アバン


最後の戦いから早6ヶ月
残務処理とかなんだとか、ゆっくりアキトさんと会えないのがちょっと不満かも。

物語の終わりはめでたしめでたしで終わるものですが、私達の場合少し賑やかだったりします。

まぁ、平和になったことだし、バカばっかでも全然問題ないんですけど、そんな環境に浸っちゃうのも問題があるようなないような

ああ、一応このSSってJavaSprictをONにして読んで下さるとより楽しめますので
よろしく



連合宇宙軍本部・ホシノ中佐執務室


「ちわ♪
 おはよう、ルリルリ♪」
「・・・・ユキナさん、ノックもしないでにこやかに入ってこないで下さい・・・」
「まぁまぁ、私とあんたの仲でそんな堅いこと言わないの♪」
「私達の仲って・・・」
にこやかに入ってきたユキナを迷惑そうに見つめるルリ。

「機嫌悪そうね」
「わかってるなら来ないで下さいよ・・・」
ルリはムッとしていう。いつもの彼女からすれば大人げない。

「冷たいわね、ルリルリは〜〜」
「言いたくはないですけど
 ナデシコ艦隊は別命あるまで待機状態、ほとんど地上勤務と変わらずの残務処理。
 従ってアルバイト扱いのユキナさんは一般ピープルも同然」
「ムカ!それが苦楽を共にし、同じ釜の飯を食べた戦友に言う言葉?」
「・・・はじめのきっかけが押し掛けだったからとか、ミナトさんに頼み込まれたから・・・なんて微塵にも思ってません。
 よく頑張って戦っていただいたと感謝してます。」
「なんか棘のある言い方・・・」
「感謝してますけど、どうして宇宙軍の将官のフロアーにパンピーがひょいひょい気軽に友達ん家に遊びに来るがごとく毎日毎日尋ねて来るんですか?
 そりゃ、私だって忙しくなければ目くじらだってたてませんよ・・・」
「だってジュンちゃんとこ、取り込んでるんだもん♪」
ユキナは少し照れながらあっけらかんと答えた。
思わずルリはムッとする。

一番の不機嫌な理由はこれだ。
最後の戦闘から6ヶ月、
未だにルリやユリカは残務処理に忙殺されている。
凱旋パレードやら度重なるインタビューなどあちこちで引っぱりだこなのはまだいい。
一番手柄の彼女達なのだが、戦争が終わるやいなやナデシコ艦隊は待機を命じられ半ば地上勤務扱い。
積み上がるのは事件の報告書の作成やインタビューの申し込みやなにやらでいっぱいなのだ。おちおちアキトの所にも行けやしない。

フラストレーションが貯まっているのにそれを察していないのか、ラブラブ野郎のユキナは毎日ジュンの所に遊びに来るついでに、ルリの部屋を訪れては惚気話をしようとするのである。
これでキレるなという方がどうかしている。

「新妻は辛いですねぇ」
「そう見える?うふふふふ♪
 ・・・って今日はそうじゃないの!」
「今日は?
 じゃ普段は甲斐甲斐しく未来の旦那様の世話焼きですか?」
「・・・今日はやけに突っかかるわね・・・
 そうじゃなくって今日はミナトさんの入院の日でしょ?
 ジュン君にミナトさんを病院まで送ってもらおうと思って。」
「え?
 今日だったんですか?」
「そうなの。昨日言ったでしょ?」
「・・・・」
あまりに毎日来るから話半分に聞いていたとは言えないルリであった。

「でも、別にジュンさんじゃなくったって、ゴートさんがいるでしょ?」
「あの人、舞い上がっちゃって安全運転なんか出来そうにないもん。」
「確かに・・・この前見た時はギャグマンガのデフォルメかと思いました・・・」
ルリは思い出してため息をつく。
あれはマジで危なかった。
ゴル○13がベビーカーやらガラガラをうれしそうに選んでいる図・・・なんてモノを見せられたら誰だって2、3日は夢に見るだろう。

