菊地秀行トークライブ
ドイツもこいつも幻想怪奇

TOP / 1 / 2 / 3 / 4

 小雨そぼ降る新宿歌舞伎町。猫をウォッチングで道に迷った紅蓮くんたちとも無事に合流。土下座しておくれたことを謝る紅蓮くん、頭を下げるだけならただですとも・・・などとかんぐってはいけない。せいらくん御用達(?)の居酒屋に飛び込むと15分待ち。ほどよい時間だなと、闘志をあらわにする一部パンチマニア、殴りに行く。殴る・撃つ・弾く、歌舞伎町の一画は修羅場と化す。が、廃墟と化す前に準備完了の連絡が入る。よかった。入店チェックで引っかかり足止めをくらう者も出るが、全員無事に席につき、「飲め!<新宿>」饗宴の幕開けである。

 奥のテーブル、食べる食べる食べる食べる・・・。日中消費したカロリーを補って余りあるほどではないだろうか。ライブの余韻と日中の疲労にアルコールが追い打ちをかけ、壊れるのが早い。そういえば、ほとんどの者が紅蓮くんの筆になる「吸血鬼ハンターゼロ」の出演者である。ゼロ・オフでもあるわけだ。そうとわかると全ての矛先は作者紅蓮くんに向かう。「あの殺され方はよかった」「あの映画ネタはよかった」「名乗りを上げた途端舜殺でしたな」「もうじき完結ですな」「全員死んでしまうのですとも」「ほう、御自身もで?」「へっへっへ、それはお楽しみということで」「アラハゥイ奇譚の続きは?」「Dr.マノユの大冒険は?」「いえ、そろそろオリジナルを」などなど、暗雲うずまき殺気満ち満ちる店内。「奥の方にもご挨拶を、こそこそ」と席を離れた紅蓮くん、店の鴨居に頭を強打し、奈落の底へ・・・。あの悪夢の再現か!とまではいかず、すぐに復活。頭脳は大切にしよう。

 やがて場も盛り上がったとこではあるが、せいらくん、みぎ〜、小太郎くんのコインロッカー一蓮托生組が御帰宅。怒濤の二日間(そうなのだ、たった二日であったのだ!内容が濃くて何日もいたような、しかしもっといたいような)お疲れ様、次のイベントで会いましょう。みぎ〜、小太郎くん、いつか泊まりでゆっくり来れる身分になりなさい。と、別れを惜しむまもなく、生アラハゥイと生Dr.マノユの対決に。

 「ささ、まずはお近づきの印に御一献を」「ふむ、それではまずきみからやりたまえ」「はは(ちっ)、お酌していただけるとはありがたき幸せ(ぐいっと飲み干す)」「ほう、いける口だな、それでは私も(ぐいっと飲み干し)、おい、返杯だ」「これはこれは(またぐいっと飲み干し)、返杯の返杯でございます」「うむ、おぬし、気がきくの(ぐいっと・・・)」「私の負けでございます」「これ、エヌド、おぬしも飲まぬか」「おや、矛先が変わったようで(ぐいっと・・・は飲らない)」「付き合いの悪いやつだな」「(イカの塩辛をつつきながら)お酒は風流にまったりと楽しむものですからな」というわけでアラハゥイのいきなりたたみかけ攻撃はあっさりと打ち破れ、最強はDr.マノユに決定したのであった。

 決着の着いたところで再びカリガリ博士ごっこ。何かにつけ“イカの塩辛を食べさせる”Dr.マノユことカリガリ博士。「さあ、まずいご飯の時間だよ、さあ食え、もっと食え、全部食え」少なくとも、所長、リシェルちゃん、KAYOちゃん、SATOさんまでもが犠牲者に。とてもあの冷静沈着などくたぁとは思えないほどお茶目でかわいげな一面を垣間見てしまった、もしやこれが実体か?そうかそうか。やがて何度目かの佳境に入り、映画好きな紅蓮君、マノユくん、私(はおまけ)の3人は周囲を巻き込んでコアな映画談義にブレイク。当然、ライブからひきずり続けていたネタも・・・。ゴーレムは道に迷っているわ、オルロック伯爵は棺桶かついでうろうろしているわ、ボールウィンは実体を失くして忘れ去られるわ、ドラゴンは火をはくわ・・・。キングコングと大魔神は戦うは。うおぉぉぉ、ここにはかけないネタも盛沢山。私の隣、リシェルちゃんは息も絶え絶えだ。ああ、愉しきかなドイツ表現主義怪奇幻想映画。おっと、紅蓮くんの小説事始めもここで明かされる。なんと幼少のみぎりにヨーロッパ文学に親しんでいたのだそうな。それが今ではこんなになっちゃって・・・え?

 てなわけで、愉しい時は早く過ぎ去るもの。宴はいったんお開きに。そしてわたしはホテルで寝る。名残惜しいが、命には代えられませんからな。おや、離脱するのは私だけで、皆さんタフですな。明日からまたネットでお会いしましょう。ええ、次のイベントも楽しみですな。では、さらばじゃ!と、雨の歌舞伎町に消え去るのでした。(Fin)

TOP / 1 / 2 / 3 / 4