いいかな

 私のような年配者になると、自分より若い世代との(断絶とまではいかないにしても)習慣や考え方の違いにこだわりを感じないではいられない。その一つに言葉遣いがある。これを言い出すと際限のないことになるが、ここでその一つをあげると、テレビでよく聞く「いいかな」がある。
 「……になればいいかなと思います」とか「……をすればいいかなと思います」という言い方をやたらよく聞く。
 これは、基本的にはどちらでもいいが、強いて言えばこちらの方がいいように思う、という場合に使われる表現である。例えば、酒好きの人が「晩酌には日本酒がいいかなと思います」と言うような。彼は、本音では、ウィスキーでもワインでも、何もないよりはマシだと思っているのである。
 しかし、最近では決してそういう場合に使われていない。
 例えば、「日本が二度と戦争に巻き込まれなければいいかなと思います」とか、「酔っ払い運転はしない方がいいかなと思います」のように。
 それはどちらでもいいことなのか、と質問したくなる。
 これに限らず、はっきり言わずにわざとぼかした言い方をする、というのが現代の流行であるような気がする。
 まあ、こういううるさい年寄りは早く消えた方がいいかな、と思うのである――いや、その場合の「かな」はいらない、と若い人は言うだろうけれど。

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