最終更新日:1999年12月20日
近畿車輛からの出場車1
JR西日本・285系(サンライズエクスプレス) 徳庵−放出 1998.3.19撮影
JR片町線の徳庵駅の近くには、近畿車輛という車両工場があります。 名前の通り、近鉄系の車両工場で、近鉄の車両や、JR、私鉄、地下鉄などの 車両、また時には海外向けの輸出用電車まで製造しています。
ほとんど、電車の製造ですが、最近では低床路面電車(アメリカ向け)等も 手がけています。

ところで、これら、工場でできた電車はどうやって配属先まで送るのでしょうか?

大きくわけますと、
1.片町線を使い、そのまま配属先まで自力回送
2.片町線を使いますが、自力走行ができないので、機関車に引っ張ってもらって 配属先まで回送(これを、甲種回送といいます。)
3.配属先まで、陸送

の3種類に分かれます。 ちなみに、1.はJR西日本の電車、2.はJR他社、東京の地下鉄などが、 3.は近鉄や大阪の地下鉄、新幹線などが当たります。
というわけで、近畿車輛でできた電車は陸送のものを除き、まず、片町線に第一歩を 踏み出すということになるわけです。ここでは、そんな「生まれたて」の電車たちの 第一歩を記録したものを集めてみました。

参考までにいっておきますと、
1.自力回送・・・徳庵発11:00頃(1997年位まで)、9:40頃(それ以降)
2.甲種回送・・・徳庵発15:40頃
のことが多いようです。

前置きが長くなりましたが、本題へとまいりましょう・・・。

JR西日本・207系(試作車)

現在、JR片町線・東西線の電車は全部207系になっています。(JR東日本の 207系とは全く関係はありません)この207系電車は1991年に試作車が 登場しました。試作車のみ7両固定編成で、近畿車輛で3両、川崎重工で4両が 製造されました。この際、近畿車輛製の3両は、いったん 川崎重工に回送され、そこで編成を組むということになりました。このため、 自力回送がほとんどのJR西日本の電車の中では珍しく、甲種回送という ことになりました。(このほかには681系の試作車も該当します。:写真が ありませんがお許し下さい。)

JR西日本・207系(試作車) 徳庵−放出 1991.1撮影

JR西日本・281系「はるか」

いわずとしれた関空特急用の電車です。1994年9月の関西空港開港にあわせて 製造されました。開業前から南海の「ラピート」との競争が話題になりました。 現在は6両編成と3両編成がありますが、登場時は5両編成でした。 (このころから本格的に近車からの出場車を撮影するようになってしまいました。)

JR西日本・281系「はるか」 徳庵−放出 1994.6.10撮影

営団地下鉄丸の内線・02系

1988年から、丸の内線を走っていた300・400・500・900形を 置き換えるために登場しました。当初はチョッパ制御でしたが、増備途中から VVVF方式に変更し、冷房も取り付けられるようになりました。
この頃から、近車からの甲種回送列車に注目が集まるようになったと思います。 沿線の人たちも結構見物に来られるようです。沿線の人々にはどのように 映っているのでしょうか?

営団地下鉄丸の内線・02系 徳庵−放出 1995.1撮影
同じく後ろ側 徳庵−放出 1995.1撮影

JR西日本・681系「サンダーバード」

北陸本線の特急「雷鳥」に使われている485系も老朽化が著しく、 新型車の投入が待たれていました。1992年には「ハイスピード雷鳥」という 名前で時速160km運転ができる681系試作車が完成しました。しばらく 量産車が登場しませんでしたが、1995年3月、登場しました。1月の阪神大震災 で、ダイヤ改正が少々遅れ、4月20日から運転を開始しています。
ちなみに、編成は6両と3両があり、あわせて9両が基本で、途中駅で切り離し、 和倉温泉や富山地方鉄道まで乗り入れます。

JR西日本・681系「サンダーバード」 徳庵−放出 1995.3.29撮影
同じく貫通型 徳庵−放出 1995.3撮影

JR九州・813系

JR九州の423系の老朽化が著しく、置き換え用として1993年から 製造されました。1988年から製造されていた811系と違い、VVVF インバータ制御になっています。また、 赤色を効果的に使ったデザインはなかなかおしゃれではないかと思います。 2両編成と3両編成があり、車内は転換クロスシートになっています。 この電車も沿線での注目度は高いと思います。

JR九州・813系徳庵−放出 1996.2撮影

JR西日本・283系「オーシャンアロー」

1996年に紀勢本線の特急をスピードアップするために18両が 製造されました。完全置き換えには至らず、381系「くろしお」 「スーパーくろしお」も近年リニューアルを行い使われています。 紀勢本線はカーブが多いので、制御振り子装置を採用して、スピード アップを実現しました。貫通型は割と平凡な顔、非貫通型は「いるか」を イメージしてデザインされたそうです。(余談ですが、この写真は出勤途上に 撮影しているので、ネクタイ姿でした。このため、報道機関の人に 間違えられてしまい、JRの職員の方に「お仕事ご苦労様です」と 声をかけられてしまったというエピソードがあります。)

JR西日本・283系「オーシャンアロー」貫通型 徳庵−放出 1996.7.15撮影
同じく非貫通型(グリーン車)徳庵−放出 1996.7.15撮影

北越急行・681系「Snow Rabbit Liner」

「電車でGO!」で有名な北越急行(ほくほく線)の特急電車です。 形式名からもおわかりの通り、JR西日本の681系と同じですが、 色違いになっています。赤系統の塗装も存在感があっていいかなと 思います。ちなみに、JR西日本の金沢総合車両所をベースに JR車と共通運用になっています。

北越急行・681系「Snow Rabbit Liner」非貫通型 徳庵−放出 1996.8撮影
同じく貫通型徳庵−放出 1996.8撮影

JR西日本・207系1000番台

JR西日本の207系は1994年からは設計変更を行った1000番台、 1996年からは2パンタ車で登場しました。1997年の東西線の開通が 近づいたため、大量増備が行われ、12連で堂々と自力回送されました。 回送ルートの関係上、片町線での通常の方向と逆向きになっています。

JR西日本・207系1000番台 徳庵−放出 1996.10撮影

JR西日本・223系1000番台

1995年の阪神大震災直後に製造が開始されました。 大量増備されるかと思いましたが、92両の少数派です。 このあと1999年からはコストダウンした2000番台に移行しました。

JR西日本・223系1000番台 徳庵−放出 1997.3.5撮影

JR西日本・285系「サンライズエクスプレス」

1998年からブルートレイン(客車)の「出雲」「瀬戸」を電車化するために 登場しました。7両固定編成3本が在籍しています。なお、同一仕様でJR東海も 2編成保有しています。(3000番台)オール個室構造で、 1999年、鉄道友の会のブルーリボン賞を受賞しています。

JR西日本・285系「サンライズエクスプレス」 徳庵−放出 1998.3.19撮影