更新日:2006年6月10日
 気まぐれ写真館 
凹電3号(前編)
折り曲げ中
2006年の5月下旬から「ココログ」上で鉄道模型のキット組み立て風景を載せていましたが、予想以上のボリュームになりましたので、別ページにてアップすることにしました。気まぐれと言うことで笑ってやって下さい。写真の数の関係から前編・後編に分けて掲載します。
組立前
凹電(ぼこでん)キット
さて、訳のわからない展開図のような金属製の板が出てきました。これが、今回組み立てるアルモデル製「凹電」のキット本体です。鉄道模型というからには、○○鉄道の○形を模型にしましたというスケールモデルが主流ですが、この「凹電」は自由形といい、このスタイルの車両は現実にはありません。が、「どこかで見たことがあるような」という車両です。東急の3014という電動貨車によく似ています。自由形の楽しさは塗装やパーツの選択にあり、製作者の趣味やセンスがモロに現れます。鉄道模型というと1/150・9mmのNゲージのシェアが約70%ですが、今回は1/80・16.5mmのいわゆる16番(よくHOと言われていますが、ここでは16番と書いておきます。呼び名については色々と議論されておりますが、ここでは扱いません。)のキットです。弁天町の交通科学博物館の大パノラマレイアウトと同じ縮尺です。その気になれば、大パノラマレイアウトで走らせることもできます・・・。(そんなことさせてくれませんが)プラモデルにも少し似ていますが、真鍮製というところが大きく違います。これをランナーから切り離して曲げてハンダ付けして組み立てて、色を塗って・・・という算段です。まあ、自由形ならば初めて16番の真鍮製の組み立てキットに挑戦するにはいいかな・・・という甘い期待もあります。
このほかにもヘッドライト、テールライト、塗料、動力装置(パワートラック)などを使用します。
運転室
運転室
まずは、運転室を組み立てます。左側に電話ボックスのようなものがありますが、これが出来上がりです。ランナーからニッパーで右の3つのパーツを切り出します。プラモデルと同様、ニッパーで切り出しますが、ニッパーは金属用のを使います。そして、少しランナーを残して、切れたらヤスリでランナーを削ります。
左上から出来上がり、屋根板、後ろ側の妻板、前面と側面です。
折り曲げ
折り曲げ
先ほどの写真で、前面と側面が同じパーツなので、どうするのかというと、折り紙と同じ要領で、前面と側面の角を曲げてしまいます。このキットの場合、厚さが0.5mmの真鍮板であり、丈夫にできています。折り曲げ線がペーパークラフトよろしく作られています。手で曲げても大丈夫です。曲げたら、直角に気を付けましょう。スコヤという直角を計る治具やその名の通り「直角治具」でチェックします。これを怠ると、平行四辺形の運転室になってしまいます。
妻板
妻板を差し込む
前面と側面の曲げができたら、今度は妻板を差し込みます。よく考えられたキットで、妻板を差し込むための溝もできています。ちなみに、妻板の下の方に出っ張っている部分は差し込み前に折り曲げます。そしてねじ止めをするのでタップを立てておきます。
ハンダ付け
ハンダ付け
差し込んだら、裏側からハンダ付けをします。プラモデルはプラモデル用の接着剤を使いますが、金属の場合、ハンダ付けをします。技術の時間にラジオを作ったと思いますが、その時にハンダ付けを習ったと思います。少し要領は違いますが、あらかじめ出来上がりの形に仮止めして、そこへフラックスを付けて、熱したハンダを流し込みます。流し込み用のプラモデル用の接着剤は毛細管現象を使って流し込みますが、それに近い発想です。ハンダ付けは難しいと言われますが、やってみるとそうでもありません。仮止めさえちゃんとやれば大丈夫です。(ハンダ付けは高温のため、撮影ができませんでした。ごめんなさい。)
屋根曲げ
屋根曲げ
