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Debian GNU/Linux 2.1 のインストール (Intel x86) - 6 章
インストーラのブート


前章ではブートシステムを選択しました。 Rescue Floppy、CD-ROM、 あるいは既存のオペレーティングシステムから ブートされていることでしょう。 この章では、ブート方法を制御する方法のいくつかと、ブート時に起こりうる 共通の問題、そして、それらの問題への対処法か、 少なくとも問題の診断に役立つ方法を説明します。

Control-Alt-Delete では正確にリセットをできない マシンがあることには注意してください。そのため「ハード」リブートを お勧めします。もし既存のオペレーティングシステム (例えば DOS) からインストールされている場合はどちらでも構いませんが、 それ以外の方法下でのブートの際には、ハードブートをしてください。


6.1 ブートパラメータの引数

ブートパラメータは、周辺機器の正確な制御を保証するために、 一般的に用いられる Linux カーネルのパラメータです。 カーネルはたいてい周辺機器の情報を自動的に検出します。しかし、 場合によってカーネルには少々の補助が必要です。

Rescue Floppy もしくは CD-ROM からブートしているなら、 boot: というブートプロンプトが表示されるでしょう。 Rescue Floppy のブートパラメータの使用法に関する詳細は、 Rescue Floppy によるブート, Section 6.2 にあります。 既存のオペレーティングシステムからブートしているなら、 ブートパラメータの設定には他の手段を用いる必要があるでしょう。 例えば install.bat ファイルを、 なんらかのテキストエディタで編集することができます。 ブートパラメータに関する完全な情報は、 Linux ブートプロンプト HOWTO にあります。この節では最も重要なパラメータの概略のみを扱います。

このシステムを初めてブートする場合は、デフォルトのブートパラメーター を試して (つまり、パラメーターになにも引数を設定しないで)、 正確に動作するかどうかを確認してください。 おそらくそれで問題はないでしょう。もしなにか問題があったら、 あとでリブートし、お使いのハードウェアに関する情報をシステムに 伝えるために必要になる、特別なパラメータを調べてください。

カーネルがブートする際そのプロセスの最初のほうで、 Memory: availablek/totalk available というメッセージが表示されるでしょう。 total は利用可能な全メモリー量をキロバイト単位で表しています。 もしこれが、実際に搭載している RAM の量と一致しなかったならば、 mem=ram というパラメータが必要でしょう。 ram のところには、実際に搭載しているメモリー量を、 キロバイト単位なら ``k''、メガバイト単位なら ``m'' を付加して当てはめます。 例えば mem=8192kmem=8m も 8MB の RAM を意味します。

なお、2.0 シリーズのカーネルは、利用できるメモリが 960MB に制限されています。 もしお使いになるマシンがこれ以上の RAM を搭載しているならば、 mem=960m というブートパラメータを追加する必要があります。

システムによっては ``inverted DCLs'' つきのフロッピードライブを装備したものがあります。 フロッピーディスク自体には問題がないにも関わらず、 その読み込み中にエラーが出たときには、 floppy=thinkpad というパラメータを試してください。

IBM PS/1 や (ST-506 ディスクドライバを装備した) ValuePoint など、 システムによっては、IDE ドライブが正確に認識されないかもしれません。 もう一度、最初にパラメータなしでカーネルをブートし、IDE ドライブが 正確に認識されるかどうか確認してください。 もし認識できなかったならば、お使いのドライブの geometry (cylinders、heads、および sectors) を調べて、 hd=cylinders,heads,sectors というパラメータを使ってみてください。

繰り返しますが、ブートパラメータに関する完全な情報は、 Linux ブートプロンプト HOWTO にあります。こちらにはマイナーなハードウェアに関する情報もあります。 また雑多な共通事項に関しては、ブートプロセスに関するトラブルシューティング, Section 6.6 にて説明します。


6.2 Rescue Floppy によるブート

Rescue Floppy によるブートは簡単です。第 1 フロッピードライブに Rescue Floppy を挿入して、リセット ボタンを押すか、 システムの電源を入れ直すことで、システムをリセットしてださい。 なお、すでに述べた通り「ハードリブート」をお勧めします。 フロッピーディスクへのアクセスが始まると、Rescue Floppy を紹介する画面が 表示され、最期に boot: というプロンプトが表示されます。

