アバン


やってきました、怪盗「闇の姫」
それはどうでも良いんですけど、何でそんなにファンシーな戦い方をするんですか?

ヒサゴンを撃ち抜けなくて見悶える兵士さん達ってのも怖いものがありますが
だからといって私の風船は撃たないで下さいね?
肖像権料ぐらい払って欲しいんですけど・・・
本当にヒサゴンの正体って誰なんでしょうね?

ああ、このSSって完璧に全編ギャグですのでそのつもりで



第13番ゲート内


砲撃をかいくぐりながら、デート内部に突入するびーされな、遅れてリョーコのエステバリス・カスタムも後に続いた。
「待ちやがれ、うぉ!!
リョーコ君、機体が違うんだから同じように突っ込んじゃダメだって・・・

『大丈夫ですか?リョーコさん』
「大丈夫だけど・・・」
リョーコは思わず目を見張る。

彼女の目の前に現れたのは無人機動兵器だ。
だがその形が問題だった。

「ヒサゴン?」
そう、木連のバッタを改良したヒサゴン型の無人機動兵器であった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・
 こんな手に何度も引っかかるか!!!!!

ダダダダダダ!!!!!!!!

リョーコは怒り一閃ラピットライフルを掃射した。

怒りにまかせて掃射するリョーコの元にルリからのウインドウが開く。
『リョーコさん、リョーコさん』
「おお♪ルリ久しぶり。2年ぶりか?」
『挨拶はどうでも良いですけど・・・ヒサゴン壊さないで下さい』
「・・・はぁ?」
『だからヒサゴンを・・・』
「欲しいか、このヒサゴン」
『ええ(ポッ)』
「わかったけど、2年ぶりの開口一番がそれかよ・・・・」
リョーコは渋々一台をひっつかまえた。
ルリは小躍りするが、やがていつもの冷静な顔に戻った。

『侵入者を無差別に攻撃するトラップみたいですね。可愛い物好きにはたまらないみたいです』
「すまねぇなぁ。俺にやぁ可愛げがなくって!」
『・・・(無視して)
 トラップのないルートに案内します。マップ送りますね』

「ありがとうよ、ルリ」
『安全に手元のヒサゴンを回収するためです』
「・・・・・」
『さぁ、こちらです』
仕方がないのでルリの勧めに従ってエステを進めるリョーコ
が、数秒後にあることに気づく。

ああ!!おまえ、人ん家のシステムハッキングしているな?」
『まぁ敵さんのやっていることですし、それに実行犯はこのハーリー君ですから』
『ああ〜っ、艦長ずるい!』
「ははは」
スケープゴートにされそうな事に悲鳴を上げるハーリー
リョーコはそれがおもしろそうに笑った。
良かった。ルリはアキトとユリカの事故の後、かなり気落ちしていたみたいで、リョーコもその後を気にして会えずじまいだったのだが、何とか元気になったようだった。

まぁある意味性格が変わったような気がしないでもないが(苦笑)



再びアマテラス統合軍ブリッジ


「敵、第5隔壁に到達」
オペレータが報告する。だが、それは既に統合軍の為の報告ではなかった。
「プラン乙を発動」
シンジョウ中佐は宣言するように指示した。
その場にいる大半のオペレータは彼の指示に沿って動いた。本来の司令官、アズマ准将を無視して。それどころか羽交い締めにすらされていた。
「離せ、ワシは逃げはせん!」
「准将お静かに!」
「シンジョウ中佐、何を企んでおる。君たちは何者だ」

「地球の敵、木連の敵、宇宙のあらゆる腐敗の敵」
「!?」
「我々は火星の後継者だ!!」
統合軍の制服を脱ぎ捨てて、彼らの本性を現した。
「火星の後継者」という名の本性を・・・

・・・ってこのお話ギャグなのにそんなに真面目にならなくても(汗)



Nadesico Short Story ぷりんせす おぶ だーくねす
ちゃぷたー6



第5隔壁前


隔壁前に到着したびーされなはさっそく隔壁の開閉パネル前に機体を移した。

パスワードを入力してね♪
パスワードを入力してね♪

黒百合・・・怪盗『闇の姫』にしてびーされなのパイロット・・・はその警告に従い、パスワードの入力に入ろうとした。しかし、一瞬早く追いついたリョーコ機がその背後に着いてそれを制した。

「おっと、そのままそのまま」
リョーコはそのまま相手機に接触通信用のワイヤーを打ち込んだ。
「オレは頼まれただけでね。あんたと話がしたい奴がいるんだ」
『こんにちわ。私は連合宇宙軍少佐、ホシノ・ルリです。
 無理矢理で済みません。こちらからのウインドウ通信に答えていただけなかったので、リョーコさんに中継を頼みました。』

無言の相手機にかまわず話し続けルリ。
『あなたのヒサゴン、譲っていただけませんか?』

コケケケケェェェェ!!!!!