屋根の部分はカーブが付いているのに、ペッタンコの板でした。どうするかというと、屋根を実際のカーブに合わせて曲げることにします。闇雲に手で曲げると屋根カーブが均一に出ず、それこそボコボコになってしまいます。缶コーヒーの缶でならすように曲げていきます。手でじわじわ缶に押さえるような感覚です。ゆっくりやっていくときれいに曲がります。
屋根取り付け
屋根取り付け
曲げた屋根を上から差し込みます。差し込んだら、ここは上からハンダ付けをします。構造上、はみ出ないようにハンダ付けをするのは難しいので冷えたらヤスリとキサゲで継ぎ目消しをします。このあたりはプラモデルとあまり変わりません。くどいようですが、プラ用の接着剤がハンダに変わっただけという感覚です。
タップ立て
タップ立て
先ほど、タップを立てると言いましたが、この車両は最後にパーツ同士をねじ止めします。この手のキットの場合、ねじ止めするためのらせん状の溝がありませんので、タップというねじ用の溝を彫るドリルのようなものを使用します。ピンバイスというドリルの先にタップを差し込んで軽く穴に入れて回します。この時に少々油を差すとうまくいきます。回しすぎると穴が広がりすぎますので、軽くで結構です。運転台の部分や、荷台のあおり戸、ビューゲルのやぐらなどいろいろあります。
あおり戸
あおり戸
この手の電動貨車は荷台の部分のドアがトラックよろしく開くようになっています。これをあおり戸といいますが、ここも折り紙のように曲げます。手で曲げるときに曲げない面はベークライトの板など工作台の板に当てるようにするとゆがみません。曲げたらタップを立てておきます。
ビューゲル
ビューゲルとやぐら
電車にはパンタグラフという菱形のものが屋根の上に載っていて架線から電気を取りますが、この電車の場合、ビューゲルというしゃもじに似た形のものがそれに当たります。最近は数が減ってきましたが、市電ではビューゲルを使っているところもあります。こちらも組み立てます。ビューゲルは進行方向に合わせて方向が変わりますが、模型でも方向が変えられるようにハンダ付けはしません。また、やぐら(ビューゲルを載せる台)も組み立てます。こちらも曲げるだけです。両者は塗装後にねじ止めします。
台車
台車
続いて、台車を組み立てます。訳がわからない格好をしていますが、次の写真のように折り目で曲げていくとちゃんと台車になります。車輪が2軸という「単車」というタイプで、実物は滅多に見ることはできませんが、明治時代に初めて電車ができたときは、単車ばかりでした。関西では、阪堺電軌の大和川の車庫(我孫子道にあります。)入替車として「TR-1」「TR-2」というのがいますが、それが「単車」です。車庫の公開を1年に1回やっているようですが、その時に見られるかもしれません。あるいは、明治村や梅小路公園でも走っているところを見たり乗ったりすることができます。
曲げる前にどうやって曲げてできあがったらどうなるかと想像するのも楽しかったりします。
折り曲げ中
折り曲げ中
片側だけですが、折り曲げ中です。折り曲げると側面が二重になるのがわかると思います。こうなると台車らしくなってきます。折り曲げたらハンダ付けしてバラバラにならないようにします。
各パーツを組み立てて
組み立て
そんな感じで組み立てるとこんな感じになります。台車を組み立てたら上にモーターカバーを乗せます。
仮組立
仮組立
部品を組み立てましたので次は塗装になりますが、その前に仮組立を行います。ちゃんとねじ止めができるかどうかチェックをします。動力装置や連結器(後述)もはめ込みます。一応形になりましたので、眺めてニヤリとしてしまいます。このまま完成・・・で真鍮の美しい地肌を・・・という仕上げ(実際にはクリアを吹いていますが)をされている方もおられます。金色に輝く蒸気機関車の模型を見たことがあるかもしれません。今回はもちろん塗装することにします。
塗装から後は後編に掲載します。
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