「ルリルリ、あんたはいいよねぇ。
 最近のゴートさんを見たら、また意見が変わると思うよ」
「どんな風にですか?」
「ミナトさんの大きいお腹を見て失敗した福笑いのようニコニコしていたかと思うと、ミナトさんがちょっと動いたら道路に人が飛び出したかのように真っ青になって止めるの。」
「う・・・」
「ミナトさんの代わりに家事をこなしながら不気味に笑うのと、時たま心配になって青くなるのを一日に何十回も見せられたりしたら、滑稽を通り越して胃が痛くなるわよ・・・」
「・・・・ご愁傷様」
ユキナはユキナなりに保護者達のことで苦労しているようだ(笑)

「それはそうと、アキトさんも今日だっけ?」
「ええ、そうですよ。」
そう、今日はアキトのナノマシーンを治療する日だった。
あれから遺跡のプレートのデータを解析してある程度の目処がたったらしい。
とはいえ一度に完治させるのは無理らしく、とりあえずスタンピードの頻度と影響範囲を押さえるのと、味覚を徐々に取り戻していくための手術らしい。

「でも本当に大丈夫なんでしょうねぇ?
 イネスさんなんでしょ?手術の執刀医・・・」
「ええ。イネスさん、張り切ってましたから・・・」

数日前から手術に関してしきりにイネスは力説するように解説してくれていた。
『心配しないで!画期的な手術なの!絶対成功するわよ♪
 なんなら今から手術方法を解説しましょうか?』
と迫られて、私は・・・

『お願いします。教えてください!』と言ってイネスさんの手術方法に誤りがないか密かにチェックしようとしたら独演会に付き合わされてしまった。

『イネスさんを信頼しています。思う存分やっちゃってください!』と言ってそそくさと通信を切ってしまった。

少し遠い目をしているルリに訝しがりながらも、ユキナは話を続ける。
「んじゃ、どうする?あんた達も一緒に行く?
 ジュンちゃんがワゴンを出してくれるから一緒に送っていくわよ?
 ミナトさんにも会いたいでしょ?」
「ん・・・
 ミナトさんには会いたいんですけど、今日はラピスを拾っていかないといけないんですよ。」
「どこ?」
「ヨコハマです。サユリさんがお店出したらしいんですよ。
 なんでかラピスを一番最初のお客さんにしたいらしいんですって。」
「ふ〜ん。ならミナトさんに会ってから迎えに行けば?
 ヨコハマなら歩いてすぐだし」
「そうですね。」
「んじゃ、あの二人を誘いに行きましょ・・・」
「・・・ええ」
ルリとユキナはそれぞれの同行者を誘いに行こうとした。
目的地は一緒。
ユリカの執務室である。



連合宇宙軍本部・テンカワ准将執務室


「ドッカ〜〜ン♪♪♪♪」
「わちゃ、またやられた!!!」
廊下の外まで聞こえる楽しそうなユリカの声と情けないジュンの声。

プシュ〜〜
「ユリカさん、もう終わりました?」
そう言いながら入ってきたのはルリとユキナである。
「うん、ちょうど今終わったよ♪
 今日も大勝利♪♪♪」
「ジュンちゃん・・・・へなちょこね」
「うるさいなぁ、ユキナは!!!」
ガッツポーズするユリカとうなだれるジュン。

二人は何をしていたかというと・・・
戦略シミュレーションである。

先の事変が終わってからユリカとジュンは暇を見ては戦略シミュレーションで勝負をしていたのだ。
結果は見ての通り、ユリカの連戦連勝である。

「なんでジュン君って攻めが弱いかなぁ?」
「ユリカの手が突拍子もなさすぎるんだろ!」
「ジュンさんって教科書通りの戦い方させれば強いんですけどね・・・」
「ルリちゃん、それって誉めてるの?」
「誉めてますよ。」
絶対誉めてない!とジュンは少しルリを睨むが、ルリは涼しいままだった。