システムをブートするのに他の方法を用いている場合は、その説明にしたがって、 boot: プロンプトが表示されるまで待ってください。 お使いになるシステムのメモリが 5MB より少ない 場合は、少ないメモリのシステム向けに用意されたブートディスクからブートする 必要があります。( 以下の メモリーの少ないシステムでのインストール, Section 5.7 をご覧ください。) 1.4MB フロッピーより小さなフロッピーからブートする場合、 ブート方法として RAM ディスクを使わなければならず、 またルートディスクも必要になるでしょう。

boot: プロンプトでは二つのことが可能です。 ファンクションキーの F1 から F10 キーを押すことで、 有益な情報を提供するページを見たり、システムをブートすることができます。

有用であろうブートパラメータに関する情報は、F4F5 キー を押すことでご覧になることができます。 ブートコマンドラインに何かパラメータを付け加える場合は、最初のパラメータの 前に、必ずブート方法 (デフォルトは linux です) と空白を一つ 入力してください。(例えば linux floppy=thinkpad とします。) 単に Enter を押せば、特別なパラメータなしで linux と入力するのと同じです。

このディスクは Rescue Floppy と名付けられていますが、 それはハードディスクがブートできなくなるような問題が発生した場合に、 システムをブートし不具合を修正するのに、 このディスクを用いることができるからです。 それゆえ、システムをインストールした後も、 このフロッピーはとっておくべきでしょう。 F3 キーを押せば、Rescue Floppy の使用法に関するより詳しい情報を ご覧になれます。

一旦 Enter を押すと、Loading... そして Uncompressing Linux... というメッセージが表示され、 そのあと、おそらく画面いっぱいにお使いになるシステムのハードウェアに関する 情報が表示されるでしょう。 このブートプロセスの段階に関するより詳しい情報については以下で説明します。

もし (``ramdisk'' や ``floppy'' など) 標準的ではないブート方法を選択された 場合は、Root Floppy を挿入するように指示されるかもしません。 その際は、Root Floppy を第 1 ディスクドライブに挿入して Enter を押してください。 (floppy1 を選んだ場合は、Root Floppy を 第 2 ディスクドライブに 挿入してください。)


6.3 メモリの少ないシステムでのブート

お使いになるシステムが搭載している RAM が 5MB より少ない場合は、メモリーの少ないシステムでのインストール, Section 5.7 の説明にしたがって、 メモリ消費量の少ないブートフロッピーからブートを行なわなければなりません。 インストーラは、通常のインストールに十分なメモリがないことを検出し、 メモリの少ないシステム向けに特別なインストール作業を 行なうかどうかを尋ねてきます。

以下の順序でメニューを選択していってください。


6.4 CD-ROM からのブート

CD-ROM からのブートは、単に CD-ROM をドライブに挿入して ブートするだけという簡単なものです。 システムがブートすると、boot: というプロンプトが表示されます。 ここで、ブートパラメータを入力したり、 カーネルイメージを選択することができます。


6.5 カーネルのスタートアップメッセージの解説

一連のブート作業が行われている間、 「〜が見つかりません can't find something」や、 「〜がありません something not present」、 「〜は初期化できません can't initialize something」、あるいは 「このリリースのドライバは、〜に依存しています this driver release depends on something」 といったたくさんのメッセージが表示されるかもしれません。 これらのメッセージのほとんどは、気にする必要のないものです。 というのも、これらのメッセージは、 インストーラのカーネルがさまざまな周辺機器に幅広く対応するように 構築されているために、表示されるものだからです。 明らかに、可能な限りあらゆる周辺機器を装備したようなコンピュータは 存在しません。そのためオペレーティングシステムは、 実際には搭載されていない周辺機器を探そうとしていくらか文句を言っているのです。 また、システムが短時間停止しているかに見えることもあるかもしれません。 このことは、実際にシステムに搭載されていないデバイスからの反応を、 カーネルが待っていることから起きることです。 もし、システムのブートに我慢できないほど時間がかかる場合は、 独自のカーネルを構築してください。(新しいカーネルのコンパイル, Section 8.4 をご覧ください。)


