「うずら」とは?

「うずら」って? 「うずら」の語源 ちょっと変わったうずら達
江戸時代の武士とうずら 入手!「梅園禽譜」のうずら絵 俳句の世界にも「うずら」が
ギリシャ神話にも「うずら」が登場! 「うずら」がつく言葉

「うずら」って?

うずら【鶉】

分類 キジ目キジ科
学名 Coturnix coturnix japonica
英名 JAPANESE QUAIL
全長 18〜20cm 
体重 80〜130g

[特徴]

 尾が短く、丸い体型をしたキジの仲間です。

 雄の夏羽は背が黒く、赤褐色の虫喰い斑や黄褐色の縦斑が走っています。頭上は黒く、黄白色の頭央線が目立ちます。
顔から喉にかけて赤褐色に染まり、太く長い黄白色の眉斑が顕著です。体の下面は腹部が黄白色、胸と脇は赤褐色で白い縦斑があります。個体により、喉に三角形の黒斑が出るものもあります。
 冬羽は全体に黄褐色を帯び、胸・脇も黄褐色で、喉に黒又は赤褐色、或いは薄黄色の小斑があります。

雌は雄の冬羽に似ていますが、喉は黄白色で小斑はなく、胸に暗褐色の斑点があります。

[分布・習性]

 ウズラの仲間はアフリカ北部からユーラシア大陸にかけての広大な地域に分布する鳥で、日本で見られるのはその一亜種です。
日本をはじめシベリア東南部、中国大陸、モンゴル、朝鮮半島などで繁殖し、冬になると中国南部、インドシナ半島に渡っていきます。
キジ科の中では最も長距離を渡る鳥と言われています。
 日本では、本州の中部以北から北海道にかけて夏鳥として繁殖し、冬は関東以西から九州にかけての平地に移動して越冬しますが、一部は関東、近畿地方で留鳥として繁殖するものもあります。
 ウズラは地上性の鳥で、草原・耕地・牧草地などに小さな群をなして棲息し、草の種子・穀類・昆虫類などを餌としています。
短腕型の円翼のため、飛び方は下手な方で、渡りの時以外に高空を飛ぶことはありません。

 繁殖期の鳴き声は大きく、「グワッグルルー」「クックルクーーー」などと聞こえます。
雄の鳴きは縄張り宣言ですが、このほか、交尾期が近づくと雌雄で鳴きあい、表現豊かな求愛行動を繰り返します。
 繁殖期は5〜10月頃で、交尾後、雌は草原の地面の窪みに、枯れ草を敷いただけの粗雑な巣を作って産卵します。
一腹7〜8卵で、抱卵期間は約3週間。ヒナは早成性で、孵化後すぐに自分で餌を食べ、19日ほどで早くも飛べるようになります。

 他にウズラの仲間としては、コジュケイや、ヨーロッパに分布するイワシャコ、南アジア原産のヒメウズラ、北米原産のカンムリウズラやボブホワイトがいます。ミフウズラは、ウズラとは名ばかりでツル目に分類されます。


各地の呼び名:ちよきぢ(秋田)、のうづら、かわらつこ(福島)、うずら(奈良)、ばとしー(大阪)、うじら(徳之島)、

おづら(鳥取)、うんだみー(喜界が島)、ちちくわい(長野)

<Hiroさん、資料をありがとうございました!>

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「うずら」の語源

「うずら」語源についてはいろいろな説があります。

1. "う"は草むらを示し、"つら"は連なるで群の意味があり、これが一つの言葉になった。
2. 山鳥を意味する韓国語から。
3. 鳴き声に基づく名。その声がウ(憂)く、ツラ(辛)いことから。
4. ウヅミアル(埋有)の転呼。茂草の中にいることを言う。
5. ウツル(徒)の転呼。ウツラ鳥の略。冬、北から南方へ移ることから。
6. ウシロがツラ(面)と見えるという意か、又は土の中へツラをつっこんで隠れ伏す意の
ウツブクツラからか。

<参考文献> 鳥の手帳(小学館)

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ちょっと変わったウズラ達 

etc・・・

詳しくはこちらの「ウズラ☆鶉☆うずら☆」へどうぞ!