「最後に感想戦だけさせてね」
といって検討を始める二人。

『でもなんでユリカさんがこんなにまじめなの?』
ユキナがこっそりルリに耳打ちする。
まじめに仕事をしているユリカが信じられないみたいだ。
『あれですよ。早くナデシコ艦隊をジュンさんに任せて退役したいらしいんです』
『え?』
ルリの答えにユキナは絶句する。

それでか。
早く自分なしでもまともな指揮を執れるようにジュンを鍛えているということなのだ。
昔の癖が抜けないのか、ユリカにかまってもらえるとうれしいジュン。
でもその先には全てのお荷物を押しつけられて幼なじみにトンズラされる男の図が浮かび・・・ユキナは嫉妬する気も失せていた。

「・・・あぁ、あれってそういう意味なのね・・・」
「何がですか?ユキナさん」
「この前、サブロウタさんから、あんたとハーリー君がよくオペレータ用のシミュレーションルームに籠もってるって聞いたんだけど・・・この親にしてこの子ありってことなのね・・・」
「気のせいですよ。気のせい」
ユキナのつぶやきにすっとぼけるルリ。

『ハーリー君もかわいそうに・・・』
とユキナはため息をつく。

先の事変で見事夢幻城の相転移砲に干渉をして見せたハーリー
やっと一人の男性としてアキトと肩を並べて見てもらえると大喜び。
しかも頻繁にシミュレーションで覇を競わせて、手取り足取りルリの技をたたき込まれる毎日。
ハーリーとしたらだんだんルリに近づき、もうすぐ手に届くところまで来ていると思ってしゃにむに頑張っているのだろう。
だが、その努力の末、対等になった途端、ルリが彼に全ての重責を手渡してさっさと別の男の元に行くことになっていると知ったら・・・

ユキナはハーリーが不憫で不憫で仕方なかった。
「・・・ユリカさんとあんた、結構酷いと思うよ」
とのユキナさんの質問に

「はい?何のことですか?」心当たりがないので不思議そうに尋ねなおした。

「私達とアキトさんの幸せのためには些細な犠牲です」と悪びれず言った。

「あんたら二人ともいい性格してるわ」
「・・・ユキナさんほどじゃありません」
ユキナの苦笑にルリはそう切り返した。

待つこと5分、ユリカがジュンの欠点を洗いざらい語り尽くした後、4人はミナトの待つ都内の自宅へ向かった。



Nadesico Second Revenge
Finale "once more Final"前編



都内・ホーリー宅


ゴートの仕事の都合上、ユキナと共に大磯シティーから引っ越してきたミナト達。
なんか本当に二世帯住宅の社宅らしい(笑)

どうも予定日を過ぎても陣痛が来ないらしく、入院することを決めたホーリー夫妻であったが、なぜか一日予定が遅れてしまった。

なぜかというとユキナの危惧通り、家長のゴートがあたふたした挙げ句、安全運転とかいって時速10kmののろのろ運転で大渋滞を起こしてしまったからだ。

「あんたは会社で仕事をしなさい!!!」
とミナトに叱られたゴートはおとなしくネルガル本社に出社した模様である。

で、ジュンが送っていくことになったのだが、その車に便乗していたユリカとルリがミナトを見て開口一番こうのたまわれた。

「まんまるだねぇ〜〜」
「まんまるですね〜〜」
「まぁ、ゴートの子供だしねぇ」
ユリカとルリはミナトのお腹を見ると目を回したのに対し、ミナトはお腹を撫でながらニコニコして言う。

