Ecriture


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聖杯伝説 (12世紀初頭より)


そして、彼をひどく悩ませたのは、近くも遠くも、自分がいったいどっちへ向かって
いるのかわからないことだ。
というのも、夜の闇はじつに濃かったのである。
(「聖杯の探求」天沢退二郎訳 人文書院刊 p96)





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聖杯伝説に織り込まれた<生命の樹>伝説はさまざまな示唆にあふれている。
イヴが追放された楽園から持ち帰った一本の小枝、やがて喜びとともに根つき、
アベルの誕生を見守る<生命の樹>は、豊穣な愛の源でもある。

栄光と贖罪、聖性と血が混在するこの書物は迷宮となって読むものをいざなう。

闇にまどうランスロットが見い出したものは、世界のどこに繋がっていたのだろう。






聖杯伝説

     1180年代始めごろにクレティアン・ド・トロワがしるした長編韻文物語「聖杯物語」が
     一連の聖杯作品群の出発点とされる。以降中央ヨーロッパを中心に多数生みだされる。
     ケルトの色彩がつよく、シトー派をはじめとしたさまざまな影響をうけ変遷をたどるが、
     そのコアとなるものはいまにおいてもなお損なわれていない。
     
     <おすすめ本>
     「聖杯の探求」 天沢退二郎訳  人文書院  1994初版  
      ISBN4-409-13018-8 C0097
     中世仏語原典からの初の完訳本。一読の価値があります。
     
     「パルチヴァール」 ヴォルフラム・フォン・エッシエンバハ著  郁文堂  1974発行  
      ISBN4-261-07118-5
     中世ドイツの詩人によってかかれた聖杯探索のものがたり。前述の「聖杯の探求」とは
     またちがう作品になっていて興味深いです。

     そのほか聖杯伝説・アーサー王関連の書物は文庫も含めて多数出版されていますが、
     ここではわたしのおすすめの2点をあげておきます。
     本によっては当時の図版を多く掲載しているものもあり、美術書としてもたのしめる
     ものもでているようです。そういったものは洋書のほうが俄然多いのでしょうが・・・



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