(月刊アクアライフ別冊”Solomon”より)

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江戸時代の武士とうずら

飼い鳥としてのウズラの歴史は古く、遠く室町時代にまで遡ると言われています。

諸大名や武家の間で盛んに飼われていましたが、

ウグイスの飼育が後半もっぱら文人の間でもてはやされたのとは対照的です。

ウズラの飼育熱が最も高まったのは江戸時代に入ってからで、

その頃には武士階級ばかりでなく、一般の町民による「市井(しせい)飼い」も大流行しました。

このウズラ熱を紹介している古書に次のような記述があります。

「明和、安永の頃、諸大名競うて之を養ひ、鳥籠は金銀を鏤め(ちりばめ)

唐木、象牙、螺鈿、高蒔絵で皆一隻づつに作らせ、

装束は足かけ天幕、金襴、猩々緋の類用ひざるものなし」


当時のウズラ鑑賞でも、鳴き方、姿勢、斑紋の三点にわたって優劣が競われ、

鳴きの分野では、ウグイスやメジロのように「鳴き鶉」の鳴き合わせ会が開かれたという事です。

このうずらは「鳴きうずら」と呼ばれ、既に系統としては絶えてしまったようです。

「鳴き合わせ」

飼い主が持ち寄った数羽の雄を一度に出会わせることで、

それぞれの雄が縄張りを主張して鳴き始め、中でも、一番

声が長く、力強い雄が最後まで鳴き続ける、という形のもの。

「飼い鳥必要」という古書によりますと、「鳴き鶉」の鳴き方には

「クワ頭」「チョ頭」「コキ頭」の三種の鳴き出しがあり、このうち、「クワ頭」で声大きく、

静かに長くひいて結びに玉(ぎょく)を付け、声に光のあるウズラならば、

どこの国でも「上」とする、というような記述があります。


また、姿勢や体の特徴についても、「海老背」「蟹背」「山形背」と分けた他、

嘴も「豆嘴」「椎嘴」「腐嘴」と、やはり三品(三種)に分けています。

首の形は「鶴首」「雌鳥首」「猪首」、尾は「さし尾」「平さし尾」「海老尾」、

そして斑紋では「白府」「赤府」「ボケ府」といった具合で、今読んでも

これらのウズラの特徴は、おおよそながら想像することが出来ます。

当時の過熱ぶりが伝わってくるようです。

この為、よいうずらは大変高額で取り引きされ、ときには生きたうずらがワイロに

使われたことがある、と記録に残っているほどです。(!)


また、底に板を入れてつぶれないようにした巾着袋の中にうずらを入れ、

帯にはさんで連れ歩き、明るいところに出すと鳴き声をあげ、また、

袋の中に戻ってくるという芸を教え込むことまでなされていたようです。

この練習は、羽切りしたうずらの若い雄を、暗い巾着袋の中で飼育し、

最初は首だけ出させて手からエサをやり、慣れてくるにしたがって、

徐々に全身を出して手からエサをとらせるようにして、仕込んでいくというものです。

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「梅園禽譜」のうずら

「梅園禽譜」とは、江戸時代(1839年)に毛利梅園によって制作された、

138種の鳥を描いた図鑑で、国立国会図書館に保管されています。

日本の博物学は、江戸時代後期に隆盛を見、

日本人の手になる多くの博物画を産み出しましたが、

その中でも鳥を描いた物は、精密さの点で他に類を見ないと言われています。

「梅園禽譜」はその代表的なものです。



絵をクリックすると、大きい画像で見ることが出来ます。

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俳句・短歌の世界にも「うずら」が!


俳句・短歌の世界にも「うずら」は登場していました。

「うづら鳴く」は「故郷」の、「うづらなす」は「はいめぐる」の枕詞になっています。

他に、春の季語としては「麦鶉」、夏の季語として「鶉の巣」、

そして秋の季語としては「鶉」「鶉斑
(うずらふ)」「片鶉(かたうずら)」「諸鶉(もろうずら)」「鶉の床」

「駆鶉
(かけうずら)」「鶉駆ける」「鶉合わせ」「鶉衣(うずらぎぬ)」「鶉籠」「鶉野」があります。


さて、ここではうずらが登場(?)する俳句・短歌にはどんなものがあるのか調べてみました。

鶉野や 聖の笈も 草がくれ
うずらのや ひじりのおいも くさがくれ(蕪村)

粟の穂を 見上げる時や 鳴く鶉
あわのほを みあげるときや なくうずら(支考)

萱原や つぶてにはあらず 飛ぶ鶉
かやはらや つぶてにはあらず とぶうずら(松根東洋城)