ゴートの顔をしたでっかい赤ちゃん・・・

「いや、その冗談笑えないっすけど・・・」
ユキナはちょっとよからぬ想像をしてしまい、ぞっとした。

「う〜〜
 いいなぁ。あたしも欲しいなぁ、アキトの赤ちゃん・・・」
「なんか子供が子供を育てるみたいで怖いよね」
「そうですね・・・」
「二人とも失礼!プンプン!!」
物欲しそうな発言をすぐさまユキナとルリから突っ込まれるユリカ。

「まぁ、子供がお腹の中で育つのはこの上ない楽しみだけど、相応のつらさもあるのよ。あまり興味本位に欲しいとか思わない方がいいよ。
 肩こるし、つわりは酷かったし、結構散々よ。
 だからユキナも避妊だけはするんだよ」
「バ・・・!!!」
「な、何言ってるんですか、ミナトさん!!!」
ユキナと、荷物を運び込もうとしていたジュンが真っ赤になって慌てた。

「なになに、あんた達まだしてないの?」
「してないっていうか・・・まだキスしかしてくんないし・・・」
「ジュン君・・・奥手?」
「たまに私って女の魅力がないんじゃないかと自信を失うことがあるのよねぇ・・・」
「バカ言ってないで乗った乗った!!!」
このままいくとどこまでも自分のネタで遊ばれそうなので早く車の中にみんなを押し込めようとするジュンであった。

「・・・・・・」
「どうしたんですか?ユリカさん」
ユリカはジッと自分のお腹をさすりながら考え事をしている。
「ん・・・・私が子供を身ごもるってそんなにおかしい?」
「少女の私に何を聞くんですか!(赤)」
ミナトに触発されたユリカの気持ちもわからないではないが・・・

『ユリカさんの場合、まず子供を作る行為をちゃんと出来るのか・・・
 そこのところからまず想像できないんですけど・・・』

ルリは溜息をつく。
たとえあの日に新婚旅行に行けていたからといって、まともに初夜を迎えられていたとはとうてい思えない。
そしてその結果としてぷっくりとお腹の膨れたユリカなんて・・・

それはそれでお母さんって感じで微笑ましいかも

なんかそれも許せません!

とか思いつつ、
赤ちゃんか・・・・
自分もあんな風に子供を身ごもることがあるのだろうか?

想像もつきませんね

私の方がユリカさんよりも似合うかも

ユリカさんと一緒にマタニティーを着ている自分・・・しかも同じ父親(爆)

「どうしたの、ルリちゃん?
 ジュン君達、出発しちゃうよ?」
「え?は、はい!!!(赤)」
ちょっと妄想をしている内に、ミナト達の準備は済んだようだ。

「頑張って元気な赤ちゃん生んで下さいね♪」
「後でお見舞いに行きますから」
「うん、ありがと♪」
そう言ってユリカとルリが手を振るとミナトを乗せたワゴンは病院へ向かって発進していった・・・



ヨコハマ・食堂「一期一会」


「「「「おめでとう♪」」」」

パン!パン!パン!

クラッカーが鳴り響く中、サユリがテレながらみんなの祝福を受けていた。
「あ、ありがとう、みんな・・・」
「うらやましいわよ、このぉ♪」
親友であるホウメイガールズ達が盛んに囃し立てる。

ここ「一期一会」はサユリがオーナーシェフを務める食堂だった。

大きさ的にはそんなに大きくない。
ホウメイの「日々平穏」の近くに空き店舗が出来たというので、口利きをしてもらって店を構えさせてもらったのだ。
資金もナデシコ時代の貯金ぐらいしかないが、銀行の担当者がアイドル時代のサユリのファンらしく特別に都合を付けてくれたらしい。

まぁ借金の方が多くて内装とかあまり凝れなかったのだが、ホウメイガールズ達や昔のナデシコの仲間が色々なモノを持ち込んでコーディネートしてくれた。
持つべきものは仲間である。

