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くちだて(口立) 歌舞伎演出、脚本用語。文章化された脚本(台本)なしに、俳優同士が大略の筋立てにもとづいて、稽古の時などに口頭のせりふ合わせだけで芝居をまとめてゆくことをいう。 .
くどき(口説) 音楽、舞台用語。平曲、楽曲中で朗詠風にくどくどと語られる部分の旋律型の名称。 .
くちばん(口番) 楽屋口の番人という意味。楽屋入口の受付の役のことで無用の者の入場を拒み俳優の出入りを送迎する。 .
くまどり(隈取) 歌舞伎の化粧法の一つ。普通の舞台化粧の上に筋やぼかしを強く描くことによって、性格をよりはっきりさせる方法。善悪の表情の様式化されたものと言える。隈取は大きく二種類に分けられる。赤を主としたものは善を表し、陽性で、荒事(→あらごと)の立役(五郎、助六、弁慶など)道化じみた敵役、善意の化身などに用いられる。藍または茶を主としたものは悪を表し陰性で、実悪、亡霊、害をなす鬼畜などに用いられる。 .
グラス・マット grass mat。草を表現するために舞台に敷く布や人工芝などの敷物のこと。 .
グランドマシーン 写真あるいは、描画、スライドの投影によって雲の効果を生じる照明機器。 .
グランドロー 遠景の地平線や町並みのスカイラインに見せかけバックドロップ(→バックドロップ)の末端や舞台床上の照明機器を隠すためのもの。横長で丈の低い切出し、現在舞台裏では(横っ倒し)(横倒し)切出しと俗称されている。 .
グリーンルーム 元来は俳優が休憩したり、雑談したり訪客と対面するための部屋であり、その仕上げ色彩からこの名前が生じたらしい。近代では舞台脇に設けられた俳優が舞台への出を待つ間に休憩するための意義が濃くなっている。 .
クロークルーム 携帯品預所。 .
くろご(黒衣) 歌舞伎演出用語。(無)を意味する黒頭巾、黒木綿衣裳による黒後見(→こうけん)のこと。黒ん坊ともいう。俳優の舞台上の演技展開につれて、合い引きの当て外し、不用になった持道具の取片付け、時にはプロンプター(せりふづけ)などの演技の介添え全般の役割を引き受けるもので、門弟、狂言方、師匠などがおもに勤める。時には不必要になった木戸口、上敷などの消去に、道具方がこれを着て勤める。文楽などの人形遣いは、出遣い以外は木綿製のこの黒衣を着るのが原則で、とくに道行などの舞踊場面には、黒繻子製と使い分ける。  .
くろまく(黒幕) 大道具用語。大黒(おおぐろ)ともいう。舞台上の大きな黒い幕のこと。黒は物を閉じこめ消去する闇あるいは背景幕として夜の場面に用いられる。また精霊、忍術による人物、死骸、物品の現前、消去など(消し幕)の演出に、後見(→こうけん)により用いられたりもする。 .
くろみす(黒御簾) 歌舞伎などの音楽を演奏する場所。舞台の下手にあって、外囲いを黒い板で作り、すだれをかけているのでこの名がついた。また、黒く塗ったすだれを付けているからともいわれている。下座(→げざ)ともいう。→

くろみすおんがく(黒御簾音楽) →げざおんがく .