☆★☆★☆★ Cepheus2001 ★☆★☆★☆

双眼鏡・小望遠鏡で充分に手の届く
『二重星』『有色星』『星雲・星団』などを
勝手気ままに書き連ねる!

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Vol.08 2001.06.13

 梅雨入りしましたか?イヤですね〜。星は見えない、レンズはカビる、フィルムは湿気る。
 うう〜。
 さて!気を取り直して、っと。

★ M13 (双)(望・低〜)
 全天を代表する球状星団です。これを見ずして“観望派”を名乗ることはできません。
 約21,000光年のところにあり、およそ100億歳の老星が、直径100光年あまりのややつぶれた球状空間に約40万個も密集しています。
 条件次第では肉眼でも見えますが、双眼鏡なら丸い光球状がはっきりとわかります。小望遠鏡でも50倍あれば、もう忘れられないほどのイメージが脳裏に焼き付くでしょう。もし透明度の高い綺麗な空の下で大口径の望遠鏡を使って見たとしたら・・・! く〜、見たい!
【見つけ方】
 ヘルクレス座エータ(η)とゼータ(ζ)を結ぶ線を1:2にした、η側にあります。
(赤経16h41.7m 赤緯+36度27分 2001.5年分点)

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★ ヘルクレス座α(αHer ラスアルゲチ)(望・中)
 逆さのまんま天頂に昇る、何だか可哀相なヘルクレス座。その頭にあたる星です。
 中国では帝座(“天帝の玉座”の意)と呼び、そばに彗星や新星が現れると不吉な前兆としていたということです。
 全天屈指の二重星です!主星は赤色巨星の変光星(3〜4等)、伴星は緑〜深青色の5.4等です。対比がお見事。
 おまけ。すぐ東隣りのへびつかい座αの名前が『ラスアルハゲ』(笑っちゃいけませんよ)。
 ちなみに意味は、ラスアルゲチが“ひざまずく者の頭”、ラスアルハゲが“へびつかいの頭”(そのまんまだね)です。
【見つけ方】
 星図・早見盤で確認して〜。
(赤経17h14m42s 赤緯+14度23.0分 2001.5年分点)

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★ M10、M12、M14 (双)(望・低〜)
 へびつかい座の真ん中あたりには明るい星がまったくありませんが、よく見ると球状星団が横に並んでいます。M13やM5に比べればたしかに見劣りするかもしれないけど、丁寧に拾って下さいね。
【見つけ方】
 へび座(尾部)エータ(η)と、へびつかい座デルタ(δ)を結んで、そのラインを探って下さい。近くにNGC6366(これも球状星団)もあるよ。
M10(赤経16h57.2m 赤緯-04度06分 2001.5年分点)
M12(赤経16h47.3m 赤緯-01度58分 2001.5年分点)
M14(赤経17h37.7m 赤緯-03度17分 2001.5年分点)

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雑文コーナー!【星座命名物語】

 空には88個の星座があります。しかし、これらはすんなりと決まった訳じゃ〜ない!

 “星座”自体は世界各地にありました。 日本に伝わる星座は、古代中国からやってきたものですが、“魚釣り星”(さそり座)など、独自のものもあります。

 現在の星座の起源は、西暦紀元前3000年くらい前のメソポタミアの羊飼い達が考えたもの(黄道十二星座など)であり、その流れを古代エジプト文明や古代ギリシャ文明が発展させたものです。
 特に古代ギリシャ文明に確立された星座の多くは現在でも広く知られていて、紀元前200年頃、アレキサンドリアの大天文学者プトレマイオス(トレミー)はその著書『アルマゲスト』の中に、48個の星座を記しています。これが有名な『トレミーの48星座』です。

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[黄道十二星座(12)]:おひつじ、おうし、ふたご、かに、しし、おとめ、てんびん、さそり、いて、やぎ、みずがめ、うお
[北天の星座(21)]:こぐま、おおぐま、りゅう、うしかい、かんむり、ヘルクレス、へび、へびつかい、ケフェウス、こと、はくちょう、わし、や、いるか、こうま、ペガスス、アンドロメダ、さんかく、カシオペヤ、ペルセウス、ぎょしゃ
[南天の星座(15)]:うみへび、コップ、からす、ケンタウルス、おおかみ、さいだん、みなみのかんむり、みなみのうお、くじら、エリダヌス、オリオン、うさぎ、おおいぬ、こいぬ、アルゴ
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 しかしその後、宗教的理由により西欧の科学は実に千数百年間に渡る長い眠りにつきます。

 17世紀から18世紀、星座を作ることがブームになります。ドイツのバイエル(星にギリシャ文字をつけた人)、バルチウス、ヘベリウス、フランスのラカイユらが、多くの星座を作りました。
 ラカイユは特に南天の星座発明に熱心でした。アルゴ座を「大きすぎる!」の一言で、とも座・ほ座・らしんばん座・りゅうこつ座に分解したり、ちょうこくぐ座とかけんびきょう座とか、どう考えても投げやりに命名したとしか思えないような星座を量産しました。

 19世紀に入り、収拾のつかない星座命名合戦に反省がなされ、天文学の発達や航海上の理由により、星座の境界線の確立も必要になります。
 そこで国際天文連盟は、デルポルト(オランダ)を委員長とした特別委員会をもうけ、遂に1930年に88個の星座が制定されたのでした。
 めでたしめでたし。

 そういえば、へびつかい座を黄道星座として(黄道十三星座)星占いに加えるというイギリスの運動は、その後ど〜なっちゃったのかな?

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神話コーナー【へ〜び〜つ〜か〜い〜!】

 へびつかい座は、両手で蛇をつかみ、片足でさそり座を踏みつける巨人です。
 この巨人は、日の神アポロンとテッサリアの王女コロニスの間に生まれたアスクレピオスです。アポロンは自分の使者として白いカラスをコロニスに与えました。あるとき、コロニスが若い男と話しているのを見て、カラスはそれを誤ってアポロンに告げたので、アポロンは怒ってコロニスを射殺してしまいました。
 コロニスはアポロンの子供をみごもっていました。自分の過ちに気づいたアポロンは、赤ちゃんだけでも助けようと、赤ちゃんを死体から取り出し、ケンタウロス族のケイローンにあずけました。名教師・ケイローンのもとで、アスクレピオスは医術を学び、多くの人の命を救い、ギリシャで一番の名医となりました。
 彼は、イアソンのアルゴ船の遠征にも加わりました。勇士たちの傷を治すどころか、死人をも蘇らせてしまったアスクレピオス!しかし、冥土の神・プルトーンは、死者が少しも来ないため困り果て、大神ゼウスに訴えました。ゼウスはしかたなく、雷電によってアスクレピオスを打ち殺してしまいました。
 その後ゼウスによって、アスクレピオスは星座にあげられ、へびつかい座となりました。
 ところで、なんでアスクレピオスはへびを持っているのでしょうか?へびは何度も脱皮することから、不思議な再生力を持つ生物とされ、医術の象徴となっていました。アスクレピオスの名医ぶりを伺わせますね〜。

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参考文献
『天文年鑑2001』(誠文堂新光社)
『星座への招待』村山定男・藤井旭 著(河出書房新社)
『STAR ATLAS 2000.0 実用全天星図』(誠文堂新光社)
『星座の神話』(恒星社)
『星の神話・伝説集成』(恒星社)


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