「そう言えばウリバタケさんの合体変形するシステムキッチンは?」
「・・・外しました」
「イズミさんのくれた妖しい仮面は?」
「・・・それも客席からは見えないところに飾るようにしました」
「まともなお店になって良かったね♪」
「・・・本当に」
とエリ達の言葉に涙を流してうなずくサユリ。
・・・まぁ苦労も多少あったようだ(笑)

「・・・・お腹減った」
「あ、ラピスちゃんごめんなさい。
 今すぐ作るから〜〜」
今日の主賓はずいぶん待たされてちょっぴり不機嫌のようだ。

そう、今日の主賓はサユリではなく、ラピス・ラズリ嬢であった。
サユリのわがままで、新装オープンの最初の一皿はラピスに食して欲しかったのだ。

この件は前々からサユリがアキトを通じてお願いしていたのだ。



数日前、ユーチャリス


『アキトさんの入院の日で忙しいってわかってるんですけど、どうしてもラピスちゃんに食べて欲しいんです』
「イヤ!アキトの入院の準備で忙しい」
『でもラピスちゃんは私に料理が何かを気づかせてくれた大切な人だから、あの時ラピスちゃんに気に入ってもらえなかったチャーハンから始めたいの!』
コミュニケ越しにアキトとラピスへ必死にお願いするサユリ。

その気持ちがアキトに通じたのか・・・

「・・・ラピス、行ってお上げ」
アキトは優しい笑顔でラピスを諭す。
「でもアキト・・・」
「手術って言っても午後からだし、それまではどうせやることがないんだ。
 行っておいで」
「ん・・・わかった」
そこまで言われると、従うラピスであった。



再び、食堂「一期一会」


「はい、ラピスちゃん。
 当食堂の記念すべき一皿目、チャーハンです」

コトン・・・
ラピスのテーブルにチャーハンの皿が置かれた。
少しアキト風のチャーハンみたいでラピスは興味を引かれた。
レンゲで一口食べてみる。

モグモグ

「・・・・もうちょっと塩気が欲しい・・・かな?」
「そっか、ラピスちゃんだいぶ塩辛いのに慣れたのね?
 んじゃ、もう少し味がはっきりした方がいいよね」
といって奥に戻ってもう一度作り直してくるサユリ。

「・・・これでも美味しいのに」
言ってしまったことに少し後悔したのか、それとも手間をかけさせたことに恐縮するラピス。
だが、そんなラピスをエリ達は優しく諭す。
ジュンコ「気にする必要はないよ、ラピスちゃん」
ハルミ「そうそう、料理を作る人は食べた人が喜んでくれることが一番の幸せなんだから」
ミカコ「でも、サユリちゃん、すっかりシェフみたいです〜」
エリ「やっぱり芸能界に戻っておいで・・・って言っても無理みたいね」
「「「「ふぅ・・・・」」」」
といつの間にか遠くに行ってしまった友人の思って溜息をつくホウメイガールズ達。

ミカコ「・・・寂しいよ〜〜」
エリ「・・・そうだ!いっそのこと芸能界止めて私達もこの食堂で働く?」
ジュンコ「ちょ、ちょっと!」
ミカコ「名案です♪」
ハルミ「め、迷惑だよ。今のサユリちゃんに4人も雇うだけの余裕はないよ〜」
ジュンコ「って、問題はそっちじゃなくって!」
エリ「大丈夫!これだけ可愛いウエイトレスがいるならあっと言う間にお店大きくなるって♪」
ジュンコ「だから問題はいきなり芸能界を止めちゃうってことで・・・」

ハグハグ
大人達が言い争いしている間もラピスは美味しいからなのか、チャーハンを貪る。
と、そこにサユリが作り直したチャーハンを持って現れた。

「ああ、食べちゃったの?
 せっかく作り直してきたのに・・・」
「それも食べるからちょうだい」
「・・・ラピスちゃんって結構大食漢なのね(汗)」
「うん、ルリ姉にいっぱい食べると大きくなれるって聞いたから」
既に二杯目に迫る勢いのラピスに冷汗を流すサユリ。
本当に大きくなれるかルリを見てると怪しいものだが・・・