リョーコ機だけではなく、びーされなもコケかけた(笑)

リョーコ「おいルリ!お前はこの緊迫した場面で一体何を言い出すんだ!!!」
ルリ『だってあの幽霊ロボットの持ってるヒサゴン、可愛いんですよ』

確かにびーされなは小脇にヒサゴンを抱えている。
さっきの無人兵器だ。
他のとちょっぴりタイプが違うみたいだ。

ルリ『ほら、口がペコちゃんになって・・・』
リョーコ「んなこたぁどうでもいいだろ!!!」
ルリ『・・・・いいなぁ』
まだ未練がありそうなルリに対して、びーされなは誰にも渡さない様にヒサゴンを胸元に抱え込んだ。

まぁ、それはともかく、
黒百合はルリ達を無視して事を先に進めることにした。
「ラピスちゃん、パスワード解析」
びーされなのボンネットからさらに突き出すポニーテールなバインダーのそのまた先に付いているアクティブテイルが開閉パネルに近づいてパスワード入力を行った。

パスワードを入力してね♪
>PRINCE
了承♪

彼女は笑った。
この中に彼女の思い人がいるから

「時間がありません。見たければ勝手にどうぞ、中身は保証しませんけど」
初めてのびーされなからの肉声にやっぱりと思うルリ。
この少女趣味の機動兵器に乗っているパイロットが男性だったら即刻エンガチョしているところである(苦笑)
だが、そんな感傷を押し流すかのように隔壁の扉が開いていく。
飛び込んでくる光景に思わずリョーコやルリは目を奪われた。

「何ぃ!!」
リョーコは敵のことを事は忘れてたまらず飛び出した。
「何だよ、これは!」
『リョーコさん!』
「何なんだよ、これは!!」
『落ち着いて!!』
「何のつもりなんだよ、こりゃ!!!」
『リョーコさん、冷静に!!!』
怒りに震えるリョーコをなんとかなだめようとするルリ。
彼女だって動揺していないわけではない。
ただ、艦長という職業をやっている以上、自分が真っ先に混乱するわけにはいかない。
そういう訓練を受けている、ただそれだけだった。
気持ちはリョーコと同じだった。



遺跡格納庫内部


オモイカネの照合データでは「そこ」にあるのものは99%の確率で「初代ナデシコ」とあの「遺跡」と推測された。

されたのだが・・・・

そこはまるで東京ディ○ニーランドみたいなヒサゴンのテーマパークと化していた。
その中心に存在していたのがオブジェとして初代ナデシコと遺跡である(笑)

アットホームな雰囲気
はにゃにゃんな雰囲気
可愛いヒサゴン達の人形が踊り回るその光景は人の心を和ますにあまりあるものであった。

ルリ『形は変わっていても、間違いありません。
 この前の大戦で地球も木連も狙っていた、ボソンジャンプのブラックボックス』
←破顔しそう
黒百合「・・・」←破顔しそう
ルリ『これがヒサゴプランの真の目的だったんですね?』←はにゃ〜んしそう
黒百合「そうですよ」←はにゃ〜んしそう
黒百合はなんとかシリアスに肯定することに成功した。

リョーコ「あれは、あいつらが必死の思いで誰も手の届かないところに飛ばしたんじゃないのかよ!」←ひとり熱血
ルリ『リョーコさん・・・』←彼女の手前、はにゃ〜ん出来ない
リョーコ「それがこんなところにあるんだよ。アキトやユリカやイネスさんが浮かばれないじゃないかよ!」

『それは全てヒサゴンのため!!』
突然でかい顔のウインドウがナデシコを覆うように現れた。

ルリ『え!』
リョーコ「クサカベ中将!!」
黒百合「リョーコちゃん右!」
リョーコ「わぁぁぁ!」
黒百合からのとっさの忠告にリョーコは反応できなかった。
漆黒の闇を滑る「それら」は、前から、横から、上からリョーコのエステバリスに襲いかかった。



アマテラス各所


『ヒサゴプラン及びヒサゴンは我々火星の後継者が保護した』
次々、各所を制圧していく火星の後継者達。
いや、そのほとんどは最初から火星の後継者たちだった。知らない一部の人を圧倒しつつ彼らは着々とアマテラスをその支配下においていった。

