小鳥1

 冬になると我が家の小さな庭に水やジュースの入った容器を出しておく。台に置くこともあれば、庭木の枝に工夫して固定することもある。柿や林檎や蜜柑を出しておくこともある。もちろん、小鳥のためである。メジロとヒヨドリがやってくる。ヒヨドリがいるときは、メジロは恐れて近づかない。近づけばヒヨドリからきつい仕打ちを受けることになる。しかし、気が小さいのはヒヨドリの方だ。ちょっとした人の気配にもすぐに逃げてしまう。すかさずメジロがやってくる。メジロは庭に面した雨戸を開け閉めしても逃げない。たいがい二羽でやってきて、ジュースを飲んだり果物をついばんだりしている。
 本当はひまわりの種を出しておきたい。そうするとシジュウカラがやってくる。シジュウカラが足で種を押えてくちばしで殻を剥く愛らしさといったらない。うまくするとシメも来る。しめしめ、なんちゃって。しかしひまわりの種を出しておくことはできない。大挙してやってくるシジュウカラの何割かが、なぜか隣家の庭にそれを運んで行って、そこで殻を剥いて食べるからだ。あるとき隣家の庭を見て、殻が一面に散乱しているのを発見した。あれでよく文句を言われなかったものと、大いに恐縮した。
 小鳥を見るようになって今さらながら気づいたのは、雀の可愛らしさである。こんなに身近にありながら、どうして今まで気づかなかったかと思う。
 悠然として南山を見る代りに、呆然として庭を見る。冬の休日の昼間は、そのようにして過ぎてゆく。(一九九七)

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