シュルレアリスム


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シュルレアリスム
(「超現実主義」)




場所はどこでもいい、たとえば歩きなれた家路、もう何年となく通いなれた近くの公園、休日にふと
立ち寄った喫茶店の席で、時刻はたとえば夕暮れ近く・・・に、なぜか自分でもわからないけれど
無性に心惹かれるひとにあう。男性でも女性でもいい、もしくは10年ぶりにあった友達でもいい。
少々乱暴ないいかたをしてしまえば、シュルレアリスムとはそういった「未知の偶然」や「予期せぬ出逢い」
のなかに、ひとが生きるうえでの”美”を見つけ出す試みなのです。
「瞬間的な美」と「予期せぬ偶然」。
「もしくは美しく幸福な出逢い」。

”限りない精神の自由”−−−「シュルレアリスム」はそれまで芸術的創作と呼ばれていたものの概念を
根本からくつがえす試み、ともいえるかもしれません。1924年、のちに「シュルレアリスムの法王」と
評されたアンドレ・ブルトンが著した「シュルレアリスム宣言」は、あらゆる論理的作用による作品の
レアリスムを否定した内容となっています。

当時重要視されていたレアリスム的な小説作法・・・いかに小説的虚構を現実に根ざさせるか、また
いかに論理的に”隙のない”作品を練り上げるか、・・・は「知的・精神的飛躍にすべて敵対する」
ものとして排斥され、代わって無意識、想像、夢、あるいはまったくの偶然によって生じるもののなかに
こそ美は生息する、とシュルレアリストたちは考えました。自宅の屋根に巨大な卵のオブジェを飾る画家、
一見不条理な夢の記録、言葉がほとばしるままにまかせた小説・・・

シュルレアリスムと分類される作品にわたしたちがしばし驚きを覚えるのも、その作品が常識や整合性
などといったあらゆる理性の枷から飛び立ち、夢や異質な組み合わせを目にしたときの驚きをとおして
精神を開放しよう、としているからなのです。またその独自の観点から、それまで異端視されてきた
多くの作家達の復権を果たし、またロマン派をはじめとする数多くの知られざる芸術家たちを世に知らしめ
ました。シュルレアリスムが20世紀最大の芸術的ムーヴメントとしばし評されるのはそのためです。

あらゆる価値の破壊を目的としたダダイズムから分岐したシュルレアリスム活動の輝かしさも、
その自由をもとめる思想から共産主義的側面を帯びるうち実質的には形骸化がすすみ、
やがて芸術活動の主流はフランスからアメリカへと移ってゆきます。
けれどもシュルレアリスム、「超・現実主義」の活動が残した資産は、尽きることのない
「自由への試み」のみちしるべとして、いまなお時代におおきな影響力を与え続けます。





  Cf:アンドレ・ブルトン       レオノーラ・キャリントン
     
     ロマン派
  


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