近年の夏の暑さはひどい。ようやく秋がきてホッとしながらも、来年の夏はどうなっているだろうという心配が頭をもたげてくる。
以前の夏はこんなでなかった。今でも摂氏二五度を夏日というが、今ではそう言われてもピンとこない。昔は二五度になれば十分に夏だったのである。今では、もはや三五度など普通のことになってしまっている。そのうち四〇度が普通になってしまうのだろうか。
しかし、人間は、その暑さの責任を負っているのだから、文句は言えない。それに人間は着ているものを調節したりエアコンを用いたりして、なんとか暑さを凌ぐこともできる。しかし、人間以外の生き物は、そういう訳にはいかない。
数年前までは、夏の終り近くに、近所の公園の芝生と雑草の入り混じった広場を歩くと、ほとんど一歩毎に足元からバッタが跳びはね、上を見ると赤トンボが群れをなして飛んでいた。しかし最近では、そのいずれも全く見られなくなっている。
うるさいほどに鳴いていた蝉の声も聞こえてこない。秋の虫も沈黙したままだ。
もっと寂しいのは小鳥が見られなくなったことだ。我が家の庭に大挙して押し寄せていた(少し大げさ?)シジュウカラやメジロやウグイスやスズメが、滅多なことでは姿を見せなくなった。ヒヨドリやカラスなどの中型・大型の鳥も同様である。
あの鳥たちは、どうなってしまったのか? どこか他の地方に行ったのか、それとも死に絶えたか。
他所に行ったのだったら、それはそれで我慢するほかない。いつかまた戻って来るだろうという希望を持つこともできる。しかし、今の日本は、どこに行っても同じようなものだ。ここで生きていけないとすれば、どこに行けば生きていけるのか。
だが、もし死んだとすれば、心の重荷には耐えがたいものがある。
これも地球温暖化の結果であることは明らかである。
自国の石油石炭産業を守るためか、「地球温暖化などはフェイクニュースだ」と公言する大統領がいるが、その国の国民はどう思っているのだろうか――小鳥に成り代わって聞いてみたい気がする。(二〇二五)