☆★☆★☆★ Cepheus2001 ★☆★☆★☆

双眼鏡・小望遠鏡で充分に手の届く
『二重星』『有色星』『星雲・星団』などを
勝手気ままに書き連ねる!

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Vol.03 2001.01.24

★ M42 オリオン大星雲 (眼)(双)(望・低)
 待ってました、冬の大本命!
 吐く息の凍る真冬の夜に、なぜか空を見上げたくなるのは、そこにオリオン座があるから。逆三角形でウエストの締まった、何てマッチョなスタイルなんでしょう!その腰に下げた剣(小三ツ星)の真ん中で深紅に燃える宝石が、このM42です。
(ちなみに、ベテルギウスとリゲルの距離が約20度。三ツ星の真ん中までがそれぞれ10度。これを覚えておくと、流星の長さの指標とかいろいろ使えて便利!)
 条件さえ良ければ肉眼でもうっすら確認できるのですが、双眼鏡ならバッチリ。翼を広げた鳥というか、バットマンというか、が、しっかり確認できます。望遠鏡ならなおのこと、そこだけ飛び出してくるようです。
 が!写真で撮ったように赤くは見えません。白っぽく見えます。ガッカリしないように。あの赤い色は、赤外領域のHα線によるものなのです。つまりは視神経の守備範囲外。
 写真で撮るなら、フジのネガフィルムはHα線の感受性がないので写りません。コニカは逆に強調され過ぎる傾向があります。コダックのゴールドがいいかな???感度としては、ISO800なら5分も露出すれば十分ですよ。
【見つけ方】
 ご存じ、小三ツ星の真ん中さ。
(赤経05h35.4m 赤緯-05度23分 2001.5年分点)

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★ M1 かに星雲 (望・中〜)
 メシエさんが星雲・星団にナンバーリングしようと思い立ったときに真っ先に名付けたのが、このかに星雲。こいつ、1054年に爆発した超新星の残骸なのです。中心では、1秒に30回転もしている直径10kmくらいの超質量中性子星(パルサー)が、電波をまき散らしています。
 50倍くらいの倍率から、佐渡ヶ島のような形がわかってきます。“かに”と言うよりは“かに味噌”に近いかな〜。
【見つけ方】
 おうし座ζ(ゼータ)の右側。すぐにわかるよ。
(赤経05h34.6m 赤緯+22度01分 2001.5年分点)

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★ M36・M37・M38 (双)(望・低)
 有名どころの多い真冬の星空でも、もちろんはずせないのがこの3つの散開星団です。ちょこちょこっとしたM36、ボール状のM37、十字架型のM38。飽きませんね〜。双眼鏡でもバッチリです。
 ちなみに、ぎょしゃ座は銀河に乗っかってることもあり、この散開星団あり、ガス星雲ありで、ガイド撮影でもすれば大変な写真が撮れちゃいます。
【見つけ方】
 ぎょしゃ座ι(イオタ)とθ(シータ)を結んでその中点にあるのがM38。そこからθとβの結ぶ線の方へ移動するとM36、M37の順に見つけられます。
M36(赤経05h36.3m 赤緯+34度08分 2001.5年分点)
M37(赤経05h52.4m 赤緯+32度32分 2001.5年分点)
M38(赤経05h28.8m 赤緯+35度50分 2001.5年分点)

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★ うさぎ座R R Lep (望・低〜)
 望遠鏡観望フリークの皆様、お待たせしました!この星を語らずに通り過ぎることなどできません。
 “クリムゾン・スター”の名の通り、まさに深紅の輝きで、発見者のハインド(英)は「暗黒の視野の中に落ちた血の滴」と表現しています。432日の周期で5.5等〜11.7等まで変動する変光星でもあります。
 20倍くらいの低倍率で視野に捉えてから倍率を上げるのがいいと思います。
【見つけ方】
 うさぎ座αとμ(ミュー)を結んで、μの方へ延長していくと見つかります。けど、猛烈に赤いから見失わないでね。
(赤経04h59.7m 赤緯-14度48分 2001.5年分点)

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★ うさぎ座γ(ガンマ) γLep (双)(望・低)
 3.6等(黄)と6.2等(橙)の二重星。約94秒角と比較的離れているので、双眼鏡でもふたつの星に分離して見えるでしょう。望遠鏡なら低倍率でも楽勝!
【見つけ方】
 ウサギの後ろ足にあたる星がγです。南に低いので南中する頃を狙いましょう。オリオン座が南中していれば観察好期。
(赤経05h44.5m 赤緯−22度45分 2000.0分点)

