ライブでのメイン・ベースは全幅の信頼のおける1本でなければならない。
小原の信頼を決して裏切らないベースを紹介!

L.A在住の小原礼氏。
ミカ・バンド、坂本龍一氏バンド等のツアーやレコディングに参加。
福山雅治ツアーのバンマス。
L.Aではボニー・レイット・バンド所属。

最近、尾崎亜美さんと結婚。

 そもそも僕はギターやピアノをやってたんですよ。でも昔はべーシストが少なくてね。僕はパーテイで演奏するバンドの人に頼まれてベースを始めたんです。そのバンドで手にしたベースは借りものでした。どういうべースだったのかは覚えていませんねえ。
ベースをやり始めた当初は、ギターより弦が2本少ない楽器という程度にしか思ってなかったんです。でも実際に弾いてみると、ギターとベースは違うんですよね。ギターみたいな弾き方ではダメなんですよ。そこでどうやればしいいのか疑問に思うようになって、いろいろなレコードを聴くようになったんです。それ以前から好きだった黒人音楽などのべースを、しっくり聴くようになったんですよ。そのおかけでべースのことが少しわかるようになりました。そのあとですね、自分でべースを買ったのは。フエンダーのプレシジョン・べースを買ったんですよ。それが20数年前です。でもそのプレシジョンはすぐに売ってしまいました。新品だったせいか、鳴りがあまりよくなくてね。その後、いろいろなべースを手にしましたよ。エピフォンのfホールの付いているアコースティック・べース、それからザ・バンドのリック・ダンコも使つていたアンペッグ・べース、ダン・エレクトロ・ベースなどを使いました。
そういうベースは、今も持っていますよ。アメリカの自宅に置いてあるんです。そういうふうにいろいろなべースを入手していたんですが、レコーディングの仕事が増えるにつれて、やっばりフエンダー・ベースがほしくなってきたんですよ。で、アメリカで65年ぐらいのフエンダー・プレシジョン・べースを買ったんです。そのプレシジョンはサディスティック・ミカ・バンドでけっこう使いました。今も日本に置いていて、たまに使用してますよ。でもピックアップの出力が落ちてきているから、出番は少ないですね。
いいベースなんですけど、自宅で弾くほうが多いです。それから62年のフエンダー・ジャズ・ベースも買いました。それは、最高の1本です。今はアメリカに置いてますよ。日本に持ってくると気候などの違いで楽器の状態が変わってしまうんですよね。アメリカでの仕事では、ほとんどその62年ジャズ・べースを使ってます。僕が持っているべースの中で一番良いものですよ。レコーデイング以外では門外不出という、家宝のような1本ですね(笑)。…ジャコ・パストリアスのべースを弾いたことがあるという人と知り合いなんですけど、その人にジャコのべースよりも全然良いと言わしめたほどなんです。ネックもしっかりしてるし、もちろんサウンドも良い。そのジャズ・べースは,ブリツジのコマ以外はオリジナルです。
そのほかにも良いベースを数本持っているんですが、そろそろ本題に入りましよう(笑)。このワーナー・グレイのベースは、ステージで使えるしっかりした4弦が欲しくて作ってもらったんです。ワーナー・グレイの山口さんという方が、7−8年ぐらい前に作ってくれたんですよ。コンセプトは、ライヴでしっかりした音が出る。弾きやすい、バランスが良くて持ちやすいというようなものでした。そしてできあがったのがこのベースなんですが、ネック・スケールが通常の6分の5サイズなんです。僕はけっこう手が小さいんですよ。だからそれに合わせてスケールも縮めてもらったんてす。ダグ・ウイムビツシュも同じワーナー・グレイのべースを作ったようですが、彼のはノーマル・スケールだったんじやないかな。できあがった当初は、音が硬くて、鳴りもよくなかったんです。ネツクもよく曲がったりしてました。落ちついたのは数年たってからでしたね。今ではすっかりなじんで、オールドのような感じになってます。音も丸くなってきましたね。とにかくパワーがあるから、ライヴではメインで使ってます。細かい部分をいくつか紹介しましよう。
フレットは21まであって、高E音まで出るようにしてあります。
それからボディの向かって左半分はジャズ・べース・タイプで、右半分はプレシジョン・タイプになっているんですよ。よく見てもらえば、左右でボディ形状が違っているのがわかると思います。指板はエボニーで、かなり堅いものですね。指板はけっこうアールがついています。アールがきついほうが、特にライヴでは運指が楽にできるんですよ。それからペグはオールド・フェンダー同様に逆巻きになってますね。ピックアップはEMGで、プリッジはバダスかな。詳細はそんな感じなんですが、このベースはちっと重いんです。その理由は、チューナーとワイヤレスの回路が内臓されているからなんですよ。これは特徴的でしょ。製作者の山口さんと一緒に考えたんですよ。チューナーのほうは山口さんの提案で、ワイヤレスのほうは僕の提案だったと思います。まず内臓ワイヤレスについてなんですが、これを使えばジャックに何も差し込まなくていいんですよ。それはそれで便利なんですが、ずっと以前、ライヴで本当に弾いているのかどうか疑われたことがありましてね。ベースのジャックに何も差し込んでないんだから、疑われてもしようがない(笑)。それ以来、この内臓ワイヤレスは使ってません。本当は使いたいんですけどね。それからチューナーなんですが、これも、最近は使ってません。このベースはチユーニングがほとんど狂わないんですよ。だがらチューニングする必要がないんです。安定しているべースだっていう証拠でしようね。ライヴでは信頼できる楽器ですよ。

