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Debian GNU/Linux 2.1 のインストール (Intel x86) - 8 章
次のステップとそれから


8.1 Unix を初めてお使いになる方へ

Unix を初めてお使いになる方は、お出かけになって何冊か本を買い、 それを少しお読みになるとよいでしょう。 Unix FAQ には参考となる本や ニュースグループがたくさんあり、役に立つはずです。また、 ユーザフレンドリーな Unix FAQ も調べてみてください。

Linux は Unix の実装の一つです。Linux ドキュメンテーションプロジェクト (LDP) では Linux に関するたくさんの HOWTO やオンラインの書籍をまとめています。 これらの文書の多くは手元のコンピュータにインストールすることもできます。 doc-linux-html パッケージ (HTML 版) か doc-linux-text パッケージ (テキスト版) を インストールしてみてから、/usr/doc/HOWTO ディレクトリを覗いてみてください。 また、国際版の LDP HOWTO も Debian のパッケージとしてご利用いただけます。 なお、Linux JF (Japanese FAQ) Projectでは、 LDP の文書の和訳など、日本語による Linux 関連文書の作成、 取りまとめなどが行なわれており、その文書の一部は doc-linux-ja パッケージをインストールすることでも 利用できます。

Debian 固有の情報に関しては以下をご覧ください。


8.2 Debian に慣れる

他のディストリビューションで Linux に精通された方でさえも、システムを 整然とした状態に保つためには、Debian について知っておかなくてはな らないことがあります。 この章では Debian に慣れる手助けとなる資料を紹介します。 そのためここでは、Debian の使い方を逐一説明することではなく、 ほとんど時間に余裕のない方でもこのシステムを相当手短に把握できることを 意図しています。

まず把握すべき最も重要な考え方に、Debian のパッケージングシステム があります。基本的に、お使いになるシステムの大部分の運用は、 このパッケージングシステムの管理にしたがって考えられるべきです。 このパッケージングシステムによって管理されるディレクトリには、 以下のディレクトリが含まれています。

例えば、/usr/bin/perl をあなたが別に用意したファイルで 置き換えたとしても、その動作には問題はありません。ただし、後で perl パッケージを更新すると、 あなたが設置したファイルは、パッケージによって置き換えられてしまいます。 このことは、熟練者ならば dselect でパッケージを「保留 hold」 するという操作を行うことで避けることができます。


8.3 さらなる文書や情報

もし、特定のプログラムに関する情報が必要ならば、まずは man プログラム名info プログラム名 を実行してみてください。

/usr/doc にも有用な文書がたくさんあります。 特に、/usr/doc/HOWTO/usr/doc/FAQ には興味深い情報がいくつもあります。

Debian ウェブサイト には、Debian に関するたくさんの文書があります。 特に、Debian FAQDebian メーリングリストアーカイブ をご覧ください。 Debian のコミュニティでは、ユーザがお互いにサポートを行なっています。 Debian のメーリングリストを購読される場合は、 メーリングリストの購読 ページをご覧ください。

なお、Debian JP Project ウェブサイト では、日本のユーザによる独自の情報や翻訳された文書などが利用できます。 特に、Debian JP Project のメンバーである鵜飼 文敏さんがまとめられている Debian GNU/Linux に関する Q & A には、一度目を通されることをお勧めします。 また、日本のユーザ向けに Debian JP Project で運営されているメーリングリス トがあります。こちらの購読や、過去の記事の閲覧、検索に関しては、 Debian JP メーリングリストをご覧ください。


8.4 新しいカーネルのコンパイル

なぜ新しいカーネルをコンパイルしようとする人がいるのでしょうか? 確かに Debian の場合、標準で入っているカーネルは多くの機能をサポートしてい るので、ほとんどその必要はありません。しかし、以下のような目的のためには、 新しいカーネルをコンパイルすることは有益です。

カーネルをコンパイルすることを恐れないでください。楽しくて有益なことです。

Debian 式にカーネルをコンパイルするには、 kernel-packagekernel-source-2.0.36 (この文書を執筆している時点で最も新しいバージョンです)、 fakeroot、 おそらくすでにインストール済みのいくつかのパッケージ (その完全なリストについては /usr/doc/kernel-package/README.gz をご覧ください) が必要です。 必ずしも「Debian 式」にカーネルをコンパイルする必要はありません。 しかし、カーネルの管理にパッケージングシステムを用いることは、 実際により安全で簡単です。 もちろん Linus 氏が配付しているカーネルソースをそのまま利用することもできますし、 その場合はカーネルソースを入手するために kernel-source-2.0.36 を利用する必要はありません。 もちろん kernel-source-2.0.36 の代わりに Linus 氏が配付しているカーネルソースをそのまま利用することもできますが、 その場合でも、kernel-package を用いてコンパイルを行なってください。

kernel-package の利用にあたっては、 /usr/doc/kernel-package 以下のディレクトリから完全な文書を ご覧になれるでしょう。そのため、この節では簡単な解説のみを行います。