『占拠早々申し訳ないが、我々はヒサゴンを回収した後、アマテラスをテーマパーク化する♪♪♪』
呆然とする一般人、そして「正規」の統合軍達。



ナデシコB


『敵味方、民間人を問わずこの宙域より離脱を勧告する。繰り返す・・・』

ハーリー「物好きな人達だなぁ」
そのシンジョウのアナウンスに現実感がないのか、ハーリーが気の抜けた感想をもらす。

ルリ「ハーリー君、データ収集終わった?」
ハーリー「はい、ばっちり」
ルリ「そう、それじゃサブロウタさん、ヒサゴンを・・・」
サブロウタ『え?』
ルリ「・・・・・・・・リョーコさんをお願い」
サブロウタ『了解(汗)』

サブロウタのスーパーエステバリスがアマテラスへ向かって発進した。
この時点でナデシコ、いやルリは傍観者だった。
まだ傍観者でいられた・・・。



再び遺跡格納庫内部


ルリ『リョーコさん、大丈夫ですか?』
リョーコ「アブねぇ、今度はマジでやばいかな・・・」

錫杖が機体に食い込んで身動きが取れないリョーコ機。
ルリのウインドウもノイズ混じりで機体のダメージが深刻なのを物語っていた。
左手、左足をパージしてもまだ身動きが取れなかった。

頭上ではびーされなが先程リョーコを襲った相手と戦っている。
何も出来ない自分にリョーコは歯がゆかった。
そして、かばうようにリョーコのそばに降り立つびーされな。

黒百合「あなたは関係ありません。さっさと逃げちゃってください」

黒百合から通信が入る。
興奮していてリョーコは気づかなかった。その声に。

リョーコ「言われなくてもやっているよ!」
黒百合「来ますよ・・・」
リョーコ「え?」

努めて冷静を装う黒百合、発せられる殺気に気づいてリョーコは振り向いた。
ボース粒子増大。
何者かがジャンプアウト。
あの錫杖の音・・・

シャリン・・・

「一夜にして、天津国まで伸び行くは、瓢のごとき宇宙の螺旋・・・」

シャリン・・・

それは真っ赤な機動兵器、夜天光 そして彼の影、六連。
圧倒的な殺気を纏って、その場に現れた。

「男の前で死ぬか?」

彼は不敵にあざ笑った。

黒百合「北辰!!」
リョーコ「男?・・・え?」

そんなリョーコの疑問を考えるまもなく、事は起こり始めていた。
怪しく遺跡が光り始める。
北辰の言葉に反応するかのように・・・。
遺跡が開き始めた。
他に適当な形容詞はなかったが、開き始めた。

そしてその中から現れたモノは・・・・

リョーコ「・・・・・・アキトハウス?

そう、遺跡が開いて中から現れたのは小さな犬小屋みたいなモノであった。
いや、犬小屋の方が立派だ
それはまるで段ボールに屋根と窓を描いただけの代物に酷似していたからだ。
だが横に堂々と「アキトハウス」と書かれている。

リョーコ「・・・・・あれって何?」
ルリ『さぁ・・・・・』
黒百合「アキト!!!!」
アキトハウス「ビクゥ!!!」
黒百合「いつまでそんなところに隠れているの!
 いい加減家出から帰ってきなさい!!!」

アキトハウス「ガタガタブルブル」

アキトハウスは震えて嫌々していた。



ナデシコB


ルリ「・・・ハーリー君、あれが何かわかります?」
ハーリー「ああ、アレは負け犬の隠れ家ですね」
ルリ「負け犬?」
ハーリー「ええ、バトル○スリーテス大○動会に出てくる主人公の神崎あ○りが落ち込んだときに逃げ込むという伝説のあ○りハウスですねぇ」
ルリ「・・・・・・」

理由がわかって納得



再び遺跡格納庫内部


北辰「ほら、コイツも帰るのがイヤだと言ってるぞ?」
黒百合「そんなはずありません!
 アキトは私にラブラブなんですぅ!!!」
北辰「いや、俺達の所に流れ着いたときには酷い有様だったぞ?
 お仕置きしないで!とか、痛くしないで!とか」

黒百合「そんなことありません!
 努めて正常な愛の営みです」
北辰「愛の営みって・・・道具を使うのはまずいだろう」
黒百合「だって倦怠期とかマンネリとか言って回数減らそうとするんですよ?
 酷いと思いません?」
北辰「そりゃ一日に何回もいたしていれば逃げたくもなるだろうが・・・
 おまけに男のくせに受け専門にされたら・・・」

