今週の映画 2002/06/04 更新 //訂正


今週観られる映画の中から、私のお薦めの1本です


『日本春歌考』


6月5日(水)〜6月7日(金) 21:00〜
 銀座シネパトス (大島渚、初期 the early years


1967年、日本、松竹
監督、大島渚 脚本:田村孟、田島敏男、佐々木守、大島渚
出演:荒木一郎、岩淵孝次、串田和美、佐藤博
103分、カラー、シネマスコープ



今回は、おぼろげな記憶を元に書いています。


 ♪ ひとつ出たホイのヨサホイのホイ、ひとり娘とやるときにゃ〜ホイ、親の許しを得にゃならぬ、ホイホイ・・・ ♪


地方から東京の大学を受験しに来た男子生徒4人組、試験が終わって試験場を後にすると、会場にイカす女「受験番号469」ってのがいた、などと呑気に話しながら雪の積もるグラウンドを横切っていく。
町に出ると、白地に黒の日の丸を掲げた紀元節復活反対のデモ行進に出くわす。
その後、4人はつるんで女の後を尾行したり。
そして、同じ高校の受験生の女子3人組と一緒になり、男女分かれて一緒のところに泊まり、何人かちょこちょこ行き来する。
みんなで先生を訪ね、ご馳走になる。そこで先生は、抑圧された民衆の歌として春歌を歌い、みんなも一緒になって歌う。
その後、先生のところを訪ねると、先生がガス中毒で死んでいた。
男子生徒4人は性的な妄想をして、それぞれ想像の中で女を犯すのを話して聞かせる・・・。


といったぐあいで、この映画は始まってからずっとエッチな話と歌がうだうだと続きます。それがいかにも10代のエッチな妄想だけが膨れ上がった滑稽さであふれていて、とぼけた調子が観ていて何とも楽しい。


ところが・・・、

これが後半に入って、フォークソングを歌う会場に紛れ込んでから、なにやらそれまでの楽しい雰囲気が不穏な雰囲気へと変わってきて、そして・・・

アッ!と驚くラストが待ち構えているのです! これには完全にノックアウト。映画の前半で何気なく出てきた「紀元節」と「妄想の中で犯す」が、まさかこんな形で結びつくなんて。


大島渚監督といえば、今は闘病生活をおくっていますが、ちょっと前は「バカヤロー」と怒りの言葉を吐いてはもめごとを起こしていました。でも、そんな彼の絶頂期は60年代で、今よりずっと丸々として大きく、黒縁のメガネをかけて険しい顔を見ると迫力十分。そして作品も世の中の欺瞞に対し怒りをあらわにしたような作品で、今日の日本映画では目にすることのできない圧倒されるような映画ばかりです。
最近の彼の映画しか観たことのない人には、最大級の衝撃作となるはずです。


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