海はみんなのもの


 先日、生物の先生が海からアカウニとバフンウニを採ってきました。で、ビーカーの中に放精・放卵させて受精する様子を、私も顕微鏡で見せてもらいました。
 犇(ひし)めくように卵子にとりつく精子の群れに、「生命」の力強さ、健気さを感じました(*1)。もちろん、CGやビデオでは見たことがありますが、目の前で現に起きているできごとを見るのは「ごまかしようのない事実」として心に迫るものがあります。


 で、ふと思ったんですが、アカウニもバフンウニも同じ海の中に住んでいるのですよね。当然同じひとつながりの海水の中に放精・放卵します。他のウニも、ウニ以外の多くの動物も。
 アカウニの卵子とバフンウニの精子とか、アカウニの卵子とイワシの精子とか、そういう組み合わせで出会うことも、きっとあるはずですよね。でもその時は受精しないようになっているんでしょうね、きっと。精子なんてそれほどの差はないでしょうに。…よくできてますよねえ。
 もしかしたら受精はするけどあとが続かないだけかと思って「精子と卵のソシオロジー(*2)」なる本を買って斜め読みにしてみたところ、やはり同じ種同士で受精するようになっているようです。…よくできてますねえ。
 体細胞における生化学でも十分感心させられるんですが、このことに気付いたときにはその3倍ぐらい感心してしまいました。

(*1) 日本中の若者にこれを見せたら、いいかげんなことはしなくなるのではないかと思った。いや、冗談抜きで。
(*2) 緋田研爾著・中公新書1013


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