犬は挨拶代わりに親しい人の口のあたりを舐めようとします。テレビで「不衛生だからしてはいけない」としたり顔で言っている人がいました。 それは正しいのだろうけど、そうも言ってはいられないのではないでしょうか。 犬にとってはまさに挨拶代わり、ごく基本的なコミュニケションであり、それを拒否して飼い主と飼い犬の関係をつくるのは無理に近いことでしょう。 というか、そのリスクを覚悟したうえでコミュニケーションを取ることを優先するところがミソだと思うのです。 |
これは人どうしの場合にも言えることでしょう。人だって口の中は決してきれいなところではありません。キスすることによって、虫歯や、場合によってはもっと厄介なものもうつることがある危険を承知で、それでもいいから、と覚悟を決めてするところがミソだと思うのです。 もういっぺん犬の話に戻りますけど、「降参のポーズ」ってのがありますよね。もっとも無防備な腹を見せることによって、命がけで「私はあなたを信用していますよ」ということを示すポーズです。もし相手に裏切られたら死ぬわけですから。 犬が口を舐めるのがどういういきさつで出来上がったのかは知りませんけど、人がキスするというのは、粘膜と粘膜という無防備な接触をすることによって、「私はこれだけあなたを信用していますよ」ということをしめす行為ということだと思います。 ですから「ラップ16枚越し(*1)」などというのはキスの意義を全く備えない、似て非なるものですな。 |
半世紀ぐらい前はキスをすると子供ができていた時代があるそうですが(^◇^)、となるとますます真剣度が必要になりますね。 「この人の病気ならうつってもかまわない」もしくは「この人は病気を持ってないと信じる」ということの他に「この人となら子供を作ってもかまわない」という覚悟をすることとイコールだったのですから。 「だったのですから」というか、それこそが重要なこと、キスすることの意義なんじゃないでしょうか。ラップ越しの「安全なキス」なんてのは、もはやキスではないと思うのであります。 |
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