2日目

昨日の就寝が遅かったので、午前中は爆睡するぞ〜!と心を決めていたのにも関わらず、朝の6時くらいから「グッドモーニーング!」の声。
.....どうやら、隣の部屋は「おことわり」の札をドアにかけ忘れていたらしい。ホテルのメイドさんも、律儀に全部の部屋を聞いてまわるもんだから、結構うるさい。
イエローナイフはとても寒い地域にあるので、暖房に維持費がかかるため、高級ホテルといっても内装やら壁はお粗末なのです。おかげで、エレベーターの音やら、朝に出発する人の荷物を運ぶ音など、すんごくうるさい。というわけで、ようやく静かになったのが11時くらい。寒かったし、寝た気がしない〜.....。

それでも12時すぎにノロノロと起き出します。祈るような気持ちでカーテンを開けて、さぁ今日の天気はどうだ!と勝負をかけたのだが.....。

曇天かよ(大泣)。

こっちの気持ちも一気に曇天。
とにかく昨日の残りのパンなどで簡単に朝ごはんを食べながら今日の予定についてふみふみと相談します。
オーロラ観賞ツアーは一度だけ時間延長というものができ、しかも今日は「ポカポカオーロラチェア」というのを予約していたのです。これは、文字通り椅子の中にポカポカの暖房が入っていて、寒い屋外でも快適にオーロラが観賞できる!というものなんですが.....。こんな曇天じゃあ、意味がない。とにかくこのチェアを明日に変更できないか、ツアーデスクに確認してみることにしました。その前に部屋に追加の毛布を持ってきてもらいます。寒くて眠れないのはしんどすぎる。

さて、用意ができてからツアーデスクに行ったのですが、チェアの変更はできない、という返事。次の日の予約がすでにいっぱいなのだという。ここでわたしとふみふみの意見が分かれました。
わたしはさっさと考え方を切り替えるタイプなので
「こんな曇天では、ポカポカチェアの意味がない。あの、森の中の施設もなんだか気に入らない。予約していた料金は捨てることになるけど、犬ぞりで行くオーロラツアーの方が、たとえ見えなくともソリに乗るという楽しみがあるので、絶対そっちのほうがいい」
という意見。
ふみふみは慎重派の人なので
「むげにキャンセルはもったいない。犬ぞりで行っても、オーロラが見えるとは限らない。昨日の施設は気に入らないけど、頑張って延長すればオーロラが見える機会も広がるのでは?」
という意見。
ツアーデスクの前で二人でうーん、と考え込んでしまい、いったん廊下へ出ます。しばらく意見を交わしましたが、
「.....今日って、きっとこのまま曇りだよね。(天気予報が曇りだったし).....ポカポカチェアに座って何見るの?」
のわたしの何気ない一言で、思わず想像。暖かいチェアに座って曇天を見上げるわたしたち。
「.....犬ぞりにしようよ」「やぱし?」
だって、想像したら、悲しくなっちゃったんだもん。ところが、この判断が後に大正解だったことが分かります。

さて、夜の予定が決まったあとは街を探索です。もともと小さな町なので、特に見るところもない。
ビジターセンターに行ったあと、モールにも行って見ましたが、普通の田舎町という感じです。
着込んでいたので寒くはなかったのですが、マイナス20度の気温の中を長い時間歩いていたら、知らぬ間にかなり体力を消耗していたようです。
モールに入った時点で、わたしはおなかの調子は悪くはなるわ、めまいと起こすわ、具合が悪くなってダウン。トイレに行った後、ちょっとお買い物をした時点で動けなくなってしまいました。あわてて血糖値を上げるために何か食べようと思ったのですが、こういうときに限ってファーストフードの店がない。ようやく見つけたジュース屋さんで、オリジナルだというりんごジュースをGET。これはうまかった〜!
ちょっと元気が出てきたので、アイスワインを買うために酒屋へ。アイスワインとは、凍るまでほおておいたぶどうを使って作るワインで、世界で3カ国しか作れないのだそうです。とても甘いのだとか。ようやく見つけたワインは、ちょっとしか入っていない(500mlくらいかなぁ)のに、結構高い〜。でも、おいしいのを飲んで見たかったのでGET。アイスワインはお土産用の小瓶も売ってます。

買い物も終ったので、ホテルに帰ることに。ファーストフードで夕飯済ませようかと思っていたのですが、わたしのあまりの憔悴ぶり(何を食べても、水を飲んでも下してしまう)に見かねたふみふみが、「きちんとした食事をしよう!」と提案。実際、体力の限界だったと思います。
ホテルに日本食のレストランがあったのでそこで夕食をとり、ちょっと横になってうとうとしたら、ずいぶん体調が良くなりました。やはり、過労だったようです。

さて、休んだ元気になった後は犬ぞりツアーに出発です。夜の犬ぞりはさすがに寒いだろう、ということで、ここでフェイスマスク登場!いや〜良かった、これ役にたって。まず、犬舎に連れていかれます。ここにはレースに出る犬を200匹くらい飼っているのですが、みんな小屋が外にあるんだよ〜。寒いよ〜。そりを引く犬はハスキー犬と足が速い犬(名前忘れました)の混血なんだそうで、細身なのに目が青かったりします。.....結構不気味です。可愛くはないです。でも、こいつらは走るのが本当に好きみたいで、「そりを引きたい!引きたい!」とものすごく盛り上がっています。働きもんだなぁ。
そりはカヌー見たいな形をしていて、背が高い人が一番後ろに座り、その足の間に次々と人が座っていきます。結構、みっしり人が入ります。一番前がふみふみで、次がわたし。みんな乗り込むと、そりの後ろにマッシャーさんが乗って出発!すげ〜、犬がそりを引いてる!結構重いと思うんですが、20匹でがっしがっし走ります。速いです!と、出発してすぐ、スノーモービルに激突(^^;。そりの側面は布切れなので、結構痛いよ〜。でも怪我はしなかったので、そのまま続行。湖を3つ越え、森の中を疾走します。坂も一生懸命上ります。そりはジャンプしまくるし、スリリングでおもしろいです。そして、超絶寒いです!それまでは寒さなど結構気にしていなかったのですが、これは寒かった!顔が〜!!!!!
犬ぞりだけでもかなり楽しめました。いや、まったく期待していなかったので、これは予想外におもしろかったです。