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★ いっかくじゅう座β(ベータ) βMon (望・低〜)
 この星は3重星で、4.7等・5.2等・5.6等の並び方が美しく、かつて天文学者ウイリアム・ハーシェルは「天上で最も美しいもの」との感想を述べたと言います。
【見つけ方】
 いっかくじゅう座は“冬の大三角”の中にある星座ですが、明るい星がないので目立ちません。βはオリオン座の左下の星κ(カッパ)の東北東、おおいぬ座αシリウスの北北西にあります。その付近に東西にふたつ並んだ星(共に4等)が見つかるはずです。そのうち左の星がβです。
(赤経06h28.8m 赤緯−07度03分 2000.0分点)

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★カノープス りゅうこつ座α αCar (眼)
 ちょこっと主旨に反するのですが、やっぱりここで紹介しないわけにはいかないでしょう。みんなが知っているけど見たことのない代表のような星です。中国では“老人星”と呼ばれ、見た者は長生きすると言われています。日本では“米良星(めらぼし)”などと呼ばれ、やはり親しまれてきた星です。全天で2番目の明るさ(-0.7等)ですが、地平線ギリギリ(東京では約3度)の高さにしかなりません。得した気になる筆頭の星です。
【見つけ方】
 シリウスの約30度も南にあります。アルデバランとリゲルを結んで、どんどん下にたどればあるよ、なんて言う乱暴な例えもありますが、おおいぬ座のε(エプシロン)・δ(デルタ)・η(イータ) (つまり、後ろ足と尻尾)で作る角を4等分して、1:3のところにあたる線を下に下げるとあります。オリオン座がちょっと傾いたくらいの時に南中します。

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 今回の雑学は【効き目】と【やぶにらみ】についてです。

【効き目】
 手に“利き手”、足に“利き足”があるように、目にも“効き目”があります。知ってた?
 自分の“効き目”を知らない人は、以下の方法で確認しましょう。
◎両目で、遠く(5m以上)にある小さめの丸形のものを見る。
◎両手の親指と人差し指で各々半円を作る。
◎両手を前方に伸ばし、今見ている丸形を囲むように左右の指を合わせ、円(輪)を作る。
◎左目をつぶってみる。円(輪)の中に、
 ・丸形が見える→“効き目”は「右」
 ・丸形が見えない→“効き目”は「左」
 望遠鏡を覗くときは“効き目”を使いましょう。見え味が違い、ビックリしますよ。

【やぶにやみ】
 瞳を通った光は、水晶体で屈折され、網膜で像を結びますが、網膜上に存在する明るさを感知する桿体細胞(かんたいさいぼう。ちなみに色を感知するのが錘体細胞)は、均一に分布していません。中心(瞳の真裏)からおよそ20度くらい離れたところが、最も高密度に分布しています。
 つまり、暗い天体を凝視しても、逆に見えにくいのです!
 こんなときは、ちょっと視線をずらして“やぶにらみ”をすることをお薦めします。桿体細胞が高密度に分布する場所に、光を集めるのです。
 ・・・今まで“やぶにらみ”の効果を理論的に説明できなかった人、これでOKだね。

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神話コーナー!
【オリオン座の神話】
 オリオンは、海神ポセイドンと女人国アマゾンの女王とのあいだに生まれた美しく背の高い狩人でした。神の血を引いていたからでしょうか。海の上を歩くという特殊な能力を持っていたそうです。
 キオス島の王の娘メローペに求婚していましたが、なかなか結婚させてもらえず、オリオンは酒に酔った勢いでメローぺを犯してしまいます(オイオイ)。王は怒ってオリオンの目を潰し、海へ捨てました(そりゃそ〜だ)。オリオンは神のお告げで東の国へ行き、日の神ヘリオスに会って視力をとりもどしました。
 その後、月と狩りの女神アルテミスに仕えるようになり、二人は恋仲になりましたが、アルテミスの兄アポロンはそれが気に入りませんでした(ごもっとも)。アポロンの策略により、オリオンはアルテミス自身に射殺されてしまいます。悲しんだアルテミスはゼウスに頼み、オリオンを星座にしてもらいました。
 そして、自分が銀の車で走るときにいつでも見えるようにしたのだということです。

 また、別な神話では、オリオンは「この世で自分より強いものはいない!」と豪語していましたが、神々がさしむけたサソリに刺されて死んでしまったとも言われます。それで、今もサソリを恐れていて、さそり座が西に沈んでから昇ってくるのだと言われています。

 いずれにしても、オリオンって、見かけによらず結構トホホなヤツですね・・・

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参考文献
『天文年鑑2001』(誠文堂新光社)
『星座への招待』村山定男・藤井旭 著 (河出書房新社)
『流星観測マニュアル 新・しし座流星群百科事典』
     (東京近郊地区流星観測者会)
『星の神話・伝説集成』野尻抱影 著 (恒星社)
『星座ガイドブック』藤井旭 著 (誠文堂新光社)
『フィールド版スカイアトラス』 (丸善)


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