はじめの句は、うずらの住むような原を、坊さんが行く。背に笈を背負って

いるけれど、その笈も草にかくれて見えなくなった・・という広い草原の景色です。

次の句は、見上げるような高さに穂を垂れている粟の畑で、うずらが鳴いているようす。

三番目の句は、萱の原を石つぶてのように低く飛ぶ、うずらの姿です。

うずらは、夜もそのような所にひそんで眠り、木に止まることのない鳥なので、


桐の木に鶉鳴くなる塀の内
きりのきに うずらなくなる へいのうち(芭蕉)

にしても、桐の木に止まって鳴くうずらではありません。

桐の木が見える塀の中で鳴いているうずらをうたったものと考えられます。


むら尾花 夜のはつはつに 鶉鳴く
むらおばな よのはつはつに うずらなく(暁台)
 
また、この句にあるように、うずらは夜も鳴くことがあります。

↑このように、どの句も見事にうずらの住む場所や生態がとらえられています。

<参考文献>鳥の手帳 キジのなかまたち うずらのボブのぼうけん(解説)

さて、もっとうずらが登場(?)する俳句や短歌を

ご覧になりたい方は、こちらへどうぞ!



Akaneさんから最新情報入手!
   ・・・・「最新情報」と言っていいんだろーか?800年以上前の歌を・・(^^;

   
   千載集より・藤原俊成の歌(1187)

夕されば野辺の秋風身にしみてうづら鳴くなり深草の里

<Akaneさん、ご協力ありがとうございました!>

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なんとギリシャ神話にも「うずら」が登場!!

アステリアという女性が、ゼウスの求婚から逃れるために、うずらに姿を変えて逃げました。

するとゼウスは鷲に姿を変えてさらに追いかけました。とうとうアステリアは海に落ちてしまいます。

するとそこから島が浮上したのです。

島の名はギリシャ語のうずらを意味するオルテュクスをとってオルテュギア島と

名付けられ、オルテュギア島は別名でアステリア島、 後にはデロス島と呼ばれたとの事です。

このアステリアという女性は、あのアポロンの母親であるレトとは姉妹にあたり、アポロンとアルテミスが

誕生したのもこのデロス島でした。

<バビロンさん、ご協力ありがとうございました!>

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「うずら」がつく言葉

これらの言葉は、私も今回このHPを制作するのにあたり、初めて耳にするものでした。(^_^;

でも、それにしても「うずら」って、ろくなたとえをされてないのが多すぎる・・・

ちょっとヒドイと思いません?

鶉合せ うずらあわせ  飼養しているウズラを持ち寄って、その鳴き声の優劣を競う遊び。 
鶉石 うずらいし  1.硫黄島に産するウズラの形をした灰長石。
2.小さく円い瑪瑙()の称。津軽瑪瑙。
鶉籠 うずらかご 屋根を糸の網できわめて低く張った方形の籠。ウズラを飼うのに用いる。
鶉衣  うずらぎぬ つぎはぎした衣。また、すりきれて短くなった衣。「うずらのころも」に同じ。
鶉格  うずらごうし 形が鶉籠に似た格子。下等の遊女屋に用いる。
鶉茸  うずらたけ マツタケの上等品種。傘の上は松の樹皮のような鱗状で、表皮の斑はウズラに似る。
鶉立ち  うずらだち 1.用意もなく急に旅立つこと。
2.給仕などをする者が、回り膝をせず直ちに立つこと。無作法な立ち方。
鶉縮緬 うずらちりめん 皺()の大きな一種の縮緬。鎖縮緬。鬼縮緬。
鶉手 うずらで ウズラの斑紋のある陶器で、鉄分の多い土と少ない土とを練り合せて褐色と白色とがまじった素地のもの。
鶉なす うずらなす ウズラのように(這いまわるさま)。
鶉野 うずらの ウズラを狩る野原。
鶉の床 うずらのとこ (ウズラの臥す所から転じて) むさくるしい臥床。
鶉斑 うずらふ ウズラの羽のように茶褐色に黒白の斑紋ある模様。鷹の羽などに見られる。
鶉笛 うずらぶえ 鶉狩にウズラを誘い寄せるのに吹く笛。
鶉豆 うずらまめ インゲンマメの一品種。豆は白地にウズラの羽の紋に似た褐紅斑がある。煮豆とする。
鶉目 うずらめ ウズラの羽の模様に似た木目。
鶉杢 うずらもく 1.ウズラの羽色のような木目。
2.屋久杉()の異称。

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