と、騒がしい喧噪が一段落したみたいだ。
「「「「サユリちゃん」」」」
「は、はい!?」
いきなりホウメイガールズ4人に声をかけられて驚くサユリ。

「お願いがあるんだけど・・・」
「な、なに?」
「「「「私達を店員として雇って下さい♪♪♪」」」」
「はい???」

ガラガラ・・・

「ちわ♪サユリちゃん」
「こんにちわ、サユリさん」
そう言ってお店に入ってきたのはラピスを連れに来たユリカとルリ。
だが、そこで二人が見たものは、雇ってと詰め寄られているサユリの姿であった(笑)



しばし後、食堂「一期一会」


「でも、ホウメイガールズさん達が引退しちゃったら芸能界も大騒ぎでしょうね」
「そうでもないですよ。ぽっとでのアイドルですから、すぐに忘れられますよ」
ルリの言葉に苦笑するサユリ。
ルリ達は早めのお昼を食べてから病院に行くことになったようだ。

「そうそう、今引退したってどうせ私達見向きもされませんよ♪」
「そんなことないでしょ、エリさん」
エリの話に目を丸くするルリ。でも、エリはそれがさも当たり前とばかりの顔をしていた。
「え?ルリちゃん達知らないんですか?」
「何がですか?」
「私達よりネームバリューの高い人の方が引退とかなんとかの騒ぎになってるから、どうせ私達の記事ってベタ扱いなんですよ。」
「誰ですか、その人?まさか・・・」
ルリは少しイヤな予感がした。
「本当に知らないの?今もワイドショーでやってるはずですよ。」
と言ってエリはテレビのスイッチを入れる。

プチ!

『メグミ・レイナード引退会見!』
「やっぱりぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!」
デカデカと表示されるテロップを見た瞬間、ルリは頭を抱え込んだ。

番組ではたくさんのフラッシュをたかれながら、メグミがインタビューを受けていた。
『メグミさん、突然の引退の理由は何ですか?』
『個人的な理由です♪』
『週刊誌では新恋人が出来たからだって噂ですが!』
『恋人と言うよりも・・・好きな人が出来たためです♪』
『仕事と恋愛は両立できると思うのですが・・・』
『後悔しないためです♪』
『一部ではナデシコ艦隊に乗っていた頃に知り合った男性と深いお付き合いがあったという情報があるのですが』
『ご想像にお任せします♪』

プチン

ルリは頭が痛くなってテレビのスイッチを切った。
たぶんあのまま見続ければ・・・
『アキトさんの専属ナースになるためです♪』とか言い出しそうな気がしたからだ。
そんなメグミをルリは・・・

『全力を持って排除します!!!』と決意するのであった。

『仕方ないですねぇ』と、芸能界までやめてアキトに尽くそうとするメグミを少し羨ましくも思った。

とまぁ、そんなことで脱力しているルリをよそにユリカは何かを思いついたようだ。
「そうだ♪
 アキトの手術が終わったらすぐに何か食べられるようにお弁当を持っていきましょう♪
 サユリさん、厨房貸してくれます?」
「え?」

全員その場で凍り付く。

サユリ「あの・・・提督。ひょっとして提督が作る・・・つもりですか?」
ユリカ「ひょっとしなくてもそのつもりですけど?」
さらりととんでもないことを言ってのけるユリカ。

エリ「・・・アキトさんの味覚チェックでもするつもり?」
ジュンコ「なんか今日だけはアキトさんの手術が失敗した方がいいと祈るのは不謹慎ですか?」
ハルミ「そんなにユリカさんの料理・・・ずいんですか?」
ミカコ「ええ、食べたことないんですか?ハルミちゃん!!」
ラピス「一家心中はもうこりごり」

