☆★☆★☆★ Cepheus2001 ★☆★☆★☆

双眼鏡・小望遠鏡で充分に手の届く
『二重星』『有色星』『星雲・星団』などを
勝手気ままに書き連ねる!

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Vol.10 2001.08.09

 いよいよ夏本番!雷雨に打たれても、蚊に刺されても、やっぱり星見は止められません(寒いよりは良いよね〜)。

★ M57 (望・中〜)
 タバコの煙の輪のような形。“ドーナツ星雲”とか“リング星雲”という愛称で親しまれている惑星状星雲です。彦星が織姫星に贈ったエンゲージリングと見るのも楽しいかも。
 残念ながらこのリング、とても小さいので、肉眼はおろか双眼鏡でも楽しめませんが、小さい割に明るいので、小望遠鏡なら良く見えます。
【見つけ方】
 こと座の平行四辺形の南の辺、βとγの中間。ファインダーで見えなくても、この位置に導入すれば望遠鏡の視野に入ってきます。
(赤経18h53.6m 赤緯+33度02分 2001.5年分点)

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★ こと座イプシロン εLyr (双、望・中〜)
 こと座のダブルダブルスター。是非見てほしい楽しい四重星。ε1とε2は双眼鏡でも楽にわかる重星ですが、それぞれがさらにふたつずつ分かれる重星です。10cmクラスの高倍率ならしっかりと確認できます。
【見つけ方】
 こと座のべガを一角とした三角形のひとつ。ファインダーでもすぐ導入できます。
ε1(赤経18h44m 赤緯+39度40分 2000.0年分点)

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★ こと座ベータ βLyr (双、望・低〜)
 主星は「こと座β型変光星」という型の食変光星です。主星と伴星(ここでは二重星としての意味ではない)が非常に接近し、お互いの共通重心を毎秒200km近くという超スピードでまわりながらガスを噴出、その中に自ら包み込まれてしまうという奇妙な食変光星なのです。肉眼でも観測できるが、双眼鏡があればなおOK。明るいので変光星観測の入門にもってこいです。
 二重星としては、口径5cm程度でも8等の伴星が確認できます。
【見つけ方】
 こと座の平行四辺形の南西の星。
(赤経18h50.1m 赤緯 +33度22分 2001.5年分点)

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★ はくちょう座ベータ βCyg (望・低〜)
 アルビレオという名前も美しいが、色の対比も素晴らしく、全天一人気のある二重星です。オレンジとブルーの美星に“ロメオとジュリエット”と名付けた人もいます。異議なし!
【見つけ方】
 3等星でちょっと暗いけど、はくちょうのくちばしの星と言えばわかるよね。
(赤経19h30m47s 赤緯+27度57.8分 2001.5年分点)

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★ はくちょう座61番星 61Cyg (望・低〜)
 ベッセル(独)によってはじめて年周視差が測定された星。つまり恒星までの距離を三角測量の原理で測定に成功した記念すべき星なのです。距離は約11光年の近距離星。
 また小口径でも分離する連星でもあります。主星伴星どちらも赤っぽく、約600年周期で回り合っています。
【見つけ方】
 はくちょう座デネブの東。γ星から伸びるはくちょうの翼と平行に東へ伸ばすとあります。
(赤経21h07.0 赤緯+38度45分 2001.5年分点)

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★ M27 (望・低〜)
 思ったより明るく大きく、これほど良く見える惑星状星雲はほかにないのでは?真中が少しくびれた形は5cmクラスの小口径でもわかります。ボディビルに使う「鉄亜鈴」に似ているということで“あれい状星雲”のニックネームがあります。
【見つけ方】
 はくちょう座とわし座の間にある や座 を探しましょう。この矢じりの北約3度に、Wを逆さまにした星列がある。M27は、このWの中心にあたる星の近くにあります。
(赤経19h59.6m 赤緯+22度43分 2001.5年分点)

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★ いるか座ガンマ γDel (望・低〜)
 5cm程度の小口径でも分かれて見える重星で、色の違いを「黄金と青緑色のコントラストが見事」と評した人もいます。色の感じ方は人によって違います。さてあなたの目には?
【見つけ方】
 いるかの鼻の頭です。簡単。
(赤経20h47m 赤緯+16度07分 2000.0年分点)