ここでは、バージョン 2.0.36 のカーネルソースが /usr/local/src にあると仮定します。 まずは、ルートアカウントで/usr/local/src ディレクトリを作成し、 そのディレクトリの所有者を、 ルートではない通常のお使いになるアカウントに変更してください。 続いて通常のアカウントで、 カーネルソースを展開するディレクトリに 移動 (cd /usr/local/src) し、カーネルソースを展開 (tar xzf /usr/src/kernel-source-2.0.36.tar.gz) してから、 そのディレクトリに移動 (cd kernel-source-2.0.36/) します。 次に、カーネルコンパイルの設定を行ないます。 (X11 がインストールされ設定済みの場合は make xconfigで、 そうでない場合は make menuconfig で設定します。) オンラインヘルプを時間をかけて読み、その設定は注意深く選択してください。 一般的に、迷った場合はそのデバイスドライバ (イーサネットカードや、 SCSI コントローラなどの周辺機器を制御するソフトウェア) を入れた方がよいでしょう。 なお注意していただきたいのですが、 特定のハードウェアに関係のないその他のオプションで、 よく理解できないものはデフォルトの値のままにしておいてください。 また、"Loadable module support" (デフォルトでは選択されていません) にある "Kernel daemon support (e.g. autoload of modules)" は忘れずに選択してください。 さもないと、Debian のインストールに問題が生じることもあります [4]

続いてソースツリーのクリアと、kernel-package のパラメータのリセットを行います。 /usr/sbin/make-kpkg clean を実行してください。

さあ、カーネルをコンパイルをしましょう。 fakeroot /usr/sbin/make-kpkg --revision=custom.1.0 kernel_image を実行してください。 バージョン番号 ``1.0'' は自由に変えられます。この番号は、 構築したカーネルを後から確認できるようにするためのものだからです。 同様に、``custom'' の箇所にもお好みのキーワード (例えばホスト名など) を使うことができます。 なお、お使いになるマシンのパワーにもよりますが、 カーネルのコンパイルには少し時間がかかります。

もし、PCMCIA の機能が必要ならば、pcmcia-source のインストールも必要です。 ルートアカウントで /usr/src ディレクトリに gzip で圧縮された tar ファイルを展開します。 (モジュールはそれがあるべき場所、つまり /usr/src/modules になくてはなりません。) それから、ルートアカウントで make-kpkg modules_image を実行します。

一旦コンパイルが完了すれば、他のパッケージと同じように、 そのカスタムカーネルをインストールすることができます。 ルートアカウントで、 dpkg -i ../kernel-image-2.0.36-subarch_custom.1.0_i386.deb を実行してください。 subarch は、カーネルのオプションで設定された ``i586'' のような 任意のサブアーキテクチャーを表しています。 また dpkg -i kernel-image... とすると、カーネルと一緒に 役に立つ補助的なファイルもいくつかインストールされます。 例えば、カーネルの問題をデバッグするのに役立つ System.map や、 現行のカーネルの設定が記録されている /boot/config-2.0.36 などが適切にインストールされます。 さらに、新たに作成された kernel-image-2.0.36 パッケージは、 カーネルイメージの情報を更新してシステムがブートできるようにするために、 自動的に lilo を実行してもくれますので、 改めて lilo を実行する必要はありません。 なお、モジュールパッケージを作成した場合は 同様にそれもインストールする必要があるでしょう。

さて、システムをリブートする時がやってきました。 これまでの作業の間に何か警告が表示されていたらそちらを注意深く読み、 それから shutdown -r now を実行してください。

kernel-package に関するより詳しい情報については、 /usr/doc/kernel-package をお読みください。


8.5 Debian 2.1 における Linux 2.2 カーネルの利用

Debian 2.1 における Linux 2.2 カーネルの動作は、 まだ完全には確認されていません。 しかし、ftp://ftp.debian.org/debian/dists/unstable/ からいくつかのパッケージをダウンロードすることを望んでいるならば、 動作するシステムを構築できるはずです。

2.2 カーネル上での不具合が判明しているパッケージの一覧については、 エラッタ: slink における Linux 2.2.x の実行 をご覧ください。 この対応状況に関する最新情報については、 Debian 2.1 リリース情報 をご覧ください。


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Debian GNU/Linux 2.1 のインストール (Intel x86)
version 2.1.11 (ja), 14 July, 1999
Bruce Perens
Sven Rudolph
Igor Grobman
James Treacy
Adam Di Carlo