日本人は異常に下半身を重視する国民だ、と言えば、それは何の話だ? と人は言うだろう。
これはスポーツの話である。
日本のプロ野球に加わった外国の選手は「なんでこんなに走らなきゃいけないんだ」と言うそうだ。それぐらい、シーズン前のキャンプでは走らされるらしい。選手の談話でも、「たくさん走ってます」という言葉をよく聞く。
野球以外のスポーツでも、とにかく走って走って走りまくるということを練習の根幹に据えているようだ。しかし、これはどうも日本だけのことらしい。
中学・高校の部活動でも、コーチの気に入らないことがあると、「グラウンド一〇周!」などという「罰則」を課すことがあると聞いている。これは結局において部員のためになるとコーチが信じていることの現れなのだろう。
走るのは勿論いいことだろう。しかし、走り過ぎることからくる弊害はないのか、と私などは思ってしまう。例えば、大柄で体重の重い選手が走り過ぎて膝を痛めるということはないのだろうか。
以前に「うさぎ跳び」という補助運動があった。両手を後ろに組んで背筋をのばしたまましゃがむような姿勢をとってジャンプするというものだった。多くの運動部で足腰を鍛えるのに効果があるということで盛んに行われていた。これでグラウンドを一周するとか、神社の石段をいちばん下からてっぺんまで上るとかいうことが、一種の美談のように喧伝されていた。
しかしこれは膝に悪いということが多くの実例によって証明されて、全く行われなくなった。これによって選手生命を断たれた人は数知れずいるだろう。
補助運動について考える時、体のある部分についてそれが効果的だと考えるばかりでなく、それが体の他の部分にどういう影響を与えるかということも考え、やり過ぎないように配慮することが必要だろう。
体を鍛えることが体を壊すことに繋がるようであってはならない。