「Caliufornia Wine View」2002年Spring号 より |
Does Zinfandel merit long bottle aging ? 「ジンファンデルは熟成するか?」 議 論 の 背 景 ワイン批評家や愛好家のあいだには、「ジンファンデルはボトル熟成しない」とか、「古いジンファンデルを飲むのは屍姦趣味だ」といった意見が根強くあります。例えば、ロバート・バーカー氏はその著書のなかで、「多くのジンファンデルは長く保管可能だが、私の経験上、7〜8年を超えてワインの味わいが向上することはほとんどないし、それ以前に飲むのがベスト1」としています。 この、ジンファンデルに「10年を超える長いボトル熟成を通じて、瓶詰め直後の段階では感じられなかった複雑な味わいが生まれ、やがてワインの味わいそのものを変貌させる」能力が備わっているかどうかについて、カリフォルニアを代表的するジンファンデルのワインメーカー、ポール・ドレイバー氏に意見を求めました |
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ポール・ドレイバー ●リッジ・ヴィンヤーヌ Paul Draper/Ridge Vineyards カリフォルニアジンファンデルの 第一人者の一人です。 目次 ●消費の前提 ●そもそも熟成とは ●ジンファンデルの熟成 ●結論として |
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消費の前提 ワインをあまり飲み慣れない消費者に、なにか適当なワインを推薦するにあたり、もっとも多く選択されるのは、その魅力がただちに伝わるワインである。凝縮した果実味と柔らかなタンニンを併せもつフルボディのジンファンデルは、まさしくそうしたワインである。ワインをボトル熟成させることに興味があると同時に、適切なセラーを使用できる人は限られているため、ワイン批評家が無数のワインのなかから特定のワインを薦めるにあたっては、そのワインをボトル熟成なしで消費することが前提となっているだろう。 |
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そもそも熟成とは ジンファンデルはボトル熟成するか?」という質問に答える前に、「熟成」について考えてみたい。フルゴーニュの赤、及びピノ・ノワールは熟成するだろうか? 明らかに8〜10年を超えて熟成するものはいくつかあるが、それは非常に限られている。ボトル熟成に必要とされるヴィンテージの良し悪しを考慮すれば、ブルコーニュの赤だけでなく、ボ ルドーすらこの問題が浮かび上がってくる。経験を積んだ、偏見のないテイスターであれば誰も、1991年や1992年、1993年ヴィンテージのボルドー策一級シャトーのワインが10年を超えて品質が向上するとは、夢にも思わないだろう。それでは、ワインに「ボトル熟成によって品質が向上する能力を与えるもの」とはなんだろうか? 私は第一に、その葡萄が栽培される土地の質と個性であり、そこに栽培されている葡萄品種(群)がその土地に完全に適合していることであると考える。第二に、葡萄樹一本あたりの収量と樹齢である。そして第三に、生産者の意向と能力である。最上の土地の、収量を厳しく制限した果実でも、生産者の取り組み方次築で、その長期にわたって熟成する能力を失ってしまうからだ。また、こうした要素も、良いヴィンテージに恵まれて初めて、意味をなすものだ。つまり、いかなる葡薗畑であっても、不作年や平凡な年に、長いボトル熟成によって品質が向上するワインをつくることはできないのである。 |
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ジンファンデルの熟成 では、ジンファンデルは長いボトル熟成によって品質が向上するだろうか?芳醇な果実味があり、フルボディではあるが心地良さを併せもつ最良のジンファンデルは、収穫後5〜6年までがとても魅力的なため、消費者に、より長期のボトル熟成を勧める理由は見当たらない。私のリッジ・ヴィンヤーズでは通常、ラベルに「我々のジンファンデルは収穫から5〜7年が飲み頃です」と明記している。 我々は意図的に飲み頃を早めに表示しているのだが、それは、我々の顧客の多くが若いジンファンデルの豊かな果実味を愛してやまないからで、そうした顧客が若いワインを飲んでおいしいと思う気持ちを大切にしたいからである。では、リッジのジンファンデルは長いボトル熟成によって品質が向上するだろうか?答えは条件つきでイエスだ。素晴らしい畑の、秀逸なヴィンテージのジンファンデルは、長いボトル熟成によって品質が向上する。例えば、適切に保管された1970年や1973年、1977年のガイザーヴィルのジンファンデルは、驚くほど複雑で、エキゾチックなワインになっている。リットン・スプリングスも同様で、1974年など、1970年代の2つ程度のヴィンテージがこうした変貌を遂げている。では、今日我々が生産しているジンファンデルの多くも、こうした美しい変貌を遂げるのだろうか?答えはNOだ。1980年代には、20〜25年の熟成に値するワインは1つか2つしかつくれなかった。しかしながら、1990年代未以降、豊かな酸が残った状態で果実が完熟し、より豊富なタンニンの抽出が可能となったため、1999年ヴィンテージのリットン・スプリングス、及び2001年のリットン・スプリングスとガイザーヴィルは、ジンファンデルの熟成に興味のある少数の消費者にとって、素晴らしい経験を与えてくれるだろう。 |
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結論として、今日流通しているジンファンデルのほぽすべては、収穫から5年以内に飲むのがペストだろう。フルボディの赤ワインでありながら、若くしておいしく、満足感の得られるものは、良質のジンファンデルをおいて他にはないのだから。 ここで食い違うんだよな〜でもま〜物によりけりと言う事かな?? |