☆★☆★☆★ Cepheus2001 ★☆★☆★☆

双眼鏡・小望遠鏡で充分に手の届く
『二重星』『有色星』『星雲・星団』などを
勝手気ままに書き連ねる!

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Vol.04 2001.03.08

★ M35 (眼)(双)(望・低)
 観望派なら目を向けずにはいられない、散開星団の代表格。5.3等という明るさだから、透明度次第で肉眼でもわかるはず。双眼鏡でなら、銀砂をまき散らしたような星の群れが視野いっぱいに広がり、ため息が出ます。
 ところで、ふたご座の頭の2つの星、カストルとポルックスですが、右側の方が兄のカストル、左側が弟のポルックスです。ぎょしゃ座の1等星“カ”ペラに近い方が“カ”ストル、と覚えておけばOK。
 また、カストルは兄貴のくせに1.6等で2等星の扱い、ポルックスは1.2等で1等星の仲間ですが、絶対等級(32.6光年の距離に並べて見た明るさ)では、カストルは0.9等、ポルックスは1.0等なんだよね。つまり、本当の明るさでいえば、カストルの方が明るいのだ。ボンクラ扱い?されていた兄貴も、これで名誉回復だ。
【見つけ方】
 カストルの足元。迷う事なく一発ツモです。
(赤経06h08.9m 赤緯+24度21分 2001.5年分点)

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★ NGC2392 (エスキモー星雲) (望・中〜)
 中心にある星を、青緑色のガスが丸く取り囲んでいるという、きれいな構成。20cm口径で100倍くらいかけられれば、その外側にもガスのリングがあるのがわかります。フードを頭に被っているエスキモー、想像できるかな?
【見つけ方】
 ふたご座δ(デルタ)の外側にある63番星をたどり、そのさらに外側です。
(赤経07h29.3m 赤緯+20度54分 2001.5年分点)

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★ バラ星雲 (NGC2237-9) (双)(望・低)
 冬の大三角の真ん中にあるいっかくじゅう座。目立った星もないこの星座が有名なのは、ひとえにバラ星雲のおかげです。肉眼では、よほど良い条件であっても、殆ど見えません。じゃ〜何で紹介するんだよ!と言われそうですが、でもバラ星雲を外すわけいかないしね〜。
 なぜ見えにくいかというと、その輝きの殆どがHα線領域だからです。M42と同じです。(星雲用フィルターというものがあり、これを使うと見える、ということですが、使った事がありませんので、真偽のほどはわかりません。)
 写真撮影は、是非トライしましょう!
 これら散光星雲は、星を生み出すガスの塊です。そして生まれたての星が放つ紫外線によって、ガス成分である水素原子が光っているという訳です。バラ星雲の真ん中には星が4つあり、これらがバラ星雲を輝かせています。
 また、散光星雲は散開星団を伴っていることが多く、バラ星雲もNGC2244という散開星団を携えています。
【見つけ方】
 いっかくじゅう座ε(エプシロン)の左隣り。というか、ベテルギウスとプロキオンを結ぶ線の、真ん中やや右よりの、ちょい下。
(赤経06h30.4m 赤緯+05度02分 2001.5年分点)

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★ M41 (眼)(双)
 おおいぬ座の首飾り。きれいな散開星団です。双眼鏡なら、こじんまりとまとまった姿を堪能できますよ。写真では、おおいぬ座を撮ればイヤでも写ります。
【見つけ方】
 シリウスの南5度くらい下がったところです。
(赤経06h47.1m 赤緯-20度46分 2001.5年分点)

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★ NGC2362 (望・中〜)
 小さく三角形にまとまったその中に、おおいぬ座τ(タウ)が浮き出て見える、美しい散開星団です。ちなみにこのτも、生まれてまだ100万年しかたっていないNGC2362の一員だそうですよ。10cm80倍くらいからがグー。
【見つけ方】
 おおいぬ座の腰の上にあります。δ(デルタ・2等星)とω(オメガ・3等星)とで三角形を作っているτ(4等星)が目印です。
(赤経07h18.8m 赤緯-24度57分 2000.0年分点)

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★ おおいぬ座 h3945 (望・低〜)
 h(ハーシェル)3945は「冬のアルビレオ」の異名をとる美しい二重星です。濃いオレンジ色(5.1等)と水色(6.4等)は、しかし南中高度が低いので、大気の影響如何で見え方がかわるかも。こんな星を眺めながらのホットウイスキー、たまりませんなぁ!
【見つけ方】
 おおいぬ座τから、δ→シリウスのラインに平行に動かすと、視野に入ってきます。
(赤経07h16.6m 赤緯−23度19分 2000.0分点)