黒百合「だって、アキトったら私が誘っても仕掛けてこないんですもの・・・」

と、延々と繰り返される二人の会話に赤面するリョーコとルリ
アキトハウスは言葉の応酬が繰り返される度にグサグサと言葉のナイフが突き刺さるようにのたうちまわった。

リョーコ「こ、こら!お前らこのSSは一般指定だぞ!!!
 もう少し表現というモノを・・・」
リ『そうです!!!
 いえ、私は少女ですからよくわかりませんけど・・・・
 不潔です!!!』

北辰「不潔って・・・」
黒百合「夫婦協力のボクシングエクササイズをして何か悪いんですか?」
リョーコ&ルリ「はぁ?」

あまりのことに唖然とする二人

リョーコ「倦怠期とか、マンネリとか!」
黒百合「倦怠期だからラブラブになろうと一緒にダイエットに励んではいけませんか?」
ルリ「でも道具を使ったって・・・」
北辰「何を勘違いしているかしらないが、ボクシングエクササイズでヌンチャク使いだしたら既に暴力だろう」
黒百合「だってだって、アキトったら手加減してくれないんだもん!」
北辰「そういうのをDVっていうんだ」

『っていうかさぁ、これって単なる妻の暴力から夫が逃げ出したのを匿ったってだけの話か?』
リョーコとルリは何となく事情を理解した。
そして黒百合の正体にも気がついた。

リョーコ「ユリカ!ユリカなんだろ!
 だから、リョーコちゃんって、オイ!」

黒百合ことユリカは答えない。
彼女の関心はリョーコにもルリにもなかった。
彼女の関心は既に目の前の夫とそれを匿う仇敵北辰のみだった。

北辰「滅」
ユリカ「なんの!周りにいるヒサゴンは私のお友達!」
北辰「なぁぁぁぁ!!!我らのヒサゴンに何をする!!!」
ユリカ「だからアキトを返しなさい!!!
 っていうか、アキト帰っておいで!!!」

リョーコの悲痛な叫びも無視するかのように、びーされなと夜天光は勝手に戦い始めた。
相変わらず周りを巻き込みながら派手に戦うびーされなと北辰達
そこにアマテラス中のヒサゴンが加わるのだから、そりゃもう大騒ぎだ(笑)

「お助けマン参上!」
そんなところに乱入してきたサブロウタのスーパーエステバリス。
だが、ヒサゴン達の大暴れのせいで既にアマテラスの崩壊はそこまでに近づいていた。



第13ゲート内


リョーコ「バカバカ!引き返せ。アキトとユリカが!」
サブロウタ「艦長命令だ。悪いな」

リョーコ機のアサルトピットだけ抱えて、サブロウタは来た道を引き返した。



ナデシコB


リョーコ『ルリ、見てるんだろ、聞こえてるんだろ。
 あいつら生きてたんだよ』

ルリは答えなかった。いや、答えられなかったのだ。

リョーコ『今度も見殺しかよ!チクショウ!チクショウ!』

艦長としての理性がなんとか彼女の感情の暴発を押し止めていた。
言葉に出せばそれを止められない。
リョーコのように泣き叫べたらどんなに楽だろう。

一呼吸をついて心を押さえ、ようやくその一言だけを発した。
ルリ「タカスギ機を回収の後、この宙域を離脱。
 地球に帰還します。あと、ハーリー君お願い」
ハーリー「了解」

それだけ言うとルリは膝を抱えてうずくまった。
彼女の席から他のクルーにその姿を見せずにすむのは幸いだった。
アマテラスが宇宙の藻屑となるのを眺めて、ルリは不思議と涙だけが出なかった・・・

『・・・ユリカさんの抱えていたペコちゃんバージョンのヒサゴンが手に入りませんでした・・・』

って悲しんでるのはそっちかい!!!!

See you next ちゃぷた...?



ポストスプリクト


・・・お待たせしました、6話目です。
うわぁ、待たせた割にはとんでもない内容(爆)

っていうか、このシーンをギャグにするのって無茶苦茶難しいと思いません?
結局あんな感じになったのですが、それがいいのか悪いのかよくわかりません。

一時は「薔薇の王子様」とか「ミッチー」とか「アニキ」とか色々考えていたんですよ、アキトが出てくるシーン(苦笑)

さて、これからどうするかなぁ。壮大な夫婦喧嘩・・・かな?

ってことで続きを見てみたいという方はメールを下さい。
無い知恵を絞って見ます(爆)

では!

ver1.01

Special Thanks!!
・AKF-11 様
・北の国から 様