☆★☆★☆★ Cepheus2001 ★☆★☆★☆

双眼鏡・小望遠鏡で充分に手の届く
『二重星』『有色星』『星雲・星団』などを
勝手気ままに書き連ねる!

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Vol.09 2001.07.03

  ※※※ 速報! ※※※

 リニア彗星(2001 A2 LINEAR)が、太陽の周りをぐるっとまわって、地球に近づいてきています。核が分裂し、一時はどうなっちゃうのだろう?と心配されましたが、6月23日で3.7等との観測報告があります。尾も2度ほどあるということ。
 場所は、くじら座→うお座→ペガスス座と移動中です。明け方の空です。
 この時期、天気が芳しくありませんが、火星と共に、大注目の天体です!みんな、見よう!

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それでは、今回も元気に行ってみよ〜!

★ M4 (双)(望・低〜)
 さそり座を写真に撮ると、思いもよらない星の集まりが、アンタレスのそばに写っています。そこで初めて「あ〜、そういえば、こんなところに球状星団があったっけ」となります。
 大きな星団なのですが、あんまり意識されない可哀相?なヤツです。
【見つけ方】
 アンタレスの右横(西側)。双眼鏡でなら一発。
(赤経16h23.7m 赤緯-26度31分 2001.5年分点)

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★ さそり座ベータ βSco(望・低〜)
 さそり座探索の際の、必見の星。わかりやすい二重星です。
【見つけ方】
 さそりの左のつめです。超簡単。
(赤経16h05m31s 赤緯-19度48.6分 2001.5年分点)

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★ さそり座ニュー νSco(望・低〜)
 こいつ、二重の二重星(ダブルダブルスター)で、4.3等の主星には6.4等星が、6.8等の伴星には7.8等星がくっつています。面白いでしょ?
【見つけ方】
 上記、さそり座βの左(東)側です。
(赤経16h12m 赤緯-19度30分 2000.0年分点)

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★ さそり座のしっぽ→いて座付近
 ここいら辺の空を一度でも双眼鏡で覗いたことのある人なら、この領域にとんでもない量の星と星団が集まっていることがお分かりだと思います。M天体の生みの親であるメシエも、きっとゾクゾクしたに違いありません。
 写真を撮れば、なおさら!肉眼では見えにくいガス星雲までいっぱいあって、あ〜、どうしよう!と叫びたくなります。

 以下、双眼鏡の同一視野ごとに紹介します。

◎M6、M7 (双)
 散開星団。10倍くらいの双眼鏡かな。
【見つけ方】
 さそり座の、尻尾の上(北側)。斜め右上がM6。
M6(赤経17h40.1m 赤緯-32度13分 2001.5年分点)
M7(赤経17h54.1m 赤緯-34度48分 2001.5年分点)

◎M22 (双)(望・低〜)
 やや扁平の、しかし見事な球状星団。15cmくらいの望遠鏡だと、物凄い光景だ!
【見つけ方】
 いて座ラムダ(λ)の東北東。わかりやすいから、こんな大雑把な説明でも心配ご無用。
(赤経18h36.4m 赤緯-23度56分 2001.5年分点)

◎M8(干潟星雲)、M20(三裂星雲) (双)
 もはや説明不要の、全天を代表するガス星雲です。が、肉眼ではきついかな〜・・・
【見つけ方】
 いて座ミュー(μ)の南西。
M8(赤経18h03.2m 赤緯-24度23分 2001.5年分点)
M20(赤経18h02.4m 赤緯-23度02分 2001.5年分点)

 他にも、M8・M20のそばにはM21(散開)・M23(散開)などがあり、いて座μの北北東側にはM16(散開)・M17(散光)・M18(散開)・M24(散開)・M25(散開)などがあります。
 とにかく、双眼鏡の視野の中には何かしらの天体が入っていると思ってよろしい!