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 さて今回は、オーロラの話です。

 凍てつく極寒の原野に、突然舞い降りる光のカーテン。オーロラは、太陽からやってきたイオン(太陽風)が、地球の磁場で曲げられたせいで南北両極軸に飛び込んできて、電離層のプラズマを刺激し、これが光るわけですが、この原理からすると、太陽の活動が活発なら、太陽風もビュンビュン吹いて、オーロラもビシバシ出る、という訳です。
 太陽は現在が活動のピーク!見に行くなら、まさに今!
 観測場所ですが、南極がいい!という豪気な人は別にして、大体はカナダ(イエローナイフ周辺)・アラスカ(フェアバンクス周辺)・北欧(フィンランドなどのラップランド地区)の3箇所ではないでしょうか。
 時季は当然冬!オーロラは、季節を問わず発生しますが、その光は淡いので、昼間は見えません。夏期は夜が短いからボツ。
 ただし!吹雪だったり満足な出現ではなかったりしますから、現地で3泊はしましょう。
 また、宿泊が町のホテルで、ガイドに従いバスで郊外に出る、というタイプのツアーは、22時くらいでハイ終わり!となってしまうパターンが殆ど。これじゃ〜消化不良です。専用施設(ロッジ・コテージ)のあるツアーがベストだと思います。(アラスカのチェナ・ホットスプリングスなんて温泉付きだぜ!)
 気温は・・・寒いよ。明け方は-30度くらい。これでもか!という防寒対策をしよう。
 やっぱり写真も撮りたいよね。
 カメラは耐寒仕様を謳っているものが大前提。凍り付いたりバッテリーが上がっちゃったりするからね。あんまり寒いときは、フィルムが凍り切れちゃう。カメラごと暖める必要があるかも。
 レンズはできるだけ広角で。対角魚眼が最適。ロッジやカラマツ林が視野に入るのも、臨場感が出てグーです。AFレンズは、凍り付いたら終わりなので、お薦めしません。
 フィルムは、ISO800くらいで良いと思います。それで、なるたけ露出時間はかけない。ビデオなんかを見た人はわかると思うけど、オーロラって、動きが速い。1分も露出したら、美しい構造がただの青い雲になっちゃう。高感度フィルムで30秒までの露出をお薦めします。長時間露出はあくまで保険のためと考えよう。
 できれば白黒のフィルムにも挑戦しよう。トライXでの実績がありますが、物凄い写真が撮れるよ。きっと相性が良いんだね。

※もっと詳しい話が知りたい方は、メールにてご質問ください!

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神話コーナー!
【ふたご座物語】
 ギリシア神話では、この双子は大神ゼウスが白鳥に変身して美女レダに生ませた兄弟の姿とされています(卵から生まれたというのが凄いっちゃ!)。兄のカストルは拳闘、弟のポルックスは乗馬の名手となり、さまざまな冒険で大活躍しました。
 金毛の羊をとりに行ったアルゴ船の航海で大嵐にあったとき、竪琴の名人オルフェウスが神々の怒りをしずめようと演奏し始めると、不思議なことに嵐はおさまり、この兄弟の頭上に輝く2つの星が現れたそうです。この伝説から、嵐の夜、マストの頂きに現れる2つの火を「ふたごの火」と呼んでいました。これは空中放電による「セントエルモの火」のことです(そんな名前の映画もあるね)。海の神ポセイドンが二人の友愛を愛でて、嵐と波を鎮める力を与えたものといわれていて、地中海沿岸では、この双子を航海の守護者としてあがめていたといいます。(ちなみに晴れた夜に火が1つ現れれば「ヘレーネの火」と言い、嵐の前兆と信じられてきたんだって。)
 ある事件でカストルは命を落としてしまいましたが、大神ゼウスの血をひくポルックスは不死身なのでカストルの後を追うことができません。そこで、ゼウスに頼んで1日おきに神々の世界とあの世とで暮らせるようにしてもらったんだといいます(殺してもらい、黄泉の国へ行った、という話もあります)。この二人の友愛を世に示すために星座にしたのがふたご座だということです。
 兄弟は仲良く、が、いつの世も願いなんですね〜。

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参考文献
『天文年鑑2001』(誠文堂新光社)
『天文年鑑2000』(誠文堂新光社)
『星座への招待』村山定男・藤井旭 著 (河出書房新社)
『星の神話・伝説集成』野尻抱影 著 (恒星社)
『STAR ATLAS 2000.0 実用全天星図』 (誠文堂新光社)


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