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にかい(二階) 「奥田屋二階の場」のような形式が用いられ、低い塀や植え込み、切出し、屋根の上部などをあしらって常足屋台を2階として装るのである。「油屋の場」のように座敷の一方に4.5尺の高さの2階をある装る形式もある。 .
にく(肉) 肉襦袢の略。演技中の俳優が膚をあらわすときに用いるメリヤス製肌着。 .
にじゅう(二重) 大道具用語。プラットホーム。舞台床と同じ高さでなく、それより高く床の入用の場合に組み上げるもの。天高、常足の定式のほか、必要に応じた高さに作る。屋体の床、山や岩石の土台に用いる台のことをもいう。車を付けて移動できるものもある。 .
にじょうだい(二畳台) 六尺×六尺、高さ一尺ほどの山台(→やまだい)、獅子物に多く使用されるので獅子座とも呼ばれる。 .
にだん(二段) 2段に作られた階段のこと。一段の高さが7寸(約21cm)、踏板の幅が8寸(約24cm)、長さが3尺(約90cm)の標準規格の大道具。

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にちょう(二丁) 歌舞伎、または日本舞踊などでは、開幕15分前に(休憩のときは状態により流動的)楽屋全体に聞こえる位置で、10拍ぐらいの間でふたつ打つ柝(→き)のこと。「化粧を終えてかつら、衣装の支度にかかれ」の意。 .
にのかわり(二の替り) 歌舞伎興行用語。二の替り(正月)狂言の略。11月の顔見世に始まり、翌年9月(お名残狂言)に終わる。江戸期の年間興行体制の中で、11月から数えて翌年正月興行はその第2回目に当たるので、二の替りと称した。 .
にべる(二ベル) 開演ベル。通常このベルが入って幕が開いて、芝居やコンサートが開始される。本ベルともいう。 .
にまいめ(二枚目) 歌舞伎では白塗りの化粧をした美男子役で、おもに恋愛を中心にした和事の主人公を演ずる。声や動作も女性的で洗練されてやさしい。 .
にらむ(睨む) 歌舞伎演技用語。俳優が高揚した感情を表現する独特の演技法の中で、一時動きを停止して目をみはり、両眼を寄せ、さらに強調して首を振る演技に、(睨む)(極まる)(見得)がある。時代物、世話物(→せわもの)役柄、感情の強弱によってそれを使いわける。(睨む)は見得に比べて写実的気分の濃い眼の演技である。 .
にんぎょうじょうるり(人形浄瑠璃) 浄瑠璃という三味線音楽に合わせて人形を操る人形劇。江戸時代の初期に生まれ、現在の文楽(ぶんらく)に発展した。 .
にんぎょうたて(人形立) 大道具の張り物や切出しなどを立てるための支え道具。

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にんぎょうぶり(人形振) 歌舞伎演出、演技用語。(語り)芸能として戯曲面で先行する浄瑠璃から、歌舞伎は多くの作品を移入して(義太夫劇)の分野を成立させたのが、その中で一場面またはその高揚場面だけを、俳優が人形になって演技する演出をいう。木偶なるがゆえの固い表情、動きはぎくしゃくとするのが心得とされるがその直截な表現が劇中人物の高揚した心理状態をあらわす。(奥庭)の八重垣姫、(檜)のお七、(琴責)の岩永などがある。 .