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Debian デベロッパーズリファレンス - 章 9
パッケージの移動、削除、改名、引き継ぎ、みなしご化


Debian のアップロード手続きにおいて、 アーカイブ操作の作業のすべてが自動化されているわけではありません。 自動化されていない作業に関しては、開発者が手動で行なわなければなりません。 この章ではそのような作業の際に従うべきガイドラインを扱います。


9.1 パッケージの移動

パッケージはそのセクションが変更されることもあります。 例えば `non-free' セクションのパッケージが後のバージョンで GPL 準拠となった場合、そのパッケージは `main' あるいは `contrib' に移動されなければなりません [1]。

あなたのパッケージのセクションを変更しなければならない場合、 変更先のセクションにパッケージを設置するために、 パッケージの制御情報を変更し、 そのパッケージを再アップロードしてください。 (詳しくは Debian パッケージングマニュアル をご覧ください。) パッケージがアーカイブにインストールされる際に送られてくる インストレーションログを十分に確認してください。 もし何らかの理由でパッケージが変更前の場所にも残っていた場合は、 ftp.debian.org に対してバグ報告を行ない、 変更前の場所にあるパッケージを削除するよう依頼してください。 もしかすると dinstall のバグかもしれないので、 その際にはあなたで行なったことの詳細を添えてください。

一方、パッケージの subsection (例えば ``devel'' や ``admin'' など) を変更する必要がある場合、その手続きは若干異なります。 この場合は、そのパッケージの制御ファイルにある subsection を修正し、 再アップロードしてください。 また、オーバライドファイル, Section 6.4.1 で説明したように、 オーバライドファイルを更新する必要もあります。


9.2 パッケージの削除

あるパッケージ (例えば、もはや不要になった古い互換ライブラリなどを) を何らかの理由のために完全に削除したい場合は、ftp.debian.org に対してバグ報告を行ない、 そのパッケージを削除するよう依頼しなければなりません。 その際、そのパッケージをどのディストリビューションから 削除するのかを必ず明記してください。

なお、そのパッケージが不要なものかどうかはっきりしない場合は、 debian-devel@lists.debian.org に電子メールを送り意見を求めてください。 また、こちらに関しては apt パッケージの apt-cache プログラムを利用して確認してみてもよいでしょう。 apt-cache showpkg package とすれば、reverse depends 情報を含む package 詳細が表示されます。


9.2.1 Incoming からのパッケージ削除

あるパッケージを Incoming から削除したい場合は、 義務ではありませんが、適切なアナウンス用メーリングリスト (debian-changes@lists.debian.orgdebian-devel-changes@lists.debian.org) にその旨を通知しておくとよいでしょう。


9.3 パッケージの置き換えや改名

パッケージの名前を間違えて付けてしまい、 それを改名しなければならないことがあるかもしれません。 この場合、次の二つの手順を踏む必要があります。 まず初めに、そのパッケージの古い名前に対して replace および conflict となるよう debian/control ファイルに設定を行ないます。 (詳細は Debian パッケージングマニュアル をご覧ください。) そして、このパッケージをアップロードし、それをアーカイブに移動したら、 ftp.debian.org に対するバグ報告を行ない、 古い名前のパッケージを削除するよう依頼してください。


9.4 パッケージのみなしご化

あるパッケージのメンテナンスができなくなった場合は、そのパッケージ開発者を Debian QA Group <debian-qa@lists.debian.org> に設定し直し、 wnpp@debian.org 宛てにそのパッケージをみなしご化する旨を 電子メールで通知しなければなりません。 ただ、そのパッケージが Debian にとって極めて重要なものである場合は、 代わりに debian-devel@lists.debian.org 宛てに電子メールを送り、 新開発者を募集すべきでしょう。


9.5 パッケージの引き継ぎ

新開発者が必要なパッケージの一覧が、定期的に debian-devel@lists.debian.org メーリングリストに流されます。 この一覧は http://www.debian.org/doc/prospective-packages.html にある Work-Needing and Prospective Packages document (WNPP) からも入手できます。 WNPP の一覧にあるパッケージのメンテナンスを引き継ぎたい場合や、 あなたのパッケージのメンテナンスを放棄する場合、 新規パッケージの作業を誰が行なっているかどうか単に確認した場合は、 wnpp@debian.org に電子メールを送ってください。

このことをおろそかにして、あるパッケージを単に引き継ぐだけではいけません。 -- これではパッケージハイジャックです。 もちろん、現行の開発者に連絡を取り、 そのパッケージの引き継ぎを依頼することは可能です。 しかしながら、その際に同意を得られなければ、 そのパッケージを引き継ぐことはできません。 たとえあなたの申し出が無視されたとしても、 それはパッケージ引き継ぎの理由とはなりません。 現行開発者が音沙汰もなくその作業を放棄していると確信できる場合は、 その旨を debian-private@lists.debian.org にて尋ねてみてください。

なお、古いパッケージを引き継いだ場合は、 あなたをそのパッケージの公式開発者として バグ追跡システムに登録なさりたいでしょう。 Maintainer: フィールドを更新した新バージョンをアップロードすれば、 二週間ほど時間がかかりますが、その処理は自動的に行なわれます。 ただ、しばらくの間、新バージョンをアップロードできない場合は、 バグ報告があなたの元へ正しく送付されるようにするために、 override-change@debian.org に電子メールを送ってください。


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Debian デベロッパーズリファレンス
ver. 2.7.1, 2 Oct, 1999
Adam Di Carlo, current maintainer aph@debian.org
Christian Schwarz schwarz@debian.org
Ian Jackson ijackson@gnu.ai.mit.edu