踊る麻酔科最前線

医者嫌いな人たちのために

医者を見るとぶち殺したくなる、というほど筋金入りの医者嫌いでなくとも、医者はどうも信用できない。金儲けばかり考えている。仲間内でかばい合いばかりしている。患者を無視した医療ばかりしている。という不信感を持つ人は少なくない。
医者である私でさえそう思うことがあるくらいだから無理もない。そういう方のための処方箋である。 

  


処方1)週刊誌の記事を鵜呑みにしない。

良きにつけ、悪しきにつけ、週刊誌は商売である。嘘を承知の興味本位な記事や素人の誤解が、多分に含まれている。
医療問題の記事のことだけではない。名医紹介とか最新治療なんてのにも、必ずしも記者が自分で取材したとは思えないものが結構ある。すべてを信じていたら、腹が立つだけで精神衛生上好ましくない。

処方2)自分で勉強する?

民間車検は金儲けのために、やらなくても良い整備を水増ししているという不信・不満には根強いものがある。医療不信と根っこは同じである。整備工場は信用できないから、自分で勉強して車検をとるという人が増えている。整備士の資格を通信教育でとることも可能である。
医者は信用できないから、自分で勉強する。医学書や薬の本を熟読し、通信教育で医師の資格をとろう。という方を非難するつもりは毛頭ない。だがちょっと考えて欲しい。大学で6年間医学教育を受け、卒業後も自分の生活の殆どを医療・医学に捧げている医師の知識や職業倫理や見解を、たまたま読んだ雑誌や一般向け医学書からの限定された情報と簡単に比較したり、否定してしまうことが、本当にあなたのためになるかどうかを.....よく考えて頂きたい。

処方3)家庭医を持つ。

結局、個人の医師が信用できないから、大学病院や有名病院の設備といった「入れ物」に頼るわけである。そして、学生の実習相手にされたり、治験の被験者になることを要求されるわけである。無論、医学の発展のために必要なことではあるが。家庭医を作ればそういう不満は、ある程度解消する。
始めていった自転車屋の親父は、気難しそうでおっかないもんである。何度か通うと、彼が人見知りで照れ屋なだけであり、本当はいい腕を持った職人さんであることが理解できるようになる。医者にも同じ事が言えないだろうか?
「医者と弁護士に友達がいれば、この世に恐いものは殆どない」とは良く言ったものである。誰か私と友達になってくれる弁護士さんはいませんか?それでこの世に恐いものは殆どなくなるのだが(^^)

 


このようなホームページを持って、「ごめんなさいと言える医師」というページをアップしていると、色々な誤解を受けるようです。

私は、あのページで「正直な名医になりたいと思うことが許される日がくると信じたい。」と申しました。これは、「今はまだ許されていない」という意味であり、「正直でない医師を告発しよう」などという呼びかけではありません。
このようなことを言うと「また、医者のかばい合いか」と非難されるかも知れませんが、「医師は一種の運命共同体」です。その団結(共同体意識)は、あって当然のものであり、逆に、健全な社会のために「なくてはならないもの」です。集団に属せず、共同体意識を形成できない人間は「病気」であり、犯罪者になってしまうことが多いことはよく知られています。

一般論ですが、このような共同体は、外部からの非難や圧力に抵抗を示します。正当な批判まで無視するようになってしまってはおしまいですが、ある程度のかばい合いは許されて当然ですし、「内部告発」は「ちくり」といって最低の行為とされています。
それ以前に、ミスや犯罪を犯したことのない人、嘘をついたことのない人がいるとは思えません。自分の行為を棚に上げて、他人を批判するようなことは「よほど目に余る」のでなければ、(少なくとも私の)倫理に反しています。

従って、私の所に「あの医者はこんなミスや不正行為をした」とか「私はある医者にこんな酷い目に遭わされた」と言って来られても、ほとんどの場合は「我関せず」になってしまいますからお許しを.....
勿論、一般論としての「医療問題」への批判や提言であれば、勉強にもなりますし、耳を傾けたいと思っています。

 


医療問題に関心があるあなたには以下のホームページを紹介しよう。

 


どうしても医師のことが信用できないというあなたには、以下の書籍を紹介しよう。
真面目な医師も一杯いるのです(^^)

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