    


 

RAY OHARA CUSTOM BASS MATERIALS

ヘッド 
RAY OHARAのロゴを入れたヘッドは、シルヴァーがあしらわれているのが印象的だ。形状はシャープなものだが、小原自身は「見た目はイマイチのような気がする」と言っていた。

製作者から一言:製作当時はスモール・ヘッドが大流行していた。FENDER系ではスモール・バー・ヘッドが多かった。スティン・バーガーのようなヘッド・レスもあった。企画段階で本人より、スモール・ヘッドの話しもありました。スモール・ヘッドは欠点があります。1弦の5〜7フレのデッド・ポイントの問題!!・・です。また、ヘッドの1弦側のふくらみは、太いサウンドを作っています。ここをカットするとペコペコ・サウンドになります。この場合、バッファープリ等で低音をブーストします。電子回路で作ったサウンドになります。BASS本体での鳴りは要求できません。また今回、ストリングス・スケールは特殊なオーダーで33インチ「RAY OHARA スケール=ロング・スケール34インチとミディアム・スケール32インチの間の長さ。」です。スケール決定とフレット・ポジションには特殊な計算方法があり、円周率=π→3.14を用い計算します。 そこで試作を数本作り、リクエストのスモール・ヘッドの雰囲気を残し、デッド・ポイント、音の問題をクリアしたこの形状を生みました。1弦側のふくらみは、テレキャス・ヘッドを意識したシェィプになっています。その部分をナナメにカットしラメ・シルバー塗装に仕上げています。ライトをあてますと、ステージ上や PHOTO撮影ではスモール・バー・ヘッドの雰囲気で写ります。銀色部分は写りにくくなります。ですがシルエットはFENDER系テレキャス風ヘッドになります。)

ナットはブラス。オープン・ギア・タイプのペグは、よく見ると逆巻きだということがわかるだろう。オールド・フェンダーを意識して、逆巻きペグをマウントしたそうである。

       

オート・チューナー
     
 ホーン部についているオート・チューナーのディスプレイは、ステージ上でチューニングすることを考慮して、とても見やすいところに配置されている。なお、チューナーのピッチの基準はA=440Hz〜445Hzの範囲で設定することが可能だ。
ネック・セット部
ジョイントは4点止めのデタッチャブル・タイプ。ゴールド・プレートにはRAY OHARAの文字の他に、製作者から小原に向けてのサインが刻まれている。なお、完成直後はよくネジれたりしていたネックだが、最近は良好な状態を保っているそうだ。
      
ボディ部
リア・パネル内には、ワイヤレスとチューナーの回路が収められている。黄色い基盤がワイヤレス用で、緑色の基盤がチューナー用である。これらの回路を収めるために、ボディには大きな穴が開けられているわけだが、サウンドに悪影響が出ないような部分が加工されているそうだ。穴を開けるのに最も適した部分を探すために、製作段階でかなりの試行錯誤があったと思われる。
     
ボディ部背面
コンパクトにすっきりまとめられた形状のベースだということがわかるだろう。ボディのリアにはいくつかのスイッチが見受けれる。これはワイヤレスとチューナーのオン・オフ・スイッチ。リア・パネルをはずさなくてもスイッチングできるようになっているのである。
    
ピック・アップ、コントローラー
「ライブではアクティブ・ピックアップ。スタジオではパッシブ・ピックアップ」という小原。ライブでのメインであるこのベースには、EMGのピックアップを、PJタイプにマウントしている。このピックアップから生み出されるサウンドはドンシャリだということだ。なお、コントロールは2ヴォリューム&1トーン、そしてピックアップ・セレクターという内容になっている。

(BASS MAGAZINE 記事より、資料提供:ベースマガジン編集部様)

    

         

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