サユリさんに必死に交渉するユリカさんに私は・・・

「まぁまぁ開店祝いということでサユリさんに作ってもらいましょう♪」と誤魔化そうとした。

「アキトさんもユリカさんの手作り弁当を食べたいと思ってますよ」とけしかけてしまった。

「私が作った方がおいしいです!」とユリカを押しのけてお弁当を作ってしまった。

「ラピスが作った方がおいしいですよ」とラピスの好印象を得ようとした。

結局、お弁当箱一つをぶら下げてアキトさんの病院へ向かうことにしました(汗)



ネルガル本社・会長室


「おや、エリナ君。半休じゃなかったのかい?」
「誰のおかげで帰れないと思っているの!!!」
忙しく働いているエリナを見てアカツキは冷やかした。

「ほらほら、ラピスも連れて行かないといけないんじゃない?」
「ご心配なく。提督達が途中から連れて行ってくれる手はずになってるから」
そうは言っても、エリナは何かを忘れるように働いているみたいだ。
アカツキはため息をついてもう少し茶化してみる。

「でもでもテンカワ君の手術まで間に合わないよ〜〜
 急いで急いで♪」
「そう思うならあんたも手伝いなさいよ!!
 それでなくったって今期の決算が厳しいんだから!!!」
エリナは頭を痛める。

結局、夢幻城が誰のものでもなくなって以来、ボソンジャンプの利権もないに等しくなってしまった。
今はまだ、統合軍と宇宙軍が遠巻きに夢幻城を囲んで互いを牽制しあっているが、そのうち飽きてやめるだろう。
それよりもボソンジャンプの適応範囲が徐々に示され始めてきたことに関してどう事業化するかが目下の各企業の頭の痛いところだ。

夢幻城が示したジャンプポイントは、いわば空港を建設するような感じであり、その場所の誘致もA級ジャンパーを通じて取り決めすることになっている。
たとえ、空港みたいなものを作るにしてもそれを利用するA級ジャンパーの絶対数が少ないのでは使えないに等しい。

ぼちぼちA級ジャンパーのライセンスを夢幻城からもらえる人類が現れていなくもないが、一般に普及するには時間がかかるだろう。
ということでボソンジャンプを使用しようとするなら、当面はヒサゴプランのようなものにならざるを得ないのだ。B級ジャンパーはチューリップとの組み合わせなら夢幻城から許可されるらしい。B級ジャンパーのライセンスはA級ジャンパーのそれよりハードルが低いらしい。

「いいから、テンカワ君のところに行っておあげ。」
「でも・・・」
「それとも提督やルリ君に遠慮してるのかい?」
「!!!」
「ダメだよ、ちゃんとテンカワ君をキープしておかないと。
 ウチの社運がかかってるんだから」
「あ、あんたねぇ〜〜」
「あ、でも提督とかに嫌われない程度にしといてね。
 今じゃ彼女は遺跡とお話しできる貴重な人材だから♪」
アカツキの顔は半分マジだった。

夢幻城の管理者であるらしきテンカワ・ミスマル・ユリカは究極呪文「ボソンジャンプを使えなくしちゃってください」を唱えることが出来る。また彼女からバックされる遺跡の知識も無視できない。
このために各方面からの危惧にさらされつつも宇宙軍とネルガルに一定以上の政治パワーを与えている。
だからネルガルはせっせとテンカワ夫妻に援助を続けているのだ。
これからボソンジャンプ時代を迎えようとするこのご時世にユリカ達と袂を分かつにはどう考えても得策ではない。まだネルガルは他の企業に比べてリードしている方だ。

とはいえ、エリナにとっては相反する事項だ。

「・・・どうしろって言うのよ、私に!!!」
「ん・・・とりあえずテンカワ君にお腹の子を認知してもらえば?」
「子供なんか出来てません!!!!(真っ赤)」
「出来るようなこと、してたんだ♪」
「あんたにゃ関係ないだろうが!!!!!」

スパコーン!!!

