ひどゆき一家大阪呑み怪
贔屓屋の章

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 予約時間には少し早いが、入店許可が下りる。ここではう殿、いきなり下足番になる。さすが草の者、素早い身代わり。しかし幹事が下足番を始めてしまったので、一同、路頭に迷う。そんなこんなで個室に通されてくつろぐ呑み怪の面々。さっさと荷物を軽くしたいらしい紅蓮殿は、てきぱきとお土産を配る。わたしも荷物を軽くしたいので、こそこそと貢ぎ物を配る。ここでも前回ライブの恥ずかしい写真を閲覧し、ここ関西の地でも、あらためてM氏とANさんの知名度はあがる。おっと、酔う前に写真ですよと悪の紅い彗星は「床の間に生けられたガマの穂」をへし折りながら床の間に上がる。もちろん、隠蔽工作は忘れない。どれ、それではわたしもとカメラを持って床の間に・・・ガンっ!と小気味良い音を立てて鴨居に頭をぶつけてしまった。何故にガマの穂の罰が私に!

 時間も来まして大阪呑み怪の始まり。幹事殿、乾杯の音頭をとるのですよ、とはう殿が振られると、いえいえ、宴会幹事はこちらですよと所長に流れ、その隙をついて劉貴さんがささっと乾杯の音頭をとる。さすが演芸の本場、素早いボケとつっこみである。とりあえず、酔っぱらって忘れる前にKIJISUKEせんせーの著書ににサインのお願いする。このとき、まったくの不注意で女王様に蹴りを入れてしまい、恨みを買ってしまう。あわわ、早いとこしょちょーに矛先を向けねば。

 みなそれぞれの話題で盛り上がる。怪奇幻想映画談義に興ずるもの、おもむろに能を舞うもの、ご当地ローカルネタに走るもの。ここで再び今宵の一発芸、さくや妖怪伝のパンフを披露。率先して観てきた物好き二人は、ここでもいかに壮大なスケールで、近年稀に見る超大作であったかを吹聴する。が、「刀の握り方が違う・・・」とはう蔵殿が呟く。おっと、はう殿、17の小娘に何を言っても始まらんのですよ。カッパの小僧なんぞ、エンディングロールでは合成樹脂の刀を振り回しておりましたぞ。うおお、あのエンディングロール、どうしてくれようかと思いましたぞ!と再びもりあがる。後日、さくやの餌食になるひどゆき一家構成員が増えるに違いない。

 それはさておき、話の流れはさくやの刀の握り方から刀談義へ。太刀小太刀の使い方から、二本差しと一本差し、野太刀だの兜割だの、長刀の抜き方だの、背負刀の使い方だの、某悪の総帥は当主として年に一度、新月の深夜に代々伝わる妖刀を研いでいるだの、盛り上がる盛り上がる。

 遅れてきたあやのさんも無事合流し、お約束のアミ撮影会になる。しかし、レンズは全て足元に向いている。いわばフェチの撮影会ですな。そんな楽しいことはさておき、あやのさんからはう蔵殿への手土産「田吾作煎餅」が手渡される。これ、先日いただきましたがとってもおいしいですぞ。

 さて宴はといえば早々にビールから日本酒、酎ハイなどに移り変わり、魔宴の様相を体してくる。しかし本日は北海支部オフ怪と2元生中継の予定。連絡員の私はビールで押し通す。そして魔の19時、つづみちゃんに連絡を入れる。

「ハイホー!つづみちゃん〜〜!」

「兄さん、酔ってるでしょ!」

「ええ、すでに飲んだくれですぞぃ」

 しまった!押さえたつもりがわずか1時間で壊れはじめているではないか!ちなみに、何本ビールを空けたかなぞ覚えていない。昼から何も食べてないので、良く食べ良く飲むのであった。などというのは押し隠し、さらりとこちらの状況を通報し、紅蓮殿に電話を渡す。

「もしもし〜僕まーしー」

 鼻をつまんでの第一声がこれかい!というわけで、半壊状態の所長など、次々に生中継は続くのであった。ちなみに私が話した電話の内容は・・・ほとんど実況中継でした。生中継がひと段落した頃、おもむろに立ち上がった紅蓮殿、どこへ行くのかと思えば柚井さんの御機嫌伺いに。ふむ、悪事の密談ですな、というわけでちょっとだけ席替え。ふと見るとなにやら考え込んでいる紅蓮殿、おもむろに所長の肩を抱き寄せ、顔を近づける。おおっ!これは・・・とおもいきや、刺し身の大皿から山葵の塊を所長の口に入れてあげるのであった。さすがに「口移しで」とはいえない私であった。

 時間も来ましたのでそろそろお開きですよ。店員に集合写真を撮らせ、ぞろぞろと部屋を出る。再び下足番と化したはう蔵殿、ささっと履物を並べ出す。ふむ、隠密というよりも中居さんですな。さて、再びシネマ通りにわいて出た呑み怪御一行様、うおぉ!あやのさんがおもむろにスカートをたくし上げ、フラメンコ・・・ではなくアミを披露。柚井さんが興味津々に間近に見る姿がすでに路上の見世物であることを物語っていた。このときの柚井さん、「私は紅で決めようかしら・・・」と思っていたに違いない。さすが女王様である、ええ、紅い薔薇のアミとエナメルのピンで決めてくだされなどとはおくびにも出せないのであった。こんなところで私の趣味を露呈してはいけない。

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