかし、宿代がなくなって手紙を受け取ったさくらが払いに行って寅さんを連れ帰り、寅さんはとらやの手伝いをして真面目になったと柴又の評判になった。
 そこに、さくらの幼なじみでSKDの歌手の木の実ナナが久しぶりにとらやにやって来て、寅さんは浅草の国際劇場に行く彼女について行って彼女の出るレビューを見た。
 寅さんが彼女のステージを見にとらやを出ようとしたところに、農業のシンポジウムに出るために上京してきた武田がとらやを訪ねてきて、彼を東京案内しなければいけないと思ったが、武田は国際劇場に行きたいと言い出した。
 寅さんと武田は2人でレビューを見て、ナナに夢中の寅さんは武田の目線が別のダンサーを追い続けていることに気付かず、劇場を出て2人は別れたが、武田は密かに次の回を見た。
 2週間後、武田の母からとらやに、武田に早く帰ってくるようにとのハガキが届き、ある日寅さんが露天を開いているとき、武田が食堂の店員の格好をして女性を追いかけているのを見かけた。
 ある日、ナナがとらやを訪ねてきて、10年間付き合っていて結婚を考えている男がいるが、ダンサーを続けるために結婚をあきらめると涙ながらにさくらに言ってすぐに帰り、それを聞いていた寅さんは失恋した。
 寅さんがナナを家まで送って、ダンサーを続けていれば相手もわかってくれると言って帰った後、恋人の舞台の照明の竜雷太が現れて2人は抱き合った。
 とらやに帰って来た寅さんは旅に出て、ナナはさくらに結婚してダンサーをやめると電話で知らせた。
 武田は追いかけていたダンサーにふられて、ナナが最後の舞台で歌を歌っているのを寅さんが客席で密かに見ていて、熊本に帰った武田がまたふられたところに寅さんが現れた。
 シリーズ21作目。
 本編がほとんどコメントすることがないほど精彩を欠いていて、オープニングの夢ギャグの方が面白く感じるようになっちゃいかんなぁ。
 冒頭でSKDのメンバーが帝釈天にお参りしたり、レビューや練習風景や国際劇場の舞台裏など、SKD関係のシーンにかなりの時間を割いていて、それらをフューチャーする要素が大きかったせいか?
 また、この映画の前年の1977年に山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』で俳優デビューして注目された武田鉄矢の出演も、さほど必然性がないので単なるフューチャー目的なのだろう。
ダーリング (原題:Darling) 監督:ジョン・シュレシンジャー 1965 英 モノクロ 1:166 2006/01/01(日) HDDレコーダー(NHK-BS2) ドラマ系 ★★ 2006/01/01
ストーリー 感想
 モデルのジュリー・クリスティは、ロンドンの路上でテレビのインタビューを受け、その回答を気に入ったディレクターのダーク・ボガードが彼女とプライベートでも会ううちに2人は恋するようになって、子供っぽい夫に物足りなさを感じたジュディは別居し、ボガードも妻と別居して2人は同棲を始める。
 2人はいい仲だったが2人の生活は思うように盛り上がらず、ジュディは出席した慈善パーティで会社社長のローレンス・ハーベイと知り合い、彼の紹介で映画の端役で出演する。
 ジュリーはボガードの子供を身ごもったが、不倫関係と女優への夢を理由に中絶し、ボガードが仕事にかかりっきりでハーベイに惹かれて、ボガードには仕事と偽ってハーベイとパリに遊びに行ったりした。
 しかし、ボガードにハーベイのことを知られたジュリーは、自分を退屈にさせていることの不満を漏らして口論になり、ボガードはジュリーの制止を振り切って家を出て行った。
 気落ちする彼女をカメラマンのマルコム(ローランド・カラム)が慰めて、彼の撮影した写真を審査した結果、ハーベイの会社の広告のモデルに起用され、ジュリーは撮影の仕事で行ったイタリアのとある公国のチェザーレ大公と知り合う。
 彼女に会いに来たマルコムに、傷心を癒してくれたイのどかなタリアで2人で暮らそうかと持ちかけるが、彼が1人で夜遊びに出て気持ちが冷めたところに、大公が来て彼女に求婚される。
 しかし、彼女は自分の生活を大切にしたいと言って断りロンドンに帰った。
 彼女はハーベイの元に帰ったが、ボガードのことが忘れられず結局2人とも去っていき、孤独を感じで大公との結婚を決めた。
 最初は前王妃の子供たちの新しい母として張り切ったが、外部との連絡もとれない閉鎖的で退屈な暮らしに嫌気が差し、ロンドンに戻って空港に彼女を迎えに来たボガードの愛を感じ彼とやり直そうとするが、ボガードは彼女に未練を感じつつも彼女をイタリアに帰そうとし、空港への車の中でジュリー復縁を求めて取り乱すが、結局空港に着いたときは見た目を取り繕って何事もないように記者たちに答えながら帰って行った。
 雑誌は何も知らずにそんな彼女を「理想の女性」と称した。
 古い時代から新しい時代に劇的に変わりつつある当時の状況を、奔放な生き方をする女性を主人公にした物語にあれこれ託している映画のように思われる。(当時の世相に詳しくないので、そうとしか言えない。)
 作風も60年代ヨーロッパ映画らしいモダンでクールなもの。

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