湖畔にある小屋についてから、少し暖まりながら自己紹介などして過ごします。今回は6人だけのツアーで、これもいい感じでした。私たちのほかに2組で、四国から来たという女性二人に、九州からきたカップルが二人。何でも、この日が最終日で、今まで全然オーロラは見えなかったのだとか。そっか〜、やはりそんな感じだったんだ。外は相変わらずの雪&曇天だったので、これは今日もだめか、と6人で落胆していたら、ガイドさんが「昨日、雲の裂け目から見えたんですよ!」と言ってくれました。え、あの天気で見えたの!?と思わず期待する6人。なんたって、森の中の施設ではかすりもしなかったんですもの。期待も高まろうってもんです。

何でも、小屋は毎日使用しているのではないんだそうで、今朝掃除に来たら冬眠しているんだか死んでるんだかわからないリスがいた、とのこと。外に出したというので見に行ったのですが、どう見ても死骸でした。(^^;ガイドさーん、こんな軽いリスはいないよ。でも、死骸だなんて言ったら他の人が怖がるかも〜と黙っていてあげました。小屋の暖房はまきストーブでこれも新鮮だったけど、一番すごかったのがトイレ。ぼっちゃん式というと聞こえはいいんですが、なんていうか、ゴミ箱の上に便器って感じのトイレなんです。前の人がう●ちしたら、絶対わかるぞこれ。

マッシャーさんは女性だったのですが、この土地で狩ったビーバーの毛皮でできた手袋をしていました。ビーバーは、水にもぐるのでよく水をはじく毛皮をもっており、雪もはじいてくれるので暖かいのだそうです。触ってみたら、しーんと冷えていて暖かいかどうかはわからなかったけど、そりにただ乗っているだけで顔はかなり寒かったから、手で操縦するマッシャーさんはかなり冷え込むんだろうと思います。

暖まった後は、外に出てオーロラ観察。相変わらず全然見えそうにない天気なのですが、じっと見ているとなんだか空が緑のような気がする。後からわかったのですが、それがオーロラの弱い光だったようです。

とにかく、しばらくは無理だな、とあきらめて、犬観察(ただ犬を見る。ふみふみは近寄れないから)やそり遊び(敷物を敷いてただざーっとすべるだけなのですが、真っ暗な中遊ぶのはかなり楽しい♪)などしながら外にいたら、
「あれ、もしかしたらオーロラですか?」
の声。え!?と空を見上げてみたら、わずかに晴れたその狭間に、緑に動く光があるのです。
 

オーロラだ〜!!!!!
 

本当に奇跡のような瞬間でした。小屋の真上が一瞬晴れて(とはいっても本当に狭間なんだけど)その晴れ間にオーロラが走ったのです。みんな感動して空に向かって大拍手!
そしてふみふみは撮影のためにカメラに向かって猛ダッシュ(笑)。わたしたちは雪の上に寝転がって、寒さも忘れてオーロラに見入ります。いや〜、暖かい日で良かった!マイナス40度だったら間違いなく凍傷になったでしょうね。それくらい、夢中で見ていました。時間にすると20分くらいだったと思うのですが、狭間がまた曇ってしまうまでオーロラを堪能できました。
オーロラが走ったのがやはり真上だったので、写真でよくあるカーテンを横からみた感じではなく、真下からカーテンをみている感じに見えます。でも、光が移り行くさまは視力の良くないわたしでも、きちんと見えました。緑色もはっきり見えましたし。ガイドさんに言わせると、結構見えたほうだということでしたから、わたしたちは本当に運が良かったようです。

オーロラ

オーロラ

雲の切れ間のオーロラ
(写真の無断転載を禁じます。Copyright (C) 2004 Fumiyo KANAZAWA  All Rights Reserved)

曇ってしまった後は、もう一度小屋へ。感動しまくったみなさんが、ふみふみが撮った写真をぜひ送ってください!とお願いされたので、快く送ることに。そうだよねぇ、自分が見たオーロラを写真でほしいよねぇ。うまく撮れているといいなぁ。
オーロラは、こんなふうに場所が少し移っただけで見えることもあります。自然にはかないませんねぇ。

それからすぐに時間になってしまったので、また犬ぞりに乗って帰ります。わたしは乗る姿勢が悪くて帰りはボブスレー状態だったので、首が疲れました。犬も、寒い中待っての帰り道なので、行きよりもスピードは出ません。ようやく着いたあとは、ホテルに直行。エレベーターでみんな心地よく別れを告げて部屋に帰ります。
犬ぞりは、通常ツアーよりも出発も帰りも早いので、昨日よりも早めに就寝することができました。追加した毛布でほかほかあったかいし、あぁ、幸せ。
布団にもぐってしばらくしたら、隣の家族連れが帰ってきました。「なんでオーロラが見れなかったか、反省会するか〜」というお父さんの声。ありゃ、あっちは見れなかったのか。親はいいけど、子どもは可哀想だな〜と思いながら就寝。