安はアンデスの安

 前おき。
 ペギー葉山さんの「ドレミの歌」を思い浮かべた人、気の回しすぎです。何の関係もなく思い立ったフレーズです。…と言い張っておくことにします。(著作権対策)


 流紋岩、安山岩、玄武岩。花崗岩、閃緑岩、ハンレイ岩。これを覚えるってのは「無意味綴」に等しいことですな。それぞれ由来があるのですが、それを知ったら覚えやすくなるかというとそうでもなく…^^;;;;;;。
 唯一わかりやすい(と思われる)ものを紹介しておきましょう。


 安山岩の「安」実はアンデスの「アン」です。地質学は今から200年ぐらい前にヨーロッパで始まりました。当時は他の学問といっしょくたの「博物学」の一部だったのですが、ま、それはともかく。
 当然ながら、初期のフィールド(調査地域)はヨーロッパ各地ですが、やがて世界各地に広がって行きました。南アメリカ・アンデス山脈にザクザクある岩石は、ヨーロッパでは珍しいものでした。そこでこの岩石は「Andesite(アンデサイト)」つまり「アンデスの石」と名付けられました。
 明治になって西洋の学問が日本に輸入されたとき、「Andesite」には「安山岩」という訳語が当てられました。つまり、「安山」とは「アンデス山脈」のことです。


 ところがこの安山岩、日本にはザクザクあるんですなあ。アンデスも日本も、どちらのプレート境界(海溝)ぞいにできた高い地形ですから共通の特徴があるんです。つまり、ヨーロッパでは珍しかったから「アンデスの」なんて名前がついたのですが、日本名までそれに倣う必要はなかったんです。なんちゅうか、サルマネまるだしというか。^^;;;;
 似たような例として「正断層」「逆断層」ってのもあります。引っ張り型の断層が正断層(normal fault)、圧縮型の断層が逆断層(reverse fault)ですが、この名前はヨーロッパでは引っ張り型が圧倒的に多かったことに由来します。ところが日本では圧縮型の「逆断層」の方がむしろ普通(normal)なんですな。(^◇^)
 

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