邦題 |
怪談呪いの霊魂 |
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原題 |
The Haunted Palace |
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製作年 |
1963年 |
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製作国 |
アメリカ |
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制作社 |
AIP |
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製作 |
ロジャー・コーマン |
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監督 |
ロジャー・コーマン |
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脚本 |
チャールズ・ボーモント |
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原作 |
エドガー・アラン・ポー「幽霊宮」 |
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出演 |
ヴィンセント・プライス |
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映像情報 |
85分/カラー |
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【ストーリー】 遺産相続のため、アーカムにやってきたチャールズ・ウォード夫妻。しかしその地を呪い、さまよいつづける魔術師ジョセフ・カーウィンの魂がチャールズの身体を支配し、110年前の復讐が始まった時、アーカムは再び恐怖に支配されてしまうのだった。 |
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【コメント】 ラヴクラフトの名がクレジットされつつポーの詩が流されるこの作品、「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」の映画化を望んだのはロジャー・コーマンで自身でしたが、1960年代当初のAIPはロジャー・コーマンの監督でエドガー・アラン・ポー原作シリーズを売り物にしていたので、ポーシリーズの一つとして作られました。このため、古典的なポーの時代背景を舞台にラヴクラフトのストーリーが展開されることになりましたが、ダニエル・ハラーによる見事な美術セットもあいまってムードあふれるゴシック・ホラー映画に仕上がりました。ラヴクラフトがポーを敬愛しその影響を受けていたことあり、アメリカを代表する二人の怪奇幻想作家を融合したこの作品は、ある意味贅沢なものといえるでしょう。 惜しむらくは、長編の原作を映画の枠に収めるため、ストーリーが大幅に縮小、変更されてしまい、魔術師ジョセフ・カーウィンが自分を迫害したアーカムの住民に復讐するために甦るという程度にとどまってしまいました。邪神の力にふれるのも、世界を暗黒で支配すると豪語してはいるのですが、残念ながらかつての妾を蘇らせることにしか使われていません。 チャールズ・ウォード/ジョセフ・カーウィンの配役には、当初「失われた週末(45)」のレイ・ミランドが考えられていました。これはヴィンセント・プライスがこれまでのポーシリーズに起用されていたため、事実上ラヴクラフトの作品として作りたかったロジャー・コーマンとしては一連のポーシリーズと同一視されることをためらったからです。ちなみに、レイ・ミランドはコーマンのポーシリーズの一つである「姦婦の生き埋葬(61)」に主演しています。 このようないきさつがありつつも再び起用されたヴィンセント・プライスですが、ウォードとカーウィンの演じ分けは見事の一言につきます。顔付きや声音を微妙に変化させるだけで、これまで優しかったウォードがふと振り返ると一変、不気味な雰囲気たっぷりのカーウィンになってしまいます。この多重人格のような多面性がプライスの魅力の一つなのですね。もっとも、一連のポーシリーズで培われたといえなくもありませんが。また、共演のロン・チャニーJr、さすがに年は隠せずすっかり太ってしまっていますが、不気味な魅力をかもし出しています。 |