地球(1コマ) 

ドロンズのゴール地点とパンヤオのゴール地点、最短距離で結ぶコースは?
地球は丸い。わかっているようで本当にわかっているのか?
昔の人は地面は平らだと思っていたらしい。
丸いことに気付いたのはピタゴラスの頃。
港を出て行く船。最後にマストが見えなくなる。
月食、あれは地球の影らしいぞ。
じゃあ、大きさは?→エラトステネス
コロンブスの時代にも、26000kmから60000kmまで諸説あったらしい。
現在の知識。周の長さ40000km。
キリのいい数字。そうなるように決めたから。
正確には、4万なんじゅうなんキロ。直径1万3000km。
当時の測量が正確でなかったのと、地球が楕円のせい。
回転楕円体(自転のせい)、扁平率300分の1。
公転(1.5億km、1年)、自転(1日)、23.4°
地球の形

 我々の足元にある地面、実は丸いんですよ。なーんてことを言うと、「何をわかりきったことを」と笑うでしょうけど、日常生活の範囲では地面は平らと思って暮らしているし、どうしてもその感覚は捨てきれないでいるはずです。いくつか例を出してみましょう。
 これは世界地図です。でも何かヘンですねえ。見慣れた世界地図は、日本が真ん中へんにあって、アメリカ大陸が右端にあるものですけど、これはアメリカ大陸が左端にありますね。じつはこれ、イギリス製なんです。丸い地球を平面の地図にするとき、どこで切ってもいいはずなんですが、そんなことはわかっていると思うんですが、実際目にすると違和感を感じるでしょ?
 さて、この地図のここが、ドロンズのゴール地点、ここがパンヤオのゴール地点です(*1)。この2地点を最短距離で結ぶには、どういうコースを取るべきでしょう。…こことここをまっすぐ?違います。では一旦図の左端に出てぐるっと?…それも違います。正解はこうです。地球儀で見るとわかると思いますが、北極を越えて行くのが最短距離です。これになかなか気づかないというのも、平面の感覚から抜け切れていないことの表れでしょう。また、たとえば東京とサンフランシスコをむすぶ最短距離はこうなります。成田を出てアメリカへ向かう飛行機はまず北へ向かって飛ぶんです(*2)。
 現代の我々でもこんな具合ですから、大昔の人は地面が平らでないなどとは思いもしなかったようです。たとえば、海の端は滝になって流れ落ちていると書いた書物があるそうです(*3)。

 地球が丸いことに人類が気づき始めたのは、今から2500年ぐらい前のようです。ピタゴラスという有名人がいますが、彼が月食をもとに考えたことが記録に残っているそうです。
 すなわち、月食の時には太陽と月が正反対の位置にあることに彼は気づき、もしかしたら月は自分で光を出しているのではなく、太陽の光を受けて明るく見えているのではないだろうかと考えました。そして、月食は、月が地球の陰に入ってしまって光が当たらなくなって起きる現象ではないかと。で、月食の月の形をよく見ると、丸く欠けている。ということは、地球が丸いということではないかと。

(*1)このネタも古くなってきました。そろそろ使えなくなります。
(*2)何か困ったときに、陸に近い方が便利だという事情もあります。
(*3)その根拠として「遠くへ出かけていった船が戻ってきたためしがない」などと書いてあるそうです。真相は、造船や航海の技術が不十分で、遭難したり迷子になったりしてしまったということなのでしょう。

地球の大きさ

 さて、そうすると次に、地球の大きさを測ってやろうという人物が出てきます。ピタゴラスから300年ほど遅れて、アレキサンドリアにいたエラトステネスという人です。彼はある日、書物にこんなことが書いてあるのを見つけました。「シエネでは、年に一度、太陽が頭の真上に来る」。アレキサンドリアではそうなりません。シエネはアレキサンドリアの南にある町で、現在「アスワン」と呼ばれているところです。ということはどういうことだろう。地面が曲がっているに違いない。図解するとこういうことです。
 となれば、ここの角度とここの距離がわかれば、地球の大きさが計算できるだろう。角度は、棒をたてて陰を作って測りました。7.2°、つまり1周の50分の1でした。距離は、人を雇って歩かせ、歩数と歩幅から計算しました。当時の単位で5000スタジアでした。現在の単位に換算するといくらになるのか、本によって書いてあることが違うのですが、800〜900kmになるようです。
 800kmとすると地球の周の長さは40000km、900kmとすると45000kmです。これが、世界で最初に測られた地球の大きさです。

現在の知識

 現在の知識では、一周40000kmということになっています。
 正確には4万何十何キロ、という端数がついているのですが、ほぼ正確に40000kmです。実はそうなるように決めたのです。地球を作るときに。…じゃなくて、距離の単位を決めるときに。
 昔はフィートとかマイルとか、尺とか里とか、地域によっていろいろな単位が使われていました。しかも、同じ単位でも地域によって多少違っていたりしました。これでは不便だということで統一することになったのですが、既存の単位の単位のどれかにあわせるのではなく、新しい単位を作ることになりました。その基準として地球の大きさを測り、赤道から北極までの1000万分の1を「1メートル」としたのです。ですから1周40000kmなのです。直径は、40000を「およそ3」で割れば出てきますね。1.3万kmほどです。この地球儀が、実物の1億分の1の大きさ(直径13cm)です。
 4万「何十何キロ」という端数がついてしまっているのはふたつ理由があります。ひとつは当時の測量が不正確で、測りなおしたら少し違ってしまったこと。もうひとつは、地球の形が球だと思われていたのが、実は少し違っていたことです。
 実は地球は、中心から北極・南極までよりも中心から赤道までのほうがわずかに長い、楕円形を回転させた形であることが今ではわかっています。数学でいう「回転楕円体」です。地球の形の回転楕円体を、特に「地球楕円体」と呼ぶことがあります。ゆがみ具合(扁平率)は300分の1ほどです。直径30cmの地球儀で1mmということですから、本のわずかですが赤道型に拡がった、ミカンのような形ということになります。

(参考・「コロンブスの安心理論」

地球の運動

 さて、ご存じのように地球は、太陽の周りをぐるぐる回っています。このことを「公転」といいます。公転軌道の半径、つまり地球と太陽の距離は1.5億kmです。この地球儀の縮尺では1.5km、歩いて20分ぐらいの距離ですね。公転周期は1年です。
 また、公転しながらクルクルとコマのように回っています。これを「自転」といいます。自転に伴って、自分のいる場所に太陽の光が当たる昼と、光が当たらない夜が交互に訪れます。すなわち、自転周期は1日です。
 自転の軸を「地軸」と言いますが、地軸は公転軌道に対して23.4°傾いています。あとの方で出てきますが、このために光の当たり方が変わって季節ができるのです。