持ってたバインダーでアカツキの頭を叩くエリナ

「頭きた!ご希望通り、病院に行ってやるわよ!!!」
「エリナ君・・・」
「何よ!」
「契約書、持っていってくれない?」
「何の?」
「CM出演の♪」
「はぁ?」
アカツキはポスターを広げる。

『ネルガルジャンパー教習所』
とかかれたそのポスターには中央にユリカの微笑んでいる姿が描かれている。
んでキャッチコピーが
『私はココでA級じゃんぱーになりました♪』
とある(爆)

「・・・・・・・・・」
「どう?なかなかいいだろう♪
 これで業界トップの座に・・・」
「あんた、死ぬまで商売人だわ・・・」
エリナは開いた口が塞がらず、そのまま無言で部屋を出て行こうとした。

「そうそう、エリナ君」
「何よ!まだ何かあるの!」
「ん・・・ラピスを提督達に奪われないように頑張るんだよ♪」

ウインクするアカツキ。
それは『ラピスはアキト君やルリちゃん達と一緒に暮らした方がいい』と思いながらも、自分の子供を養子に出す母親の辛さに耐えているエリナを励ますものであった。

「・・・契約、ちゃんととってくるわよ」
エリナはアカツキの気遣いにうれしく思いながらも、病院に向かうのであった。



アキトの病院


「クチュン!」
「ユリカさん・・・風邪ですか?」
「ううん、たぶん私のこと可愛いっていう噂だよ♪」
とグシグシ鼻をかむユリカさんを見て私は・・・

「そうですね♪」無邪気にそう信じ込んでいた。

「たぶんそうじゃないと思うんですけど・・・」エリナさんらしいオーラを背中に感じた。

と、はしゃいでいるところに

「おい、お前達何を騒いでるんだ。」
「アキト♪」
アキトが現れた。黒い服に黒いバイザーは相変わらずだが(笑)

「気分とかどうですか?」
「ん、特に何ともないよ」
「いいんですか?もうすぐ手術なんでしょ?
 そんなに出歩いちゃって・・・」
「手術っていっても体そのものは正常なんだし、病室に籠もってたら体がなまるよ。」
ルリの心配する質問にアキトはぶっきらぼうに答える。
笑おうと努力しているところが微笑ましい。

「ねぇねぇ、アキト♪
 私達お弁当作ってきたの♪
 手術が終わったら食べてね♪」
「ラピスも手伝った・・・・」
「ああ、わかったよ。」

『いいのか?それを食べても・・・』
という気もしないではないが、アキトはユリカとラピスの心遣いをうれしく思い、頷いた。

「お〜い、アキト君、そろそろ戻っておいで」
遠くからイネスさんが声をかける。

「じゃ、また後でな」
アキトさんは私達三人の頭を撫でるとイネスの方に歩いていった。
「イネスさん、アキトのことお願いしますね!」
「ああ、任しておきなさい♪」
イネスは自信満々に手を振りながら、アキトを連れて行った。



ファイナルアンサー♪


ってことで、各所のチェックポイントを選んで頂きましたか?

下のボタンを押していただきますと今までの選択肢の結果によってストーリーが分岐します。選択肢によっては黒プリにジャンクションするお話に変わったりします(笑)
まぁ、何を選択すればそうなるかは・・・たぶんわかるでしょう。

でも今までの選択肢から見れば変な選択をしない限り通常のエンドになる気がするのですけど・・・

ああ、もし選択するのが面倒くさいという方はブラウザのJavaSprictをカットしてください。直リンが表示されます(笑)
また「セキュリティーの関係上、Java SprictはOFFしているぞ!」という方、
そもそも「オラのブラウザーはJava Sprictなんぞに対応しておらんぞ!」という方も同様に直リンを選んでください。

・・・でも一度は遊んで頂いて法則なんぞを楽しんで頂けるとうれしいな(汗)