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雑文コーナー【どうなる今年のしし座流星群?】
 11月17日〜18日あたりにピークを迎えるしし座流星群は、ここ数年来の派手な出現のおかげで、すっかり天体現象の主役に躍り出ています。まぁ、「流れ星なんて大嫌い!」というへそ曲がりはそうそういませんし、願い事をたくさん言う良いチャンス?ということで、みんなが空を見上げるわけですね。
 ところが、せっかく眠い目を擦りながら夜更かししても、肝心の流星が見られなければ、どうしようもありません。いつ、どこで、どれくらいの量の流星が見られるか、正確に予想できたら、何と素晴らしいでしょう。
 こんな夢のような事を、理論的に確立しようとしている人がいます。デヴィッド・アッシャー博士(David.J.Asher)です。
 彼は、しし座流星群の元になっているテンペル=タットル彗星の、何周にもわたる公転軌道を正確に割り出し、またその各軌道上に広がる流星の元になる物質の分布にも注目しこれを解析、さらに地球の公転軌道と彗星の公転軌道の接近・交わりの具合から、10分単位くらいの見事な精度で、しし座流星群のピークを予想しました。
 当初、あまりに明確に言い切るものですから、みんな眉唾物として信用しなかったのですが、1999年と2000年のピークと、さらに流星数までがピタリと予想通りなので、一同ビックリ!
 そして、2001年。日本時間で11月19日03時19分に、1時間あたり何と10,000個以上の流星が見えると、アッシャー博士は予想しています。
 当日は新月過ぎで、月明かりは全くありません。
 しかし!残念なことに、この日前後は、日本は雨が降りやすいとされている日(特異日)なのです。
 さ〜どうする?どこで観測すればいいんだ〜!

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神話コーナー!【あかい めだま の さそり〜】
 今回は、赤い惑星・火星がすぐ近くに輝いている『さそり座』の話です。このサソリは、乱暴者のオリオンを刺し殺した毒サソリと言われていますが、他もこんな話が残っています。

 太陽神アポロンは、毎日“日の車”を四頭の馬に引かせて黄道をめぐっていました。ある日、息子ファエトンが“日の車”を走らせてみたいとせがみました。アポロンはビックリ!「息子よ、“日の車”は大神ゼウスでも走らせることはできないのじゃ。道が険しいので目も眩むし、黄道にはいろいろな怪物が横たわっていて邪魔をしようとする。それに、車を引く四頭の馬は、口や鼻から火を吐いて走る。手綱さばきはとても難しいのじゃ。お前にはまだ無理じゃ!」と言い聞かせようとしましたが、ファエトンは「親父、俺を見くびるな!」と、どうしても言うことを聞きません。
 遂にアポロンは許してしまい(親馬鹿)、ファエトンは大喜びで“日の車”に乗り込んで走り出しました。
 ところが、いつもより乗り手が軽いものですから、“日の車”はたちまち道からそれてしまいました。ファエトンは手綱の取り方もわからなくなるほど慌てます。
 すると、行く手に恐ろしい大サソリが登場!足を広げ、毒針の尾を立て、巨大なハサミを振り上げています。あ〜もうダメ!ファエトンは恐ろしさのあまり手綱を取り落としてしまいました。
 おかげで“日の車”は大暴走!遂には天も地も猛火に包まれてしまいました。
 これを見ていた大神ゼウスは雷電を一撃、“日の車”を打ち落とします。“日の車”は砕け散り、ファエトンは真っ逆さまにエリダヌス川に落ちて死んでしまいました。
 エリダヌス川の岸では美しい琥珀が取れたと伝えられていますが、これは、ファエトンの死を悲しむ姉妹の涙が固まってできたものだと言われています。

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参考文献
WGN,the Journal of the IMO 27:2,1999
『天文年鑑2001』(誠文堂新光社)
『星座への招待』村山定男・藤井旭 著 (河出書房新社)
月刊星ナビ2001.7月号(アストロアーツ)
『星座の神話』(恒星社)
『星の神話・伝説集成』(恒星社)


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