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雑文コーナー【夏の星とサッカーチーム】
 サッカーJ2リーグに『ベガルタ仙台』と『アルビレックス新潟』というチームがあります。このチーム名は、「こと座」「わし座」「はくちょう座」の星の名前をアレンジしています。
 『ベガルタ』は、仙台名物たなばたまつりの主役、織姫(ベガ)と彦星(アルタイル)にちなんで合成されました。
 『アルビレックス』は、「はくちょう座」のくちばしにある美しい二重星アルビレオと、ラテン語で王様を意味するレックスの合成語です。サッカー界の王を目指す、とうことです。由来は県内の瓢湖にたくさん飛来する白鳥からつけられたのではないかと考えていますが??
 そういえば、2002年のワールドカップの新潟会場は「ビッグスワン」ですね。コレも関係ありそう。

 このように、星の名前は意外なところに使われています。
 思いつくままに挙げると・・・
 サッカーでは、『柏レイソル』の「ソル」は「sol」、ラテン語で太陽の意味です(ついでながら「レイ」も王の意味)。
 昔あったプロ野球チームに『オリオンズ』というのがあり、確か袖にオリオン座が刺繍されていました。
 車では、富士重工の『スバル』、言わずと知れたおうし座のプレアデス星団です。ダイハツの『ミラ』、くじら座の有名な脈動変光星です。マツダの『カペラ』、ぎょしゃ座の一等星です。トヨタの『コロナ』は太陽のコロナか、かんむり座の「Corona Borealis」からとったのか、いずれにしても天文に関係あり。
 列車では『北斗星』と『カシオペア』。古いところで『明星』。
 『オリオンビール』ってものあるね。
 星座を五線譜に乗せて、そのまま音楽にしてしまった人もいます。神山さんという作曲家で、CD-ROMのタイトルも『エトワール』、フランス語で「星」そのものの意味です。

 このような星(天文)に関連した名前、探せば探すほど出てきそうですね。

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神話コーナー!【年に一度の夜は激しく燃えて】
 天の川の東岸に美しい天女がいました。天帝の娘で、名を織女といいました。織女は、父のいいつけで毎日毎日機織りをしていました。織女は、見事な美しい布を織るのに忙しく、髪を結う間も、化粧をする暇も、そして恋をする暇もありませんでした。
 その姿を見た天帝はさすがにかわいそうに思い、天の川の西岸に住む牽牛というハンサムな青年と結婚させました。こうして、二人の甘い結婚生活がはじまり、楽しい毎日が過ぎていきました。
 すると、織女は機織りをやめてしまい、遊んでばかりいたので、ついに天帝は腹を立てて、織女を東岸に連れ帰り、1年に1度だけ、7月7日に二人が会うことを許しました。
 二人は年に1度のデートを待ちわび、一生懸命仕事にせいをだしました。
 ただし、二人が会えるその日に雨が降ると、天の川の水かさが増えて、織女は渡ることができません。旧暦7月7日は天の川の下流に上弦の月がありますが、つれない月の船人は織女を渡してくれません。
 でも、そんなとき、水かさの増した天の川のほとりで織女が泣いていると、どこからかカササギの群が飛んできて、川の中に翼を並べて橋をつくり、織女を渡してあげるのだと言い伝えられています。
 この話は中国の七夕伝説です。遣唐使や留学生によって日本へ伝えられ、奈良時代から朝廷で七夕祭りが行われるようになりました。そして、平安時代からは毎年定まった公の行事となり、それが次第に庶民の間に広がり、江戸時代には日本の年中行事になったそうです。
 今年の七夕(旧暦)は8月25日です。さて、その日の天気はどうでしょうか?

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参考文献
『天文年鑑2001』(誠文堂新光社)
『星座への招待』村山定男・藤井旭 著 (河出書房新社)
『STAR ATLAS 2000.0 実用全天星図』 (誠文堂新光社)
『星座の神話』(恒星社)
『星の神話・伝説集成』(恒星社)
『新訂ほしぞらの探訪』 山田卓 著(地人書館)
『J2 アルビレックス新潟』公式ホームページ


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