優れた開発者であるためには、定期的に Debian バグ追跡システム (BTS)
で自分のパッケージに関するものをチェックすると良いでしょう。 BTS
には、あなたのパッケージに対してオープンされた 全バグ報告が登録されています。
開発者は、bugs.debian.org 宛てに 電子メールを出すことによって BTS
を利用することもできます。 その際に利用できるコマンドに関するドキュメントは
http://www.debian.org/Bugs/
にあります。 また debian-doc
パッケージがインストール済みならば、
ローカルにある /usr/doc/debian/bug-*
ファイルをご覧になることもできます。
また、オープンされたバグ報告を定期的に取り込むことも有益です。 また、あなたのパッケージに対してオープンされたバグ報告の概略を 毎週電子メールで受け取りたいならば、 cron ジョブに以下の行を追加してもよいでしょう。
# 毎週自分のパッケージに対するバグ報告を調べる 0 17 * * fri echo "index maint maintainer-address" | mail request@bugs.debian.org
maintainer-address の箇所には、あなたの Debian 公式開発者としての電子メールアドレスを当てはめてください。
パッケージ開発者として、他のパッケージのバグを発見することや、
あなたのパッケージに対して報告されてはいるが、その対象パッケージを変更
(reassign) すべきバグ報告を受けることもあるでしょう。
これらのバグは登録しておく必要があります。
こちらをどのように行なうかについての説明は、 バグコントロールメールサーバ入門
にあります。
問題があった場合、そのバグを登録することが奨励されています。 電子メールを受け取るときに用いている通常のユーザアカウントから、 バグを報告してください。 root アカウントからバグを報告してはいけません。
当該パッケージに関する問題のバグが、 まだ報告されていないことを確認してください。 その上で、そのバグを適切なところへ報告してください。 特別に許可を得ている場合、他のパッケージに対しても、 何度も報告を受けているバグをマージし、その修正が完了した際、 そのバグの重要度を `fixed' に設定することもできます。 なお、バグ報告者かそのパッケージの開発者でなければ、 (開発者から権限を付与されていない限り、) そのバグを実際にクローズすることはできません。
バグ報告に対する返信は、必ずそのバグの元の報告者と、 バグ報告そのもの (例えば
123@bugs.debian.org
)
の両者に送付されなければなりません。
バグサーバ経由で control@bugs.debian.org
に
`close' コマンドを送って
バグをクローズすることは決してしないでください。
そうしてしまうと、元の報告者は、そのバグがクローズされた理由に関して
何のフィードバックも得ることができません。
あなたのパッケージのバグを修正する場合、 その修正が完了した際にバグをクローズすることは、 パッケージ開発者としての責任です。 しかしながら、修正されたパッケージが Debian アーカイブに収められるまでは、 そのバグをクローズしてはいけません。 そのため、アップロードしたパッケージがアーカイブにインストールされたとの 通知を受けてから、BTS に登録されているバグをクローズしてください。
dpkg-dev
の新しいバージョンを利用し、 changelog
エントリを適切に設定していれば、 dinstall
は自動的にそのバグをクローズします。 そのためには、以下のように
debian/changelog
ファイルの記述が正しい文法にしたがっていなければなりません。
acme-cannon (3.1415) unstable; urgency=low * Frobbed with options (closes: Bug#98339) * Added safety to prevent operator dismemberment, closes: bug #98765, bug #98713, #98714. * Added manpage. closes: #98725.
技術的な観点からいえば、以下の Perl 正規表現が用いられます。
/closes:\s*(bug)?\#\d+(,\s*(bug)?\#\d+)*/gi
このパッケージの開発者は、他の changelog エントリと区別しやすいことから、 (closes: Bug#XXX) という文法を好んで使っているようです。
バグのクローズを手動という古い流儀で行ないたい場合は、 .changes
ファイルを XXX-done@bugs.debian.org
宛てに送れば結構です。 その際こちらの XXX
の箇所にはバグ番号を当てはめてください。
パッケージ開発者は、定期的に最新の lintian
を `unstable'
ディストリビューションから入手し、 自らのパッケージすべてをチェックすべきです。
あるいは、オンライン lintian
報告
上で、 自分が開発者として登録している電子メールアドレスの箇所を
チェックしてもよいでしょう。 こちらの報告は自動的に更新されますが、 最新の
lintian
を利用して、 ディストリビューションの最新バージョン
(通常は 'unstable') に対する lintian
報告を収録しています。
たくさんの異なるパッケージ上にある同一の問題に対して、 たくさんのバグ報告を --
つまり 10 以上も -- 行なうことは、勘弁願いたい作業です。
ただ、ともあれ一度にたくさんのバグ報告をしなくて済むように、
できうることは行なってください。
例えば、その問題のチェックが自動化できるものならば、
エラーや警告を発行するように lintian
に新たなチェックを付け加えてください。
同じ問題に関する 10 個以上のバグを一度に報告する場合は、
そのバグを報告する前に、その意図するところを添えて debian-devel@lists.debian.org
宛てにメッセージを送ることが推奨されています。
このことによって、他の開発者はそのバグが本当に問題のあるものなのかどうかを
確かめることができます。 さらに、このことは、
複数の開発者が同じバグを同時に報告するという事態も防ぎます。
なお、たくさんのバグを同一のサブジェクトで報告する際には、
バグ報告が配送されるメーリングリストに転送されないよう、 そのバグ報告は
maintonly@bugs.debian.org
へ送ってください。
aph@debian.org
schwarz@debian.org
ijackson@gnu.ai.mit.edu