クリスマスが来るたびに疑問に思うことがある。それは、サンタクロースが実在すると子供に信じさせるのはよいことか、ということである。
サンタクロースはキリストの生誕とは関係がない(キリストの誕生日も不明である)。だからこそ、キリスト教とは関係ない地域でも、親しまれているのだろう。
お寺に付属する幼稚園でもクリスマスのお祝いをして、住職がサンタクロースに扮して園児たちにプレゼントを配るという。これがサンタクロースやクリスマスの一般の受け止め方である。
幼い子供は親から「サンタさんは本当にいるんだよ」と言われればそれを信じる他ない。しかし、それによって問題も生じる。
以前に学生の演じる『青い鳥』という劇を観たとき、上演そのものは素晴らしい出来で感心したが、しかしその始めの方で、貧しい家の子供が親に「どうしてサンタさんはお金持ちの子供には立派なプレゼントを持ってきて貧乏人の子供には何も持ってきてくれないの」と尋ねる場面があって、胸を衝かれた。しかしこの劇はこの重い質問に答えるようには出来ていなかったように思う。
我が家でもサンタクロースはいるものと子供に信じさせていたが、子供から「どうしてサンタさんのプレゼントはデパートの紙にくるまっているの」と聞かれて、うまく答えられなかった。「さあ、どうしてかね。サンタさんもデパートで買うのかなあ」などといい加減な対応をしたことを覚えている。
ある年、子供へのクリスマス・プレゼントをデパートで買い求めたとき、現品が払底しているということで、遅くとも一二月二四日の昼頃までには届けるという約束で料金を支払った。毎年、二四日の夜、子供たちが寝静まった後でその枕元にプレゼントを置いておいて、子供が翌朝起きた時にそれを発見して大興奮するという段取りになっていた。
ところが、二四日の昼頃を過ぎても届かない。やきもきしていると、デパートから電話がかかってきて、事情により届くのは翌日の昼頃になるという。
さあ、困った。
仕方なく、子供に、
「さっきサンタさんから電話がかかった」
と言った。
「えーっ! そうなの。それで、なんだって」
「困ったことが起きて、プレゼントを届けるのは一日遅れるって」
「そうなの、どうしたのかな」
「分らない。トナカイに何かあったのかもしれない」
実に無責任な対応をしたものである。しかしこちらもどうすればよいのか分らなかった。
サンタクロースが実在すると信じさせるのは嘘を信じさせることであって、子供たちがやがてそれが嘘だと分ったときにどういう衝撃を受けるかは明らかでない。
親が子供に嘘を教えるということは、考え直されてもよいのではないか。