WARNER GRAY "Y-DW" 例えば、このベースにはフレットが21fまであるよね。普通フェンダーだと20fしかないんだけど、これはフレットの数を多くして1弦の高いE音まで出せるように作ってもらったんだ。またチューナーも内臓されているから、ステージ上でもすぐチューニングができていいね。特に僕の場合、開放弦を鳴らしたまま、ペグをすばやくゆるめ、またサッと元にもどすという奏法(アーム・ダウンのような効果がある)を演奏中よく使うから、チューナーがあるととても助かる。(編集部注:スタンリー・クラークが数年前ジェフ・ベックと共に来日した際、これと同じような奏法を見せてくれたが、それを行った後のチューニングにはかなり怪しいものがあった。) それに加えてワイヤレス回路も内臓されているのも、邪魔にならなくていいね。チューナーの内臓されているベースは他にも知っているけれどワイヤレス回路とチューナーの両方が内臓されているのは他にないよ。
僕はジャズ・ベースは4本持っていて、そのフィーリングに慣れているからシェイプはジャズ・ベース(編集部注:正確には、左半分がジャズベ、右半分がプレベ・タイプ)、でもピックアップはプレシジョン・タイプが好きなんで、それも付けてもらった。だから、このベースはジャズ/プレシジョン・タイプという感じかな。 |
製作者のコメント(山口博) このベースは量産じゃないものでね。その都度希望するスタイルを聞いて、一本一本ハンド・クラフトで作ってるんです。 ダグとはアーサー・ベーカーのスタジオのスタッフから紹介されて知り合いになったんですけど、彼は特に3弦と4弦をポーンと実音で鳴らしておいて、1弦と2弦でハーモニクスをドバーッと弾くという奏法をよくやるんですよ。とにかくハーモニクスをよく使う。それでハーモニクスの音ってサスティンがないとどうしょうもないので、とりあえずその点を重視しながら、このベースを作りました。また、全体的にオリジナルのフェンダーよりひと回り小さいボディにしています。 苦労したのは、やはりワイヤレス回路とチューナーを内臓するんでボディに穴を開けなきゃならない・・・けれども、それでサスティンが悪くなってはいけない、という点ですね。ベースのボディには振動する部分と静止する部分があるわけですけれども、その中でも、穴を開けるのに最も適した部分を探すために、5つぐらい試作のボディを作りました。それから電気系統ですね。ワイヤレスのアンテナも内臓しているんで、ボディの外にはまったく何もないわけですが、それで音がちゃんと飛ぶかどうか・・・。 ただ、コンサート・ホールによってやたらと磁場が強かったり、照明などからノイズを拾ってしまうようなこともあるので、そういう万が一のためにシールドのジャックを付けておきました。 けれども、ジェフ・ベック日本公演の時には、ダグはまったくコードなしで、武道館のステージを右や左にグングン動き回っていましたね。 (BASS MAGAZINE 記事より、資料提供:ベースマガジン編集部様) |
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