☆★☆★☆★ Cepheus2001 ★☆★☆★☆

双眼鏡・小望遠鏡で充分に手の届く
『二重星』『有色星』『星雲・星団』などを
勝手気ままに書き連ねる!

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Vol.05 2001.04.18

★ M44(プレセペ) (眼)(双)
 暖かくなってきたこの頃、夜半に空を見上げると、傾きかけたふたご座と駆け上ってきたしし座に挟まれた空間に、何やらゴチャゴチャと見えるのが、ご存じかに座のプレセペ星団です。プレセペとは“かいばおけ”の意。外側の四辺形の左上γ(ガンマ)とδ(デルタ)をロバに見立て、これが飼い葉を食う様子を表しています。“ビーハイブ”(ハチの巣/英語)とも呼ばれています。言われてみればなるほど、です。
ギリシャ時代、プラトン一派は、ここから人の魂が降りてきて人間に宿ると言い、中国では死体から昇ったガスの塊としています。
 何はともあれ、世界中で古くから認められている天体なのです。
【見つけ方】
 かに座の、甲羅のまんなか。ちなみに、かに座という響きで小さい星座を想像してはいけません。
(赤経08h40.1m 赤緯+19度59分 2001.5年分点)

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★ M67 (双)(望・小〜)
 同じくかに座の、α(左つめ)近くにある散開星団です。通常、散開星団というのは若い星が散らばっていく姿なのですが、このM67の構成星は50億歳くらいの中年連中だそうです。ダンゴムシに見えるという人もいます。
【見つけ方】
 かに座αの西隣り、双眼鏡なら一発。
(赤経08h51.1m 赤緯+11度48分 2001.5年分点)

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★ NGC2903 (望・中〜)
 しし座の鼻先にある銀河です。紡錘形が10cm50倍くらいから楽しめます。
【見つけ方】
 しし座ε(エプシロン)とλ(ラムダ)とで三角形を作ります。ε-λが長辺、ε-NGCが斜辺、角λ-NGCが直角だよ。
(赤経09h32.3m 赤緯+21度29分 2001.5年分点)

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★ しし座ガンマ γLeo (望・中〜)
 しし座の首根っこの星です。2.6等と3.8等の、金色に輝く美しい二重星です。しかし離角が4.3秒くらいなので、ある程度の口径・倍率が必要かも。
【見つけ方】
 ここ数年、イヤというほどしし座を見ているので、いちいち言わなくても・・・
(赤経10h20.03m 赤緯+19度50分 2001.5年分点)

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★ M65、M66、NGC3628/M95、M96、M105(望・低〜)
 おおぐま座→りょうけん座→しし座(尻部)→ おとめ座というラインは、散策するには申し分のない所です。特に銀河が、これでもか!とばかりに散らばっており、いちいち星図を持ち出すまでもなく適当に望遠鏡を向けるだけで視野に飛び込んできます(本当)。
 紹介の銀河は、30倍くらいで同一視野に入ってくる可愛い奴らです。
【見つけ方】
・M65、M66、NGC3628
 しし座θ(シータ)とι(イオタ)の中点です。
M65(赤経11h19.0m 赤緯+13度05分 2001.5年分点)
M66(赤経11h20.3m 赤緯+12度59分 2001.5年分点)
NGC3628(赤経11h20.3m 赤緯+13度36分 2000.0年分点)
・M95、M96、M105
 しし座θ(シータ)とレグルスの中点やや下です。
M95(赤経10h44.0m 赤緯+11度42分 2001.5年分点)
M96(赤経10h46.8m 赤緯+11度49分 2001.5年分点)
M105(赤経10h47.9m 赤緯+12度35分 2001.5年分点)

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 さて。この【Cepheus2001】には図解説明がありません。
 星空の観望を目的としているマガジンではありますが、ただボ〜ッと自分の目ン玉で見るというよりは、双眼鏡・望遠鏡で楽しもう!をモットーとしています。そして天体の導入を言葉で表現しています。「ちょっと下」とか「1:2に分けた」などという、曖昧とも取れる表記です。
 もちろん意識してこのように書いています。それは、このマガジンが、ただの読み物に終わることなく、実際に星空の下で、思ったよりも簡単に、ベテランナビゲーターの指導などなく、素晴らしい天体との出会いの一助になればいいなぁ、との想いからなのです。
 宜しくご査収ご了承くださいね。

 もう1つ、こんなマガジンですから、最低でも星図はご用意ください。ビクセンスカイセンサーがあれば、赤経赤緯を入力してしまえば済むさ、とも言えますが、あえてアナログで導入してこその楽しさというのもあります。
 お薦め星図は『STAR ATLAS 2000 実用全天星図(誠文堂新光社)』です。フルカラー印刷&ユポ紙製で露がついてもフニャフニャになりません。

 さあ、春です!星を見に、外に出よう!

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神話コーナー!
【英雄ヘルクレス】
 春の星座の中には、ギリシア第一の英雄ヘルクレスが退治した3匹の化け物を見ることができます。
 まずは「しし座」。ネメアの森に住んでいた恐ろしい人食いライオンです。ヘルクレスがおこなった12の冒険のうち、最初に出会った化け物です。このライオンは不死身で、弓で射られても棍棒でなぐられてもなんともありません。そこでヘルクレスは、怪力で首を締め上げて仕留めました。その後、ヘルクレスはこのライオンの皮を剥ぎ、身にまといました。
 2番目の冒険は、レルネアの谷のアミモネの沼のヒドラ退治。ヒドラは蛇の化け物で、9つの頭を持ち、そのうちの1つは不死身で、他の8つは切られるとそこから2つの首が生えてくるという恐ろしい生命力を持っていました。ヘルクレスは、首を切るやいなや切り口を火で焼き、不死身の首は切り落として大岩の下に埋め、ようやく退治しました。これが、しし座の下から春の夜空を長々と横たわり、てんびん座の近くにまで達している全天一大きな「うみへび座」です。
 そして、ヒドラと同じ沼地に住み、ヒドラの応援にやってきたのが大きな大きな化け蟹です。はさみでヘルクレスの足をパチン!と挟んだのは良かったのですが、あっけなく踏み潰されてしまいました。これが星占いの星座「かに座」です。あまり目立つ星はありませんが、しし座とふたご座のあいだにあります。
 これら3匹の化け物たち。その姿は、額を寄せ集めて何か悪い相談でもしているようにも見えます。
 このような悪者たちが星座になっているのは、ルクレスのことをあまりよく思っていなかった大神ゼウスのお后ヘラによるものだと言われています。また、夏の星座になっているヘルクレスが3等星以下の暗い星しかなく、しかも逆さまでひざまづいているのも、ヘラの憎しみによるものだとも言われています。あ〜、恐ろし!

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参考文献
『天文年鑑2001』(誠文堂新光社)
『天文年鑑2000』(誠文堂新光社)
『星座への招待』村山定男・藤井旭 著
        (河出書房新社)
『STAR ATLAS 2000.0 実用全天星図』
(誠文堂新光社)
『星の神話・伝説集成』野尻抱影 著 (恒星社)


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