6.6 ブートプロセスに関するトラブルシューティング

もし何か問題があって、ブートプロセスの最中にカーネルがハングしたり、 実際に搭載してある周辺機器やドライブが正確に認識されなかった場合は、 まず最初に、ブートパラメータの引数, Section 6.1 の説明の通りにブートパラメーターを 確認してください。

またこのような問題は、増設したカードや周辺機器を取り外すことで 解決できることもよくあります。こちらも試してみて、 もう一度ブートしてみてください。 内蔵モデムや、サウンドカード、 プラグアンドプレイデバイスなどは特に問題となりがちです。

現行のブートカーネルには、Adaptec AHA-2940 のような AIC7xxx ベースの SCSI カードに関する既知の問題があります。 場合によっては、aic7xxx=no_probe というブートパラメータを 追加することによってこの問題を回避できることもあります。 おそらく、この問題はもうすぐ修正されるでしょう。 この問題を解決するために、 新しいカーネルの診断やテストを手伝っていただける方は、 debian-testing@lists.debian.org 宛てに電子メールを送ってください。

東芝のテクラシリーズやその他のノートブック、 またポータブル機以外のいくつかにも、A20 ゲートのスイッチを入れる際、 キャッシュのフラッシュに失敗するという問題を抱えたものがあります。 この問題は bzImage カーネルでは発生しますが、zImage カーネルでは発生しません。 この問題に苦しんでいるときには、おそらくブートの最中に A20 gating failed というメッセージが表示されています。 この場合には、``tecra'' ブートイメージを用いる必要があるでしょう。 この問題にぶつかったときは、ブート中に A20 gating failed というメッセージが表示されていないか確認してみてください。 こちらが表示されていた場合には、 'tecra' ブートイメージを使う必要があるでしょう。 このブートイメージに関しては システムファイルインストールの解説, Section 5.2 をご覧ください。

ルートファイルシステム (RAM ディスクイメージ) をメモリにロードする際に、out of memory といったようなエラーが表示された場合は、 メモリーの少ないシステムでのインストール, Section 5.7 の説明にしたがって、 メモリ消費量の少ないブートフロッピーからブートを行なう必要があります。 お使いになるメモリの少ないシステムのブートを開始したら、 メモリの少ないシステムでのブート, Section 6.3 にて概説されている各作業を行なってください。

お持ちのマシンが非常に古く、 Checking 'hlt' instruction... と表示したあとにカーネルがハングしてしまう場合は、 このチェックを無効にするために、no-hlt というブートパラメータを試す必要があるでしょう。

もしまだ何か問題がある場合は、バグレポートを提出してみてください。 これは、submit@bugs.debian.org 宛に電子メールで送ってください。 なお、その電子メールの先頭行には必ず以下の記述を付け加えてください。

     Package: boot-floppies
     Version: version

version のところに、お使いの boot-floppies パッケージのバージョンを必ず書き添えてください。 もしそのバージョンがご不明の場合は、そのフロッピーをダウンロード した日付を、どのセクション ( ``stable'' や ``frozen'' など) からダウンロードしたかを添えて、書いてください。

バグレポートには以下のような情報を添えてください。

     architecture: i386
     model:        お使いになっているハードウェアのモデル名
     memory:       RAM の量
     scsi:         もしあれば、SCSI ホストアダプタの名前
     cd-rom:       CD-ROM のモデル名とインターフェースの種類 (例えば ATAPI)
     network card: もしあれば、ネットワークインターフェースカードの名前
     pcmcia:       PCMCIA デバイスの詳細

問題の性質にもよりますが、インストール先のディスクが IDE ディスクなのか SCSI ディスクなのか、また、オーディオのような他の周辺機器、ディスク容量、 ビデオカードのモデル名などの情報を書き添えることも有益でしょう。

バグレポートの際には、カーネルがハングした際最後に表示される カーネルメッセージを添えて、何が問題なのかを説明してください。 また、問題が起きるまでにシステムに対して行ったことも記述してください


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Debian GNU/Linux 2.1 のインストール (Intel x86)
version 2.1.11 (ja), 14 July, 1999
Bruce Perens
Sven Rudolph
Igor Grobman
James Treacy
Adam Di Carlo